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「斉藤 龍一郎:投稿・発言です。」

斉藤 龍一郎(さいとう りょういちろう) 20080828.
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アフリカ日本協議会(AJF)
「斉藤 龍一郎:投稿・発言です。」
(再録元ページURL:http://www.asahi-net.or.jp/~ls9r-situ/words.html)
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*この頁は故斉藤龍一郎さんが遺されたホームページを再録させていただいているものです。

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last update: 20210118


■本文

2008年8月28日 jsdsへ投稿

遺伝子検査で病因遺伝子を持つ組み合わせに警告!

斉藤@AJF事務局です。

Donna Haraway "When species meet"127pに、以下の記述がありました。

The Ashkenazi Jewish community in New York City has virtually eliminated the birth of babies with Tay-Sachs disease by first supporting research and then using a gene test, even while affected children continue to be born to other communities around the world with very different relationships to the cultural apparatuses of research, medicine, and genetic citizenship.

Tay-Sachs diseaseは、東欧系ユダヤ人(Ashkenazi)集団に発生率の高い遺伝病で、病因遺伝子を持つ人同士のカップルであれば4人に1人の発生可能性があるそうです。

上記の文節に続く記述および註によると、ニューヨークの伝統派東欧系ユダヤ人の中では、遺伝子検査が広がったことで、近年Tay-Sachs diseaseが発生していないそうです。

Haraway の新著は、犬の繁殖・育成と遺伝子検査や生物学的な状態に関するデータベースの現状、課題を扱ったものです。

人間にも適用可能な技術体系が実用化されるにあたってぶつかる課題に関



2006年1月9日 ajf-infoへ投稿

エリトリアへの関心が高まりました。

斉藤@AJF事務局です。

一昨日、JICA東京で開かれた研究会『短期専門家による社会調査〜何が見えてくるのか、どんなフィードバックが可能なのか』に参加しました。

30名近くの参加がありました。

エリトリアの除隊兵士社会復帰プログラム(就労保障プログラム)の一環として昨年秋に草苅さんが企画・実施に携わった元女性兵士たち対象の美容師ディプロマ・プログラムを「社会調査」の側面から見たプレゼンが行なわれました。

プレゼン1時間45分、質疑が1時間半という研究会に参加して、次のことを感じました。

  1. エリトリアへの興味
    一昨年10月、UNICEFスタッフとしてエリトリアで活動している菊川さんの話を聞き、去年の秋、独立直後のエリトリアでの法律調査ボランティアを書いた土井香苗さんの「『ようこそ』と言える日本』(岩波書店)を読んで持っていたイメージがくっきりとした像を結んできました。
    明確な国家意識を育んでいる国のようです。
    質疑の中で、「賄賂はない」「特別な日当や食事を用意しなくてもワークショップに参加している」と語られていました。

  2. 30年の独立戦争、足かけ3年の国境紛争が産み出した愛国心
    エチオピアとの間で30年の独立戦争、足かけ3年の国境紛争を闘った人々は、独立を闘い取ったという自負心をいだいています。除隊兵士社会復帰プログラムに参加した人々も、「また戦争になったら国のために闘いたい」と語っていたそうです。30代を中心にしたプログラム参加者の平均兵役参加年数が14年余り、400万人の国で30万人の軍隊(3割が女性)のうち20万人の除隊と社会復帰を目指すプログラムが、最近また高まっている国境の緊張のためスローダウンしているそうです。
    アフガン・ゲリラや子ども兵の武装解除・社会復帰プログラムを参考にしたトラウマ対策や厭戦プログラムが必要ではないかとの質問が出ていましたが、エリトリアでは全く違ったアプローチが必要ではないかと感じました。

  3. 実施者の熱意が感じられるプログラム
    プログラムに関しての報告で最も興味深かったのは、次の2点です。

研究会参加者から出た質問や感想を聞くと、この日の発表内容は相当にインパクトがあったように感じます。

以上、感想でした。



2006年1月7日 ajf-infoへ投稿

「ホテル・ルワンダ」試写会・シンポジウムに参加しました。

斉藤@AJF事務局です。

昨日、有楽町マリオン11Fの有楽町朝日ホールで開かれた「ホテル・ルワンダ」試写会・シンポジウムに参加しました。

「希望者が多いので、開場時間を繰り上げます」とのメールをもらい、午後2時半過ぎに行った時には、すでにたくさんの人が並んでいました。

上映開始時には、映画館並の広さのホールもほぼ満席になっていました。

主人公は無事苦境を脱して生き延びる、とわかっていても、最後までハラハラドキドキの映画でした。

ホテルから1キロ地点で虐殺を撮影したカメラマンが、外国人だけ国外脱出できることが決まり、バスに乗る際に「恥ずかしい」とつぶやくシーン、食料を買い出しに出かけ「川沿いの道は検問所がない」とささやかれてとった帰り道、たくさんの遺体に出くわして嘔吐するシーン、など目に焼き付いています。

映画上映後は、休憩を挟んで映画の主人公となったポール・ルセサバギナさんが講演し質問に答えました。

その後、主催者であるピースビルダーズ・カンパニー代表・篠田英朗さんが司会、ポールさんに加えて、朝日新聞編集委員・松本仁一さん、アジア経済研究所・武内進一さんがパネラーとなったシンポジウムが開かれました。

松本さんは、経済状況が悪化し生活が苦しくなると、ことさらに民族の違いを強調して「あいつらが悪い」というキャンペーンがなされるケースが多い、ルワンダの1994年大虐殺、一昨年から続くスーダン・ダールフールの虐殺は、そうやって起きた、と語っていました。

武内さんは、昨年も2度ルワンダを訪問して感じたことも交えつつ、映画の最後に描かれているルワンダ愛国戦線の首都掌握、政権樹立以降のルワンダのあゆみと現状を紹介してくれました。1995年の新政権樹立の際は、フツ人が大統領に選出されたが、2003年には愛国戦線代表・ツチ人のカガメ大統領が95%の票を得て選出され、その後前大統領が逮捕されて裁判にかけられるなど、政権の「強権化」が問題にされている状況も報告していました。

1996年に新政権樹立後のルワンダから亡命したポールさんは、現在も10万人を超えるフツ人のインテリやビジネス・エリートが裁判も受けられないまま投獄されていることや農村部で行なわれているガチャガチャ裁判の問題点を指摘し、現在の政権を「独裁政権」と表現していました。こうした状況を変えるためには、民族同士の対話が決定的に重要と言う提言は、虐殺を目の当たりにした人の発言だけに重みがあります。

最後に、日本はどう貢献すべきかと聞かれて、武内さんがもっとアフリカの現状・人々の具体的な姿について知るべきだと語り、ポールさんが日本の援助が本当に必要としている人に届いているのかもっと注目して欲しい、と呼びかけていたことが印象に残りました。



2005年12月4日 ajf-info、tcsf-members、mdg、P-Africa、jsdsへ投稿

[P-Africa:09000] 国際協力活動と障害者支援

斉藤@AJF事務局です。

一昨日、国際協力NGOセンター(JANIC)正会員の集いに参加し、標記テーマについて考える機会を得ました。

この日、つぎのような事業助成申請を5人ずつくらいのグループに分かれて「審査」するワークショップが行なわれました。

この日のワークショップでは、「審査」を行なった5グループのうち4グループが、以下の理由で「助成しない」という結論を出しました。

一方で、「社会福祉従事者たちが専門性を活かしてリハビリ体操ハンドブックを作成・配布するという事業」そのものは、先駆的、将来につながるとの評価が語られていました。

こうした評価に対し、僕は、二つの意味で、非常に問題があると感じました。

一つは、リハビリテーションが診断に基づいてからだの状態にあわせて行なわなければならないということに全く注意が払われていないという点です。ハンドブック配布でリハビリ体操を普及しようと言うのは、診断抜きで医薬品を配布するに等しい行為なのです。

二つ目は、障害者団体との連携が全くないことです。日本では、就労保障、生活保障と切り離されたリハビリテーションに対して障害者団体や社会福祉関係者から厳しい批判があります。

僕自身は、1980年から脳性マヒの障害児の養護学校から普通学校への転校実現運動に関わって以来、生活介助などを通して施設を離れて暮らす自立障害者と日常的に接触してきて、いざという時に生活介助をしてくれる人たち、障害児を預かってくれる緊急一時保護施設が最も切望されていることを感じます。

日本では、1970年代以降、施設からの脱出、地域での生活保障を求める障害者自立生活運動が大きく広がってきています。今年、国会で「障害者自立支援法」案が審議された際には、法案に盛り込まれた「定率負担」が障害者自立に逆行するものだと、全国から一万人以上の障害者を中心とする座り込み・泊まり込みも含む抗議行動、要請行動が何度も展開されました。障害者自身の経験、提言を国際協力に活かしていく活動こそが求められているのです。

この日、僕は、国際協力活動の中で障害者支援を考えるためにも、ぜひ、日本の障害者たちの当事者運動(cf. 中西正司・上野千鶴子著『当事者主権』岩波新書ほか)に目を向けて欲しい、と訴えました。

近年、ろう者が青年海外協力隊員としてザンビアのろう学校で手話を教えた経験を公開していること、障害者を対象とした青年海外協力隊員募集が行なわれていることも参考になると思います。



2005年9月21日 jsdsへ投稿

[jsds:11497] 東京大学バリアフリーシンポジウムに参加しました。

斉藤@AJF事務局です。

星加君がパネルでしゃべるというので、締め切り日の13日に申し込んで、シンポジウムに参加しました。

その後の5時までアルコールは出せません、という交流会でお腹いっぱいになってしまったので、簡単な報告です。

参加してよかった、と実感したのは、一昨年に開催された第1回シンポジウムの報告集が資料に入っているのを見た時でした。世銀顧問のジュディ・ヒューマンさんの記念講演もいいですが、パネルに登場した末森明夫さん(ろう者) の「私は『数多くの知人の暖かい援助により無事大学を卒業できた』云々を述べるような真似はしたくはない」という発言要旨がいいです。発言記録を読む と、「バリアフリー化するためには、障害を持つ学生、障害教員を増やすことが必要です」と明言しており、ここを出発点にした議論が必要だ、と改めて感じました。

また、両耳95デシベルの高度難聴者、中條さんの発言をスクリーンで読みながら、いろんなことを思い出してしまいました。中條さんは、前に呼び出されて 「ここにはループはないのか?」と聞いていました。「ない」との回答に、「字幕だけだと反応が遅くなる」と前置きして、話し始めていました。

僕は、補聴器を着けなくともガンバって何度も聞き返したりすれば聞こえた位の難聴ですが、大学のゼミでディスカッションに参加するまで、「聞こえなくてもいいや」とズッと思っていたことを思い出したのです。

交流会の最初に、中條さんに「障害学研究という雑誌があるのを知っているか?」と聞きました。「知らない」とのことだったので、エッセイ「よくある反省」のことを紹介しました。誰か、彼女にコピーあるいはテキスト・データを送ってあげて下さい(長瀬さんが中條さんに「障害学研究」創刊号を贈呈するそうです)。

星加君の発言は、よくまとまった提言で、アファーマティブ・アクションの必要性を訴えた点は、共有すべきだと思います。僕にとっては、むしろ2年前のシンポジウム記録にある、制度として保障されたからそれまで「自制していた」ことも出せるようになった、という部分がインパクトがありました。

彼とは、ビールを飲みながら、「働く」ことと「金を稼ぐ」ことと「納得のいく行動をする」こととの関係をもっと整理する必要があるよね、という話をしました。

以上です。

【付記】紹介した東京大学バリアフリーシンポジウム第1回シンポジウムの報告集を、以下のウェブサイトでダウンロードすることができます。 http://www.adm.u-tokyo.ac.jp/office/ds/sympo.htm



2005年9月20日 jsdsへ投稿

[jsds:11486] 障害学会シンポジウム「障害者運動と障害学の接点」に関連して

斉藤@AJF事務局です。

障害学会第2回研究大会最後に行われた標記シンポジウムが終わった後で、紹介しておくべきだったな、と思い出したことがありました。

今年7月9日、幡ヶ谷のJICA東京で開かれた「南部アフリカ障害者セミナー」の際、南部アフリカ10カ国から来日してJICAの研修を受けていた障害者たちが、「TVで障害者の問題をテーマにしたデモのニュースを見た。日本では、障害者のためにあれだけ大きなデモがあるのか」と感嘆の声を上げていました。 彼ら・彼女らは、7月5日・6日の障害者自立支援法案反対行動のニュースを見たのです。

これまで、しばしば欧米の障害者運動、障害者施策が参照事例として語られてきましたが、途上国における障害者運動、障害者のおかれた状況などについては、余り語られていません。2年前の障害学研究会関東部会で、森さんが「開 発と障害」について「ワールドトレンド」の特集を紹介しながら提起した位だと思います。

先進国日本における障害者運動・障害学が、世界各地での議論や行動に参照されうることを念頭に置きながら、国境を越えた連帯・連携を意識した取り組み、研究を目指す動きが始まって欲しい、と思いました。



2005年9月16日 mdgほかへ投稿

アフリカの人々はエイズ治療薬の値段を決めることができません。

斉藤@AJF事務局です。

皆さん、林達雄さんの書いた岩波ブックレット『エイズとの闘い 世界を変えた人々の声』読みましたか?

この本の中に、アフリカでエイズに苦しむ、エイズと闘っている人々と出会って、私には何ができるだろうか?と林さんに聞かれた、南アの大学教員が、「日本の一億二千万人を変えて欲しい」と答えた、と書かれています。

2000年頃までは、途上国でのエイズ治療は無理、高価なエイズ治療薬で少数のエイズ患者を生き延びさせるよりもHIV感染予防に資金を集中した方が効果的だ、というのが国際協力に携わる人々の「常識」でした(この「常識」を裏付ける研究レポートがハーバード大学から出されています)。

ところが、2001年2月、インドの製薬会社シプラが、エイズ治療薬をそれまでの三十分の一の値段(年間一人当たり350ドル)で国境なき医師団に提供すると発表し、4月に南アの改正薬事法裁判(エイズ治療薬裁判)が原告・製薬会社の提訴取り下げで終わり安価な医薬品の並行輸入や強制特許実施が可能になった辺りから、大きく流れが変わりました。その年11月にドーハで開かれたWTO(世界貿易機関)閣僚級会合で、「知的財産権は、国民の健康を守る取り組みを阻害しない」という内容を含む宣言が発せられ、エイズ治療薬を安く途上国に供給する仕組みが法制度的にも整えられるようになりました(その後、カナダやEUは、エイズ治療薬を生産できない途上国へ安価なジェネリック・エイズ治療薬を提供できるように特許法を改定しています)。

現在では、WHO(世界保健機関)が提唱する「3 BY 5」キャンペーン(2005年までに途上国で300万人へのエイズ治療を開始しようと言うキャンペーン)が、国際的なエイズ対策の基本線になっています。

残念なことに、あと3ヶ月で300万人(途上国でエイズ治療を早急に開始しないと数年内に亡くなる患者さん600万人の半数)への治療開始は無理のようです。それでも、2002年には、最もHIV感染者の多いサハラ砂漠以南アフリカ諸国全体で、エイズ治療(HIVの増殖を防ぐ高レトロウイルス薬治療)を受けている人は、4万人しかいなかったのが、今年6月には50万人に達したと報告されています。

こうしたエイズ治療をめぐる動きから、エイズ治療薬の値段は、生産能力のある先進国・中進国(インド、タイ、ブラジル、中国など)の政府の姿勢、企業の判断で決まる、ということが判ります。

2001年に、南アでの改正薬事法裁判に関わる取り組みと連帯した先進国のエイズ・アクティビストたちが、エイズ治療薬の特許権を持つグラクソスミスクライン、ファイザーといった世界規模の製薬企業の本社を包囲する行動を展開し、「製薬企業は途上国のエイズ患者を見殺しにしている」と訴えたことなどから、先進国で途上国とりわけアフリカのエイズ問題(エイズ危機)への関心が高まったことが、現在の大きな流れ(治療、予防、ケア・サポート、生活保障を含めた包括的なエイズ対策)につながっているのです。

「日本の一億二千万人を変える」ためには、日本で暮らす私達が日本の政府・国際協力機関・企業の姿勢や政策を変えさせることで、途上国の人々の命を救う力を持っていることをきちんと訴えていくことが必要です。

林さんの本は、そのことを明快に書いています。ぜひ読んで下さい。

2001年に何が起きたのか、エイズ治療薬の特許権をめぐる国際的な論争に関心がある方は、立命館大学大学院立岩研究室が発行した資料集「貧しい国々でのエイズ治療実現へのあゆみ」第一部をお読みください。アフリカにおけるエイズ危機の現状とエイズ治療薬の特許権問題に関する簡潔な解説 と、AJFがウェブで公開している資料をまとめたものです。A4版62pで500円です。

こうした世界的な動きを作り出してきたアフリカ各地のHIV陽性者自身の声と活動をまとめた資料集第2部も発刊されました。こちらも500円です。

詳しくは、 http://www.arsvi.com/0b/tateiwa.htmをご覧下さい。

AJF事務局も、林さんの本、上記の2点の資料集を扱っています。

丸幸ビルにいらした際に、2階の事務局にお立ち寄りください。

必要な方には、郵送もします。まず、以下の申込票をAJF事務局宛にメールで送って下さい。折り返し、代金と送料を計算して知らせます。


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資料集『貧しい国々でのエイズ治療実現へのあゆみ」申込票
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【申込内容】
・資料集第1部    冊
・資料集第2部    冊
・岩波ブックレット『エイズとの闘い』   冊
※『エイズとの闘い』は、墨字本での購読が困難な方に電子テキストを提供することも可能です。電子テキストが必要な方は、AJF事務局にメールを下さい。 info@arsvivendi.comajf.gr.jp
【送付先】
・申込者:
・住所:
・連絡方法(メールアドレス、電話など):

申込票送信先
・AJF事務局: info@arsvivendi.comajf.gr.jp

以上よろしく。


2005年8月29日 jsdsへ投稿

[jsds:11378] 臼井さん、失礼しました(Re:遠山報告と質疑)

斉藤@AJF事務局です。

臼井さん、不適切な紹介ですみません。

以前に比べて、聞く努力(要約筆記を読む努力も含め)をしていますが、聞きながらメモをとったりするとダメです。

ということで、 「[jsds:11375] 遠山報告と質疑」は僕があのように質疑を受けとめた、という理解でお願いします。

どうぞよろしく。



2005年8月29日 jsdsへ投稿

[jsds:11375] 遠山報告と質疑

斉藤@AJF事務局です。

一昨日の障害学研究会に参加しました。

午後1時半から4時半までの第1部で、「労働」と「能力」に関するモデル提示 を受けた質疑に参加し、夜7時半からDPI日本会議の金さんをむかえての第2部では、「障害者自立支援法」と「障害者差別撤廃条約」に関する最新情報を聞くことができました。

第1部では、遠山さんの報告を聞きながら、2001年12月の研究会で遠山さんが 発表した際のレジュメや質疑記録も再読しました。障害者の「労働」や「能力」をテーマに論議する場に参加するのは、あの時以来のことだと、改めて思いました。

遠山さんの主張については、この日のレジュメ、「社会政策研究」掲載の論文、そして近々立岩さんのページほかで読むことができるようになる遠山さんの博士論文(レジュメに目次が掲載されています)を読んで、それぞれに検討して下さい。

この日の質疑では、以下が印象に残っています。

また、鶴田さんが質問の形で提起していた、障害者自立支援法案に書かれている「障害者の労働能力に応じた支援」めぐる問題について、さらに詳しい提起が必要だと感じました。遠山さんが提起している「責任モデル」と「障害者の労働能力に応じた支援」はけっこう親和性が高いように感じます。

質疑の中で、臼井さんは、障害者政策研究プロジェクトの中で、北欧の障害者就労政策などを参考に、遠山さんが提起している「責任モデル」に近い論議をしたことを紹介していました。すでになされている研究を概観することも必要だなと感じています。

僕自身は、抽象的に「労働」「能力」を論じること自体に嫌悪を覚えます。それでも、社会政策を論議し立法化しようとする人たちが抽象的な「労働」「能力」を論じている以上、そうした論議を避けて通ることはできないのかな、と感じています。感じているだけでは、具体的に提示されたモデルについて語る際に、適切なことばで論議に参加できないことを改めて思い知らされました。

第2部では、金さんが障害者自立支援法案めぐる動き、国連の検討委員会で討議中の障害者差別撤廃条約案に向けた動きを紹介してくれました。また、金さんは、遠山さんに就労保障に関わる障害者の労働・能力問題について情報提供や解説など協力してくれるように話していました。

宿題がいっぱい、の研究会でした。

この秋、資料集「貧しい国々でのエイズ治療実現へのあゆみ」第二部(可能なら第三部も)刊行記念に、僕も障害学研究会で発表します。資料集の原稿をまとめながら感じたことを話すつもりです。もちろん、アフリカのエイズ問題と国際的なエイズに対する取り組みの現状についても報告します(こちらについては、6月に高崎経済大学で話をした際に使ったパワーポイントのプレゼンがあります。見てみたいという人には送ります。僕あてにメールを下さい)。

日程やタイトルについては、世話人から呼びかけがあります。

どうぞよろしく。



2005年8月2日 ajf-info、jsdsへ投稿

アフリカ諸国におけるろう教育

斉藤@AJF事務局です。


複数のMLに投稿しています。

先週土曜日、標記テーマに関わる発表を2本聞く機会がありました。慶応大学を会場に開かれた第79回アフリカセミナー・特集「コミュニティーの挑戦:ポストコロニアル状況を超えてZ」で、亀井伸孝(関西学院大学 COE専任研究員)さんの「Deaf communities on the move――西・中部アフリカのろう者コミュニティ形成史」および古川優貴(一橋大学大学院/日本学術振興会特別研究員)さんの「挑戦しない『コミュニティ』:『ろう者』を『ろう者』と言えないとき」を聞き、質疑に参加したのです。


亀井さんは、カメルーン・ガボン・ベナンそして米国ギャローディッド大学での調査を踏まえ、1957年、独立直後のガーナ・アクラにろう学校を作り、 1960年にはナイジェリアのイバダンに2校目を設置して以来、西アフリカでの手話によるろう教育に大きな影響を及ぼしてきたアンドリュー・フォスターの活動を紹介しつつ、仏語圏アフリカ諸国にも広がったろう学校のネットワークがろう者のエンパワメントにつながってきたことを明らかにしました。この日は、ろう者の参加者があったこともあり、亀井さん自身は、手話と音声言語を併用して発表し、さらに二人の手話通訳者が交代しながら手話通訳を行っていました。

僕自身は、亀井さんが一昨年来、日本アフリカ学会で行ってきた発表を聞いて、仏語圏アフリカ諸国におけるアメリカ手話、フォスターの活動、各国における独自の手話辞書作成といったトピックに触れていました。この日は、調査時の写真や年表、また、ろう者と社会との関係についての考察についてのプレゼン、途上国における手話言語研究の現状紹介といった盛りだくさんの発表を聞くことができました。

亀井さんは、現在、西アフリカ諸国におけるろう教育史を執筆中とのことです。早く本になってほしい、と期待しています。


古川さんは、西ケニアの都市部にあるろう学校での1年半におよぶ調査を通して得た知見を紹介しつつ、1995年の「ろう文化宣言」を前提とした「ろうコミュニティー」「ろう者」に関する社会調査を行うことへの疑問を提示していました。 この日、古川さんはA4で16pのレポートを用意して発表しました。問題意識の項では、1995年の「ろう文化宣言」の歴史的背景・思想的背景を考察しながら、古川さん自身が聞き取った「障害者としてのアイデンティティを確立しろと言われ」当惑したことに関わる発言をも紹介しつつ、「『ろう者』を選択」している人々の存在を前提とし、そうした人々のみを対象とした調査への疑問を投げかけていました。

古川さんが昨年12月に訪問した生徒宅での体験を紹介しつつ行ったケース・スタディは、非常に興味深いものです。

訪問先には、現在、ろう学校に在籍している(全寮制学校です)少年に加え、同じプライマリろう学校を卒業後セカンダリろう学校に通っているお姉さん、同じくろう学校卒業生であるお兄さんがいました。お姉さんは、弟たちにプライマリろう学校で教わった手話は良くない、セカンダリろう学校で教わっているアメリカ手話を覚えなさいと指導していたのです。また、古川さんが滞在中に、子どもたちのお父さんが亡くなり、お葬式が行われたそうです。お葬式に集まった近所の人たちや親戚たちが、プライマリろう学校に在籍している少年のことを、しゃべれるのに、なぜしゃべらないのだろう、と語っていることを少年に伝えたところ「聞こえる人にとって、手話をずっと目で追っていくのが大変なのと同じように、デフにとって声を出すのは疲れることだと伝えてくれ」と答えたというエピソードは、「不利益が生じた時点で初めて「デフ(deaf[Deaf?])は・・・」という語りが生じる」ことを明確に示していました。

僕は、難聴の程度がひどくなって、いよいよ補聴器を付けることにしました。その際に、障害者手帳を申請するつもりです。不利益が許容限度を超えたので、障害者であることを選んだ方がよい、という状態になっています。しかし、日本においても、こうした状況だからと、障害者であること選ぶ、ろう者であることを選ぶ、こと自体が「当たり前のこと」とは言えない状況があります。ケニアにおけるそういった状況についての判断が語られないまま、「挑戦しない『コミュニティ』:『ろう者』を『ろう者』と言えないとき」とタイトルされた発表がなされたことに、違和感を感じました。


参加した方、感想を聞かせて下さい。

ではまた。



2005年7月25日 ajf-info、viva_hiv_aidsへ投稿

「援助機関と民間企業が協力して、南アでエイズ対策推進を」という提案

斉藤@AJF事務局です。


昨日行われたTCSF白書WGのセミナーに参加しました。

セミナーでは、「貧困・格差と正義・不正義」について、JBICの小林さんが、「アフリカの経済動向」について、JETROの的場さんが報告・提起を行いました。

小林さんは、厚生経済学、Rawlsの「公正としての正義」論そしてアマルティア・センのCapability論を紹介しながら、国際協力における正義という問題の位相について問題提起しました。参加者からは、質問だけでなく問題点の指摘もあり、活発な議論が交わされました。

昨年秋、東大大学院教育系研究科福島智ゼミの立岩真也著「自由の平等」読み合わせに参加して、関連するテーマでの論議に加わったこともあって、僕自身にはきわめて興味深い提起と質疑でした。

また、つい先日参加した「南部アフリカ障害者」セミナーで、障害者自身の国境を越えた「コミュニティー」としての活動に触れたこともあって、正義を実現する主体としてのコミュニティーの重要性についての認識を新たにしました。 「アフリカ経済動向」を解説した的場さんは、最後に、JETROの中で検討している「援助機関と民間企業が協力してエイズ対策を実施」するというアイデアを提起していました。

このアイデアについては、7月7日付の朝日新聞「私の視点」で平野克己さんが以下のように書いています。

 私たちは、アフリカのビジネスリスクを軽減するため、企業の生産現場でのエイズ対策にODAを投入してはどうかと提案している。

的場さんの話はもっと具体的で、南ア・トヨタが従業員対象に取り組んでいるエイズ対策(啓発、カウンセリング、ARV治療など)をODAの資金を使って、従業員の家族や地域にも広げていくことで、企業のCSRを支援するだけでなく、南アの経済成長にとって重大な問題となっているエイズ問題克服の道筋を作っていきたい、というものでした。

牧野さんによると、ドイツ開発公社(GTZ)と南アのダイムラークライスラーは、共同して職場でのエイズ対策を実施しているそうです。



■斉藤さんの近況、リンク等

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日々のすぎる中で 2001年
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日々のすぎる中で
グギとエメチェタのこと
あれこれ
よろしく。

読書ノ−ト です。




昨年、亡くなったスティ−ブン・J・グ−ルドの本を買ってもらいたいと思っています。
紹介文をボチボチ書いていくつもりです。まずは机の側にころがっていた「THE MISMEASURE of MAN」のことを書きました。


by 斉藤 龍一郎




*作成:斉藤 龍一郎/保存用ページ作成:岩ア 弘泰
UP: 20210118 REV:
アフリカ日本協議会(AJF) 斉藤 龍一郎 
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