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last update:20210911

 ※202100907:18099字

■-------- Forwarded Message --------
Subject: Re:よろしくお願いいたします。**。
Date: Tue, 7 Sep 2021 18:47:08 +0900
From: TATEIWA Shinya

**様

拝見しました。なおす必要はありますが論文にする価値はあると思います。
**さん時間ありますか? なければそれを前提にします。
**野さん(なんの権威?もない雑誌ですが)論文にしておく価値はありますか?
ないですか?
あと議事録を調べただけでなくインタビューとかしませんでしたっけ?
したとしたらその記録はありますか?
そういうものがあると論文2つぐらいにできるのではないかと思うのですが。
2つ両方について、第一著者は最初のご提案の通り、**さんです。

立岩


■■医療的ケアに関する看護職と介護職等の役割分担の検討の経緯――「介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」の議事録をとおして

■T.はじめに

 本稿の目的は、2011年4月1日「社会福祉士及び介護福祉士法の一部改正により一定の条件の下において、介護職員等のたん吸引等の医療的ケアの実施が可能になった議事録から、検討会での構成員の意見が法改正にどのような影響を及ぼしたのかを分析・検討することである。
 高齢化の進展に伴い医療的ケアが必要な高齢者が増えてきている。医学・医療技術等の進歩によって、医療機器を装着した在宅・特別養護老人ホーム・特別支援学校での療養生活が容易になった。加えて、医療制度改革に伴う療養病床の削減や在院日数の短縮化によって、医療的ケアが必要な高齢者や障害者(児)が在宅や福祉施設等に移行していった。そのため、医行為(医療的ケア)を必要とする高齢者や障害者(児)を在宅で介護する家族に、医行為(医療的ケア)である「たんの吸引」や「経管栄養」を専門的な知識や技術が乏しいなか、24時間365日過重な負担を強いられている。また、医療職だけで対応し支えるには限界があり、医行為(医療的ケア)を介護職が担わないと生活の維持ができないことが問題となった。
 本来、医行為は医師や看護師しか行えない行為であり法律で定められている。医行為は、医師法第17条「医師でなければ、医業をなしてはならない。」と規定▼して→されて▲いる。医業とは「医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うことである」と▼解釈…?解釈だとすると誰がどこに書いたもの?▲されている。また、看護師は、保健師助産師看護師法第5条「厚生労働大臣の免許を受けて、傷病者若しくはじよく婦に対する療養上の世話又は診療の補助を行うことを業とする者をいう。」。看護師業務の制限では、第31条「看護師でない者は、第5条に規定する行をしてはならない。」医療行為の禁止として第37条「保健師、助産師、看護師、准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があった場合を除くほか、医療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をしその他医師または歯科医師が行うのではなければ衛生上危害を生じるおそれのある行為をしてはならない。だたし、臨時応急の手当をし、又は助産師がへその緒を切り、浣腸を施しその他助産師の業務を当然に付随する行為をする場合は、この限りではない」と法律で定められている。
 しかし、現場では介護▼職員…△▲が▼違法であることを知りながらも止むを得ず行っていた…△▲。これは、利用者だけでなく、介護職員にとっても非常に大きな不安であった。その中で、運用による対応(実質的違法性阻却)について、法律において位置付けるべきではないか、グループホーム・有料老人ホームや障害者施設等に対応できてないのではないか、在宅でもホームヘルパー業務として位置付けるべきではないか等の課題が指摘されてきた。

■U.これまでの経緯

 1. 1999年9月24日「要援護高齢者対策に関する行政監察結果−保健・福祉対策を中心として−」旧総務庁の行政監察局は、介護保険制度の施行を控えて、ホームヘルパー業務の見直しを行った。そのなかで、介護等サービス業務の充実及び効率化を図る観点から、居宅において身体介護とともに療養・治療等に必要な処置が適時、的確に行われることが重要となってくると明記してある。しかしながら、ホームヘルパー業務には、医療行為は含まれないことと記載している。結びとして、介護等サービス業務の充実及び効率化を図る観点から、身体介護に伴って必要となる行為をできる限り幅広くホームヘルパーが取り扱えるよう、その業務を見直し、具体的に示す必要があると改善を勧告している。
 2. 2002年11月12 日、日本ALS協会32支部の17万8千人分の署名を当時の坂口厚生労働大臣に提出した。署名の要望は「ALS等の吸引を必要とする患者に、医師の指導を受けたヘルパー等介護者が日常生活の場で吸引を行うことを認めてください」という内容であった。この要望に対して「少なくとも来年の桜の咲くころ迄には決着をつけたい」と回答し、国会審議のなかでもとりあげられた。すでに開催していた「新たな看護の在り方に関する検討会」に2003年2月「看護師等によるALS 患者の在宅療養支援に関する分科会」を設置し検討を始めた。たんの吸引について議論が行われ同年6月9日に報告書がまとめられた。そのなかで、家族以外の者によるたんの吸引について、危険性を考慮すれば、医師又は看護職員が行うことが原則であると報告されている。加えて、家族以外の者によるたんの吸引の実施についても、一定の条件の下では、部分的な吸引を当面の措置として行うこともやむを得ないものと考えられるとの結論に至った。
 3. 2003年7月17日付医政発第0717001号厚生労働省医政局長通知「ALS(筋萎縮性側索硬化症)患者の在宅療養の支援について」が通知された。その内容は、頻繁に行う必要があるたんの吸引のすべてを訪問看護で対応していくことは現状では困難であり、24時間休みのない家族の負担軽減をすることが緊急に求められていた。このことから、一定の条件の下では、当面やむを得ない措置として許容された。その条件の1つに家族以外の者に対してたんの吸引の依頼と文書による同意、医師及び訪問看護職員が教育を行うこと、たんの吸引の範囲が明らかにされている。
 4. 2004年10月20日付け医政発第1020008号厚生労働省医政局長通知「盲・聾・養護学校におけるたんの吸引等の取扱いについて(協力依頼)」 が通知された。医療のニーズが高い児童生徒等の割合が高まっているが、医療行為のすべてを担当できるだけの看護師の配置を短期間に確保することは困難である。しかし、教育の権利や安全かつ適切な医療・看護を受ける権利を保障する体制整備を図る措置を講じていくことは医療的ケアが必要な幼児、児童および生徒の介護職が実施可能となった。
 5. 2005年3月24日付け医政発第0324006号厚生労働省医政 局長通知「在宅におけるALS以外の療養患者・障害者に対するたんの吸引の取扱いについて」が出され、一定の条件下で介護職が実施可能となった。
 6. 2009年2月厚生労働省「特別養護老人ホームにおける看護職と介護職の連携によるケアの在り方に関する検討会」開催され「特別養護老人ホームにおけるたんの吸引等の取扱いについて」(平成22年4月1日付け医政発0401第17号厚生労働省医政局長通知)が通知されている。この年、政権が民主党になった。
 7. 2010年3月19日チーム医療の推進について(チーム医療の推進に関する検討会報告書)から看護師以外の医療スタッフ等の役割の拡大から介護職員は、地域における医療・介護等の連携に基づくケアの提供(地域包括ケア)を実現し、看護師の負担軽減を図るとともに、患者・家族のサービス向上を推進する観点から、介護職員と看護職員の役割分担と連携をより一層進めていく必要性を明記している。こうしたことから、介護職員による一定の医行為(たんの吸引や経管栄養)の具体的な実施方策について、早急に検討すべきであると報告している。
 8. 2010年6月18日「新成長戦略」が閣議決定された。当時の総理大臣である菅総理大臣は「不安の解消、生涯を楽しむための医療・介護サービスの基盤強化」として、「医療・介護 従事者の役割分担を見直す」ことを提言している。「規制・制度改革に係る対処方針」(平成22年6月18日閣議決定)において「医行為の範囲の明確化(介護職による痰の吸引、胃ろう処置の解禁等)」には、「医療安全が確保されるような一定の条件下で特別養護老 人ホームの介護職員に実施が許容された医行為を、広く介護施設等において、一定の知識・技術を修得した介護職員に解禁する方向で検討する。また、介護職員が実施可能な行為の拡大についても併せて検討する」と明記された。
 9. 2010年6月29日「障害者制度改革の推進のための基本的な方向について」閣議決定された。そのなかで個別分野における基本的方向と今後の進め方の項目として、「たん吸引や経管栄養等の日常における医療的ケアを介助者等による実施ができるようにする方向で検討し、平成22年度内にその結論を得る。」と記載されている。
 これを受けて、「介護職員等によるたん吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会」(以下、検討会と記す。)設置した。この法改正に先行して厚生労働省は、第1回検討会を2010年7月22日に開催した。

■V.介護職員等によるたんの吸引等の実施のための制度の在り方に関する検討会の概要

 この検討会の趣旨は、厚生労働省の開催要綱のなかで「これまで、当面のやむを得ず必要な措置(実質的違法性阻却)として、在宅・特別養護老人ホーム・特別支援学校に、介護職員等がたんの吸引・経管栄養の一定行為を運用によって認めてきた。しかし、運用による対応は、法律に位置づけるべきではないか、グループホーム・有料老人ホームや障害者施設等においては対応できていないのではないか、在宅でもホームヘルパーの業務として位置づけるべきではないか等の課題が指摘されている。こうしたことから、たんの吸引等が必要な者に対して、必要なケアをより安全に提供するため、介護職員等によるたんの吸引等の実施のための法制度の在り方等について、検討を行う。」と明記されている。
 検討会の特徴として、これまでの経緯でも述べているが国の方針を受けて開催期間が1年間に9回という短期間であったことである。2010年7月5日の第1回検討会が発足し冒頭で、長妻厚生労働大臣が出席し挨拶のなかで、在宅でのたんの吸引あるいは胃ろうなどに関する対応や難病、障害者に対するたんの吸引等は、法律において位置づけるテーマである。また、なかなか前に進まなかったが、政権交代を契機に一つひとつ取組んでいき、ここでの議論の結果を来年提出する法律の中に盛り込んでいきたいと抱負を述べていた。加えて山井厚生労働大臣政務官は、第1回2010年7月5日〜第3回2010年7月29日の検討会の冒頭での挨拶の中で、「たんの吸引等を一定の研修を受けた介護職員の方ができることで、安全を最優先しながら、自己決定が尊重でき、家族が共倒れせずに一緒に暮らせることが可能になる。この検討会は歴史的、伝統的なテーマを安全で確実なスピード感をもって、来年、法改正をしたい」と具体的に述べていた。同年9月26日菅総理大臣から法整備の検討を早急に進めること併せて、介護職員が「医療的ケア」を適切に実施することができるよう、レベルアップ研修事業を本年度中に前倒しで実施することが指示された。10月には、施行事業が開始された。その後、長時間の議論の末、同年12月13日第6回中間まとめ(案)として検討会に審議され、中間報告まとめとして発表された。
 介護保険制度の改正に向けた議論が社会保障審議会介護保険部会で行われ、2010年11月30日に「介護保険制度の見直し関する意見」が取りまとめられている。ここにはたんの吸引等を介護福祉士や一定の研修を修了した介護職員等が行えるよう法整備を行うべきであることが明記されている。
 当初から、法改正を見据えての厚生労働省主導の検討会であり短期集中型で開催された。本稿においては、第1回2010年7月24日〜第9回2011年7月22日1年間に9回開催した検討会の議論であるたんの吸引等が必要な者に対して、必要なケアをより安全に提供するために、療養者とその家族、介護職員等の双方にとって安心でき、介護職員等によるたんの吸引等の実施のための法制度や教育・研修の在り方などを踏まえて、法改正になった経緯を検証する。分析対象となる資料は、全議事録第1回から第9回とその会議資料とする。

V-1. 検討会の構成員
 検討会の委員18名で構成された。その人選は、ケアを提供する側とケアを受ける側、医師、ケアを受ける側から在宅で生活している当事者であるALSの代表者、法律関係の学識者など多くの関係分野から選定されていた。また、関係団体の代表者10名であった。
 ▼メンバーをもっと詳しく解説▲岩城節子:社会福祉法人全国重症心身障害児(者)守る会評議員、因利恵:日本ホームヘルパー協会会長、内田千恵子:日本介護福祉士会副会長、白江浩:全国身体障害者施設協議会副会長、川崎千鶴子:特別養護老人ホームみずべの苑施設長、河原四良:UIゼンセン同盟日本介護クラフトユニオン会長、中尾辰代:全国ホームヘルパー協議会会長、川村佐和子:聖隷クリストファー大学教授・看護師、黒岩祐司:ジャーナリスト・国際医療福祉大学大学院教授、齋藤訓子:日本看護協会常任理事:看護師、島崎謙治:政策研究大学院大学教授、太田秀樹:医療法人アスムス理事長・医師、大島伸一:独立行政法人国立長寿医療研究センター総長・医師(座長)、橋本操:NPO法人さくら会理事長・日本ALS協会副会長。検討会の事務局(庶務)として、医政局、社会・援護局、障害保健福祉部の協力の下、老健局が行った。文部科学省から特別支援教育課長も参加されるなど複数の担当局に関わる内容であることから多くの出席があった。

■W.第1回から第9回までの主な議論
 第1回から第2回までは、現状報告と問題点を出し合っていた。
 第3回と第4回では、厚生労働省から試行事業(案)について説明があり、質疑応答と内容の検証をした。介護職間でも研修に対する齟齬があった。同時に試行事業のアドバイザーの委員会も立ち上げ検討会のメンバーの中から選出された。
 第5回検討会では、大きな動きとして平成22年3月より、厚生労働政務官の指示のもとに設置された介護人材の養成の在り方についても、大きな影響を与えるきっかけとなった。その中で、たんの吸引や経管栄養は、介護福祉士の業務とした上で、養成カリキュラムの中にたんの吸引や経管栄養も含めるべきと報告であった。開催期間中の平成22年9月26日に「総理指示『介護・看護人材の確保と活用について』」厚生労働省に指示があり、介護人材の活用のため、在宅、介護保険施設、学校等において、介護福祉士等の介護職員が、たんの吸引や経管栄養等日常の「医療的ケア」を実施できるよう、法整備の検討を早急に進めること。併せて、介護職員が「医療的ケア」を適切に実施することができるよう、レベルアップ研修事業を本年度中に前倒しで実施する指示を受けた。このように、スピードが求められていた。
  第6回検討会では、「介護職員等よるたんの吸引等の実施のための制度の在り方について」中間まとめ(案)について議論された。座長は「この問題は総理までもが表に向けてはっきりと言明しているため、非常に緊急性の高い問題であり、今までの相当な議論が行ったと理解をしている。予定どおり今回で中間まとめの結論を出したい。」という強い思いの検討会であった。議論はあったが、承認された。
 第7回検討会では、試行事業実施している経過報告を受けての議論であった。座長「議論は今の状況から後戻りはしない前へ行く。」「介護職に広げていく、これは閣議決定や首相の発言等からも明らかであり、規制緩和の方向で、必要な人が必要な、医療的ケアを受ける機会を増やす。」ことで進めまとめた。
  第8回検討会では、3月11日に閣議決定され、4月に法案が国会に上程されて、もう衆参両院で通ってしまった。ここで制度の在り方が十分に議論されないまま法律が成立してしまっているが、省令政令を定め、中身を決めていくことはこれからであるため手続論はこれからである。しかし、座長をはじめ委員には、何の連絡をもなく気が付いたら法律ができていたことについては、厚生労働省からのお詫びがあった。介護側と受ける側からは「中間まとめが活かされた法案で大きな一歩前進となった。」これに対して看護側からは特に発言はなかった。
  第9回検討会では、今回の会で最終的に決着をつけたいというのが厚労省側、政府、座長の強い意思であった。安全確保措置の基準、介護職員と看護職員との連携体制は、施設、在宅と、分けてきめ細かく省令通知および下のレベルのいろいろな様式で示していきたいと答申を得て終了した。

W-1 介護職員がたんの吸引、経管栄養等の行為を行うか否かの議論
 第1回の検討会では、ケアを提供している介護職から、人手不足も含めて現場では、積極的に取り組みたいが不安であるという声が多いということの厳しい現状報告があった。他方、多くの利用者さんや御家族の方の要望のニーズが高く手に取るようによくわかることから、やむを得ずやらざるを得なかったこと、しかも現場の実態では、医師や看護師からの要請もあることの発言もあった。そのうえ、家族が24時間対応で介護を行っているため負担が大きいことを目のあたりにしており、十分認識しているが非常に大きな不安があると述べている。また、介護職員が実施しなければいけないというのは、理解していることや認められることは賛成であった。同様に、同じケアを提供している側である介護事業者や施設からは、家族ができるのだからヘルパーさんも研修を受けてしてもらえたら非常に助かるという声が強いことや介護福祉士がコアになることからも、介護職員ができるということについては賛成であると述べている。
 橋本(代理)は、「重度訪問介護のヘルパーを御存じでしょうか。自立支援法の20時間で取れるヘルパーの資格で、20時間のうちの10時間が基礎研修、追加研修10時間で、追加研修の方が医療的ケアの研修になっている。座学が7時間、実習が3時間と、10時間で重度訪問介護の資格が取れる。」(第2回検討会)
 医師会代表の医師は、医行為から外し介護職の方にやってもらえる状況をつくることは、今の環境の中では必要であることや、第6回検討会では介護福祉士の業務が拡大については、別に反対しているわけではないと述べていることから理解を示していると考えられる。また、第3回の検討会では、口腔内と器官カニューレ内等は、医行為ではないと述べている。
 一方、看護側から表立ってたんの吸引については、反対という発言ではなくあくまでも安全性の担保をどのようにするのかという表現を使っていた。第1回目の検討会では、日本看護協会代表の斎藤は、「確かにこれからの超高齢化と、高齢化に伴って重症化していくということを考えれば、原則としては医師もしくは看護師がそこにいてやるということは当然であるものの、介護職のかたがやらざるを得ない状況もあるのだろうなというのは見えてまいります。しかし安全性の観点からそこをどういうふうに担保していくのかということを十分に考えなければいけないということと、かなり指導したとしても、それぞれの教育背景等々によって技術の習得にかなり差があるという状況も見えてまいります。さらに、なかなかそういう危ない状況がきちんと報告されないといったようなところでは、非常にこれは慎重な議論を要するのではないかと考えています。」と述べている。
 それに対して、太田は、「吸引は安全でないと強調されているように受けとめるんですが、三上委員が言われたように、たんの吸引に限って言えば、そんなにリスクの高い行為ではない。ただ、リスクという言葉を漠然と使っていますが、では実際に何が起こるのかをもう少し医者の立場で明確にしたいと思います。(中略)窒息して命に関わるというような話ではありません。吸引がリスクの高い行為ではないということを具体的に申し上げておきたいと思います。」と具体的に説明があった。それ以降、看護側からの発言はなかった。
 第2回目の検討会に川村は、安全な医療提供のための訪問看護と介護の連携の実際について説明した。その中で、介護職の研修のみでは賄い切れないことや看護と介護の連携において、よい関係のなかで安全で質の高いサービス提供できる仕組みが、急務であると述べている。加えて、齋藤も訪問看護等の充実を図ることの必要性の理解を求めていた。
 橋本は、ヘルパーが安心して在宅でたんの吸引や経管栄養がやれるためには、訪問看護の常時のアドバイスと指導が必要であると述べている。また、座長は、医療行為でないと決めてしまうと誰でもいいのかということから、行うのは介護福祉士、ヘルパーで限定され、既に行われていることを縮小することはあり得ないと締めくくった。
 第3回の検討会からは、介護職員が安心して行うことのできるような研修体制として「介護職員等によるたんの吸引等の試行事業(案)」の議題に移った。介護職員が行う前提の議論となっている。中尾は、一定期間の従事経験のある介護福祉士等が必要な研修を受けることで実施することが重要であり(第3回検討会)また、医師や看護師と連携があれば十分な研修等で、バックアップ体制があればやれる(第4回検討会)と述べている。
 第6回検討会で太田は、在宅で障害やさまざまな疾患とともに、暮らしている人たちの視点から見れば、家族がやっているレベルのことを、介護職等に委ねてもよいのではないか。素人の家族がやっている程度のことを何とかやってもらわないと現場が回らないと認識していた。また、内田は、生活の場でたんの吸引や経管栄養が必要である場合、生活に視点を置いて介護福祉士がたんの吸引をすることは、それなりの意義がありたんの吸引等をするからといって、介護福祉士が医療職ということで位置づけられることはあり得ないと述べている。
 このことからも委員からの意見もなく介護職員が行うことに対して承知した形となった。

W-2新たな資格問題の議論
 新たな資格を作りことに対しては、おおむねつくらないという方向であった。
 第1回の検討会で橋本は、先に資格ありきだと当事者の個別性が無視され危険な状況の恐れがあり、資格を義務付けないでほしいことを述べている。加えて、ヘルパーも常時不足しているため実情を踏まえた、重度障害者の日常生活の介助の合間に吸引などの介護も行うヘルパーの増員や定着を抑制するような、資格要件の設置や長期間の研修、書類の作成などを義務付けないほしいと要望している。第2回の検討会でも資格を定めればできるではなく、むしろ医療的な行為として、きちんと医療職の指導を現場で受けられる体制を整え現場で学ぶことが大事と強く反対を述べている。
 内田は、研修を受けたことが資格みたいにするのは疑問であることや、資格にはなるが何時間か何十時間かの研修を修了した者を認定するのは、容易であるが、新たな別な資格が介護職の中に出てくるのは、よりこの制度が複雑になってくると述べた。
 第3回検討で三上は、資格を持っていない人と持っている人が混在すると介護現場の中で混乱し、より複雑になるため賛成できないと述べている。また中尾は、在宅の現状において資格を求めているヘルパーは少数意見であることや、研修の実施を求めていると述べているが、これ以上の意見はなかった。白江は、資格制度について必要はない、資格制度の設計に時間が要する。安全性と安心して実行できる体制を取るために先に資格があるのはいかがなものかと述べている。岩城は、資格云々ではないと述べている。内田は、別資格があるとより複雑になってしまうため賛成できないと、新たな資格について反対であった。座長は、資格は大変な議論になるが新たな資格をつくるべきではないとまとめると、これ上の議論はなかったことから資格よりも、安全・安心を確保するために研修教育体制をつくる必要があると締めくくった。

W-3.研修制度の在り方の議論
 W-3-1 研修時間50時間について
 厚生労働省の依頼により検討会が始まり第1回は7月5日、第3回は7月29日にというように、毎週のように開催された。短いサイクルで開催された第3回の検討会でありながらも、その冒頭には厚生労働省から「試行事業案」が提示され募集の仕方、研修カリキュラム案は、准看護師のカリキュラムを参考に作成した研修内容を具体的に説明があった。その基本的内容は、具体的な実施でテキストの作成、評価基準の設定、あるいは実地研修の実施方法等、極めて詳細で技術的な事項であった。また、厚生労働省から「この事業の実施に当たりましては、老健局あるいは障害保健福祉部の予算を活用いたしまして調査研究事業、あるいは基本研修及び実地研修につきましては研修の委託費等を活用して費用負担を行わせていきたい。」といった説明があった。同時に、試行事業のアドバイザーの委員会も立ち上げ当検討会から大島座長、内田委員、太田委員、川崎委員、川村委員に依頼し、第4回検討会では橋本委員の希望もあり参加となり、各委員から異論はなく全員一致了承された。
 第3回検討会では、試行事業(案)の説明を行った。特に議論となったのは時間数、実施場所であった。研修時間50時間については、同じ介護側間でも特に研修に出す側からの意見が下記のように分かれた。
 白江は「研修制度だけに高いハードルを設けて実施体制がおろそかになるのは、問題がある。試行事業は、ハードルは余りにも高過ぎる、賛成しかねる。」橋本は「さくら会関係の28団体に昨日聞きましたら、今は20時間の中でやっておりますけれども、これ以上の研修義務を課されたらどこもできない、ALSに派遣するのは辞めるというふうに言われました。」因は「50時間が多いとか少ないとかというお話が出ておりますが、現場はすごく不安感を持っています。これは1回目からずっと言い続けているが、この50時間でも安心感が持てれば大変いいし、50時間でも足りるのかなと思うぐらいの気持ちを持っています。」内田は「介護職で安全にやれるというような安心感を得るためには、一定程度の研修は当然必要です。」とそれぞれ発言があった。
 第4回検討会では、橋本(代理)「シンプルに具体的に言えば、重度訪問介護研修事業は20時間の研修事業で吸引だけは、きちんと教えて実施できるようにしている。20時間の重度訪問研修の中で十分にやってきた。大変少ないように感じられるかもしれないが、在宅現場では精一杯である。それ以上の時間の研修は、施設に戻れと言われているように私たちには聞こえる。この枠組みの中で今まで7年間やってきた実績を認めて、継続して、その中で安全である自信がある中で、それを是非検証させていただきたい。」
 中尾「法整備の難しい部分もやはり付いては来るが、資格を求めているわけではない。研修体制の下にやることは安全で安心できる。50時間がいいのかどうかという点では、今は人員不足であり現時点の条件も考えると、難しい現状ではある。」川崎は、「今回の問題の中で一般の高齢者に訪問をする介護の職員、常時医療の看護師、医師との話等ができない状況にあるとすれば、前提となる研修が非常に十分な時間がかかるのではないか。50時間の検証できておりませんが、施設でやった結果から14時間の研修と、3か月一緒にやるが、2か月は非常に不十分であった。」三室は「教員の場合は食べさせる、飲み込むとか、医療的ケア以外の研修もかなり行っていて、実質的には医療的ケアに関する講座は、3時間かける4時間の12時間で研修を行い、学校でも研修を行い、20時間弱の研修を行っている。」桝田は「50時間が多い、少ないという問題と今、違法性の阻却でやっている、例えば研修が特別養護老人ホームの場合は14時間ですね。でも、14時間というのは限定した行為をするから14時間でOKですよと。不特定多数云々になってくると、基礎的な知識も増やし50時間となっている。2方向と議論しなかったら、今までやっていたことができなくなるという、そこが一番皆さんの心配されているところである。」
 橋本(代理)は、「橋本は50時間どころではなく100時間以上の研修が必要で、個別性があるからといって短時間で済むと勘違いされては困る。50時間でもし研修する場合、例えば座学は短くていい、知識だけでは介護ができない。研修の場所を個人の自分のベッドサイドでやってほしい。」と述べている。内田は、「一定の時間の研修は絶対に必要である。確かに50時間なのかどうかと言われると、私はよくはわかりません。少なくとも特養のときの14時間は短めだったとの話聞いていた。そばに医療職がいるにもかかわらず、短めだったと感じているのは、少し考えた方がいい。」と述べている。
 だが、それ以外の委員からは、50時間の研修時間が長いか短いかは、まず試行してみて、十分なのか不十分なのか判断しないと時間の妥当性については結論が出ないということで、議論は終わった。

 W-3-2 研修場所について
 第3回検討会では、厚生労働省は試行事業(案)の説明のなかで、実務研修は、医療機関での実習は、介護職からは医療機関での研修をしたいと強い希望があった。
 中尾「私たちがやるのであれば、専門的なことをだれがやるべきかで、救急救命士が病院で研修したように、私たちも医療の現場でやりたい。それを望みたい。これは私個人の意見ですが医療という現場が見えてくるので研修を受ければ、利用者さんもある程度安心なさるのではないかと思います。」(第2回検討会)「実技の研修も、最初は医療機関の場で実施することを基本としたい、そこだけは主張していきたい。そのことがあって初めて在宅で個々に研修をしていただきたい。そうじゃないと、私たちの不安というのは取り除けない状況にあるのではないかということをお願いしたい。」(第3回検討会)
 桝田は、第3回検討会で「医療施設の場合、とりあえずある意味で養成するために一番いい環境というのは確かなんです。」かつ第5回検討会では「医療機関では認めないと、少し変ではないかと思うんです。一番安全な場所で介護職員が行うということが、最終的には医師もおり、看護職員も、我々がそこでできないという部分が反対ではないかと。(中略)実際に医療機関で、ドクターが、この方は介護職員でもオーケーですよというのが常時判断できる状態でおられるのに、全くさせないと。今回の趣旨というのは、介護職員で一定の研修を受けて、実施可能になった者に認めていくという部分で、場所の制限をここでつくるのはいかがなものかと少し思います。」と述べている。
 しかし、看護側は第2回検討会で齋藤は「入院基本料を届け出ている障害者施設、あるいは医療機関に指定されているところについては、当然看護職員配置によって対応すべきでございます。そのため、介護職員には認められるべきではないと考えます。それは当然老人保健施設にも言えることではないかと思っております。常勤医師が配置され、日常生活のサービスとともに医療サービスの提供を標榜する施設でありますので、吸引や経管栄養等については医師もしくは看護職員が実施すべきであろうと考えております。」と強く反対していた。さらに、第3回検討会でも斎藤は「私は、医療施設での実施には反対をいたします。今の療養病床は、急性期の在院日数の短縮に伴い非常に患者さんの状態が非常に重度化しています。(中略)在宅では限られた資源の中、そして患者さんが暮らしている環境の中でそれぞれ判断が求められると思います。そのため、医療施設は実施する範囲としても、実地研修の場所としても適切ではないと考えております。」と断固反対であると述べている。
 三上は「基本的に、研修は医療機関でする方が安全です。看護師や医師がいるところで介護福祉士なり、介護職員が研修をするのが一番本来は安全なはずです。連携を十分取れるのも、そういう医療施設の方がそばに看護職なり医療職がいるから安全で、こちらはだめでほとんどいないところの方が大丈夫なんだという話の方が矛盾しているというふうに私は思います。」(第3回検討会)
 第5回検討会で斎藤は「医療機関になぜいるかというと、それは治療をしているわけであって、当然、状態が常にずっと安定的に固定されている状況ではありませんので、患者さんの状態が違うということで、医療機関ではやはり認めるべきではない」について断言した。
 介護側からは、河原「斎藤委員が、医療機関でのたんの吸引等について認めないこととすると言い切られると、私たちの頑張っている介護職員の出る幕ではない、拒絶されているような、そんな気持ちのいい表現ではないので、「積極的には認めないこととする」とかという表現にしていただいた方が、私はすっきりする。」内田「こんな言い方をするとあれですが、介護福祉士等が看護職員の代替要員といったようなことになっていくとかというようなことになるのは、それは全く望んでいない」と述べている。看護側と介護側の意見が議論になった。
 第7回検討会に川村「現在の、看護の教育の実際から、非常にクリティカルな患者さんしか入院していない状況の中で、看護学生も技術を直接患者さんの協力で訓練をさせていただくことが非常に難しい現状を考えていただきたい」と述べた後、座長から「議論は今の状況から後戻りはしない。これはよろしいですね。これだけはまず確認をしておきたいと思います。何のためにこの会を開いているのか全くわかりませんので、とにかく前へ行く。」の一言で終結し、医療機関から除外することとなった。くわえて、第3回検討会で川村は「是非、訪問看護ステーション、訪問看護事業所も研修を実施できる場所の中に入れていただきたいと思っております。なるべく幅広い方々のサービスに貢献したいと思っております。」と追加の発言があり、対象施設となった。

W-3-4研修の複雑化
 検討会当初から、実施の対象者について介護側やケアを受ける側から、個別研修の希望が多くあった。特に、 第3回検討会で厚生労働省から研修カリキュラムが試行事業案として提案された背景は、准看護師の教育課程を参考に作成したことの説明があった。太田は「目の前の対象者1人、特定のケアの対象者に対して行う場合と、不特定多数のケアの対象者に行う場合で、研修時間が異なるということには合理性があると私は思います。」との述べ
 桝田は「一般的な研修の場合は、いろいろな対象者の方を想定して教えていくという部分と、多分ALSの方も同じだと思いますが、1人の方に対して細かな部分をちゃんと教わって対応していくというのと、汎用的な部分とは変わってきますので、研修時間もおのずから変えてもいいと思うんです。」と続けた。因は「基本研修を受けた後にここに書かれている実地研修というのは、実際に指導訪問看護師さんが付いて、その家でその方のやり方を指導するということでしょうから、それが私はいいんじゃないかと言ったんです。」と述べている。
 第4回検討会では、厚生労働省から「特定の者を対象とする場合は、不特定多数の者を対象とする場合と区別して取り扱う。教育・研修のところに更に入念的に記載をしている」などの説明があった。三室は「私の方は特別支援学校という立場で、不特定多数の者を対象とする場合の研修と、特定の者を対象とする場合には特別に取扱うものとするという提案をいただいていることについて、それを支持する立場」因は「確かに1人の利用者さんに対しては10時間でもできるかもしれませんが、いろいろ状態の違う利用者さんがおられますので、そこに職業として関わる以上は、ある程度のことはしていくべきかと思います。」橋本「研修の場所をできるだけ個人の自分のベッドサイドでやってほしい」川村は「先ほどから橋本さんが在宅でたんの吸引の行為をする方々には、在宅で覚えてほしいという御発言をされています。それはもっともだと思います。」と援護した。座長は「基本的に試行に移る、全体枠としては厚労省の提案、(中略)修正案の代替を行っていくという方向で考えていく。」と述べ、細かいことについては、アドバイザーの委員会で詳細については検討していくという形で進めるとまとめ異論はなかった。
 
■X考察
 検討会に至るまでに、これまでの経緯で述べたように長年の要望があった。医行為であるたんの吸引、経管栄養を医療職以外の介護職が担うという歴史的なテーマを1年で法改正となった。このことは、ケアを受ける側にとって、住み慣れた地域でその人らしい暮らしが継続できるようになる大きな変革だったと言える。検討会の開催までには10年余りの歳月を要した。これはケアを提供する側としては、医師は医師法に、看護師は保健師助産師看護師法にこだわり続け平行線を辿っていたことによる。しかしこの検討会で、介護職は、業務拡大につながることは、現状不安であるが、研修体制を制度化することで連携も密になるとの思いで受け入れたと考えられる。加えて、介護職が今まで違法であると思いつつボランティア活動として行っていたが、今回法律上認められることもその理由にあると考えられる。最後まで医師会としては、医行為から外すのであれば了解できるが、外さないのであれば新しい資格を作ることを望んでいた。しかし、これ以上時間を要するのであればケアを受ける当事者たちと家族は、待てないことも切実であった。座長からも再三述べていたが、議論が空中戦の恐れもあることからもこの検討会の目的である「年内にとにかくきちんと結論を出して、具体的に必要とされている方のところに必要なものを届けていく」と確認しながら突き進んだといえる。今回、厚生労働省主導の短期間の検討会であり、7月の1か月の間に毎週のように検討会が開催され1か月後には、施行事業提案や、管総理大臣自らの指示で法改正への加速が増し、とにかく早急に結論を出さなければいけない緊急性が求められていたことが背景からわかった。他方、医療行為であるたんの吸引、経管栄養を医療職以外にヘルパーや介護福祉士が担うことに対しては、「医療職と介護職の連携」「業務拡大」「役割分担」「規制緩和」という流れも加速する要因になったと予測される。
 医師会がこだわったのは、リスクの少ない医行為であるたんの吸引、経管栄養は、医行為から外せば介護職員が業としてやれる。業としてやるならば研修をしたほうがよいのか医行為から外さないのであれば研修だけではなく、新たな資格を作るべきであると述べている。しかし、医師会以外の委員からは、医行為から外されると医療職が関わらないのは、不安であると強く述べていたことや委員全体からは、新たな資格を作りことで、かなりの時間が要するためということで作らない流れになった。あらたな資格を作るのではなく、研修の充実を図ることに重点を置き10月から試行事業開始に向けて検討会の委員からアドバイザーという形で新たにメンバー編成し進めたことは、具体案作成においては多くの現場の声も取り入れられたこと、検討委員会の中から選ばれたことは意義があったと思われる。研修のプログラムについては、准看護師教育を参考に作成したことには、特に異議はなかった。全体枠として厚労省の提案で進んだ。研修時間については、介護福祉士の立場から50時間が長すぎるのは、人手不足も鑑みて反対であると意見を述べるも、実施してみないと判断できないとの意見と座長の後戻りはしないという決意の発言で、押し切られ時間に追われていることや焦りがうかがえた。
 研修場所については、医療職がいる医療機関の強い希望がケアを提供している側からあった。反論したのは看護側であり、医療機関は重症の患者が多く状態も安定していないなど課題が多く、また看護学生さえ技術提供ができない現実を述べられたことでそれ以上の異論はなかったが、看護側からの強い意見によってこれ以上の議論にならなかったのかと予測される。喀痰吸引等研修には、他の研修と違い3種類となり、個別重視の研修であった。当事者とケアを提供する施設からの意見が反映されたという結果である。そこには、安全をいかに担保しながら医行為であるたんの吸引、経管栄養を行うかを研修の充実を基本に特定、不特定の場合についての研修となった。そのことから医療職と介護職の役割分担と連携について課題が指摘されている。
 連携は、顔の見える関係つくりから始めることが求められるが、時間的な制限もあるなか、十分な討議とされなかったことからもあった。
 野村は、高齢者ケアを担う職種である介護福祉士と看護師の資格制度が、業務を拡大する方向で相次いで改正されたことについて、「ケア関連職種が業務拡大し、社会のニーズに合致した職種へと変革し、現場(受益者)のニーズから政策立案につなげる動きが、今後特に重要▼に▲なる」と述べている。今後、少子高齢化が進む中、在宅で自分らしく生活するために医療と福祉がより密に連携し、業務拡大と役割分担をより明確にすることが課題である。
 
■Yまとめ
 法改正を1年以内に実現するために、検討会立ち上げまでの段取りも手際よかった。検討会立ち上げて1ヶ月で検討会の委員の中からアドバイザー委員会の立ち上げ、試行事業の提案そして、追い打ちをかけるように総理自らの指示でより拍車がかかり年内の12月半ばには中間発表となった。また、座長の強いリーダーシップも大きく、検討会の目的をその都度確認しながら、代表団体からの委員の激論には時には「もうこれ以上後戻りしない」など許されない状況もより加速に導いた。また、中間報告の後の議論は十分でなく国会に提案されて通った法改正であった。▼しかしながら、ケアを提供する側やケアを受ける側にとっては、ほぼ納得ができるものであった。…?△▲
 本稿において、法改正後の現場への波及、およびその効果や影響について探究し、明らかにする。

■参考文献
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UP:20210907 REV:20210911
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