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(社)全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
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2000年12月27日
各協会 御中
               (社)全日本難聴者・中途失聴者団体連合会
                           理事長 高岡 正

リアルタイム字幕配信事業者の指定について

1. はじめに
 昨年から、全難聴は障害者放送協議会放送研究委員会の当事者団体として、
文化庁や著作権審議会に聴覚障害者の情報アクセス権の保障となるよう著作
権法の改正を働きかけてきましたが、今年5月に法改正が行なわれました。
 法改正により、著作権者の許諾を得ないで、テレビ等の音声を要約した字
幕にして、インターネットで送信することが出来るようになります。提供さ
れる字幕に対する責任をもつ必要があることから、聴覚障害者の情報提供に
関わる法人が対象になります。
 全難聴の他、聴覚障害者情報提供施設(現在26施設)と全日本聾唖連盟、
日本障害者リハビリテーション協会、全国盲ろう者協会などが対象になりま
す。
 これを受けて、12月19日に著作権法の改正に基くリアルタイム字幕配
信事業者として文化庁に申請し、26日にリアルタイム字幕配信事業者に指
定を受けました。同じく指定を受けたのは日本障害者リハビリテーション協
会です。

2. 背景
 テレビの字幕放送が非常に少ないことから、古くからボランティアの手に
よって、パソコン通信やインターネットでテレビの音声を入力して提供する
活動が長く続けられてきました。ニフティサーブのフォーラムFHANDCのRT
字幕や通訳IRCの活動がそうです。台風や地震のテレビの情報も提供して
いました。
 しかし、字幕を入力するにはその都度事前に脚本家や放送局に事前に著作
権法上の許諾を得る必要がありました。実際にパソコン通信で字幕提供して
いた団体が著作権者側から著作権料の請求を受けるという問題もおきました。
 私たちは、映画やビデオの字幕投影活動からもこの問題を取り上げ、字幕
放送シンポジウムや全国要約筆記問題研究大会、全国難聴者福祉大会でも著
作権と情報アクセス権の問題を継続的に取り上げてきました。220万名の
差別法令改正の署名運動でも著作権法の改正を含めて取り組んできました。
 昨年の6月には多くの障害者団体の結集する障害者放送協議会として「障
害者の情報アクセス権と著作権」シンポジウムを開催したことで運動に大き
な弾みが付き、著作権審議会意見聴取や著作権者団体との意見交換、数十回
に及ぶ文化庁著作権課との協議が行なわれて、今回の改正につながりました。
 一方で、高齢難聴者、中途失聴者など会員とする全難聴はその結成以来、
文字によるコミュニケーション手段として「要約筆記」を追及してきました。
パソコン通信の字幕提供活動と要約筆記の普及運動から、パソコンによって
文字を要約しつつ入力するパソコン要約筆記のが広まり、昨年の厚生省から
発表された「要約筆記奉仕員養成講習会のカリキュラム」でパソコン要約筆
記が取り入れられました。当会と全国要約筆記問題研究会のテキスト作成と
指導者養成講座を通じて、各地でパソコン要約筆記講習会が開催されるよう
になり、多くのパソコン要約筆記者が育ちつつあります。このパソコン要約
筆記は聴覚障害者のいる現場の他、テレビを見ている聴覚障害者への情報保
障であるリアルタイム字幕配信にも生かされます。パソコン要約筆記者の中
から、職業的リアルタイム字幕制作者が生まれることが期待されます。

3. 今後の事業の展開について
 本来はテレビ局が自らの責任で字幕放送を実施することがその社会的責務
と考えていますので、リアルタイム字幕配信はその補完的事業と考えられま
す。
 しかし、テレビ放送の多くが生放送に近くなっている現在、放送局が事前
制作方式にこだわる限り字幕放送はなかなか増えません。いろいろな技術を
組み合わせながらリアルタイム字幕の制作方式を発展させていくことは、聴
覚障害者の情報アクセスに大きな展望を切り開くものです。
 この字幕配信を受けるには、パソコンでインターネットに接続し、受信の
ためのソフトを取り込んだり、テレビと別々に見なくてはならず、誰でも利
用できるものではありません。また、受信している間は電話料金などもかか
ります。
 しかし、パソコンでテレビが見られ、デジタル放送の進展とともにインター
ネットも出来るようになるのも間近ですので、今後はもっと簡単に見られる
ようになるでしょう。

4. 今後の著作権の運動の方向について
 字幕配信は、インターネット以外の方法、例えばCS放送や、CS通信で
配信することはまだ対象外です。視聴者も氏名の登録などが必要になってい
ます。
 通信技術環境の発展により、もうすぐすぐ手話通訳の映像を配信する
ことも可能になりますが、これもまだ対象外です。
 もう一つの問題は、緊急災害時の情報提供における著作権の問題です。障
害者放送協議会でもワーキンググループを設けて検討していますが、緊急時
においては著作権の一定の制限が必要と考えています。


リアルタイム字幕配信を受けるために

1. リアルタイム字幕配信とは
 著作権法の改正により、テレビの音声を要約した字幕がインターネットで
提供されるようになりました。
 IRC(アイ・アール・シー、インターネットリレーチャットの略)とい
う方法で受信することができます。これは、ネット上の文字による会議シス
テムのようなもので、複数の参加者が同時に文字で交信できます。

2.リアルタイム字幕配信を受けるには
 インターネットで字幕が提供されるのでインターネットの出来るパソコン
と受信ソフトが必要です。
 今回のリアルタイム字幕配信には、これまで字幕提供活動を続けてきた
「通訳IRC」のグループの提供するソフトを利用することができます。ソ
フトは、下記の日本障害者リハビリテーション協会のホームページからダウ
ンロードできます。ウィンドウズ用とマッキントッシュ用があります。全難
聴の配信も同じソフトを使用します。

3. いつから行なわれるのか
 1月1日から改正著作権法が施行されますので、障害者放送協議会放送研
究委員会は、日本障害者リハビリテーション協会が実施事業者となって、1
月1日に最初のリアルタイム字幕配信を行ないます。番組は、リハビリテー
ション協会のリアルタイム字幕配信のホームページを見てください。
http://www.normanet.ne.jp/~rtcap/
 全難聴は、1月8日(成人の日、祝日)から配信を始めます。番組は、当
会のホームページをご覧下さい。1月早々に更新予定。

4. 利用にあたって
 著作権法の規定で、利用者する聴覚障害者はホームページで、登録が必要
です。
 この登録は、当会で責任を持って管理するものとし、字幕の訂正やその他
の情報提供の為に利用する他は、外部には公開されません。また、聴覚障害
者の利用する施設、聴覚障害者の来場が予想される施設等の管理者は、当会
の管理により、IDを発行を受けて、利用することが出来ます。


REV: 20160629
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