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優生保護法被害弁護団

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last update:20190525

2019/04/24 優生保護法被害弁護団「救済法成立に対する声明・記者会見」
 http://yuseibengo.wpblog.jp/archives/803

2019/04/24 優生保護法被害弁護団「記者会見の記録」

2019/04/24 全国優生保護法被害弁護団「弁護団声明」
2019/04/24 優生保護法被害兵庫弁護団声明「優生保護法被害に対する一時金支給法成立について」
2019/04/24 優生保護法に基づく不妊手術に関する国家賠償請求訴訟熊本弁護団「抗議声明」

■目次

優生 2019(日本)
2019/02/19- 各地の旧優生保護法国賠訴訟 口頭弁論・報告集会の予定
2019/01/30 優生保護法ホットライン全国一斉電話相談・FAX相談の番号一覧(2019年1月30日)
2019/01/30 2019年最初の全国一斉電話相談・FAX相談を実施します

優生 2018(日本)
2018/07/03 優生保護法ホットライン全国一斉電話・FAX相談の予定一覧(2018年7月3日)
2018/05/27 全国優生保護法被害弁護団発足
訴訟の経過(2018年)

問い合わせ
関連団体

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■優生保護法被害弁護団「記者会見の記録」

 本日(平成31年4月24日)、優生保護法による被害者に320万円を支給するという救済法案が成立しました。これに対して、15時から衆議院第一議員会館多目的ホールにおいて、記者会見を行いました。[…]以下、記者会見の模様をお届けします。なるべくそのままの言葉を残せるよう心掛けましたが、記録の限界もあり、発言そのままではありませんので、その点はご了承ください。

新里 宏二 弁護士(全国優生保護法被害弁団共同代表)
 昨年提訴の段階で法案成立は予想できなかった。
 作った国会議員の先生は、裁判から切り離された形で法律ができることについてどのように思ったのか。国が十分な保障をすることが目的だったので、320万円はわたしたちが要求していることとはかけ離れているのかなと。総理の談話が出たこと自体は評価したい。
 懸念されるのは、被害者が実際にこの制度を使えるかどうか。実被害者は2万5000人、そのうち5400人しか特定されていない。プライバシー侵害をおそれて通知ださなかったらどうするのか?また、だまされて手術した人は申し出られない。制度について、国がきちっと説明しなければならない。
 今、仙台の裁判が最終盤の中、障がい者団体の声を聴いてほしい。参考人招致を求めたところであるが、叶わず、私達の声が届かなかったのは非常に残念だ。調査は国会から独立したような形で行われるべきと考えている。調査が続行されるのか見届ける必要がある。
 (法案成立は)被害回復の第一歩だが、司法の判断が国の責任を認める可能性は高いと思っている。司法の判断を国・内閣がもう一度見返してほしい。

北 三郎さん(東京訴訟原告)
 皆さんこんにちは、北三郎です。
 御忙しい中このような場を設けていただきありがとうございます。家族の会、北三郎です。この問題に長くかかわってきた飯塚淳子さんと共同で関わっています。飯塚さんが全国の被害者のために活動してきたことが、全国20名の原告による訴訟につながりました。これまでのご協力に感謝します。しかし、もっと検討してほしい点が救済法にあります。
 まず、救済法の中に、我々がお詫びすることとある点。法案起草の件、という書類の中には、「我々」という言葉がある。説明によるとその「我々」の中に国や政府が含まれている、ということらしいが、こちらとしては騙されている気分。私は、この手術は国がやったことと知ることで、ようやく亡くなった家族を恨む気持ちがなくなった。私の姉も同じようです。姉は一生口にしてはならないという秘密を口にしたことでようやく解放されたようです。国が謝罪することにはそれほどの意味がある、ということを理解してもらいたいのです。
 次に、名前が分かっている人には手術の内容を最善の方法で伝えるべき。現在健康を害している人、報道に接していない人、家族から手術について知らされていない人もいるはず。救済法ができ、国が謝罪してもわからない人がいる。名前が分かっている人に対し通知をしない、といっているが、それでは本当の意味での謝罪にならない。通知受け取るかどうか、被害者が判断するべき。
 さらに、国は責任をもって救済の道を示してほしい。国はしっかり事実を調査し反省してほしい。ここまで長い時間かかりました。亡くなった人もいます。真実を明らかにされないまま人生を終えた人は、無念だったと思います。手術に関わった人も、起こったことを受け止めきれていません。当時何が起こったのか、詳しいことが分からない人も多いでしょう。被害者を多く生み出しておきながら、無理やり手術を受けさせることが何十年も続けたのはどうしてか。真相を究明してほしい。これ以上同様の問題が起こらないよう、反省し、対策してほしい。
 1年を振り返り、裁判所や参議院に顔を出してきました。支援してくださった方、心から感謝します。名乗りを上げてよかったと思っています。これからも応援よろしくお願いします。

飯塚 淳子さん(仙台訴訟原告)
 私は宮城から来た飯塚淳子です。もしも手術を受けた16歳に戻れるならと思っています。人生を返してもらいたい。国は誠意をもって謝罪をしてください。

佐藤 路子さん(仙台訴訟原告の姉)
 今日はどうもありがとうございます。昨年1月に提訴した佐藤由美の姉です。仙台地裁で5月28日に判決がでます。超党派議連で今回一本化した救済法案が作成され、最終的に参議院で可決されました。71年の月日を経て、一時金の支給等に関する法律ができあがった。今後公布、施行されることになります。
 参議院の集会を見ていましたけど、議員の先生方が思っていたような法案にならなかったのかなという点が散見されました。
 まず、立法措置について。被害者が一番求めているのは、国による謝罪です。法案前文には「我々はそれぞれの立場において」となっている。我々とは、優生保護法を制定した国や政府ということを指しているらしいですが、何十年先のことも考えれば、国による謝罪は必要です。係争中なので、国と明記できなかったのか、それなら判決出てから法律を作ってほしかった。実態検証してからでよかった。
 次に、周知の仕方。妹は知的障害です。この法律が施行されても、自分で理解して申請することできないと考えます。当時、妹の他にも4人の方が同時期に手術しました。プライバシー・立場の問題はあると思いますが、特定されている方には通知をする努力をしてほしい。手術されたことで人権侵害され、人権の回復も程遠くなると思います。庁舎に別室を設ける、郵送でも対応する、とされていましたが、庁舎には何十人も職員いる中で、周知徹底がされていて、明るく対応してくれるならいいですが、そうでなかったら…。別室での応対もいいですが、その取扱いには差別的な要素もあると思います。
 さらに一時金が320万円という点。被害者の人生を大きく狂わせ、後遺症を残したという状況を考えると、あまりに低すぎるのではないでしょうか。このような被害に320万円の価値しかないのか。今は法案成立について、共生社会への第一歩と考えたい。

東 二郎さん(仙台訴訟原告)
 東二郎です。私は4月18日の裁判の時から顔をきちんと出して訴えていくことに決めました。昔一緒だった仲間が、顔を見たら、名乗り出てくれるのはないかと思って決めました。
 私は、障がいがあることを不幸と思ったことはありません。祖父母にも大事にされ、学ぶことの大切さを学びました。今は好きな旅行や歴史のことを応援してもらってうれしいです。
 手術が、障がいが不幸だとして、生まれないようにした、ということを知りました。悲しくて悔しい、怒りたいです。強制的に手術を受けたことは、津久井やまゆり園で、仲間たちが殺されたことと同じだと思っています。今日、法律成立しましたが、国による謝罪はなかったし、通知もありませんでした。今後も、被害と苦しみを訴えていきたい。

米津 知子さん(優生手術に対する謝罪を求める会
 優生手術に対する謝罪を求める会は、97年から飯塚さんと共に活動してきました。厚労省に対し優生手術・子宮摘出に対し調査をすること、謝罪を求めることを行っています。
 法律は、今後、救済のための第一歩となるでしょう。ただ、今後改善を求めていきたい点がいくつもあります。特に、一時金の対象者の確認です。優生保護法による中絶は対象となっておらず、96年以降の違法な手術も対象外となっています。この点も見直していただいて、対象に入れてほしいと思います。
 また、優生保護法21条に基づく調査、報告書の作成も行っていただきたい。今回、障害を持つ人が、子どもを持つか持たないか決める権利があることを認めていただいたものと思っています。現在の医療や福祉の現場でこれが守られているのか、今後ここに注目していただきたい。子どもを持ちたいと思っているかどうか、あらかじめ本人に確かめることは、治療にもかかわってくる問題です。医療や福祉に携わる人達、その人達に伝えることで現場でも対応できると思います。

藤井 克徳さん(日本障害者協議会きょうされん
 国会でおかした過ちを国会で取り返してほしい、その思いは今回かないませんでした。
 これまでの当事者の方・弁護団ご活動は評価したいが、法案については評価できない点が3つあります。
 まず、本来、法案作成前に国は謝罪すべき。内容も、法律全文をなぞるような内容。深いと思えなかった。国会としての謝罪決議、ぜひあげてほしい。国会としても考えるべき。謝罪の仕方として問題があります。
 次に、内容面の不備。顕著なのが「補償額」。未来の命を奪ったことへの代償が320万円ということはおかしい。スウェーデンを学ぶんだったら、福祉政策全般学ぶべき。ある部分だけ引っ張ってくるのは卑怯ではないか。障害があるからこんなものでいいんじゃないかという、障がい者差別さえ感じます。
 そして、審議の進め方。自らの主張を示しにくい知的のかたなどがたくさんいる。わかりやすいように説明しその場で意見を聴いてもらいたい。参考人招致を求めたが、全会一致の場面で難しいとされてしまった。被害者不在の全会一致。意見を言いたくても言えない。全会一致とはなんぞやと思ってしまいます。

米津さん
 行政の人に手術受けたこと伝えるのはハードル高いけど、団体になら言える、ということはあるかもしれない。応援したい人には応援できる環境がある。

◆質疑応答

Q:参議院で全会一致で可決、手術を受けさせられると決まった場所も同じ場所。その時の気持ちは。
北さん
 何の説明もないまま手術受けさせられたことに憤りを感じている。親と施設をだいぶ恨んでいた…。

佐藤さん
 法律施行されている中で、色々な意見があった。人権侵害があると言われながら、放置。飯塚さんの場合、当初被害を訴えた際には裁判ができないと言われた。その時「手術したという証拠を持ってきなさい」とも言われたと。優生保護法は戦後初で議員立法で成立した。今回の法案は、自分たちで決めたことを自分たちで変えたことを意味するもので、屈辱があると思う。そういったことを考えると今日の法案成立は感慨深いものがあった。

Q:救済法成立は、今後の裁判に影響があるか。
新里弁護士
 基本的には影響がない。法律ができたことが裁判に影響与えるのか、ということは昨日の質疑応答で局長が否定している。裁判で、国は、救済法が成立する見込みなのでもう立法不作為の主張はできない、と主張しかけてきた。しかし、裁判と法案は無関係、ということなので、今後はそこを逆手に取っていきたい。

Q:裁判の結果が出る前に法案が成立したことについてどうお考えか。
新里弁護士
 ハンセンのように、判決に基づいた救済を、ということを考えていた。今回は違った。色々違いはあるのだと思う。日本の救済制度の中では逆転してできている。国側として内閣総理大臣の談話が出ている。一国のトップが、解決をしなければならない問題、ということを受け止める。控訴するかどうかは国で決める、ということを今日は国が予備的に言ったのでは。順序逆転したが、司法判断がきちんと出るのであれば、国の謝罪、ということも出てくるのではないか。扉が開いた救済の第1歩であってゴールではない。最終的に被害者の声に寄り添えるような形で解決できれば。

Q:仙台訴訟の訴訟指揮への評価や結論への期待は?
新里弁護士
 昨年6月13日に新しい裁判官が指揮をとったという形。憲法判断を回避する予定はない、ということはその時点で明確に言っていた。国に対してきちんと認否をしなさいと。裁判長は問題に真摯に向き合おうとしている。被害に向き合った判決が出るのではないかと考えている。

Q:今日法案が成立したが、今後裁判の結果を待たずに申請するのかどうか、現時点での考えを知りたい。
新里弁護士
 法案成立が今日の今日なので、皆さんはっきり決めていないのでは。裁判結果待たずに請求するかどうか個人の自由だと思っている。当事者の方には弁護団との協議で決めていただければと。

Q:総理の談話について。どういう感想をお持ちか。
新里弁護士
 これについては評価をしている。一国の総理が向き合わなければならない課題と認めたと捉えている。法案全文と内容がほぼ一緒ではあったが。5月28日の段階で、控訴するかしないか、もう一回この問題に向き合わなければならない時がくる。

米津さん
 総理がお詫びをした、ということが広く伝わればいいと思う。優生保護法は間違っていた、ということをみんなが知っていく。

藤井さん
 談話あったこと自体は大事。外国ではなく、国に戻ってきた時にもう一度説明すべきでは。また、タイミングが悪い。顔を出して、目線を上げてお詫びをしてほしかった。

北さん
 ようやくこのことが、裁判が終わる、と言われたけど、納得いかない法律。第1歩がようやっとここまできた。重い扉が開いた。今後も頑張っていきたい。

新里弁護士
 制度としてリンクすべきではないか。判決の上で制度作ってくださいと言ってきた。判決を踏まえて改正に向けた取り組みをしていきたい。

Q:法律できたことについてあらためてどう思っているか。
北さん
 新しい法案ができた、ということだが、被害者の立場としては納得いかない。それは向き合っていない。法案に対してどうしても向き合っていない、法律を勝手に作っている。被害者に向き合って法律を作っている。

Q:今回一時金の額はスウェーデンを参考にされた、ということだが。
新里弁護士
 スウェーデンに調査いってきたところ。被害者が2万6000人、2000人が被害者。医療ジャーナルは全員分揃っていた。しかし、通知は出していない。きちんとした周知を図れなかったのではないか。被害者のアクセス保障が不十分だった。申請しながら却下された事案もあった、基準が厳しかったのでは。消えた年金と同じで、きちんと通知ができなかったのでは。
 昨日の国会の質疑の中で、知事が条例を出したいと言っていた。法律によって全く制限されないと言っていた。多くの人が救済を受けられるような仕組みに変えられるようにしていきたい。被害者に通知出してはいけません、ということではないということを示してもらった点で大きい。他の被害の関係で、アスベスト被害の際、労災と並行して補償受けられた。今回サポート受けられた人はもちろん、これまで訴えることができていない人がどうやったら声を上げられるか、速やかに検討していく必要がある。

Q:今後も原告募っていく方針は?
新里弁護士
 変わらない。

Q:佐藤さんは妹さんに法案成立をどのように伝えたか。
佐藤さん
 優生保護手術について詳細は本人知らない。お腹の傷のことは分かるので、お腹、傷つけられずに済んだのに傷つけられたことについてお姉ちゃんは闘っているんだよ、と説明した。自分なりに、姉が自分のために何かしてくれている、ということを理解しているはず。出かける時「頑張ってね」と応援してくれていたりする。妹が不自由ないように心がけている。知的障害があると、自ら訴えでることはなかなかできない。周知しても、被害者自らやる、ということは困難。また、実態調査をお願いしようにも、施設から結果が出てこないことも多い。そこにすごく問題がある。施設の職員等この問題に携わる人に対し、厚労省から広報活動をしっかりしていただきたい。

Q:法案成立について、当事者の方はどのようにお考えか。
飯塚さん
 法律が成立したけれども、声を上げても進めなかったので、怒りの方がやっぱり強い。何十年、という月日が経ってしまった。この先前に進んでいけるのか、不安がある。

Q:今回の一時金額、スウェーデンのものを参考にしたということだが、福祉国家であるスウェーデンと日本、単純比較できないのでは。
新里弁護士
 スウェーデンでの補償額は17万7000クローネ。その額を現在の貨幣価値に換算すると約320万円くらい、ということで今回の一時金額になったと聞いている。ただ、これが裁判基準になっているのか、というと全くなっていない。スウェーデンでは、パスポート変えるために手術をしなければならない、となっていたらしい。スウェーデンでこの問題を担当した弁護士によると、当初は45万クローネの請求を考えていたらしい。そうなると、日本円に換算すると約1000万円くらい。社会保障が充実している国(スウェーデン)と日本を単純比較してはならないと思う。スウェーデンでは先程申し上げたとおり、そもそも裁判はやっていない。やはり、本来であれば裁判基準を一時金の基礎として考えなければならないのではと考えている。しかし、間違った形で日本に基準が紹介されているのではを考えている。同種の賠償基準としてこれまで紹介されてきたことが残念。

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■全国優生保護法被害弁護団「弁護団声明」

弁護団声明

 本日、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」が参議院において可決され、成立した。
 全国7地裁への20名提訴や、マスメディアによる熱心な報道、事実を知り被害回復を求めた世論の力により、国会が長年放置されてきた被害に向き合い、全国初の提訴から約1年3か月という短期間で法律が制定されたこと、および安倍晋三首相も「首相談話」を発表して被害に向き合ったことを評価し、歓迎したい。
 しかし、成立した法律では、これまでも指摘してきたが不十分な点もある。
 まず、法律前文では、旧優生保護法による被害者が「心身に多大な苦痛を受けてきた」と述べるのみで、旧優生保護法によって、多くの被害者が重大な人権侵害を受けた事実を認めず、また、人権侵害を行っていた国による謝罪が明記されていない。
 日本国憲法が「すべて国民は、個人として尊重される」と規定しているにもかわらず、「優生上の見地から不良な子孫出を防止する」目的の優生保護法を制定し、憲法に反する人権侵害行為を行ってきた「国」が、自らの行為に正面か向き合い、被害者に謝罪することなくしては、真の被害回復はあり得ない。
 また、スウェーデンに参考としたとする一時金も、スウェーデンと我が国の福祉政策の違いを考慮しておらず、被害の実態に見合わない低額ものと考えられる。そして、配偶者や遺族を対象に含めず、被害者の通知を定めなかったことも不十分である。
 この点、多くの障害者を含めた被害者の「私たちのことを、私たち抜きに決めないで」(Nothing About Us Without Us)の声を無視することなく、参考人として被害者の意見を聴くことは、国が被害と向き合う大事な機会でもあった。にもかかわらず、国会は、被害者らの声を直接聴くことなく法律を制定した。 高齢の被害者のために一刻も早く時金の支給をすべきという点は理解できるもの、正面から被害に向きあったかついて疑問を呈さざるを得ない。
 また、法律は、このような事態を二度と繰り返すことのないよう「調査その他の措置を講じる」(21条)とするが、優生思想を乗り越え、「全ての国民が疾病や障害の有無によって分け隔られることなく相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会の実現」(同条)のためには、国から独立した十分な検証が行われることが必要であることも、重ねて指摘する。
 当弁護団は、本法律の成立を、被害回復に向けての第一歩として歓迎するが、本年5月28日の仙台地裁判決によっては、国会、内閣は、真の被害回復ため、さらに、被害に向き合うことが必要となろう。
 最後に、憲法違反の旧優生保護が、約50年もの長期間存在し、1996年に母体保護法に改正されてからも23年も被害が放置されていたことに関しては、基本的人権を擁護し、社会正義を実現することを使命とする我々弁護団も、重く受け止めている。 引き続き、当弁護団は、優生手術被害者の回復に向け、全力で活動することを表明する。

2019年4月24日
全国優生保護法被害弁団
共同代表 新里 宏二
同    西村 武彦

cf. http://yuseibengo.wpblog.jp/archives/803

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■優生保護法被害兵庫弁護団声明「優生保護法被害に対する一時金支給法成立について」

優生保護法被害に対する一時金支給法成立について
優生保護法被害兵庫弁護団声明

 本日、「旧優生保護法に基づく手術等を受けた者対する一時金の支給関る法律」(以下、「新法」という。)が、参議院において全会一致で可決され、成立した。

 現在、全国7地裁において20名の原告が優生保護法による被害の回復を求めて国家賠償請求訴訟を提訴している。
 今回の新法は、これらの訴訟やマスメディアによる報道を受けて、国会が、長年にわたって放置されてきた被害にようやく目を向けたことのあらわれと言えよう。
 また、各院全会一致の可決という結果や新法成立までのスピードは、与野党問わず各国会議員が被害者に対する補償の必要性を理解したことのあらわれと言える。
 新法の成立は、被害回復への第一歩として評価すべきものであろう。

 他方で、 新法の内容は、 未だ真の被害回復には 程遠いものである。
 われわれ優生保護法被害兵庫弁護団は、1.違憲立法についての国の責任の明記と謝罪、2.第三者性を担保した被害者認定制度の策定、3.被害の重大性に見合った補償内容(優生手術を受けた者の配偶者へ補償を含む)、4.違憲立法が行われたことについて検証し、優生思想の誤りと障害者の人権について教育・啓発活動の実施を行う体制を作ること、5.国及び自治体が必要な被害実態調査及び被害者への個別通知を行うための権限規定、6.関連資料の保存等にする規定を、被害回復のための法律に盛り込むことを度々求めてきたが、そのいずれも新法に反映されることはなかった。
 被害者は、旧優生保護法に基づいて基本的人権を侵害されてきた。この法律が憲に違反するものであったことを新法に明記することは、 被害回復の前提として必要不可欠である。
 また、新法に規定され一時金320万円という金額は、被害者の受けた重大かつ回復困難な被害に比して、 あまりに低額である。国は、被害を320万円の価値であったと評価しているのであろうか。 優生手術を受けた者は、その日から現在に至るまで、子を持つという選択肢を奪われ続けたのである。 子を産み育てるという希望を奪われた人生を強いられた被害の補償が320万円というのは、到底納得できるものはない。
 そして、人生を損なわれたのは、配偶者も同様である。 配偶者もまた、子を持つという選択肢を奪われたのであるから、被害回復が必要である。
 さらに、被害を受けた人々の年齢や心身の状況を考えると、一時金の支給手続や調査・周知に関する新法の定めでは、被害回復が行われないままに見過ごされる被害者が多数生じることが予測されるため 、その権利行使を支援する必要性は高い。
 国は、旧優生保護法を制定し、手術推進・実施してきただけでなく、障害もつ人を「不良な子孫」とする優生思想を、全国民に行き渡らせるよう長年わたって教育・啓発しきた。 まずは国が、そのような行為を続けてきたことを心から反省し、今後、その誤りを正すための行政・立法の取り組みを、全力を挙げて行うこと明言すべきである。

 以上のように、新法の内容のみでは、真の被害回復がなされたとは言いがたい。国は、施行法や規則、運用指針等をもって、新法に欠けている点を補うよう努め、改正も視野に入れて、真の被害回復に向けての努力を引き続き検討すべきである。

 当弁護団は、新法の成立をもって優生手術による被害の回復が十分になされたとは考えておらず、 同じ過ちを繰り返さない社会を目指し、引き続き訴訟に取り組むことをここに表明する。

平成31(2019)年4月24日
優生保護法被害兵庫弁護団
弁護団長 藤原 精吾

cf. http://yuseibengo.wpblog.jp/archives/803

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■優生保護法に基づく不妊手術に関する国家賠償請求訴訟熊本弁護団「抗議声明」

抗議声明

 本日、「旧優生保護法に基づく優生手術等を受けた者に対する一時金の支給等に関する法律」が参議院において可決され、成立した。
 まず、旧優生保護法が、約50年もの長期間存在し、1996年に母体保護法に改正されてからも23年も被害が放置されていたことに関して、極めて強い憤りを覚えるものである。

 今回成立した法律は、仙台地裁での提訴とマスコミの大々的な報道をきっかけではあったが、これを契機に被害の救済を目指した良心的な国会議員の努力は一定評価すべきである。しかしながら、同法の内容については、以下の諸点に鑑みて、到底納得できるものではない。

第1、国の法的責任を認め、謝罪するものではないこと
 法律前文では、旧優生保護法による被害者が「心身に多大な苦痛を受けてきた」と述べるのみで、誰によってその被害がもたらされたのか、責任の所在がどこにあるのか、意図的に曖昧なままにされている。
 本来であれば、多大な苦痛が憲法に違反する国の行為によって発生したものであることを明示した上で謝罪し、一時金といった曖昧な表現ではなく、法的な責任の下に損害を賠償するものであること明示すべきである。

第2、障害者を差別するものであること
 交通事故による損害賠償の最低ラインを画する自賠責でさえ、「両側の睾こう丸を失った」場合は、後遺障害第7級、保険金額は1051万円とされ、「生殖器に著しい障害を残す」場合は、遺障害第9級、保険金額は616万円とされているが、この法律は一時金の額を320万円と定めている。
 この金額は、国が過失ではなく意図的、組織的に重大な人権を奪った犯罪行為の代償としては、極めて低額であるというばかりではなく、保障される人間としての価値において、一般の3分の1から2分の1の価値しかない認めないものである。
 これでは、奪われた個人の尊厳が回復するどころか、さらに深く傷つけるものとなっている。残念ながら、優生保護法の成立からその救済に至るまでの国の対応は、終始一貫して、障害者を人間の価値や個人の尊厳において差別するものと言わざるを得ない。

第3、申請主義と短期時効消滅による足切り
 優生手術を受けた障害者の中には、受けた手術の意味も理解できないまま現在に至っている人も存在すると思われる。そうでなくとも、自ら主張することに困難を抱えている障害者にとって、自ら申請をしなければ一時金を得ることができないとなると、多くの場合、事実上救済の枠外に置かれることになる。
 したがって、優生保護被害の特質を考慮すると、申請主義ではなく、加害者たる国の責任において、被害者を捜し出して救済する仕組みが必要であることも明らかであるところ、成立した法律には、そうした仕組みが欠如している。
 これでは、国は責任を果たすどころか、短期時効の設定(5年で消滅)も考慮に入れると、いかに少ない予算で早期に責任を回避するのかといったことに腐心している姿が透けて見えるところである。

 その他、被害認定機関の第3者性が担保されていないこと、被害の実態解明や今後の対策に向けた検証体制がないこと、金銭賠償以外の医療や介護保障など、他にも多くの問題点を抱えている。
 こうした観点から、弁護団としては、今回の法律が根本的な解決をもたらすものではないことを念頭に、引き続き司法による適正な救済を目指して、全力で取り組むことを表明する。

2019年4月24日
優生保護法に基づく不妊手術に関する国家賠償請求訴訟熊本弁護団

cf. http://yuseibengo.wpblog.jp/archives/803

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■予定

■終了

◇2019/04/23 旧優生保護法国賠訴訟 第5回口頭弁論・報告集会 於:東京地裁
◇2019/04/17 旧優生保護法国賠訴訟 第3回口頭弁論・報告集会 於:大阪地裁
◇2019/03/22 旧優生保護法国賠訴訟 第2回口頭弁論・報告集会 於:神戸地裁
◇2019/03/20 旧優生保護法国賠訴訟 第6回口頭弁論・報告集会 於:仙台地裁
◇2019/03/18 旧優生保護法国賠訴訟 第3回口頭弁論・報告集会 於:熊本地裁
◇2019/03/15 旧優生保護法国賠訴訟 第3回口頭弁論・報告集会 於:札幌地裁
◇2019/03/14 旧優生保護法国賠訴訟 第3回口頭弁論・報告集会 於:札幌地裁
◇2019/02/19 旧優生保護法国賠訴訟 第4回口頭弁論・期日後集会 於:東京地裁
2019/02/08 旧優生保護法国賠訴訟 第5回口頭弁論・報告集会 於:仙台地裁
◇2019/02/06 旧優生保護法国賠訴訟 第2回口頭弁論・報告集会 於:大阪地裁

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■優生保護法ホットライン全国一斉電話相談・FAX相談の番号一覧(2019年1月30日)

 1月27日現在、強制不妊手術等の旧優生保護法被害に関する全国一斉電話相談の実施詳細が決定しているのは、以下のページに示した都道府県です。 随時更新していきますので、お電話の際には最新情報をご確認ください。 なお、電話番号・FAX番号は、相談専用ダイヤルではなく相談担当弁護士の事務所の場合もありますので、ご注意ください。

◆1月30日全国一斉電話相談・FAX相談
http://yuseibengo.wpblog.jp/tel-consul-20190130

■2019年最初の全国一斉電話相談・FAX相談を実施します

http://yuseibengo.wpblog.jp/archives/611
 2019年(平成31年)1月30日(木)に、旧優生保護法の被害に関する全国一斉電話相談を実施します。 各都道府県の実施予定詳細は、上部の「1月30日全国一斉電話相談・FAX相談」のページをご覧ください。

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■優生保護法ホットライン全国一斉電話・FAX相談の予定一覧(2018年7月3日)

http://yuseibengo.wpblog.jp/tel-consul_20180703

 6月30日現在、強制不妊手術等の旧優生保護法被害に関する全国一斉電話相談の実施詳細が決定しているのは上記URLの都道府県です。随時更新していきますので、お電話/FAX送信の際には最新情報をご確認ください。
 ご本人、またはご家族、関係者からのご相談を受け付けています。どうぞ情報宣伝にご協力ください。よろしくお願いします。下記のエクセルファイルに記されているのが実施時間と番号です。下記ファイルはダウンロードされてかまいませんので、拡散等にご利用ください。
 [XLS]

■全国優生保護法被害弁護団発足

5月27日、東京で全国優生保護法被害弁護団の結成大会が行われました。
http://yuseibengo.wpblog.jp/archives/57

■訴訟の経過(2018年)

◆仙台地裁「憲法判断は回避しない」(6月13日、仙台)
http://yuseibengo.wpblog.jp/archives/176
◆国は不作為の違法を争う姿勢(6月6日、仙台)
http://yuseibengo.wpblog.jp/archives/153
◆札幌・仙台・東京一斉提訴(5月17日)
http://yuseibengo.wpblog.jp/archives/29

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■問い合わせ

◆札幌弁護団
北海道合同法律事務所 弁護士 小野寺 信勝
TEL:011-231-1888

◆仙台弁護団
宇都・山田法律事務所 弁護士 山田 いずみ
TEL:022-397-7960
FAX:022-397-7961

◆東京弁護団
五百蔵洋一法律事務所 弁護士 関哉 直人
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■関連団体

優生手術に対する謝罪を求める会 ◇SOSHIREN 女(わたし)のからだから  ◇CILたすけっと
優生手術被害者とともに歩むみやぎの会 ◇優生手術被害者とともに歩むあいちの会  ◇全国青い芝の会
日本障害者協議会(JD) ◇日本障害フォーラム(JDF)  ◇きょうされん(共同作業所全国連絡会/共作連)
DPI日本会議 ◇全日本民医連(全日本民主医療機関連合会)  ◇全国障害者解放運動連絡会議(全障連)
DPI女性障害者ネットワーク ◇グループ生殖医療と差別  ◇優生思想を問うネットワーク
日本弁護士連合会 ◇臓器移植法を問い直す市民ネットワーク  ◇からだと性の法律をつくる女の会
一般財団法人全日本ろうあ連盟 ◇手話通訳派遣問題とろう者の人権を考える会  ◇障害者放送協議会


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*作成:北村 健太郎
UP:20180616 REV:20180629, 0630, 20190128, 0212, 0525
優生学・優生思想  ◇不妊手術/断種  ◇出生前診断  ◇病者障害者運動史研究  ◇障害学  ◇組織

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