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共に育つ教育を進める千葉県連絡会


last update: 20160629


■共に育つ教育を進める千葉県連絡会■


※斉田貴志「共に育つ教育を進める」
 (千葉大学文学部社会学研究室『NPOが変える!?──非営利組織の社会学』第19章)より

 「共に育つ教育を進める千葉県連絡会」(以下,「県連絡会」,代表:山田晴子さん)は千葉県教育委員会との交渉団体として1991年2月に結成された。「障害のある子供もない子供も一緒に地域の学校で育つこと」を求めて運動をしてきた千葉県内各地の会が集まり,交流会を開いたのがきっかけである。結成当時は市川,市原,柏,佐倉,習志野,船橋,松戸の各地から8つの会が参加していた。その後,印西,大多喜,千葉,長生,流山,八千代,四街道の各地に新しく会ができ,それに「千葉『障害児・者』の高校進学を実現させる会」を含め,現在16団体で活動している★03。会を名乗ってはいないが,各会に関係する人が住んでいる地域は常磐線沿線から総武線沿線をカバーし,県中央部まで網羅している。活動範囲として千葉県内ほぼすべての市町村を対象としている。
 会員はおもに障害児を持つ親,それに教師や関係者。知的障害や肢体不自由の子供を持つ親が多い。しかし障害の種類,程度にはこだわらない。最近は視覚障害,聴覚障害の子供の親とも知り合ったそうだ。「障害のある子供もない子供も一緒に地域の学校で育つこと」を求めている人たち。子供の就学や学校生活について悩み,問題を解決していこうとしている人たち。「船橋・地域で育つ会」では不登校の子供を持つ親との関わりもある。会員数はあまりはっきりしていない。はっきりとした会員制度はない。その時に集まれる人達でやっていく。出入りがあってもいい。きちんとした会員制度がかえって市民運動のネックになる場合があると考えている。各地域の会の会報(柏:1500部,習志野:1000部,船橋:1400部,印西:100部)を読んでいる人を合わせれば, 会員もしくは関係者は千葉県内外に約1500〜2000人いるそうだ。年会費は個人会員は1000円,団体会員は3000円。
 会の運営に直接関わるのは事務局。事務局員は約10人。市川,市原,印西,柏,千葉,習志野,船橋の各地域の会から1〜2人が参加し,構成している。事務局会を月に1回くらいで開いている。予定や行事,会報の内容を決定したり,県教育委員会と交渉する上で,どのような課題があるのか,どのように交渉をしていくかを検討している。事務所はないが,代表の自宅や船橋の夏見台団地の一室を借りた「仕事場」が活動の拠点となっている。
 年間15〜16万円ぐらいで運営。収入としておもに年会費や交流会などの参加費。助成金などはもらっていない。「全体で分離のなかで(私たちは)それにいわば反対に棹差しているような形」だから,期待していないそうだ。支出としてはおもに会報の印刷費,郵送費。その他に交流会などの時の会場費,雑費。足りない場合は交流会の時などにカンパで補充。ただし昨年(1994年)は出版物の製作費,売り上げがあったので総収入 2,616,582円,総支出 1,927,109円となった。
 おもな活動は千葉県教育委員会との行政交渉。就学時の問題,または就学後,小・中学校のなかで起こった問題に対しては義務教育課と交渉,高校進学の問題に対しては指導課と交渉。交渉には会員が60人以上集まることもある。また隔月で交流会をしている。公民館や市民センターなどを借り,自由におしゃべりをし,交流を深めている。各地域の会の近況報告なども。さらに障害児の就学に関する電話相談,講演会,ビラまきなど。各地域の会や個人の支援。
 「県連絡会」としての会報は『そのうちぽっと』。年6回。700部印刷,約500部配布。行政交渉報告や行事報告,各地域の会からの報告。独自の広報媒体を持たない小さな会や個人に紙面を提供。最近,障害者団体の定期刊行物として認められ,一部8円で郵送できるようになった。会費をもらっていない人にも郵送し,彼らの活動・考えを広く知ってもらおうとしている。学校やマスコミ関係にも郵送している。
 出版物『千葉県の統合教育』,『みんなでたのしも──千葉県の統合教育』。千葉県内での統合教育についての事例集。障害児が普通学級に就学する時の困難,学校生活のなかでの問題を訴えているだけではなく,楽しい学校生活の報告なども収録されている。

★03 共に育つ教育を進める千葉県連絡会は以下の16団体で構成されている。
  「市川・共に生きる会」(代表:大崎律子)
  「市原地域で共に生きる会」(代表:小出典子)
  「印西ともに生きる会」(代表:元吉真理)
  「大多喜地域で共に生きる会」(代表:石橋民子)
  「柏地域で生きる会」(代表:宮田清子)
  「佐倉まあるい会」(代表:中邨淑子)
  「佐倉子供とともに生きる会」(代表:藤江みどり)
  「千葉市地域で生きる会」(代表:高橋巌)
  「長生ともに生きる会」(代表:信平慎一)
  「流山・地域でともに生きる会」(代表:五十嵐明子)
  「習志野ともに生きる会」(代表:大藤伸之)
  「船橋・地域で育つ会」(代表:山本千枝子)
  「松戸ともに生きる会」(代表:横山茂代)
  「八千代共に生きる会」(代表:佐藤真紀子)
  「四街道市民自治の会・ともに育つ会」(代表:戸田由紀子)
  「千葉「障害児・者」の高校進学を実現させる会」(代表:岡田潔)
  ※現在,松戸に新しい会をつくる動きがある。


REV: 20160629
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