HOME > 組織 >

筑波社会学会




 ■筑波社会学会定例研究会

Date: Tue, 21 Mar 2000 11:26:46 +0900
From: 樫田 美雄
Subject: [jsds:4124] ろう文化研究のミニシンポ開催予定

障害学MLの皆様。
いつも興味深く議論を拝見しております。
徳島の樫田です。下記のようなミニシンポジウムを
開くこととなりました。無料・予約無し・手話通訳
付きです。どうぞいらっしゃってください。
(前半には手話通訳が付きませんが、こちらもどうぞ)
********************

筑波社会学会定例研究会のお知らせ(転載自由)
筑波社会学会大会定例研究会を以下の要領で開催いたします。
一般研究報告とミニシンポジウム『ろう文化と社会学−聴者
によるろう文化理解は果して可能か?−』の二部構成となっ
ています。第U部のミニシンポジウムについては、手話通訳
がつきます。奮ってご参加下さい。

筑波社会学会大会定例研究会

 日程:2000年4月22日(土曜日)
 時間:T 一般研究報告   13:20-15:00
    U ミニシンポジウム 15:30-17:50
 場所:筑波大学人文社会学系棟A110

T 一般研究報告 13:20-15:00
 ・報告者 佐々木てる(筑波大学大学院)
      「外国人」の誕生:国籍制度の成立と権利付与
  コメンテーター 根橋正一(流通経済大学)
 ・報告者 大塚善樹(広島経済大学経済学部)
       遺伝子組換え論争における「専門家」と「素人」
  コメンテーター 庄司俊之(筑波大学大学院)

U ミニシンポジウム(手話通訳あり) 15:30-17:50
 『ろう文化と社会学−聴者によるろう文化理解は果して可能か?−』
 ・報告1 金澤貴之(群馬大学教育学部=予定=)
       ろう文化研究と文化相対主義
 ・報告2 樫田美雄(徳島大学総合科学部)
      「ろう文化」研究とエスノメソドロジー:当事者主義を超えて
  コメンテーター 上農正剛(九州保健福祉大学)
  司会者     岡田光弘(国際基督教大学)

〈報告要旨〉
佐々木てる 「外国人」の誕生:国籍制度の成立と権利付与
 近年「在留特別許可」をめぐる運動等、在日外国人の権利保障
について活発な議論が交わされている。その結果多くの課題を残
しつつも、彼らの権利は漸次的に認められつつあるといえよう。
しかしながら権利の拡大(もしくは剥奪)は、あくまで日本国籍
者と外国籍者の二分法の枠組みの中で行われてきたものであった。
つまり現在の日本においては国籍=市民権であり、そのため権利
付与は外国籍の者への恩恵として意味合いを持つ。そこで報告で
は「国籍」が歴史的な文脈においてどのように成立したか、権利
との関係を軸に分析していく。また特に植民地統治との関係が深
く、国籍と権利を繋ぐ役割を持った「戸籍制度」も合わせてみて
いく。対象となる時期は主に、1889年の「国籍法」制定から1952
年の「外国人登録令」までを予定している。

大塚善樹  遺伝子組換え論争における「専門家」と「素人」
 遺伝子組換え(GM)食品や生物(GMO)をめぐる最近の議
論は、「専門家」と「素人」の間で争点がずれており、多くの
「専門家」は「素人」消費者の抱く不安の本質を見逃しているよ
うに思える。この隔たりの原因と帰結を把握することを目標に、
リスク社会論と科学技術社会学の視点から現在のGMO論争を分
析する。素材としては、英国でのGMジャガイモ論争、米国での
FDA公聴会議事録などを用いる。先行研究とリスク社会論を発
展させ、GMOの危険性の知覚について、リスク、危害、不確実
性、不安の4類型を設定する。また、「専門家」と「素人」との
間で、GMOの危険性に関する知覚がどのように作られ、関連す
る事象のネットワークがどのように異なるかについて論じる予定。

金澤貴之 ろう文化研究と文化相対主義
 「聾」ということは,「聞こえない」ことと同義ではない。
「聞こえない」ことで音声言語へのアクセスに困難性をもつこと
は,「聾」という状態の半面しか言い表していない。聴者との言
語的断絶と同時に,手話による聾者同士の言語の共有があること
で,「聾文化」は作られる。
 聾文化を聴者が理解しようとするとき,そこには,男性が女性
を理解する場合にも,非障害者が障害者を理解する場合にも見ら
れない,二重の困難性が存在する。帰属集団の違いによる困難性
に加えて,異言語へのアクセスの問題である。聾者の「気持ち」
を知る努力以前に,「気持ち」を語る手段へのアクセス自体に困
難性があるということである。
 それゆえ,「聾のことは聾者でなければわからない」という主
張は,単なる,すでに陳腐なものとなった当事者主義の再現とは
異なる意味をもっているのである。
 「聾」の条件に,聞こえないという身体的条件と,手話がネイ
ティブであるという言語運用能力に関する条件の2つがあると考
えたとき,その対局にある聴者の他に,聞こえないが手話ができ
ない「難聴者」と,聞こえるが手話ができる聴者(=CODA
(両親が聾者である聴者))に注目することができる。彼らの存
在の微妙さについて議論していくことが,聴者による「聾文化」
理解の可能性を検討する際の手がかりになると考えられる。
当日は,すでに行われてきた聾文化研究を例示しながら,非聾者
による「聾文化」研究の可能性と困難性について論じていきたい。

樫田美雄 「ろう文化」研究とエスノメソドロジー:当事者主義を超えて
 『社会調査実習』で「ろう者バレーボール」を扱っていて、
マッキーブニーの議論を知った。マッキーブニーはろう文化に
endemic(固有)な何物かがある、それを探求するんだ、というが、
そのような考え方には、どれだけの正当性があるのだろうか。
「手話」というコミュニケーションの道具が問題ならば、手話の
わかる健聴者にも、ろう文化は理解できるはずである。「きこえ
ない」という経験の共有が重要だというのなら、それはどのよう
な面でどのように重要なのだろうか。人類学、フェミニズ
ムの成果などをもとに考えていきたい。

=交通について=
なお、筑波には、東京駅南口から「筑波センター」行きの
高速バスが出ており、筑波センターからは、筑波大学中央
行きのバスが出ています。「人文社会学系棟」は中央図書館の
脇の建物で、最寄りのバス停は、「第一学群棟前」です。
東京駅から全部合わせて1時間40分位(1500円位)
で着きます。筑波センターにはタクシーターミナルもあり、
大学まで10分くらいです。


********************



Yoshio KASHIDA(kashida.yoshio@nifty.ne.jp
徳島大学総合科学部 樫田美雄
勤務先住所)〒770-8502 徳島市南常三島町1-1
直通電話・ファクス)088-656-9308(内線2384)
自宅電話・ファクス)088-654-5194
※メールアドレスは、昔のまま(HCB00537@nifty.ne.jp)
でもつきます(2000年3月)。


REV: 20160629
社会学  ◇学会/研究会
TOP HOME (http://www.arsvi.com)