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SOSHIREN 女(わたし)のからだから

http://www.soshiren.org/

優生手術に対する謝罪を求める会 参加グループ

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last update:20180528

◇82優生保護法改悪阻止連絡会(阻止連) 432
 Liaison Conference for the Prevention of Undesirable Amendments to the Eugenic Protection Act 82

◆SOSHIREN 女(わたし)のからだから
〒162-0065 東京都新宿区住吉町3-4 ローゼンハイム505 ジョキ内
FAX 03-5211-0099 E-mail:gogo.soshiren(at)gmail.com


 

■優生保護法ホットライン(電話相談)一覧(2018年5月21日)

http://www.soshiren.org/motomerukai/hotline2018_01.html(上記文面と若干の相違があります)
◆2018/05/21
 優生保護法によって強制された不妊手術に対する国賠訴訟の第二次提訴が、2018年5月17日、札幌、仙台、東京で行われました。この提訴にあわせて、5月21日(月)に、第3回目となる全国一斉弁護士相談(ホットライン)が開かれるとのお知らせがありました。全国38都道府県で実施するとのことです。
 時間(一部、5月21日ではない地域もあります)、電話番号等の一覧のファイルを掲載します。38実施か所のうち、22箇所が弁護士会による実施、その他は有志や弁護団による実施となっています。
 ご本人、またはご家族、関係者からのご相談を受け付けているとのことです。どうぞ情報宣伝にご協力ください。よろしくお願いします。下記ファイルに記されているのが実施時間と番号です。ファイルはエクセル版とPDF版があります。下記ファイルはダウンロードされてかまいませんので、拡散等にご利用ください。
 [XLS] [PDF]

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関心がある人は、機関誌を定期購読するとよいと思います。賛成とか反対とかの前に、自分で考えるための情報が少ないのです。SOSHIRENの機関誌は役立つ数少ないメディアのひとつだと思います。入手方法などの問い合せは上記へ。(立岩)(定額カンパ月500円)

関連人物/関連事項/機関誌『私(わたし)のからだから』

■目次

◆20180521
 優生保護法ホットライン(電話相談)一覧(2018年5月21日)
◆20021220
 厚生科学審議会科学技術部会ヒト幹細胞を用いた臨床研究のあり方に関する専門委員会への意見書
◆20020609
 不妊月間の分科会 ビデオ&トーク「もうひとつの不妊――生命を選別できますか?」
◆20000225
 村上正邦参議院議員の「経済的理由」削除発言に抗議します
◆19990114 鹿児島大学医学部倫理委員会
 受精卵の着床前遺伝子診断臨床応用に関する要望
◆19980903
 「クローンに関する基本的考え方について」への意見書
◆19980722
 第10回先端医療技術評価部会の論議に対する意見書
 『女のからだから』157号(19980728)p.10
◆19980703
 日本産科婦人科学会への抗議文
 『女のからだから』157号(19980728)p.3
◆19970403 日本人類遺伝学会に
 胎児条項の導入に反対する意見書

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■不妊月間の分科会案内 ビデオ&トーク「もうひとつの不妊――生命を選別できますか?」

2002年6月9日(日曜日)午前10:00〜12:00
東京ウイメンズプラザ視聴覚室A
SOSHIREN女のからだから/DPI女性障害者ネットワーク/からだと性の法律をつくる女の会

 「不妊」と聞くと、子どもができない状態や不妊治療をさすようになってきた今日この頃ですが、1948年以来「優生保護法」という法律のもとで、ハンセン病の患者さんもふくめて、妊娠できないようにする手術(不妊手術または優生手術)を受けさせられた人々がいます。なかには、本人は希望していなかったり、知らない間に不妊手術をされたりしたケースもあるのです。そして、このような人権侵害を許してきた背景にある「優生思想」は、今また不妊治療の先端技術にも影響をあたえつつあります。

「赤ちゃんを産んでもいい人/産んではいけない人」
「生まれてきてよい生命/生まれるべきではない生命」
と分けることは可能なのでしょうか?わたしたち人間は、生命の「質」を選別してもいいのでしょうか?

 多胎妊娠の減数手術、精子バンク、着床前診断などのSF世界のような先端技術、一方では人権の視点がほとんどない、戦後日本の不妊手術に関する歴史や堕胎罪…。これらの題材を扱ったドキュメントビデオを見ながら、今すすんでいる不妊治療技術への不安や危機感、どうしたら、私たちがもっと心地よく暮らせるのか、などなどについて、パネラーの話を聞きながら、一緒におしゃべりしようという分科会です。

パネラー 南雲 君江(DPI女性障害者ネットワーク)
     山本 有紀乃(からだと性の法律をつくる女の会)
     
大橋 由香子(SOSHIREN 女のからだから)

 この分科会は、6月8日9日に開催される「レッツ・トーク・不妊!」(WIMジャパンプログラム)のなかの一つ。他にもたくさんのセミナー、シンポジウム、サロン、分科会が開かれます。参加費は、1日券1500円、2日券2500円、ワンプログラム券1000円。プログラム全体の問合せは、п彦ax03−5207−5848 実行委員会まで。

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■意見書 厚生科学審議会科学技術部会ヒト幹細胞を用いた臨床研究のあり方に関する専門委員会

厚生科学審議会科学技術部会ヒト幹細胞を用いた臨床研究のあり方に関する専門委員会 御中
2002年12月20日
SOSHIREN女(わたし)のからだから

 貴委員会は、死亡した胎児の利用についてヒト幹細胞臨床研究の指針案に盛り込む方向で進んでいると聞きます。しかし、この問題について、審議が十分に尽くされているとは思えません。このまま指針案がまとめられることには、反対です。

1.死亡した胎児の臨床研究利用がすでに行われているのは事実ですが、その実態は把握されているのでしょうか。一言で「死亡胎児」といっても、人工妊娠中絶、流産、死産など、原因はさまざまです。すでに行われている利用は、どの場合にどのような手続きを経ているのでしょうか。提供しているのは誰か――妊娠していた女性本人なのか別な人なのか、インフォームド・コンセントは行われているのかなど、まずは実態を把握するべきでしょう。

2.ヒトの人体の利用自体、まだ社会的合意に至っているとは言えません。胎児の利用には、いっそうの社会的な議論が必要です。胎児という存在をどう位置づけるのか、本人の意志確認が不可能であることをどう考えるのか、誰が提供者となるのか。これらについて、答えられるだけの議論を、委員会はしているのでしょうか。すでに行われていることを前提に、それを認めるための審議をするだけでは、貴委員会が存在する意味がありません。

3.胎児の死亡理由がどの場合であっても、女性にとって心身に大きな負担があることは、言うまでもありません。仮に利用を認め、女性本人が提供者となるのであっても、女性がおかれた状況に配慮し、その負担を増すことの無いよう、慎重に検討されなければなりません。

4.一つの研究の承認が、新しい問題を引き起こす場合もあります。例えば、胎児の利用を目的とした妊娠と中絶が行われる可能性、そのために女性の身体が利用される可能性も、指摘されています。そのことについて、委員会は充分な認識をもって審議しているのでしょうか。仮に死亡した胎児の利用を認めるとしても、新たに起こり得る問題を検討し、そうしたことを引き起こすことが無いよう、行う上での条件を規定すべきです。

 死亡した胎児の臨床研究利用について、時間をかけた慎重な議論が行われるよう要望します。指針案作成の前に、実態を把握するための調査、一般市民にその情報公開・意見聴取を先に行ってください。


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■抗議文 村上正邦議員・厚生省母子保健課

村上正邦参議院議員の「経済的理由」削除発言に抗議します

 去る2月1日、第147回国会・参議院本会議で、村上正邦議員は国務大臣に対する質疑として「経済的理由の条項を削除した母体保護法に改めるべきである」と、発言されました。私たちは、このことに強く抗議します。
 経済的理由の削除は、刑法堕胎罪が存在する現在、実質的に中絶の禁止を意味します。中絶を禁止してもヤミ中絶がなくならないことは、世界的にも歴史的にも見られる事実です。むしろ、安全で合法的な中絶を受けられなくなることで、女性が健康を害してしまうことは、はっきりしています。
 村上議員は質疑の中で、「終戦間もないころの苦しい生活、住むに家なし食糧不足という時代に、いわば経済的理由から緊急避難的な規定として中絶を法律の傘の中にいれて黙認してきたものであります。生命の尊厳が失われてきたのであります。」と発言されています。議員は母体保護法が優生保護法であった時代から、こうした発言を繰り返されています。しかし、議員の関心の的は結局、出生率なのではないでしょうか。敗戦直後と事情は異なるとはいえ、産み育てられる社会的、経済的基盤が現在もないこと、その中で現に生きている女性の健康や人権はまったく考慮されません。
 そして、旧優生保護法の障害者に対する差別と偏見に、議員は言及されたことがあったでしょうか。その差別と偏見が今も是正されず、障害者や女性たちを苦しめている現状は、今回も問題にされていません。
 中絶をめぐる問題に本気で取り組むのであれば、法律改訂の他にも、するべき事はたくさんあります。予期せぬ妊娠をふせぐためには、女と男の性における対等な関係の実現、性に対する偏見の除去、障害者に対する差別・偏見の除去、年齢を問わず性や避妊の情報が提供されること、シングルマザーに対する偏見の除去と子育て支援など、真剣に検討されるべきです。
 村上議員が、以上の事を充分に考慮され、今回の母体保護法からの「経済的理由」削除発言を撤回されることを求めます。

2000年2月15日
SOSHIREN 女(わたし)のからだから

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■受精卵の着床前遺伝子診断臨床応用に関する要望

鹿児島大学医学部倫理委員会御中
委員長大井好忠殿
委員各位殿

 永田行博産婦人科教授が申請された受精卵の着床前遺伝子診断の臨床応用について、貴委員会が検討しておられると聞きいています。また、その実施の承認が近いのではないかとの報道を見ました。この技術、およびその臨床研究を日本産科婦人科学会が承認した経緯に、私たちは多くの疑問をもっております。
 着床前遺伝子診断の実施は、病気や障害をもつことが、本人・家族・社会にとっての不幸であるという誤った考え方をいっそう強めるのではないか。診断可能となる病気の、治 療についての関心が低下するなど、現にその病気とともに生きている方々の人権侵害をもたらすおそれはないか。病気や障害のない子供を産まねばならないという女性に対する圧迫を強めるのではないか。そうした強い懸念を私たちは持っております。日本の社会は残念ながら、上記のような心配は無いと言える状態ではありません。差別の強化や、子供を持とうとする人々の不安を作り出す危険性がある技術は、実施すべきでないと考えます。
 貴委員会が、技術の背景にある社会の状況と、そこに技術が与える影響を熟慮され、受精卵遺伝子診断の実施を不可とされるよう要望します。

1999年1月14日
SOSHIREN 女(わたし)のからだから
東京都新宿区富久町8−27ニューライフ新宿東305
電話・FAX:03−3353−4474

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■「クローンに関する基本的考え方について」への意見書

 私たちは、女性のからだ、産む・産まない・産めないといったリプロダクティブ・ライツに関わる活動を82年からしている女性グループです。貴委員会の中間報告について、以下のような意見を提出します。
 「クローン技術の人個体産生への適応」は、女性の卵子と子宮なしには実現不可能な技術だと思います。そして、卵子を提供する女性、その子宮が使われる女性を道具化します。したがって、私たちはこのような技術には強く反対します。

1998年9月3日
SOSHIREN 女(おんな)のからだから
京都新宿区富久町8-27 ニューライフ新宿東305ジョキ内
電話&FAX 03(3353)4474

科学技術庁のクローン小委員会「クローン技術に関する基本的考え方について」に対する意見募集に対して

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■第10回先端医療技術評価部会の論議に対する意見書

厚生科学審議会先端医療技術評価部会御中
委員長 
高久 史麿 殿

 去る6月22日に開かれた、第10回厚生科学審議会先端医療技術評価部会でなされた議論について、私たちの意見をお送りします。
 出生前診断に関する議論の中で、松田委員が、『妊娠中絶するかしないかは、母親、女性の決定権によるべき。決定の決め手は重篤であるかであろう。重篤かどうかの判断についてWHOは、母親に任せるべきとしている。』という趣旨の発言をされました(17/25)。さらに、『母親の経済的心理的負担が強い場合に中絶が許されるというふうになれば、胎児条項はいらなくなる』との趣旨でも発言されました(18/25)。
 性と生殖にかかわる女性の自己決定権を主張してきた者として、松田委員の発言をふくむ今回の議論を看過することができません。私たちがどのような意味で自己決定権を主張してきたかをここに書きます。

 *女性の性と身体が、社会的に尊重することを求める
 *国による人口政策、優生政策に女性の生殖機能が利用されることに反対する
 *子供をもつかもたないかを、女性本人が決める(性別や障害の有無で選別することを含んでいません)
 *産むことも産まないことも、避妊も、不妊手術も、性のあり方も、強制されることや選択圧力がかけられることに反対する

 これらの実現のためには、子供を産んでも産まなくても、その女性が障害者でもそうでなくても、産んだ子供が男でも女でも障害児でもそうでなくても、産んだ女性も生まれた子供も差別を受けない社会(人々の考え方、制度面ともに)が必要です。それがないままの「自己決定権」は──3月18日の貴部会で私たちが主張したように──「個人の選択」を隠れ蓑にした、あらたな優生政策に他なりません。女性には、性と生殖の自己決定権がそなわっていると私たちは考えます。しかし、堕胎罪、人口政策・優生政策、女性への差別など、女性をとりまく社会的状況が圧力となって、決定権の行使を困難にしています。そのことに変更を求めているのです。
 貴部会の議論は、女性をとりまく社会的圧力の存在を見ていません。とくに松田委員は、女性の自己決定権を”障害児を産まない権利”と置き換えており、女性の運動の主張を曲解されておられる、あるいは社会に曲解させようとしておられるように感じられてなりません。委員は「赤ちゃんが障害でも産むということも決められる」(20/25)とも言われていますが、障害児を産む決定をどう保障するかについては、どなたも言及されていません。ようやく金城委員が「女性の自己決定権を行使するに対して酷なような状況をできるだけなくしていくような制度的仕組みをつくっていくべき〜」(19/25)と言われました。この趣旨を、カウンセラーを養成すればいいとだけ解釈しないでいただきたい。女性が自己決定権を行使するとは、生殖技術の枠中の議論で済むことではなく、広く社会の制度的仕組みを変えるべき問題だからです。現在の社会の仕組みの中で、生殖技術が女性にかけている圧力──酷な状況──を検証し、議論していただきたく思います。

1998年7月22日
SOSHIREN 女(わたし)のからだから
新宿区富久町8−27ニューライフ新宿東305ジョキ内
TEL&FAX 03−3353−4474
『女(わたし)のからだから』157号(19980728)p.10より転載(入力:立岩)

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■抗議文 日本産科婦人科学会


日本産科婦人科学会 御中

 日本産科婦人科学会が、受精卵の着床前診断の臨床応用を認める決定をしたと聞き、私たちは強い驚きと怒り、大きな失望を感じています。市民からの意見聴取や対話をじゅうぶんに行ったという貴学会の判断にも、疑問を抱かざるをえません。以下に、私たちの意見を述べます。

1.今回の決定で、貴学会はこれまで不妊治療に限定していた体外受精の応用範囲を、子どもの選別へと広げました。体外受精は、言うまでもなく女性の身体から排卵誘発した卵子を取り出し、その後また体内に入れるものです。排卵誘発による副作用で亡くなった方もいます。しかも治療周期あたりの生産分娩率は96年度で12.3パーセントでしかありません。このような技術が女性の身体にどのような負担を与えるかについての認識、さらには障害者や女性に対する社会的差別への認識が、貴学会にはあまりにも欠如しています。

2.着床前診断は、受精卵に人為的操作を加える技術を認めたということです。これが、社会的にどのような意味をもつのか。こうした技術が、今後さらに別な技術へと発展する可能性を開いたことが妥当なのか──これらは、医師、研究者だけで決めるべき問題ではありません。もっと社会のなかで人々によって議論されるべき問題です。

3.着床前診断は「重度の遺伝性疾患」に限定して使用するとして、すでに病名をあげています。これは、一昨年にやっと廃止された優生保護法の別表がもつ差別的な思想を復活させるものです。障害や病気をもつ人が安心して生きられるようにするという医療の役割を放棄するものであり、人間を「生まれるべき命」と「生まれるべきでない命」とに分断することを意味します。
 98年4月の理事会で、市民との討論が不十分だったとして承認が見送られたあと、6月10日に2度の公開討論会が開かれました。しかし、開催の宣伝機関が極端に短く、平日の午後4時半開催で、そもそも多くの参加者は望めないような設定でした。その公開討論会においても、そして第1回目の公開討論会においても、着床前診断の臨床応用認可は、時期尚早、あるいはそのような技術を人間が使ってよいのだろうか、という疑問がパネリストから多く出されていました。とりわけ、「重い遺伝性疾患」と特定されるであろう病気の当事者や、その親から疑問が出されました。これらの意見を真摯に受け止めるならば、今回のような決定がなされるはずはありません。貴学会がいう「民主的手続き」や「市民との対話」が、いかに形だけのものか、このことからも明らかです。
 今からでも遅くありません。今回の決定を撤回し白紙に戻して、先端技術が私たち人間に何を及ぼすのか、医師・研究者は倫理的に何をすべきであり、何をすべきでないのか、急がず、慎重に議論することを求めます。そうやって市民との信頼を築いていく中でのみ、新しい技術は社会に認知されると私たちは考えます。

1998年7月3日
SOSHIREN女(わたし)のからだから
新宿区富久町8−27 ニューライフ新宿東305
電話/FAX 03−3353−4474

『女のからだから』157号(19980728)p.3より(入力:立岩)

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■胎児条項の導入に反対する意見書

日本人類遺伝学会殿
日本人類遺伝学会理事長 中込 弥男 殿

1997年4月3日
SOSHIREN 女(わたし)のからだから
新宿区富久町8−27
ニューライフ新宿東305ジョキ内
03−3353−4474

 3月30日の読売新聞によれば、日本人類遺伝学会は、遺伝性疾患をもつ胎児の中絶を認める胎児条項を母体保護法に導入するよう、国に求める方針であるとのことです。私たちは以下の理由から、このことに強く反対します。

1.胎児条項は、女性の自己決定と相反するものです。
 私たちは、女性のからだと性と生殖に関する決定は本人自身が行うものと考え、刑法堕胎罪と母体保護法を廃止し、女性の自己決定にもとづく法律をつくることを求めてきました。私たちが求めるのは、子供をもつか否かの選択を保障する法律であって、子供を性別や障害の有る無しで選ぶものではありません。選択の保障とともに、女性が性とからだに関する情報を充分に得ることができ、子供がいるかいないか、子供に障害が有るか無いか、どちらの場合でも差別や不利益を受けない状況が必要です。女性の自己決定は、それらがあってこそ成り立ちます。
 障害者を差別する社会は、今でさえ”五体満足”な子供のみが望まれ、障害児を産まないように仕向けて女性を苦しい立場に立たせています。さらに胎児条項をつくることは、この傾向を強めるばかりです。女性の立場と人権を貴会が認識せず、さらに条件を付けて縛ろうとすることに、強い憤りをおぼえます。

2.胎児条項は、優生保護法の改正に逆行します。
 私たちは障害に対する偏見や差別を、なくしたいと願っています。昨年、優生保護法が不十分ながら改正され、障害者を差別する優生思想の条文がやっと削除されました。胎児条項をつくることは、この改正に逆行して優生思想を深めることになります。これを許すことはできません。記事に「(胎児条項がない)今のままでいることが障害者の人権を尊重することにはならない」との理事長の発言がありますが、条項の導入が障害者の人権を尊重するとの意味でしょうか。理解できません。
たとえ重い遺伝性疾患に限っての中絶条項であっても、障害や遺伝性疾患全体に、否定的に作用することは明らかです。このことは、障害者だけでなくすべての人々を脅かすことになるでしょう。

3.胎児条項は、国が法律で差別を行うことになります。
 現行の母体保護法では、人工妊娠中絶を許す条件に該当するかどうかを医師が認定し、本人と配偶者の同意を得て行うことになっています。言ってみれば、国が医師に認定を委ねて、国の意思において行われることなのです。ここに胎児条項を加えるのであれば、それも国の意思の反映に他なりません。このような法律を、私たちは持ちたくありません。

 以上のことから、日本人類遺伝学会が胎児条項導入の方針を撤回されるよう、求めます。

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■関連人物

大橋 由香子 ◇高久 史麿 ◇米津 知子

■関連事項

医療と社会  ◇科学技術と社会  ◇性(gender/sex)  ◇生殖技術  ◇日本産科婦人科学会  ◇フェミニズム  ◇優生学・優生思想

■『私(わたし)のからだから』

 001〜050
 051〜100
 101〜150
 155〜(151〜154/164/177/187× 〜189(189×2?→190?)


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*増補:北村 健太郎
REV:20131003, 20160531, 0629, 20180507, 0528
生殖技術  ◇優生学・優生思想  ◇フェミニズム  ◇科学技術と社会  ◇組織

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