コロナの影響で事業所が閉鎖する状況も少なくない。また本人の希望で利用を一控えることも結構多くある。その中で、厚生労働省は、「現場に負担をかけるため、実態把握は今後もする予定はない」と答えた。
2月8日(月)、「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」実行委員会は、厚生労働省と意見交換会をもった。
多くの人たちの関心の的である通勤・就労中の介助の在り方について、「昨年10月から始まった地域生活支援事業は、自治体による手挙げ方式のため、区に掛け合っても未だに支援を受けることができない」と参加者は訴えた。これに対して厚労省は「今後、地域生活支援促進事業として開始されたら介助費用を遡って保障することもあり得る」とした。実行委員会は、「促進事業化は半歩前進に過ぎない。利用制限をなくし、介護サービスの中で使えるようにすべき」と強く主張した。
ところで実行委員会は、2020年8月に起きた、患者に卑劣な虐待を加えた神出病院について、「法律を改正することは重要だが、事件後も神出病院は開いていて入院患者がいる。こんなことはあって良いのか」と追及したが、厚労省からの明確な回答はなかった。
またコロナ感染者が増えてきた。第4波に入ったと捉えることもできる。私たち障害者がコロナに感染すると相当厳しい状況に追い込まれる。施設で暮らしている人たちは社会から孤立を余儀なくされる。是非ともコロナ感染者数を抑え込んでほしい。
今国会に障害者差別解消法改正案が提出された。民間事業者に対しての合理的配慮を義務化するのが大きな目玉である。紛争解決の仕組みはイマイチだが、相談体制の充実をうたっている。完全に満足できる内容からは少し距離はあるが、改正されることは一歩前進と捉えられる。
少しずつ解散風が吹き出し、与野党の対決モードが強まりつつある。障害者差別解消法改正案は5月の連休明けた頃審議予定らしい。何かのきっかけで改正案が飛ばなければいいと思う。
障害者政策委員会はそういう状況の中、3月22日新しく衣替えした形で開催され、この障害者差別解消法改正案、「しょうがい」表記などについて議論が交わされた。今後改正障害者差別解消法の基本方針の在り方などが政策委員会の協議日程に入っている。
障害者権利条約の国連審査もコロナ禍で遅れている。
優生保護法裁判、1型糖尿病年金訴訟、65歳を過ぎた障害者に対する介護サービスの在り方の裁判など、見逃せない裁判も多い。
私たちは当事者として声をあげ続けていく必要がある。光は必ず見えてくる。
5月12日(水)、国連の障害者権利委員会は脱施設化ガイドラインのためのアジア太平洋地域のヒアリングを行われた。23団体と1個人が参加し、日本から尾上裕亮を含め4名が発表した。尾上は脱施設化の一方法としての重度訪問介護の利点(自分で生活の予定が決めやすいこと)と課題(通学・通勤の制限、支給決定が医学モデル等)について述べた。ヒアリングで多かった内容としては、東南アジアではコロナウィルスに加え、コレラなどの感染症の脅威にも晒されていること、脱施設化の政策がなかなかとられないこと等。
権利委員会は、今年の上半期に全地域から意見聴取を行い、9月頃にガイドラインを作り始め、2022年に出来るようにするという。
5月28日(金)、参議院本会議で障害者差別解消法改正法が可決成立した。改正法では、民間事業者に対する合理的配慮を義務化した。また、国・地方公共団体の連携の責務を追加した。一方、差別の定義については類型やその定義については盛り込まれなかった。障害者団体が強く求めていたワンストップ窓口については、調査・研究するという。
改正法をもとに細かな考え方を示す基本方針などが、障害者政策委員会などでの議論となるので注視していく必要がある。
5月30日(日)「DPI日本会議全国集会」がオンラインで開催された。改正障害者差別解消法の問題、障害者虐待防止法改正の緊急性、障害女性の問題等々が多面的に議論された。
障害連は6月22日(火)東京都福祉保健局と住宅政策本部に対し下記の要望に基づいて、意見交換会を行った。
前向きな具体的回答は、ほとんど得られなかった。
1.にある「ヘルパー派遣の継続について」は、通知を通して「そのように行っている」と答え、「障害特性を十分に配慮した対応を」についても「そうしている」と回答したものの、「入院した事例はあるか」との問いに対しては「把握していない」と述べるにとどまった。「生命の選別を行わないこと」に対しては「その考えはない」とした。また「制度の谷間のない障害施策」については「国に要望している」とした上で、「市区町村の補助事業の中にあるかもしれない」としたが、「具体的にどこが行っているかは把握していない」と述べた。住宅問題については、必要な住宅が不足していることが明らかになったものの、具体的前進は見られなかった。
障害連の出席者は、尾上代表など8名であった。
白井誠一朗さんは、いわゆる「難病」という定義の中に、@治療法が確立されていないA長期の療養が必要とするものなどが整理されていると話しました。そして「『生活のしづらさ調査』に基づく障害福祉サービスのモデル事業をしてはどうか」としました。
続いてパネルディスカッションでは、医学モデルが根強い障害福祉サービスの問題を当事者たちが議論。1型糖尿病当事者より障害年金裁判から見た課題についても明らかにされました。厚労省は医学モデルで考え、当事者の苦しみの声に一切耳を貸そうとしないという姿勢で貫かれているとしました。
また、他のパネリストたちは、障害者総合支援法を受給してもワーカーから怠け病と見られてしまい、事業所も選べるどころか説明するのもエネルギーを消耗するので、その影響でまた寝込んでしまうとの悪循環に陥ってしまう等の話がなされました。そしてやはり「生活のしづらさ」を基にサービスを提供してほしいことを異口同音に訴えました。
指定発言に入り、権利条約では障害は環境を重視する社会モデルで考えられている、そして韓国は障害者手帳を廃止に向けて動いているとのことでした。さらに厚労省はなぜ障害の定義を障害者基本法に合わせないのか、と強い発言もありました。