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障害者の生活保障を要求する連絡会議(障害連)・2005

Liaison Council for Guaranteed Livelihood of Disabled People
http://www9.plala.or.jp/shogairen/

障害者の生活保障を要求する連絡会議(障害連)



◆2005/01/13 『障害連事務局FAXレター』92号
 JD、グランドデザインで"見解"と"緊急意見書"を厚労省に提出
◆2005/02/01 『障害連事務局FAXレター』94号
 5月に全身性障害者問題でシンポジウムを企画――どうなるグランドデザインによって?
◆2005/03/01 『障害連事務局FAXレター』96号
 アメリカ研修報告 Part1 太田修平
◆2005/03/31 『障害連事務局FAXレター』97号
◆2005/06/09 『障害連事務局FAXレター』99号
◆2005/06/14 『障害連事務局FAXレター』96-2号
 アメリカ研修報告 Part2 太田修平
◆2005/08/01 『障害連事務局FAXレター』100号
 障害者自立支援法案、参議院でぎりぎりの攻防
◆2005/08/09 『障害連事務局FAXレター』100号
◆2005/08/09 『障害連事務局FAXレター』101号
◆2005/08/10 『障害連事務局FAXレター』102号
 「『障害者自立支援法案』改善運動の中間まとめと新たな展開を目指す緊急フォーラム」開催 熱い討論が交わされる
◆2005/10/13 『障害連事務局FAXレター』102号
 障害者自立支援法案 参議院厚生労働委員会で可決
◆2005/11/29 『障害連事務局FAXレター』105号
 交通行動東京実行委、JR東日本と交渉を行う−ハンドル型電動車いす問題で平行線−


 
 
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◆2005/01/13 『障害連事務局FAXレター』92号

  JD、グランドデザインで"見解"と"緊急意見書"を厚労省に提出

 皆さま、どんなお正月をお過ごしでしたか。今年もどうぞよろしくお願い申し上げます。

  さて現在、社保審障害者部会でグランドデザインに基づく障害者関係法制の見直しが議論されていますが、JD(日本障害者協議会)は、1月7日(金)に"応益負担の導入に関する見解"と"「改革のグランドデザイン(案)に対する緊急意見書"を厚労省に提出しました。

  障害保健福祉部の村木企画課長は、「負担できる方についてはしてもらって、サービスを受けられるようにするという考え方。現状においては、世帯で考えていくというのは、社会的なコンセンサスを得ていることなのではないか」と述べるとともに、「自立生活支援にむけた抜本的な改革を今行なおうとしているところ。住宅や就労問題についても、手がけようとしている」などと答えました。

  "障害福祉サービス法"から"障害者自立支援給付法"と新しい法律の名前の案が変わったことについては、「障害福祉サービス法だと、総合福祉的なニュアンスがあり、内閣法制局が認めなく、法律の内容に沿った名称とした」と答えました。

  法律の名称ばかりではなく、内容においても障害者団体の間では"応益負担""谷間の障害者""認定審査会"などなど、多くの問題点が指摘されており、今後、厚労省や国会に対し強い折衝が求められています。

 なお新しい法律は、この春にも国会に提出され、議論されることになります。

2005年1月7日
厚生労働大臣
尾辻 秀久 殿
日本障害者協議会
代表 河端 静子
応益負担の導入に関する見解

  厚生労働省がこのほど公表したいわゆる「改革のグランドデザイン(案)」(以下、グランドデザイン)の中で、サービスに対する応益負担の導入が明示されている。
  本協議会は、今般の「応益負担制度」に対して全面的に反対するものである。
  私たちはこの30年あまり、個人としての独立を訴え、家族に依存することのない社会を実現するため、諸々の政策提起を行ない続けてきた。具体的には、扶養義務範囲の見直し、本格的な所得保障制度の確立、そして地域社会で生活できる社会基盤の整備などであった。
  改めて過去を顧みるとき、障害基礎年金創設がいかに重要であったか、このことを痛感させられる。当時の厚生省と私たちの思いが重なり、不十分とはいえ障害のある人びとを対象とした固有の所得保障制度が、その第一歩を踏み出したのであった。所得の保障は、経済条件の改善に留まらず成人に達した障害のある人びとの独立性の尊重という点においても、新たな政策観に道を開くものであった。こうした動きと関連しながら、施設を利用する者の費用負担にあたっては、親・兄弟の収入要件が外されることになった。昨年度から施行されている支援費制度においても、この考え方が踏襲されているのである。
  今般のグランドデザインは、利用者の費用負担をめぐって、これまで積み重ねてきた考え方を大きく突き崩すものである。応益負担の導入は言うに及ばす、費用負担が同居家族にまで及ぶというのは、障害のある人びとの「独立性の尊重」という観点からも絶対に受け入れられるものではない。とくに、応益負担については、その多くが障害基礎年金のみで生計を維持していることを承知しながらなぜこうした方向を打ち出すのか、どう見てもまともな政策感覚とは思えない。応能負担との混合制度であるとはいうものの、その基本を応益負担に切り換えたこと自体が重大な問題なのである。そもそも、グランドデザインで示された一連の制度そのものが障害のある人びとにとっては「益」と言えるものであろうか。社会に生きていく上での最低条件であり、決して「益」などと言われる代物ではないのである。また、負担割合の増という点でも将来の不安は拭えない(当面は1割負担とされているが)。
  応益負担導入の理由として、高齢者施策など他制度との整合性を掲げているが、このことは極めて機械的な公平論であり、強引な方便であると言わざるを得ない。障害の重い人びとと高齢者との決定的な差異は、資産形成が図りにくいということである。また、社会資源の整備状況は、高齢者よりはいっそう厳しい状況にある。事業者側に有利な条件下にあって(いわゆる売り手市場)、経済基盤の脆弱な障害のある人びとが、応益負担の導入でこれまで以上に不利な条件に立たされることは火を見るより明らかである。結局は、障害のある人びとを、再び親や兄弟の扶養の中に押し込めかねないのである。社会保障審議会での論議やグランドデザインの中で幾度となく繰り返されている、自己決定や自己選択の本質は何であったのだろうか。「財政抑制のためには手段を選ばず」、私たちにはこのようにしか感じられないのである。
  本協議会はすべてのサービスを無料にと言っているわけではない。人間としての尊厳を求めているのである。政策全体が発展する過程で、負担のあり方が検討の俎上に上がることは決してやぶさかではない。障害者福祉のみならず、社会福祉全般について、市民や利用者がどう負担していくか、今後のわが国における重大な政策課題であり、本協議会としても積極的にこの議論に参加していく用意がある。
  今般のグランドデザインは、いくつかの点で私たちの要望を反映しているものである。しかし、応益負担の導入はこれらを打ち消して余りある政策後退である。障害者団体と厚生労働省とで培ってきた、障害の重い人びとの自立や独立をめぐっての共通認識をご破算にするという意味からも残念でならない。今般の応益負担の導入について、ここに改めて明確に反対の意を表し、その撤回を求めるものである。


2005年1月7日

厚生労働大臣
尾辻 秀久 殿
日本障害者協議会
代表 河端 静子

「改革のグランドデザイン(案)」に対する緊急意見書

  本協議会は厚生労働大臣に対して、既に「改革のグランドデザイン(案)」に対する意見書を提出しているところです。
  このグランドデザインの中では、「障害福祉サービス法」の創設がうたわれ、本協議会が長年提言し続けてきた"総合的な障害者福祉法"の成就かと淡い期待を抱きました。しかしその後の折衝の中で、質的に違うものであることが明らかにされ、残念の一言です。そして新しい法律名称は「障害者自立支援給付法(案)」となることと新聞報道がされています。本協議会としても、支援費全体が裁量的経費から義務的経費へとしていく方向性については、大きな前進と受けとめています。
  さて本協議会をはじめ多くの障害者団体が障害の重い人たちの家族の依存からの独立を政策の重要課題として掲げて運動を進めてきた結果、障害基礎年金の創設、そして施設や支援費の費用負担の範囲から親兄弟をはずすなどの施策が実現されてきました。さらにそれを通して障害者団体と厚労省との間でこの課題についての共通認識化が深められると同時に、家族から自立・独立できる制度的な基盤の確立は、中長期的な課題ともされてきたことは周知のことと思います。ところが、今回の高齢者施策との整合性を図る名目によるサービスの応益負担の提案は、障害の重い人たちを再び家族の扶養の中に閉じ込めさせかねず、さらにこれまで障害者団体と厚労省が築いてきた蓄積もご破算にしかねないグランドデザインの名に値しないものといえます。障害者の家族からの独立という重要課題を考えた時に、まず所得保障政策の充実が先決課題です。
  また障害者プランの着実な実行をすすめていくには、障害のある人の希望やニーズに応えられるよう社会資源を多様に整備し、人材育成等、地域生活の支援と自立を支えるシステムを実質的に確立することが求められています。 
上記の認識にたち、本協議会として以下の通り「改革のグランドデザイン(案)」に対して意見をあらためて申し上げる次第です。



1.障害者本人はもとより、家族の負担を強める応益負担を撤回すること
2.「谷間の障害者」を生じさせることがないように、全ての障害を包括する定義を確立し、等級制度、手帳制度を見直し、社会的自立や社会参加などに個々のニーズに対応するサービスを提供できるシステムをつくること(総合的な障害者福祉法あるいは社会サービス法の創設)
3.本格的な所得保障制度を確立すること(基準額は、生活保護制度における生活扶助、障害加算、住宅扶助を合算する額相当とすること)
4.精神障害者の社会的入院の解消、地域社会での生活の具体化を早急に図るため法制度および社会資源の整備に努めること。また医療費の自己負担の導入については、障害者自身にとって過度な負担となりかねず、当事者・関係団体と十分な協議を重ね、万全に慎重を期すること
5.障害者の就労支援については、労働・福祉の分野が連携し一体的に進め、障害者雇用政策の全体的な見直しの中で位置付けていくこと
6.地域生活への移行を着実なものとするため、個々のニーズに対応しうる社会資源の整備、人材育成を強力に進めていくこと
7.サービスの決定にあたっては、環境を考慮した上、社会参加など個々のライフスタイルに基づいて、総合的なニーズを反映させる仕組みとし、介護保険の障害程度区分は導入しないこと
8.サービスの認定・決定に際して、利用者参加を保障すること
9.認定審査会の中に障害当事者団体の参加を保障すること
10.市町村のサービス認定基準については、公開するものとすること
11.地域活動センターについては、障害者の日中活動の重要性に鑑み、財源面での配慮が十分になされること
12.個別性が高い全身性障害や知的障害に対する移動支援は個別給付とすること
13.希望する障害者に対し、介護費用を直接支給するいわゆるダイレクトペイメント方式を導入すること

以上


 
 
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◆2005/02/01 『障害連事務局FAXレター』94号

1月の役員会から
5月に全身性障害者問題でシンポジウムを企画
―どうなるグランドデザインによって?―

  1月27日(木)どろんこ作業所の地元である田無公民館で役員会が行なわれた。5月16日(月)に総会を行なう予定であるが、それとあわせて、"全身性障害者と自立"をテーマに、シンポジウムを開くことになり、以下の内容で検討が行なわれた。

・一昨年の9月に行なった"全身性障害者と自立"をテーマとするシンポジウムの続編とする。

・今回は極力具体論で話し合えるようにしていく。

・全身性障害者が成人した以降の生活の場のあり方、共同作業所や施設について検証していき、それらの中で全身性障害者がどういう立場に位置しているのかを見据える。またその延長線上として、自立生活センターがどういう役割を果たしているか、また逆にそれらには何が求められているのか、考えていく。

・今回グランドデザインが示されたが、今後新しい政策の中で、全身性障害者の生活がどのように変わっていくかについても議論する。

・グランドデザインでは、地域生活支援への政策転換がうたわれているが、全身性障害者にとって自立問題を考える時、「親子関係」のあり方を考えないわけにはいかず、家族問題の視点を加えていく

・これらの議論をしていく上で、全身性障害者、特に脳性マヒの人にとって言語障害が自立や社会参加のネックになっているという論点をおりまぜていく。

・上に記した観点で具体的な問題提起をしてくれる人をシンポジストにお願いする。今後の障害連の具体的な政策提起や行動に、このシンポジウムそ役立てることができればと思う。


 
 
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◆2005/03/01 『障害連事務局FAXレター』96号

アメリカ研修報告 Part1 太田修平

ADAの国アメリカ

 障害者分野にとって、アメリカといえばADA、あるいは自立生活運動ということになる。今回内閣府の研修で、アメリカで自立生活運動が高まっていったのか、少し理解できた。
 JDの推薦を受け、内閣府の「青年社会活動コアリーダー育成プログラム」のアメリカ団長として2004年10月27日から11月5日まで、ワシントンDCを中心に視察研修を行なった。あらかじめ断っておくが、団長は「青年」でなくてもよいようだった。
 団員は、知的障害者の福祉工場の職員、高次脳機能障害のカウンセラーなど、私を含めて6名であった。この報告では特に印象に残った重度の脳性マヒ問題に絞っていきたい。
 アメリカでプログラムを組んで下さったのは、100年近い伝統を持つNPOのイースター・シールズのルッタさんであった。NPOといっても日本で言えば大きい財団法人、あるいは社会福祉法人という感じである。
 教育省に訪問し、インクルーシブ教育の理念に基づく障害児教育の実態を聞いたり、ミネタ運輸長官を表敬訪問し、ADAによる交通のバリアフリー化について話を聞いたりした。
 やはりこれらの話を通して行政自身が"差別"の問題に前向きに取り組んでいこうとする姿勢がうかがわれ、その点では日本との大きな違いを感じさせられた。

アメリカでも「親亡き後」の問題が

 以前から私はアメリカの脳性マヒの人たちがどういう暮らし方をしているのか、その実態を知りたいと思っていた。2日目の障害者団体リーダーとの夕食会でケンプさんという脳性マヒ協会の人と同じ席になった。といっても彼は脳性マヒではなく、ポリオなのであるが。「障害のない人が大人になり、家族では面倒見きれなくなった場合はどうなるんですか」と私は彼に尋ねた。すると「多くの人たちは施設かグループホームに行きます。でも最近は施設がなくなってきているのでグループホームに行く人が多いです。アメリカではヘルパーを雇うには相当なお金が必要となるので、大体は面倒見きれなくなるまで親が介護をしているのが実態です。お金がない場合は国からの補助金によって介護をまかなうことは可能ですが」と答えてくれた。これは全く日本と同じ状況に他ならない。
 この夕食会でジャスティン・ダート夫人とお会いでき、懐かしい思いでいっぱいとなった。彼女は現在も一線で障害者運動を支えているようだ。
 3日目にニュージャージー州の自立生活センターの見学であったが、実はアメリカ出発前にオリンピックセンターで出発前研修があり、私の疲労もピークに達し、残念ながらホテルで休んでしまった。他の団員の話を聞くと、障害をもつ当事者が説明案内し、当事者がすべてをやっているので「感激した」との報告があった。でも、そこでは脳性マヒらしき人はいなかったと、もう一人の団員は話してくれた。

(JD「すべての人の社会」NO.295より転載)次号に続く

障害連ホームページのアドレスは以下の通りです。
http://shogairen1976.hp.infoseek.co.jp/


 
 
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◆2005/03/31 『障害連事務局FAXレター』97号

  今、障害者自立支援法案が国会にかけられています。たとえ障害が重くても、施設ではなく、地域社会の中で暮らしたいと誰もが思っています。また20歳に達したら、親兄弟に依存することなく、自立した生活をみな強く望んでいます。
  この法案は、障害者が地域社会で暮らしていけることを促進する法案とされています。確かに今年度から在宅に関する予算も国が責任を持つ義務的経費となりました。これは大きな前進と捉えることができます。しかし、それと引き換えに原則1割の応益負担が導入されます。また、生計を同一にする者からも費用負担を求めることとなっており、これは親兄弟からの独立を求め、ひとつひとつ現実化された歴史の流れから大きく逆行するものと言えます。激変緩和措置がとられているものの、多くの親と同居している在宅障害者は上限額の4万200円を負担することになってしまいます。親に迷惑をかけたくないがために、サービスを自己規制してしまうことも十分に予想されます。
  私たち障害連の中には施設で暮らす仲間が多くいます。生活施設については、今回食費に加えてホテルコストの負担も求められます。厚労省は経過措置等も図るとしていますが、基本的には、施設入居者の手元に2万から2万5000円残るようなシステムをつくる考えのようで、外出の介護費用や、地域社会の自立生活に向けた蓄えなどについても考慮がされていません。施設で暮らしている仲間たちは決して十分な介護が保障されている状況にはありません。現状において地域生活を現実のものにつなげられる人はほんのわずかです。そればかりか、精神的なストレスや二次障害などで体力や気力をそぎ落とされている仲間たちが多いのです。
  障害連は地域生活支援の流れを強く支持します。しかし今回の障害者自立支援法案が、障害の重い人たちの社会的自立や社会参加を可能とさせる内容のものとは思えません。障害程度区分や実際の認定がどうなるのかも、厳しい事態を見据え、非常に気がかりです。
 支援費と介護保険との統合議論や、グランドデザインで提起されている問題は、日本の障害者施策の積もり積もった矛盾によってもたらされたことは確かです。それを解決していくには社会福祉政策全体の底上げの視点が重要です。
  障害連は、論議不十分の障害者自立支援法案に諸手を上げて賛成をすることはできません。障害者自立支援法案に改革的部分が少なからずあることは認めますが、それは極めて不十分で、下手をすれば障害のある人の自立や生活を破壊させかねず、時間をかけた論議と一定の合意形成こそが今求められていると言えます。
  JD・DPIなど8団体はしっかりとスクラムを組み、要望の共通項をまとめ、改革に向けたうねりを大きく展開させ、国会や政府厚労省との創造的な協議が求められています。
  障害連は、全国の障害当事者仲間や関係者の運動と連帯していくことを改めて決意いたします。

2005年3月31日

「障害者自立支援法」を考えるみんなのフォーラム
〜 どうなる どうすべき 私たちの明日を 〜

地域で暮らしたい。仕事をしたい。生きがいを持ちたい。        
障害があってもなくても、みんな同じ願いです。
支援費制度のおかげで、目が見えなくても、知的障害があっても、ガイドヘルパーの支援を得て、家族の手を借りずに、病院にいくことができます。精神面に障害があっても、安心して受けられる医療があれば、地域で暮らしています。聞こえなくても手話通訳がいれば、社会の活動に参加ができます。職場や作業所に行けば仲間がいます。障害があっても、グループホームで支援があれば、地域で自立した生活ができます。今の暮らしと、社会への参加がわたしたちの願いです。
「障害者自立支援法」は700万人の障害者とその家族、あわせて2500万人以上の日本人の生活に影響を与える法律です。わたしたちの声を社会へ、国へ、届けるために、5月12日、東京・日比谷に集まりましょう。

2005年5月12日(木)10時
東京:日比谷公会堂・日比谷野外音楽堂
参加費:無料
主催: 日本障害者協議会
協賛: 社会福祉法人日本身体障害者団体連合会 社会福祉法人全日本手をつなぐ育成会
財団法人全国精神障害者家族会連合会 特定非営利活動法人DPI日本会議
社会福祉法人日本盲人会連合 財団法人全日本ろうあ連盟 社団法人全国脊髄損傷者連合会
5.12フォーラム事務局:日本障害者協議会
〒162-0052 新宿区戸山1-22-1 電話03-5287-2346 ファックス03-5287-2347


 
 
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◆2005/06/09 『障害連事務局FAXレター』99号

障害連シンポジウム「全身性障害者の社会的自立に向けてPart2
"特に家族との関係を考える"」を行なう。

5月27日(金)一昨年に続いて障害連シンポジウム「全身性障害者の社会的自立に向けてPart2」として、"特に家族との関係を考える"を東京都障害者福祉会館で行なった。
全身性障害者の社会的自立や、独立を考えるにあたって、親や家族との関わりが重要な問題となってくる。

この日最初のシンポジストの山下智子さんは現在多摩市で暮らしている全身性障害者で言語障害もある。彼女は「私の親は特別かもしれないけど、自由放任であった。自立生活を始めるときも反対は受けなかった。家から自立をして妹ともいい関係になっている。自分は現在水泳やボッチャなど障害者スポーツを行っている。そういう関係で海外に行くこともあるが、そのときは妹に介助を頼んだりもして、お互い刺激しあう関係になっている。東京ヴェルディの練習場の近くに引越し、ヴェルディの選手ともみんな友達になっている。障害者運動以外の生き方もあっていいのではないか」と、若者らしい新鮮な発表を行なった。

次に発表した土屋葉さん(日本学術振興会)は研究者の立場から「日本における家族というものは、当事者同士の愛情などの"結びつき"と、社会が家族に対して求めるものとに、矛盾というか混同などが生じている面がある。愛情があるからということで扶養を家族に押し付けてきた。本来それらは社会福祉として行なわれるべきもの。自立支援法案は扶養義務を持ち出している部分もあり、復古調である」と分析した。

3番目の吉田敏彦さんは「全身性障害者の多くは幼い頃から専門家に囲い込まれ、学齢期になれば、養護学校という隔離された場での教育を受けている、そのような中では、自己決定に必要な自己確立というものが育たないのではないか。自立生活運動は自己決定を基調としているが、自己確立がなければそれは難しい。ピアカウンセラーと呼ばれる人たちとの擬似親子体験のようなものよりも、障害者運動のリーダーが先輩として若い人たちを引っ張っていくことが自己確立を考える上で重要である」と論じた。

最後に金澤恂さん(障害連幹事)は、「障害者と家族のあり方の前提として、平和の問題を訴えたい。私は戦争体験をしているが、憲兵からいつ殺されるかという恐怖感にさいなまれていた。今、結婚し幸せな人生を送っているが、現在の政治状況をみると、また歴史が繰り返されるのではないか、という気配を感じざるを得ない。そういう意味で、個人の幸福や家族の幸福を築いていくには、平和は大きな課題であり、憲法9条はなにがなんでも守っていかなければならない」と平和の重要性を強く訴えた。

この後、フロアから「山下さんは楽しいことばかりに聞こえるけれど、生活上苦痛なことはないのか?」との質問に対し、「介助者を入れた生活なので、ある程度スケジュールが介助者に影響を受けることは苦痛であるが、苦痛があるからこそ楽しいこともより楽しめる」と山下さんは答えた。さらに「家族からの独立を成功させるには、親をどう説得し、納得させるかという技術的な問題も深く関わりそう」などの意見も出た。

さらに土屋さんからは「今日話したことは、ここ20年来の親子モデルであって、金澤さんの話はまた新鮮であった」と付け加えがあった。

障害連はこの種のシンポジウムを今後も開催し、全身性障害者の社会的自立や生活問題について、引き続き考えていきたい。

障害者自立支援法案 ますます緊迫

5月12日(木)JDは「障害者自立支援法を考えるみんなのフォーラム」を、DPIは「全国大行動」を展開、あわせて9000名近くが日比谷公園・厚労省周辺に参集した。

これらの運動を受けて、国会での審議で各議員よりこの法案の問題点がするどく指摘され、当初予定されていた日程より大幅に採決が遅れており、混迷度は増している。

しかし政府・厚労省は、大幅な譲歩を考えているとみられるものの、応益負担問題など基本的な考え方については、崩そうとしていない。

2005〜2006年度障害連総会行われる

 シンポジウムのあった5月27日(金)、東京都障害者福祉会館で2005〜2006年度の障害連総会が行なわれた。

障害者自立支援法問題でDPIやJDと連携をさらにとっていくことなどを柱とした活動方針が承認された。また方針には運動の絞込みや、東京都に対する取組みも盛り込まれている。

役員体制については、当面現状の体制でのぞんでいくことを確認した。


 
 
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アメリカ研修報告 Part2

太田修平
基本的には専門家主導
 3日間のホームステイが終わり、私たちはイースター・シールズ・リハビリテーションセンターがあるデラウェア州へとワシントンバスでから2時間かけて向かった。そこは、児童、成人通所、外来リハビリなどがあるわりと大きい施設であった。
 成人通所の雰囲気を見ると日本の作業所に似たものを感じさせた。おおよそ20人くらい利用者がいたように思う。職員と利用者の比率は1:6とのことである。脳性マヒや脳血管障害の人が多く、ゲームなどをしていたり、新聞を読んだりという感じで、そのうち利用者同士がケンカを始めるという、日本の施設でもよく見る光景だった。ただ、職員主導でプログラムをつくっているようで、利用者のやる気もあまり感じることができなかった。
 実はその2日後にイースター・シールズ・デラウェアセンターという別のデイケアセンターにも行ったが、印象は同じであった。デラウェアセンターの方が障害の重い人が多いにもかかわらず、前のセンターより活気が少しあったかもしれない。職員に「利用者はどういう手続きで入ってくるのか」と聞くと、「州の福祉担当部局の紹介で利用が決定する。デイケアセンターは家族の介護の経験が主な目的であり、おそらく州には200名ぐらいの待ちリストがあるだろう」と答えてくれた。ヘルパーの派遣について聞いてみると「デラウェア州の場合、週に21時間が上限」と述べた。今日本では支援費問題等で揺れているが、アメリカの状況は非常に深刻と言える。
 また2日前に話を戻すが、リハビリテーションセンターの見学の後、就労支援施設とグループホームに行った。就労支援施設から一般企業への就職率はかなり高いようで、みんないきいきと働いていた。グループホームの居住者は4人でほとんどが脳性マヒの人のように見受けられた。日本でいう生活保護のような補助金で運営されていて、もちろん個室となっていた。でも、私が予想していたより少々狭く感じられた。月々居住者の自由になるお金は約60ドルという。この少なさに驚かされた訳だが、グランドデザインが発表され、日本の厚労省も今同じことを考えているのだと痛感させられている現在である。
 居住者に「皆さんの夢は」と質問すると、「夢なんてない」と答える人、近所の中学校に通っている人もいて、「中学の卒業証書をもらうこと」と答えてくれる人もいた。また「ここを出て自立をすること」と言った人もいたが、そのそばから職員が「私たちは彼らのこれ以上の自立に期待していない」と水を差してくるのである。グループホームというと私には当事者主体の生活の場ということがイメージされるのだが、見学も全部職員が仕切って案内をするなど、日本のどこかの施設を連想させるものがあった。
 総じてアメリカでは専門家の力が強いように思われた。専門家に対抗して当事者によるサービスをと考えて自立生活運動は急速に広がりをみせていった訳であるが、残念ながら未だにその運動が全体の底上げにはつながっていないのだろう。
楽しかったホームステイ
 さて、ホームステイでは、車いすのまま自家用車を自由に乗りこなすラッセルさんの家にお世話になった。兄弟二人だけで暮らしているのだが、いかにもアメリカという感じの並外れて家と庭が大きい。彼の車に乗せてもらい、近代文明を否定した生活様式を守るアーミッシュの人たちが経営するお店に案内してもらったことは忘れることはできない。
 この他企業のNPOに対する貢献の大きさなどにも驚かされたが、他の機会にまわしたい。
(JD「すべての人の社会」NO.295より転載)


 
 
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◆2005/08/01 『障害連事務局FAXレター』号
 自立支援法案、参議院でぎりぎりの攻防

 会期末の8月13日が迫る中、障害者自立支援法案は、郵政法案の動きも絡み合って、その行方は混沌とした中にある。衆議院が解散されると廃案となる公算は大きい。一方、郵政法案が可決された場合、厚労省は定例日以外の日でも委員会を開催し、何としても成立を図りたい意向と聞く。強行採決の可能性もあるような話もささやかれている。

 このような中、DPIやJILを中心とした「全国大行動実行委員会」は、8月1日から5日にかけて国会前を中心に連続行動に取り組んでいる。
 一方、JDは、8月1日と2日、要望書を持って議員要請行動を行い、国会内で学習会も開催した。2日間でのべ200名以上が参加した。
 また、JDは10日(水)にはある程度大きめの集会を企画している。

 私達当事者が納得できる法律にするには、この際継続審議とし、次の国会できちんとした法律に仕上げていく必要がある。
 最後まで力を尽くしていきたい。

 なお、JDが参議院議員に出した要望書は下記の通りである。


「障害者自立支援法案」に関する緊急要望書

  日頃より障害者政策に深いご理解をいただき、心より感謝申し上げます。
  さて、現在参議院で審議中の「障害者自立支援法案」ですが、居宅支援サービスの義務的経費化など、地域福祉への転換をめざす方向性などについては、評価できる部分もありますが、利用者への原則1割の応益負担の導入など、看過できない本質的な問題点が大きく横たわっております。応益負担を論議する以前に、所得保障の確立やサービス基盤の拡充など、障害者施策に関する基幹的な政策課題の解決に道を開くべきです。
  また、本協議会は、2年連続して生じた支援費の大幅な財源不足の問題については、障害者施策に係る予算の見積もりに誤りがあったと認識しています。
 「障害者自立支援法案」をより良いものにしていくために、さらには多くの障害者の不安や懸念を払拭していくためにも、これらの問題点の解決法を含め十分に時間をかけ、徹底的な慎重審議が必要であると考えます。障害者に関する政策問題が、今回のような形での国会論議になったことはかつてなく、丁寧かつ分かりやすい審議を重ねて切望します。
  以上の問題点などを整理し、解決していく視点をより明確にされ、あわせて下記の具体的な問題について、法案の修正を含め、審議に反映していただきたく、心からお願い申し上げます。



1.応益負担制度(原則1割の定率負担制度)等の再検討を
いわゆる「応益負担制度」(原則1割の定率負担)の導入については、障害者政策の根幹に関わるものであり、またこれへの反対や不安の声は日増しにひろがりを見せている中にあって、関連する課題の検討を含め施行の延期を図るべきである。少なくとも、今後検討されるであろう、本格的な所得保障制度と同時に施行すべきである。なお、「応益負担」問題をめぐる本質的な検討に加えて、並行して次の諸点の解明を図るべきである。

@入所施設の利用者に対する食費、光熱水費等(ホテルコスト)の自己負担の額は、社会参加を含めた文化的生活が営める範囲内とすること。また居室形態を選択できない状況にあって、個室利用料を求めないこと。
A本人のみの所得に着目し、家族に費用負担が及ぶことは避けること。
B就労支援の場での利用者負担は求めないこと。

2.所得保障確立の具体化を
本法案の修正案要綱第三の二で「就労の支援を含めた障害者等の所得の確保に係る施策の在り方についての検討事項を追加するものとすること。」とあるが、今国会中に、おおよその目標水準、対象範囲、検討日程、検討体制などを明らかにすること。

3.サービス基盤整備に関する時限立法を
障害者が地域社会で生活するための社会資源が未だに大きく不足している事態に鑑み、この具体的整備を目的とする緊急時限立法を制定すること。



その他の要望項目

1)現行の障害者医療制度の存続
現在、更生医療・育成医療、そして、精神障害者の通院公費負担医療制度を利用している人たちの、必要な医療を受ける権利が損なわれてしまわないように、これらの制度を存続させること。なお、今後のあり方については当事者・関係者を含めた十分な論議を重ねていくこと。

2)あらゆる障害をサービスの対象に
難病や発達障害、高次脳機能障害といわれている人びとなど、すべての障害を障害者自立支援法の対象とすること。

3)活動や参加のニーズを満たすサービス決定を
障害者に対して市町村がサービスの支給決定をするに際して、単に日常生活動作の状況で、
サービスの内容を決定するのではなく、その内容と量は、社会参加等社会的活動を他の市民と同程度行える可能性を十分に有するものとすること。なお市町村審査会においては「障害程度区分の二次判定」にとどめ、非定型的支給決定の審査は行わないようにすること。

4)審査会メンバーに障害者を
市町村審査会ならびに市町村障害者福祉計画の検討に際しては、障害者の地域生活について経験や知識等が豊富にある当事者を構成メンバーに加えることを、法律または政省令に明記すること。また利用者が希望する際には、当該の市町村審査会で意見を表明できるようにすること。

5)重度障害者の長時間介護保障を
重度障害者(医療支援を必要とする人たちを含む)が安心して自立生活ができるサービス水
準を確保すること。そのために、重度障害者の一人暮らしを想定した国庫負担基準を設け、一日24時間の介護保障が可能になるようにすること。また政府が提起している「重度包括支援」あるいは「重度訪問介護」の対象者、サービスにかけられる経費等、その中身を明らかにさせること。そして障害者が介護者を自己選択・自己決定できる仕組みをつくっていく考えがあるのかを質すこと。

6)移動介護を義務的経費に
障害者の社会参加にとって重要なサービスである移動介護は、義務的経費である個別給付とすること。個々のニーズに基づいて利用できるような仕組みを継続すること。

7)コミュニケーション保障は国の責任で
コミュニケーションの保障は、あらゆる制度利用と社会参加の基本となるものである。手話通訳や要約筆記等のコミュニケーション支援については、国が責任をもって財源保障をする仕組みにすること。

8)地域活動支援センターを義務的経費に
一人ひとりのニーズと障害に応じた働く場や日中活動の場をもっと増やすこと。雇用と福祉の一体的な体制を図り、雇用や仕事の発注面で、企業ももっと応援すること。とくに、一般就労が困難な人のための働く場を拡充し、地域活動支援センターについては義務的経費である個別給付とすること。

9)障害程度による振り分けはしない
障害程度によるグループホーム、ケアホーム等への振り分けを行わず、また、グループホーム内のホームヘルプ、ガイドヘルプ利用を存続すること。

10)子どもの福祉は公的責任で
障害児福祉に関して、発達・育成期にあることをふまえて、現行の公的責任による施策を維持すること。


あとがき

 障害連FAXレターもおかげさまで100号となりました。
何か記念特集を組みたいと考えていましたが、自立支援法案問題で追われています。
今後ともよろしくお願いいたします。

障害連のホームページアドレス
http://shogairen1976.hp.infoseek.co.jp/


 
 
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◆2005/08/09 『障害連事務局FAXレター』101号

DPI日本会議やJILを中心とする「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」実行委員会が8月8日(月)アピールを出しました。
 以下全文を掲載します。


「障害者自立支援法案」廃案を受け、障害者の地域生活確立を求めるアピール


 本日、参議院本会議での郵政民営化法案の否決を受けて、衆議院が解散されることとなった。そして、衆議院解散に伴って、参議院で審議中だった障害者自立支援法案は廃案となった。
 直接的には郵政法案による情勢を受けてのものではあるが、ここに至るまで障害者自立支援法案の審議が延びてきたこと自体、「私たち抜きに私たちのことを決めないで」と言った、障害当事者による粘り強い取り組みによるものである。
 2月に当事者抜きで法案上程がなされたことに対する抗議行動に続き、5月には9000人の障害者・関係者が日比谷公園周辺に集まり、2000名の国会請願が行われた。さらに、7月には歴史に残る1万1000人の障害者・関係者による国会請願デモが取り組まれ、「このままの障害者自立支援法案では自立はできません!」との痛切な声が国会周辺に響き渡った。
 また、国会審議が行われる度に連日国会周辺でのアピール行動が取り組まれるとともに、全国各地で地域集会が取り組まれてきた。
 だが、7月13日に衆議院・厚生労働委員会、15日に本会議で採決が行われ、与党多数で可決され、参議院に送られた。その後、参議院では1回委員会が開催されただけにも関わらず、強行採決の動きすら噂されるような状況にあった。
 私たちは当事者抜きで拙速につくられた法案が、国会で十分な審議や見直しが行われずに、このまま通過していくことは到底認められないと訴え続けてきた。

 「障害者自立支援法案」廃案という事態を前に、当事者からの不安の声や問題指摘に耳を傾けずに一方的に法案を作成−上程したことへの、政府・厚生労働省の真摯な反省を求めるものである。国会でも指摘された通り、厚生労働省が出したデータに対する信頼性が揺らぎ、社会保障審議会障害者部会での議論の在り方が問われている。また、その反省に立って、小手先の修正による再提案ではなく、障害当事者との丁寧な議論をじっくりと行い、一からやり直すことを強く求めるものである。
 この間、福祉・医療の応益負担の導入、重度障害者に対する長時間介護サービスの確保、審査会による支給決定の問題、移動介護の個別給付化、障害程度別のグループホームの再編とミニ施設化等の課題が指摘されてきた。そして、このままの自立支援法案では、ノーマライゼーション理念、施設から地域へという流れにブレーキがかかり、障害者の地域生活を根底から揺るがすことになるとの提起がなされてきた。こうした意見を真摯に受け止めることが必要である。


 障害者自立支援法案の国会審議の最中に「もし、法案が今国会で成立しなければ、来年1、2月の2カ月分の予算が確保できなくなる」との説明が繰り返されてきた。だが、今回、国会で廃案が選択された以上、障害者サービスが後退することのないよう、予算確保に向けて政治の意志が示されることを、与野党に対して要請する。
 特に、過去2年の支援費の予算不足とは異なり、国庫負担金として170億円の予算は確保されている。予算の費目を超えて利用できるようにするための国会決議を行うとともに、それでも不足する場合には補正予算も含めた予算措置がなされなければならない。

 さらに、障害者自立支援法案での議論では、日本の障害者関連予算は国際的に圧倒的に低水準にあることが明らかになった。とりわけ、障害者の地域生活に関わる予算確保とサービス基盤整備について、飛躍的な充実が求められている。
 こうした点をふまえて、「障害者の地域生活基盤整備・特別措置法」のような措置を行い、当面の基盤整備を行うことが必要である。

 以上、今度こそ、私たち当事者の声に基づいた政策決定がなされることを、心より求めるものである。


2005年8月8日
「障害者の地域生活確立の実現を求める全国大行動」実行委員会
代表 横山晃久


 
 
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◆2005/08/10 『障害連事務局FAXレター』102号

「『障害者自立支援法案』改善運動の中間まとめと
新たな展開を目指す緊急フォーラム」開催 熱い討論が交わされる

 8月10日(水)日本障害者協議会主催の「『障害者自立支援法案』改善運動の中間まとめと新たな展開を目指す緊急フォーラム」が東京・ニッショーホールで約830名が参加し、開催された。
 基調報告を行った藤井常務理事は、「この間の運動の成果は非常に大きかった」としながらも、「厚労省は秋の特別国会で、障害者自立支援法案を再提出する考えを明らかにしている」と述べ、今後の運動の重要性を指摘した。
 シンポジウムは、竹田保氏(北海道 ホップ障害者地域生活支援センター代表理事)、高井博之氏(大阪府 障害者自立支援法を考える大阪のつどい実行委員会)、水谷幸司氏(全国心臓病の子どもを守る会事務局次長)、中村文子氏(日本自閉症協会東京支部長)、太田修平(JD企画委員長)が発言し、この間地域での運動が立場を超えてまとまって成果をあげてきたことや、障害者公費医療制度が解体されようとしているのではないかという懸念、そして総合的な障害者福祉法などの課題などが討論された。会場からも応益負担問題を中心に多くの意見が出された。
 なお、以下のアピールを採択した。

 アピール

  8月8日、郵政法案の参議院本会議での否決による衆議院解散に伴って、「障害者自立支援法案」が廃案となりました。私たち日本障害者協議会(以下、JD)は、この法案の真髄である応益(定率)負担制度の問題を中心に、全国の障害当事者や家族、関係者の声を束ねながら、一貫して「慎重審議を、徹底審議を」を求めてきました。
  今回の廃案という事態をどうとらえるのかということですが、衆議院解散に至るまで法案採決がなされなかったことに、先ずは重要な意味を見い出すことができるのではないでしょうか。
  そもそも厚生労働省(以下、厚労省)は、6月19日までの国会会期中に成立させることを想定していました。「私たちのことを決めるのに、私たち抜きで決めないで」「拙速に採決しないでください」「応益(定率)負担は納得できません」、こうした訴えは、市民の共感を得、全国的なひろがりを見せたのです。JDを含む障害団体の存在と運動は、これからの障害者政策づくりのあり方にも、少なからず影響していくものと考えます。
  さて私たちは、わが国の障害者政策について、全体的かつ早急な改革が必要であると考えます。また2年連続の予算不足等にみられる支援費制度の「破綻」は、厚労省による障害者施策関連予算の見積もりの誤りに原因していることを再三にわたって指摘してきました。とくに、今年度の支援費予算は10ヵ月分のみの計上で、残り2ヵ月分の支援費予算をいかに埋め合わせるか、加えて来年度予算をいかに確保するか、これらが喫緊の課題となっています。当面の混乱を回避し、また予算の積算を正確に行うよう、厚労省の誠実かつ責任ある対応を切望します。
  なお、障害者施策に関わる費用負担の基本的な考え方についてですが、私たちは、収入に応じた支払額が定められる「応能負担制度」が妥当であると考えます。収入の認定に際しては、あくまで障害当事者のみの収入とすべきで、「家族丸抱え」の政策思想からの脱却が求められます。また、働く場での利用料負担も容認できません。
  JDは、改めて「障害関連8団体」など、関係団体との連携と協調を模索し、厚労省や国会(各政党)などとの調整や意見交換を重視しながら、とくに下記の諸点の実現に向けて尽力していく所存です。引き続き、市民の皆さんのご理解とご支援を心から呼びかけます。



1.今年度計上されていない2ヵ月分の必要な支援費予算、並びに来年度予算の確保に向け、政府・厚生労働省は全力をあげてください。
2.すべての障害を包括した「総合的な障害者福祉法」を早急に制定してください。
3.障害の重い人びとを中心とした、本格的な所得保障制度を確立してください。
4.社会参加と地域生活支援を目的とした基盤整備に関する時限立法を制定し、働く場や住まい、人による支えなどの社会資源の飛躍的な拡充を図ってください。
5.立法作業を含む障害者政策の策定あるいはその遂行にあたっては、「当事者参画」を実質的なものとしてください。とくに、審議会のあり方については、根本的な見直しが必要です。

2005年8月10日
『障害者自立支援法案』改善運動の中間まとめと新たな展開をめざす緊急フォーラム 
参 加 者 一 同


 
 
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障害者自立支援法案 参議院厚生労働委員会で可決

 8月の衆議院解散の影響で、通常国会で廃案となった「障害者自立支援法案」は、この特別国会に再提出され、参議院から審議が始まり、10月13日(木)参議院厚生労働委員会で可決された。
 政府・与党は、10月末までに衆議院での成立をはかる構えである。DPI・JIL系の「全国大行動実行委員会」などは、連日国会前で行動をし、JDも今週参議院議員に対する要請行動を行なっている。
 今日の質疑でも厚生労働省の中村局長は、「水道や電気と同じように、サービスは買うものである」ことを強調し、強気の答弁を繰り返していた。
 来週から衆議院での論戦が開始されるが、民主党は支援費制度の中で在宅サービスを義務的経費化するなどの内容の対案を用意しており、どのように展開していくか、関心がもたれる。
 「全国大行動実行委員会」やJDなども、引き続き慎重審議を求める行動を続ける予定である。
 いずれにしても衆議院段階では、この法案の重要な部分である政省令の内容を明らかにさせていくとともに、障害者政策を将来に渡ってどのように発展させて、全国レベルで水準を引き上げていくかという視点に立った、改革の道筋を明らかにしていくことを求めたい。


 
 
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◆2005/11/29 『障害連事務局FAXレター』105号

交通行動東京実行委、JR東日本と交渉を行う
−ハンドル型電動車いす問題で平行線−

11月28日(月)、交通行動東京実行委員会はJR東日本本社と交渉を行った。この日は、約80名が参加した。東京近郊のみならず、関西からも参加してくれた仲間もいた。

この日、中心に話し合われたことは、10月16日(日)の統一行動でハンドル型電動車いすで参加した仲間の乗車を拒否した問題であった。新宿駅のエレベーターが出口が直角式であったためである。

統一行動当日は、三班に分かれて行動したが、新宿駅、渋谷駅それぞれで3〜4時間駅側と「乗せろ」「乗せない」でもめた。

28日(月)もJR東日本は、「新宿駅はハンドル型電動車いすについてはインターネット等で乗れない駅とお知らせしてあるので、所定の手続きに従ったまで」と、反省の色を全く見せなかった。現実にはエレベーターに乗れたにも関わらず、駅員が一時間半もドアをおさえ、エレベーターの昇降をとめていたのである。

「なぜハンドル型電動車いすは直角型エレベーターに乗れないのか」と何人かが鋭く追及したが、「切り返しが適当になり安全性が保たれない」と理由にならない回答をするばかりであった。JR東日本以外の会社で乗車を認めているところもある。

4時間にわたった交渉は解決を見出せず、今年中に回答できる立場の人が出席することを条件に、再度交渉をもつことを確認し、解散した。

その他、ホームドア・ホームゲートの設置などを求めたが、「検討中であるが、具体的には難しい」などと、消極的な回答がほとんどであった。


UP:20050119 REV:0201 0303 0415 0616 0801,13 1014 1224
障害者の生活保障を要求する連絡会議(障害連)
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