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2011年度 「生存」の人類・社会学研究会

グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点院生プロジェクト
2009年度 「生存」の人類・社会学研究会
2010年度 「生存」の人類・社会学研究会




■ 計画 ■
◆研究課題◆
『「生存」の人類・社会学』研究構築に向けた若手研究者ネットワークと調査方法論開発の土台作り

◆プロジェクト研究メンバー:計7名
【研究代表者】
岩田 京子 立命館大学大学院先端総合学術研究科博士課程共生領域
【研究分担者】
吉田 幸恵 立命館大学大学院先端総合学術研究科博士課程公共領域
西嶋 一泰 立命館大学大学院先端総合学術研究科博士課程共生領域 ※企画担当
新山 智基 立命館大学大学 衣笠総合研究機構ポストドクトラルフェロー(GCOE「生存学」拠点)
松田 有紀子 立命館大学大学院先端総合学術研究科博士課程共生領域 ※事務担当
永田 貴聖 立命館大学大学院先端総合学術研究科 研究指導助手/非常勤 ※アドバイザー
【事業推進担当者】
天田 城介 (立命館大学大学院先端総合学術研究科准教授)



◇研究計画◇
T.研究内容等および「生存学」創成拠点にもたらす効果
@研究内容、目的、意義
 本研究会は2009年度から始動したグローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点院生プロジェクトである。近年の人類・社会学分野では、若手研究者たちが中心となり、「障老病異」の諸問題に直面する人々・地域・集団が展開する生存実践に焦点を当てる研究の蓄積が進みつつある。本研究会の目的は、この動きを受け、本拠点として、生存実践に焦点を当てる研究を蓄積し、他大学当該分野関係者と交流することにより、「『生存』の人類・社会学」を構築するネットワークの基礎を作り上げることにある。
 本研究会のメンバーは、ハンセン病施設での生活実践に焦点を当てた研究、アフリカ地域での疾病予防に取り組む国際NGOの連帯を分析する研究、芸能活動を軸とした町おこしを試みている地域の研究、生存戦略として芸能の継承を媒介とした社会的小集団を形成する芸妓たちの研究、日本人と家族関係を結ぶことで在留資格・国籍などを取得し、国境を越えた移動そのものを生活基盤とする新しい世代の外国人たちの生存戦略の研究、都市において住民や外部者により社会的・経済的・宗教的な生存戦略として語られる、風景管理に関わる言説の研究を展開している。
 昨年度は、「生存」現場との提携の試みとして、過疎地域での芸能活動による町おこしの実践を取り上げた。また、芸能サークル和太鼓「ドン」・「BATI-HORIC」との共催ワークショップを開催した。さらには、研究方法論の蓄積と若手研究者間のネットワーク構築として、学外の若手研究者を招請し、活発な議論を交わした(詳細はhttp://www.arsvi.com/o/s28.htmに掲載)。昨年度の目的は、多くの若手研究者との交流は図ることで、ネットワークの基礎作りと調査方法論開発の土台作りをすることであった。そのため、研究プロジェクトの年間を通じての活動は、研究会・ワークショップ等の交流の場を確保することが主となっていた。
 今年度は個々のメンバーが主体となり、より活発に学外の若手人類・社会学者たちとのネットワークの拡大と情報共有を深めていくことを目指す。具体的な活動内容は、研究メンバーによるフィールドワーク、調査の成果報告・検討会を学内外の若手研究者とともに開催、フィールド調査を行う人類・社会学の調査方法論についての検討、および本拠点のWEBSITEを活用した研究成果の共有である。今年度、個々人の調査を重視する理由には、昨年度の研究基盤をもとに、自身の研究を発展させていくことを目指すためである。無論、調査を通じての研究者との交流は重要であり、それでの交流・ネットワークの構築は研究プロジェクトを充実させていくためにも必要不可欠である。長期的なプロジェクトを見据えた計画となっている。
 本プロジェクトが持つ意義は、これまで困難な、また顧みられていない状態に置かれていた人々を「生存学」研究を通じて明らかにしていくこと、また若手研究者との交流による研究の蓄積と充実を図ることで、本拠点における大きな課題となっていた「障老病異」研究とその調査方法を構築・蓄積していくことにある。

A「生存学」創成拠点にもたらす効果
 昨年度実施したワークショップ「マツリの生存学〜呑メヤ踊レヤ生キ残レ!〜」および「バイオエシックスの人類学×社会学」報告は、いずれも「障老病異」に関連する人類・社会学的研究の蓄積を進める重要性を示すものである。今後はこの成果を引き継ぎ、本拠点において、さらに幅広い「障老病異」に関連する「生存」実践を模索する地域、個人、集団の活動に焦点を当てる研究、調査方法論を蓄積し、『「生存」の人類・社会学』プロジェクト構築に向けた土台作りを行う。特に人類・社会学において行われているフィールドワーク手法を用いた研究の蓄積、方法論の検討は、本拠点における大きな課題である。本研究会では、医療、福祉、介護、障害の問題に集約されない幅広い「障老病異」研究と調査方法論の蓄積、若手研究者の交流に取り組む予定である。これらの活動が、多様な困難な状況に置かれている人々によるより幅広い「生存学」研究につながると確信している。

U.研究計画・方法・研究成果発表の方法
【研究メンバーによるフィールドワーク】
(1)岩田京子による京都の寺領に関する資料の調査
 東京の国立公文書館および林野庁図書館での資料収集を行なう。近代以降に寺院が/を社会的に成り立たせた基盤のひとつとして、山林をはじめとする所領がどのような変化を経てきたのかを調査する。その変化が、地域における宗教施設、都市の中での風景の要素・空間としての寺院の生存のあり方に影響したのかどうかを考察するための基礎作業である。

(2)吉田幸恵による国立ハンセン病資料館での資料収集及び聞き取り調査
東京の国立ハンセン病資料館での資料収集及び聞き取り調査を実施する。本拠点では、これまで、ハンセン病に関する研究・情報を蓄積し、吉田幸恵もその一員である。そのため、本調査がもたらす効果は大きい。

(3)西嶋一泰による大川平荒馬踊りの調査
青森県東津軽郡今別町にておこなわれる民俗芸能、荒馬踊りのフィールド調査を実施する。マツリをいかに継続しつつ、そのマツリによっていかに地域が生き残っていくのか、民俗芸能研究、コンテンツマネージメント、マイノリティのマツリなど多様な文脈から現代に於けるマツリの可能性を模索する。

(4)新山智基によるアフリカ研究者や感染症研究者に関する調査
 本調査では、アフリカ研究者や感染症研究者の情報などを得るために、東京のアフリカ日本協議会(AJF)を訪れる予定である。拠点事業推進者の林達雄氏やAJFの斉藤龍一郎氏への聞き取り調査を実施し、研究者情報やアフリカ現地の生の情報を得る貴重な機会としたい。

【本研究会メンバーによる成果報告、アウトリーチ活動等】
 上記、(1)〜(4)のフィールドワークを踏まえ、報告・検討会を実施する。まず、調査実施から1・2カ月を目途に定期的な調査報告会を実施する。さらに年度末には公開の研究報告・検討会を実施する。この公開の報告会では、本年度調査およびこれまでの調査を踏まえた研究報告を行い、学内外の若手研究者とともに、フィールド調査を行う人類・社会学の調査方法論についての検討も行う。また、調査で得られた結果は、個々の研究業績(学会報告や学術雑誌など)につなげていく。
 また、フィールドワーク実施後、調査報告を本拠点のWEBSITEにおいて行う予定である。研究会での報告者の資料など可能な限り、WEBSITEを通じて公開する。さらに、これらの研究成果を内外に広く発信していくために、「立命館大学グローバルCOEプログラム「生存学」創成拠点メールマガジン」をはじめ、関連学会のメーリングリストでの発信なども働きかけていく。


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■□活動/成果□■
共催企画
「アフリカ障害者の10年」セミナー:アフリカ社会と障害者―カメルーンの都市と森で暮らす障害者の生活から
日時:2011年12月3日(土)14:00〜17:10
場所:立命館大学衣笠キャンパス創思館401・402

主催企画
「生存」の人類・社会学研究会 2011年度成果報告会
日時:2012年4月24日(火)15:00〜18:30
場所:立命館大学衣笠キャンパス学而館 第2研究会室



*作成:永田 貴聖
UP: 20111014 REV :20111031, 20120629
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