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支援費全国緊急行動委員会




◆2003/01/19
 ホームヘルプサービス国庫補助金交付基準問題に関する見解(↓)
支援費制度でのホームヘルプサービスの事実上の「上限」設定(補助金の変更)に断固反対する
 *1/20-24配布ビラ(2003/01/17)
ホームヘルプサービス国庫補助金交付基準問題に関する見解
 2003/01/20 19:30からの記者会見で配布
◆2003/01/24 1/24大臣記者会見への反論



ホームヘルプサービス国庫補助金交付基準問題に関する見解

2003.01.19
支援費全国緊急行動委員会


○これまでのホームヘルプサービス事業の経緯

・ホームヘルプサービスについて、厚生労働省は平成2年以降、各自治体に対し画一的な決定ではなく個々の障害者ごとの状況を総合的に検討した上で必要なサービス量を提供するよう指導してきた。またヘルパーの人材不足を解消するため、障害者が推薦する介護者をヘルパーとして派遣するなど柔軟に人材を確保する方策を認めてきた。この方針の中で、10年前から各地自治体で長時間の介護の必要な最重度の障害者にホームヘルプサービスが行われ、障害者夫婦や障害者1人暮らし居住、高齢・疾病など介護力が弱い家族の中でも重度障害者の在宅生活が進んだ。現在では、人工呼吸器等の医療的なケアが必要な障害者も地域で1人暮らしすることが可能になり、また、要介護の知的障害者、精神障害者においてもホームヘルプサービスを利用して地域で1人で暮らす人が増えてきている。
今回の支援費制度においても、そのような実績を踏まえてサービス量の低下をもたらさないと厚労省は繰り返し説明してきた。
市町村への補助金についても国から50%が、都道府県から25%が補助されるが、最近5年間は国予算が余っていた。過去にゴールドプラン初期に予算(当時は老人と障害で一括予算)が足りない年度があったが、その時は各都道府県と協議して補助率を少し下げることで対応していた。

・ホームヘルプサービスの支援費制度への組み込みは障害者団体と厚労省障害保健福祉部が毎月話あいをしながら、お互いの事情を踏まえつつ調整してきた。その中で、"日常生活支援類型"の新たな設定やヘルパー資格等の調整が行われ、双方が納得する着地点を探していた。
しかし、今回の補助金交付基準設定については事前に一度も説明されることはなく、インターネット等で情報がもれ、新聞の報道で大きく広まった。それがなければ、厚労省は1月28日の支援費担当課長会議で決定事項として発表していたはずであり、これまでの信頼関係が一気に崩れる原因となっている。

○今回の補助金交付基準の設定に関する厚労省の説明

「ホームヘルプサービスについて、来年度は14.5%アップの280億の予算を確保したが、支援費制度によって利用促進が進むこと、介護保険と同等な単価設定による単価アップがあることで、予算が足りなくなるおそれがある。
また、ホームヘルプは地域格差が大きく、国として格差を是正するために補助金を公平、公正に交付する必要がある。制度の低い地域を底上げしたい。
上記2点の理由で、今回、障害の種類・程度(例:全身性1種類、知的2種類)に応じた利用枠を設定し、利用枠(全国平均時間)×人数という算定で、市町村に補助金を交付することを検討している。なお、これは市町村に対する補助金の交付基準であり、市町村の支給量の決定を制限するものではない。市町村は交付された補助金を用いて自由に支給量(ヘルパー時間数)を決定できるし、足りなければ自治体の財源で支援費の支給を行うことができる。
 補助金交付基準は補助金を市町村に出す以上必要であり、反対されても撤回することはできない。」

○厚労省の主張に対する反論

◆「支援費に移行することで、単価のアップ、利用の促進により補助金が足りなくなる。」
→・補助金が不足するという厚労省の主張は具体的な調査を基づいたものではないと認めている。実際に不足するかどうかは市町村の来年度予算を集計すれば、具体的にわかるはずであるが、調査もするつもりはないとのことである。
・自治体も事業費の1/4の負担があるので、支援費になったからといって、大幅に増えるわけではない。単価があがるかわりに時間数を下げることで現状維持や削減している自治体もある。全国平均では(国の予算アップ率の)14.5%を超えるようなアップしてはいない。

◆「各地域のホームヘルプサービスについて格差があり、地域格差をなくすために補助金を公平、公正
に交付する。」
→・ホームヘルプサービスの水準が高い地域は、障害者が1人暮らし等する上で必要な自立生活プログラム研修やアパート探し、介護ボランティア確保等の自立支援サービスを提供できる自立生活センター等の障害者団体があった地域である。そのような支援サービスを受けて重度全身性障害者が1人暮らし、障害者のみ世帯、高齢・疾病の家族で生活をすることで、長時間のホームヘルプ制度がその市町村にできる。その上で、国と都道府県が3/4の補助を行い、障害者が推薦する介護者をヘルパーとして柔軟に確保する体制を奨励することでホームヘルプサービスが提供されてきた。
 つまり、支援体制があることで地域に1人暮らし等の重度障害者が現れサービス水準が上がるのであり、単なる補助金交付で格差がなくなるわけではない。
 [略]
 その結果、同じ全身性障害者の人数がいる自治体でも、家族同居の障害者中心の自治体と、単身の障害者中心の自治体とではサービス総量は2倍以上違ってくる。そのような事情を無視して「障害者の人数×時間数」を補助上限とする案は、実態を正確にとらえていない。しかも、同じ身体状況で同じ家族状況の障害者のヘルパー利用時間はどちらのタイプの自治体でもあまり変わらない。厚生省案では、1人暮らし障害者が多い自治体では、家族同居の多くの障害者もヘルパー制度を抑制される。

◆「水準が低い自治体の底上げを図る。」
・今回の交付基準をもって底上げにはならない。50%国庫補助を下回らないと約束しても、昨年までと同じ50%補助であり、今までヘルパー水準が上がらなかったものを改善できない。これまで国のホームヘルプ補助金が余っていたのも、自治体が25%負担を確保できなかったことが大きい。水準を上げるには1人暮らしが可能になる自立生活センターなどの障害者団体などの支援システム増加が必要である。

◆「補助金交付基準と個々人への支給量(ヘルパー時間数)決定は直接関係ない。」
→・補助金交付基準が法的に支給量決定とはならないことは理解している。しかし、自治体の現場では
「補助金の制限=利用の制限」につながる。自治体も財政が厳しい中、自治体単独事業は廃止され、
補助事業の枠内で事業を行うことが至上命令になっている。
 ・国が時間を用いた補助金交付基準を作り自治体に明示すると、たとえ個々人の上限を定めるものでないといっても、この時間数を事実上の上限として運用する市町村は必ず出てくる。全国には3300市町村があり、厚生省の方針をきちんと理解しない市町村の数は相当な数に上る。
   現に、1982年に厚労省が通知を出した際に示された「週18時間を目安にヘルパー整備」の方針は多くの自治体の要綱でヘルパー時間の「個々人への上限」とされ、1991年に厚労省から「週18時間は整備目安であり、個々人への上限ではない」という指示文書が出されたが、それでも解決せず、その後10年以上たった現在でも、そのまま上限となっている自治体は多い。

◆補助金交付基準は補助金を交付するために作らなければならないものであり、反対されても作らざるを得ない。
→・補助金交付基準を作ることに反対しているのではなく、障害種別・程度による平均利用時間×人数を用いた補助金交付基準は問題を生じるので反対している。どのような問題がおきるのかは、厚生労働省は把握していない。当会は全国の自治体と重度障害者の状況を把握しており、レアケースもあるので、新しい基準を作る場合は当会も検討に加わり、調査もして時間をかけて基準を作るべきである。
 ・15年度は、補助金が不足する可能性はきわめて低いため(あるいは不足してもわずかのため)、現在までの方法(各自治体の前年度実績に応じた交付を行い、補助金が足りない場合は、全体の国庫補助率を50%より下げる)で対応することで不都合は生じない。
 ・ショートステイ、デイサービスに関しては同様の補助金交付基準を作らないと説明しており、ホームヘルプだけにこのような基準を設定することの意図が全くわからない。


○当会の主張

・これまでの厚労省が、障害者のホームヘルプを画一的な決定ではなく個々の障害者ごとの状況を総合的に検討した上で必要なサービス量を提供するよう指導してきたことを評価しており、これにより、重度障害者の地域居住が進んできた。支援費制度は地域福祉を推進することを理念としており、今後もこの方針を継続して欲しい。

・これまで厚労省は障害者団体と協議しながら支援費制度を作ってきたのに、今回の補助金交付基準についてはこれまで全く知らされていなかった。このような仕組みは全国の現場を知る障害者団体と十分な協議がなされた後に導入すべきである。
また、私たちはサービスや補助金を無制限に欲しいといっているのではなく、280億円という来年度予算枠があることは十分理解している。ただし、現状の補助金交付の仕組みで不都合が生じると思えず、現在検討されている交付基準は障害者からも各自治体からも反対されており、制度発足を目前とした時期に突然持ち出し、導入を強行しようとする厚生労働省の姿勢は混乱をもたらし、4月から始まる支援費制度に対する不信感を増幅させている。

・従って、今回の補助金交付基準は白紙撤回し、速やかにサービス利用の障害者過半数で構成されるホームヘルプサービスに関する検討委員会をたちあげ、平成15年度については現状の交付基準で実施しながら、支援費制度においてどのような交付基準が望ましいかの調査研究を行うことを要望する。


 

支援費制度でのホームヘルプサービスの事実上の「上限」設定(補助金の変更)に断固反対する

 *1/20-24配布ビラ(2003/01/17)


 
 

◆ホームヘルプサービス国庫補助金交付基準問題に関する見解

 2003/01/20 19:30からの記者会見で配布
 会見:中西・三澤


支援費全国緊急行動委員会
(構成団体:全国自立生活センター協議会・公的介護保障要求者組合・全国障害者介
護保障協議会・DPI日本会議)

○これまでのホームヘルプサービス事業の経緯

・ホームヘルプサービスについて、厚生労働省は平成2年以降、各自治体に対し画一
的な決定ではなく個々の障害者ごとの状況を総合的に検討した上で必要なサービス量
を提供するよう指導してきた。またヘルパーの人材不足を解消するため、障害者が推
薦する介護者をヘルパーとして派遣するなど柔軟に人材を確保する方策を認めてき
た。この方針の中で、10年前から各地自治体で長時間の介護の必要な最重度の障害者
にホームヘルプサービスが行われ、障害者夫婦や障害者1人暮らし居住、高齢・疾病
など介護力が弱い家族の中でも重度障害者の在宅生活が進んだ。現在では、人工呼吸
器等の医療的なケアが必要な障害者も地域で1人暮らしすることが可能になり、ま
た、要介護の知的障害者、精神障害者においてもホームヘルプサービスを利用して地
域で1人で暮らす人が増えてきている。
今回の支援費制度においても、そのような実績を踏まえてサービス量の低下をもたら
さないと厚労省は繰り返し説明してきた。
市町村への補助金についても国から50%が、都道府県から25%が補助されるが、最近
5年間は国予算が余っていた。過去にゴールドプラン初期に予算(当時は老人と障害
で一括予算)が足りない年度があったが、その時は各都道府県と協議して補助率を少
し下げることで対応していた。

・ホームヘルプサービスの支援費制度への組み込みは障害者団体と厚労省障害保健福
祉部が毎月話あいをしながら、お互いの事情を踏まえつつ調整してきた。その中で、
"日常生活支援類型"の新たな設定やヘルパー資格等の調整が行われ、双方が納得する
着地点を探していた。
しかし、今回の補助金交付基準設定については事前に一度も説明されることはなく、
インターネット等で情報がもれ、新聞の報道で大きく広まった。それがなければ、厚
労省は1月28日の支援費担当課長会議で決定事項として発表していたはずであり、こ
れまでの信頼関係が一気に崩れる原因となっている。

○今回の補助金交付基準の設定に関する厚労省の説明

「ホームヘルプサービスについて、来年度は14.5%アップの280億の予算を確保した
が、支援費制度によって利用促進が進むこと、介護保険と同等な単価設定による単価
アップがあることで、予算が足りなくなるおそれがある。
また、ホームヘルプは地域格差が大きく、国として格差を是正するために補助金を公
平、公正に交付する必要がある。制度の低い地域を底上げしたい。
上記2点の理由で、今回、障害の種類・程度(例:全身性1種類、知的2種類)に応
じた利用枠を設定し、利用枠(全国平均時間)×人数という算定で、市町村に補助金
を交付することを検討している。なお、これは市町村に対する補助金の交付基準であ
り、市町村の支給量の決定を制限するものではない。市町村は交付された補助金を用
いて自由に支給量(ヘルパー時間数)を決定できるし、足りなければ自治体の財源で
支援費の支給を行うことができる。
 補助金交付基準は補助金を市町村に出す以上必要であり、反対されても撤回するこ
とはできない。」

○厚労省の主張に対する反論

◆「支援費に移行することで、単価のアップ、利用の促進により補助金が足りなくな
る。」
→・補助金が不足するという厚労省の主張は具体的な調査を基づいたものではないと
認めている。実際に不足するかどうかは市町村の来年度予算を集計すれば、具体的に
わかるはずであるが、調査もするつもりはないとのことである。
・自治体も事業費の1/4の負担があるので、支援費になったからといって、大幅に増
えるわけではない。単価があがるかわりに時間数を下げることで現状維持や削減して
いる自治体もある。全国平均では(国の予算アップ率の)14.5%を超えるようなアッ
プしてはいない。

◆「各地域のホームヘルプサービスについて格差があり、地域格差をなくすために補
助金を公平、公正に交付する。」
→・ホームヘルプサービスの水準が高い地域は、障害者が1人暮らし等する上で必要
な自立生活プログラム研修やアパート探し、介護ボランティア確保等の自立支援サー
ビスを提供できる自立生活センター等の障害者団体があった地域である。そのような
支援サービスを受けて重度全身性障害者が1人暮らし、障害者のみ世帯、高齢・疾病
の家族で生活をすることで、長時間のホームヘルプ制度がその市町村にできる。その
上で、国と都道府県が3/4の補助を行い、障害者が推薦する介護者をヘルパーとして
柔軟に確保する体制を奨励することでホームヘルプサービスが提供されてきた。
 つまり、支援体制があることで地域に1人暮らし等の重度障害者が現れサービス水
準が上がるのであり、単なる補助金交付で格差がなくなるわけではない。
・上記のような理由で、ホームヘルプサービスの総合量が多い地域には、支援体制も
長時間のヘルパー制度もあるので、他の自治体より障害者が引っ越して1人暮らしを
している。たとえば、福島県F町には秋田県などから全身性障害者が障害者団体を
頼って引っ越してきている。虐待から逃れてくる他市の重度障害者もいる。
  その結果、同じ全身性障害者の人数がいる自治体でも、家族同居の障害者中心の
自治体と、単身の障害者中心の自治体とではサービス総量は2倍以上違ってくる。そ
のような事情を無視して「障害者の人数×時間数」を補助上限とする案は、実態を正
確にとらえていない。しかも、同じ身体状況で同じ家族状況の障害者のヘルパー利用
時間はどちらのタイプの自治体でもあまり変わらない。厚生省案では、1人暮らし障
害者が多い自治体では、家族同居の多くの障害者もヘルパー制度を抑制される。

◆「水準が低い自治体の底上げを図る。」
・今回の交付基準をもって底上げにはならない。50%国庫補助を下回らないと約束し
ても、昨年までと同じ50%補助であり、今までヘルパー水準が上がらなかったものを
改善できない。これまで国のホームヘルプ補助金が余っていたのも、自治体が25%負
担を確保できなかったことが大きい。水準を上げるには1人暮らしが可能になる自立
生活センターなどの障害者団体などの支援システム増加が必要である。

◆「補助金交付基準と個々人への支給量(ヘルパー時間数)決定は直接関係ない。」
→・補助金交付基準が法的に支給量決定とはならないことは理解している。しかし、
自治体の現場では「補助金の制限=利用の制限」につながる。自治体も財政が厳しい
中、自治体単独事業は廃止され、補助事業の枠内で事業を行うことが至上命令になっ
ている。
 ・国が時間を用いた補助金交付基準を作り自治体に明示すると、たとえ個々人の上
限を定めるものでないといっても、この時間数を事実上の上限として運用する市町村
は必ず出てくる。全国には3300市町村があり、厚生省の方針をきちんと理解しない市
町村の数は相当な数に上る。
   現に、1982年に厚労省が通知を出した際に示された「週18時間を目安にヘル
パー整備」の方針は多くの自治体の要綱でヘルパー時間の「個々人への上限」とさ
れ、1991年に厚労省から「週18時間は整備目安であり、個々人への上限ではない」
という指示文書が出されたが、それでも解決せず、その後10年以上たった現在でも、
そのまま上限となっている自治体は多い。

◆補助金交付基準は補助金を交付するために作らなければならないものであり、反対
されても作らざるを得ない。
→・補助金交付基準を作ることに反対しているのではなく、障害種別・程度による平
均利用時間×人数を用いた補助金交付基準は問題を生じるので反対している。どのよ
うな問題がおきるのかは、厚生労働省は把握していない。当会は全国の自治体と重度
障害者の状況を把握しており、レアケースもあるので、新しい基準を作る場合は当会
も検討に加わり、調査もして時間をかけて基準を作るべきである。
 ・15年度は、補助金が不足する可能性はきわめて低いため(あるいは不足しても
わずかのため)、現在までの方法(各自治体の前年度実績に応じた交付を行い、補助
金が足りない場合は、全体の国庫補助率を50%より下げる)で対応することで不都
合は生じない。
 ・ショートステイ、デイサービスに関しては同様の補助金交付基準を作らないと説
明しており、ホームヘルプだけにこのような基準を設定することの意図が全くわから
ない。


○当会の主張

・これまでの厚労省が、障害者のホームヘルプを画一的な決定ではなく個々の障害者
ごとの状況を総合的に検討した上で必要なサービス量を提供するよう指導してきたこ
とを評価しており、これにより、重度障害者の地域居住が進んできた。支援費制度は
地域福祉を推進することを理念としており、今後もこの方針を継続して欲しい。

・これまで厚労省は障害者団体と協議しながら支援費制度を作ってきたのに、今回の
補助金交付基準についてはこれまで全く知らされていなかった。このような仕組みは
全国の現場を知る障害者団体と十分な協議がなされた後に導入すべきである。
また、私たちはサービスや補助金を無制限に欲しいといっているのではなく、280億
円という来年度予算枠があることは十分理解している。ただし、現状の補助金交付の
仕組みで不都合が生じると思えず、現在検討されている交付基準は障害者からも各自
治体からも反対されており、制度発足を目前とした時期に突然持ち出し、導入を強行
しようとする厚生労働省の姿勢は混乱をもたらし、4月から始まる支援費制度に対す
る不信感を増幅させている。

・従って、今回の補助金交付基準は白紙撤回し、速やかにサービス利用の障害者過半
数で構成されるホームヘルプサービスに関する検討委員会をたちあげ、平成15年度に
ついては現状の交付基準で実施しながら、支援費制度においてどのような交付基準が
望ましいかの調査研究を行うことを要望する。

 
 

◆2003/01/24 1/24大臣記者会見への反論

 *夕方の抗議行動側記者会見で使用されるもの。
  確定稿ではありません。図表が抜けています。

24日の閣議後記者会見で坂口大臣は

@「(支給料の平均が多い自治体内には)障害者の生活実態が変わらないように、1〜2年の間経過措置をとる」
A「1年かけて、家族の介護を十分うけられない障害者・自立生活者の人数や利用している制度を調査して14・15年度の結果を来年からの補助金配分に反映させたい」
B「制度の低いところを底上げしたい」

といっておられますが、これでは何の解決にもなっていません。

理由
 @は15日の局長交渉から局長がいっていることと同じです。1〜2年の激変緩和(経過措置)が終わったら、(全身性障害の場合)平均120時間以上のサービスを出している市町村は、それを超える予算がカットとなります。これでは、ほとんどの市町村は平均120時間以上のサービスを出すことはできません。(1〜2年の間に長時間利用者を施設に入れるための猶予期間ということでしょうか)。
 1人暮らし全身性障害者の偏在など、根本的問題も経過措置では改善されていません。

 Aは今回の新しい提案ですが、@の方針でスタートした後に検討をしましょうということです。その検討をする委員会に当事者が過半数という言葉も入っていません。これでは厚生省職員だけで検討して、「平成16年度も今の案をそのままほとんど変えない」ということも可能になります。
 また、根本的に問題のある「時間数上限方式」でスタートしたあと、検討をしても、一部の改善しかできません。15年度は予算はほとんど不足しないと予想されているので、現在の補助方式(今までの予算不足時の配分方法は「一律、全利用者、全市町村、補助率ダウン(50%補助が49%や48%にダウン)」)でほとんど問題はないはずです。
 われわれの主張のように、現在の補助金方式のままで、1年間(当事者を過半数にした)検討委員会で検討することで、本質的な問題解決ができるのです。

 B低い自治体の底上げを図りたいといっているが、補助率を50%から下げないと保証しても伸びません。ヘルパー制度が低い自治体の底上げは、市町村の長期計画にヘルパー時間数の数値目標を作るよう強く働きかけするほうが早く確実に底上げ可能です。

 参考
 厚生省案+「経過措置」では障害者が困る理由

1.経過措置は、消滅することを前提としている措置
  (自治体はヘルパー時間数を削らざるを得ない)

 厚生省案=全身性障害者は1人当たり月120時間を補助上限とする。
 経過措置としてA市であまった時間分の枠をC市で使えるということ。翌年以降A市が制度が伸びればC市に回せる経過措置予算はなくなることが前提のため、C市では「経過措置部分は来年以降国庫補助がつく保証はない」と市の財務部より「120時間を越える利用はさせるな」と指示が出る。特に今後、親が亡くなるなどして1人暮らしになる緊急の新規の利用者にも制度がほとんど受けられないというしわ寄せが出る。 

            X120h 全国平均値
     A市      B市       C市
              [略]

A市のような市から経過措置でC市に回せる予算は以下のようになる

例:1年目:全国予算が、(ぴったり使い切り)不足しなかった場合。C市の120hを超えた分(X)は、経過措置で全額戻ってくる。
例:2年目:A市のような市で全国で月5万時間増えた場合。C市のような市で月120hを超えた分(X)は、月5万時間減らされる。(C市では個々人のヘルパー時間引き下げの圧力が高まる)
例:3年後:A市のような市で時間数が増え全国で予算を使い切る場合。C市のような市で月120hを超えた分(X)は、予算再配分0円になる。(利用者は120時間まで減らされる)

 この表は全身性障害:月120時間の例です。知的障害重度・視覚障害重度:月50時間、その他は月30時間ですが、同じ問題が起こります。

では 厚生省案は何が問題なのか

1.前提
・限られた予算を配分する補助金基準は必要
・今までの予算不足時の配分方法は「一律、全利用者、全市町村、補助率ダウン(50%補助が47%や45%にダウン)」

2.厚生省案は何が問題なのか
・問題は、障害者個々人の利用上限(120h)になる方向付けの基準ではいけない。(ALSや1人暮らしなど個々人の事情が違うので。また、市町村は利用者個々人の時間数の合計が補助総額時間数を超えると補助がなくなるので、市全体の利用者の時間数を抑制する方向に動く)

・厚生省案では、(1人暮らしなど)長時間(120h以上)利用者のみがカットされていく方向になる(個々人の上限はないが、どうしても補助の出る総時間数は決まっているので、長時間利用者はほかの多くの短時間の人のためにということで時間数抑制されやすくなる)・・・・・時間で上限を設けるのではなく一律補助率ダウンのほうが悪影響が少ない。

・1人暮らしなど長時間の要介護障害者は市町村の25%負担分の予算が不足し本来必要な介護時間さえ受けられないで苦労している(最も苦労している層から制度が切られていく不平等)・・・・・・・これら緊急性の高いグループは別枠にして50%補助を維持すべき


UP:20030120 REV:0122,24
支援費・ホームヘルプサービス上限問題  ◇障害者団体・障害者関連団体
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