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関西公共政策研究会・2005

関西公共政策研究会
http://fischer.jinkan.kyoto-u.ac.jp/~adachi/KansaiMFPP/



 *以下は、立岩がいただいた情報を掲載しているものです。直接に上掲のホームページをご覧ください。


*事務局より

関西公共政策研究会事務局です。9月の研究会のお報せをさせていただきます。

9月の研究会は、永田 尚三 氏(武蔵野大学助教授)と三室 守 氏(京都大学大学院人間・環境学研究科、地球環境学堂教授)のお二人をお招きして、開催致します。まだまだ暑い時期ではございますが、多数の皆様のご参加をお待ち致しております。

日時:9月3日(土)14:00-18:00
場所:京都大学大学院人間・環境学研究科433教室

以下、ご報告いただくタイトルおよび概要です。
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報告1:『わが国の消防行政の研究』

報告者:永田 尚三 氏(武蔵野大学助教授)

 現在、わが国の消防行政は、大きな政策転換期にある。わが国の消防は市町村消防である。また従来、市町村消防に対しては、国の指揮監督権も人事権も認められていなかった。ある意味、わが国で唯一地方分権化され、戦後半世紀以上にわたって運営が行われてきた行政分野であったと言える。
しかしながら近年、国民保護法の成立や、危機管理庁設立の議論が切っ掛けとなって、国主導の消防行政への転換の動きが加速している。
総務省消防庁は、平成16年4月1日施行の「消防組織法の改正」により、緊急消防援助隊を制度化すると共に、緊急消防援助隊に対する消防長官の指示権を確立した。これにより、従来、企画と立案のみを行う「政策庁」であった消防庁は、災害対応のオペレーション業務も行う「政策・実施庁」となった。
 本研究では、政策転換が行なわれる以前の消防行政の実態及び、以後の最新動向について、各種データを用い分析を行いたい。特に消防庁の本省である、旧自治省及び総務省内部での消防行政の位置付けの変化及び、その背景について、人事データ-等を用い実証的に分析を行いたい。


報告2:『ヒトは地球環境の支配者 −地球環境問題のひとつの視点−』

報告者:三室 守 氏(京都大学大学院人間・環境学研究科、地球環境学堂教授)

 地球環境問題は医療問題との共通点が多い。現実的な対応としては対症療法であり、とにかく目の前の問題を解決することが求められる。次に、原因を個別的に、やがて体系的に解明する過程とその解明に基づいた原因削減の作業が行われる。さらに予防のための方法が考案され、その普及に伴って実際に起こる障害が減少するものと期待されている。
 地球環境問題のひとつにエネルギー問題がある。私は光合成の研究者であり、地球上でのエネルギー供給やエネルギー利用などについて話すべき立場にあると思うが、今回は簡単にしか触れない。実際の生産性を高めるために、遺伝子組み換え植物を使 う方法が種々、研究されている。しかし、遺伝子組み換え植物(食品)に対する日本人の否定的な見解が強い現状では、導入が困難であり、したがって当分の間、現実的な方法とはなり得ない。

 今回は、地球環境問題を少し異なった観点から論じたい。テーマとして「ヒトは地球環境の支配者」を掲げた。
 ヒトの出現とその経済活動の結果、地球はそれまでとは異なる環境になった。また、他の生物の生存や存続に与えた影響は大きく、生物進化の可能性についても、ヒト出現以前とは違う状況を作り上げた。ヒトは現時点でも、将来的な生物進化においても地球環境の支配者になった。しかし、数多くの制御できない自然事象があるために、ヒトは支配者であることを意図的に忘れ、自然の一員である意識を持とうとする。これは多くの日本人の自然観と一致するために心情的には心地よいが、自らが関与している環境問題に覆いをすることにつながる。環境問題の解決の最も基本問題は「ヒトは地球環境の支配者」という認識を持つことである。
 では、「地球環境の支配者」として、どういう意識を持つべきか。私は、「ヒトは生物進化の中で偶然に生まれた存在である」という生命観を持つことだと考えている。偶然であるがゆえに、ヒトの存在は神の恩寵の証であり、何事も許されるとする立場を取ることが可能である。また、偶然であるがゆえに、我々は驕ることなく、次の進化、誕生の可能性を最大限保証するべきであるという考えもある。どちらの立場に立つか、それは個々人の問題である。
 生物を研究している私が提供できる思考のための材料は、如何にヒトの誕生が偶然であったか、ヒトと他の生物の間が如何に近いか、ということである。地球環境問題の根本にはどのような生命観を持つか、があると私は考えている。私の話が、個々人の生命観、死生観の形成の一助になれば幸いである。

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◆関西公共政策研究会事務局
(文責:北島 栄儀 京都大学大学院人間・環境学研究科)
   ■メール(事務局):i-take@2003.mbox.media.kyoto-u.ac.jp
   ■メール(足立教授):k53938@sakura.kudpc.kyoto-u.ac.jp
   ■ウェブ:http://www.adachi-lab.jinkan.kyoto-u.ac.jp/KansaiMFPP/index.html
   ■TEL:075-753-6595(足立教授直通) / FAX:075-753-2896


 
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*事務局より

関西公共政策研究会事務局です。
4月の研究会のお報せをさせていただきます。

4月の研究会は、中谷真憲先生(京都産業大学法学部・世界問題研究所)と井上英夫先生(金沢大学法学部法政学科・公共政策講座福祉政策論)のお二人をお招きして、開催致します。何かと慌しい時期ではありますが、皆様のご参加をお待ち致しております。

日時:4月2日(土)14:00〜18:00
場所:京都大学大学院人間・環境学研究科433教室

以下、ご報告いただくタイトルおよび概要です。
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<報告1>
○報告者 中谷真憲先生(京都産業大学法学部講師)
○タイトル 『寛容としてのライシテ?−共和国理念と「他者」との共生』
○概要 
 イラク戦争の衝撃も冷めやらぬ2004年、フランス国内ではスカーフ禁止の法案が成立しました。イスラム世界から、2003年には友邦的扱いを受けることも多かったフランスは、翌年には一転して激しい非難にさらされることになりました。どうしてこのような、外交と内政における齟齬とも見える事態が生じたのでしょうか。
 この法案の背景にあるのは、いわゆるライシテ概念ですが、単なる政教分離の規定と見れば、ライシテは他の国にも存在するごく一般的な原理に過ぎません。
 報告者はライシテはフランスの歴史に根ざし、時代の流れの中で変遷しつつも、共和国のアイデンティティにまで高められた概念だと考えています。グローバル化が進む世界において、フランスにおける国民統合の道具としてのライシテはもはや機能しえない、とする議論もありますが、むしろそれはグローバル化時代においてもなお残る、国家の役割を象徴する原理として働く可能性があります。
 確かに、国民国家や国民統合といった概念が、歴史的に「他者」排除の論理と表裏一体であったことは、よく知られています。近代フランス史におけるこうした方面に関する優れた研究は近年ますます進展し、共和国原理による負の側面が明らかになってきました。ただ一方で、ライシテを排除の原理ととらえることは、必ずしも正確ではありません。いずれにしても、このライシテの問題は、政策としてアウトプットされてくるものと、その背後の政治文化・政治理念とのつながりを考察する上で、また公共領域という理念を考察する上で、さまざまな示唆を与えてくれるもののように思います。本報告はいまだ予備的な考察段階のものに過ぎませんが、諸賢のご教示をいただければ幸いです。


<報告2>
○報告者 井上英夫先生(金沢大学法学部法政学科教授)
○タイトル 『人権としての社会保障・社会福祉と地域福祉政策ー自治体福祉行政計画を中心にー』 
○概要
はじめに 人権としての社会保障・社会福祉と自治体福祉政策
  
T 福祉政策と自治体行政計画
1 行政の計画化
2 自治体福祉計画

U 自治体福祉計画と地域 
1 地域医療計画
2 地域福祉計画と地域ー金沢市地域福祉計画を例に  
(1)福祉計画の体系
(2)基本理念
(3)地域 
 (4)福祉
 (5)推進主体

V 高齢者の人権と介護保険事業計画・老人保健福祉計画
1 人権保障=国際行動計画と地方・地域
  ー「高齢者のための国連原則」と「高齢化国際行動計画2002」ー
2 金沢市「長寿安心プラン」の概要
3 推進組織
 (1)介護保険運営協議会
 (2)ワーキング・グループ
 (3)苦情等専門部会
 4 「計画」と質の向上
 (1)「計画」と評価
 (2)グループホームの「指針」づくりと「殺人」事件
5 行政と市民・住民参加
 (1)参加の実態
 (2)苦情等専門部会と介護保険オンブズパーソン

W ノ−マライゼ−ションと「障害者」計画
1 『ノーマライゼーションプラン金沢』策定の経過
2 概要
(1)基本目標ー「ノ−マライゼ−ション社会の実現」
(2)構成
3 推進体制
 (1)金沢市障害者施策推進協議会
(2)市民フォーラムと実行委員会
(3)苦情解決等専門委員会
 4 提言−ともに創り、ともに生きる
(1)共生社会=強制社会にならないために
(2)「障害者」観の転換−「障害者」→「障害のある人」→「固有のニーズをもつ人」
(3)「対策」から人権保障へ
 (4)差別禁止法と総合的社会サ−ビス法へ

X 福祉計画と住民参加の成果と課題
1 計画策定、実施過程への住民参加の成果
 (1)住民と行政の新たな関係の形成
 (2)基本理念・原則の明確化と具体化
 (3)サ−ビス内容への本人の意見の反映
 (4)権利保障システムの構築−審査請求の支援
 2 福祉計画策定と住民参加の課題
 (1)参加住民の拡大と行政の意識改革
 (2)地方自治体の限界と国の役割
 (3)財政への参加
(4)情報の公開から情報の保障へ

補論ーハンセン病政策と療養所将来構想
 1 ハンセン病と強制絶対絶滅隔離収容政策
2 ハンセン病療養所の将来構想ー群馬県栗生楽泉園を例に

おわりに−個人の尊厳=自己決定と参加

◆関西公共政策研究会事務局
(文責:北島 栄儀 京都大学大学院人間・環境学研究科)
   ■メール(事務局):i-take@2003.mbox.media.kyoto-u.ac.jp
   ■メール(足立教授):k53938@sakura.kudpc.kyoto-u.ac.jp
   ■ウェブ:http://www.adachi-lab.jinkan.kyoto-   u.ac.jp/KansaiMFPP/index.html/
   ■TEL:075-753-6595(足立教授直通) / FAX:075-753-2896  

 

皆様

関西公共政策研究会事務局の北島です。皆様にお知らせがございます。
明日5日の三月の例会(第41回)の報告者は、高橋先生と山谷先生のお二人の予定でしたが、高橋先生が胃腸炎のため報告不可能となりました。そこで、急なことでもあり、研究会事務局を担当しております私、北島(京都大学大学院人間環境学研究科・足立研究室D1)が、高橋先生の代役を務めさせていただきたいと思います。
報告テーマは、「政策決定と政治的判断・民主的熟慮ー原子力政策を題材に」というものです。内容は、現在の民主政及び原子力政策をめぐる問題状況・論点について、「概念史」的な観点から整理及び考察を行い、政治・国家・法の近代化といった現象を、時代ごとの地域・社会の全体構造との関連において理解・把握・比較することによって改革への指針を探ることを目的としています。皆様からのご批判・ご指導がいただければ幸いでございます。
突然の変更で誠に申し訳ございませんが、以上のような事情でございますのでなにとぞ皆様のご理解をお願い申し上げます。それでは、皆様のご来場をお待ち申し上げております。

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関西公共政策研究会事務局
京都大学大学院人間・環境学研究科足立研究室内
北島 栄儀・今中 武志
i-take@2003.mbox.media.kyoto-u.ac.jp

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*事務局より

皆様

関西公共政策研究会事務局、今中です。
先月は休会にさせていただいたため、二ヶ月ぶりの開催となります。
今回は姫路獨協大学の高橋克紀先生と同志社大学の山谷清志先生をお招きしての開催となります。
皆様のご参加をお待ちしております。

開催日時:3月5日(土)14:00〜18:00
開催場所:京都大学大学院人間・環境学研究科433教室

以下、ご報告いただく、タイトルと概要になります。
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報告者:高橋先生

タイトル:「非エリートのための政策学を考える」

報告概要:
 政策学は政策立案の実務者を想定して創られたが、政策形成にほとんど影響を行使し得ない人々に対して、一体なにを教育するのか。
 大学の研究の多くが実態としてくだらないにも拘らず、大学がいくらか尊敬されてきたのは、親が、自分の子供を、学歴を通して出世させたいと願っているからである。大学の歴史は、こうした、特権層への接近を図る動きと、それを制限しようとする動きとの間で行われてきた綱引きの結果であり、今では緩むほうが圧倒的に強くなった。そこで、政策学は、政府のエリートの権威を借用しようとしている。
 政策学は、他を排除してエリートへ参入しようとするプチブル的願望と一線を画すのでなければ、ほとんどの大学では開講する意味がない。そこで、私としては、見所のある人材ならどこかには就職できると割り切って、「問題解決」の思考を優先し、学問を相対化し、地に足のついた思考をさせようと考えてはいるが、政治的争点(テレビ番組でもよいのだが)を身近に感じられる学生はかなり少ない。身近である、実践的である、ということは、要するに、本を読まない、アタマを使わない、という程度の意味でしかない。
 問題解決の出発点は、コンフリクトに満ちた社会生活の中で、個人が置かれている社会的環境を認識し(悪事に手を染めずに)どう生き抜いていくか、ということであろう。これは、決して、狭小なコミュニティの助け合いで収まる話ではないので、次に、個人的な事情ではなくより大きな社会構造、意図せざる相互作用の進み方などについて考えられるようにする必要がある。
 こうした観点から、この報告では、実践性、理論の応用、といった政策学の基礎概念を簡単に見直し、次に、政府の政策決定に携わることのなさそうな非エリートのための、しかし公共的な課題につながるような問題解決方法の教育手法について、私の試行錯誤の実情をも題材としつつ、政策学の教育方法について議論してみたい。

*皆様からの厳しいご指摘だけでなく、政策学に対する学生の率直な感想もいただきたいと思っていますので、後輩の方などに声を掛けていただけますと幸いです。

*参考文献
河中二講『政策決定と社会理論』
木場隆夫『知識社会のゆくえ』
アリエス『「教育」の誕生』中内ほか訳
シュッツ『シュッツ著作集第三巻 社会理論の研究』渡部ほか訳


報告者:山谷先生

タイトル:「政策評価制度の見直しと新しい動向」

報告概要:
1.中央府省における政策評価制度の見直し
  総務省の検討と各省の対応
2.地方自治体における新たな動向
(1)総合計画との連携
(2)外部評価の可能性
(3)マニフェスト
3.今後検討すべき課題−政策評価は‘art’か‘science’か
(1)NPMの呪縛をどうするか−評価基準
(2)男女共同参画政策の評価
(3)独立行政法人評価と関係
(4)アカウンタビリティのジレンマ問題

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関西公共政策研究会事務局
京都大学大学院人間・環境学研究科足立研究室内
北島 栄儀・今中 武志
i-take@2003.mbox.media.kyoto-u.ac.jp
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皆様

関西公共政策研究会事務局です。先日の研究会には、お忙しい中をご参加いただき誠にありがとうございました。本日は、12月27日(火)に公共政策特別セミナーが開催されることになりましたので、そのお知らせをさせていただきます。年の瀬の誠に慌しい時期ではございますが、多数の皆様のご参加をお待ち致しております。

以下、セミナーの内容です。
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公共政策特別セミナーのご案内

報 告 者: ノーマン・バリー(英国バッキンガム大学教授: 政治理論)

報告テーマ: リベラリズムとグローバリズム――日本とドイツにおける「第三の道」の終焉

司   会: 足立幸男(京都大学教授: 公共政策学/政治理論) 
討 論 者: ディヴィッド・アスキュー(モナシュ大学/立命館アジア太平洋大学助教授:法哲学)
     野田裕久(愛媛大学教授:政治哲学)
     佐野亘(人間環境大学助教授:公共政策学)
     ジェイミー・アンダーソン(京都大学大学院博士後期課程: 兼ファシリテータ) 

日時: 12月27日(火) 15:00-17:30

場所: 京都大学大学院人間・環境学研究科棟433号室


*バリー教授は『自由の正当性――古典的自由主義とリバタリアニズム』(足立幸男監訳、木鐸社、1990年/2005年復刻)をはじめとする数多くの著作の著者としてご高名な政治理論研究者ですが、本セミナーでは、教授が最近アメリカのある雑誌に寄稿されたエッセーを基に、今日的政治課題との関連でグローバル政治・経済の下での自由(主義)の理念について語っていただきます。グローバリズムや小泉改革をどう理解しどう評価するかという点で、バリー教授の考え方と日本の論壇のそれとの間にはかなりの距離があるように私自身は感じていますが、そのあたりのことを討論できればと念じています。
通訳者を用意することはできませんが、討論を実りあるものとするためバイリンガルのアメリカ人留学生にファシリテータの役割をお願いする予定です。
参加費は徴収しませんし、参加資格も一切設けておりません。
奮ってご参加ください。 

(文責: 足立幸男)

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◆関西公共政策研究会事務局
(文責:北島 栄儀 京都大学大学院人間・環境学研究科)
 ■メール(事務局):i-take@2003.mbox.media.kyoto-u.ac.jp
 ■メール(足立教授):k53938@sakura.kudpc.kyoto-u.ac.jp
 ■ウェブ:http://www.adachi-lab.jinkan.kyoto-u.ac.jp/index.html
 ■TEL:075-753-6595(足立教授直通) / FAX:075-753-2896


UP:20050218 REV:随時
関西公共政策研究会  ◇学会/研究会  ◇公共/公共哲学(public philosophy)/公共政策(public policy)
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