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関西エスノグラッフィク・データセッション



■研究会趣意書(関西エスノグラッフィク・データセッション)

発起人:鶴田幸恵、吉村雅樹、木下衆

1. 趣旨

ビデオカメラ、IC レコーダやデジタルカメラが簡単に利用できるようになったことは、社会学や人類学などの分野で行われているフィールドワークに、さまざまな革新をもたらしています。医師による診断場面の録画や、膨大な写真や文書を伴った移民街の記録など、私たちは、今までよりずっと詳細なデータを残すことが可能になりました。

しかし一方で、その詳細なデータを検討する機会は、不足しがちなのではないでしょうか?記録のディテールを繰り返し検討し、新しい知見を得るためには、それなりの時間も根気も必要です。また、誰にも相談できずに分析を進めていると、「自分の解釈は正しいのだろうか?」といった迷いが、少なからず生じるはずです。そうやって下準備が不十分なまま、迷いを抱えたまま、いきなりゼミ発表、学会報告、論文投稿に突撃してしまい、結果的に苦労する。――そんな苦い経験を抱えている人は、発起人たちだけではないと思います。

この研究会の目的は、「蓄積されたデータを、信頼できる人々と一緒に、詳細に検討する機会を設けること」です。まだゼミや学会での報告に至っていない、つまり分析に取り組んでいる最中のデータを、複数の参加者と一緒に検討することで、新しい知見が得られるのではないか?あるいは、他の参加者と自分の視点を比較することで、自分の分析視角をあらためて確認できるのではないか?――データを、報告者の関心に即しながら、しかし他の参加者なりの視点を交えて検討することで、そういった効果が得られると発起人たちは期待しています。

今後の分析に、研究会で出た意見を反映しても構わないし、別に参考にしなくても良いという、そんな緩やかな集まりとして、この「関西エスノグラッフィク・データセッション」を利用していただけたらと思います。

2. 参加を希望される方へ

いわゆる「質的研究」に関心のある方なら、誰でも歓迎です。発起人はエスノメソドロジー・会話分析(EMCA)、社会構築主義に関心のあるメンバーが中心となっていますが、それ以外の方法論を軸にしていても、何の問題もありません。

・報告を希望される方へ
研究会で検討したいデータをご用意の上、発起人にご連絡ください。映像、音声、画像、文書など、データの形式によって会場での提示の方法も変わってきますし、また報告者の関心によっても力点が変わってくると思います。ご相談させていただいた上で、より良い形をとりたいと思います。

・報告者以外の参加者の方へ
研究会で提供されたデータの引用などは、お断りします。また、研究会で参加者が提供したアイデアは、報告者に帰属するものとして、ご理解ください。

 
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第一回関西エスノグラフィックデータセッション

日時: 12月11日(日)13:00−17:00
場所: 京都大学(文学部新館・2F)第3演習室
校内地図のリンクを貼っておきますのでご参照ください。
http://www.bun.kyoto-u.ac.jp/about/access/

データ提供:
1)佐藤貴宣(大阪大学大学院人間科学研究科博士後期)
提供者からのコメント

タイトル:盲学校の進路配分プロセスにおける成員カテゴリー化実践

私は、現在、盲学校(今で言うところの「視覚支援学校」)における進路配分のメカニズムをインタビューデータやフィールドワークに基づいて明らかにしようとしています。そうした関心から、今回私が皆さんと一緒に検討してみたいと考えているのは、盲学校の教師たちへのインタビューデータです。「盲学校の生徒」というカテゴリーの構築と「盲学校」という「場」の「状況の定義」が相互反映的にお互いを支え合う関係構造のなかで盲学校という独自のリアリティが日々達成されているように思います。そうした独自のリアリティ構成のあり方が進路配分のプロセスを大きく規定しているのではないでしょうか。こうした問題意識を出発点として皆さんと議論できればと思います。当日は二人の教員へのインタビューデータとそのトランスクリプトをお持ちしますので、それを皆さんと検討しながら、いろいろとお話しできればと思います。どうぞ宜しくお願いします。

2)木下衆(京都大学大学院社会学研究科博士後期)
提供者からのコメント

タイトル:「トラブル」を記録する。――障害者施設X での文書資料の検討

今回の報告では、障害者施設X で職員が作成した文書資料を検討する。X では、業務日誌、排便記録など、複数の文書資料が作成されている。今回はその中でも、職員たちが自主的に作成し、日常の業務で参照しているケース記録を取り扱う。

報告者は、ケース記録を職員同士の相互行為として分析することで、その背景にあるX での慣習的な理解と、職員間で利用者の障害がどのように焦点化されるかを、明らかにしたいと考えている。今回取り上げるケース記録は、この1年間で5回、形式が変更されている。この記録形式の変遷を辿っていくと、職員間で利用者の何を記入すべきとされているのかが、変化していることが確認できる。では、この記録形式の変化からどのような含意が引き出せるのか?報告者は今後、職員への聞き取り調査やX でのフィールドワークを補助線に、検討していきたいと考えている。


UP: 20111216 REV:......
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