日本ALS協会青森県支部
017-764-3435
◆「介護支援策の充実を」ALS県支部が総会
『東奥日報』2000.7.24
http://www.toonippo.co.jp/tokushuu/kaigo/kaigo2000.html
筋肉を動かす力が徐々に失われていく進行性の難病ALS(筋委縮性側索硬化症)の患者や家族、遺族、医療関係者などでつくる日本ALS協会県支部(成田一支部長、会員二百八人)は二十三日、青森市文化会館で定期総会と交流会を開いた。約六十人が参加し、本年度活動方針として介護保険実施に伴う実態調査を行うことを決めたほか、交流会では患者や家族が闘病の体験を話し励まし合った。
総会では、活動方針など五議案を承認した。介護保険に関する調査は、日本ALS協会の全国調査の一環として八月から九月にかけて行う。患者と家族が対象で、介護保険導入前後のサービス内容や量、自己負担額の変化や制度に対する希望などを全国的に取りまとめ、国に要望していく。
交流会では、患者や家族たちが胸の内を打ち明けた。男性患者は「二月ごろまでは何とか歩けたが、今は立つこともできない。(病気の進行が)駆け足で追っかけてくるように感じる。多くの患者たちと知り合い、語り合いたい」と話し、介護している家族は「二十四時間が闘い。介護支援策の充実を願う」などと述べた。ある患者の家族は「病気になって不幸だと思ったらそれで終わってしまう。病気だから幸せになれないということはない。前向きな気持ちで進んでいこう」と呼び掛けていた。
◆「活動/「ゼロ」からスタート」(2001.6.20)
2001/06/14〜20「「生」を見つめて――県内ALS患者の周辺」第6回
『東奥日報』
「筋委縮性側索硬化症(ALS)患者や家族、医療関係者が力を合わせ、交流しながら直面する課題に取り組もうと一九九九年十月、日本ALS協会県支部が発足した。国内では二十番目の支部。十和田市のALS患者、成田一さん(70)が会長を務める。
五月三十一日現在、患者・家族、医療関係者、ボランティアなど二百十五人が加入している。だが患者本人の加入は三十一人。県健康医療課によると三月三十一日現在、県内のALS患者は八十五人で、本人の加入率は四割に満たない。
「患者も家族も病を知らせたがらず、なかなか外にも出ようとしない」と副支部長の鶴谷義則さん(63)は話す。
発足以来、まず実態把握とネットワークの構築に務めてきた。「ボランティア、役員のなり手、資金−活動は“ないものづくし”です」。プライバシー問題も手伝って、患者や家族の全容が見えてこない。
専用病棟を整理
活動は少しずつだが実を結んできた。昨年七月、青森市野尻の県身体障害者福祉センター「ねむのき会館」に支部事務所を開設。全国でも県施設への支部入所はほとんど実現していない。県の在宅重症難病患者家族支援事業も三月に始まった。
だが道まだ半ば。むつ地区に神経難病の常勤医がいないなど医師・受け入れ病院の地域格差が大きい。
県支部は国立療養所岩木病院(浪岡町)への神経難病専用病棟設置を求めているが、南部では「津軽は遠い。地元への設置要請なら署名する」という声も聞かれるという。
制度面でも、全国で導入が進んでいる「全身性障害者介護人派遣事業」が依然、県内では実施されていない。
吸引器をはじめ、日常生活用具の支給やヘルパー派遣を各市町村が行う「難病患者等居宅生活支援事業」は、厚生省(現厚生労働省)が九七年、実施を通達したものの「青森市と弘前市で吸引器の支給実績があるだけ」(県健康医療課)だ。
行政と認識に差
八戸市障害福祉課は「吸引器は既存の貸出制度でカバーできる」としている。しかし患者側は「貸し出し用の吸引器は安価な半面、吸引力が弱く、頻繁に吸引せざるを得ないため介護人の負担が増す」と指摘する。結局、ほとんどの患者が二十万−三十万円もの高性能の吸引器購入を余儀なくされるといい、患者側と行政の認識の差も課題と言えそうだ。
県支部は十七日、青森市のアウガで定時総会を開き、介護人派遣事業実施要請など本年度の活動方針を決めた。
難病中の難病と言われるALS。原因不明でいつ、だれが襲われないとも分からない。病との向き合い方、家族の支援、行政の施策…「命長き時代」のあらゆる人に共通する問題が、ALSには凝集している。地域社会がどう向き合うか。突き付けられる課題は多い。
※日本ALS協会県支部は電話017-764-3435。」
◆盛岡市で全身性障害者向け 毎日8時間の指名ホームヘルパー派遣制度が開始
『全国障害者介護制度情報』2002年3月号より引用
今までにない、新しい方法で全身性障害者介護人派遣事業スタイルの制度が
できました。
毎日8時間で時給1100円の制度です。(2002年2月1日開始・社協委託)
ALS協会県支部が要望
制度ができるまでの経過は、まず、ALS協会岩手県支部が県議会に要望
し、自薦の制度の要望が採択されました。つぎに、県が各市町村の課長を集
め、この内容専用の課長会議を行いました。このときは、具体的な内容の指示
はなく、自薦の制度についての詳しい資料もなかったようです。
市町村課長会議を受け、次に、盛岡市が制度の実施について検討をはじめま
す。(盛岡市には数人の人工呼吸器利用のALS患者が在宅で家族介護等を受
けていて、状況を知っていた)。盛岡市では、現状のホームヘルプ制度の要綱
の元で自薦登録方式のヘルパー制度を実施することにしました。障害ヘルパー
要綱を一部改正し、別に「指名ヘルパー制度について」という文書を作り、補
正予算を組み、年度途中の2月1日から制度を実施しました。(中身は介護だ
が、家事単価1470円/時で委託し、介助者に1100円支払い。)
ALS協会県支部では盛岡市とは交渉を行っておらず、きわめて珍しい経過
(交渉なし)で制度化されることになりました。これは、在宅ALS患者がす
さまじい介護状況の中で生活していたことが市にきちんと知られていたことが
大きかったと想像されます。
常時吸引が必要な場合は家族同居も対象に
成立の経緯から、ALSの呼吸器使用者や常時吸引を必要としている全身性
障害者については、健常者の家族と同居でも利用ができることになっていま
す。それ以外の全身性障害者は、一人暮らし等でないと利用対象ではありませ
ん。(現在はALS利用者2名)
新しい要望方法で制度ができるか?
全身性障害者介護人派遣事業や自薦登録ヘルパーも全国130以上の市区町
村に広がってきたこともあり、県議会経由の要望でも制度ができる可能性も出
てきたという事でしょうか。現地市町村へは「非常に大変な状況の当事者」が
大変な介護実態を十分説明しておき、県単位の議会や行政への要望等を全国組
織の県支部が行えば、数県に1県くらいは8時間程度の自薦の制度ができるか
もしれません。今までの交渉より比較的簡単に行えると思いますので、ぜひ、
全国で同様の取組みを行ってみてほしいと思います。
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盛岡市指名ホームヘルパー派遣制度について
(盛岡市ホームヘルパー派遣事業実施要綱の一部改正 平成14年2月1日告知)
【事業内容】
在宅の全身性障害者を対象として,障害者自身が派遣を希望するホームヘル
パーによるサービスを提供することにより,障害者の地域社会での自立生活と
社会参加を支援するとともに,介護者の負担軽減を図る。
【全身性障害者】
在宅の重度身体障害者のうち,両上肢及び両下肢のいずれにも障害がある肢体
不自由の級別が1級に相当する障害のある者で,特別児童扶養手当等の支給に
関する法律で定める程度の著しい重度の障害の状態(特別障害者)であると認
められるもの。
【派遣対象】
全身性障害者のいる次のいずれかに該当する家庭。ただし,人工呼吸器を装着
している全身性障害者及び人工呼吸器を装着していないが常時吸引器を必要と
する全身性障害者の属する家庭は,この限りでない。
? 全身性障害者1人で構成されているもの
? 全身性障害者及び身体障害者のみで構成されているもの
? 全身性障害者と同居するすべての者が高齢,児童,疾病その他の理由によ
り常時当該全身性障害者の介護に当たれない状況にあるもの
? その他これらに準ずる世帯であると市長が認めたもの
【サービス内容】
現行のホームヘルパーと同様とする。
ただし,派遣時間は1日当たり8時間以内とする。(現行の派遣時間は,ホー
ムヘルパーの体制上,1日概ね2時間)
【指名ホームヘルパーの要件】
ホームヘルパー養成研修を修了した者とする。
また,派遣対象者の三親等内の親族及び同居人以外の者で,心身ともに健全で
あり,障害者の福祉に理解と熱意を有し,かつ,障害者の介護,家事及び相談
助言を適切に実施する能力を有すると認められるもの。
【費用負担】
費用負担の額は,現行のホームヘルパー派遣と同様,前年分の所得税の税額に
よる。(最高1時間当たり950円)
【実施方法】
社会福祉法人盛岡市社会福祉協議会に委託して行うものとする。(指名ホー
ムヘルパーの身分は,盛岡市社会福祉協議会の非常勤職員とする。)
※おことわり
・このページは、公開されている情報に基づいて作成された、人・組織「について」のページです。その人や組織「が」作成しているページではありません。
・このページは文部省科学研究費補助金を受けている研究(基盤(C)・課題番号12610172)のための資料の一部でもあります。
・作成:立岩 真也
・更新:20011214,20021005,24