HOME > 組織 >

インターVネット



■インターVネット
 主な参加方法(1995年7月1日現在)
 NIFTY-Serve:GO INTERV
 People:GO INTERV または GO HYOGO.NG
 PC-VAN:J INTERV
 ASCII Net:「コミュニケーションステージ」→「パブリックステージ」→
  「その他」(ネットニュースにも tnn.interv* がある)
 ASAHI Net:ネットニュースの tnn.interv*
 インターネット:tnn.interv* NewsGroups

 以下立岩「資料:インターVネット/VCOM」(千葉大学文学部社会学研究室『NPOが変える!?──非営利組織の社会学』所収)より

 阪神・淡路大震災の救援・復興活動を支援する情報ネットワークを作ることを契機として,金子郁容氏(慶應義塾大学教授,末廣ハウス代表)を中心とした数人のメンバーによって,「インターVネット」が,1995年2月15日に発足した。以下,インターVネット,そして現在このネットワークの運営主体でもある研究プログラムVCOMについて,インターVネットが提供している情報を整理して報告する。 2月27日に発表されたプレス・リリース(報道機関向け発表)には次のように記されている。★02

 「阪神・淡路大地震の発生以来,被災者支援のために多くのボランティアが活躍しております。しかし,現地に行ってみると情報が錯綜していることを痛感します。NGOやボランティア団体相互の連係体勢は満足のゆくレベルではありません。企業による支援はともすれば単発的になっています。
 その結果,被災者のニーズとボランティアによるサービス提供のマッチングが十分にできておらず,リソースの効果的な投入が行なわれているとはいえません。現場の個別で多様なニーズに的確に応え,被災地の復興を効果的に支援するために,現地被災者支援の拠点,ボランティア,NGO/NPO,企業,行政,マスコミ/ミニコミなどを結ぶ,情報と人のネットワークの構築が急がれます。
 私たちはインターネットをベースにした,さまざまな規模のパソコン通信をつなぐ情報共有のネットワークInterVnetを提案します。InterVnetが,ボランティアによる組織的で効率的な支援がしやすくなる情報環境を提供できれば幸いです。」★02

 次に,同日発表された「基本方針と特徴」から引用する。★03

「・InterVnetは,インターネットのネットニュースを利用して,阪神・淡路大地震における現地被災者支援拠点,ボランティア,NGO/NPO,企業,行政,マスコミ/ミニコミなどが互いに情報交換できるように,パソコン通信ネットワークをつなぐ情報共有環境を提供します。
 ・InterVnetの特徴は,ひとつには,NGO/NPOの情報,企業支援の情報,個人情報など,カテゴリごとに独立したニュースグループがあるので,情報が分類された形で提供されるということです。もうひとつの特徴は,大手商用から小規模草の根にいたるまで,さまざまな規模と種類のパソコン通信ネットワーク間の情報共有が可能になり,また,効率的な情報発信が可能になるということです。具体的にいえば,協力いただいているどのパソコン通信ネットワークからも,そのネットワークが選択した限りにおいて,同じ情報を見ることができます。一方,どのパソコン通信ネットワークからも,そこに入力した情報は,協力いただいている全てのネットワークに,さらに,インターネットを通じて世界中に発信されます。
 ・InterVnetは,オープンで透明な情報環境を作ることを目指します。InterVnetは,情報の支配や統合は目指しません。」

 その「歴史」を簡単にまとめる。★04

 1月28日 インターVネット第1回ミーティング(於:大阪武田薬品本社会議室)
      組織として発足することを申し合わせる。
 2月3日 インターVネット設立説明会(於:末廣ハウス) インターネットを
      基盤としてパソコン通信各社をつなぐ情報共有ネットワークを目指す
      ことを決定。
 2月15日 設立記者発表と正式発足(於:大阪鴫田インターVネット大阪事務所)
     同時にプレスリリース資料をネットワークに同時投稿。
 2月28日 ネットニュースtnn.interv* 作成
 3月1日 NIFTY-Serveと接続。会議室が設置され情報共有サービス開始。
      【InterVnetからのお知らせ】【非営利組織情報】【接続技術情報】
      【企業の支援活動】【その他の情報】【英語による情報】 計7
 3月2日 People,PC-VANと接続。会議室が設置され情報共有サービス開始。
 3月7日 インターVネットの情報サーバーマシン 末廣ハウスに設置
 3月10日 末廣ハウスのマシン インターネットとIP接続
 3月12日 NHK・BS1「地域NGO:日本的ボランティアの模索」(夜10:00
      〜11:30)で末廣ハウスとインターVネットが紹介される
 3月13日 ドメイン名 suehiro.nakano.tokyo.jp 割り当て。
 3月17日 【行政機関/業界団体からのお知らせ】【被災地/被災者:生活情報】
      【被災地/被災者:知りたい/欲しい】【被災地/被災者:現地から
      の声】【ボランティア:します】【ボランティア:募集】【復興にむ
      けて】 計13
 3月23日 NHK・総合「共生への扉」(放送記念日特別番組,夜8:30〜)に金
      子郁容が出演。インターVネットが紹介される
 3月28日?電子メイルでの投稿ができるようになる
 4月5日 アスキーと接続。会議室が設置され情報共有サービス開始。
 4月17日?【ボランティア:募集・震災関連】 計14
 4月30日 (人的)組織としてのインターVネット解散。
 5月1日 VCOM発足
 6月14日 慶応義塾大学SFC研究コンソーシウム協議会が開かれ,VCOMが
      『SFC研究コンソーシウムのプロジェクト』として正式に認定される
 7月初旬 【ユーザー会議室】開設
 8月15日 【社会変革のための情報】【女性問題会議室】【市民活動を支える制度】
 10月11月 【災害とネットワーク】開設
 11月3日 【インターナショナルフォーラム】開設

 システムは以下のようなものである。★05
 インターネット上に「ネットニュース」(電子ニュース・電子掲示板)と呼ばれ
るものがある。放送局のような特定の場所があるわけではなく,利用者の書き込む
情報が「記事」として様々な場所から送られ,全体として一つの大きな掲示板を形
成するもので,一般のBBSのように全ての情報を集中的に管理する方法とは異な
る(分散電子掲示板)。ここに集まるニュースは,配布範囲や話題ごとに「ニュー
スグループ」と呼ばれる仮想的なグループに分類され,利用者は興味のあるニュー
スグループを選択して,適切な情報の交換を行うことができる。
 インターVネットは,(株)IIJ(インターネットイニシアティブ)が提供し
ている「IIJ NetNews」 のニュースカテゴリーの一つである「tnn」(The Net
work News)ニュースグループを,IIJの協力を得て無償で,利用している★06。
つまりtnnの中にインターVネットがあり,さらにその中がいくつかのグループ
に分かれている(後述)。例えば「接続技術情報」というグループはtnn.interv.
linktech。
 インターネットのユーザーはこのニュースグループに直接読み書きができる。し
かし多くのユーザーは,NIFTY-Serve など商用BBS,あるいは草の根BBSを利
用している。そこで,このプロジェクトに参加する(無償で協力する)BBSは,
インターVネットと連携する会議室を用意する(その構成がニュースグループと全
く同じ場合は,BBSとニュースグループとのデータ転送を完全に自動化できるこ
とになる)。
 これらの連携会議室に書き込まれた情報は,各BBSから上記ニューズグループ
に投稿される。インターVネットは,その情報の形式が満たされているかどうかチ
ェックを行い,配信する。各BBSは,配信されたニュースをそれぞれの会議室に
転載する。これにより,このプロジェクトに参加するすべてのBBSで,情報の共
有が図れ,どのBBSユーザーも,同じ情報を見ることができる。また,ニューズ
グループは,情報を長期に保管する機能はないので,情報はインターVネットホス
トにアーカイブ(保管)される。
 1995年10月現在で,NIFTY-Serve,PC-VAN,People,アスキーネット と連動して
おり,日経MIXとの連動も1995年末までに予定されている。

     NIFTY PC−VAN PEOPLE 草の根BBS
       :    :      :       :
        :    :      :       :
        インターネット/ニュースグループ(IIJ)
                  :
                  :
             インターVネットホスト
               (www,archive)

 例えばNIFTY-Serve(ニフティ・サーブ)では,GO INTERV★07とすると次のよう
に表示される。

  インターVネット INTERV
    1. ご案内 2. お知らせ/震災/ボランティア他
   3. 新社会システム/NGO ・NPO

 その2.は1995年12日20日現在,次のような状況になっている。

番号 発言 最新  会議室名          ニュースグループ名 tnn.interv.*
3 40 11/30 【InterVnetからのお知らせ】     info
4 360 12/14 【非営利組織情報】         ngo.npo
5 129 12/08 【接続技術情報】          linktech
6 57 11/16 【企業の支援活動】         corp
7 261 11/29 【その他の情報】          misc
8 60 12/14 【英語による情報】         e
9 30 11/02 【行政機関/業界団体からのお知らせ】official
10 2746 12/13 【被災地/被災者:生活情報】    survivors.life.info
11 163 12/09 【被災地/被災者:知りたい/欲しい】survivors.wanted
12 681 12/14 【被災地/被災者:現地からの声】  survivors.messages
13 60 12/09 【ボランティア:します】      volunteers.offers
14 287 12/11 【ボランティア:募集】       volunteers.wanted
15 159 12/14 【復興にむけて】          recovery
16 94 12/06 【ボランティア:募集・震災関連】  volunteers.wanted.queke
17 24 12/12 【ユーザー会議室】         user.conf
18 196 12/14 【災害とネットワーク】       disaster.network

 また3.は次のようである。

番号 発言 最新  会議室名
1 83 12/17 【社会変革のための情報】 alt.info
2 114 12/19 【女性問題会議室】    women
3 31 12/15 【市民活動を支える制度】 ngolegal
4 21 12/16 【インターナショナルフォーラム】 international

 会議室ごとの電子メールの投稿先アドレスは,ネットニュースのニュースグルー
プ名の[.]を[-]に置き換え,その後に@creamy.ics.es.osaka-u.ac.jpをつけたもの。
たとえばtnn.interv.linktech(接続技術情報)にメールで投稿する場合は,記事を
tnn-interv-linktech@creamy.ics.es.osaka-u.ac.jpに送る。


★01 この文章の執筆の時点でインターネットは使えなかったので,以下の情報の
入手にあたってはNIFTY-Serve を利用している。他に関係する文章として金子[19
95],『読売新聞』大阪95/07/13特集「阪神大震災後6か月 ボランティア活動は
これから」中の「多様な社会「共同知」で結ぼう 金子郁容・慶応大教授に聞く」,
等。
 また,パソコン通信(特にインターネット)と市民運動,NPOの活動との関わ
りについて報告している文献として,岡部[1993a][1994a][1994b][1995]。
★02 【InterVnetからのお知らせ】(以下[お知らせ]と略記)00003「InterVnet
Press Release 27 Feb 95」中の「<InterVnet;インターVネット> 
震災被災者を支援する情報共有ネット 1995年2月27日 文書番号950227-001」
 代表は平田哲(関西NGO協議会,関西セミナーハウス),コーディネータ,運
営委員長は金子郁容(慶応大学,末廣ハウス)。
この時点でのインターVネット事務局(事務局長:高橋陽子)は〒150 渋谷区渋
谷2-1-13 日本風土ビル8F 日本フィランソロピー協会内 TEL : 03-5467-8322(月-
金 10:00am-5:00pm) FAX : 03-5467-2574。
 インターネットのゲートウェイは末廣ハウスに,情報編集センターは慶応大学湘
南藤沢キャンパスに置かれた。
★03 [お知らせ]00003「InterVnet Press Release 27 Feb 95」中の「Inter
Vnetの基本方針と特徴 文書番号950227-002」
★04 3月13日までについては,[お知らせ]00017「InterVnet NewsLetter No.2」
(1995/3/14)中の「7 インターVネット小史」より。それ以降は[お知らせ]等
によりまとめた。開設予定と実際の開設とがずれたりすることがあるので,日付等
は必ずしも正確なものではない。
★05 以下は[お知らせ]00003「InterVnet Press Release 27 Feb 95」中の「イ
ンターネットとInterVnet 文書番号950227-003」,[お知らせ]00004
「Tech Release27 Feb 1995」等による。
★06 IIJ NetNews の利用規約は,[お知らせ]00008「TNN Rules 2」に,「TNN
ニュースグループのご案内」は[お知らせ]00005「TNN Rules 1」に掲載されてい
る。
★07 他にトップ・メニューの「10. 趣味/旅行/生活/ボランティア」→「11.
ボランティア」→「1. インターVネット」(2.は「震災ボランティアフォーラム
ログ」)でも
アクセスできる。インターVネットへの主な参加方法(1995年7月1日現在)は以
下の通り。([お知らせ]00031「How to join InterVnet」(95/07/01)より)
 NIFTY-Serve:GO INTERV
 People:GO INTERV または GO HYOGO.NG
 PC-VAN:J INTERV
 ASCII Net:「コミュニケーションステージ」→「パブリックステージ」→
 「その他」 (ネットニュースにも tnn.interv* がある)
 ASAHI Net:ネットニュースの tnn.interv*
 インターネット:tnn.interv* NewsGroups


UP:1996 REV:
NPO  ◇ボランティア  ◇災害と障害者・病者  ◇生存・生活 
TOP HOME (http://www.arsvi.com)