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IRIN2002

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◆2002/01/11 エチオピア:エイズによる孤児のための新組織
 アジスアベバ 1月11日(IRIN)
◆2002/01/18 南ア、タイからのコピー薬製造技術移転を拒否
 ヨハネスブルグ、1月18日(IRIN)
◆2002/01/22 エチオピア 「教会のリーダーがエイズの感染拡大を警告」
 アジスアベバ 1月22日(IRIN)
◆2002/02/06 エチオピア「5歳以下人口の内、20万人以上がHIV/AIDSに感染」
 アジスアベバ 2月6日(IRIN)
◆2002/02/22 エチオピア エイズによる経済的影響について
 アジスアベバ 2月22日(PLUSNEWS)
◆2002/03/08 AFRICA: HIV/AIDS and partner violence
 アフリカ:HIV/AIDSとパートナーの暴力 ヨハネスブルク 3月8日(PLUSNEWS)
◆2002/03/11 SOUTH AFRICA: Government ordered to provide Nevirapine pending appeal
 南アフリカ:政府が係争中の間のネヴィラピン供給を命じられる ヨハネスブルク 3月11日(PlusNews)
◆2002/04/22 タンザニア:HIV/AIDS 、ザンジバルで増加
 ナイロビ、 2002年4月22日(IRIN)
◆2002/05/02 南アフリカ:世界基金がHIV/AIDSプログラムを後押しする
 ヨハネスブルク 5月2日(PLUSNEWS)
◆2002/05/07 アフリカ:HIV/AIDSと教育の悪循環
 ヨハネスブルク 5月7日(IRIN)
◆2002/05/14 エチオピア:反HIV/AIDSの大キャンペーン、開始予定
 ナイロビ、5月14日 (PLUSニュース)
◆2002/05/15 南アフリカ:AIDS治療薬なしで生きる
 ヨハネスブルク 5月15日(IRIN)
◆2002/05/28 ジンバブエ:政府が非常事態を宣言、ジェネリック薬の使用を許可
◆2002/05/30 アフリカ:AIDSは富める国々への警鐘だ−ボノ
 アディスアベバ 5月30日(IRIN)
◆2002/05/31 南アフリカ:地域ぐるみの医療への取り組みが人々の役に立つ
 ラビサ(HLABISA) 5月31日(PLUSNEWS)
◆2002/06/25 アフリカ:2800万人のアフリカの人々がHIV/AIDSに感染している−UNAIDS
 ジョハネスバーグ 6月25日(IRIN)
◆2002/07/08 アフリカ:抗エイズ薬が貧しい地域社会で功を奏することができる
 バルセロナ 7月8日(IRIN)
◆2002/08/26 アフリカ:持続可能な開発と世界基金
 ジョハネスバーグ8月26日(PLUSNEWS)


 
 

◆2002/01/11 エチオピア:エイズによる孤児のための新組織
 アジスアベバ 1月11日(IRIN)

斉藤@足立区です。

河野さんがIRIN配信の標記のニュースを翻訳してくれました。


エチオピア:エイズによる孤児のための新組織

アジスアベバ 1月11日(IRIN)
急速に拡大するエイズによる孤児を支援するための新組織がエチオピアで設立される

その組織はエイズウイルスによって両親を失った子ども達を対象とするものとなる。「この組織の目的は基金を設立し、子ども達のために使うことだ。」米国のNGO「ピープル・トゥ・ピープル」の理事長、アブラハム・アスナック博士(Dr Abraham Asnake)はIRINに語った。「子どもたちが教育、食料、住居を手にするための援助を行い、子ども達は必要とする各種サービスへアクセスすることが可能になるだろう。」

エチオピアにおけるエイズによる孤児の数は膨大である。保健省の推計によると現在、100万人のエイズによる孤児がおり、その多くは路上生活を余儀なくされている。「医薬品のような他の分野に予算の多くが投入される中で、エイズによる孤児の問題はほとんど省みられることがない。」と、アブラハム博士は付け加えた。「この組織は孤児達の実像を浮き彫りにし、焦眉の急である彼らへの援助を実現する一助になるだろう。」

この組織は、アブラハム博士と会談を持ったエチオピアのギルマ・ウォルド・ギオルギス(Girma Wolde-Giorgis)大統領の力添えを受けている。彼はこの組織を、エチオピア国家HIV/AIDS事務局(政府によるこの疾病との闘いのために設立された組織)管理下で、共同体に根ざしたものにしようとしている。

ギルマ大統領は、500人のエイズによる孤児のために開かれた定例昼食会において、この新組織の設立を発表した。両親をエイズで亡くした子ども達は、何の援助も無く、路上生活を強いられることが多い。地域の共同体は、アフリカ大陸全体を苦しめているこの問題に対して目をつむるのではなく、孤児たちに対して援助をするべきだ、と彼は聴衆に対して語りかけた。

エチオピアのHIV/AIDS感染者数は世界第3位である。インドと南アフリカだけが、感染者数で上回る。昨年発表された公式統計によると、エイズによる孤児数は75万人である。最近の統計では、2014年には210万人に達するであろうことが示されているが、その数は更に増大する可能性がある。

保険省の報告によると、地域によっては20%以上の妊婦がウィルスに感染している。最近の推測値によると、15〜49歳までの成人人口のうち、7.3%がウィルスに感染しているとみられる。最近のエチオピアの人口は6,500万人であり、サブサハラアフリカの人口大国の一つである。

「問題の規模の大きさは極めて懸念されるが、我々がそれと向き合うことは決定的に重要である。」と、アブラハム博士は付け加えた。「これは全ての人に関わる問題であり、エイズによる孤児の数が増え続けていることを考えると、問題は改善どころか、悪化する一方であろう。」

エイズ被害者と共に活動しているエチオピアのNGO「希望の夜明け」('Dawn of Hope')は、資金の提供を切望している、と語った。すでに世界銀行はエチオピア政府のエイズ対策に対して、5600万米ドルを融資している。他の諸機関も、ヘルス・ケアおよび教育の分野で資金を提供しているが、さらに資金提供を求められている。「この新組織設立は大きな前進だ」と「希望の夜明け」のゼウドゥ・ゲタチュ(Zewdu Getachew)氏は言っている。「エイズ戦略の柱の中に、子どもたちの要求に応える組織が誕生する、ということなのだ」。

ゼウドゥ氏によると「4年前にはエチオピアの人びとは、エイズもHIVも信じていなかった」。したがって「私たちの努力の多くは人びとにこれ以上感染が拡大しないための努力をすることを訴えることにあった。やっと社会に対し、孤児たちの要求を明らかにし、どうやって支援していくのかを語るところまで来たのだ。」

PS
「Children on the Blink 2002」に従って、「エイズ孤児」ではなく「エイズによる孤児」としました。

 
 

◆2002/01/18 南ア、タイからのコピー薬製造技術移転を拒否
 ヨハネスブルグ、1月18日(IRIN)
 翻訳:吉田さん

 300のHIV/AIDS薬を更に値下げ出来る、コピー薬生産技術の無償移転というタイからの申し出を、南ア政府は未だ受け入れていない。
 タイは過去3年にわたり、多国籍製薬会社の5〜10分の1の値段のコピー薬300種類以上を生産してきた。
 Mail and Guardian紙が今週伝えたところによると、タイは、全てのアフリカ諸国がHIV/AIDS薬を手にするまで休まないと約束しており、もし南ア政府が国民を助けようとしないのなら、安価の治療薬を生産している国々で包囲網を作ると明言している。
 保健省のスポークスパーソン、シバニ・ムガディ(Sibani Mngadi)さんは金曜日、PlusNewsに対し、南ア政府はすでに製薬会社ファイザー(Pfizer)との取り引きがあり、フルコナゾル(Fluconazole)のコピー薬を作ろうというタイの申し出を「追いかける必要はない」と述べた。
 政府は2000年にファイザーと共同で、国立病院にいるHIV/AIDS患者の クリプトコックス髄膜炎(cryptococcal meningitis)の治療薬ヂフルカン(Diflucan)の供給を始めている。
 その他の治療薬製造については、最近、マント・シャバララ・ムシマング(Manto Tshabalala-Msimang)保健大臣がブラジルとインドに「南アにとって何が最適か」を検討する実情調査団を派遣している。 ブラジルとインドは製薬会社のパテントをうまく避けて、安価のコピー薬を生産している国である。
 ムガディ報道官は、大臣も保健省もタイからの申し出はまだ受け取っていない、と強調し、付け加えた。「これから申し出の詳細をよく検討し、いかに南アのためになるか見極めなくてはいけません。」
 ムガディ報道官によれば、政府にはまだいくつか乗り越えるべき障害があり、現在のところ長期間の治療薬供給ができない。例えば、治療薬供給の費用は依然として非常に高く、保健のシステムもそのようなプログラムを実施する能力を欠いていることなどがある。
 「こういった申し出では、どれくらいの期間援助が続くかには言及していない」ので、持続性も障害の一つだ、とムガディ報道官は付け加えた。
 政府はこれらの問題への解決策を見出すべく、製薬会社やその他関係者と継続的な協議を続けている、という。
 タイ政府製薬機関(The Thai Gov pharmaceutical organization) の調査研究部門長、キルサナ・クライシンツ(Kirsana Kraisintu)医師の言葉が同紙(Mail and Guardian)に引用されている。「南アには政治的な意志が欠けている。南ア政府がゴーサインを出してくれれば、ぜひ技術移転をしたいと思っている。南アには非常に優れた製造インフラがあるし、要請だけあれば6ヶ月以内にはコピー薬生産が始められるだろう。」
 技術的な問題、工業生産能力、原料確保の問題、そして作った後の配分・供給継続の問題と課題はたくさんあるのでしょうけれど、なかなか釈然としない話です。

 
 

◆2002/01/22 エチオピア 「教会のリーダーがエイズの感染拡大を警告」
 アジスアベバ 1月22日(IRIN)

エチオピア正教会の総主教は、国民の最も神聖なる日を記念する説教の中で、エイズの感染拡大を警告した。アビューン・パウロ総主教(Patriarch Abune Paulos)はエチオピアのキリスト顕現日を祝う説教の中で、コミュニティに対し、ウィルスの犠牲者達に助けの手を差し伸べ、憐れみを示すよう求めた。

エチオピアは世界第3位のHIV感染者数を抱える。この疾病は既に100万人の孤児を生み出した。全てのキリスト教徒は一層の拡大を防止するための努力に協力するべきである、と彼は語った。

「彼は国中のあらゆる街角に行き、このメッセージを伝えた。」総主教のスポークスマンであるアビューン・ゲリマ大司教(Grace Abune Gerima)は言った。「重要なことは、毎日沢山の人々が死んでいっている、ということである。これはエチオピアにとって、深刻な問題である。」

「我々は国民に危険を教え、用心するように言わなければならない。国民が避妊具(コンドーム)を使うことが重要である。」彼はIRINに語った。「教育が重要であり、だからこそ我々は、国中の教区にこのことを伝え、彼らがその役割を果たすよう言っているのである。」顕現日はエイズの危険性を語るのに重要な日である、なぜなら沢山の国民が司教の話を聴きに教会に集まってくるからである、とゲリマ大司教は付け加えた。

何万人もの国民が総主教の説教を聴きにジャン・メダ(Jan-Meda:伝統的に顕現日に教会の信徒達が集うアジスアベバの広大な広場)に集まった。土曜日に彼らに語り掛けたなかで、このHIV感染者を助けることは、キリスト教徒の努めである、彼はと語った。

彼の説教は、エチオピア赤十字協会(Ethiopian Red Cross Society: ERCS)がこの疾病との闘いを強化する、という誓いに繋がった。協会は、HIV/AIDSはERCSの最優先事項である、と語った。


PS
エチオピア正教会のトップ、「総主教」と直しました。

 
 

◆2002/02/06 エチオピア「5歳以下人口の内、20万人以上がHIV/AIDSに感染」
 アジスアベバ 2月6日(IRIN)
 河野さん訳

 保健省によると、エチオピアで5歳以下人口の内、25万人がHIV/AIDSに感染している。
 保険省・HIV/AIDSと性感染症予防管理部門長、デスタ・ウォルデヨハン(Desta Woldeyohannes)は、子ども達は母親から感染している、と語った。「ここでの問題は、彼女たちは結婚前に検査を受けることが無く、また、結婚前に感染しているかもしれないことである。」と、彼女はIRINに語った。「妊娠中に父親が感染し、それを母親とまだ生まれる前の子供に感染させることもあるかもしれない。」
 エチオピアのHIV/AIDS感染者数は世界第3位である。より感染者数が多いのは、インドと南アフリカだけである。保健省によると、国内でおよそ320万人の人々がウィルスに感染している。5歳から14歳までの間の子ども達の感染者数については、公式な数字が未だ存在しない。
 このウィルスはまた、100万人の孤児を生み出しており、すでに限界に達している行政サービスにさらなる莫大な重荷を課している。保健省は国内のHIV/AIDSカウンセラーの数を増やそうとしている、とデスタは語った。10日間のワークショップにおける最初のスピーチで、最大250人が保健省によって養成されるだろう、と彼女は語った。保健省は、2014年までに孤児の数は210万人にも達するものと予測している。
 エチオピア政府は、エイズは現在直面する問題の中で最も困難なものの一つである、と位置付けている。そして、国際社会に助けを求めている。世界銀行は政府に対し、既に59百万米ドルをこの危機に立ち向かうための資金として融資した。

 
 

◆2002/02/22 エチオピア エイズによる経済的影響について
 アジスアベバ 2月22日(PLUSNEWS)

河野さん訳

アフリカにおけるHIV/AIDS危機の大きさはあまりにも明らかである。何百万人もの人々が死に、彼らの子ども達は孤児となり、コミュニティ全体が破壊された。しかしながら、アフリカの経済活動をマヒさせる影響については、まさに今、警鐘が鳴らされ始めたところに過ぎない。

エチオピアでは、将来的な国の発展の希望を担い、大々的に広報されている貧困削減計画書についても、エイズによって大きなダメージを受けるのではないかとの心配が増大している。メレス・ゼナウィ(Meles Zenawi)首相は、国家エイズ評議会に対して、チームを編成し貧困削減計画書でこの問題を考慮に入れるよう求めた。

「HIV/AIDSは今やエチオピアの経済発展にとって、最大の脅威となっている。」国家エイズ評議会は語った。「エイズはエチオピアの経済成長に対し毎年重大な損失を与え、更には一層の貧困削減という目標達成を困難なものにしている可能性が高い。もしこの問題が無視され続けるならば、HIV/AIDSは成長の鈍化を引き起こし、この国の経済発展の軌道を変えてしまうで。」

経済崩壊

未だにエチオピアにおける、このウィルスによるな深刻な影響についての統計がほとんど、若しくは全く存在しないことが、適切な開発戦略の策定をより一層困難なものとしている。しかしながら、国連開発計画(UNDP)は、開発戦略はエイズによって引き起こされる経済崩壊の脅威に照準をあてなくてはならない、としている。

UNDPによると、エイズが持続的開発計画に与える影響についての調査は、ほとんど行われていない。「HIV/AIDSの問題は経済戦略、特に貧困削減計画に組み込まれるべきである。」と、UNDPエチオピア事務所のバーバラ・トーグラー(Barbara Torggler)HIV/AIDS担当官は語った。

「開発専門家や政策立案者の間ではHIV/AIDSの問題が示唆するところについて、限られた議論しか行われておらず、エイズによる成人死亡率の急増という新たな脅威について考慮に入れないまま、国家および世界的な開発の目標が策定されている。」と彼女は続けた。

アフリカ大陸全域において、成人も子どもも死亡率が急激に悪化している。サハラ砂漠以南アフリカ諸国における死亡原因のうち4人に1人はエイズであり、すでにぎりぎりの状態にある医療や社会的サービスは、限界に近づきつつある。

生産の破壊

アフリカ開発銀行のプロスパー・プクタ(Prosper Poukouta)がプラス・ニュースに語ったところによると、このウィルスは生産活動の全体を既に破壊している。エイズの流行はエチオピアのみならず、アフリカ大陸全体の発展を阻害している、と彼は語った。「エイズは多くのアフリカ諸国において、深刻な経済的影響を与える可能性がある。」と彼は語った。「これは他の多くの疾病とは異なる。なぜなら、生産人口の中心となる人々を直撃し、かつ、100%死に至るからである。」

「人口増加や人的資源の開発、人的開発における最小限のバランスといった基本的な問題について語ることなくして、アフリカにおける持続的発展について語ることはできない。」彼は語った。「エチオピアにおいては、平均余命はすでに悪化し始めている。全世界のHIV/AIDS感染者のうち、11人に1人はエチオピア人である。」

しかしながら、現状、最も影響が大きいのは、ミクロの家計レベルである。HIV/AIDSが家計に与える影響は深刻であるにもかかわらず、評価も一般的な測定もされていない。」トーグラーは語った。彼女は、収入の喪失、感染者やその関係者をケアするための資産の減少、家庭の困窮化などの問題を強調した。

「エイズによって労働者は職を失うか、治療のために生産活動から離れなくてはならない。農業部門においては生産の減少を示す証拠がある。」と彼女は述べた。

農村地域における危機的な被害

エチオピアで特に深刻な被害を受けているのは、農村地域である(既に45%前後の人々が貧困ライン以下にある)。経済は農業中心であり、エチオピアの国内総生産の56%を占めている。2,000万人以上の人々が農村地域で働いており、総労働人口の約88%を占める。

農村地域でエイズの被害に遭った家族は、彼らの農地で週14時間(平均は34時間である)しか働くことができない。生産量が半減することにより、彼らはより外部からの援助に頼らざるを得なくなる。年100米ドルの彼らの収入は急減し、彼らの貧困を緩和するための近年の努力は掻き消されてしまう。

「借家や雇用を失うことにより、エイズは新たな貧困を生み出している。」トーグラーは付け加えて言った。UNDPによると、収入は10〜15%減少している。

国家安全保障上の脅威

もしエイズによる経済崩壊が避けられないとすると、被害は甚大となり、各国を不安定化することになろう、と国際機関は信じている。アフリカ統一機構(OAU)のローレンス・アグブズ(Lawrence Agubuzu)事務局次長は、感染拡大は国家安全保障上の問題に重大な影響を与えるであろう、と警告している。

「HIV/AIDS、結核、その他関連する感染症は、国家安全保障に対するリスクや社会経済開発に対する主要な脅威となっており、アフリカにおけるいくつかのコミュニティーの存亡が懸かっている。」と彼は語った。この警告は、中央情報局(CIA)による、HIV/AIDSが国家安全保障に及ぼす脅威に関する最近のレポートの後に出された。

UNDPは、エイズによって脅威にさらされている人的開発の現状に照準を当てた緊急行動が必要である、と強く主張している。主要な公共サービスの崩壊を回避することが必須であり、貧困削減の努力がなされるべきである、と論じている。教育や経済の生産性に対する影響もまた、対象とされるべきであり、女性に対する重圧(しばしば追加労働の矛先となる)は軽減されるべきである。

エチオピアでは、待望されている貧困削減計画書が近々完成する。それが公開された時、人々は「エイズ要因」がどれほど重大な部分を占めているか、目の当たりにすることになるだろう。国家エイズ評議会の言葉を借りるなら、「エチオピアの未来は、感染拡大に対する強力かつ迅速な対策に懸かっている。」


PS(斉藤)
・National AIDS Councilは「国家エイズ評議会」と改訳しました。
・この時点は、Africa Union(AU アフリカ連合)は誕生しておらず、the Organisation of African Unity (OAU アフリカ統一機構)の事務局次長が登場しますね。

 
 

◆2002/03/08 AFRICA: HIV/AIDS and partner violence
 アフリカ:HIV/AIDSとパートナーの暴力 ヨハネスブルク 3月8日(PLUSNEWS)

 スーサン・テフォ(Susan Teffo)さんは自分がHIV陽性である事を告白したところ、夫がぶつけた石油コンロでやけどを負った。彼女の4歳になる息子が父親を止めようとしたところ、母親同様にやけどを負った。
 夫が殺人未遂で告訴されても、スーザンは彼の元から離れようとしなかった。彼の元を離れることによって、夫への医療補助を通じて入手していた薬が奪われるからだった。
 調査によると、HIVへの自発的なカウンセリングとテスト(VCT)を受けた女性たちは、暴力を恐れて、テストの結果や調査を受けたことについて、夫や同居人と話したがらない。
 この分野をリードする南アのNGO「暴力・調停研究センター」(CSVR)による調査は、スーザンの事例を南ア国内におけるHIV/AIDSと女性への暴力と関連づけた。「HIV陽性であることを明らかにしたためにさまざまな虐待を受けた女性について、極めて多くの証言がメディアの中に存在していた。」とカイラシュ・バーナCSVR研究員はPlusNewsに語った。
 調査者は52のHIV/AIDSとジェンダー関連の組織の代表へインタビューを行い、女性は自らの(HIV感染の)状態について公表することを恐れるため、しばしば治療を受けようとしないことがわかった。
 「我々がみてきたHIV陽性のクライアントの間では、このことは明らかな問題である。多くの女性がテストを受けるにしても、反応を恐れるあまりパートナーには秘密にしている。」とNGO「女性への暴力に抵抗する人々」(POWA)のケリー・ハットフィールド代表はPlusNewsに語った。
 タンザニアの調査で、パートナーによる暴力が多くのVCTを受ける女性の間で深刻な問題であることが確認され、インタビューを受けた245人の女性の1/4以上が「生きていく上で、(パートナーによる)暴力が大きな問題である」と言う内容の証言をしている。男性あるいは女性である関係者が、暴力を女性への「矯正」や「教育」と主張し、女性の身体に痕を残さない暴力は正当であると証言しているのである。
 多くの女性はHIVテストについて自分で意思決定することができない、と調査報告は述べている。男性であれ女性であれ関係者は、女性はテストに先立ちパートナーに許可を求めるべきだと主張している。一方、男性がパートナーの同意を求めることなく自らの意思でテストを受けることを決めることは、当然視されている。
 調査報告によれば、HIV陽性の女性が自らのことをパートナーに打ち明けることは以前よりも増加しているが、HIV陰性の女性より著しく少ないのが現状である。陽性陰性に関係なく、自身の状態について打ち明けない女性の全般的な理由は、パートナーの反応への恐れ、特に虐待や捨てられることへの恐れであった。
 パートナーにテストの結果を打ち明けて、否定的な反応をさせたとの報告がわずかな割合であったことは驚くべき発見であった。ほとんどの女性が結果を話すとパートナーは理解を示し、支援を申し出てくれたと語った。「しかしながら、HIV陽性よりもHIV陰性の女性の極めて大部分が、この肯定的な反応を受けたと報告した。」と調査報告は述べている。

 
 

◆2002/03/11 SOUTH AFRICA: Government ordered to provide Nevirapine pending appeal
 南アフリカ:政府が係争中の間のネヴィラピン供給を命じられる ヨハネスブルク 3月11日(PlusNews)

 プレトリア高等裁判所は月曜日、政府に対して、憲法裁判所が5月に決定を下すまでの間、全てのHIV陽性の妊婦にネヴィラピンを供給するよう命じた。
 クリス・ボタ(Chris Botha)裁判長は執行命令の中で、政府は「検査とカウンセリングが実施できる」全ての公共医療機関を通じてネヴィラピンを供給しなければならないと述べた、とニュースは報じた。現時点で、政府は全国でわずか18のパイロットサイトでのみ、ネヴィラピンを供給している。
 ボタ裁判長は、もし政府が最終的に勝訴し、その執行命令によって医療機関が「不利益を強いられることに」なるかもしれないが、その間のネヴィラピンの分配は「失われると考え命を救うこと」につながると発言したと報じられた。また、公共医療機関が1日約30人の女性を「余分に面倒みられる」とも語った。
 今日の執行命令は、既に州内の病院でネヴィラピンを配布している西ケープ州及びクワズール・ナタール州政府には適用されないだろう。
 先月、クワズール・ナタール州は、連邦政府による12月の決定への控訴による制限を受けないこととなり、6月までには20ある州立病院でネヴィラピンを提供したいとしている。
 西ケープ州はHIV陽性の女性とレイプ被害者への抗レトロウィルス薬を提供する30のテストサイトを設立し、ゴートン州知事は公共医療機関を通じたネヴィラピンの配布計画を公表した。

 

◆2002/04/22 タンザニア:HIV/AIDS 、ザンジバルで増加
ナイロビ、 2002年4月22日(IRIN)
翻訳:柿元さん

 国連のHIV/AIDS専門家は、ザンジバールのHIV/AIDS感染率は確実に高まっており、この自律性の高い島国に関する現在のデータは実際の感染率を下回っているだろうとの懸念を表明している。
 ザンジバルの国連ボランティアHIV/AIDS専門家であるFath Alloba博士は、ザンジバールのHIV感染率に関しての「具体的戦略」データ作成は、その地域の他の諸国からかなり遅れていると、IRIN に語った。これは、HIV/AIDSに対する包括的闘いで共同歩調を妨げるものだ。
 Alloba博士によると、公式の数字ではHIV感染率は2%である。その他の4カ所のボランティア・テストセンターで集められたデータによると、テストを受けた人の13.7%までが感染していた。彼はまた、HIV/AIDS有病率と一般的に深く関係のある性感染症(STI)を治療したが、その数は増加していると述べた。
 さらに、「結果は一般の人々について十分ではないが、本当の数は2%よりかなり高い。医者としての見解は、実際HIVは増えていると思う」と、述べた。
 しかしながら6月の調査が終わった後で、現在の公式数字は劇的に増加している。と、タンザニア担当、UNAIDSプログラムアドバイザーBasstanieさんは言う。
 世界保健機関(WHO) が、ザンジバル当局と国連開発局(UNDP)などその他の国連機関と協力して行う予定の研究では、HIV監視を導入するのに必要な技術支援及び規格データ収集システムをタンザニア政府に 提供することになろうと、Basstanieさんは語った。
 また彼女は、「現在、ザンジバルではHIV感染者に対して様々の憶測があり、感染率に関しては良い戦略研究を行うまで何もいえない」と 、タンザニアの首都ダルエスサラームからIRIN に語った。
 研究結果は今年6月ごろ発表されるが、「今はデータの信憑性には疑問が残され、データの質もかなり悪い」と、彼女は述べる。
 また彼女によると、UNDP, WHO, UNAIDS、国連児童基金(UNICEF)、国連人口基金(UNFPA)などの多くの国連機関もまた、ザンジバルのHIV/AIDS に関する共同プログラムを2002 年から2006年の間に開始する予定だ。このプログラムは、HIV/AIDS感染を減少させるため、またすでに病気に感染している人を支援する目的で、タンザニア政府及び複数のNGO、現地のグループによる取り組みを支援するもの。
 ザンジバルでは、HIV/AIDSの基礎知識は 一般的に広まったが、現地のほとんどの人々は性行動に関するインフォームド・チョイスを行うための十分な支援ができていない、とユニセフ。
 2001 年発表された、「Zanzibar:の子供に関する状況分析・2001年」と題するレポートの中で、現地の人々がHIV/AIDS感染を避けるための基礎知識と、安全な性を保障する機会には大きなギャップがあると、ユニセフは述べている。ほとんどの人(女性の94.1 %、男性の97.6%)がHIVについて知識があり、コンドームは感染を防ぐ重要な方法であると知っているが、それは社会にあまり受け入れられていない。女性が男性にコンドームを使うよう求めることを半分以下の人が受け入れていると、レポートは述べている。
 「ザンジバルの女性のわずか0.1 %、男性の5.2 %が、今までにSTIなどの感染を防ぐためコンドームを使ったことがある」とレポートは述べている。信憑性の薄いデータ以外に、ザンジバルのHIV/AIDSに対する戦いを妨げる取り組みは、STIプロジェクトへの基金の制約でプロジェクトが完全に実施できないこと、検査キットの提供が不定期的で不十分であること、現地コミュニチィーで実施されるHIV/AIDS政策が明確でないことだと、Alloba博士は述べる、また、「コミュニティーには問題は無かった。HIV/AIDS プログラムを気軽に実施に協力した」とも言う。

 

*斉藤@足立区です。

 須藤さんが、2002年5月配信の南部アフリカ地域に関わるIRINニュースを翻
 訳してくれました。

◆2002/05/02 南アフリカ:世界基金がHIV/AIDSプログラムを後押しする
 ヨハネスブルク 5月2日(PLUSNEWS)

 南アフリカのHIV/AIDSプログラムが、先週GFATMから1億6520万USドルの支
援を受けることとなった。
 南アへの補助金は、治療と結核・HIV感染者への支援に与えられる。資金
は、大体9300万USドルが南アのHIV/AIDS問題の調整機関である南アフリカ
AIDS会議に授与される。
 残りの720万USドルはクワズール・ナタール州立調整機構(PCM)による、
HIV感染者に対する治療を優先したサービスへの支援に当てられる。
 クワズール・ナタール州は南アでも最大のHIV感染者がいて、成人の1/3
がHIV感染者であるといわれている。今回の資金提供のガイドラインは、州
の調整機関にプライオリティが与えられると規定した、特異なものである。
 州による基金への申請は、ネルソン・マンデラ医学校と州保健省が共同で
取り組んできた治療イニシアティブとHIV/AIDS公共医療プログラムを踏まえ
てなされたものであった。
 クワズール・ナタールのPCMメンバーであるウメッシュ・ラロー教授は、
州の基金申請が受け入れられたのは官民協力の結果だ、とPlusnewsに語った。
「大学以外にも、州保健省だけでなく、ダーバン商工会議所、サウスコート
・ハイウエィ・ホスピスのようなNGO、NAPWA(HIV/AIDS感染者協会)、司法
組織、複数の宗教団体が参加して申請をまとめたのだ。」
 基金申請は、クワズール・ナタール州の複数のパイロットサイトで行われ
てきた治療拡大イニシアチブがHIV感染者の治療についての明確なる戦略を
持っていることに焦点をあてたものだった、とラロー教授は語った。
 VCT(HIVテスト受信の働きかけとフォローアップ)、判定、日和見感染の
治療がすでに提供されており、GFATMからの資金提供によりさらに改善され
ることとなる。
 保健関係者が適切な治療を行うことができるよう、公共医療機関での大規
模な研修プログラムが進行中である。ラロー教授は、抗レトロウィルス薬は
適切な情報に基づき、訓練されたスタッフがいる環境でのみ処方されると強
調した。
 クワズール・ナタール州では、GFATMから提供される資金の大部分は、大
学とダーバン商工会議所が共同で取り組んでいる在宅ケアに当てられること
になっている。この在宅ケアサービスは、諮問機関の指導の下で5年以上実
行される。

◆2002/05/07 アフリカ:HIV/AIDSと教育の悪循環
 ヨハネスブルク 5月7日(IRIN)

 教育はHIV/AIDS予防に重要な役割を果たしうるが、感染拡大の衝撃はあら
ゆる試みを駄目にしかねないと、世界銀行が新しいレポートで警告した。
 「HIV/AIDSは教師を奪い、質を悪化させ、教育への要求そして受けようと
する努力そのものを弱める。また、熟練労働者を減らし、各部門のコストを
増大させる。」と5月7日に公表されたレポート「教育とHIV/AIDS:希望のチ
ャンス」は述べられている。
 中央アフリカ共和国では、1996年から1998年の間に死亡した教師の85%が
HIV陽性であり、彼らは定年を迎える10年前に死んでいる。
 教育行政関係者も同様である。少なくても南アの教育行政当局者の12%が
HIV陽性だと見られている。
 教師の無断欠勤や業務不履行は、感染の精神的影響を無視した結果である
と考えられる。
 ザンビアでは、HIVに感染もしくは死亡した身内を持つ教員の調査サンプ
ルの2/3以上が、友人や家族とHIV/AIDSの問題を語ろうとしなかった。自分
自身がHIVに感染しているのではという不安と結びついて、このような孤独
な状態は、教員の被害を拡大し、教える能力を奪う。
 レポートによると、現在、アフリカのいくつもの大学が、社会経済的環境
の悪化の中で活動を続けている。ベニン、ガーナ、ケニア、ナミビア、南ア、
ジンバブエの複数の大学における最近の研究は、「AIDSと関連した差別に対
する見て見ぬ振り、秘密主義、否認と不安の抗しがたい雰囲気」を明らかに
した。
 一方、HIV/AIDSにより減少しているとはいえ就学年齢人口そのものは増加
しているため、教育の需要に対する感染の衝撃はあまりはっきりしない。
 しかし、発病した家族の治療のため家庭に留まることが多いために、女子
の教育へのアクセスはHIV/AIDSにより制限されている。
 「教育システムそのものが、特に女性のHIV/AIDS感染リスクへを大きくし
ている国もある。」とレポートは述べている。とあるウガンダの地区では、
調査した通学する女性の31%が、主として教師から性的虐待を受けていると
報告された。
 「見積もりを始めたばかりだが、教育部門でHIV/AIDS対策に投じるべき費
用は大きい」とレポートは述べている。
 ザンビアは、2000年から2010年の間に2500万USドルをHIV/AIDSで死亡した
教員の代わりを配置する費用として見積もっており、モザンビークの見積も
りはこの倍額である。
 いくつかの国では、この悪化する危機に対応するために、生活改善と結び
ついた健康教育なども始まっている。
 ウガンダで学校保健教育プログラムが考え方や行動にわずかしか変化をも
たらさなかった後に、教育省は小学校と中学校に生活技能プロジェクトを導
入した。プロジェクトの結果として、ウガンダAIDS委員会は15歳から19歳の
間の新規感染率か50%減少したと報告したことをレポートは指摘した。
 世界銀行はHIV/AIDSの教育システムへの衝撃を見極め、生活改善と結びつ
いた健康教育などの適切な対応を計画して、アフリカ大陸の政府を支援する
ためにパートナーと協働している。

 

斉藤@足立区です。

茂住さんの訳(僕が手を入れました)で、5月に配信された標記のIRINのニ
ュースを紹介します。
抗エイズ薬(ARV)めぐるニュース紹介を中心にしてきたこともあって、南
部アフリカ地域のニュースはかなりの量になってきましたが、このニュース
記事にもあるようにエチオピアの感染者数もかなり多く、また、
Subject: ETHIOPIA: HIV/AIDS risk awareness "very low", survey finds
[2020628]
Date: Fri, 28 Jun 2002 04:08:37 -0700
というニュースが配信されているように、南部アフリカ地域に比してエイズ
・キャンペーンそのものがこれからという状況のようです。アディス・アベ
バにはOAU→AU本部が置かれており、アフリカのエイズを考える上でも、エ
チオピアの状況・取り組みへの注目がさらに必要だと考えています。
ニュース紹介に継続して取り組んでいくと共に、当面は、稲場さんから提起
にあったバルセロナ会議関連資料の翻訳・紹介作業への参加を呼びかけます。
僕自身は、バルセロナ会議に先だってUNAIDSの国・地域支援担当官が雑誌イ
ンタビューで、概括的な整理をしたものがあるので、そちらをまず翻訳・紹
介します。

◆エチオピア:反HIV/AIDSの大キャンペーン、開始予定
 ナイロビ、5月14日 (PLUSニュース)

 若年層に、HIV/AIDSに関するカウンセリングと検査を呼びかける大キャン
ペーンが、エチオピアで始められることとなった。保健省の統計によればエ
チオピアは、世界でも感染者が最も多くいる国の一つであり、約100万人の
子どもが、親のエイズによって孤児になっている。
 このキャンペーンは、若年層の6人に1人(約16%)がHIV/AIDSに感染してい
る、エチオピアの4つの主要都市で実施される予定である。
 「エチオピアの人口の1/3は若年層だが、この世代がHIV/AIDSの影響を最
も受けている」と、国連児童基金(UNICEF)のHIV/AIDSセクション、ミルギッ
サ・カバ(Mirgissa Kaba)首席代理は説明している。「若者たち参加しや
すいVCT(匿名で受けることのできるカウンセリングと検査)を実施するこ
とは、HIV/AIDSとの闘いにとって不可欠な要素になる。若者たちこそが、こ
の感染症の拡大阻止の闘いを変えていく中心となる存在なのだ」。
 UNICEF、国立エイズ評議会事務局(NACS)、エチオピア家族ガイダンス協会
(FGAE)の3団体が、このキャンペーンを担う。この3団体は5月10日、首都の
アジス・アベバ、ディレ・ダワ(Dire Dawa)、ゴンダル(Gonder)、ジジ
ガ(Jijiga)の4都市で、29,000人の若者を対象に、VCT(HIV/AIDSに関す
るカウンセリングと検査)を実施するという協定書に署名した。
 このプロジェクトはまた、すでに性感染症や他の日和見感染症にかかって
いる96,000人を対象とする診察と治療を予定している。HIV陽性者に対する
スキル・トレーニングも実施される。
 UNICEFによれば、10歳から24歳の世代は、HIV感染を媒介する性感染症(
STIs)の感染率が高い。UNICEFのスポークスウーマンは、未婚の若者にとっ
てVCTを含む性と生殖に関する保健サービスを利用することがむずかしい現
状がある、と述べている。彼女は、UNICEFのHIV/AIDSプログラムにとって、
このようなサービスの実施は不可欠な要素である、と語った。
 NACSのニガツ・メレケ(Nigatu Mereke)議長は、このプロジェクトが4都
市にとどまらず拡大することを期待する、と述べている。「UNICEFは、常に
現在最大限の注意を向けなくてはならない領域が、若者を対象としたVCTで
あると、提示しています。私たちは、VCTをこれ以外の地域でも実施するこ
とを予定しており、今回の取り組みを通して多くのことを学びたいと、期待
しています。若者たちにとってなじみのあるセンターでVCTを実施すること
は、若者に力を与え、HIV/AIDSに対する闘いに貢献することになるでしょう
」。
 UNICEFの支援するこのプロジェクトは、性感染症の治療のためにFGEAのセ
ンターを訪れる若者の少なくとも1/3を対象とする計画である。このプロジ
ェクトは、NACSがコーディネートし、FGAEが実施する。
 UNICEFは、このプロジェクトに対しノルウェー政府から寄付された基金か
ら587,000米ドルを拠出する。「ノルウェー政府は、エチオピアにおける
UNICEFの活動を恒常的に支えてくれる協力なパートナーだ」と、UNICEFのア
ブレルマジード・ティボーティ(Abdelmajid Tibouti)上級プログラム担当
者は述べている。「ノルウェー政府の支援は、エチオピアの若者が、HIV/
AIDSの拡大と闘うための助力になるだろう」。

 

◆2002/05/15 南アフリカ:AIDS治療薬なしで生きる
 ヨハネスブルク 5月15日(IRIN)

 1997年にHIV陽性と判明した時、クリセルダ・カナンダは妊娠7ヶ月目だっ
た。HIV陽性と判明してからも、カナンダは健康な生活を送り、全く抗レト
ロウイルス薬を服用しなかった。
 悪夢が現実のものとなったのがHIV陽性とわかった最初の日であった。な
ぜなら、「自分はすぐに死ぬだろう」というのが、思考の全てであった、と
カナンダはIRINに語った。
 それ以後、カナンダはあらゆる市販されたAIDS治療薬を必死に探し求めた。
「自分がすることはAIDSと闘うことが全てと悟り、治療薬を探すことをやめ
た。ウイルスを受け入れ、尊重することを自分自身に言い聞かせた。」とカ
ナンダは語った。
 カナンダにとって、HIVに感染したことは天命であった。「全ての人がそ
うすべきであるように、ただ単に食事の基本に立ち返り、健康に生活した。

 ハロルド・セフテル医師は、HIV感染者にとって最も有効な治療法の一つ
が健康な食事と生活であることに同意した。「このように自分自身を看病す
るなら、HIV感染者は何年も生きることができる。」
 しかし、セフテル医師によると、感染症と闘うために体がより多くのエネ
ルギーを必要とし、普通よりも多く食べる必要があるため、食事は多くの
HIV感染者にとって問題でもある。胃腸を悪くする医薬品もあり、日和見感
染症は口内や喉に影響を与え、食事を困難にする。
 HIVの状態について話をすると、患者は取りうる全てのオプションについ
て説明を受ける必要がある。抗レトロウイルス薬の服用はオプションの一つ
であり、患者は治療によるあらゆる副作用について知らされなければならな
いと、セフテル医師は付け加えた。
 「この情報はだれでも入手でき、何も不思議なものはない。人々は抗レト
ロウイルス薬治療を受けるときに生ずる副作用についての意見を誇張する嫌
いがある。要するに、必要なのは常識である。」
 HIV/AIDS感染者協会(NAPWA)のワンダ・マシア治療コーディネーターは、
薬の副作用と法外な値段こそが多くのNAPWAメンバーが治療薬を勧めない主
な理由であると語った。
 しかし、抗レトロウイルス薬治療と結びつくあらゆる副作用が個人個人に
よって異なり、適切な情報を付け加えて紹介を受けた後に選択するのは個人
の責任であるとマシア治療コーディネーターは語った。
 「時として、医者は全てを明確に語らず、多くのカウンセラーは何も知ら
ない。カウンセラーにしてみれば、HIV陽性の人は単に薬を服用すべきなの
である。」とマシア治療コーディネーターは語った。
 HIVと共に生きることについて語るときに「語り口がやわらかで、いじら
しい声」になるカウンセラーは、どのようにして積極的に生活をやりくりす
るのかを知る必要がある人にとって役立たずだと、カナンダは語った。
 「自らを惨めにすることに集中し、真の問題点についてまとまりがつかな
くなる。」とカナンダは付け加えた。
 真の問題点とは何か。「HIVに感染したことを受け入れる。行動パターン
を変えることなしに、良くはならないことに気づく。誰とでSEXするなら、
死ぬだろう。適切に食事を取らなければ、やはり死ぬだろう。」
 カナンダにとって、抗レトロウイルス薬なしで生活することは簡単だ。薬
について「大げさに扱う」のはメディアであり他人である。「薬について真
実は何もなかった。」とカナンダは語った。
 しかし、多くのHIV感染者にとって、事は単純ではない。彼らは貧しく、
薬を買う余裕がないため、抗レトロウイルス薬を服用できないし、健康な食
事を取る余裕もない。
 「貧困は重要な問題だ。HIV感染者が食料を買う金もないのなら、苦境に
陥ってしまう。」とセフテル医師は語った。
 NAPWAはHIV陽性の貧しい人たちの生活保護の確保を試みている。「故に、
少なくとも彼らはいい食習慣にある。」とワンダは語った。
 協会は、人々を教育しHIV/AIDSについて治療薬より多くのことを教える、
「ウェルネス・マネージメントと前向きな生活」を重点的に扱う全国的なキ
ャンペーンを立ち上げたとワンダは付け加えた。
 「(性保健団体が)手の込んだ性生活の広告看板に金を費やす代わりに、
HIV感染者のために土地を購入し野菜を育てれば、自活できるのではないの
か。」とカナンダは問いかけた。
 メディアが死のイメージについて人々を誤った方向に導くため、もっと前
向きな話が求められるとカナンダは言った。
 「もっと人々が自分の生活に責任を持ち、ウイルスや薬に左右されないこ
とが求められる。」とカナンダは付け加えた。

 
 

◆2002/05/30 アフリカ:AIDSは富める国々への警鐘だ−ボノ
 アディスアベバ 5月30日(IRIN)
 訳:須藤さん

 アイルランド人のロックスター・ボノが、AIDSの感染拡大はアフリカの窮状に気付かせる警鐘であると警告した。
 ボノは、水曜日に、古い偏見を捨て崩壊を防ぐために大量の資金の投入を始めるように西欧各国の政府に対し熱のこもった訴えを行った。
 ボノはアディスアベバにあるアフリカ開発銀行(ADB)の年次総会で世界中の銀行家に対し初めて語りかけたロックスターとしての歴史を築いた。
 「AIDSの感染拡大は世界中の全ての人に対する警鐘の役割を果たし、我々の弁明や旧弊を正そうとしている。」とボノは語った。
 ボノは「(エティオピアで、300万人が)自らに降りかかったHIVによって死刑宣告を受けて歩き回っている。300万人という数字は、私の母国アイルランドの人口に相当する数の人々である。」とも語った。
 「我々はさらに数十億ドルの資金を拠出しなくてならない、現に必要とされる額が拠出されなくてはならない。お金に見合った評価がなされる、欧米(の繁栄)にふさわしいお金を拠出しなくてはならない。いまそうしなければ、結局の所、混乱に対応する費用は高くつくのだ。」とボノは警告した。
 ボノは、この旅行をエティオピアで終えたことは象徴的であると語った。なぜなら、17年前の1985年に、エティオピアで起きた飢饉が、彼に開発援助への関心の呼び起こした、というのだ。「我々は2億USドルの資金を調達し、飢饉をうち破った」と彼は語った。「そして、私はアフリカは5日ごとに2億USドルを債務返済に充てていることに気がついた。」
 「この旅行は希望をもたらした。」と彼は付け加えた。「希望に見合う配分がなければ醜聞だ。」その一方で、彼は、アフリカ各国の政府は役割をきちんと果たさなければならない、と強調した。「アフリカの指導者たちは、国民が民主主義、説明責任、透明性を求める声に耳を傾けなければならない。」と語った。
 木曜日のADB年次総会の閉会にあたり、オマル・カバジュ(Omar Kabbaj)ADB総裁は、富める国々はアフリカの援助と貿易について「自分たちが説いてきたことを実践」すべきだと語った。
 カバジュ総裁は、貿易障壁と巨額の農業への補助金がアフリカ経済を不自由にしていると警告した。先進国はおよそ3500億USドル−これはアフリカ全体の負債と同額でありアフリカへの援助の6倍にあたる−を毎年農業支援のためにばらまいている。
 「このことはアフリカにとてつもない影響をもたらす。」とカバジュ総裁は報道陣との会合で語った。「この点で、工業国は自ら実行しなかったことを説いている。」
 カバジュ総裁は、曰く「実り多い」4日間にわたるADB年次総会で二つの大きなテーマあったと語った。NEPAD(アフリカの貧困を終結させることを目的とした枠組み)と開発の実効性である。
 「現在、我々は開発援助を効果的になし得る立場にある。」とカバジュ総裁は付け加えた。

 
 

◆2002/05/31 南アフリカ:地域ぐるみの医療への取り組みが人々の役に立つ
 ラビサ(HLABISA) 5月31日(PLUSNEWS)

訳:須藤さん

 クワズール・ナタール州のHIV/AIDS感染拡大は、いくつかの公共医療部門でHIV/AIDSに感染した患者への適切な治療を提供できなくなるほど圧倒的である。この状況を解消する鍵は、地域ぐるみのヘルス・ケアだ、と地元の医療関係者たちがプラスニュースに語った。
 ラビサ地区病院はクワズール・ナタール州の北部、ダーバンから200kmほどの所にあり、約8万5000人を対象としている。昨年の南アフリカ医療ジャーナルによる報告では、この病院の担当区域で少なくとも2万人がHIV/AIDS陽性である。
 匿名を条件にこの病院の医師が語るところでは、この病院は350床のベッドを備えているが、たいていの場合、ベッドの倍近くの患者を収容している。「いつも忙しいが、今はそんなに忙しくはない。」とこの医師はPLUSNEWSに答えた。
 程良い気候になると多くの患者は外へ出る。緑の芝生は青い病院のパジャマをまとった人が点在し、木陰に腰掛けている。病院の中では、人があふれている男性病棟でメイズ、豆、カボチャの食事が出されている。
 「我々はとても運がいい。なぜなら、治療器具があるからだ。しかし、主な問題として、全ての機材を扱うためには訓練されたスタッフが不足している。」とこの医者は付け加えた。
 HIV/AIDSテストは、病院から1時間ほどかかる町エンパゲニへ送られる。多くの患者がテスト結果を知るために戻らないため、エンパゲニはテスト前後にカウンセリングを実施するカウンセラーの間で問題となっている。2週間ほど待たされることが長すぎると感じ、テストを受けることを拒否する人もいる。
 クワズール・ナタール州におけるマラリアや最近のコレラの流行によって病院の人的資源、設備は限界に達し、ここ2年間の感染拡大の間のベッドの占有率は200%に達した。結核患者に対処するための、病院の特別部門が準備された。結核、マラリア、コレラはクワズール・ナタール州の風土病で、この風土病によってクワズール・ナタール州内のAIDSを巡る状況は一層酷くなる。
 エセムベニ(Ethembeni)治療センターの事業計画は、増加する一方のHIV/AIDS患者の治療に対応できない病院の回答である、とラナ・オットウエイ(Lana Oatway)エセムベニ治療センター部長は語った。
 「この近辺の病院は満杯で、十分なスペースがないためだけの理由で、本来すべき患者への配慮ができない。」と彼女は付け加えた。
 地方の公立診療所の看護スタッフは対立し、伝えられるところでは、HIV/AIDS感染者に対してただ道徳判断を提示するのみである。このような雰囲気でHIV/AIDSに感染したことに引け目を感じるために支援を求めようとしない人々がいるところでは、このような態度は実りないものである、とオットウエイは語った。
 エセムベニ(希望の場所)は治療費が手頃な地域に根ざした治療センターで診療所、病院と地域社会の橋渡しをしている。センターは工業都市リチャードベイ郊外にあるモンディ森林内に位置している。
 訓練されたスタッフはカウンセリングの前後、生活様式管理セミナー、医師への相談の際にHIVテストを提案する。30床のベッドによって強い医療への配慮を提示し、看護婦と医師をスタッフとして採用している。
 オットウエイはインドの製薬会社にジェネリックの抗レトロウイルス薬を提供するように交渉している。3剤療法の値段(一ヶ月84USドル)はいまだ多くの患者にとって高すぎるのだ。
 「我々にとって最も偉大な挑戦は、薬の処方に従うように教育することだ。」とオットウエイは語った。患者が治療を始める前に薬について教育するためにワークショップに参加することだ。
 田舎社会における問題は、ズールーに古くから伝わる薬と抗レトロウイルス薬の「強力な組み合わせ」である。「ズールーの薬草には悪いことではないが投薬量や材料の強さから、抗レトロウイルス薬との同時の服用には疑問がある」とオットウエイは語った。
 エセムベニの患者の半数は、薬を買う余裕がないために抗レトロウイルス薬による治療を受けていない。患者は「エセムベニ制度」という総合的健康プログラムを実践している。
 患者はチリペッパーを用いる薬草療法が体温を上げ、ニンニクが天然の抗生物質であることと同様に小さな区画でどのようにして多様な野菜が育つのかを教えられる。
 「能力と綺麗な水があれば、地域社会へ戻ったとき患者たちはこれらのことを簡単に出来る。」とオットウエイは語った。
 最初、HIV/AIDSに伴うスティグマのために、周辺の地域社会はセンターに対し敵意を抱き、存在を認めなかった。部族の権威(アマコシ)が働きかけAIDS教育を受け入れた。
 アマコシは患者が病院から戻った後に地域社会が治療するための保健教育を選択した。教育者たちは学校や教会での訓練ワークショップを開催した。
 Plusnewsが訪問したとき、一人の男性がセンターの青々と茂った庭陰に腰掛けていた。彼はセンターを出られるほどに回復し、家まで乗せていってくれるバンを待っていた。彼は握手し続け、「信じられない、とてもうれしい。」とつぶやいた。
 オットウエイにとって、これこそが仕事をしていて最もうれしいことである。

 
 

◆2002/05/28 ジンバブエ:政府が非常事態を宣言、ジェネリック薬の使用を許可
 ヨハネスブルク 5月28日(IRIN)

 訳:須藤さん

 ジンバブエ政府がHIV/AIDSによる国家非常事態を宣言し、ジェネリック薬の輸入と製造を許可するだろう、と地元の政府系新聞が報じた。
 しかしながら、ハラレでHIV/AIDS感染者(PWAs)と共に活動するNGO “The Centre”のリンディー・フランシス理事長は、もし本当であれば非常事態宣言は「5年も遅れた」と語った。
 ヘラルド紙は、火曜日に最新の政府官報で、パトリック・チナマサ法務大臣が非常事態宣言により人々が薬にアクセスできるようになるだろうと発言したことを報じた。
 「ジンバブエの総人口におけるHIV/AIDSの急速な拡大を考慮して、大臣は6ヶ月の非常事態を宣言し、この発布により国家、個人があらゆる特許薬の製造、使用することを認可する」とのチナマサ大臣の発言が引用された。
 新聞は、宣言が「あらゆるジェネリック薬を輸入する政府と認可を受けた人々は、HIV/AIDSに感染、または関連ある症状にある人たちの治療に使用する」ことを許可することも報じた。
 フランシス理事長は、「宣言は5年ほど遅れたが結構なことだ。我々は政府にこの5年間、非常事態宣言を発しジェネリック薬の輸入及び 地域の製薬会社にライセンスを付与するように働きかけてきた」と語った。
 しかしながら、宣言は更なる疑問を浮かび上がらせた。フランシス曰く「問題はジェネリック薬を輸入するのが誰なのかはっきりしないこどだ。我々が知る限り、政府にはジェネリクス薬を輸入するための資金がない。」
 「また、どのような薬が輸入、製造されるのか?もし、抗レトロウイルス薬だというのなら、たいした成果は見られないだろう」
 フランシスは、政府が「抗菌薬、マルチビタミン剤、栄養補助食品、日和見感染症のための薬品、陰部ヘルペス用アシクロビルのような薬品を提供する」なら意味をなすだろうと語った。
 フランシス曰く「発疹向けのヒスタミン、ベータダインのような基礎的な薬品の供給、基本的なプライマリーヘルスケア、日和見感染症に対する継続的なケアと栄養補助食品による健康の維持は・・・・ HIV感染者の治療に必要である。」
 しかし、宣言が単に抗レトロウイルス薬についてのみ触れるのであれば「わずかなエリート層のみが薬を手に入れることになるし、治療に必要なモニタリングとサポートを受けることになる。」
 フランシスは、どのようなジェネリック薬を輸入・製造するのか、政府の意図が不明確であるにもかかわらず、宣言は画期的であると語った。
 「神に感謝を!これがわれらが内閣がHIV/AIDSの惨劇を知った初めての機会であり、現在に至るまでジンバブエでHIV/AIDSによる惨劇が起こっていないかのようであったのだ」とフランシスは語った。

 
 

◆2002/06/25 アフリカ:2800万人のアフリカの人々がHIV/AIDSに感染している−UNAIDS
 ジョハネスバーグ 6月25日(IRIN)

 2800万人のアフリカの人々がHIV/AIDSに感染しており、いくつかの国では成人人口の30%以上が感染している、と火曜日のUNAIDSの声明が警告した。
 HIV/AIDSによる衝撃的な影響が、この数十年間のアフリカの発展を後退させている。」とピーター・ピオットUNAIDS事務局長は述べた。
 「アフリカ社会のすべての構成員−教師、兵士から農民まで−がAIDSの脅威にさらされている。」とピーター・ピオット事務局長は付け加えた。
 NEPADについて検討することになっている水曜日のG-8サミットの前日に公表されたデータの中で、UNAIDSはサブサハラ・アフリカの経済成長率がHIV/AIDSの感染拡大により4%まで減少すると見積もっている。
 一方で最新の国連の調査によると、予防キャンペーンが発展途上国のHIV/AIDSに対する意識をうまく上昇させたが、行動を変える十分なインパクトはなかった。人々は未だにHIVウィルスに感染するリスクにさらされていることを受け止めようとしない。
 国連人口局のアフリカ24カ国、アジア7カ国、ラテンアメリカ8カ国、カリブ海諸国での調査は、HIV/AIDSが広く流行している地域ですら、大半の人々はAIDSに感染するリスクが小さいと感じていることを明らかにした。
 ガーナ、ケニア、マラウイ、ウガンダ、タンザニア、ジンバブエといった幾つかの国々では、ほとんど全ての成人がHIV/AIDSを意識していると、国連人口局の調査は記している。
 ほとんどの国では、AIDSに対する意識は女性よりも男性の方が高い。
 報告によると「ラジオは、群を抜いてAIDSについて最も多く引き合いに出される情報源である。女性の回答者の約半分と男性の回答者の7割以上がAIDSのことをラジオで聴いている。」
 学校と教師は、一見AIDS意識において限られた役割しか果たさなかったように見える。調査によると、学校と教師は回答者の10%以下からしか言及されなかった。
 HIV/AIDSを意識している回答者の間では、「広く大半が」少なくても1つのHIV/AIDS感染から身を守る方法を知っている、と報告書は述べている。
 だが、調査を行った国の半分は、1/4から1/3の女性回答者がHIV/AIDS感染を回避する方法を知らない。モザンビークでは、2/3の女性回答者がHIV/AIDS感染を回避する方法を知らなかった。
 コンドームの使用や一人のセックスパートナーを持つことが、最もよく知られている2つの回答であった。多くの回答者がセックスパートナーを限定することで感染を避けていると語った。
 だが、8%以下の女性と15%から25%の男性が、性的関係を持つときにコンドームを使い始めたと語ったと、報告書は記している。
 「この調査結果は、目の前にあるHIV/AIDSの拡大予防に関するさまざまま問題を強調している。はっきり言って、HIV/AIDS感染拡大をうち負かすためには多くの低開発国で性と生殖の意識と行動の劇的な変化が必要である。」と報告書は述べている。
 国連HIV/AIDS特別総会一周年を記念して公開された、この報告書は国連がこれまでに仕上げたHIV/AIDSの国際的な調査で最大の物である。調査は各国、5000家庭の調査を基にしており、1990年代中頃から後半にかけて実施された。

 
 

◆2002/07/08 アフリカ:抗エイズ薬が貧しい地域社会で功を奏することができる
 バルセロナ 7月8日(IRIN)

 南アとウガンダで進行中の2つの抗エイズ薬(抗レトロウイルス薬 ARV)のパイロットプログラムが、AIDS治療キャンペーンが貧しい地域社会で実行できることを証明した。このうなイニシアティブを国家レベルの計画に拡大するためにかけているものは予算であり政治的意志である、と健康管理部門で働く人たちは語った。
 ウガンダ南部では、小さな田舎の健康管理センターはマサカ病院に付随してあり、53人のAIDS患者が2月からARVを服用している。3つの錠剤を1日2回服用することが、AIDS患者の生存に大きな違いをもたらす。CD4細胞(身体の免疫反応を統括する細胞)を増やし、一般的な部分全体の改善を3カ月以内の治療でもたらすのだ。
 マサカ診療所で働くウガンダ財界連合のディクソン・オプル博士は、AIDS患者は治療を開始する前に幾つかの基準に合致しなければならないと語った。ボランティアは「臨床的に安定しており」、一人で歩くことができなければならない。また、AIDS患者は処方計画遵守のための講習会に出席し、同様に家族の支援と地域にある民間団体の後ろ盾を実証しなければならない。
 最初に治療を始めた3人の患者が、カポシ肉腫やクリプトコックスにより立て続けに死亡した。オプル博士は、3人は治療を始めるのが遅すぎたと説明した。残りの患者は何とか計画を続行しており、わずか3人に発疹といった薬による副作用が見られた。
 マサカ病院の研究結果は、南アフリカ、クワズール・ナタール州のイセムバラバンツ(Ithembalabantu(「人々の家」))診療所で反復されている。今年、60人以上のAIDS患者が計画を始め、2人が肺炎で死亡した。しかし、残りの患者はCD4細胞数の増加、体重の増加、口腔カンジダ症や肌の状態の改善が見られた。
 イセムバラバンツ診療所を運営するポール・ムソケ博士は、この結果は地域社会にAIDSによる社会の不名誉よりも強い印象を与えると語った。HIV/AIDS感染者は隣人の無知、公共医療部門の貧弱な治療、貧困と闘わなければならない。
 ARVそのものがHIV/AIDSの解決法ではなく、感染を管理する唯一の方法ではない。しかし、アメリカに拠点を置くAIDS健康管理財団が出資した2つのパイロットプログラムは、恵まれない境遇にある地域社会の人々が支援し続けることができ、無料で提供されるARV治療による恩恵を受けることが出来ることを証明した。
 「死が(家族や友達といった)身の回りにある時、人々は計画の支持者と問題を起こすことはなかった。」とオプル博士は語った。「ARV治療はNGOが推進する計画を知識があり教育を受けた田舎の患者たちに首尾良く運営することが出来た。」
 オプル博士にとって、鍵となるのは政府が作り出さなければならない「特権を付与できる環境」である。「第一に、最も重要なのが政治的関与である」とオプル博士はIRINに語った。
 大抵のアフリカの政府は、予算及び外部の資金と地域に密着したパートナーの協力なしに国家規模での治療プログラムを実施する能力がない。しかし、「整備された公共医療システムがある必要はない。NGOが肩代わりできる。」とオプル博士は語った。「このプログラムはNGOが国家機能を補充することのモデルである。必要な予算を備えた、専門分野に特化したNGOが必要なのだ。」
 日曜日にバルセロナで行われた第14回国際エイズ会議の開会式で、ピーター・ピオットUNAIDS事務局長はわずかに3万人しかARV治療を受けられず、その百倍以上の人間が必要としている現状に疑問を呈した。彼の答えは、地球規模、国家レベル双方での政治的意志の欠如であった。
 「治療は世界のあらゆるところで技術的に実現可能である。社会資本の欠如はいいわけにならない・・・ (AIDSに対抗する世界基金に対しては)年100億ドルが感染に対処するために必要最小限な金額全てである。今日、この3倍以上が手にすることが出来る。」
 ピオット事務局長は、世界基金の優先順位は予防や治療の資金調達であるべきだとの議論に立ち向かった。「予防と治療は相互補完であり、優先事項を競い合うものではない。」とピオット事務局長は語った。「予防は未来を安全にする。治療は生命と財産を直接守る。」
 マサカ病院のパイロット計画によると、一人の患者に1年間ARVを供給するために740USドルかかる。しかし、価格は下落しており、入手できる人の数は増加している。昨年、インドのジェネリック薬メーカーのシプラ社が、3剤療法用医薬品を患者一人あたり年350USドルでナイジェリア政府に供給することで合意した。
 国境なき医師団(MSF)が出資したARV計画の恩恵を受けたマラウイの農夫であるフレッド・ミナンディさんは以下のように説明した。「(AIDS患者である)私たちにとって、予防について語ることは遅すぎる。しかし、我々は未だ治療を受ける権利がある。私だけや私の家族だけでなく我が国全体がだ。」

 

◆2002/08/26 アフリカ:持続可能な開発と世界基金
 ジョハネスバーグ8月26日(PLUSNEWS)

*2002/08/27 斉藤さんより

 斉藤@足立区です。

今朝配信されたIRINのニュースが、エイズ・結核・マラリアと闘う世界基金の重要性への注目を訴える内容でした。


アフリカ:持続可能な開発と世界基金
ジョハネスバーグ8月26日(PLUSNEWS)

 「持続可能な開発に向けた挑戦は、国際的なパートナーシップに支えられた時にのみ表明され得る。エイズ・結核・マラリアと闘う世界基金はそうした国際的なパートナーシップの一例だ」と、米国政府代表団の有力メンバーが環境開発サミットで発言した。
 HIV/AIDS、結核そしてマラリアは開発を阻害する疾病であり、今週開催される環境開発サミットで米国政府が力点を置いている対象の一つだ、と世界基金理事会メンバーであり米国政府のサミット代表団の保健分野責任者でもあるアン・ピーターソン博士が記者会見で語った。
 「世界基金は信じられないような迅速なスタートを切った、この勢いをどのようにして保っていくかが次の挑戦だ」と博士は語り、さらに、米国は5億米ドルをプレッジしており、資金額でリードしているだけでなく「積極的に関与」しているとも付け加えた。
 米国の世界基金への拠出額は十分ではないとの指摘に答えて、博士は、現在の必要額が米国政府の拠出額を大きく上回っていることを認め、「目標を達成した訳じゃありません。まだまだなすべきことがたくさんあるのです」と付け加えた。
 世界基金は、うまく理事会メンバーにさまざまな人びと(各国代表、国連諸機関、民間セクター、NGO、HIV/AIDS感染者団体代表など)を迎え入れることができた。世界基金が申請を受け付けると、多くの国々から申請が出され、一部の国々は世界基金のガイドラインに合わせた国家エイズ対策計画を策定している。
 しかし、ピーターソン博士は、出発時の成功にかかわらず前途にはクリアすべき課題が数多くあることを強調した。それぞれの国の国家調整機構は全ての関係者によって構成されなくてはならないし、プロポーザルを申請するにあたって技術的な援助を必要とする国々もある。
 「将来見直しが必要とされる政策課題もあります」と彼女は言う。例えば、第一回申請時に、世界基金は申請がきちんとしたものかどうかをチェックしたが、必要度合いによって採否を決したわけではない。貧しい国々の中には、規定を満たす申請ができなかったために最初の資金供与の対象とならなかった国もあった。
 また、南アフリカ共和国政府がクワズールーナタール州政府への基金供与を妨害しようとしたケースは、解決すべき別の政策課題の一例だ、とも付け加えた。

●世界基金の申請や審査に関わる用語、これまでに資料で使ったものと違う可能性があります。
 チェックをお願いします。
●PAN-AFRICAN HIV/AIDS TREATMENT ACCESS MOVEMENT「パン・アフリカンHIV/AIDS治療実現行動」の翻訳作業中です。
 しばらくお待ちください。

斉藤 龍一郎


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