T .研究内容等および「生存学」創成拠点にもたらす効果
◆研究内容、目的、意義
当研究会の目的は(1)手話通訳制度の現状と課題を明らかにすること、(2)良し悪しを含めて特別支援教育改革がもたらしたものが何であるのか明らかにすること、の2点にある。これらの研究課題は障害者が豊かな生を享受するために必要不可欠なテーマであるにも関わらず、(1)研究者の手による手話通訳制度の本格的な調査が皆無に等しい、(2)特別支援教育について制度移行後に分析されたものが少ないという状況であり、ここに当研究会の高い意義が存在する。
◆「生存学」創成拠点にもたらす効果
当研究会には、経済学、社会福祉学、社会学といった様々な領域で専門性を有するメンバーの他に、長年要約筆記の実務に携わってきた当事者も参加しており、緻密な調査と巧みな分析能力によって学際的かつ実践的な研究を「生存学」にもたらすことが期待される。とりわけ、手話通訳と特別支援教育に関する文献調査によって【集積と考究】に、手話通訳の自治体活用や特別支援教育に関するインタビュー及びアンケートに基づいた調査と人脈作り、当事者団体との研究連携強化によって【学問の組換え】、【連帯と構築】に各々貢献できる。
U .研究計画・方法・研究成果発表の方法
基本的には2か月に1回のペースで研究会を実施、各人の研究報告を叩き台にして研究成果につなげていく。研究成果は学会報告及び投稿論文として公表すると同時に、最終的には『生存学研究センター報告』としても取りまとめる。また、研究会の活動を生存学HP上で逐次公開していく。
2009年度の活動としては(1)昨年度から行なっている各自治体・障害者団体での聞き取り調査を継続実施し、その成果を年度内に学術雑誌に公刊する、(2)特別支援教育に関する先行研究の文献調査の継続実施、(3)発達障害児を対象とした特別支援教育に関する質的調査の実施、(4)年度内に関係者を集めた研究会を開催し、その成果を『生存学研究センター報告』として公刊する、(5)現在進行中の全国要約筆記問題研究会及び全日本難聴者・中途失聴者団体連合会との研究協力・連携の強化を図る、といった5つのものを予定している。なお昨年度まで生存学PDであった坂本が「強力に・責任をもって」プロジェクトをサポートすることを約束する。