特定非営利活動法人 ある
IT事業部 「スイッチ研」活動記録(Mさん)
last update:20100403
特定非営利活動法人「ある」
IT事業部 「スイッチ研」
◆2009/12/17 Mさん宅訪問
★タッチセンサー+ナースコールを納品。
◆参加者:Mさん、家族(奥さん)、ヘルパーY、ヘルパーM、スイッチ研
◆訪問の目的:タッチセンサー+ナースコールの納品とテスト
・Mさんは夜間就寝時にナースコールとして鈴を左膝の上に置いて寝ている。呼ぶときには膝を曲げて鈴を鳴らしているが、音が小さく、横で寝ている家族に気付いてもらえないことがたびたびあった。
・冬場は足に毛布をくるんで寝るので、さらに鈴を鳴らすことが難しくなる。
・家族もまた夜間の見守りに入るヘルパーも鈴だけでは不安だと思っている。
→ そこで鈴にプラスして顔の頬で触って鳴らすタッチセンサーをナースコールとして提供した。
※ ナースコールは命の危険性にかかわるものであるため、本来ならば私たちのような素人が作ったものは使って頂くのは拒否すべきと近畿ブロック西村さんから強く言われている。私たちとしても、本人・ご家族・ヘルパーにそのことを何度も伝え、了承を得たたうえで、今回は作成し提供した。提供するときにも、「今回作成したナースコールはメーカー品のものではあるが、それを改造したものであるため、保障はできないことを理解してもらう必要があります」とお伝えした。ご家族とは、夜間は今回作ってもらったナースコールだけに頼らずに、別の方法と併用して頂くということで了承して頂いた。
※入院時にベッドの上に置いて、顔の頬でタッチして鳴らすナースコールを使用していた。そのナースコールを本人はとても気に入り、使いやすくて横においてあるので見えるし安心するとのことで、頬でタッチして鳴らすナースコールを希望したため、クーラントホースにタッチセンサーをつけたスイッチを提供することになった。病院で使用していたものと同様のものを難病センターや福祉器具で探したが、全く一緒のものはなく、病院で使用しているものは病院の職員が作成しているようで、病院内での使用でしか責任が持てないとのことだった。
◆Mさんの状態・様子・希望
・足を動かすことが辛そう。鈴を鳴らすことが難しそう。
→ 夜間就寝時以外にも、家族が側にいないときは鈴で呼んでいる。車イスに座っているときは車イスのアームに掛けている鈴を鳴らすのだが、それもしんどそうな様子。(手を下におろしたら、戻せない)
・コミュニケーションは主に口パクと文字盤。
→ 本人は口パクで伝えようとするが、読み取ることが難しい場合は、家族やヘルパーが文字盤を持ってくる。文字盤でのコミュニケーションでは本人も早く読み取ってほしい。だが、家族は文字盤を読むことが苦手な様子。慣れたヘルパーは文字盤を素早く読み取れるので、家族はそのヘルパーをとても頼りにしている。
・手を動かすのは難しい。
→ 車イスに座っているときは、車イスのアームに置いている手を横に滑らすような感じで下におろして鈴を鳴らしているが、自由に動かすことは難しい。指で押す力はあまりないとのこと。
・首は動かすことができる。
・入院中に使用していたような頬でタッチして鳴らすナースコールが欲しい
・夜間就寝時に気付いてほしい。
◆ご家族の様子・希望:Mさんと二人で生活している。主に奥さんが介護をしている。機械のことが苦手なので、頼りにしているYヘルパーにも一緒に説明を聞いてもらいたいとのこと。YヘルパーはALSの介護経験が豊富で、文字盤もスムーズに読み取れるため、とても頼りにされている。奥さんもわからないことがあったらYヘルパーに聞いていると言っていた。
・夜間就寝時は、Mさんが鈴を鳴らしても、鈴の音が小さくて二度ほど起きることができなかった。起きられるようなナースコールが欲しい。
◆スイッチ研の作業
・タッチセンサー+ナースコールのテストと設置。
→ Mさんにベッドに寝てもらい、スイッチの位置と設置場所を確認。実際に押してもらい、Mさん自身が使えるかどうかを確認。
・使用方法の説明。
◆提供したスイッチについて
・Mさんはとてもスイッチを気に入ってくれたようで、何度もスイッチを押して確認していた。
・家族もヘルパーも安心した様子で、喜んでくれた。
・ベッド柵にスイッチを設置した場合、クーラントホースが足りずに、顔までスイッチが届かなかった。
→ 調整する器具を持ち合わせていなかったので、ベッド柵に設置せずに、ベッド上(顔の横)に置くかたちにした。
★次回の課題
・クーラントホースの延長。
→ ベッド上に置いて使用する場合はスイッチがずれてしまうので、クーラントホースを延長してベッド柵に取り付けることにした。
・鈴に代わるスイッチの提案。
→ 普段、Mさんがどのように鈴を鳴らしているのかを見させてもらったが、鈴を鳴らせる確率は3回に1回だった。
鈴に代わるようなスイッチ、たとえば、フットスイッチなどを提案したらよいか、検討。
★メモ・気になること
・鈴が鳴らせない。
・口パクでのコミュニケーションには限界があり、どうしても文字盤を使わなければならないときがあるが、家族(奥さん)が文字盤を読み取ることが苦手なので、時間がかかりスムーズに伝わらずにしばしば喧嘩することがある。
・文字盤は慣れたヘルパーしかスムーズに読み取ることができず、新しいヘルパーの受け入れにも困難をきたしている様子。
◆2009/12/24 訪問
★頬で触れるタッチセンサーの固定と延長。予備スイッチとしてフットスイッチも提案。フットスイッチはバネ抜きスポンジ仕様で動作に必要な力を軽減したもの。
◆参加者:Mさん、家族、ヘルパーY、スイッチ研
◆訪問の目的:クーラントホースを延長したタッチセンサーの提供と設置と鈴に代わる予備のフットスイッチの提案。
・前回提供したスイッチはクーラントホースの長さが足りず、ベッド柵に取り付けることができなかった。
・スイッチ本体にクーラントホースを固定するためのクリップを挟んで使用していた。
・夜間の見守りに入るヘルパーも鈴だけでは不安だと思っている。
→ そこで鈴にプラスして顔の頬で触って鳴らすタッチセンサーをナースコールとして提供した。
・夜間はナースコールとして鈴を左膝の上に置いて使用しているが、ベッドに横になり布団をかけた状態で、さらに冬場は足を毛布でくるむため、鳴らすことが難しく、不安定である。
→ そのため就寝時用に鈴の代わりとしてフットスイッチを作って提案した。
※ナースコールは命にかかわるものであり、保証のないキット製品で私たち素人が作ったものであり、それだけに頼ることは危険である。これについては、ナースコール製作の依頼を受けた時点と前回の訪問時に、本人・ご家族・ヘルパーに重ねてお伝えし、了承して頂いた。
◆Mさんの状態・様子・希望
・夜間就寝時は、前回提供したタッチセンサーのナースコールを使用。
→ スイッチ本体にクーラントホースを固定するためのクリップをスイッチの本体に挟み、顔の横において頬でタッチして使用。だがスイッチの本体が軽いので、倒れそうで不安定。またベッドの上に置くだけなので、スイッチの位置がずれたりする心配がある。
・前回と同様、足を動かすことがしんどそう。鈴を鳴らすことが難しそう。
・コミュニケーションは主に口パクと文字盤。
・手を動かすのは難しいが、首を動かすことは可能。
◆ご家族の様子・希望
・夜間のナースコールが鈴だけのときと比べてタッチセンサーが増えてたことで、頻繁に夜中にナースコールを鳴らされるようになった。
→ 「しょっちゅう呼ばれるから鈴ならたまに聞こえないふりもできるんだけど(苦笑)」。ナースコールが鈴だけのときは、鈴に気付かないとごまかせたが、今はそれができなくなった(苦笑)。
・ナースコールがきちんと鳴って聞こえるので、夜間は気付いて起きられるようになった。
・Mさんにオペナビなどパソコンを操作できるようになって欲しい。
→ 文字盤でのコミュニケーションは、慣れているヘルパーは得意だけれども、自分(奥さん)は苦手で読み取るのに時間がかかる。
※Mさんの仕事関係の人が家に来てくれたときに文字盤を自分(奥さん)がとるけれども、仕事のことは全くわからないので、文字盤で話の内容を読み取ってそれを相手に伝えることが難しかった。→ 苦手な文字盤で知らない仕事内容の話を読み取り、伝えることが難しかった。
・コミュニケーション手段としてパソコンがあればよいがまだ導入には至っていない。
◆スイッチ研の作業
・タッチセンサーのクーラントホースの延長と設置。
→クーラントホースを延長してベッド柵にスイッチをクリップで挟んで取り付けた。
※ベッド柵に取り付ける際に、滑り止めとベッド柵を傷つけないように、クリップにビニールテープをまいた。
・鈴に代わる予備のフットスイッチの提案。
→ フットスイッチには、スポンジを入れてやわらくして、少しの力でも押せるようにした。Mさんのベッドには足元にベッド柵がついていないため、本立てをベッドマットとベッドの間に挟んでベッド柵として代用して、そこにフットスイッチを設置しようと試みたが、ベッドマットの高さが高くて本立ての高さが足りずに対応できなかった。
・そのためフットスイッチを車イス用のナースコールとしての使用を提案した。
※普段Mさんは車イスでは、車イスのアームに置いている手を横に滑らすような感じで下におろして鈴を鳴らしているが、自由に動かすことは難しく自力では手を元の位置に戻すことができないし、手を下に下ろすことも苦労しているとのこと。
→ 最初は足の下にフットスイッチを置いて試してみたが、Mさんが足を上げることが難しいとのことだった。太ももの内側にスイッチを固定してふとももで挟んだり、また車イスのフットレストにスイッチを固定して足を横に動かして押すなど、さまざまな方法を試した。最終的には、普段は鈴を手で鳴らしているので、車イスのアームレスト(肘掛の部分)の内側にスイッチを紐で固定して腕で押して使用するのがベストということになった。Mさんも鈴を鳴らすよりも楽でいいとのこと。
◆前回提供したスイッチについて
・スイッチ本体にクーラントホースを固定するためのクリップをスイッチの本体に挟み、顔の横において頬でタッチして使用。だがスイッチの本体が軽いので、倒れそうで不安定。またベッドの上に置くだけなので、スイッチの位置がずれたりする心配がある。
→ 今回、クーラントホースを延長してベッド柵に固定して対応した。
・Yヘルパーによれば、昨晩の夜勤の際にきちんとスイッチが作動したとのこと。鈴も両方とも使っているので、タッチセンサーのナースコールは補助的なものとして使用している。
★次回の課題
・夜間就寝時の鈴に代わるようなスイッチの提案。
→今回提案したやわらかいフットスイッチの方向でよいと思うが、それをどのように設置するのかは課題。
★メモ・気になること
・オペナビなど文字盤に代わるコミュニケーションについて。
→家族は悩んでいる様子。またヘルパーにとっても慣れていないヘルパーにとっては文字盤は壁になるとのこと。しかし本人がやる気にならないと実現は難しい。Mさん本人に対してやる気を出させるようにきっかけのようなものをスイッチ研としては考えて提供するのか・・・? パソコンでのコミュニケーションについては、以前にパソコンそのものに興味を持ってもらえるように支援するのも仕事だと教えられたことがある。だが実際はそこまでの支援は難しいような気がするし、毎日患者さんのところに通うわけでもないので、難しい。あくまでも患者さんのニーズがあってスイッチ研の活動があるように思う。
◆2009/02/18 訪問
◆参加者:Mさん、家族(奥さん)、ヘルパーY、ヘルパー、保健師さん、スイッチ研
◆訪問の目的:パソコンを使ったコミュニケーションとパソコンでゲーム(スパイダソリティア)をするお手伝い。
・以前から文字盤でのコミュニケーションが壁となっており、パソコン操作をしてほしいと周囲(とくに奥さん)は思っていたが、Mさん本人がパソコンに積極的にならなかった。
・手が自由に動かせるときは、Mさんはパソコンのゲーム(スパイダソリティア)をよくしていた。
・今回Mさんが「ゲームができるならパソコンを使ってもいい」と言ったので、ゲームをきっかけにしてパソコンに興味を持ってもらえればと考えた。
→ そこでパソコンのゲームができるようにスイッチを作ることになり、Mさんの動きなどを見せてもらうことになった。またパソコン操作もお手伝いすることになった。
◆患者さんの状態・様子・希望
・左手はずらしたり、全体的に指を少し動かすことができるが、力が落ちてきている。
・首は動かすことができる。
・ゲーム(スパイダソリティア)がしたい。
・ゲームができるのなら、パソコンを使ってもいい。
◆ご家族の様子・希望
・文字盤でのコミュニケーションが難しい。
→プライベートな話をしたくても難しい。
・ハーティーラダーと伝の心の違いがわからずに、どちらにしたらいいのか悩んでいる。
・Mさんにパソコンを操作できるようになってほしい。
・ゲームだったら毎日やると思うし、そういうところからパソコンを操作してコミュニケーションをしてほしい。
◆スイッチ研の作業
・ハーティーラダーと伝の心の違いを説明した。
→ 機能的にはそんなにかわらない。
・ハーティーラダー:無料のソフトで現在使用しているパソコンにダウンロードして使える。
・伝の心:伝の心はそれように作られたパソコンで、給付対象にもなっていて保障もされている。
※伝の心を使用する予定とのこと。伝の心はレンタルの対象となっているので、保健師さんが手続きをしているとのこと。一週間後にレンタルの伝の心が来る。試用期間は二ヶ月で、何度でもレンタルが可能。
・家のパソコンにハーティーラダーの最新バージョンをインストール。
→ 2年前にハーティーラダーをダウンロードしている。
・スパイダソリティアをハーティーラダーで操作できるかどうかを調べる。
→ ハーティーラダーの画面からゲームを呼び出すことは可能だが、ハーティーラダーで操作をするのは難しい。
<ハーティーラダーでのゲーム操作について>
・ハーティーラダーの画面に「ゲームwin操作」があるので、それをクリックすると、ハーティーラダーにもともと入っているゲーム(神経衰弱)ができる。
・ハーティーラダーの画面で「か」を入力してエンター(エンターキーはパソコンのキーボードのイラスト同じやつ)で決定をしたあとに「ゲームwin操作」をクリックすると、音楽を演奏することができるゲームが立ち上がる。
<ハーティーラダーでスパイダソリティアをする場合の設定方法>
@ ハーティーラダーの「環境設定」をクリックする。
A 「その他」の画面の「ゲームとwindows操作機能」にチェックがされていることを確認し、その下にある「windows操作のデフォルト」の「windows操作」をオンにして「OK」をクリックすると、設定が反映されたハーティーラダーが自動的に立ち上がる。
※「windows操作」がオンの時。
→ マウス操作がハーティーラダーの機能で使用することが可能になる。ex)パソコンのゲーム操作が可能になる。
※「ゲーム」がオンの時。
→ ハーティーラダーにもともと入っているゲーム(神経衰弱)ができる。
B ハーティーラダーの画面から「ゲームwin操作」を選択すると、マウスの操作画面が立ち上がるので、マウスを操作してゲームをする。
※しかし、「ゲームwin操作」を選択してwindows操作をするためにはジョイスティックをつなげる必要があった。
・スパイダソリティア(ゲーム)がキーボードのみで操作可能かどうかを調べる。
→ キーボードの上(↑)・下(↓)・右(→)・エンター(Enter)で操作が可能なので、その機能をスイッチでできたらいい。
→スイッチで操作するには、動かせるところが4カ所必要。左手と顔と足か・・・?
★スイッチについて
・左手を浮かせるぐらいなら可能。
→ そうとう軽いスイッチなら大丈夫だが、タイミングよく押すことができない。
・左手は押す力も戻す力もある。エアー式のスイッチなら調整次第でなんとかなりそう。
・車イスのアームレストにスイッチを置いて左手で押すよりかは、お腹の近く(上あたり)にスイッチを置いた方が押しやすい。
★次回の課題
・ゲームを操作できるスイッチの提案。
・保健師さん:アーム型(頬で押すタッチセンサー)のスイッチがよいと思う。本人(Mさん)もよいと言っている。感度の調整をすれば使える。手で操作をするボタンスイッチは難しい。パソコンにアームがついているタイプは吸引とかがしにくくなる恐れがある。
★メモ・気になること
・ハーティーラダーでwindows操作をするにはジョイスティックをつながなければならない。 → スイッチ研のパソコンで試す必要。次回訪問時にジョイスティックを持ってくる・・・??ジョイパッド・・?
・ハーティーラダーの操作画面にスパイダソリティアを入れることができるのか?
→ 伝の心でも同じ。
・スパイダソリティア(ゲーム)をするには自由に画面上をマウスで動かす必要がある・・・??
→ ハーティーラダーの機能でゲームができないものか、調べてみる必要がある。
・ゲーム、Mさんがしたいと言っているスパイダソリティアをするには、少なくとも4つのマウス機能が必要で、4カ所で動かしてもらうことになる。もしハーティーラダーの機能で操作できるのであればもっと少ない動きで大丈夫かもしれないが、現段階ではそういうことになる。ハーティーラダーで操作できる場合も、そうでない場合も、ナースコールは別になるのか?そうした場合、5カ所で動かしてもらうことになる。
→ 車イスに座っているときはナースコールを左側のアームレストの内側に設置して左手を横に動かして押している。その機能はそのまま使用してもらい、それとは別にゲーム操作のためのスイッチを押せるところを考える。
・ゲーム操作用のスイッチのひとつは、ベッドでナースコールとして使用しているタッチセンサーが使用できる。
・伝の心にどんなゲームが入っているのかを確認する必要がある。
→ 保健師さんが業者に確認したところ、伝の心にはゲームは入っていないとのこと。あとでゲームをインストールすることも可能だが、パソコンの容量が重くなってしまって、伝の心がうまく作動しない可能性があるとのこと。
・Yヘルパーの話。
→ 文字盤での会話は難しく、奥さんも文字盤でのコミュニケーションは難しいので、伝の心でのコミュニケーションをしてほしいと思う。Mさん本人はあんまりパソコンに興味はないが、ゲームができるならやると言っている。どちらかといえば、ゲーム操作よりもコミュニケーションの面で必要だと思う。
・保健師の話。
→ これまで自分(保健師)も訪問の予定や伝の心のレンタルなどについても奥さんに相談していた。だけどMさんのことだし、Mさん自身にも自分の
ことだと認識してもらいたいので、なるべく奥さんではなくてMさんに話や説明をしてほしい。Mさんの自立をうながすためにもMさんを中心にして話を進めてほしい。
◆2009/03/16 訪問
◆参加者:Mさん、家族(奥さん)、ヘルパーY、ヘルパー(2人)、、スイッチ研
◆訪問の目的:パソコンを使ったコミュニケーションとパソコンでゲーム(スパイダソリティア)をするためのスイッチを提供。
・2010年3月22日に行われるNECコミュニケーション支援 ITパラリンピック
に向けて、パソコン操作の風景や日常生活の様子をビデオカメラで撮影させていただく。
→ ITパラリンピックについて紹介と説明をして、ビデオカメラでの撮影の許可をいただいた。撮影した映像は簡単な編集をしてyoutubeにアップされることも承諾をいただく。 youtube Mさん
◆患者さんの状態・様子・希望
・前回よりはパソコンに興味を持ってもらえているような様子。
・パソコン操作については、最初はハーティーラダーでの文字入力もタイミングを合わせることが困難な様子でなかなか文章がつながらなかった。やっているうちにだんだんとスムーズに文字を入力できるようになってきた。
→ 左手がよく動き、連打も余裕の様子。
・足を開いたり、閉じたりと動かすことができる。
→ 足をあげたり、下げたりするのは難しい。
・ゲーム(スパイダソリティア)ができれば、パソコンを使ってコミュニケーションができるようにがんばれる。
→ うまくいけそうな予感がする。
◆ご家族の様子・希望
・(パソコン操作をしているMさんの様子を見て)「私が文字盤をとるよりも早い!」
・文字盤がとりづらいので、パソコンを使ってコミュニケーションができればと思う。
→ 慣れたヘルパーは文字盤を読み取れるが、奥さんは「最後は夫婦喧嘩になるくらい」文字盤を読み取るのが苦手な様子。
◆スイッチ研の作業
・FDのケースを利用したスイッチを提供した。
→ FDケースの中にマイクロスイッチを固定したもの。FDケースの下部分には滑り止めシートを貼っている。
・スイッチの調整。
・手の位置の調整。
・ハーティーラダーの使い方の説明。→ 入力した文字の消し方など。
※ハーティーラダーの画面の「BS」で文字を消去。
・ベッドで使用しているタッチセンサーも使用可能であることを伝える。
・ITパラリンピックの説明をして、ビデオカメラで撮影をさせてもらう。
→ インターネットのITパラリンピックのページhttp://rescue-ict.sakura.ne.jp/itParalympic_1.htmlを見てもらう。その様子を撮影。
◆提供したスイッチについて
・Mさんには左手をスイッチの上に置いてもらって使用してもらう。
→ マイクロスイッチはやわらかいので、手を上に置いたままだと手の重みで押しっぱなしの状態になってしまう。FDケースの中にスポンジをかまして固さや抵抗を調整した。
・手の位置とスイッチの固さの調整が必要。
☆スイッチ調整については、@スイッチと手との間に距離を置いて手をすべらせてスイッチを押しにいく、Aスイッチの上に手を置いて押す、の二つの方法が考えられた。Aについては、スイッチが押しっぱなしにならないように、スイッチにスポンジをかましてもう少し重くすることと左手の下にクッションなどを置いて手を軽くするなどの工夫が必要だと考えられた。
@ スイッチをお腹の上に置いて左手で押す。
・スイッチの上に手を置いたままだと手の重みで押しぱなっしの状態になってしまうので、アームレストに手を置いてそこから膝の上にあるスイッチまで手をすべらせて移動させて押す。
→ スイッチまで移動するときに手が震えている。手は動いているが戻すのがしんどそう。スイッチと手の位置との距離があるのでタイミングを合わせるのが難しい。スイッチの位置もずれてしまう。
A お腹の上に置いたスイッチの上に左手をのせて、押したいときに力を入れる。
・車イスのアームレストの上にタオルを置いてその上に左腕をのせる。スイッチはお腹の上に置いてその上に左手をのせる。そして押したいときに力を入れてスイッチを押す。
※常に左手はスイッチの上に置いているが、左手の下にタオルを入れて手の重さを軽くして、スイッチにスポンジをかまして抵抗(反発)を強くしているので、スイッチが押しっぱなしにならない。押したいときにグッと力を入れるとスイッチが反応するようにしている。
→ 手を動かさす必要がないのでスイッチを押すタイミングを合わせやすい。きちんと手が支えられるので震えることもない。ただ、グッと力を入れるときに「連打」になってしまうことがしばしばある。手とスイッチの位置調整が必要。
※スポンジはスイッチの真ん中に両面テープで固定した。
★次回の課題
・手とスイッチの位置の調整。
・ハーティーラダーの設定で「連打」にならないようにできないか調べて提示する。
★メモ・気になること
・ハーティーラダーでMさんが入力した文章。
→ 「あしゆをおねがい。それからてゆもおねがい。あしのまつさーじも。」
※パソコンをはじめて30分程で以上の文章を入力することができた。途中、文字盤で「(文字を)消すにはどうすればいいですか」と質問をするなどパソコン操作ができることがわかったからか、積極的に取り組んでいた。
・音楽鑑賞が趣味とのこと。
製作:長谷川 唯+山本 晋輔+堀田 義太郎
* この活動は、調査・研究の部分については、「異なる身体のもとでの交信――本当の実用のための仕組と思想」(科学研究費新学術領域研究・研究課題提案型 2008〜2010年度)の一環としてなされています。
** 2008年度〜 活動の一部について文部科学省科学研究費補助金「患者主導型科学技術研究システム構築のための基盤的研究」(代表:松原 洋子)の支援を得ています。