*この頁は故西尾等さんが遺されたホームページを再録させていただいているものです。→その表紙ALS [2003.7 再録:立岩 真也]



錆び付いていく関節

1.動きにくくなる領域
肩の骨格イラスト
『肩関節』
球状になっていて、大きく分けると3方向に複雑に可動する部分のため、拘縮が先行しやすい。

指の骨格イラスト
『指関節』
1方向への可動だが、関節部分が狭いので、固まりやすい。特に第三関節はすぐ使用しなくなるからか、動かなくなる。
また、指の筋肉も痩せて内側に曲りやすい。

膝、アキレス腱のイラスト
『手首と足首』
私の場合、手首より足首の方が硬い気がする。右手親指から発病して、右手側は既に拘縮してしまい、動く部分は少ない。

『アキレス腱』
足首が伸びるために、アキレス腱は縮んだ時間と状態が増え、伸びにくくなる。

『膝関節と下の3本の筋』
アキレス腱が縮む事により、膝下の筋も縮はじめ、伸びにくくなる。
膝関節も屈折困難になりやすい。

頭蓋骨のイラスト
『顎の関節』
顎の関節の可動域確保は非常に大切です。すぐに口は開きにくくなります。口腔内を清潔に保ち、虫歯予防や、口談にも欠かせません。顎の運動は欠かせません。

股関節の骨格イラスト
『股関節』は意外と拘縮は最後になる。


2.ALSと可動領域確保のためのリハビリ
 人工呼吸器を装着しても、可能なかぎり車椅子に乗る事を奨めます。寝たきりになると、本来萎縮がきていない筋肉も、1日5%づつ喪失していくと言われています。つまり、20日の間、筋肉を微動だにしなければ、貴方の手足は想像以上に、すぐに使い物にならなくなるのです。
人工呼吸器を付けて寝たきりになっても、時にはベッドのジャッジを上げ、座位をとり首の筋力維持に努めましょう。首を持上げる筋肉はすぐ喪失します。
足や手の筋肉も自分で動かせる間は、定期的に使うべきです。
また、人工呼吸器を付けても腹筋を保つように、練習しましょう。腹式で呼吸する事で少しは排泄の腹圧維持に効果があります。
 体位に特に注意を払いましょう。同じ姿勢を続ける為に、思わぬ弊害が出る場合があります。手首を外に向けすぎていた為にそのまま固まってしまったり、足を外向けにしすぎたままにすると、やはり変形します。出来るだけ様々な体位をとる工夫をしましょう。ここで言う体位は、体を左右に変換する事とは異なります。関節が常に同一方向を向き続けない為の体位です。
 ALS患者にとって、固まる前のリハビリ開始は浮腫の防止、関節可動域の確保、稼働時の際の痛み防止、使用可能筋肉の維持とともに、精神的にも非常に大切です。
しかし、ほとんどのALS患者は殆ど充分なリハビリを得られていないのが現実です。

リハビリ書物
理学療法 Vol.15 No.3 特集 筋萎縮性側索硬化症 1,500円 メディカルプレス


3.人体骨格筋/関節アトラス
全身筋肉図イラスト

4、何故使わない筋肉と関節は動かなくなるの?
■筋肉繊維は各部分毎に束になっている。一つ一つの筋肉繊維は、筋肉の強さにともない太さが変る。筋肉を使わなくなると筋肉繊維は、どんどん細くなっていく。無重力状態で長く生活していた宇宙飛行士が、地球に帰還後歩けなくなるのも、重力に耐えられる太さの大腿筋肉繊維が無くなっているからです。


□ALSなどの筋萎縮を伴う疾患には、グレープフルーツに多く含まれる、"HMB"が効果があると言われています。

また、米国の大リーガーのマクガイヤー選手/サミーソーサ選手や、あのマイケル、ジョンソン選手が服用しているアミノ酸の一種の”クレアチン”も筋力維持に効果が期待されています。


■関節の各接合部分には、潤滑油の役目をする液状物質(滑液)が入っています。丁度長い間使わなかった自転車は錆びてペダルが廻らなくなるように、関節も使わないと滑液が変質し、関節の可動を阻害するのでしょうか?いいえ、関節を自転車に例えると2本の車輪の間にあるギヤーになり、車輪(骨)をつなぐベルトが靭帯になります。関節は骨と骨の接合部で、靭帯は骨同士をつなぐ役目と、柔軟に伸び縮みできるために、関節を動かすことが出来るのです。
関節を動かさなくなると、柔軟なはずの靭帯も変質して硬くなり、その結果として関節の可動域が狭くなるのです。靭帯の柔軟性の維持が、リハビリの目的になります。

以上のイラストは《ナースの視た人体》作者" 薄井坦子先生 "によるものです。ご了解の上、転載させて戴きました。著者に無断での転載は、著作権上で法律により堅く禁止されています。尚排泄、福祉の項目にある人体イラストも同様です。

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