*この頁は故西尾等さんが遺されたホームページを再録させていただいているものです。→その表紙ALS [2003.7 再録:立岩 真也]



■ニューポート
米国製[ニューポート、メディカル、インストルメンツ社]の人工呼吸器で固定式です。
人工呼吸器写真
国内では東機貿が輸入販売元です。
加湿器のアウレトレットと患者カニューレ装着近くの回路に温度検出センサープローブがついています。温度設定は、カニューレ側の温度を目安にします。メーカー推奨温度は39度との説明を受けたが、周囲温度にも影響され、私の場合は37ー38度位が丁度良く、上げすぎると痰が増える。湿度調整ダイヤルが付いており、説明では、温度設定は触らず、その設定をプラス側に大きくすると、加湿される。マイナスにすると湿度が失われるので奨められないとの説明だった。しかし、冷房がはいると、急に痰が増えすぎたため37度+/-0くらいにしている。ダイヤル数値は目安としての、リザーバー温度差を示す。つまり設定温度を38度にしてダイヤルを+2にすると、リザーバー温度は40度となる。冷房前は38度プラス1でも問題無かったのに。
環境やその日の体調(尿の量etc)にかなり影響されるので、意思を伝えにくいALSには大変です。自動的に加湿調整するシステムが必要だと感じます。

吸気/排気は本体下部のゴム袋をコンプレッサーで指定量膨らまします。回路は吸気と排気は別々になります。熱線の入った回路は吸気側で加湿器とつながり、排気回路は呼気弁にウオータートラップを介してつながっている。
このシステムでは回路が長く、またゴムの劣化による、ピンホールやリークのトラブルが多い事です。また滅菌回路を直接機器に差し込む今のニューポート方式に、清潔にたいする疑問がわく。
新しい装置は、PIP気道内圧もデジタル化されています。 ■LP-6
携帯可能な人工呼吸器の写真米国製の携帯可能な人工呼吸器です。
加湿器の温度設定は、温度ではなくダイヤル(1ー9)式になっているから、今の温度が何度かは判りません。普通は4位に設定していた。回路は1本で吸気/排気兼用で、そのため呼気弁がカニーレ近くについていて、そこから排気を行います。PIPをチェックする細いチューブに水がたまりやすく、正確に表示されない(起点が0に戻らない)トラブルや呼気弁に水がたまりやすい欠点があります。
大きさとしたら、何とか工夫すれば車椅子にのせる事が可能です。
■PLV-100
この人工呼吸器は和歌山にいる和中 勝三 様の使用しているタイプです。説明をお願いしました。この機種も携帯可能です。
  1. 商品名
    PLV−100
  2. メーカー名
    米国レスピロニクス社
  3. 国内輸入元
    フジ.アールシー株式会社
  4. 固定型か携帯可能型か
    携帯可能型
  5. 特徴
     (1)重量式人工呼吸器では最小
     (2)最軽量内部バッテリーの持続時間最長
     (3)作動時の音が静か
  6. 欠点
    わずかな誤差を見逃さずに表示が変化してしまう場合がある。
■ベネット2801
この人工呼吸器は甲府の中島様の使用されておられるタイプです。
  1. 商品名(ベネット2801)
  2. メーカー名
  3. 国内輸入元
  4. 固定型
  5. 特徴(音が静かです)
  6. 欠点(加湿器がよく故障しました。)
■CV300
私の入院施設の他の病棟で使用しています。
加湿器のイメージ 加湿器のトラブルについて
加湿器や検出トラブルは結構多いので、交換機や修理のノウハウ、メーカーがすぐ来ないなどの面から、在宅者は加湿器の代用を採用しているケースが多いようです。私の入院施設でも、機種の老朽化等の影響か?機器トラブルは多いです。

■加湿器のトラブル■

加湿は水をいれたリザーバーを加温しておこないます。加温方法には、リザーバーの底を加熱する方法やリザーバーの中に、加熱棒を入れる場合などがあります。
トラブルが起きても、温度表示がそのままの場合、加湿されていなくても、判らない事がある。私もそのようなトラブルに遭遇した。
回路を交換してから次の日、タンが粘着になり始め、次第にカニューレの奥やカフの周りにへばりつき、ヒューフューと変な呼吸音が出たり、タンがカニューレの入り口にへばりつき、呼吸困難を起こしたりした。温度を上げたりしても改善されず、妻が吸引するとチューブの周りに水飴の固まりがくっついてきた。
その頃から、あまりにひどいのに気が付き、加湿器を交換したり、吸入を開始したり、カニューレを早めに交換したり、点滴したりと、いろいろしたが効果は少なかった。
夜間にタンが詰り呼吸困難になり、急きょカニューレ交換してもらった。カニューレの周りには茶色い水飴のようなものが、こびりついていた。
ところが、2週間苦しんだ後、回路交換してから何も無かったように、1〜2日で元に戻っていった。
センサープローブ自身の故障か、リザーバーの変形の可能性を疑っている。特にプローブは回路と同時に替えるので。しかしエラー表示が出ないのは欠陥機器ですよ。製造者責任PL法上問題です。

■加湿器に代る方法■

加湿器に代る方法を実践している二人の、わたしの友人の例を紹介します。

例1)和歌山で在宅されておられる、和中さん
「一回肺に入った空気を全部排気せずに、延長ホースに残った湿った空気と新しい空気を再度吸入」
回路の長さを長くして、換気量を増やし、回路の中に水滴が常に残るようにして、加湿するようにしている。通常より45cm位長くしている。最初は慣れるまで乾燥したような感じで、大変だったようです。

例2)甲府の病院に入院している、中島さん
加湿器を止めて、人工鼻を使用しています。人工鼻とは、通常は麻酔時(気管挿入)や気管切開はしたが人工呼吸器を装着しない方の気管を加湿するために、使われています。
人工鼻の外に水分を逃さない仕組みになっているため、加湿されます。その代わり、カニューレの外の近くの人工鼻の中に水分が溜まるので、水抜きが3時間毎に必要です。下記商品は人工鼻+エアーフィルター機能を合せ持つものだそうです。中島様は、回路もフィルターも交換は1週間単位だそうです。(注:カタログでは推奨使用期間は24時間になっています。)
人工鼻の名前は、「ハイグロバック-M(DARエア・フィルタ)、MALLINCKRODT社製」
人工鼻の品番は、「352/5805」
人工鼻の輸入発売元:マリンクロット メデイカル株式会社
東京都港区虎ノ門4-3-13 秀和神谷町ビル
人工鼻の形状は、空気フィルターを一回り大きくしたものです。

人工鼻写真
<写真はニューモイスト(輸入元/株式会社< 佐多商会:販売元/東機貿)の人工鼻です>

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