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2 瀬地山さん 98/07/20 00:59
題名:性の商品化と自己決定


last update: 20161029


2 瀬地山さん    98/07/20 00:59

題名:性の商品化と自己決定

立岩さん

 御無沙汰しております。瀬地山@駒場です。
先日大学院のゼミで、御高著を読ませていただきました。緻密な論の展開にい
ろんなことを考えさせられました。今日はそのことでぜひともお伺いしたいこ
とがあり、メールを送った次第です。

 性の商品化と自己決定に関することです。立岩さんの議論というのは、自己
決定を極力尊重しようとしてずっと押し進めていくと、ある段階で不可侵の
「他者」にぶつかる、そしてわれわれは他者がそういうものとして、自分の操
作を越えて存在することを、基本的に「快」と考える、という公準から議論を
組み立てなおしていく、という風に読みました。
 本の中で、例示的に性の商品化について触れられているのですが、立岩さん
の図式は、中絶問題という明確な「他者」が存在する場合には、きわめて説得
的なのですが、性の商品化については、どうお考えなのでしょうか?中絶問題
と異なり、他者が存在せず、また臓器移植とも異なり、生命に別状もないため
に、同種の議論が非常に組み立てにくいように思われるのです。また、それが
できると考える場合には、「性=人格」論が前提とされるというような、論点
先取が行われていると思われます。『現代思想』の浅野論文はそうした論点先
取の典型例だと考えます。

 実は町田さんから、性の商品化と自己決定について、早急に本を作るように
せっつかれていて、いささか困って立岩さんに助け船を求めている次第です。
朝日の対論をあるいはごらんになったかと思いますが、論点はあんな対論の2
歩ほど先にあるわけで、そのためにも立岩自己決定論の、性の商品化論をお伺
いしたかったのです。

 お忙しいところ恐縮ですが、ポイントだけでもお返事をいただければ幸いで
す。また場合によっては、8月にでも私が松本まで出向きますので、お話をお
伺いできればと考えております。
 
 どうかよろしくお願いいたします。

                     瀬地山 拝上


REV: 20161029
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