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全国「精神病」者集団ニュース 2001.2


last update:20101204


全国「精神病」者集団ニュース 2001年2月

  ごあいさつ
 暖冬の予想を裏切り寒い冬でしたが、このニュースがお手元に届く頃はすでに梅の花の時期を迎えておられる仲間もいらっしゃるのではないでしょうか。でも春を喜ぶどころか毎年春先の体調の乱れに苦しんでおられる方もいらっしゃるのではと思います。昔から春愁という言葉があります。この時期に自然界すべてが生殖に向け活発に動き出すと、それに対応できないからだの弱い者は体調を乱すといわれています。それが春愁という言葉だそうです。
 この時期を皆さまが無事に過ごされることを切に祈ります。
 権力や専門家が私たちをだまそうとするとき、かつては難しい漢語そして今はカタカナ文字が使われます。セルフヘルプグループ、ケアマネイジメント、エンパワーメント、ピアカウンセリングなどなど、訳の分からないカタカナ文字がこの業界に氾濫しています。そして専門家経由で輸入されるこうした言葉は必ず彼らの都合のいいように中味を変えられ、今ある体制補完ないしは強化のために使われていくようです。
 11ページの図にあるように、自助組織(患者会)も保安処分体制に組み込まれようとしています。もしかしたら戦前の隣組(今の自治会)のように、お互いがお互いを監視する、あるいは専門家の下請け機関として仲間の強制入院に協力する、そんな患者会が望まれているのでしょうか?
 仲間の患者の友情に支えられ、助け合い、精神医療によって奪われ否定された誇りと生きる力を取り戻し、自らを抑圧する差別と闘うこと、それこそセルフヘルプ(自助)の意味です。私たちを抑圧してきた行政や医師はじめ精神医療従事者がセルフヘルプグループの育成するなどというのは、まるで丸い四角というようなものです。せいぜい彼らにできるのはひも付きでない金を出すことだけです。
 私たちの求めるものを要求していくのは当然ですが、「それではどうするのだ」などという問いかけは無視して「嫌なものは嫌」と頑固に愚直に拒否を貫いていきましょう。それが自分自身そして仲間の精神医療体験に基づく私たちのセルフヘルプです。
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 北から 南から 東から 西から
32条・手帳の継続申請を済ませて
  神奈川 黒瀬 圭
 私は、平成10年10月に、3度目の長い入院(10年間)から解放されました。
いわゆるアパート退院です。
 病院の近くに木造アパートを借りて、一人暮らし。2週間に1度、一般外来でクスリをもらい(クスリの是非論はまた別の時に)、気の向いた時は病院のデイケアに行っています。
 退院してすぐ32条(精神科外来公費負担制度)を、一寸ためらって3ヶ月後に手帳(精神保健福祉手帳)を申請しました。
 自治体によってずいぶん違いがあるようですが、神奈川県の場合、32条を取ると、市部・葉山町・箱根町の国保は自己負担0%、市部社保と町村部は自己負担5%になります。私は川崎市国保なので、診療も、クスリも、デイケア(昼食含む)もタダです。
 手帳のメリットなのですが、自治体によってずいぶん違うようです。川崎市の場合、市営バスの1年分の定期券か、民営バスの共通バスカー2万円分を「もらえ」ます。
 他に市立の美術館等の入場料が割り引きになります。県営住宅の抽選の優遇もあるようです。
 手帳については「厚生省による病者総背番号制だ」として強く反対する意見があります。確かにそうなのですが、実は32条と手帳の申請用紙は同一なのです。ですから手帳を取らずとも32条を取れば「登録」されてしまうことは同じです。運動の原則論としては、生活保護の充実、障害年金の増額など、所得保障が本筋です。しかし現行制度のもとで貧しい「病」者が生きていくためには、取れるものは取るしかないのでは?と私は思います。
 退院2年目となり、「平成12年9月までで32条が切れるので、保健所に行って継続手続きをして下さい」と、病院の窓口職員に言われました。私はその時「鬱」で事務的なことが面倒だったのですが、幸い3週間後くらいに元気になったので、8月末に保健所に行って来ました。持参したのは、手帳と、年金証書と「平成12年度年金額改定通知書」のコピーと、印鑑。担当者は中年女性で「は?い、暑い中ご苦労様」と言って出て来て、とてもフレンドリーで親切でした。手帳のコピーも必要だったらしいのですが、向うでコピーしてくれ、書類の「病院の所在地」欄は「分るから書かないでいいですよ」と言ってくれました。
 しかし個人の善意と、システム(厚生省・治安当局)の悪意は、別問題です。申請書類に「家族の氏名・続柄・住所・電話番号」の欄があるのです。私は「家族はいません」と言いました。本当は、両親はまだ健在で、姉と兄もいるのですが。「あ、そうですか、それなら書かなくて結構です」簡単に済みました。私がそうしたのは、この全国「精神病」者集団ニュースで、山本真理さんの文章を読んでいたからです。山本さんは「精神障害者を子供扱いしている(身体障害者の場合、家族の欄はない)」、「行政に余分な情報は渡さない姿勢が必要」といった趣旨のことを書かれていました。
 実際、この申請書類の内容はコンピュータに入力されます。コンピュータに入ってしまったら、行政権力によってどう使われるか、分ったものではないのです。所管は厚生省ですが、データが治安当局(警察)に流れない保証は何もありません。「危険な精神病者」の「家族」として、あなたの親や子やきょうだいの個人データが警察に渡るかもしれないのです。
 みなさん、ちょっとだけ勇気を出して「家族はいません」と言いましょう。32条だけでなく手帳の更新のときも、私の場合、簡単に済みました。
 (なお私は普段は西暦を使うのですが、事務手続きの話なので元号を使いました)
 
投稿
  福岡 O
 僕の先祖は滋賀県の大津市から来ています。上祖の大津兵部藤原の正勝は戦国時代末期の頃、筑後の柳川に来て、一族の大津九兵衛は立花候に仕官しています。
 正勝が大津の名を付けたのはやっぱり日本史辞典にも一人しか載っていない大津皇子(おおつのみこ)からあやかっているのでしょう。
 僕の大学の先輩であるばんばひろふみさんも言っていました。自分は平安時代の女流歌人の生まれ変わりであると!!
 思想と信仰の自由が認められているので、どう思いこんでもいいのです。
 西日本新聞にも載っていましたが、大津皇子は今でいう007みたいな活躍をしていたそうです。
 私は躁鬱ですが、躁の時は007になり、鬱の時は一市民になります。ここ5,6年は安定剤をしっかり飲んでいるので余り変化はありませんが。
 自衛官募集相談員になり、先日は自衛隊OBの会である隊友会のバレーボール大会に行って来ました。
 私は自衛隊に入隊したことはありませんが、しかも精神病ですが、これからもがんばってまいります。
 
仲間の著者紹介
『精神病棟の中で』

佐藤宏明著
つげ書房新社 刊
二〇〇〇円+税
 ご存じの方も多いと思いますが、仲間の佐藤宏明さんが三冊目の本を出版なさいました。
 精神病院入院の赤裸々な体験、おつれあいからの拒絶、地域での被差別体験そして長期入院の病友たちへの思い(ただしこの部分は個々人について非常に詳細であり、フィクションでないとしたらそれぞれの仲間について許可を取ったのかどうかそのあたりが気になります)など、前著同様詳細な体験報告の書であり、精神保健福祉法の運用実態暴露の書でもあります。
 
働くということに関する私の説教試案
  福岡 Y
 今日、同じ病院でリハビリ治療を続けてきた方の前夜式があった。享年68歳である。
 自殺というわけではない。肝臓ガンが原因でなくなったのである。同じアパートに住んでおられたこともあって、なんとも言えない無力感と虚無感を感じている。
 その方は、若い頃は自衛隊員で、北海道や関東地区でも働いていたと生前本人が話されていた。が、いつの頃から現在の精神科の病院に入院され、20年以上を過ごされたと聞く。それゆえ、この方の後半生は病院生活であり、一般社会人から見れば「非生産的存在」であったと見られても仕方が無い所がある。尤も、本人は好きで入院生活を続けたかったわけではないと思うので、世間の見方がどうであっても、その人にとっては「かけがえの無い人生だった」と私自身のことを含めて言っておきたい。
 私がなぜこのような文章を書いているかは、この亡くなった方と私の生き様が無縁とは思えないからであり、彼の死を目の当りにして、自分もまた「社会的非生産的存在者」とレッテルを貼られていくことの理不尽さを感じているからでる。
 最近、私は「働くこと」へ向かってのリハビリを行っている。彼もまた長い入院生活の中でそうした時期があったと思う。たまたま、彼の病気がよくならなかったのか,それとも社会的受け皿がなかったか、いずれにしても、一般的に言われる「労働」に就くことはできなかった。どういう思いで彼はそのことを捉えていたのかは今はもう知るすべもない。しかし、少なくとも彼の病気と社会との闘いは一応募を下ろしたことになる。
 そこで、今度、問われているのは、残された私たち「リハビリ途上の精神障害者」である。病気が短期間で回復し,見事に職場復帰していく方も多々いると聞く。しかし、そうはいかない残された者もいるのである。かつて病院内のある集会で、現在の病院長が「何も仕事することだけが社会復帰ではない」そう言われた。その時は重度の障害をもった方もいらっしゃたので、その方々を意識しての発言だと後で個人的に教えられた。しかし、世間は院長のようには見てくれないのが現実だ。
 しかし、「生きるとは、お金を稼ぐ労働に従事すること」を意味するのだろうか?
 「生産的な働きをする者だけが、真に生きている人」なのだろうか?「働きたくても働けないものは、人ならず」なのか?
 マタイによる福音書6章25節?34節を読んでいると、上で掲げた私の問題提起は自ずと解決していくように思う。もちろん、この箇所の聖書解釈は問題であるが、今細かく釈義をするだけの力がないので大まかな自己流の読み込みをしてみると、「労働労働と騒ぐ必要はないんだよ。私(主)が毎日お前たちのすることはちゃんと教えるし、また,生活に必要なものは揃えてやる。だから、お前たちは『仕事も、生活も私(主)が司っていることをまず信じてごらん』、そうすれば、それらはすべて与えられるものさ」。
 以上が、今日の前夜式に参列した後、啓発されて書いた文章です。もちろん,聖書全体が「働くこと」を否定しているとは思っていません。ただ、この世の中、働きたくても色々な事情で働けない人もいるんだということを考える時、上記のような思いがなんとなく湧いてきました。もしよろしかったら、「働くとはいかなること?」という僕の素朴な疑問に、ご意見・ご批判をいただければ幸いです。
(編注・・・・・・・マタイによる福音書6章25節〜34節「だから、言っておく。自分の命のことで何を食べようか何を飲もうかと、また自分の身体のことで何を着ようかと思い悩むな。命は食べ物よりも大切であり、体は衣服よりも大切ではないか。空の鳥をよく見なさい。種を蒔かず、刈り入れもせず、倉に納めもしない。だが、あなた方の天の父は鳥を養ってくださる。あなたがたは鳥よりも価値あるものではないか。あなたがたのうちだれが、思い悩んだからといって、寿命をわずかでも延ばすことができようか。なぜ、衣服のことで思い悩むのか。野の花がどのよう育つか、注意してみなさい。働きもせず、紡ぎもしない。しかし、言っておく、栄華を極めたソロモンでさえ、この花一つほどにも着飾ってはいなかった。今日は生えていて、明日は炉に投げ込まれる野の草でさえ、神はこのように装ってくださる。まして、あなた方にはなおさらのことではないか、信仰の薄い者たちよ。
 だから『何を食べようか』『何を飲もうか』『何を飲もうか』『何を着ようか』といって、思い悩むな。それは皆、異邦人が切に求めているものだ。あなた方の天の父は、これらのものが皆あなたがたに必要なことをご存じである。何よりもまず、神の国と神の義を求めなさい。そうすれば、これらのものはみな加えて与えられる。だから、明日のことまで思い悩むな。明日のことは明日自らが思い悩む。その日の苦労は、その日だけで十分である。」)
 
赤堀さんとともにNo.5
  愛知 大野萌子
 赤堀さんにあったマスコミ人の一人は私に次のように述べたことがあった。
 「大野さん私ミーハーみたいで恥ずかしいんだけど、赤堀さんと一緒に写真とりたいの、いい? あんまり素晴らしい人柄だから・・・・・・・」その人は赤堀さんの人柄にほれてそう言った。赤堀さんと付き合ってこうもはっきりと意思表明した人も珍しい。
 私は赤堀さんのファンの一人で、いつもしっかりその人柄を見ているので、特別な感動を受けた。赤堀さんを死刑に陥れた精神科医師は赤堀さんのエセ検事調書を見て、「嘘つきの赤堀」と評価したが、きっちりと赤堀さんを見た人はそんな評価はしない。そして赤堀さんの人柄を見る上で、指摘したい点がある。
 誰もが知っているが、赤堀さんは35年この社会と遮断されて、社会的影響をうけていない。つまり赤堀さんの人柄は奇跡に近く「昔の日本人の良さがそのまま温存されている」と言ってよい。無論元死刑囚4人の方々に会う機会があれば皆そう感じるはずだし、その奇跡に感動するに違いない。
 昔、日本人はシャイで、勇敢で、礼節を重んじ、したたかなプライドを持っていた。
 私の記憶の中にある日本人はそうであった。別な言い方では、説も義も情も筋の通し方もあった。
 日本人をそうした国民性から質的に変化させたものは、一口に言いがたいが何か?
 私は物質主義が成り上がり者のように日本人を変えてしまったと思うが、そんなに単純でもなければ、政策的にある意図があったことも否めない。たとえば戦後の3S政策といわれたものがそうである。スクリーン、スキャンダル、セックスといわれるものに意識を操作され、低俗な興味にひかれるような政策が日本人に採られた。私の世代の者はそれを記憶する。それは恣意的で政策的なものであるが、精神世界が崩れる要素を充分含んでいた。物の充足を「幸福」と錯覚した。競争社会は互いに譲ることを捨てた。
 もちろんそれらを否定的にとらえて抵抗すれば、私のように発狂する。
 話は赤堀さんに戻るが、赤堀さんは悲劇的な獄中に封じられていたとはいえ、こうした戦後の社会変動と日本人の生活変化に巻き込まれず生きてこられた。
 赤堀さんが日本人の「良さ」を温存しておられるのは、日本的な「風土」に感化されていないからだ。こうした日本人に出会い、感性を刺激する人柄の謎に一つの光と解釈を加えてみるとこうなる。グアムから帰還された横井さんもこの類で、日本の変貌に驚愕された。
 私は昔の日本人赤堀さんにいやされ、恥ずかしさを教えられ、学び、救われている。
 元無実の死刑囚のラベリングをはずして、赤堀さんの人柄に付き合う意味の大きさを私は多くの人にすすめたい。しばし呆然とするか? 私のように恐縮し、何かを失ってゆくこと、流されてゆくことにおびえるかをして、自らの姿を見つめ直すことになろう。
 昔の日本人の素朴さは論争よりも人を説得させるものがあるのは確かである。
 1998年5月29日
 
衝撃
  愛知 大野萌子
 今年(1998年)に入って0の会の仲間を4名亡くした。昨年は会員2名と賛助会員1名を亡くしたので合計で7名を亡くしたことになる。それぞれに衝撃的であった。
 0の会は会員が多いし、全体的に高年齢層で構成されているので、自然のことかもしれないと自分を納得させてはいるが、事故死も2名ある。事故死の衝撃は普通の感覚では処理できない感情を抱かせいたたまれない。結果は死であるが「ああでもない。こうした配慮ができていれば」と悔やむことになる。結果論でありながら死に至る過程の「反省」や「悔い」が襲い自分の「総括」となる。なかなか死を受け入れられないのも難儀である。
 気をつける問題点を整理するのに時間がかかり、自分の立ち直りに時間を費やすことにもなる。
 私は死を見つけているにもかかわらず、他者は私の前でさまざまな様態を見せ続ける。あるメンバーの「死」の沙汰を行ったとき「ああいう病気だから家族は『安気』にならしたわ」と心ない言葉が私に投げかけられてくる。
 私は絶句した。死は悲しみではなく、精神病者が死ぬことは「家族の安気」なのか?
 「私の病気も『ああいう精神病だよ』」と言いたくても言葉に詰まる。
 治療悲観論が社会全体を支配している。
 本人たちも絶望的な苦悩を背負いいつも「死」を横に置きながら、必死に生きようとしているが差別は容赦なく私たちに迫ってくる。
 私は激しい衝撃とその後消耗に襲われるが、人はどんな「いいわけ」をするか?
 聞いてみたいと思いつつ「死」に鈍感な人を相手にしても、消耗が激しくなるのでついぞ断念する。差別と闘いながらこの体たらくでは?と私はまた堂々巡りとなる。
 そうした時期に今度は「うつ病」の仲間が家族に「家を暗くしたのは誰のせいなの」と詰問されたと嘆いていた。
 病人があれば家の中は決して明るくないのが普通のことではないか?
 なぜ精神病者だけにこうしたことが言われるのか? 「狂っているのは健常者の方だ」と仲間が言うがそれは妥当というものだ。
 ガンでも盲腸でも病気には違いないが「家を暗くしたのは誰のせいなのか?」と言われることはまずありえない。
 私は消耗の上に消耗を重ねた。
 そしてそんなときに精神病者に関する社会現象に直面した。
 7月7日に精神病院の「面会室で入院中の仲間が父親に殺されてその父親も自殺した」という事件である。
 将来を悲観して心中を図ったのである。
 具体的な事実は分からないが「心情的」には理解できても衝撃的であった。私たちは殺される側の位置にありそれは明らかである。
 そしてこうした現象に医師はどんな「総括」をするのか? ぜひ聞いてみたいと思う。私の心的な動揺は「精神病者仲間で触法精神病者をターゲット」にした新しい施設設置に腐心する医師たちに、こうした現象をどう考えるか聞いてみたいとも思った。
 親なら「心情的」な理解を示し「精神障害者」は「危険だから管理しよう」か?
 しばらくして私はまた一つの社会現象に見舞われた。
 マスメディアでも特集を組んだが「96歳に温情判決」という問題である。ことは知的障害者の息子を殺して判決3年を受けた老婆が控訴した結果、温情判決で執行猶予3年で結審した問題である。
 無論情状酌量での判決である。
 かなりの「署名嘆願書」があったと伝えられている。
 裁判所の判断に文句を付けるつもりはない。こうした「現象」で「事件」が再発することを恐れる。
 最も根元的な問題はこの国の「福祉」や「署名嘆願書」に寄せられた人々の「善意」が私たちの理解に結びつかないことである。最も非難されるべきは厚生省であり、地方自治体であり、営利中心で病院運営する経営者、そして私たちの闘いの未熟さではないか? 差別と闘い、偏見の除去をメルクマールにした私たちの組織のあり方が問われている。
 私はこうしたことに衝撃を受け「胸のつぶれる」思いをしながら、それが肉体的に影響を与えたのか? 乳腺で寝込んでしまった。
 「親たちよ! 私たちを殺さないで!」と祈りつつ・・・・・・・・。
1998年10月18日
 
窓口から
☆保安処分攻撃の動き
 日本弁護士連合会は1月26日までに「触法精神障害者」に対する刑事処分のあり方や措置入院制度などについて検討する委員会を設置することを決めた。
 さらに12月2日法務省と厚生省は重大事件を起こした「精神障害者」の処遇について合同検討会を発足することを明らかにした。
 以下にその検討会の主意書を掲載します。(「略」という部分があり全文ではありません)
 
  法務省・厚生省の検討会立ち上げにあたっての主意書
T 協議・検討の目的
 精神障害者の犯罪は、最近、特に増加しているわけではないが、殺人、放下といった重大犯罪におよび例もまれではない。このような犯罪は、時として何の罪もない第三者に理不尽かつ重大な被害を与えるだけでなく、精神障害を持つ者をしてその症状ゆえに犯罪の加害者とならしめる点でも、極めて不幸な事態であると言わざるを得ない。そこで、このような精神障害に起因する犯罪の被害者を可能な限り減らし、また、重大な犯罪を犯した精神障害者精神障害に起因する犯罪を繰り返さないようにするための対策を検討することが必要である。
U 協議・検討事項
1 精神障害に起因する犯罪の発生を予防するための方策の検討
 幻覚や妄想など精神症状に起因する重大犯罪は、予防可能な犯罪の一つである。これまで起きた事件の背景を詳細に分析し、改善策を実行に移すことによって、精神障害が原因の犯罪の発生はかなり防ぐことができよう。この方策は、精神医療の水準の向上につながり、精神を病む当事者や家族に福音をもたらすという意味でも意義深い。
 精神障害に起因する重大犯罪は、その背景によって
・精神障害と気づかず、未治療ゆえの犯罪
・気づいていたが、治療を敬遠したための犯罪
・治療を中断したための犯罪
・治療は継続中であったが、日常生活を支える福祉的支援に問題があったために症状の悪化を招き、起きてしまった犯罪
・上記とは、趣を異にするが、思いあまった家族による患者殺人などに分類することができる。
 多くの先進国では、1970年代から図のような精神保健・医療・福祉システムを構築することによって、精神医療への信頼を高め、不幸な事件を防ぐ努力をしてきた。
 殺人等の重大犯罪を繰り返す精神障害者のための専門施設
 手厚く居心地のよい入院医療精神科救急システム・時間外診
 身近なクリニック訪問診療
 充実した訪問看護・ホームヘルプ・生活支援センター・気軽に相談できる窓口
 住まいの確保(アパート・グループホームなど)
  精神的な居場所(いこいの場・デイケア・ナイトケア・サロン)
   地域での相談相手、自助グループの育成、当事者による相互支援
         仕事の場、雇用促進システム、地域ボランティア活動
 こうした経験も参考にしつつ、次のような方策について検討する。
a信頼され、親しまれ、受診しやすい精神医療の構築
b精神保健についての知識の普及
c早期対応が必要な事例について、保健所や病院、警察、児童相談所、学校等が、通常の行政の枠組みを超えてかかわることができる新たな仕組みの構築
d通院や服薬を中断しないための仕組みや支援体制の整備
e退院後や通院中の患者を孤独にしないための地域精神保健福祉サービスの構築
f地域における危機介入体制の構築
2 重大犯罪を犯した精神障害者の処遇の決定と処遇システムのあり方の検討
 触法精神障害者の精神病院での処遇は、現行法上は、犯罪と無関係な患者と同様となっている。しかし、両者を同じ体系の下で処遇することは、精神医療全体の水準の向上を図る上で障害となっているだけでなく、次のような問題を引き起こしている。
・他の入院患者やスタッフの安全のために、重大犯罪を犯した入院者が、刑務所を上回る重装備の保護室に長期拘禁される例もあるという人権上の問題
・処遇の方法論を持ち合わせていたに精神病院が、いわゆる「触法精神障害者」を早期に退院させる傾向があり、退院後、同様の犯罪が繰り返される現実
(略)
 このような観点から、精神医療の充実と地域史円体制の構築を前提とし、また、イギリス、カナダ、オランダ、北欧等この分野に経験を持つ国々の例も参考に、次のような課題を検討する。
a入退院の手続き、退院後のシステムをどうするか。
b施設の配置と必要数、およびその人員配置数と構造をどうするか。
c人材の要請をどうするか(略)
 以上の検討にあたっては、以下のような観点も含めて検討する。
・「殺人を犯したのに刑も受けず、精神病院からいつの間にか退院していることは納得できない」「被害者(被害家族)として、加害者がどのような処遇を受けたのかを知りたい」
 「検察官は、犯罪を犯した精神障害者に安易な不起訴処分を行っているのではないか」など、処遇や決定過程に対する国民の不信や不満に答えるための方策
・重大犯罪を犯してしまった当事者自身の「償いをしたい」「裁判を受けたい」というねがいに答えるための方策
V 協議・検討の方法
 法務省、厚生省の関係部局の担当者、ならびに、精神医療、あるいは触法精神障害や人権問題に識見を有する者による検討会を密度高く開催する。あわせて、精神病院入院体験者や関心を有する市民の出席を求め、その意見を尊重しつつ、議論・検討を進める。
 この検討会についてその後の経過の一部の資料が入手できる見込みです。このニュース作成時点で未入手ですが、ご希望の方はご請求くださいませ。
 
☆窓口入手資料
トキワ警備を紹介したテレビ番組ビデオ
トキワ警備とは精神科への医療保護入院のために家族の依頼で人を精神病院に連れていくサービスを行っている警備会社で、各精神病院などにダイレクトメールを出して宣伝しているところです。
 ダビングしてお送りいたします。ダビング料、テープ代、送料を送付時にご請求いたします。テレビ朝日で昨年12月に放映された物ですが、全国放送はされませんでした。
 保安処分攻撃の資料、このテープのご請求は私書箱、電話、ファックス、メールでどうぞ。
 
☆例会日程
2月例会は担当者不調のため流会と致します。
4月例会
4月21日(土)夕食をたべながら交流
     (日)会議
6月例会
6月23日(土)、24日(日)
場所は京都事務所の予定です。
 例会は偶数月第4日曜日とその前日の土曜日の組み合わせです。4月は第1日曜日が1日ですので、第3土曜日と第4日曜日の組み合わせになりますのでご注意くださいませ。
 都合により流会となることもありますので、参加希望の方は私書箱までお手紙か、ファックス、電話、メールであらかじめご連絡くださいませ。私書箱にお手紙をくださる方は必ず電話番号を明記してくださいませ。流会等の連絡や場所時間などの連絡が日付が迫っており、手紙では間に合わない場合があります。できるだけ手紙以外でご連絡いただけると助かります。

☆カンパ御礼
 冬期カンパにたくさんの方からご協力をいただきありがとうございました。
 総額248,900円となりました。
カンパに寄せられた一言から
※今年もいつの間にか師走になってしまいました。いつも感心していますが、山本真理さんの活動し続けるエネルギー、パワーは一体どこからくるのでしょうか。私もタフな方ですが、いささか活動にバテてきております。しかし、絆社ニュースを読むたびに元気づけられております。来年もお身体にはくれぐれも注意され、無理せぬようご健闘を祈っております。カンパとして6千円送ります。
※この病気は閉鎖病棟にいて、カンパでないと郵送できない人もいると思う。また病気で法律を犯されてまで入院して人権無視の人もいると思う。そんな人が安心して暮らせるように、また病気で通院している人にも安心して暮らせる新聞であってほしい。少額ですが送ります。役立ててください。
※ニュースの編集・発送作業お疲れさまありがとうございます。少しですがカンパです。来年も希望を失わず実りある年になりますようよいお年をお迎えください。
※先日新潟県精神保健福祉センター主催の大会で「心のメッセイジ」応募作品に入選して、励尾市にて大会があって発表してきました。
※バイトしたので餅代送ります。
※カンパとして送ります。お互いにがんばりましょう。
※冬期カンパの呼びかけにお答えして少しですが。
※カンパです。ニュースいつも楽しみにしています。
※いつもご苦労様です。大変だと思いますが、楽しみにしています。少しですがつりは不要です。よろしく。
※心ばかりのカンパです。厳しい状況が続いていますが、できるところでがんばっていきましょう。
※新世紀おめでとうございます。2月号楽しみにしています。
※本年もよろしくお願いします。
※がんばってください。いつも読ましてもらって感心しています。
※病者としてお互いがんばろう。ニュース読みやすくなった。
※お元気ですか? 私は10月9日頃から約3ヶ月の鬱をようやく脱して、また動き始めました。今度は「自分がツブレない」方法、「自分が疲れない方法」でゆるりとやっていきたいです。
※領収書はいりません。いつもニュースありがとうございます。
※購読料が遅くなりすみませんでした。本年もよろしくお願いいたします。
※資料代残りはカンパです。
 
  本の販売
 以下の本・パンフを郵送で販売いたします。
※『精神医療ユーザーのめざすものーー欧米のセルフヘルプ活動』
メアリー・オーヘイガン著 長野英子訳 中田智恵海監訳
 解放出版社 1800円プラス税90円
 著者はニュージーランドで初めて患者自身による既成の精神医療体制に代わるサービスを発足させた方。「精神病」者解放闘争の理念および患者会の運営について、実践に基づき論点を整理したとても参考になる本です。
郵送料無料でお送りいたします。1890円を郵便局でお振り込み下さい。
書店で買うより郵便振替手数料70円分高くなります。
※『赤い鳥を見たか ある「殺し屋」の半生』
飯田博久・飯田裁判を考える会著 現代書館 1500円プラス税75円
電気ショックの恐ろしさそしてまるで入念に仕掛けられたワナのような精神医療により、追いつめられていく飯田さんの人生。精神医療告発の書
こちらは郵送料もいただきます。郵送料含め1885円を郵便局でお振り込み下さい。
※『精神医療』フォービギナーシリーズ
長野英子著 現代書館 1200円プラス税60円
精神医療の実態そして精神保健福祉法の本質にせまる本です。
こちらは郵送料もいただきます。1570円を郵便局でお振り込み下さい。
※「精神保健福祉法の撤廃と精神障害者復権への道」
久良木幹雄著 オープンスペース街発行
300円送料130円 計430円
精神保健福祉法撤廃、そしてそれに代わる精神障害者復権法の提案
素晴らしい内容です。ぜひご一読を
※「オランダTBS資料およびフィンランドの危機サービス資料」
オランダの保安処分TBSの当局側資料、および施設入所者のための案内
フィンランドの1日24時間1年365日の危機サービスのチラシ
英文と邦訳
1000円 送料270円 計1270円
なお会員の「精神病」者で邦訳文だけでいいという方はコピー代送料実費でお送りいたします。
 手紙で私書箱まであるいはメール・電話でお申し込み下さいませ。本を発送する際に送料と代金をご請求しますので、同封の振替用紙でお振り込み下さい。


*作成:桐原 尚之
UP: 20101204 REV:
全文掲載  ◇全国「精神病」者集団 
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