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全国「精神病」者集団ニュース 2000.8


last update:20101204


全国「精神病」者集団ニュース 2000年8月
  ごあいさつ
 酷暑の季節となりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか? 精神病院でも冷房のないところがまだまだありますが、皆さまの病院はいかがでしょうか?
 精神医学や心理学は、一定の人間への差別や排除を正当化するために使われてきたし、また積極的に差別合理化の「学」として権力に奉仕してきました。社会的歴史的な矛盾を全て個人の資質、人格、病気の問題をすり替え、その個人を「処理」することで問題解決を図ろうとするとき、もっとも利用されてきたのが精神医学であり、心理学です。
 バスジャック事件について「あの少年は病人じゃないだろう、それなのに強制入院させたのが問題」「病人だろうと強制入院させたから、あの事件が起きた」「親が厄介者と決めたら精神病院は引き受けて強制入院させ監禁しろ、というのがマスコミの論調だ。精神病院は厄介者収容所か?」などと言う声が仲間から集まっています。
 私たち全国「精神病」者集団の力量不足で、かの少年に対する救援活動に取り組むことが一切できていません。そうである以上私たちもまた単なる「傍観者」でありかつ彼を「排外する者」でしかありません。しかしそれでもなお日本精神神経学会の調査委員会発足(巻末コピー参照)には異議を唱えたいと思います。
 医師としてまず本人の利益を考え救援活動に入るのではなく、裁判も始まらない前に突然「専門家集団として、第三者機関として、事実を知る」というのは一体何が動機でしょうか? 本人の声を聞くこともなしになぜ「事実」が明らかになるのでしょうか? なぜそれほど急いで「事実」なるものを確定しなければならないのでしょうか? 医療機関としての自己保身が動機としか思えません。
 「治療は適切だったか、事件は予測可能だったか、入院・一時帰宅は妥当だったか」を調べるそうですが、それでは「事件が予測可能であったら、拘禁する」という判断をすべきなのでしょうか? 精神医療は「犯罪防止のためには予防拘禁をするべき」なのでしょうか?
野田正彰の言うように「『クライシスコール』をキャッチして素早い拘禁への対応を整備すべき」なのでしょうか? 「処遇困難者専門病棟」新設策動の張本人である中山宏太郎の言うように「精神医療は自らの治安的側面を積極的に認めるべき」という立場に立つのでしょうか? 重大な岐路に精神医療は立っています。
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北から 南から 東から 西から
投稿
  富山 U
 みなさん、こんにちは。私は、こないだまで、入院しておりました。私生活で嫌なことがあり、睡眠薬を飲みすぎました。決して、死のうとは思いませんでした。
何せ睡眠薬九袋ですから、九袋で死のうなんて、虫が良すぎます。ただ、深い眠りにつきたかったのです。発作的にやってしまいました。その時、長い間、右側を下にして寝ていたのが原因で、右足が痺れ歩けなくなってしまいました。右坐骨神経麻痺です。
 病院に行ったその日に入院。精神科です。今は大分よくなったのですが、整形の先生からして、いつ治るかはっきりしたことを言ってくれないので、不安でなりません。自分で歩いて、リハビリするしかないそうです。
 三ヶ月以上治るまでかかるが治らないことはないだろうけど、一年二年単位で見ていかないといけないと言われました。
 家の中では装具(義足ですね)を履かずとも歩ける様にまではなってきたのですが、夜寝るとき、痛くて、寝れないのが、一番困ります。
 こんな私ですが八ヶ月前にパソコンが、家に来て、ホームページを作りました。良ければ遊びにきてください。日記とゲストブックしかありませんが、来た際には、ゲストブックに足跡残してくれると嬉しいです。
http://WWW.geocities.co.jp/BookendーOhgai/7201/
 春が来たのはいいのですが、なおさら憂鬱が増してきて、調子が悪いです。皆さんも、どうか、ご無事で、ご自愛ください。それでは、また投稿させてもらおうと思います。主治医に、自分を責めすぎないように言われました。そうしようと思います。では。
 
投稿
  新潟 A
 私は今本当にあたたかな中で食事をいただきそれなりに友もいてまるで夢の中で生きているのではないかと思うほど、安らかな毎日を過ごさせていただいている。
 私を心よりありがたく思っています。
 昨年(平成一一年一〇月)より入所している私は、もちろん一人暮らしのおばさんでした。二年間という条件で、入所しているこの部屋はあるボランティアの先生の好意で、こんなにもあたたかな中で生活できている私を心から幸せに思っています。
 私の心の夫正ちゃんはついに天国に行ってしまった。
 さみしさだけだった一人暮らしも時として病院などのホーム(グループホーム)や仲間たちと暮らしてみるのもまた楽しいですよ。
 一生ここの天国で暮らせれば最高ですが、いずれまた一人での生活が来るかもしれないけれど、今はただこの暮らしをまんきつしています。
 
正ちゃんの死
  「風の子ユー」より
私より一つ年上のお兄さんだった
正ちゃんが平成一二年三月六日(月)に自分のアパートの部屋で一人静かにこの世を去っていったのです。
私はその知らせを受ける前に
正ちゃんの実家に電話して信じられないほどビックリしました。
涙があとからあとから流れて
まさかその知らせがうそだったらいいとさえ思いました。
でも正ちゃんはたしかにこの世を去ったのです。
あの優しい顔をした写真が飾ってあった正ちゃんの実家で私は最後のサヨナラをしてきました。
正ちゃんはきっとお星様になってまるごと裕子の心の中で私を守って下さる事と信じています。
そして私にとって消える事のできない人になってしまったのです。

投稿の呼びかけ
 一人暮らしをしている仲間から、以下の問題提起がありました。
@一人暮らしの中で食事作りなど家事労働についてどう取り組んでいるか。
A孤独さについてどう耐えているか
B精神病以外の病気になったとき、どのように対処しているか(一人で寝込んでしまったときなど)
 全国には一人暮らしをしている仲間が多いことと思います。この三点に限らず一人暮らしで直面している困難な点、あるいは私はこうしたら解決できた、という例などご投稿いただきたいと存じます。
 このテーマは普遍的な問題ですので、継続して投稿を呼びかけたいと思います。

孤独さについてどう耐えているか
  東京 I
 私は何度か精神病院を転々としました。それで、入院すると友達ができて、本当に体調がよくなります。
 しかし一ヶ月も話し相手がいないとき、命の電話など知らなくて、本当に苦しみました。
 しかし、いまは病院のデイケアに通い、幸い、グループホームにいますので孤独感はそんなにありません。それと、東京に住んでいますので、寂しいときは、電車に乗ってあちらこちらに遊びに出かけます。中でも、東京のJRの電車は、東京近郊区間という制度がありまして、電車に貼ってある路線は最短区間の切符を買ってぐるっと回って乗ることができます。それで、途中で降りなければ帰ってくることができます。寂しいときや孤独なときはあちらこちらと出かけて気分を変えています。
 他にはBCLという趣味をもっていまして、国内の放送局を聞いたり海外の日本語放送を聞いて感想を送ったりして、あれやこれやと手紙をもらって、孤独さをまぎらわしています。
 最後に以前、絆社の山本真理さんに手紙を送ったところ、田舎に帰るよりは、東京でそれなりに暮らした方がよいとアドバイスしていただいたことがあります。
 一人でくよくよしている方がいらっしゃるかと思いますが、絆社にも相談されることをおすすめします。
 末筆ながらみなさんの健康をお祈りいたします。
 
お手紙から
  高知 I
 拝啓皆様お元気ですか。
 いつもお便りを楽しく読んでいます。今日は朝で百姓仕事も休んでいます。連休は畑が待っているのです。
 私は一人暮らしを九年ほどしました。近所のみどりの団地でです。
 うどん、ソーメン、カレー、おじやとか野菜とタンパク質をいかに安く組み合わせて料理するかです。
 そして庭でも、キンカやスモモ、ミツバ、青草、浜ちしゃなど無農薬で植えて食べていました。
 そしてカレーにも、ネギやオクラ、ピーマンやゆで卵を入れたり、カレーおじやにしたり、でも野菜も古くなってまずくなり米も炊きすぎて余るとまずくてとうとう帰ってきました。
 私の信条として少し貯金して外食はしませんでした。
 日曜日の昼は実家に帰り両親と食事をしました。
 でも一人でも楽しいときもあり、テレビも新聞も見放題でした。楽しみはニュースやクイズとかよく見ていました。
 皆さまは如何お過ごしですか。
 テレビクイズもおもしろかったですよ。でも今は父が怒るので見ていません。民放によくあって前宣伝で知ります。花博には行きましたか。私は働いているし、高いので行きません。お身体に気をつけてお元気で。
 
私の一人暮らし
  福岡 S・K
 初夏の香りも生き生きと私たちにエネルギーを与える季節になってきましたね。お便りとレジュメありがとうございました。
 初めて私の文章が絆社ニュースに二つも載ったのでビックリ(この頃毎日ビックリし通しです)しましたが、あんな変なおばさんの文章でも受け入れられるのは貴社だからだと思います。
 前号で不敬絵画百号を完成したと書いたので、それが意外なことに入選して福岡市美術館に展示されたことをニュースでお伝えしたいと思ってちょっと経過報告というつもりでペンを執りました。
 ひょえー! とにかく天皇連中の並んでいるところに、ムカつくので目つぶしに「国のために死ねるか」という印刷文字をペッタリ貼って、日の丸も真っ黒に塗りつぶして、後やりたい放題、誰の影響も受けずに思い通り、狭い部屋でけっとばしながら(今後はもうこんな大きい百号なんかやーめた!)、何とか作ったのですが、とにかく入選したのには、この私自身が一番びっくりしました。
 一杯山ほど題名が浮かんだけど「俺たちに明日はある」で、誰にでも通じたかなあー?うーん一言では言えませんなあ! でも今日中井先生の「世に棲む患者」の文章を読みなおして、成功(?)したときが気をつけなければならないと書かれていたので、なる程、このまま街の隠遁者Kで行こうと相変わらずマイペースで楽しんでいます。
 昔北九州美術家連盟とかにも一度出したら入選したのですが、どうしても自分で納得のいかない作品だったので、山にこもっていたとき、けとばして捨てちゃいました。今回の作品は納得しているので捨てないつもりです。
 ふつうのアパートなので、大好きな音楽のボリュームを控えることと、火事を起こすのが恐いので、天ぷら料理はしないようにしています。
 でも娘がファンだったTHE YELLOW MONKEYのチケットが余っていたので、娘から買って一人で久々にロックコンサートにマリンメッセに行って、今の若人の中にまぎれてハチャメチャ踊ったり叫んだりして非常にスカッとしました。ただ帰りの臨時バスの中で足がつりそうになったのでなんとかもみほぐして大丈夫でした。
 このところいろいろ事件が起きてジャーナリスト連中がどういう対処するか見張っています。被害者の恐怖はいかにも分かるようにしゃべっているけれど、病者自身の傷の深さはなかなかまともに取り上げられませんね。
 単純な勧善懲悪論で変な法律なんか作られたら、権力の思うつぼですね。今頃になって物質文明の次に来るものを、少しは気づいてくれたら、被害者の方の死もむだにはならない(こんな表現きつかなあー?)のではないでしょうか?
 私にとっては心とはなんぞやというのがずーと思考テーマだったのですが、今は心身一如あらゆる物質は夢を見るものだと思っています。信じられるものは直感と自発性しかありません。私の場合には孫(八歳と三歳)が時々来るので、なるたけ裏切らない大人でありたいと思っています。でも子供とのおしゃべりが一番楽しいです。私の考えつかないようなことも教えられたり、教えたり、本当Give and Takeで楽しんでいます。
 山本さんが私の大根の葉で作った煙草を喜んで吸って下さったのでとてもうれしかったです。その内いろいろなフルーツや野菜や野の草でたまには花火とかも混ぜて、私ブランドの煙草をお送りいたします。あんまり長い間苦しかったもので、今はマンガみたいな毎日を過ごしております。事実は小説より奇なり! Dragon Ashの"Deep Impact"はカッコイイでーす!
 ではまたね。バイナラ。
 
お手紙から
  福岡 O
 うっとうしい雨が続いておりましたが、お身体の調子にお変わりありませんでしたか?
 先日、隊友会の総会が博多でありまして、私は特別会員なので来賓で行ってきました。ちなみに招かれた人も各支部の支部長クラスの人たちです。
 山崎拓氏本人も来られました。
 ぼくは佐世保地方総監部の幕僚長と名刺を交換してご機嫌でした。
 幕僚長に頼んで、体験入隊をしたいとか、007にしてもらおうとか、夢はふくらみましたが、お薬を飲んでいるので、落ち着いています。せいぜい暑中見舞いを出そうと思っています。
 ぼくの夢はスパイになることです。
 そう柳川のジェームズ・ボンド、007をめざしています。
 自衛官募集相談員をやっていますので、諜報員と呼ばれています。ボランティアです。半ば夢はかなっています。給料は年金と思っています。
 立命館大学法学部を中退して、バンバンの「いちご白書をもう一度」が十八番です。
 いちごの栽培が本業です。
 死んだじいさんが吾一という名でしたが、反対から読んだらいちごです。これはかんけいないですね。
 もとめよ!さらばあたえられん!というのは事実だと思います。
 
キチガイ(精神分裂病)一揆
 昨年(一九九九年)、自民党、公明党、自由党(自自公)三党は「新安保・ガイドライン」「組織犯罪対策法(盗聴法)」「日の丸・国旗法案」を成立させ、戦後「民主主義」を完全に否定し、統治形態を激変させた。
 数の力で圧制を強いたその政治は、平和を願う多くの人民を無視するおごりと暴挙であり、私は絶対にこれを許すことはできない。
 そして、こうしたおごりはとどまることをしらず、森首相の「神の国」発言があり、石原慎太郎の「三国人」の発言がある。
 今回この集会において、私は「精神分裂病者」の「キチガイ一揆」として以下を発言したい。
 今日(二〇〇〇年六月一〇日)の毎日新聞朝刊の報道によれば、民主党を逃げ出した元文相鳩山邦男氏は、大分で「(民主党は)思想分裂党、精神分裂政党」などと批判した、加えて鳩山氏は、次の遊説先でも「精神分裂のよう」「精神分裂症的な政党」と表現した。
 これは「精神分裂病者」への差別発言であり、断固撤回を要請したい。
 そして、この発言を行った鳩山氏本人に、「あなたの言葉で精神分裂病とはどういう病か?説明されたい」と追求したい。
 つまり、物事の本質を洞察できないまま、自分の言葉を持たず、「精神分裂病者」を悪意と差別で比喩の対象者にしたと断言し、鳩山邦男氏に強く自己批判を求める。
 私たちはこの人鳩山邦男氏を「元文相」としたことを大いに恥じるべきであろう。
 今回の集まりでは、森氏の「神の国」発言が問題であり、石原慎太郎氏の「第三国人」が大問題で、「天皇護持や憲法否定論、およびアジアの人への排外思想と差別問題」を許さないことに主眼がおかれている。
 私も集会の趣旨に賛同し、政治のおごりをたたき、今の流れを食い止めて行く方向づけに参加したい。
 その上で、すでに多くの人々の認識にある、石原慎太郎氏の障害者差別発言や、石原氏が、弱者を弱者と思わぬ差別思想の持ち主である点を今一度明らかにし弾劾する。
 石原氏は知的障害者に対し、「あの人たちに人格はあるのかねぇ」と発言しました。
 人であれば人格や人権があるのは当然であり、厚生省ですら「ノーマライゼーション」(すべての人が「差別」なくし、共に生きる社会の構築)と言っているではないか? また「知的障害者」が「ピープル・ファースト」(まず第一に人間だ)と叫んだ事実があり、私たち精神障害者の解放運動にも大きな影響を与えたことを知らぬのか?
 見識のなさか? 否、石原氏の自覚的な差別であろう。
 石原氏はこうした歴史的な事実を否定し?また国連人権規約の「B項」の差別否定条項すら意図的に無視したと私は判断する。
 相でなければ、「第三国人」発言で抗議デモを行った外国人に対し「あれは被害妄想ですよ」とふざけたコメントができるであろうか?
 (石原氏がそう言い放つのであれば、精神医学の用語「被害妄想」の概念を述べてみてはどうか? その勇気と知恵もあるまい)。
 石原氏への問題点はこうしたレベルだけではない。
 いわゆる「外形標準課税」が市民的感情に「ヒット」し、その流れで大阪がそれを導入したが、石原氏はその導入に先駆けて「老人のフリー無料バス」を有料化した。
 「バスがほしければ五千円の負担をしろ」と石原氏は老人にせまった。
 私(たち)がこの問題を見逃すはずはない。
 老人の既得権「フリーバス」を政治的に押し戻すのを平気でやってのけた石原氏のセンスと政治手腕は「外形標準課税」と同様影響する。
 「外形標準課税」のように、精神病者が獲得した「無料バス」への影響を私は戦々恐々とした。
 石原氏の政治手腕は、老人・外国人ら弱者への攻撃に終始している点を今一度はっきりと認識したい。
 「(知的障害者に)ああいう人にも人格があるのかねぇ!」「(外国人のデモに)被害妄想」と言い切る石原氏は、精神障害者への差別感情を利用した扇動として弾劾する。
 つまり差別の上塗りと判断し弾劾する。そして石原氏の退陣を強く要請したい。
 私は今回の政治情勢下において、こうした情勢を黙って見過ごせば、精神病者への受難の歴史と差別は一切払拭できないと判断し、断固訴える者である。
 弱者がその存在を否定されるとき、(ナチス・ドイツではガス室で誰が最初に殺されたか? 障害者二五万人の抹殺を忘れてはならない。また元無実の死刑囚・赤堀政夫氏をスケープ・ゴートととした障害者差別を今一度総点検せよ)それは健常者の歴史の転換点でもある。
 この点を自覚し闘うことを私は強く訴える。
 障害者差別を許さず、歴史の転換点を見つめて民衆と共に歩もう。
二〇〇〇年六月一一日
精神病者の組織 〇の会世話人 大野萌子
  今回私はあえて「精神病者」の自分を「キチガイ」と差別表現しました。
 「キチガイ」とは「気心が知れない」「気脈が通じない」の「気」が健常者と違っているところから「気違い」と言われます。私側でも健常者とは「気」が違いますので、皆さまのことをあえて「気違い」ともうしてもいいはずですが、言われたときにはどう感じますか?

窓口から
☆六月例会報告

参加者 東京S、I 大阪Y 窓口係山本
 全国「精神病」者集団の組織としての決定事項は何もありません。以下山本の報告と感想。
 二名の三〇代(久しぶりに若い世代が登場!)女性が東京から初めて参加、夜行バスで早朝に京都着、四時に窓口係が事務所を開けるまで時間をつぶしてもらいました。お疲れさまでした。
 初めての参加されたSさん、Iさんは八〇年代はじめに精神分析をする東京の私立精神病院入院中に知り合った友人同士。八〇年代はじめの入院しかも十代でそれぞれ二年半とか二年近くとかの年単位の入院であったことに驚きました。お二人の入院体験をうかがって、精神分析の侵襲というか虐待のすさまじさに驚きました。詳しいことは個人的なことですのでご報告できませんが、こうした体験は初めてうかがいました。お二人とも少し前からトラウマ治療(精神医療によるトラウマ)を受けて回復したとのことです。
 もっともそのトラウマ治療も最近治療者がTSGグループ(トラウマ・サバイバー・グループ)治療を始めてそのやり方に疑問ありとのことでした。
 Sさんは「精神病」者の運動の歴史と現状を知りたい、Iさんは今まで自分の内面や個人の体験を見つめてきたが、それをめぐる社会状況を知りたくなってきた、というのが参加した動機だそうです。
 Yさんからは六月二四日にあった大精連大会の報告がありました。
 移送制度も(ママ)めぐる議論をしました。説明と一体どうなるか?など。大阪では移送制度は一年延期となったとのこと(大阪Yさん報告)
☆例会日程
八月二六日(土)夕食を食べながら交流
  二七日(日)会議
一〇月二一日(土)夕食を食べながら交流
   二二日(日)会議
一〇月は一日が第一日曜日ですので、第三土曜日と第四日曜日の組み合わせになりますのでご注意下さいませ。
 いずれも場所は京都事務所です。事務所に宿泊できます。宿泊費は無料です。会議資料コピー代と食事代は自己負担となります。
 全国「精神病」者集団ニュースの読者の「精神病」者はどなたでも参加できます。「精神病」者以外は参加できません。介護者の必要な方は介護者は同席できますが参加はできません。
 夕食の準備もありますし、担当者の都合で流会となることもありますので、参加希望の方は必ずご連絡の上ご参加下さいませ。私書箱にご連絡下さるかあるいはメール・電話窓口にご連絡下さい。お手紙の場合は必ずお電話番号を明記して下さいませ。
 折り返し場所の案内等をお送りいたします。
☆夏期カンパご協力ありがとうございました。
 夏期カンパ総額二六万六五八円(七月一八日現在)をいただきました。厳しい経済状況下にも関わらず、多くの仲間が乏しいお財布の中からカンパして下さり感謝に堪えません。本当にありがとうございました。
 カンパに寄せられた一言から
※私の方仕事が忙しく二〇〇〇年でニュース終わりにします。五千円送ります。あとの五千円はカンパ計一万円です。参考になることがたくさん書いてあるけれど、年と共に頭の回転がゆるくなって、なかなか読み切れない。身体に気をつけて。絆社の由来は?
※ニュース送ってもらってありがとうございました。少額ですがカンパさせてもらいます。八月号もよろしくお願いいたします。
※少しですが役に立てたらと思います。
※わずかですが、お受け取り下さい。
※ニュースいつもありがとうございます。いまだ解雇撤回とできず、少額ですが(ニュース代にもならないと思いますが)送ります。
※貴重な資料ありがとうございました。真理さん共々事務局の方々の快方を祈念しております。
※お元気そうで何よりです。私の方は薬で何とかもっているような状態で、その内久留米の断食の病院にも行ってみようと思っています。ぐたっりしてなかなか文字が受け付けられなかったのですが、「会」メンバーの話し合いで、今までのコツコツ会費からカンパさせていただきます。お元気で。
※暑中お見舞い申し上げます。わずかですが夏期カンパです。山本様始め皆さま元気に夏を乗りこえて下さい。
※私はK病院、Kホスピタルだったので、入院生活はおおむね良好でした。病院としても○か◎でしょう? それでも問題はあります。しかし埼玉県の精神保健センター、長谷川病院、いろいろ話を聞く度に酷いところと確認し、憤慨しています。会話がしたい。
☆窓口入手資料
♯「対談『異常な少年』はなぜ生まれるのか」
 高村薫 野田正彰
 文芸春秋 二〇〇〇年七月号
 二〇年前に「クライシスコール」で提起したにも関わらず、日本の精神医療が貧困であり、精神病者に対する対応すら救急医療として成り立っていない、ましてや精神病ではない性格の偏りの人間に対しては何もない、精神医療がこの人達にも対処すべし、事件を起こした少年について専門家が委員会を作って調査すべし、等々、野田正彰はかつての主張を一切変えず、精神科医は「犯罪予防のため」に働くべきと主張している、非常に悪質な対談です。この野田氏が社会臨床学会総会のシンポジウムでは、「精神病院などない方がいい」と言ったそうですから、この人はいったい何なんだ。
 コピーご希望の方は窓口まで手紙、メール、ファックス、電話でお申し込み下さいませ。発送の際にコピー代送料をご請求いたします。
  全障連全国集会
 「共に生き共に育つ教育」をめざし、法律・制度の改革を!
日程 8月26日(土)から27日(日)
会場 大阪府同和地区総合福祉センター
   大阪市浪速区久保吉2ー2ー3 電話06ー6561ー4193?4
内容 8月26日全体会 午後1時30分から4時45分
   シンポジウム「共に生き共に育つ」教育のための法律・制度改革
   8月27日(日)分科会 午前10時から午後4時
   第1分科会 「共に生き共に育つ」教育のための法律・制度改革
   第2分科会 あらためよう!高校入試選抜制度
   第3分科会 「共に生き共に育つ」子どもたちから学ぼう!
主催 全国障害者解放運動連絡会議
   536ー0023 大阪市城東区東中浜3ー5ー16 タイガーマンション
   電話 06ー6965ー5472
参加費 両日参加 2500円 全体会のみ 1500円 分科会のみ1500円
    宿泊 1泊 4000円(先着順申込先は全障連)
本の販売
 以下の本・パンフを郵送で販売いたします。
※『精神医療ユーザーのめざすものーー欧米のセルフヘルプ活動』
 メアリー・オーヘイガン著 長野英子訳 中田智恵海監訳
 解放出版社 1800円プラス税90円
 著者はニュージーランドで初めて患者自身による既成の精神医療体制に代わるサービスを発足させた方。「精神病」者解放闘争の理念および患者会の運営について、実践に基づき論点を整理したとても参考になる本です。
 郵送料無料でお送りいたします。1890円を郵便局でお振り込み下さい。
 書店で買うより郵便振替手数料70円分高くなります。
※『赤い鳥を見たか ある「殺し屋」の半生』
 飯田博久・飯田裁判を考える会著 現代書館 1500円プラス税75円
 電気ショックの恐ろしさそしてまるで入念に仕掛けられたワナのような精神医療により、追いつめられていく飯田さんの人生。精神医療告発の書
 こちらは郵送料もいただきます。郵送料含め1885円を郵便局でお振り込み下さい。
※『精神医療』フォービギナーシリーズ
 長野英子著 現代書館 1200円プラス税60円
 精神医療の実態そして精神保健福祉法の本質にせまる本です。
 こちらは郵送料もいただきます。1570円を郵便局でお振り込み下さい。
※「精神保健福祉法の撤廃と精神障害者復権への道」
 久良木幹雄著 オープンスペース街発行
 300円送料130円 計430円
 精神保健福祉法撤廃、そしてそれに代わる精神障害者復権法の提案
 素晴らしい内容です。ぜひご一読を
※「オランダTBS資料およびフィンランドの危機サービス資料」
 オランダの保安処分TBSの当局側資料、および施設入所者のための案内
 フィンランドの1日24時間1年365日の危機サービスのチラシ
 英文と邦訳
 1000円 送料270円 計1270円
 なお会員の「精神病」者で邦訳文だけでいいという方はコピー代送料実費でお送りいたします。
 手紙で私書箱まであるいはメール・電話でお申し込み下さいませ。本を発送する際に送料と代金をご請求しますので、同封の振替用紙でお振り込み下さい。
療養所判断を検証
高速バス乗っ取り 学会が調査委設置へ
 西鉄高速バス乗っ取り事件で、日本精神神経学会(理事長・佐藤光源東北大教授)は十八日までに、佐賀市の無職少年(一七)が入院していた佐賀県内の国立療養所を調査する委員会を設置することを決めた。
 療養所が事件当日に少年を一時帰宅させた判断の妥当性や、治療経過などを検証する。七月二十一日の理事会でメンバーや調査日程を決める予定。調査委設置は、六月十七日に東京で開かれた理事会で中島豊爾・岡山県立岡山病院長が、学会として取り組む必要がある、と提案し了承された。
 委員が療養所を訪れ、治療が適切だったか、事件は予測可能だったか、入院・一時帰宅は妥当だったか、などを調べる。
 療養所側は七日、事件後初めて所長らが会見し「治療は最善を尽くした。一時帰宅の判断は妥当だった」などと説明する一方、「専門家による第三者機関の判断を待ちたい」と表明していた。少年事件での調査委設置は異例で、日本児童青年精神医学会などと連携を図ることも検討する。
 佐藤理事長は「今回のようなケースは、人格発達上のものなのか、病気なのか一線を引きにくい微妙な問題だ。学会として正確な事実関係を知り、どういう対応が専門家集団として可能なのか把握したい」と話している。
 本人の同意なしの電気ショックをやめろ
 学会は電気ショック廃絶決議をあげろ
〈よみがえる電気ショック〉
 この数年来日本精神神経学会始め各学会で電気ショックを肯定した研究発表が相次いでいる。
 また私たち自身電気ショックについて相談を受ける件数が増えている。
 電気ショックを体験した仲間たちは口々のその恐怖を語り、そしてそれは精神医療への不信精神病院への恐怖の大きな原因となっている。しかし問題はこうした心的外傷だけではない、肉体的後遺症に苦しむ仲間も存在する。大きなものは記憶障害である。数年前の学会でうつ病への電気ショック療法の発表があったときに、電気ショックのインフォームド・コンセントにおいては「一時的記憶障害がある」と説明していると発表していた医師は回答していた。しかし電気ショックにおける記憶障害は一時的なものでないことは電気ショック被害者は口々に証言している。
 例えばこの総会会場ロビーで販売している『赤い鳥を見たかーある「殺し屋」の半生』を読んでも分かるように、この作者飯田博久氏は電気ショックによるさかのぼった記憶障害に苦しみ続けている。記憶を失うことは人生の一部を失うことであり、その打撃の大きさは計り知れない。あるいは全国「精神病」者集団への手紙である電気ショック被害者はこう述べている。
 「私は27年前始めて入院した病院で数回にわたり電気ショックを受けましたが、その前後の記憶がなくなっています。写真を見てかろうじて記憶をつないでいます。・・・・・・中略・・・・・・電気ショックの後の私はまるで別人のようにだらしなくぼーっとして母が私であるとは認めがたい形相になっていたそうです。ちなみに私はその時母親が面会に来たことすら記憶にありません。
 ・ ・・・・・中略・・・・・・電気ショックを受けなければ受けないで方策は別にあります。記憶を失いなくなかったらきっぱり断って下さいお願いします」。
 電気ショックのメーカー(ソマティックス)の作った電気ショック宣伝ビデオの中ですら、電気ショックを推進しているマックス・フィンク(Max Fink)医師は「仮に記憶を失うことがあったとしても入院中の記憶をなくすだけである。入院中の記憶をなくすことは喜ぶべきことで、いずれにしろ入院期間というのは楽しい記憶ではないのだから、その記憶をなくすのはむしろ歓迎すべきことだ」と発言している。そして記憶障害が一時的でないのにも関わらず、電気ショックの「効果」は一時的なものである。
〈学会は電気ショックの強制を禁止しろ〉
 電気ショックの発祥の地イタリアでは、電気ショックに関する利益のみならず不利益そして代替手段も含めた説明を受けた上での、本人の明白で自由な同意なしの電気ショックの原則的な禁止、子ども高齢者への電気ショックの全面的禁止、妊婦への原則的な電気ショック禁止が定められた条例がピエモント州で可決された。この条例ではロボトミーも全面的に禁止されている。
 こうした電気ショックへの批判があるにもかかわらず、現在日本では精神医療の現場とりわけ精神科救急の現場では、電気ショックが本人の同意なしにあるいは保護者の同意のみで強制されている。これを正当化する法的倫理的根拠は一切ない。私たちはこうした電気ショックの強制を断じて認めるわけにはいかない。直ちに学会は本人の同意なしの電気ショックを禁止する決議をあげるべきだ。
 そして電気ショックの廃絶をめざし、学会は電気ショックの是非をめぐる討論をすぐ開始すべきである。いままでそうした討論が一切されず、電気ショックは野放しとなり私たちに強制されている。また同意のもとと言っても極めて一方的な説明がされるだけで電気ショックが強制されている。もちろん強制入院中の患者、獄中の患者に自由な同意の条件があるとは私たちは一切考えない。強制入院中、獄中にいる患者ヘの電気ショックは直ちに禁止されるべきである。
 私たちは学会に以下を要請する。
@本人の同意なしの電気ショック強制禁止を決議すること
A強制入院中、獄中の患者への電気ショックを禁止する決議をあげること
B電気ショック廃絶に向け、電気ショックをめぐる議論を開始すること
2000年5月9日
  全国「精神病」者集団
 強制移送粉砕
学会は移送制度への警官出動要請を撤回しろ
〈警察の協力を要請する精神医療従事者〉
 私たちの反対にも関わらず精神保健福祉法は改悪され、強制移送制度が4月から始まった。この移送制度に対して学会は見逃すことのできない要請を行っている。
 精神保健福祉法見直しに際してもうけられた専門委員会において、全国精神保健相談員天野宗和氏は以下のように述べている。「行政権力の発動なので史員の立会い、付き添い、告知は必ず必要です。また、状況によっては『警察官の協力』は不可欠なため、法施行前に厚生省は警察庁と消防庁の調整を行いどこかに文言化してほしい。といいまかのは『都道府県知事は』となっていても、警察は県ではないかということがあるのですけれども、全然県知事の方を向いていません。そういうことで、今までスムーズに警察と連携できていた保健所が、34条の成立で協力してもらえないこと、それは県の仕事だろうということで、連携がうまくいっているところが実際あるわけですけれども、協力してもらえなくなるのではということを会員は非常に危惧しています。救急車の所管も市町村などで(ママ)同じ心配しています。」
 また当学会副理事長森山公夫医師も以下述べている。「4番目に、これが特に強調されたことなんですが、現場では当然職員の身体的危険ということもあるわけで、そういうことに配慮を含めて、その状況に応じて、この場合は特に警察官との協力体制をきちんとできるよう、もちろん地域での協力体制もさることながら、本庁でぜひその協力体制をつくるように合意形成をぜひお願いしたい。こういうことがないと現場は恐らく不安で動けない、あるいは混乱することになると思います。」(議事録より)
 精神医療従事者の見事なまでの本音である。「精神障害者への偏見をなくそう」と言っている人たち自身がもっとも「精神障害者」を危険だと主張しているのだ。この議事録を読んだ人々はこう考えるだろうか? 「専門家ですら、患者の家を訪ねるのに、警官付きでなければ身の危険を感じると言っている。やはり精神障害者は危険なのだ」と考えるだろう。
 これほどの裏切りがあろうか? こういう発言をする精神科医を信じろと言われても私たちは一切信じることはできない。1987年に全国の精神科医は一方的に「困った患者=嫌な患者」と決めつけた仲間を道下アンケートに売り渡した。この売り渡し行為を自己批判した精神科医は一人もいない。そして今さらに「患者が恐いから警官が来てくれなければ移送制度はできない」と宣言したのだ。私たち「精神病」者に対しこうした裏切りを重ねて一体どうやって精神医療が成り立つというのか?
〈まず害する精神医療〉
 ヒポクラテスの誓いは言う、「まず害すなかれ」。しかし「まず害している」のが精神医療である。天野氏の発言にあるように、すでに警官によって精神病院に連行された経験を持つ仲間は存在する。彼らにとって精神医療とは何であったか。こうした仲間にとっては精神医療とは医療ではなく「権力による弾圧」である。「誘拐と監禁」でしかない。警官に連行され、監禁されて精神医療に出会い、どうして精神医療を医療と認識することができようか? この心的外傷の深さを癒すことができるのか? 一体どうやって精神医療に対する信頼をもてというのか?
 その上強制的に連れ込まれた精神病院でのいわゆる「精神科救急」は何をしているのか。そこにあるのは本人の同意なしの電気ショックの強制であり、大量の薬漬けであり、身体拘束である。
 長い闘病と養生に立ち向かうにはまず患者が主人公となれる患者自身の力が必要であり、医療は患者のこの力を強め支えるものでなければならない。しかしこうした精神科救急による医療への導入では患者は自覚的に養生に立ち向かう力を持つことはできず、無力な受け身の立場に追い込まれ、その後の養生に決定的な妨害となる。まさに反医療的なことが精神科救急では行われているのだ。
 病苦にあえぐ私たちをまず傷つけることで医療に導入するいまの強制入院制度を私たちは一切認めることはできない。その上強制移送制度の新設はいままでの強制入院をより強化するものであり、警官出動の全国化は全国各地で今まで以上に傷つけられる「精神病」者仲間を生み出すものでしかない。
 本来の病苦に加え、警官付きの強制移送、強制入院によって心的外傷による後遺障害を私たちは押しつけられるのだ。苦痛を加え新たな障害を加えて医療などと言えるのか! これはすでに医療強制移送制度の対象となる仲間は、おそらくそれまでの精神医療によって痛めつけられ心的外傷に苦しんでいる仲間であり、それゆえにこそ精神医療を拒否している仲間である。こうした私たち「精神病」者をさらに再々度傷つけ害する移送制度を私たちは一切認めるわけにはいかない。ましてや警官付きの移送制度は断じて許せない。
 私たち全国「精神病」者集団は日本精神神経学会に対して以下を要請する。
@精神保健福祉法上の強制移送制度の撤廃を国に要請すること
A移送制度に関し警官出動要請を撤回すること
2000年5月9日
  全国「精神病」者集団
〈「北陽病院問題に関する報告書」はその目的を達成できない〉
 この報告書は二つの側面から批判することができる。一つはこの報告書の中身がその作成動機にある「この判決は病院側の管理責任を全面的に認めたものであり、精神分裂病の医療を拘束性の高い施設内収容下で行うことを促し、開放的な精神医療を著しく後退させる」ことを防ぐのに役に立つか否か、今一つはこの報告書が脱院し事件を起こした患者当人にとってどういう意味があるか、である。
 前者について報告書は、北陽病院に落ち度がなかったことを主張し、それによりこの民事判決を批判することでその目的を達成しようとしている。しかし学会が報告書を出したり声明を出すことが有効か否かの問題はさておき、報告書はその内容からいってこの目的を達成することができるとは考えられない。北陽病院は適切な医療と処遇をとっており、この事件に一責任はない、と主張しこの賠償金は不当であると主張し、仮にそれが受け入れられたとしてどうなるだろうか(もっとも報告書自体あいまいであり明確な結論を出していないが)? 前述したように北陽病院事件は保安処分があるいは「精神障害者」の分断と厳重な監禁が必要であるという主張の根拠として利用されている現実がある。したがって保安処分を推進する者たち、あるいは入院患者のより厳重な拘禁を求める者たちの論理はこうなる。「北陽病院に落ち度がないとしたら、現行の精神病院の実態そして制度の下ではいかに適切な処遇、治療をしても事件は起こることになる。必要なのはこうした事件を防ぐ新たな制度、施設である」。
 保安処分をめぐる政治課題となった北陽病院問題は、いくら個別の民事訴訟を分析調査しても、理解し何らかの方針が出る問題ではない。事件を予測できたか否か、回避できたか否か、北陽病院に責任があるか否か、は問題の本質と一切関係ない。北陽病院問題の本質は精神医療の目的とは何か、言い換えれば、精神医療は本人の利益のためにあるのか、それとも社会防衛のため治安に奉仕するため、犯罪を防止するためにあるのか、である。そしてさらにいうなら、「精神障害者」を犯罪予備軍と想定する「精神障害者」観、報告書も触れているように「精神障害者の行為一つ一つにつき、監督すべき主体が想定され、監督が不十分であったという主体になれば責を問われるのである」という現状を支えている「精神障害者」観である。健常者の成人が個人として殺人事件を起こしたとき、誰も監督責任を追及されないし、本人に支払い能力がなければ被害者は民事訴訟を起こしても何ら賠償されることはないではないか。なぜ「精神障害者」だけが監督され、監督責任のあるとされるものの責任が追及されなければならないのか?
 いま学会に求められているのは、精神科医は患者本人の利益に奉仕するために精神医療を実践する、精神医療は犯罪の防止のためあるいは社会防衛のために使われてはならない、という宣言であり、明確な反保安処分の宣言である。そうでなければいかなる事件が起きいかなる民事判決が出ても、医療目的を貫徹するためには開放的処遇が必要であるという主張はできないし、入院患者の厳重な監禁をという主張に対抗することはできない。
〈「北陽病院事件に関する報告書」は撤回を〉
 報告書は脱院した患者本人にとってはどういう意味があるだろうか? まず許せないのは個人情報の開示である。たしかにこれらの個人情報(生活歴、入院歴その他)はすでに公判において開示されているものであろうし、法的には公開したところで問題ない情報かもしれない。
しかしながら精神科医が医者としてこうした個人情報を再び三度公開することには倫理的な問題がある。学会も少なくともその点を考慮したからこそ患者名を匿名にしたのだろうが、病院名事件内容が明らかな以上、誰でもこの患者名を特定できる。精神医療が患者個々人の利益のためにあり、精神科医は個々の患者の利益に奉仕するものであるなら、この脱院した患者本人にとって個人情報の開示がどういう意味を持つかが問題にされなければならない。患者本人にとっては、自分個人の利益には一切ならない調査において、自分の利益に奉仕すべき精神科医によって、さらには自分の入院していた精神病院の医者によって、自分の個人情報が再々度公にされたということになる。しかも民事訴訟の分析という性格上、自分自身の言い分は一切含まれていない個人情報であり、分析である。なぜ本人の同意も要請もなく一方的な調査をされなければならないのか? 患者本人の精神医療に対する絶望はこれによりさらに深められたといって過言でない。
 そもそも事件の時、北陽病院の主治医および医師たちは彼の救援活動を一切行わなかった。
されには刑事法廷において彼の主治医は彼の悪口を証言している。その証言に彼はどれだけ傷ついたことだろうか? さらに加えてこの報告書である。精神医療従事者、精神病院経営者・管理者の保身とソロバン勘定のために、なぜ「精神障害者」はこれほどなぶりものにされなければならないのか!
 私たちはもとより本人の代理人でも代弁者でもないが、私たちはこのように同胞をさらし者にされなぶりものにされることを許すことはできない。私たちは、報告書について学会が自己批判することそしてこの報告書を撤回することを求める。
2000年5月9日
  全国「精神病」者集団
        連絡先 923ー8691
     小松郵便局私書箱28号 絆社ニュース発行所
     EーMAIL futen@mai17.dddd.ne.jp


*作成:桐原 尚之
UP: 20101204 REV:
全文掲載  ◇全国「精神病」者集団 
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