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全国「精神病」者集団ニュース 1985.05


last update:20100803


全国「精神病」者集団ニュース 1985年5月7日

澄み渡る青空
重く抑圧された冬から
力強く僕たちを勇気づける春がやって来


この債幸荘の窓から見える風景も
新芽の吹き出した緑でいっぱいだ
爽快さを胸いっぱいに
荒涼とした時代に僕たちの〈青春〉の
いぶきを吹きこめ!
僕たちには停滞を躊躇も迷いも無関係だ
僕たちにあるのは前進だ
        情熱だ
そして、鉄鎖を破壊する暴力だ
そして、全ての友人諸君!
この困難な時代に僕たちは
誇りを持って反差別の斗いの先頭に立と
う!
差別を
人間の!切合切を破壊する差別を
徹頭徹尾憎み切れ!
差別の前に一歩も譲歩するな!
大胆に大胆に斗いを提起せよ!
勝利の展望は不屈非妥協の精神のみが切
り開くのだ!!
事務局からの報告
会計(3月23日から4月27日まで。)
  一五、三〇〇〇円(定期カンパ)
事務局への便り
3/24 3・8拘禁二法上程阻止・刑法改悪・保安処分粉砕全国総決起集会基調一部
                    (主催:百人委員会)
3/25たびだち一部(大阪)
3/27紀泉友の会便り(大阪)
    全障連ニュース(全障連)一〇回大会にむけて
4/1 3・17宇都宮病院糾弾現地斗争基調
4/3 わらびの会通信(福岡)
    一歩の会(神戸)
4/6 月刊 わらじ
4/8 前進友の会(京都)例会とレクの案内
4/13 精神医療をよくする会(おりふれ通信)
     グループ 西遊記
4/16 仙台赤堀さんと共に斗う会 ニュース
4/17 葦の会ニュース(松山)
4/20 ごかい(松山)事務所移転
     〒790 松山市宮西3丁目5・14 泉市荘
     三里塚・芝山連合空港反対同盟
      (5・26現地斗争の招請状)
4/22 全障連 ニュース
赤堀氏奪還にむけて
赤堀さんの近況
☆ きびしかった冬もすぎ、本格的な春が到来しました。赤堀さんも裁判の最重要局面をむかえ、緊急状態の中でなんとしても再審を勝ちとるために頑張っています。
冬はしもやけも軽くてすみ、4月に入って冬物類をしまったそうです。
☆ 3月18日から20日にかけて妹の石川ゑみさんが面会。
☆ 仙台弁護士会人権擁護委員会は、中斗委委員長O氏に対する面会禁止の人権救済申し立てについて関係者からの事情聴取を終えた。
裁判状況
検察側の大フレームアップをもってする
再審棄却策動を粉砕し、なんとしても再
審開始をかちとろう。
 いま赤堀斗争は重大な正念場―決戦局面をむかえている。静岡地裁での差し戻し審においては、赤堀さんの無実が一層鮮明になる中、追いつめられた権力は、死体発見当時は、法医鑑定をした鈴木完夫を証人にたて、30年目にして当時の法医鑑定をひるがえす証言=偽証を行なわせた。検察側は「赤堀氏の強制自白に沿った犯行順序と、凶器は石である」というデッチあげをあくまでも死守しようとしているのだ。検察側は当時の鑑定をひるがえす偽証をやり、歴史的事実そのものをねつ造する大フレームアップを行い、また牧角三郎という 州大学名誉教授(免田事件でもかかわった御用学者)の新鑑定提出、証言をもって一挙に再審棄却をねらっている。私達は今こそ渾身の力をふりしぼってこの最大の決戦局面を斗いぬかなければなりません。
5月、6月を全力あげて斗いぬこう
@ 全国各地から静岡地裁にむけて「再審を開始せよ!」の抗議電報、要請を集中しよう。
A 各地で学習会、情宣、再審開始にむけての署名活動を展開しよう。
B 赤堀さんへの面会行動を行なおう。
1985 3/13 毎日
再審請求決定へ大詰め
   「島田事件」差し戻し審

 島田事件の赤堀政夫・元被告(五五)の第四次再審請求差し戻し審の第十一回証人尋問が十二日、静岡地裁刑事部(高橋正之裁判長)で開かれ、静岡地検の依頼で犯行順序や凶器について鑑定した牧角三郎・九州大名誉教授(法医学)が検察側証人として証言した。調人調べ終了後、高橋裁判長は、検察側、弁護側双方に対し、五月末までに、事実調べで主張したい点を同地裁に提出するよう命じた。同地裁は、提出される双方の主張を検討したうえで、さらに事実調べを行うかどうかを決めることにしている。五十八年五月に東京高裁が静岡地裁にやり直しを命じ、同九月から一年五ヵ月に渡って続けられてきた同差し戻し審も、再審請求決定に向け、大詰めの段階に入った。
 この日証言した牧角名誉教授は、検察側の依頼で被害者の左胸および陰部の傷は何によってどのようにどのようにできたか、さらに傷は生前、死後のどちらであるかを鑑定した。
 胸の傷については、被害者の解剖写真を複写、拡大し、開かれた左胸部分の内側が黒く写っていることに注目、解剖時は見逃されていたが、出血が生じていた―などとして、胸の傷は生前にできたものと証言。
 陰部の傷については、残っていた藻血を根拠に生前のものと認定。犯行順序及び、成傷用器ともに、赤堀・元被告の自供通りであるとし、同被告の自供の信用性を裏付けた古畑種基、鈴木完夫両鑑定を補強する証言をした。
 牧角名誉教授に対する主尋問を行った検察側は、調人尋問終了後、「傷をめぐる赤堀元被告の自供の信用性は深められた」とし、五月末までに牧角鑑定を補強する意見書を同地裁に提出する方針。
 一方、弁護側は、「牧角鑑定は推論が多く観念論的で科学的とは思えない」と同鑑定に反論、五月末までに鑑定に対する意見書を提出する考えを明らかにした。
〈「再審を開始せよ!」抗議電・要請〉
    集 中 先
静岡市追手町10 静岡地方裁判所刑事第一部
   裁判町 高橋 正之殿
4・12岐阜大人体実験
      抗議行動

 4月18日付けの朝日新聞の報道による通り、岐阜大の人体実験が参院の法務委員会でとりあげられ、厚生・文部・法務の三省が調査に入ることになり、多くの人々の関心を引きつけている。
 この間、「病」者、「障害者」、精神科医の決起により、4・12・13に予定されていた生物学的精神医学会は中止に追いこまれ、4月12日、岐阜に於いて、生物学的精神医学会に公開をもとめる全国連絡会議主催による緊急行議行動が行なわれた。集会はまず、全国連から基調提起が行なわれ、84年5月精神神経学会の告発以降の経過が報告され、追及の手をゆるめず、密室下に逃げこもうとする人体実験派=生物学的精神医学会に公開を求め、生物学派の内実を全人民に暴露していくことが確認された。続いて精神科医共斗会議、全国「精神病」者集団、全障連、青い芝、東大精医連等の団体から斗いの決意表明が行なわれ、全体討議のあとに、生物学的精神医学会会長難波益之への抗議声明を全体で採択した。
 集会後、ただちに岐阜大医学部精神科医局への抗議行動を行ない、会長難波に抗議声明を渡そうとしたが、難波はすでに逃亡し、かわりに対応した病棟医長に対し、「病」者、「障害者」の圧倒的な糾弾により、以下3点の確認事項を引きずりだした。
@岐阜大人体実験問題は、ここ10年来討論されてきた人体実験原則に照らし合わせれば人体実験と思われる。A生物学的精神学会は公開されるべきである。B今後このような問題が発生しないよう努力する。
 又、引き続き医学部長を討論の場に引きずり出し、精神科人体実験の問題について公開討論の場をもうける確認事項をかちとった。
 そして最後、岐阜大付属病院前で全員のシュプレヒコールを上げ抗議行動を終った。
 再び会場に戻り、総括会議を開き、引き続き、生学派を追及し続けることを確認し、集会を終えた。
『絆10号』発刊のおしらせ
「絆」発行のため今回は多くの方から多額のカンパを頂だき、『絆10号』を発行することができました。ここにカンパを寄せてくれた人々に感謝すると共に『絆10号』の紹介をします。
絆10号    一部 500円 送料は別
☆ 特集 宇都宮病院問題をめぐって
・入院体験者として   ・宇都宮病院と東大外来一派のゆ着について
・医師と良心         その他
申し込み先―名古屋市南区呼続町7の76 健幸荘A301大野方
          全国「精神病」者集団
※ 申し込み後すぐ発医できるようにしますが、事務局多忙のため遅れることがありますので、ご了承ください。
第81回
日本精神神経学会にむけて  (東京)
 一九六九年金沢学会以後、患者、家族、市民に開かれた精神神経学会は今や重大な岐路に立たされている。中曽根政権の軍事大国化・憲法改悪、侵略と戦争にむけたすさまじい攻撃の中で、「精神病」者差別・抹殺攻撃が強まり、私達の生か死かを決する重大な局面が到来している。中曽根政権を全ての人々の斗いて打ち倒すかどうかが決定的に問われている。
 私達は全ての精神科医、精神医療従事者に問わなければならない。体制派や生物学派の抬頭の中で、「精神病」者を排除し差別・抹殺するあの731部隊やナチスの安楽死指令を出した医師のようになるのか!それとも「精神病」者と共に生き悩み、共に斗うのかと!
 獄中31年、権力の「死刑」攻撃と斗う赤堀さんを生きて奪いかえすために「死刑判決」の重要な根拠となった「精神鑑定」を今こそ徹底的に批判し撤回させよう!
 「精神病」者差別をあおり社会から永久に隔離・抹殺しようとする保安処分新設攻撃と刑法改悪の攻撃、拘禁二法次期国会上程。精神病院の強制収容所化。この中でとりわけ、宇都宮病院糾弾の斗い、岐阜大人体実験糾弾の斗い、厚生省のガイドライン、安楽死法制化策動などの「精神病」者差別・抹殺攻撃と全力をあげて闘いぬくことが問われている。
 中曽根政権登場以降の暴力的な攻撃は私達と私達の位向をちっそこさせんばかりの状況に追いつめていた。今こそ金沢学会の精神の復権=「病」者、家族、市民に開かれた学会としてこの81回学会斗争を勝ちとろう。
 「精神病」者の命を守り、生活を守り、中曽根の戦争政策を打ち砕き、あくまでも反戦の立場から中曽根と対決し、差別のない社会をつくり出すため、中曽根政権打倒にむけて斗いぬこう。
(日程)
5月15日(水) 理事会、評議員会
  16日(木)
  17日(金) 総会(午後2時30分より)
  18日(土)
(場所)国立教育会館
  虎ノ内ホールTel03(580)1251
「叫べよ真実」詞斉藤幸夫(松山事件・元被告)
一、屈界で怒りにふるえる
  そのときは格子窓から
  空を見る
  吸いこみそうな青空は
  ふるさとへとつづく空
  叫べよ唐災
  高なれ真実
  無実のからだを閉じ込めし
  あつい壁を打ちくだけ
二、死の強さにおしつぶされそ
  うなそのときは
  運動場で陽をあおぐ
  まっかにほほえむ太陽は
  かぞくの身にもほほえむ陰
  叫べよ真実
  高なれ真実
  無実の命をたたんとす
  死刑台を打ちくだけ
三、北風がからだを突きさす
  そのときは
  庭に枯れふす草を見る
  かすかに生きるあら草は
  春を待てと知らす草
  叫べよ真実
  高なれ真実
  いつわりの黒い手
  うちくだき無実のからだに
  春を呼べ
斉藤幸夫さんは
一九五五年、宮城県、
松山町でおこった四人
焼死の「放火犯」とし
てデッチ上げられ、
一九六〇年に「死刑」が
確定した後も一貫
して無実を主張し、
一九八四年七月再審、
無罪をかちとりまし
た。
私達も赤堀さんの
再審開始、赤堀さん
奪還にむけて斗いぬ
こう。
5月18日は赤堀さん
の誕生日。
全「病」者の全身の怒りで
厚生省-ガイドラインを批判し粉砕せよ
通信・面会の自由を勝ちとろう!
「保護室」廃絶!
「作業療法」に名をかりた使役を許すな!

 周知のように宇都宮病院問題が全社会的レベルでの問題として暴露され告発される中で日帝―政府・厚生省は、この問題の核心的本質を隠薮するという権力的な意図をこめて「入院患者処遇のガイドライン」を打ち出してきた。いうまでもなくガイドラインは、「通信・面会」「保護室」「作業及び作業療法について」の3部から構成されている。
 まず「通信・面会」であるが、これらを「基本的人権」の一つであるとブルジョア・ヒューマニズムの枠内で容認しつつも、一例をあげれば、「入院患者の躁状態による濫書」の場合、一定の制限が必要であるといったような「病」者の人間性を軽視した差別的な箇所etcを私達は全く納得することができない。
 次に「保護室」であるが、私達は、この閉ざされた密室を「病院内の保安処分機構」と規定し、あくまでその存在の廃絶を強く訴える!保護室の恐怖を私達は身にしみて感じている。鈴木国男君が虐殺された保護房と、一体どこが違うというのか?・・・・・・
 最後に「作業及び作業療法」であるが、私達は、「作業」をいかなる意味でも「療法」であるとは認めがたい。とりわけ、「内職的作業」は単調な作業の繰り返しであり、「病」者をマスとして管理―支配する体系である。「病」者には作業よりも下宿屋としての休息の場が要請されるのである。
 また「作業及び作業療法」は、「病」者を半強制的に使役さすものであって保安処分の一種である労作処分に連なる危険性を保有している。
 補足ながら「作業及び作業療法」はいわゆる順応型社会復帰論に基礎を置いていることはいうまでもない。
 私達は、ガイドラインの白紙撤回をあくまで要求するものである!撤回されない場合は実力で粉砕することをここに厳粛に宣言する。
          一九八五年五月十五日 全国「精神病」者集団事務局
先天異常児
『死なせる権利』認める米政府
3条件つき  長期こん睡
死が不可避治療が過酷

 【ワシントン十五日=坂本特派員】米政府は十五日、重い先天異常をもって生まれてきた赤ちゃんに対しては、治療が無効で非人間的であるといった特別な場合に限って「死なせる場合」を認めた規則を発表した。例外的とはいえ、米政府が「死なせる権利」の具体的な基準を示したことになり、世界中で行なわれている論争に影響を及ぼすことになりそうだ。
 ヘクラー厚生長官が署名した新規則は、原則的にはどんな重症の先天異常児でも治療を受ける権利があり、病院や医師は最善の努力をすべきとしている。
 しかし、治療を放棄してもよいケースとして@赤ちゃんが長期間こん睡状態にあり、回復の見込みがないA死は避けられず、治療で単に命を引き延ばすだけB治療が非常に極端なもので効く見込みがなく、非人道的になる、の三つをあげている。
 規則は補則で「病院や州政府は、治療によって赤ちゃんが生き延びた場合に、どんな生活を送れるか、その質的内容を推測して、治療をすべきかどうかの決定を下すべきではない」とクギをさしている。しかし、重症の先天異常児の治療は、解釈によっては、この三つのケースのどれかにあてはまる場合が多いともいえ、波紋を呼びそうだ。
 米国で「死なせる権利」の論争が起きたのは、一九八二年四月、インジアナ州で重症のダウン症候群と内臓の先天異常を持って生まれてきた赤ちゃんを、両親が裁判所の許可を得て死なせたのがきっかけ。八三年十月には、ニューヨーク州で、せき柱破裂という重い先天異常をもって生まれてきた赤ちゃんの両親が病院と相談のうえ治療を拒否、全米で激しい論議になった。
 レーガン政権は、どんな先天異常児でも治療を受ける権利があると、「死なせる権利」に真っ向から反対。ニューヨーク州のケースでは、病院を相手どって何度も裁判に訴えたが、裁判所は「治療をすべきかどうかの判断は医師と両親に任せるべきだ」と訴えをしりぞけた。このため厚生省は昨年一月、「判断は医師以外のメンバーを加えた病院の諮問委員会に任せる」と発表。新規則は、そのガイドラインを示したものといえる。
 ヘクラー長官は「この規則は先天異常児の権利保護と、医師や両親の責任に対する政府の不当な侵害のバランスを注意深く検討した結果」との声明を発表した。
ガイドライン
日本は尚早論

坂上正道・北里大教授(小児科)の話 日本では厚生省が、ガイドラインを出すのは時期尚早としているようだ。裁判になっている例もあるが、本質の生命論についてではなく、賠償鎖といった技術論にとどまっているだけだから、これは当然だといえる。これから論議が盛んにならざるを得ないと思うが、米国はじめ海外の事情に左右されず、日本の民族性なととどに根ざした基準が作られるべきだろう。
5/6 朝日 論壇
認められぬ「死なせる権利」
米の先天異常児政策転換は危険

 先日の本紙は「米国政府が先天異常児を『死なせる権利』を一定の条件下で認めた」とのニュースを伝えている。この報道によって、日本国内での論議が活発になることが予想されるが、危険な方向へと論議となるのではないかと気がかりである。現在十五歳になる「ダウン症」の息子をもつ者として、意見を述べておきたい。
 今回の米国政府の発表の重大さは「障害」新生児を「死なせる権利」を「例外的に認める」としながら、政府自らがその合法化に踏み切ったところにある。すでに、裁判所では、この「死なせる権利」を合法とする判決が下され、マスコミもこぞってこれを支持してきた。合衆国政府だけが「死なせる権利」に対抗する政策をとり、「もし私たちがこういう子どもを守らないなら、自分たちも守らないことになる。それが合衆国憲法の精神である」と発言していた。今回の発表は、その「憲法の精神」をも自ら否定してしまうほどに重大な政策転換である。
 「死なせる権利」というが、だれにとっての「権利」なのか。それが「親の権利」として認められているところに、この問題のさらなる重大さがある。
 歴史を通して「障害児」をふくむ子殺し≠ヘ世界中にあるが、「親の権利」としての「死なせる権利」が、つまり「子どもの生命を絶つ親の権利」が初めて法的に確立されたことに戦慄(せんりつ)をおぼえる。「障害」新生児の生命は「生命の限りなき尊重」をうたう合衆国憲法の「例外」とされ、親の「私有財産」と規定されたのである。
 私は、今回の米国政府の発表を批判しながら「日本国内での生命の尊重」を誇ろうとしているのではない。その逆である。
 たとえば「障害」胎児を人工中絶によって「死なせる権利」は公然と行使されている。私の息子と同じ「ダウン症」の胎児は「羊水検査」という医療技術によって妊娠中に「発見」することができる。ある大学病院では、五百余例の「羊水検査」の結果、四十例ほどの人工中絶が行われた事実がある。全国的にどれくらいの数字になるのか想像を絶する。現在では、胎児画像診断や胎児鏡などの医療技術によって「ダウン症」以外のさまざまな「障害」胎児をも人工中絶へと追い込んでいる。
 「障害」新生児の場合はどうか。日本国内では、多くの人たちが「死なせる権利」に表向き否定的な意見を言う。
 しかし「障害」新生児を「死なせる権利」が現実的に行使されている事実をだれも語ろうとしない。
 かつて明治学院大学の宮野杉教授らが有力産婦人科医師を対象に実施したアンケート調査で、「重度障害の新生児が生まれた場合」に、ほとんどの医師が「新生児の生活能力を見て判断する」と「死産扱い」をほのめかす回答をしている。それが「日本の民族性」なのである。
 多くの「障害」胎児・新生児の生命が奪われている現実がある。そのうえで「死なせる権利」を日本国内でも合法化することを望む発言が勢いづいている。米国政府の発表でき表面的に否定されている優生思想を、日本国内では公然と肯定する主張が目立っている。周産期医学の確立をうたう人びとや、優生保護法あるいは母子保健法の「改正」をさけぶ人たちの主張の中に明白である。
 「死なせる権利」を認めることは、厳しい現実を生きている私の息子をふくむ障害者の生命の全否定につながる。
「ダウン症」の息子と共に生きる生活に立って「死なせる権利」の論議をきびしく見守っていきたい。
(子供問題研究会会員、会社社長、東京都在住=投稿)


*作成:桐原 尚之
UP: 20100803 REV:
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