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全国「精神病」者集団ニュース 1984.7


last update:20100626

全国「精神病」者集団ニュース 1984年7月15日

ごあいさつ
 梅雨の晴れ間にけたたましい蝉の鳴声が響きわたり、季節が本格的な夏に向けて急激に様変わりしたかに思えるこの頃です。
 各地の皆さん!!如何お過ごしでしょうか?
 病状に苦しみ続けながらも、なおそれを乗り越え、差別を許さず「精神障害者」解放をめざし、果敢に斗う仲間の熱気がこの事務局に毎日届けられています。
 事務局では、その声に励まされ、また一刻も忘れることのできない宮刑の赤堀さんの存在に勇気づけられ活動を続けています。36年前、ジョージオーウェルはその近未来小説「1984年」で、本年について「戦争は平和だ。自由は服従だ。無知は力だ。」と予言したと聞いています。この逆説の等式をあらためて自覚しなければならない深刻な状況が確実に訪れています。
 平和を口実に戦争をさせてはなりません。「自由」のために服従してはなりません。そして、「無知」であるがゆえに権力に奪われるようなことがあってはなりません。
 互いに強い絆で結ばれ、差別に屈服してきた「精神障害者」の歴史をはねかえす為に、頑張ろうではありませんか。
スケジュール
7月29日(日)P.M.1:00 宇都宮病院糾弾!!
        現地斗争・詳細は0285-23-2215
8月3日(金)〜8月5日(日) 全「障」連・富山交流大会於いて
                富山県民会館大ホール
                    その他
9月10日(月) 赤堀差別裁判第八回公判
        ・凶器の石≠フ鑑定者
         西丸与一氏の尋問予定
        ・静岡地裁於・P.M.1:15?
9月12日(水) 人権救済申し立ての件・事情聴取
             日弁連にて
新刊本の紹介
青木薫久氏
「保安処分=解体への道すじ」
     三一書房  定価680円
 来春、国会上程の緊迫風の中で、個々人の理論武装や、学習会用に是非活用して下さい。
事務局報告
☆ 3月に赤堀さんに通告された新規面会禁止(3月10日以降に交流-文通-が始まった人は、今後、面会をさせないという圧力)を不当とし、仙台拘置支所に抗議の電報を打ちました。
☆ NOVA(雑誌・そんざい)の創刊号で仲間の一人の生活レポートが掲載されましたが、その内容を「精神障害者」差別と判断した当連絡会議は、編集者とレポーターに対し、抗議を行いました。その後返答がきましたが、なおその内容に問題がありますので、引き続き、糾弾してゆきます。
☆ 静岡県富山市にある仏祥庵と名のるお寺が5月23日、火災にあいましたが、その寺に多数の「精神障害者」が収容されていて、火災時に「反省室」と呼ばれる保護室同様のところから鉄格子を切断し救出された事件が明るみにでました。
当事務局では、不当収容(精神衛生法48条違反)、あるいは戸塚ヨットスクールと同様、子捨て(親捨て)など「精神障害者」差別などの問題をもち、仏祥庵に抗議しました。
一応、専門のドクターの配置もあるとの言質を得ましたが、なお今後の成りゆきをみて、糾してゆく必要があると思います。
☆ 教宣の担当者が2名とも再発―、現在しての任務を遂行する人が皆無です。しばらくは、事務局専従と0の会との共同作業を行うことになりましたが、各地の斗いの報告等は、ニュースに掲載しやすい様式にして、事務局に協力して下さい。
☆ 絆≠X号が5月20日に発行されました。
  御入用の方は、事務所まで連絡下さい。
☆ 光愛病院、中宮病院から激励のコメントがありました。
☆ 青木薫久先生の最近の著者「保安処分=その解体への道すじ」を当事務局に5冊謹呈されました。
☆ カンパ報告
  84 4・22?5・25       39000円
  84 5・26?6・24       24000円
  その他、定期カンパ等ありがとうございました。
-短歌アピールー
『「脱税 即 抹殺」の「宇都宮」に怒りふるう栽かるべし 官僚ら 東大医師らも』
『「宇都宮問題」医学部長追及にすわり込む若き君らに交りて夜 明けぬ』
                         = 家族 S・T =
〈地域活動報告〉
兵庫 N・Kさんより
 前略、斗いの根性がまだ出来ていません。死を恐れぬ気持になれば必ず斗います。どのくらいかかるかわかりませんがそれまで「ユウヨ」を下さいませ。
通信、ありがとうございました。
0の会より
 実態調査粉砕のための県交渉で、外出することが多かった0の会の仲間も、それが一段落し、現在会議(例会月二回)で集まることが多くなりました。ただし、実質的な責任者であるO氏が多忙で、会議への出席がなく、その意味で少し混乱した会議もありました。
 このところ議論が集中した問題は、ニュース(0の会たより)に関することで「ニュースは清書といえども自分達の手だけでやり切るべきではないか?」また「ニュースの原稿書も皆で集まって互に相談しながらやっていってはどうか」などが悟られ、結論としては、毎月第二例会(第三日曜日)の次の日から三日間がニュース作成に決まりました。
 相変わらず、自立のためのアパート探しや、それにむけての議論が続いていますが、その為にさかれるエネルギーはすさまじいものです。
 0の会のたまり場であったO氏の居室が「病」者集団に占拠されたことと、このエネルギッシュな活動のため「病人に必要なのんびりムード」がなく、事務所では緊張感が続いています。できれば、こうした0の会の在り方を徐々に変えてゆかねばならないと思います。
 また多くの人々に理解を求めます。
関東有志の会
月例会の報告

 6月17日、某所で月例会をもちました。
 「健常」者、身体「障害」者も含めて20名近く集まりました。話された内容は、政治斗争とレクリエーションのような集まりの両方の必要性から、月例会を月2回にしてみる事。実調陣形のY氏、O氏等と実調斗争の問題点の整理として「話し合い」がもたれた。運動が「健常」者のペースであること。「病」者が本当には「解」ってもらえていず、「病」者主体の運動となり得ていないこと。実調を単にプライバシー問題ととらえるのでなく、「病」者達は保安処分と切っても切れない関係として斗っていること、「健常」者の「病」者に依存性があるという差別発言を糾弾、この「話し合い」を契機に再度建設的に共斗し斗ってゆく確認をもった。有志の会が「病」者集団とどのように連帯してゆくか、「病」者集団の10年の斗いを学び、有志の会がどのような基軸を打ち固めてゆくか、学習会を持ってから(全体化してから)会として態度表明をしようとなった。宇都宮、実調、保安処分、赤堀斗争に関しては、時間がなく充分に話し合い切れなかったが、斗争の日程等全体化した。そして恐るべき兵器、トマホーク反対集会への呼びかけがなされ、二次会として某所で飲みながら、和気あいあいと皆の交流が持たれ、個々人がかかえている問題までは話し合われなかったが、又明日からの斗い(日々の斗いも含む)へ向けて頑張る事にした。(文責S)
ニュース担当者より
 赤堀・実調・刑法と攻撃が吹き荒れる中で、しかも受身的な斗いになってしまえば、とうてい「病」者解放への団結は強まることなく、外から現象として見れば、依存≠オている形に見えてしまうのかもしれません。何としても「病」者が保安処分との斗いを自らの力で切り拓いていきたいものです。私は昨年夏から活動を始めたばかりですが、現在、会のこれまでの中心メンバーが疲れて休んだりしているので、幾人かのメンバーに負担がかかりすぎていることを痛感し、会のメンバーの協力を得てニュースらしきものをとりあえず発行し、一助になればと思っています。
 幾人かのメンバーが、有志の会は「病」者集団とは、また独自にやっている会といっているようですが、独自という意味も深いものはなく、「病」者集団の永きに渡る斗いの意義と自分たちということが充分に整理されていない(整理してやろうとする人がいなかった)現時点で、独自というふうに使っていると思います。合宿(5月5日?6日)では、―「病」者解放とは何かーをめぐって話し合いがなされ、今後、「病」者集団とどう連携していくかということも例会の中で話し合う予定になっています。ただ、メンバーの中に「合理化と斗う労働者たちとこそまず共斗していくべきだ。」というような考えを保持している者もいて、前途多難といえます。でも幾多の苦難をくぐり自己を打ち鍛えて「病」者の解放運動のただ中で、胸をはって生きて生きたいと思います。過去三年間、「精神病」者であることで、地域の労働者の斗いから排除され、医療と無防備に受け入れたことで自滅寸前に追いつめられたこの私の怨念は、差別・排外主義と斗い、保安処分体制に向かっていくことでしか晴れないのです。
 今困っていることは、私と同じ妄想(関係妄想や被害妄想)や幻聴がある仲間の介護はできるのですが、自分が格斗してきてない他の病状の仲間に、積極的に介護していけない力量不足です。それでもほとんどの会の仲間と電話で介護しあっていますが、ただ一番「症状」の苦しい時に駆けつけていけてないのではと思って罪悪感をもってしまいます。もう少し斗える仲間を獲得して、介護にも充分時間をとれるよう頑張りたいと思います。
刑法・保安処分
@意見交換会の休止
 6月6日、法務省と日弁連の意見交換会で法務省側は、議論が出つくしたとして、今後意見交換会を休止することを提言し、日弁連側も了承し、保安処分に関する対立を残したまま意見交換会を休止しました。
 今後、法務省は弁護士会の意見を聴いたとして成案作りに本腰を入れると考えられ、情勢は最終段階に入りました。
Aマスコミの論調
 5月29日、朝日・読売紙などは、改正刑法草案答申10周年に当って、これまでの経過を述べ、問題点を示し、あたかも答申して10年間たっても立法化されないひとを憂えるかの如き論説を掲載した。そしてその中で読売は、法務省が今後PR攻勢に出る可能性をも示しました。また6月21日、朝日社説は、日弁連指導部の見解にのっとって、「精神障害者による不幸な事件が発生している」という認識では、大方の見方が一致しているという誤った情勢把握のもとで、社会防衛的視点から、保安処分を導入するか、社会防衛のための医療の「改善」で代行するかという法務省―日弁連の対立図式をそのまま固定化しました。これは、保安処分も精神医療の強化も、精神障害者差別を強化する点で一致している点を経過し、両者に反対する陣営、特に当事者たる「精神病者」の意見をきくことについては、全く触れていない点で全く不当です。
また「法務省は納得のいる説明をする義務があるだろう。」としている点では、法務省がPR攻撃に出ようとしていることをバックアップすることになりかねません。
B百人委員会の対応
 百人委員会は、7月7日、総評会館で刑法―保安処分、拘禁二法についてのシポジウムを行いました。百人委員会から会費納入、カンパのお願い、新規加入組合員の勧誘のお願い、「保安処分とは何か」のパンフの販売協力のお願い、更にニュース投稿への期待、新パンフ作成への提言のお願いがきております。
C方針
1、予想される法務省の保安処分に関するPR攻勢に対して対決すること。
2、法務省では既に大体の成案ができていることを予測して、これに対処すること。
3、引き続き日弁連の要網案、野田レポートに対する反撃を強めること。
4、住法相の今国会提出発言、更には3年前に起った「精神障害者」による人肉を食べた事件に対するキャンペーン、準保安処分施設としての宇都宮病院問題との対決。
5、「病」者集団としての理論武装を行い、また情宣活動を行い、医療従事者、総評などへ提起すること。
赤堀さんと共に
 7月10日、静岡地裁では差し戻し審第七回公判が開かれ、事件直後に被害者久子ちゃんの司法解剖を行った、鈴木政夫氏に対し、弁護士の反対尋問が行われました。
 公判後の記者会見で明らかになったことは、『法医学上根拠∞学説上∞経験上≠ノもない、鈴木政夫氏が自分の頭の中だけのもの』をあげ、『自白内容』にあわせるための独自の少数説に固執した内容であったということです。
 裁判官もその証言に対し、否定的な質問を繰り返したほどで、弁護団としても『証人を出してまでもその反論(鈴木政夫)の必要はない。強いていえば、太田鑑定人の書面による反論で充分』といったかまえです。
 その日行った鈴木政夫への反論の一例をあげるならば、『強姦―出血―死亡に至ったとすれば、調書(自白)に出血の記述もなく、陰部に激しい挫傷があるのに生活反応がないとはどういうことか』といった類のことで、鈴木氏の矛盾が露呈したことを記せば充分であろう。つまり、公判における攻防は、検察の執念とそれに迎合した鈴木政夫氏のズサンさのみが表面化したのである。
 こうした事で、再審開始への見通しが長期化することをみるならば、赤堀さんにかけた「精神障害者」差別をそのまま温存させようとする権力の暴力性を許すか許さないかを公判は問いかけていることで、私達は、鈴木政夫の証言のそれを、到底認めることはできない。
宮刑糾弾!新規面会禁止を許すな!!
 新規面会者を禁止し、獄中の赤堀さんと支援とのパイプを縮小化し、実質的な再審妨害を行ってきた宮刑の弾圧状況はすでにお知らせしてありますが、その実態は6・4の朝日新聞によって公然化しました。(以下参照)
仙台拘置支所
死刑確定者との新規面会

「業務に支障」と禁止
日弁連、人権侵害と反発
七月十一日、再審判決を受ける松山事件の斉藤幸夫再審被告(五三)ら五人の死刑確定者が収監されている仙台市古城二丁目、仙台拘置支所で、死刑確定者への新規面会がこのほど禁止された。拘置支所側は「死刑囚への面会は、いままでがゆるやかすぎた。死刑確定者は本来、社会から隔離されなければならない」としているか。日本弁護士連合会人権擁護委員の竹沢哲夫弁護士は「死刑確定者は未決に準じて、処遇するのが現行の監獄法。今回の措置は、人権侵害であり、日弁連などの反対で今国会に上程されなかった拘禁二法の実質的先取りだ」と指摘、早急に対応することを明らかにした。
 斉藤被告については、支援団体の松山事件対策協議会(小田島森良事務局長)に通知があり、松山事件に次いで「四番目の死刑囚再審」の道が開け、静岡地裁で差し戻し審が行われている島田事件の赤堀政夫元被告(五五)については拘置支所側が直接、通告した。
 斉藤被告への新規面会が禁止されたのは五月二十一日。小田島事務局長(七一)の話では、同日、面会に訪れた十人の中に二人の新面会者がおり、拘置支所側は「三月十日(再審結審の翌日)以後に文通を始めていても、面会はさせない」と通知した。この二人はこれに当たるため、面会できなかった。
 一方、島田事件については、「仙台赤堀さんと共に闘う会」(仙台市小田原二丁目二ノ四三ノ四〇三号)の会員平間登さん(三四)の話によると、三月上旬ごろ、赤堀元被告が独房から別室に呼ばれ、高橋勉拘置支所長から「こんなに面会が多いのは君だけ。新規の面会は今後させない」と言い渡された。その後、医師など入れた人もいたが、静岡などから駆けつけた四人の新規面会者は入れずじまいだった。
 同拘置支所には、このほか、帝銀事件の平沢賢通(九二)、牟礼事件の左藤誠(七六)、山林売買強殺事件の近藤清吉(四五)=いずれも元被告、再審請求中=が在監している。
 高橋支所長は「いずれも今年度から新規の面会は禁止している。新しい面会者に職員が立ち会えば、本来の業務に支障が出る」としている。
 この宮刑の通告≠ヘ、宮刑に在監されている他の「死刑囚」4名(松山事件の斉藤さんは7月11日に無罪決定)と赤堀さんに対しては、赤堀さん本人に行い、赤堀さんが長期間一人で悩む結果を招き(睡眠障害の持続)ました。
 私達の仲間の一人はこうした宮刑の通告≠ノ対し、それを深刻にうけとめ、早速1日に抗議に赴きました。こともあろうにその行動に対し宮刑は、徹底的に『精神障害者』つぶしをはかり、病状の悪化をさせ、赤堀さんとの面会を『永久禁止』させる弾圧を加えました。
 そして、その弾圧対象となった人は、赤堀さんがお母さん≠ニ慕い、中斗委の委員長O氏であり、それをみるならば、宮刑は公然と赤堀中斗委に挑戦をいどみかかったのです。
 外部との交流こそが斗いの生命線である「死刑囚」への弾圧をはかり、再審妨害を行っている宮刑を私達はどうして許せるか!
 こうした事を許すならば、弾圧を行うことで、「精神障害者」をつぶし、保安処分の導入などきびしい状況に立ち向かい斗っている「精神障害者」組織の破壊行為を黙認することではないか!
 私達は同封の抗議のハガキで即刻抗議の行動を開始しようではないか!
また掲載するモデル文を参考として、多くの仲間に行動参加を呼びかけようではないか!
私達は、常に『赤堀さんと共に』をかけ声として、斗い切ろうではないか!
赤堀闘争の大衆的
  発展をかちとろう!
宮刑への抗議ハガキ
   モデル文
 抗  議

 私は島田事件の被告 赤堀 政夫 さんの無実を堅く信ずる者です この度
責拘置所にいる新規面会者の禁止 赤堀中央闘争委員長の面会禁止は 拘禁二
法を先取りする赤堀さんと獄外の支援者を分断し 再審闘争を圧殺するもので
あり 断じて許せません よって私は 次の二点を強く要求します
一 新規面会者の禁止を直ちにやめること
一 中央闘争委員長を暴力的に排除したことを謝罪し これまでどおりに
  面会を行わせること                   以 上
    一九八四年 月 日
         住 所
         氏 名
高橋 勉 仙台拘置支所長 殿

                         仙台市古城2の2の1

                            仙台拘置支所
高 橋  勉 支 所 長 殿
83実調強行弾劾!
 私達の強い反対を押し切って強行された83年精神衛生実態調査は、統計価値として、誰もが認め難い惨たんたる結果のうちに終った。
施設調査率で50・5%、「患者」調査率40・7%という低率であり、当初、厚生省野村課長が公言していた「60%の回収率があれば・・・」は大きく下回った。
 私達は、83年実調の「目的、調査内容、調査方法を初めから一切認めてないし、2つの結果からみて、統計的資料として今後の精神衛生施策に反映させるべきものではないと判断している。
 私達は、この斗い最後のツメ≠ニして、27日破棄要求書(別紙)をたずさえ、水旺協議会(国民と国会を接ぐ協議の場)で、厚生省に破棄要求行動を行った。
 当日の社会党を司会として対決した厚生省VS共斗会議・病者集団・日本精神神経学会の模様は次の通りである。
 追及は調査方法に関する問題(ケースワーカー記載で指導要網どおりではない。宇都宮病院は、石川元院長が数秒間診した様子を録音しそれからカルテへの記載したもので、病者の声を反映してない。等々)を指摘、また、調査結果は回答の低率、及び大都市ボイコットで調査に地域差があるが、それに対し、固執し、「使えるところは使いたい」と強弁する厚生省に徹底追及がなされた。
 また、関東有志の会のメンバーからは、
(イ) 今回の調査は「病」者の利益にたった調査ではない。
(ロ) 。ドクターと患者の主従関係は一般的に、改善されてきている。(信頼度もあり、ドクターの記載は問題ない。)
。38条の行動制限は(悪用されることもない)問題ない。
。調査については責任もつ、と(11・27)厚生省の意志、見解が述べられているが、宇都宮問題で前二項は完全に破たんしているとつめよりました。
 この追及には、社会復帰のデータを得たかった。今後の措置として、病院の実態あるいは人権を実地指導し、それを把握したい、と述べた。
 他には、学会の決議のもと、破棄を迫る日本精神神経学会理事のYドクターは、社会復帰のこと、学会で調査しているが(その結果と結論を)うけとめるか?患者の知らないところで(今回の調査)書くことが問題だった。
それを充分に認識しているのか?病院の内部のこと知るのは難しい(宇都宮病院等)告発してくる患者医療従事者を弾圧しないということを保障しえるか?などの追及を行ないました。
 家族からは、調査前から病院の実態調査を要求してきた。宇都宮の問題をみろ≠ニ追求しました。
 厚生省は個々の問題について一応答弁するが、何事も一方的な解決でとおり一辺の答弁に終始し、都合の悪い事に大しては、認められない≠ニ机上の感覚論で追及をかわした。
 私達が求めるのは、破棄を精神医療の抜本的な改革である。今後も引き続き破棄のための要求行動を続行する予定である。
83年精神衛生実態調査
     破棄要求書
 私たち全国「精神病」者集団は、厚生省が実施した精神衛生実態調査は
第一に、「精神障害者」の意志と願いを無視したものであり
第二に、「精神障害者」に著しい人権侵害をもたらし
第三に、保安処分新設の基礎的なデーターとされる恐れがあり
第四に、精神医療の安上がりな再編と、「精神障害者」に対する差別分断支配の強化を目論むものであるとして、反対運動を展開してきました。
 全国的に見ても、反対運動の結果、東京、神奈川、埼玉、大阪、滋賀、奈良、兵庫、徳島、福岡、長崎の10都府県で実質的な調査中止に追いこみました。また調査の回収率は、施設で50、5%、「患者」で40、7%という低率にとどまっていて、もはや精神衛生施策に反映させるような一切の統計的価値は存在しないものと考えます。ところが、野村精神衛生課長は、自治労との交渉において「調査が失敗したことも成功したとも考えていない」「回収された絶対数については、その中味を役立て得ると考えている」と述べ、調査が敗北に終ったことを認めず、行政の責任を一切回避しております。
 私たちは、調査結果には何の、意味もないことを厚生省が認め、調査を破棄処分することを強くここに要請いたします。
 同時に、今後、精神衛生行政に関して、私たちとの交渉に応ずることを要請いたします。
   1984年 6月24日
      渡辺厚生大臣殿
      野村精神衛生課長殿
全国「精神病」者集団事務局

宇都宮問題
  3・14以降、マスコミによって暴露された宇都宮病院問題に関して、私達は組織方針として解体≠決定しているが、5月20日から福岡で開催された、日本精神神経学会の評議会でも解体≠フ方針が示され、利益を共有する諸団体で具体的活動が開始された。
 患者にNo1、2と番号をふり、標本扱いしながら、脳を私物化し、研究室上主義に終始しながら、宇都宮病院を徹底利用してきた東大の官僚医師の責任は大きいが、その責任追求を行う東大精神科医師連合(病棟医等)の公開討論会・開催要求行動に私達も連動し、別掲の公開質問状をつきつけました。
 上京し組織代表として原沢大病院長を訪れたK君は、『三島さん(医学部長)はこれは俺の問題だから黙っていろ≠ニ言うんだよ。何を言ってもだめだよ』と原沢院長は内部のグチをこぼしながら、公開質問状を受け取った。
 また、30分後、もう一人の責任者三島医学部長を訪ねたが不在であり、代理に出た庶務課員の二人は、その不在を口実に質問状≠拒否した。
 K君と同行のドクターは『届けられないのなら今晩、小金井(三島の自宅)に持ってゆくー、地域でビラまく』と追求すると、しぶしぶ受け取り、約一時間半後、学部長当人が受け取ったことを伝言してきた。
 公開討論会では『被害者・患者とは会わぬ』と逃げまくり、私達に差別的対応を繰り返す当局を許さず、宇都宮病院を保安施設として温存させてきた。東大の官僚医師を公開討論会に引きずり出し、糾弾してゆきたい。
 また、宇都宮病院を支え、「病」者隔離―拘禁―虐殺を押し進めてきた栃木県差別行政を徹底的に糾弾し、宇都宮病院に今なお収容されている「病」者を防衛し、激励し、連帯して病院糾弾を斗い抜く『7・29宇都宮病院糾弾・現地斗争』に結集を呼びかける。
詳細は、0285(23)―2215に問い合わせて下さい。
※ 宇都宮問題の文中、公開質問状≠掲載するとしましたが、紙面の都合により、今回はそれが不可能となりました。悪しからず御了解下さい。
※ 福岡学会(5・20?)と雑誌そんざいの差別事件は、次回のニュースで報告します。


*作成:桐原 尚之
UP: 20100626 REV:
全文掲載  ◇全国「精神病」者集団 
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