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全国「精神病」者集団ニュース 1982.6



全国「「精神病」者集団ニュース 1982.6

 ことしは、梅雨とは云っても雨のほとんど降らないさわやかな天気が続きましたが、
各地の皆さんお元気ですか?
 今回の連絡会議は、先月に続いて京都で行なわれ、十一名と云う大勢の参加となり会
議がすすめられました。
 ところで、またも「精神病」と「残虐な犯罪」を意図的に結びつける悪質な保安処分
推進キャンペーンが大々的に行なわれました。
 「精神障害者の殺傷続発」「斉藤勇氏(英文学者、東大名誉教授)刺殺さる、大学生
の孫に包丁で、家族・警官ら4人けが、『神様が指令』異常な言動」「佐賀ではナイフ
男、寺の幼女ら3人刺殺、2人重軽傷」(7月5日付中日新聞朝刊一面トップ記事)
 この記事の中で、「二件とも犯人は精神病歴があり、法務省が精神障害者の再犯防止
策として刑法改正を進めている保安処分問題に絡んで新たな論議を呼びそうだ。」とも
述べています。
 これこそ、「『精神病』だからこんな『残虐』な事件をひきおこした‖『精神病』者
を野放しにするな‖保安処分は必要だ」と云う図式でもって保安処分を推進しようとす
る偏見マスコミによる悪質な差別キャンペーンです。
 当局の発表によっても、「精神病」者の犯罪率は「健常者」の六分の一にすぎないと
云われている程です。それをこのようにことさらセンセーショナルにとりあげる事は、
全く許しがたい差別キャンペーンです。
 各地の皆さん、このような偏向マスコミによる悪質な差別きゃンペーンを断固打破し
て、保安処分新設策動粉砕へ向けて、共に斗おうではありませんか!

お知らせ

☆赤堀ハガキ集中斗争を継続して下さい。尚、東京高裁宛のハガキは、裁判長が小松正
富から鬼塚賢太郎かわったので、宛名を鬼塚賢太郎と書きかえておだし下さい。
☆野田に抗議を集中して下さい。野田レポートに関して、これを書いた野田正彰本人に
対して、各地団体、個人から抗議文を集中して下さい。
 抗議先〜〒526滋賀県長浜市宮前街14番7号
         長浜赤十字病院精神科
         野田正彰・宛
         TEL〜07496(3)2111
             (長浜赤十字病院)

各地の便りから 
☆宮崎県のYさんから便りが寄せられました。

地域活動報告

☆W・J(東京)
あいかわらずしんどい状態が続いていますが、なんとかがんばっています。
自分は、どうやって生きていったらいいのか、という人生や生活の問題から、自分は、
これから先どうなってしまうんだろう、という不安や孤独感、孤立感、敵差別社会の圧
倒的な包囲の中で、"綱渡り"をしているような毎日の生き方、周囲からの日常的な偏
見や圧迫、そして自分の中での様々なジレンマや葛藤、苦悩、さらに「離人症状」や「
白昼夢」などの、現実の世界から離反してしまう苦しい症状の中で、ともすると現実の
中の自分を見失ってしまいそうになりますが、しかし、そういう"弱い"自分と斗いな
がら、仲間とコミュニケーションしたり、関東の「病者」の集まりに参加したり、保安
処分との斗いに関わったりしながら、現実にしがみついて生き抜いています。
○5月29日、5・29答申八周年弾劾・刑法1保安処分粉砕斗争に参加。
  集会では、「病者」集団からの提起と、山谷の労働者からのアピールがよかったと
思います。
○6月5日、赤レンガでの関東「精神障害者」有志の交流会に参加。
昨年12月におこなったシンポジウムをきっかけに、関東の「精神障害者」が定期
(一ヶ月に一回)に、交流会をおこなっていて、今回はシンポジウムのテーマであった"「病者」にとって保安処分とは"を中心に討論されました。会議では、ぼくがレポーターになって「病者」の立場から保安処分と斗うにあたっての視点を提起し、それを受けてみんなで話し合いました。討論では、「今でも 力の横暴な弾圧がおこなわれている
のにこの上保安処分ができたらたまらない」「法律の中に予防拘禁制度ができたらたま
らない」「法律の中に予防拘禁制度ができあがってしまうのが一番おそろしい。」と、
保安処分への危機感が語られた。また、某る「病者」からは、人間の強い面ばかりでなく、"弱さ"も含めてのかかえている問題を話していきたい、という意見が出され、各
々の「病者」から、正直な発言が出された。そのほかにも保安処分に関していくつかの意見が出され、最後に、今回のテーマをひき続き討論していくことが決められて終わりました。
○6月12日、意見交換会粉砕斗争と、そのあとおこなわれた「病者」集団の話し合
いに参加しました。
○これからも、病苦に負けず、人生の苦しさにくじけないように強く生き、たたかっ
ていきたいと思います。                      (6・15記)

☆ルナの会(富山)
@5月29日、法制審八周年弾劾集会に二名参加。「病」者集団から「野田報告書」徹
底追求の発言をし、参加者の圧倒的賛同を得た。しかし、刑法改悪の今国会上程が断念
されて上程阻止のエネルギーを持った部分の結集力が少なくなり、意識的な部分の結集
にとどまった観がある。この部分を中心として、再度大衆的な刑法戦線の確立を図らね
ばならない。
A5月30日、関西「病」者集団反保安処分シンポに2名参加。地域で自立している「
病」者の発言や病院患者会の発言などがあってとてもよかったと思う。ルナの会として
は、支援の問題の所で実際支援体制を日常的に組んでいるという事で、発言をすべきだ
と思う。この問題に関して今後いろんな形で問題提起をしたいと思う。
BN氏の第4回目の民事裁判が行われました。裁判官が和解の方針をとり、裁判の形
式はとらずに、当事者同士の話し合いを提起して話し合ったが地主側が和解を拒否し、
あくまでも裁判で決着をつけると強行方針を出し、今後裁判で争われる事になりました。この裁判をどう位置付け、N氏の生活を含めた支援体制をどう作っていくか、今後の課
題は大きい。
C6月1日、富山大学で「刑法改悪―保安処分阻止」の講演集会が行われました。ルナ
の会からYが「実態的保安処分」について約一時間半にわたって問題提起をしました。
夜には、寮で座談会を持ち、討論を持ちました。討論の中で、「健常者」にとって「保
安処分とは何か」が問題になり、それに対し「病」者の立場から入院体験の実態を通し
て保安処分を問題にすべきだと問題提起をしました。
D6月20日、ルナの会で例会を開きました。場所も事務所から他の場所に移し、新し
いメンバーを含めた活動スタイルを考えました。とりわけ、新しいメンバーの就職につ
いて、多くの問題を抱えており、今後、「病」者に「障害者雇用促進法」を適用させる
運動を「病」者集団に提起しようと話し合いました。
E6月12日、富山「平和と民主主義を守る会」の第一回定例会に参加。「病」者の
立場から戦争の不当性、差別をなくす事が戦争を阻止していく力にもなり得る事を強く
訴え、参加者の大きな共鳴を得ました。

☆T・H(三重)
  僕は、6月17日から22日まで仙台を訪れました。これは、19日に仙台で行わ
れた「第3回保安処分に反対する講演と討論会」の講師として、僕が「病」者集団を代
表して招かれたものです。
講演会には、百三十名が集まり、僕が「『病』者にとって保安処分とは」と云うテーマで、一時間二十分にわたって話しました。まず、保安処分について説明したあと最近の情勢、そして保安処分は立法化されてなくても実質的保安処分体制にあること、更に保安処分の先取り的攻撃として赤堀さんの例をあげました。
 そして、18・19・21・22日の4回赤堀さんと面会しました。赤堀さんは、僕
の健康の事について大変心配されており、心配をかけて申し訳なく思いました。仙台では、支援者の人が色々世話をしてくれるので助かると云うと赤堀さんも「仙台の人はまじめで親切だから私もうれしい。」と述べていました。しかし、三重には支援者らしい
人がほとんどいないので、三重でも運動を広めてつくっていきたいと云うと、赤堀さんもうなづいていました。僕が、「もう仙台は最後にしたい。」と云うと、赤堀さんは「
それは、裁判官がちゃんとしないからで弁護団も悪い。」と述べていましたが、これは
我々の運動の力量不足であり、赤堀さんを生きて奪い返す為、更に運動を発展させねばなりません。

0の会(愛知)
○7・4 野田レポートの学習会を行いました。このレポートの内容は、「障害者」
差別を助長し、医療を治安の具に落しこめ、保安処分推進の動力になり得るものであると確認し大いに怒りを感じました。
○赤堀さんのハガキ行動(高裁、仙台)50×二=100名貫徹しました。なお続行
中です。
○刑事・留置ニ法案の学習用リーフレット作りを刑法=保安処分阻止連絡会議ととも
に行ない近日大衆化します。
○6・27 全国日雇労働組合協議会の創立に「病」者2名・支援者2名と参加しまし
た。

刑法改悪―保安処分新設阻止に向けて

@私達は、日々「病」者としていきようとしている事に対して、きつい言葉や、上か
ら押し殺されそうになりながら、どう生きていくのかもがいています。
 そんな時、獄中に入れられている仲間にとって、拘禁二法案が通されてしまえば、強
制医療も弁護士との話の否定も全て「症状の悪化」で正当化されていくのかと思うと、
心がしめつけられます。鈴木君のくやしさをもう二度とくり返してはならないし、その
為にも 拘禁二法を廃案に追いこむ斗いを、各地で作り上げていかなくてはなりません。
A今、政府―法務省は「治療処分を考える会」、厚生省との「関係局長会議」をもって、
今年10月をメドに全ての準備を終らせ、刑法改悪―保安処分の導入へと体制固めに入
ろうとしています。
 そして、日弁連は、刑法からの保安処分の分離を決定し、野田報告書による精神医療
の厳密な治安主義的強化の方向をうち出しています。 
Bこうした事態に対し私達は、今の「精神障害者」への差別の風あたりのきつさをなく
していく以外に、保安処分との斗いはありえない事を、くり返し訴えねばなりません。
 「病」者集団は、日弁連各単位会に対して、私達の野田報告書への抗議文と声明文を
検討するよう送付しました。そして、各地患者会でも弁護士会の刑法委員会メンバーへ
のオルグも強化してきています。
 このような中から、「精神障害者犯罪」を特別視し、「治療の強化=(強制医療、長
期入院死の強要)」へと向っている流れを阻止しぬいていこうとしています。
 更に、政府―法務省に対しては@「治療処分を考える会」の発足(=「有識者の声も  
きいた」という国民世論へのみせかけ)に対する抗議文の発送と各団体からも集中する
ようによびかける。A坂田訪欧(=保安処分施設見学)への中止要請の集中。B「関係
局長会議」の十月をメドにした治療処分新設へ向けての準備活動の即時中止要請文を各
団体から送りつける。C新聞投稿、ビラ情宣をくり返し行ない、今の実態的保安処分体
制への怒りからこれ以上の、医療の管理の強化は絶対行なわせない、施設収容・隔離・
虐殺を絶対許さない、という事を強く深く展開していかねばなりません。
C保安処分阻止の斗いを更に強化していく為に、5・29法制審答申8周年糾弾総決
起集会に「病」者集団事務局からアッピールを行ないました。発言内容は報告集が作ら
れますので、後ほどたくさんの方々に読んでいただきたいと思います。野田報告書の恐
ろしさ、差別の強化に対して、直接本人に対する抗議文の発送を各地個人・団体より、
行なっていく事を訴えます。(本紙一面「お知らせ」参照)
 5・29集会では、野田報告書批判を中軸に保安処分攻撃の新たな局面に対して斗っ
ていく側の中味を確認していきました。そして、拘禁ニ法案について、刑法―保安処分
との関係で把え返して共に斗う事を参加者約百五十名で確認しました。
D6月12日第8回意見交換会糾弾斗争を約百五十名の力強い弾劾行動―情宣活動―デ
モで斗い抜きました。休養―医療体制も前回の反省をうけて斗争の後も含めてとられ、
安心して休めました。「病」者の参加もできるように今後も、訴えていきたいと思いま
す。なお、今回は日弁側は「精神医療の改善方策」、法務省側は「治療処分(刑事局案
)骨子」で、どちらがより保安処分的か競い合ったようです。中味はこのように許しが
たいところでやられています。私達の現実に「精神障害者」として生きる上での差別の
苦悩の上に、あぐらをかいて、平然と密室協議している事に怒りを禁じえません。次回
は7月24日です。体調に配慮しながら多数の「病」者の参加をかちとり、怒りを法務
省―日弁連へとたたきつけていきましょう。

赤堀さんの近況
"杜の都仙台"と云われるように、仙台の今の季節は燃えるような若葉がとてもきれい
でさわやかです。しかし、宮刑の冷たいヘイに囲まれ、幽閉されている赤堀さんはこの
若葉に触れることができないのかと思うとくやしくってくやしくってしかたありません。
 最近、赤堀さんを不安がらせているのは法廷状況のことです。すでに御存知のように、77年3月以降5年間に渡って東京高裁で即時抗告審を担当してきた小松裁判長が5月
31日付で高松高裁へ転出し、その後鬼塚裁判長にかわった法廷状況がどのように動い
ていくのかと赤堀さんは非常に不安な心境であり、なにより抗告棄却策動を心配してい
ます。証人・証拠の採用、証拠開始、公開事実審理の要求に対して5年間沈黙を、赤堀
さんの無実の叫びを聞こうとせず再審開始を決定することなく高裁を去っていった小松
に対して、私達は腹の底から怒りを感じると共に断じて許すことはできません。鬼塚裁
判長にひきつがれた法廷状況に私達は赤堀さんと共に警戒し、いつでも反撃できる斗い
の陣型つくっていかねばなりません。
 赤堀さんも"証人尋問、本人尋問、事実審理をして早急に再審を開始するように要求
してほしい。その為に署名・情宣活動をやってほしい。"と獄中から、不安・困惑をお
さえつつ、全国の斗う仲間へ声を大にして云っています。
 このような法廷状況の中で緊張している赤堀さんは弁護団の活動にも危惧をいだいて
おり、弁護士に手紙を書きやっと7月の始め大塚弁護士が面会に来ました。
 さらに、6月27日仙台において宮刑糾弾集会がもたれ、権力の弾圧をはねのけ、雨
の音にも負けずと、"赤堀さん頑張れ"の声が宮刑周辺へ響きわたり、風雨の激しい中
斗いぬかれました。不当な宮刑のラジオ妨害と激しい雨の音ではなかなか赤堀さんは聞
きとれなかったようですが、それでも皆なの声がとどいたと喜び、かえってカゼはひか
なかったかとか皆なの身体のことを心配する赤堀さんです。
 また、6月中は各地から(千葉実、関東斗う会、八王子斗う会、三重、三里塚手話実)20名以上面会があり、赤堀さんにとって大きな励ましの一つになっています。
 最後に、赤堀さんへの差し入れ物のことですが、折角差し入れしても入らず赤堀さん
の手元にとどかないと赤堀さんもがっかりしますので一言まで。
 長い物は入りません。たとえばマフラー、バスタオル、長いタオル、ベルトなど。
 ズボンもベルトつきは入りません。ゆかたもひもつきはダメです。
 食べ物は入りません。要するに宮刑の対応として獄中生活にとって最低限の必需品以
外は一切ダメということです。
 さらに、赤堀さんはSサイズです。
 全国の斗う皆さん!
 赤堀さんの獄中からの叫びをしっかりうけとめ、鬼塚裁判長にひきつがれた法廷状況
に警戒しつつ、注目しつつ、強固な斗いの陣型をもって、抗告棄却策動を許さず、共に
頑張りましょう。
 赤堀さんへの激励の手紙、面会を!
○激励左記
〒982  仙台市古城二丁目二−一
      無実の「死刑囚」
      赤堀政夫(返信用切手の同封を!)


☆次回鈴木公判〜7月15日午前10時、大阪地裁民事808号法廷。9時30分より
地裁前にて集会。
☆「殺し屋」とされて死刑判決をうけていたIさんが、向き懲役に減刑されました。
☆山形警察署が配布した「病」者差別のチラシに対して、事務局から抗議文を送付し
ました。


*作成:桐原 尚之
UP:20091107 REV:
全国「精神病」者集団  ◇全文掲載
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