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全国「精神病」者集団ニュース 1982.4



全国「精神病」者集団ニュース 1982.4

 一年中で最もすごしやすい季節を迎えましたが、皆さんお元気でしょうか?
 今回の連絡会議は、四名という少人数で始まりました。これは、赤堀―刑法―学会斗
争が連絡して斗われ、「病」者にとってかなりきつい日程をこなした事や一般的に四〜
五月は、病状の再発をまねきやすい時期に重なった為と思われます。この事は、「病」
者集団総体に問われている事だと云えます。様々な困難をのりこえ活動していく事が、
各個人に大きなシワよせとなっています。この差別の諸矛盾が集中している事について、いかに我々が反撃していくか大きな課題と思います。
 しかし、私達は「障害者」解放、赤堀氏奪還等の為、「病」者集団の灯を絶やさない
よう活動し続けていきます。また事務局は大変な繁忙をきわめている為、各地の皆さん
に支援要請をお願いします。
 私達は、「障害者」解放のその日まで全力で斗いぬきます。各地の皆さん、共に頑張
りましょう。

各地の便りから
☆ 次の皆さんから便りがよせられました。
○ 静岡県のYさん、埼玉県のSさん、千葉県のKさん、東京都のIさん、Sさん。
  ありがとうございました。

地域活動報告
☆ Y・Y(静岡県さくら会)
(前略)5月上旬、先生方はじめ支援者方々のお力ぞえのもとに、私たちの手ではじめ
て?原で「保安処分新設反対」の集会を開く事になりました。色々まごつきながらも少
しでも、家族の者や、地域の方々に私達病者の今おかれている立場を理解してもらえる
よう、みんなで頑張っております。又、この集会を開くことによって、私達病者も、又
それぞれ何かしらつかめることを期待しています。(攻略)

☆ W・J(東京)
現在、東京の某病院精神神経科病棟に通院しながら、生活保護をうけて生活しています。最近は、あいかわらず離人症状や不眠症等の「病気」の症状がしんどい日々です。しかし、もっと一番苦しいのが、このかんずっと、自己の生き方や人生の問題で、行きづまって苦悩していることです。かつて('70年代の初めから中ごろまでの頃)は、苦し
い「病気」と必死で斗いながら、とにかく必死で「精神障害者」解放をめざして生き斗ってきたのだけど、その後いろいろな壁にぶちあたって足もとから混迷し、(それは「
精神障害者」解放の斗いの問題から、自己の人生や恋愛などの私的な問題も含めて)この役数年間は、自問自答や暗中模索、苦悶、葛藤のくりかえしでした。一度しかない人生だから最もすばらしく正しく意義のある生き方をしたい、そのためには、これまで斗ってきた「精神障害者」解放―全人民解放の斗いをどんなに困難で苦しくても生き斗っていきたいという想いと、しかし、一方で体制側―差別社会からおそいかかって自分のなかにしみこんでくるブルジョアイデオロギーや差別的な価値観、それとからみあっての自分自身の中の差別意義やエゴイズムー。そして「病気」の苦しさや「精神障害者」のおかれている状況のあまりの過酷さと「精神障害者」解放の斗いの困難さ、しんどさ、むずかしさゆえに、そこから逃げ出して自分だけ助かりたいと思う自己の弱さやエゴ・・・。そういったジレンマや葛藤の中で、ともすると自分を見失って自暴自棄的になってしまったり、自己の否定的な面ばかりをえぐって行って自分で自分をおいつめてつぶしてしまいそうになったり、また、"生と死""存在と無"といった人間存在の根源からの苦
悩や孤独感、孤立感の中で、観念的に自分をおい込んで空中分解しそうになったりー。そして、そういう状態をなんとかしてのりこえようと、再び保安処分や赤堀斗争等に関わっても、かえって疎外感や空虚感が多く、自信喪失や無力感にうちひしがれてしまう・・・。そんな中で、もうほんとうに自分はいったいどうやって生きていったらいいのかわからないーという状態が続いていました。人間関係でも、自分のかたい性格もあって「健常者」はもちろん「病」者の人たちともうまく交流できず、疲れてしまったり、嫌われたりすることが多く、そのため自分の方から人間関係を切っていってしまって、ますます自分をおいつめて、にっちもさっちもいかなくなってしまうーそんな状態が続きました。そういった中で、しかしこままでつぶれてしまってはだめなんだ、このままで自分の人生が終ってしまってはいけないんだ、せっかく生まれていおれまで苦労して生きてきたんだから、この自分の人生を、もっとしっかりと切り拓いていかなくては、そして、自分を苦しめ、いじめバカにして「病気」においこみ、差別偏見し抑圧して排除してきた怨み重なる敵差別社会のやつらに復しゅうしてやらなければ死んでも死にきれない、そしてその復しゅうも含めたこれからの人生の中で、今まで奪い去られてきた人間としてのほんとうの喜びや幸せ、解放をかちとっていかなければー。そう思い、そういう自分の内面的な悩みや苦しみを理解して真剣に相談してくれる数少ない「病者」の仲間のはげましやささえを受けながら、今日まで生き抜いています。
 これからも、真剣に斗っている仲間との関係を大切にしなから生き抜き、そしてなんとかして現状をのりこえてしっかりと力強く生き、たたかっていきたいと思います。
 以下、最近のじゃっかんの活動報告です。
・ 三月六日、東大の赤レンガで関東の「精神障害者」の集まりがあり参加しまし。
昨年の12月に関東「精神障害者」有志で行なった保安処分のシンポジウムを契機に、
関東の「精神障害者」たちが集まりを開いていて、この日は、今年になって三度目の会
合でした。会議では、これまでの活動の報告のあと、これからの斗いや集まりの性格な
どについて話され、当面は保安祖文と斗うということを軸に、様々な立場から参加して
くる「病者」たちの自由な連合として集まりを続けていく、あせらず少しずつやってい
き、将来的にはたまり場や事務局をつくっていきたい、ということが話された。討論で
は女性の「病者」から「『精神障害者』でも男の人たちには女性に対する差別があるが、
女である自分としては、そういうのは容認できない」と、女性差別について指摘があり、それをめぐって、差別の問題や、人間関係のもち方等について参加していた方々の「病
者」たちから意見がかわされた。最後にT君から、三・七赤堀斗争、三・一七、一八刑
法斗争、三・二八三里塚斗争へのよびかけと斗争の意義が訴えられ、次回の会合の日程
とハイキングのことが決まって終った。(参加者は「病者」が焼く10名と関東赤堀の
「健常者」が一名でした。) 
 ・三月七日、東大安田講堂前での"赤堀さんを生きてうばい返せ全国総決起集会"と
デモに参加。久しぶりの集会とデモなので緊張したけれど、その日は比較的調子が良か
ったので最後まで貫徹。総括集会のあと、「病者」集団(大阪)のU氏と話し合い。関
東での活動の報告のあと、生活や仕事の問題から、生きること、斗うことの意味等につ
いて短い時間ながらもかなり肉薄した話をしました。 
・三月十八日、日比谷公会堂での百八委員会等の主催の刑法改悪―保安処分粉砕の集会
とデモに参加。集会では、社会党や総評なんかのはあいかわらずおもしろくなかったけ
れど、「病者」集団のOさんの、差別抹殺されてきた「精神障害者」の怒りと怨念をこ
めた心底からの発言は、集会の参加者たちの胸に鋭く突きささって魂をゆさぶり、そし
てぼく自身にも改めて自己の行き方や立場性が厳しく問われました。
・これからも、自己の立場から自分なりに生き、そしてたたかって生きたいと思います。
                              (三・二三記)
0の会(愛知)
○会員の介護、事務支援、食事の用意などで、このところ〇の会は繁忙をきわめていま
す。健常者に支援要請を行ってゆく方針が、具体的に決まりつつあります。順次皆さん
とともに追求してゆくことになりました。

○ 署名が二通きました。
・解放医療を逆流させ、HPを収容所化させた七山HPに抗議する署名。
・精神科外来で、四週間投薬ができるよう(現在は薬事法で例外を除きません)厚生大
臣に要請する署名。
○ 刑事施設法案(監獄法)留置施設法案
・四・二七に閣議ではかられ、国会上程されたことに対し、赤堀さんと共に斗う立場で抗議電報を打った。(電報先〜総理大臣、法務大臣) 
○ 民衆ひろば
・ 五月一日〜五日に勤労会館で民衆広場が開かれる。〇の会として赤堀さんと保安処分のビラまき、署名を行った。 
☆T・H(三重)
 ・しばらく状態が悪かった為、半年ぶりの参加です。少し古くなった点もありますが、この間の活動状況を報告します。
○ 赤堀秋季連続斗争(キャラバン、ハンスト・情宣活動、11・1集会)参加。
○ 10・31狭山斗争参加。
○ 10・11−3・28三里塚斗争参加。
○ 11・4意見交換会粉砕斗争参加
○ 12・5名古屋パネル粉砕斗争参加
○ 三重赤堀さんと共に斗う会(準)は、毎月一回定例会をもって情勢報告や学集会(
保安処分、監獄法等)などを行っています。
○ 学校(定時制高校)は、病状の悪化や運動の為、3分の一以上欠席し留年したので、
で四月から一年生をやりなおしています。昨秋、文化祭で写真や図表をいれて赤堀さんの無実を訴える展示をしました。また、学校新聞にも「『障害者』差別と赤堀政夫さん
」と題して、赤堀さんの無実を訴える記事を載せました。図書室に「島田事件と赤堀政夫」や「精神障害者解放への歩み」をおくよう要求したら購入してくれ蔵書されました。先生に資料類を渡したり、署名をしてもらったり、パンフ類(「絆」、「赤堀さんは無
実だ」、「赤堀さんと保安処分」等)を買ってもらったりしています。
○ 大阪の全障連のkさんのt高校(定時制)での英語の授業を参観しました。「視力障
害」にもかかわらず、すばらしい授業ぶりで大変参考になりました。
  年末からかなり状態が悪化しましたが、今は元気をとりもどしています。

☆ ルナの会(富山)
○ 4・5〜8 学会斗争にk二名初参加。雰囲気に圧倒され気味だったが、「病」者
の参加をもっとしやすくするべきだと思って後半がんばった。野田報告書の差別性について弾劾を貫徹。
○ 4・15 富山大学での「赤堀さんと保安処分」のシンポで講演。
○ 4・16 第七回意見交換会粉砕斗争に二名参加。デモの時は医療車で休んでいた
が、医療体制を斗争が終った後も続けるべきだとつくづく感じた。
 ○4・18 春のレクリエーション。山へ10名で遊びにいった。初参加者がいたの
で自己紹介をした後、昼食をとりテニスをした後、喫茶店で話しあった。これからも息
の長いつきあいー運動をしていきたいと昨年をふり返って痛感した。
○ 4・22 赤堀さんに面会。10時間の列車の旅をして仙台で一泊。翌日拘置所に
出向いた。赤堀さんは監獄法改悪や保安処分新設について強く反対していた。裁判官が変わったので、再審が長びくと心配しておられた。そして、ルナの会のことについていろいろと聞いてこられた。あっという間に30分がすぎた。これからもお互いガンバローと誓い合ってわかれた。
○ 4・27 Nさんの地主からの家の撤去たちのき要求の公判があった。訴え自信が不
当であって、本人に一回も通告もしてこなかった事に私達は大家の差別性を感じて弁護士を無料でつけてもらえるよう弁護士会とのやりとりにも成功した。裁判でもこちら側に有利な方向で(当然の事だが)向いていっている。
○ 4・28 金沢で名古屋パネル粉砕行動に対して告訴運動をくりひろげていた弁護
士を中心に刑法集会が開かれる事に対して、球団ビラマキ行動に参加。
○ 5・1 富山で、メーデー参加者に対し、刑法―保安処分攻撃との対決を「障害者
」差別と斗うことを軸にして斗おうと、ビラマキ行動。

☆お知らせ
監獄法(刑事施設法)・警察拘禁施設法は、四月二十七日閣議にはかられると同時に即
日国会上程された。両法案は、えん罪の温床となっている代用監獄を存続させ、死刑囚
処過の改悪をはかり、死刑確定者から外部交通権「文通・面会」を奪います。赤堀さん
を生きて奪い返す立場において、両法案を絶対認めるわけにはいきません。
 同両法案を阻止する為、「病」者集団事務局からの提起を行ないたいと思いますので、
各地は左記住所にあてて抗議電報を集中して下さい。
○ 東京都千代田区永田町一−七−一
  衆議院議会事務局気付 鈴木善幸
○ 東京都千代田区霞ヶ関一−一−一
法務省 法務大臣 坂田道太
○ モデル文〜監獄法・拘禁法両法案の国会上程に抗議する。

赤堀さんを生きて奪い返す為に
 赤堀さんを生きて奪い返すべく斗っている各地の皆さん、赤堀中斗委の5・24斗争
の方針が、獄中で斗い抜く赤堀さんに集中して@5・18〜5・24にかけての全国集
中面会A宮城刑務所・東京高裁に対するハガキ行動を行なっていくことになりました。
各地の実状にあわせて積極的にとりくんで下さい。
 無実の「死刑囚」赤堀政夫さんの斗いも五月二十四日で不当逮捕28周年をむかえよ
うとしています。
 静岡地裁の第四次再審請求棄却からすでに五年を経過し、刑法改悪―保安処分新設策
動、監獄法改悪(刑事施設法)−留置施設法今国会上程という情勢の中で、東京高裁の
動静が注目されています。
 法務省の監獄法改悪国会上程の意をうけた宮城刑務所は、いち早くそれに即した対応
―獄中管理支配の強化をとってきました。
 監獄法改悪の攻撃は赤堀さんにも着々と準備されています。手紙の書き直しの他、ア
ピール文の発送制限・禁止、面会時間の短縮、面会室への持込制限(筆記用具、メモ以
外はだめ)等、あらゆる方法で赤堀さんの活動と私たちとの交通を制限しようとしてい
ます。また、「ぢ」の後遺症、しもやけ、リュウマチに苦しむ赤堀さんを劣悪な医療の
下に放置しています。
 私たちは、監獄法改悪を前提とした宮刑の獄中弾圧の強化を許してはなりません。強
固な陣型をもって、獄中弾圧をはねかえしていかねばなりません。
 赤堀さんは、監獄法改悪にともなう不利益で動揺しており、何としても監獄法改悪を
阻止しなければなりません。また、監獄法改悪を許さない全国連絡会議のアンケートが
にぎりつぶされてしまいました。しもやけは、五月になってからでないと治らないのに、使いすてカイロは三月二十三日から使用禁止になりました。
 この間、赤堀さんは、東拘在監当時の自殺房の話や自殺者を看守がいかに乱暴・非人
間的に取り扱ったかを、そして警察留置場にいたときには、赤堀さん自身が恐ろしい戒
具をもっての

 劣悪な処遇の下に長期拘留し、さらに不当な弾圧で赤堀さんを苦しめている宮刑を私
たちは徹底糾弾していかねばなりません。また、赤堀さんをデッチあげていった警察留
置場―代用監獄を一層強化して存続―恒久化させる監獄法改悪(刑事施設法)−留置施
設法を私たちは決して許すことができません。
 私たちは、こうした赤堀さんの状況をふまえ一日も早く赤堀さんを奪い返さねばなり
ません。しかしながら、今、赤堀さんに対して監獄法改悪という大きな攻撃がかけられ
ています。今まで私たちはくり返し訴え続けてきましたが、監獄法改悪が成立してしま
えば、赤堀さんは拘置所から刑務所に移され、今まで以上の処遇改悪、とりわけ文通、
面会の大きな制限がなされていくことが予想されます。
 私たちは、監獄法改悪が赤堀さんに何をもたらすかをここで再確認をしなければなり
ません。それはすなわち、再審斗争の破壊―獄死です。現在、監獄法改悪をめぐる斗い
が決定的な局面を迎えていますが、私たちはなによりもまず、監獄法改悪が赤堀さんと
私たちの斗いの生命線を断ち切るものであることをしっかりととらえ、監獄法改悪粉砕
の斗いをさんだんかいのものとして斗っていく必要があります。すなわち、第一段階の
現在、絶対的に問われているのは、国会上程阻止の斗いです。政府―法務省は今国会に
上程すればたとえ成立しなくても、次期通常国会で確実に成立させられると考えている
でしょう。残された時間はわずかですが、監獄法改悪を許さない全国連会議の斗いに結
集し斗い抜きましょう。第二段階の斗いとして、上程されたならば、その成立を阻止す
る斗いをすすめていくことです。上程され、継続審議となったならば次期通常国会の始
まる十二月まで、全力でこれを廃案に追いこむ斗いをすすめましょう。そして、第三段
階の斗いとして、たとえ法案が成立してもその実質化を粉砕していく斗いです。ここに
おいて私たちは、絶対に処遇改悪を許さず、これまで既得権としてかちとってきた文通
・面会を守り抜かねばなりません。
 こうした斗いを私たちは情勢に応じて一つ一つ行なっていかねばなりません。しかし、一貫してはっきりしているのは、文通・面会の量こそが力になるのだというのです。く
り返し訴えてきたことですが、文通・面会の強化を各地で真剣にとりくんで下さい。と
くに、今それが必要であることの意味は、赤堀さんの激励と、そして宮刑に対する監視
です。文通・面会を散発せず、定期化し、各地がそれぞれしっかりと宮刑を監視して一
つの処遇改悪をも許さないという体制をつくりあげていって下さい。そして、この体制
をもって宮刑と真正面から斗っていくのは来春です。今国会上程―継続審議―次期国会
成立へと法務省が動いている情勢をみるならば、監獄法改悪をもって宮刑が処遇改悪攻
撃を全面的にかけてくるのは来春であり、私たちは、来春には断固たる全国斗争でこの
攻撃と対決していかねばなりません。こうした来春の斗いにむけた陣型作りとして各地
で文通・面会の組織的な強化・定期化を行なっていって下さい。
 すべての仲間の皆さん、監獄法改悪(刑事施設法)−留置施設法の国会上程成立を阻
止する斗いに結集しましょう。そして、赤堀さんとの文通・面会体制を強化し、宮刑を
包囲・監視する陣型を作りあげていきましょう。 

刑法改悪−保安処分新設阻止に向けて
 
☆ 4・16「意見交換会」糾弾斗争に決起
四月十六日、午前十時より開かれる法務省―日弁連の「密室協議」に対し、全国の「病
」者10数名を始めとする二百余名の怒りの糾弾がぶつけられた。
 「保安処分」を「治療処分」と名称変えし何が何でも刑法前面改悪の中心環にすえき
ろうとする政府―法務省と、差別と対決しえない日弁連によって"「精神障害者」と犯
罪をめぐる問題"と刑法改「正」作業の具体化が討論されようとしたのだ。
 これに対し、会場の法務省へ進もうと霞門に集結したが、機動隊と私服百名近くの厚い壁が立ちはだかり「障害者」を先頭とした4・16実行委の部隊の怒りの突進がくり返
されて抗議斗争をくりひろげた。
 その後10時よりその場で糾弾集会を霞ヶ関一帯にとどろかせながら開催していった。
 発言は、赤堀中斗委・全国「精神病」者集団・三里塚反対同盟北原事務局長・監獄法
改悪を許さない全国連絡会議等なされていったが、3・27提出の「野田報告書」の弾
劾に一点集中して行なわれた。
 野田はこの調査を「『動機なき殺人は恐い』という国民感情に答える為に」と、ちま
たにあふれる差別意識を認めた上で、"犯罪防止にはどちらが有効か"保安処分と競い
合おうとして、医療を完全に社会防衛的視点で貫いて作ったのだ。
 だから、私達をとりまく差別条項、欠格条項や、精神衛生法体制化での本人ぬきの「
医療」の恐ろしさや、地域、職場でのつらいめを強いられている差別の実態には一切ふ
れようともしていないのだ。
 それどころか、「精神障害者は常に自傷他害の恐れ」があり「いつ何をするかわから
ない危険人物」と自らが語っているように、許しがたい差別的「障害者」像をもち、傲
慢にも「厳密な精神病理学的病状把握」をすれば防げると云っているのだ。
 私たちは「病状」しかもっていないのか!!野田は"「精神障害者」の人格や生き方は、「医療」で全て掌握し、管理し
結論づけているのだ。とんでもないことだ。鈴木君や赤堀さんを始め、どれだけ、私達
が、このような医者の差別的思い上がりときめつけによって「医療」の名の下、ズタズ
タに傷つけられ殺されてきたのか!!
私たちの仲間が、病院の中から必死の思いで今の医療の抗菌性と非人間性を糾弾し、少しずつかちとられてきている解放医療の流れに対して"「医療が病者の云うことを聞い
てやさしかった」から犯罪が生じた"と完全に敵対してきているのだ。そして、もっと
"地域・学校も含めて、徹底した監視の医療を"とののべているのだ。
 そして、法務省にこの資料を売り渡すにあたって「病」者本人の意志や、ひきおこさ
れる差別を一切、切りすて、更に50例の調査要請を行なっているのだ。
 これを許すならば、私達は、今以上のちっ息状態を病院・地域の中でしいられ、生き
られなくさせることは明白である。
 この野田本人と、調査書を「ほんとうによかった」と述べている日弁連に対し、徹底
した全ゆる糾弾行動をとっていかねばならない。
 こうした行為こそが、ほんとうに「保安処分」攻撃と斗えるか否かを問うているのだ。これまで、赤堀斗争の中で培ってきた三者共斗の力を、ここで今一度強化し、勝ちぬい
ていこうだはないか。
そして、「(野田報告書を)治療処分新設の為にその部分を法務省側の利益に援用させ
ていただく。」と述べ、「治療処分を考える会」を発足させ、坂田の訪欧=(保安処分
をどう作るのかの見学のための)をしようとしている法務省側の行動を断じて許さず、
怒りのうずの中で、ちん没させてやろうではないか。

☆ 六・一二の第八回意見交換会粉砕斗争を斗いぬこう!!
☆ 四・二七 監獄法改悪―警察拘禁施設法案国会上程弾劾!!

82年学会斗争報告

☆ 日本精神神経学会報告
 四月六日〜八日、京都において第78回日本精神神経学会が開催された。この学会を私たちは差別的・学究的な野田医師を筆頭とする関西精医師の台頭を許し、それによって精神医療の右傾化もたらし、保安処分の推進の動向に拍車をかけると分析したがその危機的状況を反映してか各地からそれを突破するべく15名余の仲間の決起が計られた。
 その上、例年になく参加者が多かったのは、刑法改「正」−保安処分新設が、国会上
程の煮つまりにある切迫下の学会であったからに他ならない。
 私たちは、学会斗争を『「精神障害者」の解放の視点を明確にしながら精神医学会会員を叫す。』と、位置づけ六日の理事会・評議会から積極的に問題提起を行なっていった。
 赤堀さん、鈴木君、刑法―保安処分、監獄法(刑事施設法)など、従来から引き続い
てきた問題の状況提起とそれへの対応の要請、またあらたに次の三点を問題化した。
 第一に、解放医療を逆流させ収容所的病院へと変質させながら、患者への弾圧をくり
返している七山病院の問題。
 第二に、私たちは監獄法(刑事施設法)と並列したところで四・二七国会に上程され
た警察拘禁施設法(留置施設法)を問題化した。この留置施設法の問題は、被疑者と弁
護士の接見が保障されていたものを、改悪によって施設側の判断と諮意的な操作によって、分析・孤立化が計られるのが最も重要な問題点と云われている。被疑者が、分析と孤立
下におかれて生じる結果は、うける権利としてある医療からも放置されることになり、
人権上きわめて問題であり、一方いづれにおいても医療保障を行なう医師の良心性をも
ってこれらと斗うよう私たちは提起した。
 第三に、刑法改「正」−保安処分新設阻止の斗いに敵対し登場した滋賀県長浜日赤の野田医師による、「精神病による犯罪の実証的研究」なるレポートは、三月一六日の毎日新聞で多くの人々がすでに知るところであるが、「精神医療で監視すれば精神障害者の犯罪は未然に防げる。」と、精神医療を治安の具とすることを公然とうちだし、「精神病者は監視の対象」とすることを主張する。
 私たちが、人間的に悩み傷つき差別社会から云われなき差物をうけている実態をあっ
さりとしゃしょうし、「犯罪を犯しやすい者」と規定する「精神病」者観から精神医療
の救いは一切みえてこない。
 私たちは、この野田レポートから保安処分必要論しか読み取れず、これを許すならば
保安処分の推進動力に拍車をかけ、精神医療の解放運動の逆流と反動化をもたらす危機
意義を感じざるを得なかった。
 以上の課題をもって、学会に登場した私たちに開場を取りまくし私服、そして当事者
抜きに学会を牛耳ろうとする野田(本人は出席していない)を筆頭とする関西精医研は、終始独善的な主張をくり返すばかりであった。
 私たちは、保安処分新設の動きとそれによって規定されるであろう自らの存在を受容
することなく学会斗争を斗い抜いた。
 学会終了後、参加者で京都市中のデモを行ない刑法改「正」−保安処分新設の危険性
を市民に訴えた。

☆ WPA(世界精神医学会総会) 
 学会にセッティングされて、九月から十一月までの三日間、京都国際会議場でWPAが開催された。このWPAへの患者参加については、学会とWPA事務局との間で長年交渉が続けられたが、ついにそれは認められず、やむをえず私達は会場外から諸外国の医師に訴えを行なった。 
 私達は、「精神障害者」差別によってデッチ上げられた赤堀さんの紹介とその支援活
動が、アムネブティでも行なわれていると明記した和文と英文を用意し、広くそれへの協力を訴えた。また、治安主義的な日本の精神医療への怒りと抗議の中で日本の「精神病」者集団が設立されたこと、以降斗いの課題を紹介した。
 「病」者の解放と精神医療の未来をかけて、四日間の連続的斗いをかちとった。


*作成:桐原 尚之
UP:20091107 REV:
全国「精神病」者集団  ◇全文掲載
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