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全国「精神病」者集団ニュース 1981.5



全国「精神病」者集団ニュース 1981.5

直視できないほどのスカイブルーの青空が広がり、新緑はキラキラと輝き、やわらかい春の陽射しの中でそよ風が気持ちよく吹きぬける。
そして、街ゆく人々のはずむような足取り。一瞬、立ち止まって春の風景を感じながら、大阪に名古屋に東京に仙台に思いをはせる。
各地の仲間はどうしているだろう。連絡がないのは元気に違いないのだと、つぶやきながら。それでも連絡のないことに一瞬、暗い思いが走る。
そんな思いを吹き飛ばすように4月の「病」者集団の連絡会議には全国から20名近くの仲間が集まり、交流を深めることができました。
赤堀差別裁判糾弾の闘い。鈴木君虐殺糾弾闘争、刑法―保安処分阻止の闘いが決定的に重要な局面をむかえている時、私達は今こそこの結集した仲間の共同の力を生かして、この闘いに立ちあがろうではありませんか。
何よりも獄中28年目に突入する赤堀さんの不屈の闘いに応えて。
地域で、精神病院で苦闘している仲間の闘いに応えて。
とりわけても、軍靴の足音が強まる中でそれに徹底的に対決して闘う労働者や、狭山・三里塚を闘う人々とも固く連帯して闘おう。そして「障害者」差別に屈服を迫る国家権力の差別分断支配の攻撃を打ち破り、差別社会をなくしてゆく闘いを全力で闘いぬいてゆこうと思います。
当面する5月24日赤堀さん不当逮捕27周年糾弾闘争から、5月28日〜31日の日の日本精神神経学会闘争へむかって、がんばりぬきたいと思います。

手紙による地域活動報告(5月10日までに到着した報告です)
・ 三重(T・H)
4月より、三重県立四日市北高校普通科(定時制)に入学し、中卒以来実に13年ぶりに勉強をはじめました。生活環境がかわった事や色々な問題をかかえて、かなりしんどい状況にあります。
三重赤堀さんと共に闘う会(準)は4月12日と29日に事務局会議をもちました。そして、毎月第4日曜日を定例会と決めました。赤堀氏不当逮捕27周年糾弾にむけて5月22日に情宣をする事になりました。4月25日、刑法改悪を許すな!全国集会には事務局員が代表参加しました。また、厚見中放火事件公判闘争にもとりくんでいくことになりました。
そんな中で、四日市に住む「身体障害者」と日常的な交流を深めています。事務局員が自宅を訪れてそうじをしたり、御飯をつくって一緒に食べたり、介護的な役割をしています。
3月31日には、四日市中部公民館で行われた"ふたば会"の手話講座に参加しました。この日は"子育てについて"というテーマで、「聴覚障害者」の子育てについての苦労などが手話で語られました。
4月25日は、在日朝鮮人の教職員採用を進める三重の会4月例会に参加しました。これは、民族差別に基づいて外国人は教員になれないという国籍条項があるのですが、三重県ではこの条項はすでに撤廃されて、今年になって2人目の在日朝鮮人教師が採用されたのです。
・ まどの会(A)奈良
近況としては、歯の治療をしていますが、長い間悪くなるままに放っておいたので大変です。自分の仕事はぼちぼちやっておりますが、この頃スタミナがなくなり、度忘れをすることがよくあります。
○3月27日 国際障害年、自立と解放をめざす奈良県民会議に出ました。
 ○4月17日 奈良赤堀事務局会議。ニュース発行のこと、植樹祭のことで打ち合わせをしました。
 ○4月24日 奈良赤堀事務局会議。植樹祭の予防弾圧への対策を協議しました。
 ○考える会の活動には参加できていませんが尚ちゃんは、今年度から富雄中学に通学しています。
・ 歩の会(宮崎)
前略、署名遅れて済みません。皆さんのお便りも拝きたいと思います。寄せ書きなどを送って頂ければ、皆元気を出すと思います。よろしくお願いします。御健闘をお祈りしております。

各地からの便り
千葉のIさん、大阪のMさん、Nさん、Aさんから、「病」との闘い、転居の通知、事務局へのはげましなどの便りが寄せられました。共にがんばりましょう。

「病」者集団連絡会議報告(4月26日 東京)
〈はじめに〉
今回は「病」者集団ニュース担当者が、非常につかれて連絡会議に参加した多くの仲間の発言を詳細に報告できない状況になりました。20名近くの仲間やニュースを読まれている皆さんには、大変申し訳ありませんがどうか御了解下さい。
同時にこれからは、ニュースに対する批判・問題の提起を是非事務局あてにお送り下さい。苦しくても、本当に「病」者集団の仲間のニュースにしてゆくためにがんばりたいと思います。

おことわり
ニュース担当者が、病状変化のため以上をもって中断せざるをえない情況になりました。「病」者が主体になっているこの団体にとって、このような処理をとることは当然のことであり、いっそう強固な団結にむけて、読者の皆さんに御了解いただきたいと思います。

〈結びに変えてアジ唄〉
差別と病苦の重圧の下で
日々の暮しを必死に生き抜いている
仲間たち
君たちの中に現実の困苦の前に一度でも
死を考えたことのない者がいるが
屈辱に怒りと悲しみをこらえたことのない者がいるか
何故に僕たちはこの逆境を耐えねばならないのか
病気にならなかった者はそれだけの理由で、病気になった者をしいたげる資格があるのか
そんな理由に本当にそんな資格があるのか
海の向うのアメリカという国で
たまたま白に生まれた人間にたまたま黒に生まれたという理由で差別されるのは不当だと国家をゆるがすほどの怒りの声を上げた黒人大衆がいる
この日本の国で差別を告発する権利は、労働者が暮しを守るためにストライキを打つのと同じように人間としてごくあたりまえの権利だと部落差別と闘って来た人たちがいる
この日本の国で僕たちが人間として、生きて行く権利がある限り
差別する者が人の心を忘れているのなら僕たちはたじろいではならないと思う。
国家が差別の上にあぐらをかき、差別をあおる政策をたくらむのなら
僕たちはまようことなく国家を倒すべきだと思う
僕たちに血を流す心があるかぎり僕たちは闘うべきだ!
(H・Y)
0の会便り」1981・5月より抜粋


*作成:桐原 尚之
UP:20091107 REV:
全国「精神病」者集団  ◇全文掲載
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