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全国「精神病」者集団ニュース 1980.9



全国「精神病」者集団ニュース 1980.9

名古屋市南区呼続町7-76(〒457)
健幸壮(A301)大野方
全国「精神病」者集団事務局 書記教宣部
TEL052(821)1313(午後10時迄)


めっきり秋も深まり、山々もすっかり色づきはじめ、たそがれ時が最も情緒をかもし出す季節になりました。
しかし、厳しい寒さが近づき、宮城刑務所の赤堀さんのことが思いやられます。
獄中生活27年目に突入した赤堀さんの苦闘を思う時、私たちは「赤堀さんを殺して私たちに明日はない」と、赤堀闘争に立ち上がった初心に常に立ち返り、勇気をふるい起こして闘い抜かねばならないことを身の引き締まる思いで感じます。
鈴木新内閣登場以来、軍備の増強を中心にして侵略戦争へ向けての攻撃が激化するなかで、私たちは赤堀さんへの「抗告棄却―死刑」攻撃の強まりや、刑法改悪―保安処分新設をもってする私たちに対する社会からの隔離、収容抹殺の攻撃に対して、今こそ声を大にし闘い抜いてゆかなければなりません。
同時に、「精神障害者」解放闘争の拠点である事務局の任務はますます重大さを増し、運動の正念場を迎えている重要な時期に今回の連絡会議は行われました。

事務局からの報告

事務局の中の備品として、ラーメンのどんぶり3つ、印鑑、雑印、備品用の箱を購入しました。
一時金カンパとして3000円のカンパがありました。
9月15日 東京の文京区民センターで行われた反医学会総会に参加して、刑法改悪保安処分新設阻止のアピールを行いました。参加者は150名位で、「病」者集団からは、岩倉病院患者自治会、東大患者有志の仲間など4名が参加し、そして監獄法改悪の署名活動をやり「病」者集団のパンフレットなどを販売しました。
監獄法改悪反対の署名について、ニュースに用紙を同封しましたが、まだ取り組めていないとこは至急取り組んでください。よろしくお願いします。赤堀闘争の生命線として全力で取り組んでください。国会上程を目前にして事態は切迫しています。緊急の課題として取り組みをよろしくお願いします。
10月5日 刑法改正、保安処分に反対する百人委員会の総会とシンポジウムに、「病」者集団から7名が参加し、「病」者の立場から保安処分を阻止するためのアピールをしました。

地域活動報告

まどの会(奈良)
8月と9月の報告
7月30日 金大中の死刑を許さない奈良県集会に参加
7月31日 梅谷尚司君の問題で市教委と交渉。障害児学級との交流をすると確認していたことに対する約束違反を追及。
8月2日 三重県赤目48滝へハイキング。赤堀さんに写真を送りました
8月5日 信貴山病院に面会にゆき15人に面会。面会の時、買い物制限、措置解除のことが話題になりました。また医者が院内会員に圧力をかけていることや看護者が院内会員を差別することに対して院長宛に要請書を送付しました。
8月9日 狭山差別裁判の上告棄却糾弾奈良集会に参加。
8月22日 赤堀実行委、8月29日赤堀事務局会議。
8月25日 信貴山病院に医者と二人で面会に行きました
8月30日 解放同盟奈良県連青年部の定期大会に来賓として参加し挨拶をしました
9月1日 奥野法務大臣に保安処分についての要望書を送りました。奈良薬師寺にレクリエーション
9月13日 信貴山病院に3人で面会にゆき15人と面会。会員の話では悪くなったことはないがよくなったこともないということです。 
9月19日 大阪市立大学の授業で講師として話をする。
近況としては、若い人のまねをして腰を痛めてしまい養生中ですが、信貴山病院問題ついては、あらゆる方法を考えて実行しています。

京都(有志K氏)
退院して6ヶ月、病状も安定してきました。しかし腹がなかなかひっこまないので困っています。活動量も徐々にふやしていきたい。
9月14日 天皇制を問う連続講座に参加し、昨年の愛知県警の不当弾圧について報告しました。講師は桑原重夫氏
9月21日 大阪赤堀さんと共に闘う会の学習討論集会に参加し集会後、天王寺で赤堀さんの無実を訴えるビラまきを行いました。
9月24日 退院して京都赤堀に初めて参加し三条京阪でビラまきをしました。
このビラまきは京都赤堀で毎月24日に赤堀さんの不当逮捕糾弾の日として定例の情宣活動の一つです。そしてビラまき後、保安処分の学習会を行いました。

0の会(愛知)
9月7日 ブドウ狩り、9名が参加
9月15日 支援の2人と0の会会員2名と一緒にK病院に入院中の人が来て一緒にバドミントンなどをして遊びました。
13年間入院生活を送っていた人で社会生活に慣れるためにいろんな遊びから始めてゆき、本人も非常に喜んでいました。
9月21日 0の会定例会、全員で14人参加。新しい人が2人、M病院の人1人、あすなろ会から1人が参加しました。
例会では、0の会の会長が長期にわたり、任務が過重になり、疲れないようにそれぞれ任務を分担して0の会を運営してゆくことを決めました。会長、事務局長、事務局次長、会計、渉外、ニュース担当、レク担当を決め、会長の提案で任期は一年でやろうということが決まりました。
病気が悪化したとき、また忙しいときは代理の人が任務を受け持つ役員会をもち、2ヵ月に1回討論をもつこと、又今後刑法―保安処分についての学習会、生活保護、医療費についての学習会などを予定しています。
また赤堀さんの「抗告棄却−死刑」策動が強まっているなかで、東京高裁に対して再審開始の要請ハガキを出しました。
12月3日、全電通30周年記念のチャリティショーで0の会にカンパしようということが決まっているそうです。
中日新聞編集局社会部から、監獄法署名を送ってきました。
監獄法改悪反対署名を集めるため、労組各団体回りをしています。
8月26日 法務大臣に保安処分についての抗議文を出しました。
愛精病院の作品展の招待状が来ました。
奈良のある市で教員委員会主催の集会で、0の会の一人が講演しました。
10月24日 名古屋地裁でのロボトミーM氏訴訟の判決公判闘争に参加します。

豊橋(Y氏)
個人として事務局に参加してゆきたいと思っています。

虹の会(大阪)
9月8日 赤堀中央闘争委員会主催による9.8検察意見書弾劾! 東京高裁糾弾闘争に参加
9月15日 三里塚二期工事阻止全国闘争を闘い、今赤堀さんにかけられている「抗告−棄却」攻撃の切迫性を訴え、赤堀差別裁判糾弾闘争についての決起を呼びかけるビラをまき、又赤堀中闘委で作成した「赤堀さんは無実だ」のリーフレットを販売しました。
9月21日 大阪赤堀さんと共に闘う会主催による学習会、交流会に5名が参加。
「赤堀さんは無実だ」のリーフレットを中心に学習したあと天王寺で赤堀さんの無実を訴えるビラ情宣を行いました。
赤堀さんの再審を開始し、3鑑定を認めよの東京高裁に対する要請ハガキを全員で出しました。
虹の会のニュースは発行がのびのびになっていましたが、ニュースを編集して発行する人のがんばりがあって、やっと第5号を発行することができました。
そして新たに参加した仲間を加えて例会も増やし、特に赤堀さんへの「抗告棄却−死刑」攻撃の強まりのなかで私たちの必死のがんばりでなんとしても再審を開始させ赤堀さんを奪い返すため闘い抜いていきたいと思います。また刑法改悪−保安処分阻止にむけて全力で闘い抜きたい。

手紙による地域活動報告

闘う蟻の会(東京)
夏らしい日もないまま秋が訪れてしまった感がありますが、体に変調を覚えずがんばっていることと思います。7月、8月の活動の報告をします。
7月6日 地業研等の主催する精神医療セミナーに参加「精神障害者」を取り巻くいろんな動きについての認識を深めること、精神医療従事者に三里塚、赤堀、狭山を訴えんとして参加する。
7月13日 関西新国際空港閣議決定阻止集会に参加。
7月20日 例会、東京の「病者」W氏やSさん、そして精神医療従事者を含めて開く。始めに各自の自己紹介と近況報告。そして7月の活動について、特に7月6日の精神医療セミナーに参加しての感想などを討論する。
8月10日 レクリエーション。奥多摩の湖畔でバーベキューパーティ。カラオケのテープを伴奏に歌謡大会をへた同士で楽しむ。
8月31日 保安処分新設攻撃の中でそれとの対決を主なテーマに討論。
会報5号の発行をやっと勝ち取りました。
会員のT氏が調子をくずして入院。現在元気に入院生活を営んでいる。この入院を彼の再出発の一歩としてとらえ激励。
この夏は、いろんなことが会でも起こりましたが、くじけず息長く活動を進めていきたと思います。

新潟(S氏)
新大糾弾闘争報告、学会調査団新潟大学に調査
去る1977年2月、S君が「そううつ病」治療のため新潟大学病院に入院した際、看護人らによって「殴る」「蹴る」といった不当な暴力を受けたことに関して、去る5月に浜松で開かれた日本精神神経学会に対して告発し、学会として調査することになり、その調査が9月9〜10日にかけて行われました。
私たちはこの調査に向けて広く市民に対して新大の精神医療の実態を暴露するビラまき情宣活動を行い、2回の集会を勝ち取ることができました。
「精神医療を問いなおし「病者」の声を聞く集い」
7月18日新潟大学医学部教室で40名結集。
「新大の精神医療を告発する集い」
30名結集。アピール、全国「精神病」者集団、ロボトミー糾弾全国共闘会議、東大精医連この2つの集会で、新大の教授、医学生、アムネスティ宗教者等の人たちが新たに参加しこの問題に対する関心の深さを感じます。
学会の調査は、理事の山下氏、中島氏が担当し、@入院の手続き上問題はなかったか A保護衣、保護室の使用に問題はなかったか B暴力が行われたかの3点にわたって相手の事情を聞き理事会に報告−了承されれば、学会誌に公表する予定です。(11月頃)
私たちは、あくまでも自主交渉を要求し、公開質問状に対する誠実な回答を要求し続ける決意です。

全国「精神病」者集団大阪分会(M氏)より
奥野法務大臣に保安処分についての抗議文を送付

岩倉病院患者自治会(京都)
奥野法務大臣に保安処分についての抗議文を送付

友の会(東京)
奥野法務大臣に保安処分についての要望書を送付。日本弁護士連合会刑法改正阻止実行委員会に要請を送付。

東京葛飾区のAさんからお便りがありました。

刑法−保安処分問題

刑法改悪−保安処分新設阻止にむけて
法務大臣の諮問機関、法制審議会は、1974年5月29日「改正刑法草案」を法務大臣に答申した。
私たちは刑法改悪−保安処分新設が人権を圧殺し国家刑罰権の絶対化−国家主義への移行の危険をはらむものとして、重大な危機意識を持ちその粉砕闘争に決起しました。
とりわけ、私たちは社会からの隔離、分断政策を軸とした精神衛生法をさらに推し進め、危険な「精神障害者」は法務省管轄の保安施設にぶち込み永久に社会から排除、差別、抹殺をするという保安処分に反対し、自らにかけられた攻撃として立ち上がりました。
その答申を『合理化』するために法務省は、国民のコンセンサスを取り付けたという口実をもうけるために、秘密の「公聴会」を全国八ヶ所で行いました。
私たちはこの頃から全国「精神病」者集団と名乗り、自らにかけられた攻撃に対し、秘密「公聴会」粉砕闘争にむけ闘う人民とともに決起したのです。
仙台を皮切りに、高松まで6ケ所の「公聴会」を強行しましたが、闘う人民の反撃の中で批判され続けました。
とりわけ名古屋「公聴会」は名古屋弁護士会がボイコットし、そうした批判の中で法務省は大阪、東京の2ヵ所を残して「公聴会」を断念するとともに、刑法改悪−保安処分を国会に上程する機をなくし、事実上棚上げ状態になったのです。
しかし、8月19日新宿西口バス放火事件を口実に8月26日閣議において奥野法相は保安処分新設−刑法全面の改悪の発言をしました。『「精神障害者」による凶悪事件が多発している。国家として無為無策は許されない』と強行全面改悪の意志を表明したのです。
私たちはこの刑法改悪−保安処分新設のイデオロギーが人民の権利を圧殺し、騒動予備罪等で日常的に生活のすみずみまでに国家が監視の目を光らせ、ささいなことまでも刑罰の対象にするという点をはっきりと見てとらなければなりません。
とりわけ保安処分新設は、社会防衛思想に基づき、『そこにさしあたりその対象として何人の念頭にも浮かび上がってくるのが、かの精神障害者によってなされる犯罪防止の処置である』(刑法改正準備草案理由書)と断言しているように私たちへの差別の助長、偏見の拡大を扇動的に行い、新たに特別監視下におくものとしてみてとらなければなりません。そして保安処分の新設は又
@「精神障害者」は刑の執行ののちに再犯の恐れがあれば保安施設にブチ込み刑罰としての処分を行う重罰化と予防拘禁
A社会防衛をうたいながら処罰対象を拡大し治安主義の強化をはかる
B行為を処罰するのではなく行為をおこなった人物を処罰する行為主義から行為者主義への移行
C再犯の恐れのある者、つまり「将来の犯罪」を罰する罪刑法定主義の否定
の4点は差別の法制化に他ならず全エネルギー駆使して闘いきらねばならないと思います。
当面の闘いの方向と組織活動は刑法−保安処分阻止の大衆組織として1974年から闘ってきた百人委員会とともに闘い抜くことが決定されました。(その動きは百人委員会ニュースでお知らせします。)

今後の集会予定

11月16日 午後1時から5時 場所 明治大学(駿河台)
監獄法−刑法阻止集会
主催 監獄法改悪を許さない全国連絡会議

11月22日 午後6時から 場所 社会文化会館(東京三宅坂)
刑法改悪−保安処分新設阻止全国集会
主催 百人委員会

11月29日 日弁連主催「公聴会」 場所 東京

赤堀闘争
赤堀政夫氏を生きて奪い返すために

7月10日、検察意見書(補充書)の提出により赤堀闘争はかつてない決戦局面を迎えています。
昨年末の検事1名の補充、4月の判事2名と検事2名の交代の直後の7月10日、東京高検は東京高裁に棄却を求める意見書をついに提出しました。
この間の3年半にわたる抗告審闘争で明らかになった犯行日(3月10日)の事実認定をくつがえす内容をもった助川、船尾鑑定と大井川河原に残された犯人のものと思われる足跡は赤堀さんとは無関係であることを証明した新証拠を正面から切り捨て、一挙に「抗告棄却−死刑」を狙うものとして意見書を提出してきました。
かつて第二次再審請求が多くの証拠補充書をだした弁護団の事実調べ請求を無視し、一切の審理を行わず検察意見書を受けて11日間で棄却された事実を見るならば、赤堀差別裁判糾弾闘争が棄却か再審開始かの重大な局面に至ったと判断しなければなりません。
この重大な局面にあたって赤堀中央闘争委員会は意見者弾劾! 抗告棄却阻止! 再審開始に向けて秋期臨戦体制をかまえ、権力との真っ向からの攻防戦に突入したことを宣言しました。
この闘いの具体的方針として、9月8日、東京高裁に向けての第一波の中央闘争打ち抜いたことに続けて、東京高裁にむけて「3鑑定を認め事実調べを行え!」のハガキ闘争を貫徹することとともに、11月2日、東京において、中闘委結成2周年を間近に、意見書弾劾! 抗告棄却阻止! 再審貫徹を中心に刑法−保安処分国会上程阻止! 監獄法改悪阻止! 赤堀氏奪還全国総決起集会を死力を尽くして闘い抜いて闘い抜くことをすべての皆さんに訴えます。(同封のビラを参照して下さい。)

鈴木君虐殺糾弾!
国賠闘争

次回第7回公判は11月13日、午前10時から大阪地裁民事3部で行われます。公判では虐殺の下手人、精神科医臼井が国−被告側の証人申請によって法廷に登場します。
私たちはこの悪逆非道な医師にもあるまじき臼井を徹底糾弾し、その犯罪性を暴露するためすべての皆さんの圧倒的な結集を訴えます。

ニュースに対する積極的な意見を! お寄せください

第7回公判闘争
11月13日(木) 午前10時
大阪地裁民事3部 808号法廷
証人 臼井節哉

編集後記
ニュース読者の皆さん、今回の「病」者集団ニュースは非常に発行が遅れました。奥野法務大臣による保安処分発言を通しての私たちに対する攻撃、7月10日検察意見書を通しての赤堀さんに対する「抗告棄却−死刑攻撃」の切迫性のなかで、私たちは死力を尽くして闘い抜く決定的な時期を迎えています。
いわば80年代の「障害者」解放運動の命運をかけた決戦の時期とも言えます。
鈴木新内閣登場以後の動きはアジア、朝鮮にむけての侵略戦争のための侵略体制確立にむけた攻撃は、軍備の増強を中心に特に海外の邦人救出のために自衛隊を派兵する自衛隊法改「正」や、軍事費の別枠予算化にみられるように戦後史を画する攻撃をしかけ軍事大国化の道をまっしぐらに進んでいます。朝鮮人民の光州蜂起を圧殺し、金大中氏を死刑にしようとする全闘煥体制を積極的に支える日本帝国主義、国家権力の侵略戦争にむけた軍事大国化攻撃にも真っ向から対決して闘い抜かなければなりません。今秋、三里塚闘争、狭山闘争とも連携して闘い抜き、いまこそ赤堀氏奪還、刑法−保安処分粉砕にむけて積極的に全人民に訴えかけ一心不乱に闘い抜いていきたいと思います。ニュースをそのための指針にするため教宣部も闘い抜きたいと思います。
(文責、書記、教宣部)


内部通信
絆編集部より
「絆」5号原稿募集!
400字詰 原稿用紙タテ書き
宛先 (削除)
吉田気付   まどの会

事務局より
赤堀中央闘争委員会発行の「赤堀さんは無罪だ」一部100円(送料別)事務局に多数あります。ご希望の方は事務局に申し込んでください。
劇画や写真が入ってわかりやすい内容です。ぜひ学習会などに使って下さい。

次回連絡会議のお知らせ
とき   9月27日(土) 午後6時
     9月28日(日) 午前10時から
ところ  全国「精神病」者集団事務局
連絡先  電話052-821-1313(大野方)
(午後10時までしか電話には出ません)


*作成:桐原 尚之
UP:20090718 REV:
全国「精神病」者集団  ◇全文掲載
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