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全国「精神病」者集団ニュース(連絡会議報告)1979年9月



全国「精神病」者集団ニュース(連絡会議報告)1979年9月

9月22日夕方から名古屋で連絡会議が行われました。今回は、苦しい暑い夏も終わり、全員が夏バテと苦しい「病状」をのりこえて集まることができました。そして、経済的にも苦しく、地理的にも遠方で、連絡会議に参加できない多くの仲間から、近況報告が多数寄せられました。事務局にとって多くの苦しい状況の中で、「病」と戦いこつこつと活動をしている仲間からの便りは、何よりもうれしいことです。連絡会議に出席できない方々の地域活動報告や個人からの便りをお待ちしています。事務局までお寄せください。ニュースに載せます。苦しい夏も終わり、疲れを癒し、今年の秋から来年に向けて元気を出して戦い抜いていこうと思います。

各地からの近況報告
これは、連絡会議に参加できなかった仲間からの便りです。

大地の会
六月から三回にわたって「精神医療」(患者にとって精神医療とは何か)をもとに小冊子を作り、討論をもちました。しかし、たたき台の中心になったのが、モード・マノーニ著「反・精神医学と精神分析」であったので、難解すぎた為、三回の議論で終わってしまいました。九月の定例会(第一日曜日)に三人が集まり、患者会に集まる人をもっと増やす為に、相互の患者同士の意思疎通を充分にやっていきたいと話し合いました。また、年二回の機関誌「大地の声」(仮案)を発行することを決めました。なんとか、分散している関東の患者が集まり話し合えるように大地の会も頑張っていきたい。

中宮病院患者自治会
前略。五月下旬の県警による差別行動によく耐え、任務を全うせられたことを感謝いたします。後もこうした事態は、時折起きると想像されますが不退転の意気をもって、ご処理なされんことを望で止みません。県警には、日常行動の積み重ねで対処する他はありません。やましい事が無いのだと納得されれば彼らは手を引くでしょう。今度の県警の態度は、日常の情報入手を怠り、形式処置(戦前の)に走ったと他府県の我々には、感ぜられます。尚、第四回全国集会の基調パンフレットをお送りください。外出は、午後四時半迄ですので折角京都で集会がありましても出席できないのが残念です。敬具。

紀泉病院第五病棟自治会
六月十日の全国集会に参加しました。病院に帰って全国集会の報告をしましたが、あまり多くの反響は得られませんでした。自治会は、組織されていますが、病院の施策に比べ、患者側の自治権の拡大と権利意識の目覚めといった点で、若干の立ち遅れが目立ちます。退院後、就職した人が「精神病」である事でくびになると云ったことが最近よくあります。こうした問題に対しても、今後自治会活動をさらに活発化させ、また退院者の集まりである「友の会」でも取り上げられる様、更に努力していきたいと思います。

宮城県の仲間からの便り
「救援」124号の記事を読みまして、大変感動しました。僕と同じ境遇の人たちが団結し、権利回復を勝ち取る戦いに決起していく事の素晴らしさを感じました。技術専門学校卒業後、就職することになります。同じ「病」者として、権利回復のため、共に闘っていきましょう。その為にも「病」者同士の交流・団結が不可欠です。貴方達の存在を知って本当に頼もしい限りです。あらゆる不当差別弾圧に屈せず一九八〇年代につき進もうではありませんか。

地域活動報告

大阪分会
この間、色々な事情でしんどくて、連絡会議に出ていく事ができませんでした。八月十一日、全国障連大会に参加していると時、会員の一人が自殺した報告を受けて、それ以後対外的な活動は、ほとんどできてません。九月にはいってやや元気を取りもどし、九月十六日の三里塚二期工事阻止斗争を戦い抜きました。二日前から反対同盟の農家の援農にはいりながら、三里塚斗争の事、三里塚の「障害者」と話し合えることができて非常によかった。そして、九月十六日当日は、全障連、各地の赤堀さんと共に闘う会の仲間と一緒に、「病」者集団の旗を立ててデモをし、無実の赤堀さんを奪い返すことを力の限り叫びました。会員が自殺したという悲しいつらい状況を乗り越えて、これからは活動を頑張ってやりぬきたいと思います。

まどの会
・信貴山病院問題
七月三十一日、二十人が参加して病院側と交渉を持ち、病院側と確認書を取り交わしました。そして、近いうちに再度の交渉を病院側と持つ予定でしたが、病院側はいまだにズルズルと引き延ばしています。しかし、その裏で卑劣な手を使い、院内まどの会会員におどしをかけ、会員をやめるように強要してきました。七月三十一日の交渉で私たちの正当性に何ら反論できなかった病院側は、交渉を引き延ばし、その裏で卑劣な手を使いながら、今回のまどの会を中心とした病院改革の運動を叩き潰そうとしてきたのです。院内の患者と院外のまどの会とを分断し、院外からの運動だけにしてしまい、病院とは直接関係ないものとして、様々な病院の不当な問題を覆い隠そうとしています。署名してくれた人々、交渉に参加してもらった各団体に呼び掛け、再度こちら側の態勢を立て直し、戦い抜いていきたいと思いますので、協力をよろしくお願いします。

・その後の尚司君
富雄中学に学籍を勝ち取った後、尚司君は訪問指導をしている教師と共に富中へ通うために奮闘中です。

虹の会
愛知県警の不当弾圧に関して、人権擁護委員会の最終の事情聴取に出るとともに、提出する為の陳述書の作成に協力しました。そして、赤堀署名四十二人とカンパを集めました。九月十六日は、三里塚二期工事阻止斗争に虹の会で全力で参加し戦い抜くと共に、赤堀さんの奪還を力の限り叫び訴えました。斗争日と例会の日が度々重なり、例会がきちんと持たれていないので、再度虹の会として集まりを定期的に持ってやっていきたい。

ООの会(A)
第一、第三日曜日に集まりを持ち、今月の第一日曜はぶどう狩りに行きました。全国集会もあってこの間、レクがなかったので、みんなぶどう棚の下でゆったりとくつろぎ、非常に楽しかった。第三日曜は、「つきあい」をテーマに集まりを持ちました。愛知県警の不当弾圧については、四回の事情聴取の後、陳述書を作成し弁護士会に提出。この不当弾圧についてはパンフレット作製を準備中です。今回の事をきっかけにして、「病」者に対する不当な人権侵害と天皇行幸時の「精神障害者」に対する不当な狩り込み、隔離収容攻撃を明らかにすると共に「病」者がこのような不当な人権侵害を受けた時に訴える窓口を各弁護士会に作るよう要望していきたい。また、人権擁護委員会としては、まだ結論が出ていません。弁護士会から県警にあてた尾行車、監視の照会については県警から、「警察活動の個々具体的なことについて、回答いたすことは諸藩にわたり支障をきたす恐れがありますので御了解願います。」とふざけた照会拒否の返事が来ています。

ООの会(B)
この一カ月は状態が悪く入院寸前の状況の中で頑張りぬいてきました。中闘委の会議には、頑張って出席し、「病気」と格闘しつつ頑張っています。

前進友の会
九月八〜九日に、レクリエーションで水死したAさんの納骨に参加し、それ以降Aさんの家族との交流がまっています。九月八日に、前進友の会の中で、患者部会での学習会を持ち十名が参加し、患者独自の団結を強めていきたい。九月十五日に零階を行いましたが、八畳の部屋に五十人が参加し、窮屈で最近はしんどかったので別の会合場所を探しています。そして、前進友の会と「病」者集団との関係を整理していくことも考えています。九月二十三日にはレク、十月八日〜十日と合宿を行います。現在、会員が十二~三名くらい住んでいるアパートには、みんなの部屋(事務所、会議室、退院していく場所のない人の宿泊所、みんなのたまり場)があり、ここを利用して、日常的な話し合いをしています。そして、アパートに住んでいる患者で食事当番を決めて、共同の心の通い合った生活を目指し、会が大きくなっていっても家族的な雰囲気を持って活動をやっていきたいと思っています。

「障害者」実態調査問題
厚生省は、今年十月「障害者」実態調査と称して、「障害者」を隔離収容し「障害者」の人権を無視し、ひいては「障害者」を社会から排除抹殺していくものとして、差別的な実態調査を強行しようとしています。今回は、「精神障害者」に対しては、調査をしないというというペテンを取っているものの「障害者」にかえられる国家権力のこのような差別調査を行うことは、断じて許すことはできません。全国の仲間の皆さん、各地で実態調査阻止の戦いに立ち上がりましょう。関東では、Tさんが調査中止を求める交渉の先頭に立って頑張っています。同封の資料を参照してください。「病」者集団も共同声明の団体に入りました。

事務局体制について
私たちは、この間一歩も退くことや手を緩めることのできない重要な戦いを行ってきました。この私たちの力量をはるかに超えた戦いは、同時に私たち事務局院に持てる力の一切を打ち込んでも、尚力及ばないほどの活動と力量を追及してきました。このような中で、名古屋にある事務局は、個人の支度と事務局が一緒に」あるという状況の中で、事務局の維持が極めて困難な状況におかれ、病状の悪化と事務機能をいかに充分に機能させていくかについて、0の会よりの提起が行われました。

事務局の現状とこれからの事務局をいかに維持し、活動を続けていくのか!0の会よりの提起!
・事務局は、現在「病」者二人で「病状」を抱えながら頑張っている。
・金と人が必要である。
・このような中で、入院が必要なほど病状が悪化している。

この現状をどのように打開していくべきなのか?
・不当弾圧があってから、依然として権力の不当監視が続いており、極度の緊張状態の中で事務局体制の防衛を考えてほしい。
・事務局員が、一週間なり交代で詰めてほしい。
・事務局の仕事をやるなかで、「病」者の組織的活動を実践的に学習してほしい。
・事務局員が、先頭に立ち支援者を送るオルグをやってほしい。
・事務局を維持していく為のカンパアピールをやる。

この定期に対して、各地から事務局会議に参加した一人ひとりからの、事務局体制についての意見が出された。事態は深刻である。
・精一杯のところで頑張っており、このような現状では事務局を縮小せざるを得ない。
・事務局を各地の持ち回り制にしてはどうか。
・事務局と個人の支度を分離し、そのための定期的なカンパアピールをやる。
・事務局体制を担える人を目的意識的に作っていくべきではないか。
・支援者を送るということについては、赤堀中央闘争委員会の中で提起し、中闘委としてどうするべきか議論をしてもらう。
・活動をやればやるほど、やらなければならない事が増えてくる中で、自己の「病気」との戦いをいかにやっていくのかを考えていく。
・緊急の場合は、地域の活動や生活を一時ストップしても、事務局に飛んでいける体制も考慮しなければならない。

以上、いろいろな意見が出され、活発な討論にはなったものの結論は依然として見えてこない。各ニュースの読者は、このような事態に対して何ができるのか?どのようにしたらいいのか、意見を積極的に事務所局宛にお寄せください。
以上のように事務局は、大変な窮地にあります。事務局員はこの点を踏まえて、連絡会議に必ず出席してください。尚、出席できない場合はその旨必ずご連絡ください。

赤堀闘争
九月九日に、赤堀中央闘争委員会が名古屋で開かれ、東京高裁コマツの公訴棄却策動が決定的に強まる中、今こそ赤堀さんを生きて奪い返し、再審を開始させるため、全国の力を持って総決起集会を開催することが決定されました。赤堀中闘委結成一周年を記念し、11・26−3・11−5・24 −11・25と闘われた赤堀闘争をその中心となって戦い抜いた赤堀中闘争委の活動報告と総括、そして今後の方針を出し、いまだに奪還し得ていない赤堀さんと共に今回の全国集会を成功させるため、頑張り抜きましょう。そして、三者共闘の内実はいかに豊富化され強化されて来たのか決定的に問われている赤堀闘争の全人民的な広がりをいかに勝ち取って行くのか現実の問題点を明らかにし、「病」者集団こそ赤堀闘争を最先端出になって戦い抜く団体であることを全ての人々に明らかにしていかねばなりません。そのための準備に全力を挙げて取り組み「精神障害者」の会報とは何か、その道筋は何か、「病」者集団の団結の強化、中闘委の組織的体制の強化、赤堀闘争の力強い前進のために戦い抜いていかねばなりません。

鈴木問題
前回のニュースでお知らせした十月十二日(金)の第三回公判に全力で結集されることを訴えます。今回の公判は、国・大阪拘置所・臼井による鈴木君虐殺の責任を訴状に基づいて徹底的に追及していく公判です。検査・大阪拘置徐・臼井の虐殺の責任を弁護団からの徹底的な追及で追い詰めていきましょう。「病」者集団こそその回先頭に立って戦い抜かねばなりません。後半闘争への圧倒的な結集を!十月十二日午前十時、大阪地裁民事部。九時三十分から地裁裏門で集会を行います。

奥深山幸男氏の件について
奥深山幸男氏は、一九七一年十一月の沖縄斗争を斗い、「殺人」と「放火」の罪名で起訴されました。そして、獄中で完全黙秘の闘いを貫いていましたが、一九七四年拘禁性「精神障害」に陥り、勾留執行停止となり精神病院に入院し治療を続けながら裁判闘争を戦い抜いてきました。しかし、今年の二月十三日には無期懲役を求刑され、十月二十三日に判決が強行されようとしています。この事件ではすでに、星野文昭氏に懲役二十年、荒川氏に同十三年という全く不当な判決が出されており、奥深山氏への判決も重刑は避けられない状況です。病気を抱えながら戦う奥深山氏にとってもいま最も必要なのは、病気の治療に専念し完治又は、少なくともその展望を握りしめてから判決に望むということです。わずか二か月の判決延期の猶予を与えただけのこの不当な裁判所のやり方は許せません。しかも、検事は保釈取り消しを要求している。私たちは、この奥深山氏の要請に対して、事務局で討論した結果同封の要望書を裁判所に提出する事と、できるだけの協力を行う事を決定しました。ニュース読者の方も奥深山氏に支援をお願いします。
(文責・「病」者集団書記教宣)

全国「精神病」者集団内部通信

「絆」原稿募集について
活動報告・論文・手記など「精神障害者」問題に関係あるものなら、何でも結構ですから、十月二十日までにお寄せください。尚、掲載分には原稿料をお送りします。
送り先〜(削除) 吉田おさみ宛

11・25赤堀全国集会について
11・25集会で、「病」者集団から二名が差別体験に基づいた報告書と決意表明を行うことが決定されています。そして、幅広い仲間からこの体験報告を行ってもらう為、希望者を募集中です。希望者は、十月末までに必ず事務局に着くように、原稿用紙十~二十枚に書いてお寄せください。

次回会議予告
と き〜十月二十七日(土)午後六時~二十八日(日)午後五時
ところ〜みんなの家(名古屋)
連絡先〜電話・〇五二‐一三一三
(文責・「病」者集団書記教宣)

要望書
貴裁判所が10月23日に第一審判決を準備している「精神病」者、奥深山幸男氏の判決―収監に関して、意見・要望を述べます。
現在、奥深山氏は精神科医の診断によると、顕著な精神症状を呈し加えて、自殺の危険性が憂慮されていると聞いております。
そうした中で、気色が強制的に判決―収監を決行することは同君の治療妨害となり、病状悪化を招くことは私たちの闘病経験からみて、明らかなことです。
1976年2月、大阪拘置序において、医療を奪われた公金を強いられた中で、鈴木邦夫君が虐殺された事実に見られるように、病状無視、治療放棄は病者抹殺に他ならないのです。
医療はいかなる所裁判、諸制度に優先されるべき人道上の問題です。蒸気を欠落され、気色が判決―収監を強行されることは、奥深山氏の抹殺を意図する病者への差別であると断ぜざるを得ません。
そのような暴挙を私たちは断じて許すことはできません。急速に判決の延期、治療を決定するよう強く要望します。
1971.10.1
愛知県名古屋市南区呼続町7−76
健幸荘A301 大野方
全国「精神病」者集団事務局

東京都千代田区露ヶ関1の1
東京地方裁判所 刑事第7部
石丸 俊彦 裁判長殿


*作成:桐原 尚之
UP:20090718 REV:20110806
全国「精神病」者集団  ◇全文掲載
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