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『全障連』32


last update:20091219

 ◇『全障連』(全国機関誌)目次

全障連32(1983・12・7)
赤堀差別裁判糾弾闘争
11・27全国総決起集会に全力結集を!
5・23「差し戻し」決定を武器に差し戻しをかちぬこう・・・・・・・・・・著者不詳(p1-2)
1983・11・27
静岡で赤堀全国闘争開催(5・23差し戻し決定以降、初めての全国闘争)

裁判の状況
静岡地裁は、29日に承認の尋問を行うことに決定しました。弁護団は打ち合わせの際に三点の要請をおこなっていましたが、証人への尋問を突破口に、差別デッチ上げを明らかにし、早期に再審開始を勝ち取って行きましょう。

赤堀さんの訴え
赤堀さんは、獄中から今後の戦いに向けて私たちに呼びかけています。それは、再審開始を見すえ静岡での獄中支援をはじめ闘いの体制を作り上げること、皆で団結して闘いをすすめること、「病」者・障害者の介護をきちんと行っていくことです、特に静岡での支援奪取闘いの体制は再審開始決定後の赤堀さんの身柄の移管が考えられるし、極めて重要かつ急務の課題です。

11・27決起集会に結集を
差し戻し決定の内容には、差別的精神鑑定に基づく「精薄の赤堀が迎合する自白をしたんだろう」と、拷問・デッチ上げを差別によって隠蔽したり、無実の重要な証拠が無視されるなどの問題があり、今後の裁判においても決して楽観できませんが11・27、29を突破口に大衆的な闘いを作り上げ、再審請求開始、即時釈放を実現していかなければなりません。静岡の「病」者、障害者の仲間や、一貫して赤堀さんを支え続けている島対協、その他多くの人々と連帯、共闘して、11・27闘争の成功と獄中の赤堀さんを守り抜き、今後の闘いを強めていきたいと思います。

添付資料 朝日新聞10月1日
「島田事件差し戻し審 十一月末にも初公判 地裁など三者初会合 弁護団・記者を証人申請」

第三回、富山市糾弾会に結成を・・・・・・・・・・著者不詳(p3〜4)
11・28 第三回目の糾弾会

三月末に、昨年九月に出された富山市の照会文が「差別であり」「障害者運動を妨げるものであった」という内容の確認書をとりつけ、7月と9月に二度の糾弾会を続けてきました。

第一回・・・・新任の厚生部長、福祉課長に確認書の引き続きを再確認した上で、障害者に対する意識の問題、さらに具体的課題について基本的姿勢の追求を行いました。とりわけ、生活・施設の課題では、「障害者が地域社会で自立して生活する」ことを基本都市、現在、介護や所得・生活保障がなされていないことを「差別の結果である」と認めさせ、「行政としてできる限りのことをする」との回答を引き出す成果を得ました。

第二回・・・・交通問題で「車イス障害者に対する乗車拒否は差別であり、基本的人権の侵害である」ので「行政として企業等にやめるように指導する」との見解を引き出すことができました。

第三回糾弾会の方針
第三回の糾弾会では、医療、一般社会意識(優性思想を含む)の課題を追及し、障害の考え方や差別意識をなくすという姿勢という、もっとも難しい課題が追及されます。そして、生活・教育・労働・交通・医療・意識の課題ごとに必ず実施してもらわねばならない施策、あるいは方針を具体的に提起し、これを富山市に認めさせる最終的な段階となります。

「精神衛生実態調査」を阻止しよう―10・29全国総決起集会の報告と今後の方針
10・29全国総決起集会の報告と今後の方針・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・村田実(pp.5-6)

これまでの闘いの経過
私達全障連は第八回大会で精神衛生実態調査(以後「実調」とする)反対の決議をあげてきました。・・・・(中略)・・・・・私達は八三年六月七日に「全国阻止共闘」を結成しました。六月下旬と七月中旬に厚生省との交渉を設定し,事務折衝では,日時・人数までも決めました。しかし二度とも交渉の三日前になってから,厚生省は一方的に「あなた達のような過激な団体とは話せない」と通告してきたのです。私達は怒りを表すために先にも書いたように,全障連大会の初日に「実調」反対の決議をあげて,デモの中で決議文を厚生省精神衛生課に手渡してきました。その後,九月四日から全国の仲間が東京に集まり決起集会を持って三日間の厚生省前での座り込みとハンスト行動を「精神障害者」との団結で行いました(p5)。


ますます広がる闘いの輪
全国の闘いの情況(編集部)
北海道・・・・・・行政交渉中
宮城・・・・・・・行政交渉中
山形・・・・・・・行政交渉中,確認なしで実施しないことをとりつける
富山・・・・・・・行政交渉,各病院に要請
埼玉・・・・・・・行政交渉,各病院に要請
栃木・・・・・・・県に抗議書,各病院に要請
東京・・・・・・・各病院に要請,行政交渉,座り込み
神奈川・・・・・・行政交渉中
静岡・・・・・・・県に申し入れ
愛知・・・・・・・行政交渉準備中
長野・・・・・・・行政交渉中
京都・・・・・・・集会,府は交渉を拒否しデモ行進
大坂・・・・・・・行政交渉中(強引にやらない・調査の内容に疑問)
滋賀・・・・・・・集会
奈良・・・・・・・行政交渉中
兵庫・・・・・・・行政交渉中
岡山・・・・・・・行政交渉中
愛媛・・・・・・・行政交渉中(打ち切られる)個別に医師へ要請
徳島・・・・・・・行政交渉中(強行実施の姿勢)
香川・・・・・・・行政交渉中
高知・・・・・・・行政交渉中
福岡・・・・・・・行政交渉中

行政闘争と病院への要求を強めよう
今後の方針については,今までとそんなに変わりがありませんが,地域の病院に対する闘いを強めていかなければなりません。それは,各県段階で,市を通さず,いきなり病院へ実施要領を送りつけ,しかも行政に協力的な病院を選びやろうとしているからです(p7)。

(厚生省との団交は―作成者)十一月十五日になると思います。また厚生省は「この調査を絶対にやりたいんだ。それは二十年前の統計しかないし,この実調の予算を使い切れないと,来年度この予算がおりるかどうかわからないから使い切りたいんだ」といいます。行政管理庁はいつ何時,実施要領が出れば許可をおろすかも知れません(p7)。

資料 朝日新聞朝刊(1983・10・28)「一貫性のなさ暴露 精神衛生調査の修正」,「厚生省『人権』に譲歩 同意前提,項目も絞る」


「声明」1983・10・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(pp.9-10)

私たちは,障害者の自立と解放をめざし,障害者自身を中心としながら,差別を許さず,地域で生きぬく要求を組織し,その実現に向けて闘ってきました。・・・・(中略)・・・・・・・今回の調査方法の特徴は,全患者に番号をふって掌握し,個々の患者に関する調査を担当医に記入させて行う,ということです。これこそ,政府―法務省によって保安処分新設を叫ばれている今日,その基礎資料として使われる危険性が存在し,プライバシーの侵害に止まらず,医者を患者に対する監視・抑圧者としてう一層打ち固めていくものに他なりません。・・・・・・・・・・(中略)・・・・一九五四年の調査においては「地区内の事情に通じている者から情報を集め,情報カードを作成する」という,文字通りの「精神障害者」狩りを行い,その結果「野放しの精神障害者・四三万人」という差別キャンペーンで隔離・収容が強化されました。六三年の調査によっても精神科病床数は急増し・・・・(中略)・・・・更に,七三年の調査は,患者,家族,医療従事者・自治体労働者などの全国的な闘いによって挫折,しかし,翌七四年には「刑法改正草案」を発表し,保安処分新設を打ち出しているのです。

近況 身体障害者福祉法改「正」に向け,具体的方針が出される
障害者生活保障専門家会議報告書
身体障害基本問題検討委員会報告書
批判と私たちの立場・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11-14

7月には「障害者生活保障問題専門家会議」(厚生大臣の諮問機関),8月には「身体障害者基本問題検討委員会」が出た。

「その(社会的責任の―作成者)取り上げ方は『発生した障害を克服し自立生活を営むことを障害者の自助努力にゆだねることには限界があり,社会全体が連帯して障害者の生活を保証していく必要がある」としています。即ち「障害の克服と自立」の「自助努力」が強要され,その限界に対して「社会連帯が求められているのです。」(p11)

※所得保障の具体的内容と批判

報告書の内容
@福祉年金を国民年金の障害年金と同額にする
A福祉手当を「特に重い者」に絞って倍にする

全障連から見た問題点
@他の年金制度には所得制限や,収入がある場合は衒学がある。
A福祉手当は「最重度」に絞られ,現在受給している者がカットされる場合もある。
B財源は他の年金制度から回されるので年金加入者一人月二〇〇円ほどの負担増となる。C「他のサービス給付があれば支給調整」「在宅福祉サービスや施設入所の費用負担」と生きるための不可欠のサービスを自分の金で買わなければならない仕組みが作られる

「報告書では『所得保障は,障害により失われた嫁得能力の補てんと,重度の障害により特に要する費用の補てんの双方の観点を踏まえて』と書かれています。であれば,障害年金と福祉手当合わせて,八万円で全ての生活をやれということでしょう。衣・食・住・『障害により特に要する費用』が八万円でできるというのでしょうか。生活保護でも障害加算があるにもかかわらず,この年金にはないし,介護保障については触れられてもいません。」(p12)

※運動の基本姿勢
@安心して暮らせる所得保障・年金
A国―行政責任による地域保障

「ここに出された八万の年金はそのどちらをも納得させるものではありません。」(p13)

資料「障害者生活保障専門家会議報告書」(略)


*作成:廣野 俊輔 
UP:20091219 REV:
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