『全障連』31
◇『全障連』(全国機関誌)目次
全障連31(1983・11・11)
「圧倒的な障害者の結集で80年代の障害者解放闘争の基礎を築く!―全障連第8回大会」・・・・・・全国事務局長 西岡務(p1-7)
(1)怒りを結集し,あつい討論をまきおこした三日間(7・29〜31)の報告(東京)
1,車イス障害者百数十人を先頭に圧巻の中央官庁抗議デモを貫く
・支援組織
太田教組
大田区職
大田区内関係労組
都労連
都職民生部
・連帯・共闘のアピール
障害連
視労協
全国「精神病」者集団
赤堀政夫さんと部落解放同盟中央本部
三里塚芝山空港反対同盟
総評
自治労
都労連
社会党
八代英太
「今年の基調は,情勢分析を深め政府―支配者の八〇年代障害者政策を見抜くために中央身体障害者福祉審議会の答申(八四年d身体障害者福祉法改「正」の方針)を徹底批判した。そして,政府―厚生省の体系的な差別・抹殺攻撃と闘う方針として,@刑法改悪―保安処分新設や優生保護法改悪など露骨な障害者抹殺の政治攻撃との対決,A身体障害者福祉法改「正」を徹底批判し,富山差別行政糾弾闘争に始まった行政闘争を発展させ制度政策闘争を強化させること,Bそのために,障害者解放闘争の原則と闘争課題を整理すべく障害者解放基本要求要綱作りの論議を開始したこと,Cそして,この数年強力におし進めて運動の大衆化を組織的に推し進めることが提起されました。以上のように,今年の全障連は,七年の運動の蓄積で,金井康治君の中学入学実現,赤堀差別裁判糾弾闘争で「差し戻し決定」の実現,大原さんの国鉄糾弾闘争などをかちとり,差別糾弾実力闘争であげた大きな成果の上にたって,八〇年代の解放闘争の基本方針をうち出したのです(p.2)
・中央官庁デモ
2,具体的討論・活動目標が討論された部会
「今年の特徴は,交通分科会が独立して設けられ,参加者も増えた。生活分科会では,介護問題で介護補償要求者組合づくりや介護派遣センター構想が深めれた,教育分科会では,新たに「理論」の分散会で石川氏(東大小児科医),岡村氏(関大教授),近藤氏(和泉市教育研究所),の講演を中心に討論をした。労働では,情報センターづくり構想と,差別と闘う共同体の結成が準備されつつある。医療分科会では,優生保護法改悪阻止の闘い,精神衛生実態調査阻止の闘いと具体的闘争課題が討論され,障害者と情勢など立場と闘いの視点で議論がかみあわなかったものの共闘した闘い歩を組む決意と方向が確認された。」(p.3)
3.千五百〇〇名(三日間のべ四〇〇〇名)の参加者で成功をかちとる
・東京都知事,大田区長のメッセージの紹介
・次に静岡地方裁判(赤堀さんの再審開始),静岡教育委員会(石川重朗勲の転校実現),に対する大会決議をあげ,二年目の反戦・反核の立場を明確にした「反戦・反核・三里塚軍事空港粉砕の闘いに関する特別決議」を採択した。(p4)
(2)大会の中間総括と今後の課題
「(障害者の参加は増えているが―作成者)一方,労働者,学生の参加者が減ってきたことは深刻に総括する必要がある。反差別運動・大衆運動が全国的に停滞している現状では,障害者解放運動への影響もやむを得ない面があろう。しかし,全章連運動が文部省糾弾連続闘争―梅谷・金井闘争という象徴的な実力闘争をくぐりぬけていまいちど大衆闘争の内実が問われていることも事実である。すなわち,障害者解放のわかりやすく思想的にも鋭い大衆闘争が,政府―支配者の巧みな攻撃で組みにくく,一方で政治闘争に一般化され,一方で日常活動に埋もれてしまうようなパターンに流されているからだ。(p.6)
「障害者解放基本要綱作りに向けた討論は今大会では初めて提起され,初めて見た人もおり,突っ込んだ討論はされていない。またこれまでの全障連運動とは質が異なったものとみられ議論しにくいと感じている人もいると聞いている。一方,大会直後に「身体障害者福祉基本問題検討委員会」の報告書(福祉法改「正」の具体的方針)が出されたが,これを見るとなんら地域で自立の援助するものではない。政府―厚生省は,障害者運動の体制内化の傾向に我々をあなどり,もはや一つのアメも出そうとはしないと言える。」(p.7)
「石川重朗君の飯田東小転校実現に向け12・8 全国総決起集会に結集を!」(午後1時,静岡交通ビル)・・・・著者不詳(pp.8-9)
「現地からの報告にもあるように,静岡県教委の仲介で訪問教育→交流教育→転校の道をとって粘り強い闘いがくり広げられています。静岡現地では,この四月から清水市,県下各地で網の目集会を開き,重朗の闘いを障害者解放―反差別運動全体のものとしてきています。」(p.8)
1.県教委交渉をめぐる現状
「本年二〜三月の県教委による確認書の反古―防災体制の導入という全く許すことのできない状況の中,重朗君の転校要求闘争は五年目の新学期をむかえました。四月以降,私たちは,地域情宣を軸に,子供会創りを行い,同時に,広く県内諸団体と共に七月には,教育公演集会を行ってきました。一方静岡県教組を仲介に県教委との交渉再開を求めて,九月二二日には非公式ながらも,第一回の予備交渉を行いました。この交渉の中県教委は依然として転校要求を押さえつけるべく,訪問教育を開始するに当たって「転校はタナ上げにする」という確認書無視の姿勢を強硬に出してきました。私たちは,少なくとも,覚書にあるように,訪問教育はあくまでも飯田東小の教室で行い,それが転校へとつながっていく内容でないと引き下がることのできないギリギリの線で,今後の県教委との交渉を有利に展開しなければなりません。そのためには,県教委を追い詰めていくあらゆる行動を強化してきたいと思います。」(p.9)
2.全国キャラバン活動に協力を
各地風呂置く決起集会予定
9月25日 兵庫県
10月16日 大阪府
10月28日 富山県
10月29日 奈良県
10月30日 大阪府
11月19日 岡山県
11月20日 愛媛県
12月3・4日 東京都
『「全国精神実態調査」を阻止しよう 11・29 全国総決起集会の呼びかけ』・・・・・・・出版部(pp.10-11)
「精神衛生実態調査」の意図
@「施設調査」といいながら,精神医療,精神病院の差別実態にいっさいメスを入れず何の反省もしておらず,人権無視,「精神障害者」の隔離抹殺の実態を正当化している。
A第一次調査では精神病院精神科等に入院,通院するすべての障害者をリストしており,予断と偏見による「精神障害者狩り」を行っている。
Bしかも第二次調査ではこの中から一〇〇人に一人を抽出し,家庭環境から収入情況まで三〇項目以上に及ぶ詳細な調査を行い,まさしく個人調査でプライバシー侵害です。
Cまた調査は本人の承諾なしに行われるので個人に対する国家のあくどい介入でもあります。
Dさらに三二万床ある精神科病院を二〇万床程に減らし,「中間施設」に移すとしています。厚生省は「地域対策」と言っていますが,これは身体障害者にかけられている「地域管理体制」と同質のもので,あくまで行革路線にのった安上がり隔離政策です。
「九・四 全国決起集会 九・五〜七ハンスト闘争に参加して」・・・・・・・・・・・・関東ブロック・村田実(pp.11-13)
「今後の方針として私たちは,各地域で,病院・医師に対する調査拒否の働きかけと,各行政に対しての闘いを強めていきたいと思っています。東京都では,これから各区市で,行政闘争を主軸としてその中で病院(医者)に対する働きかけをやりながら,衛生局(都)との交渉を求めていきたいと考えています。」(p.12)
「今度の調査は予備調査から第二次調査までわけられていて,最終的に医者が勝手にある「精神障害者」のカルテをもとにして,本人の了解どころか知らされることもなしに調査票を作成してしまうというものです。このことに対して,「病」者からはすごい反発が出ているのに,厚生省は一方的にやろうとしています。」(p.12)
「第3回全国親の交流会が開かれる」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・不詳(pp.10-12)
「この交流会は,兵庫教職員組合が国際障害者年を契機に「ともに生きる交流週間」を毎年開いており,これまでも兵庫の「障害者の生活と教育を創りだす会」とともに「親の交流会」を開いてきたのを,今年は全国的広がりとして考え,全障連もこれに応えて実現したものです。(p.10)
「差別と闘う全国共同体連合・隼のキャンプ」・・・・・・・・・・・・・・・・・・・松場作治(pp.12-14)
1983・9・23 琵琶湖で差別とたたかう共同体連合(準備段階)の交流会
9・25 琵琶湖で差別とたたかう共同体連合の準備会
参加団体:なまずの家(東京),ワッパ(名古屋),あらくさ(滋賀),にっこり(滋賀),生野共同作業所(大阪),セルフ社(大阪),AZ(大阪),すばる舎(兵庫)
世界人権宣言35周年「人種差別撤廃条約を政府に批准させるとりくみに,反差別共同闘争の立場で参加を」・・・・・・・・・・・不詳(pp.13-16)
「部落解放同盟のよびかけにこたえた全障連は,中央・大阪・兵庫などで国際人権宣言三五周年「人種差別撤廃条約」批准要求の取り組みに参加しています。国際人権宣言,そしてそれに基づく国際人権規約は反ファシズム,反戦の立場で国連によって採択されたものであり,今日の反動政治の情況の中にあって,私たちの人権思想を深める取り組にしていく必要があると考えます。(p.13)
「障害者差別についても,ノーマライゼーション理念や,アメリカのCIL運動が,人種差別に対する力強い闘いの上に作られてきたことを考えると,私たちも「人種差別撤廃条約」批准を政府に迫る運動をともに広げ障害者解放の内実を作ることが求められます(p.15)。
資料 朝日新聞 9月13日「札幌市教委の障害アンケート 無神経な差別設問」(p.17)
※障害者と遊ぶのは嫌だと思うか,知的障害の子どもは将来犯罪を犯すと思うかなどの質問→「札幌・共に育つ教育を進める会」の申し入れで中止。
「あて名と住所が展示の郵便物もOK(大阪)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・不詳(p.18)
2年前から展示のあて名・住所の手紙を送る運動をしていた。その結果近畿郵便局から点字であて名や住所が書かれている手紙も郵送するようにとの通達をかちとる。この通達が生かされているか調査している(作成者要約)。
*作成:廣野 俊輔