HOME > BOOK > 雑誌 >

全障連 23


last update: 20120819

 ◇『全障連』(全国機関誌)目次

全障連 23(1982・11・25)

全障連第7回交流大会(82・8・6〜8/岡山、参加者1200名)

新たな仲間を結集し、成功させる 運動の大衆化、組織活動の強化をめざし、さらに闘いをすすめよう
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・全国出版部(1-13)


・8月6日13時から岡山市民会館にて全体会
⇒今年から反戦反核運動を自らの運動に位置づけることを明示

・中川一二三全国代表幹事からあいさつ
⇒国際障害者年を契機とした「地域福祉論」=地域管理と障害者運動の弾圧攻撃を体系的に打ち出したきびっしい情勢の中にあって、全障連が障害者海保運動を強く展開するために障害者大衆の団結をもって具体的運動の方針をもつ必要性を訴える。

連帯・共闘のアピール
@障害者の生活保障を要求する全国会議
A視覚障害者労働問題協議会
B全国「精神病」者集団
C赤堀政夫さん
D部落解放同盟中央本部
E三里塚反対同盟
F総評中央本部
G岡山地区労
H社会党中央本部

全体基調(西岡務)
※今年の特徴
@行政改革によってもくろまれている、障害者きりすて−抹殺攻撃の意図を明らかにし、同じ質をもって進行する戦争への道を絶対に許さない。
A国際障害者年を逆手にとって政府―権力が打ち出した「障害者対策の長期計画」を詳しく分析し、これと対決するためにも私たち自身の具体的運動方針を構築すること。
B運動の大衆化と組織活動の強化をさらに大胆に推し進めること。

※質疑では行政大会後援のあいさつをさせることへの疑問がだされた。
⇒行政と手を握るのではなく、行政が私たちの力を認めざるを得ないということであると認識しているとの返答。

16:30〜 宮尾修(障害者の生活保障を要求する連絡会議 議長)による「福祉切り捨てと軍事大国主義」という記念講演

※分科会報告
 第一分科会 生活・交通
テーマ:「地域管理体制にむけた政府の『長期計画』政策を許さず、地域での自立生活をかちとる自らの政策を作りだそう」
分散会
@交通
・国鉄の駅にエレベーターを設置させる運動 国鉄における合理化の中でどのように当局を追及していくか。
・交通労働者との連帯の必要性
・一般の労働者に対しては障害者の介護にかかわらせることを通じて自らの差別性を認識させ、連帯を作り出していく。

採択された4つのスローガン(5)
一、交通危難の車イス障害者に対する乗車拒否を糾弾していく。
二、車イス障害者が1人でも安心して乗れるよう、運動を強化する。
三、運輸省による、バス乗車に際しての条件付けなど、乗車に規制をつけたり、条件を既成事実化することを撤回させる。
四、交通労働者、現場の労働者との連帯を推し進め運動をさらに強化する

A介護
・1982年10月に予定されている家庭奉仕員派遣事業の改変(対象の変更と一部有料化)への反対
・他人介護料特別基準の問題、今年になって厚生省が統一申請用紙を作った意図について論及(地域管理体制を強める一環との結論)。
・各地での介護保障、介護料獲得の運動の統一が課題。

※9月頃をメドに、1)家庭奉仕員派遣事業の改変、2)他人介護料特別基準について厚生省との交渉を準備する。

・2日目は健全者との関係について自由討論、以下発言を紹介(5)
☆介護に関わることで健全者のもつ差別意識、社会差別を認識させていく。
☆障害者が介護にかかわる健全者に怒りをもっても言えない。それは、ケンカになれば、介護を放棄したり、介護に来なくなったりする不安がある。こうした立場を健全者は認識する必要がある。
☆24時間の介護を受けている障害者は、プライバシーが守れない実情がある。介護のあり方、内容を含めて考えていかなければならない。

※この分散会の途中で「参加者が言語障害のある人の発言をきっちりと聞いていない」という提起あり。
⇒全障連の三原則を確認する。三原則とは、
1)言語障害をもつ人については、発言を保障し、発言をきっちりと聞く。
2)わからない時は、何度でも聞き返す。
3)情況により困難な場合には本人の意思を確認したうえで、障害者または介護者が発言をやり返す。

B所得・住宅 ・この間の取り組みとしては、大阪市で重度障害者の単身入居拒否などの制度を撤廃させた。
・既存、あるいはこれからできる公営住宅の何パーセントかを障害者住宅として設置すべきだと考える。
・所得については、まず年金や各種手当について多くの障害者が制度を知らない。
⇒行政を追及するとともに、全障連として制度の不十分な点を含めて学習パンフレットを作る必要がある。

・これまでの二原則をふまえて次の3つの提案をする。
1)まずは、福祉年金の金額を、拠出制の国民年金の障害年金と同額にまで引き上げる。
2)その上に、介護・住宅・移動・医療などの必要額を障害者の自己申請に基づいて上乗せする。
3)そして、一般労働者と同様の生活が保障される制度と生活費の給付を要求する。

・これまでの二原則とは、
1)所得保障は全面的に国の責任、財源でまかなわれる。
2)介護・医療・移動・住宅などの制度を含み、どのような障害者も地域社会で自立して生きることのできる制度とする。

※在日外国人に不利益があってはならない。

 第二分科会 教育・保育
@解放教育保育理論
テーマ:「障害者解放教育保育理論の創造をめざして」
・各地で進められている解放教育のとりくみの組織化の必要性
・関西で準備がなされている障害者解放教育保育研究会に注目し、各地でも地域に応じた取り組みを考えていく。

石川重朗君転校実現の決議文(7-8)

私たち全障連は、1982年八月六日〜八日、岡山における第七回交流大会において障害者自らの圧倒的結集のもとで一二〇〇人の参加を得て、成功を勝ち取りました。そして、石川重朗君の飯田東小学校転校を実現させることを参加者の全ての人々の決意をもってここに明らかにします。いま、私たちは全ての感覚で戦争への足音を感じています。それは、まさに障害者の生活を根底から崩し、命をもうばっていくことは歴史が明らかにするところです。政府、=文部省は教育の国家管理によって、戦争への準備を着々と推し進めています。その中で障害児・者たちは能力主義のいっそうの貫徹によって、社会の一員としての存在を奪われています。そのことは、先頃、文部省が言った「障害児の普通学校就学は、公教育の破壊につながる」といったことでも、その姿勢が現れています。養護学校義務化以降、文部省は「訪問教育」「交流教育」といった制度をおしつけ、障害児に対する差別・選別教育をより巧妙に貫いてきています。こうした攻撃は、私たちが当然のこととして闘い実践してきた「障害児と健常児が共に学び共に生きる」ことを、真っ向から否定するものとして受け止めていかねばなりません。このことは全国各地で就学闘争を闘い抜いている仲間への挑戦でもあるものです。まさに全障連が、今年二、三月闘争として闘い抜いた石川重朗君の飯田東小学校への転向実現に向けた闘いの中で静岡県教委がとった姿勢そのものと考えます。静岡県教委は、私たちとの話し合いの中で、「障害児と健常児が幼児期から地域で共に生き育ちあうことは必要である」と認め、いったんは障害者の想い、親の想いを理解したかのように見せました。しかし、四月に入るや、彼らは親の具体的な要求に対し、「石川重朗君の問題で来庁の方にはお会いできません」という前代未聞の面会拒絶の張り紙、そして、ロックアウト、ピケット体制で対応してきたのです。私たちはこうした県教委に対し、障害児・者と健常児・者が共に生きるという前提を無視した教育行政に、強い怒りを表明するものです。更に、それ以降、一切、話し合いに応じようとしない県教委にあらためて強い抗議をいたします。私たちは、梅谷・金井闘争でかちとってきた地平と確信をもとに、全国の仲間とともに静岡県教委を断固として追いつめ、今年こそ石川重朗君の完全転校を実現していくことこそ、障害者解放の闘いに勝利していく道だと確信しています。重朗君の未来を私たちの兄弟姉妹の未来であると考え、私たちは断固として闘い抜くことをここに宣言します。

A就学闘争
◎金井闘争について
康治君が春から入院
・7月から花畑東小学校での交流教育(7月は3回)
・転校のめどはまだったっていない。交流の回数を増やしつつ、完全転校を目指す。

◎石川闘争について
・3月に2度の全国大会、とりわけ3月30-31日には、17時間にわたる団交
⇒その後静岡県教委は居直り。

B教育保障と進路
・奈良の梅谷尚司くんに関する報告
・大阪の通信制高校・桃谷高校・友情の会から障害者の学習権保障と労働権奪還についての話。
・福岡教育大学の入学募集要項を問い直す会からぢ学受験要綱に健康診断などで障害者を排除していることについての告発。
・義務教育期でも高学年になると障害児がお客さん扱いされるという問題について話あう。

「教育内容は、実に基礎学力を身につけるのではなく、障害者と健常者が共に生きていくことができる関係を作りだすことが求められます」(8)

・高校の門を開くための運動の組織化が必要

 第三分科会 労働 作業所
@就労闘争
※別枠雇用をめぐる問題
・自治体の採用制度 「自力通勤のできる者」等の条件を撤回させる運動がある(豊中市、宇治市)。⇒これらの運動との共闘が必要。
・民間の中小企業で働いている障害者の現状が訴えられる。⇒仕事のしんどさの他に人間関係のしんどさでやめてしまうこともあった。

A作業所
「これまで、解放作業所は障害者が生き生活する、そして労働に積極的にかかわる場を自ら作っていくものであり、だからこそ、「流される汗の量」は、生産の量を問わず、平等であると確認してきました。また、この実践の中で差別をなくし、共同して問題を解決していく新たな関係、1人一人の主体的かかわりを生み出していくのが、解放作業所の運動です。したがって、解放作業所は生活や雇用での行政の代行では決してなく、自らが地域の中で生活を獲得し、労働を獲得し、人間関係を獲得していくものです」(9-10)
・名古屋のわっぱの会が法人化を要求

 第四分科会 施設
・施設在所性から、施設の非人間的処遇の実態が告発
・東京の清瀬療護園における重度障害者の自治会活動の報告
・知的障害者の施設で、清瀬のような活動がどのように展開できるかが議論された。

「施設にいる『精神薄弱者』の要求や主張をつかみきれていない施設労働者の姿勢の問題があり、私たちが代弁して語れるものではない。清瀬療護園の実践を自分の現場でどう生かせるかを考えてほしい」(10)。

 第五分科会 医療
テーマ:「強まる医療差別の実態を明らかにし、各地の実践を交流する中で、障害者解放に向けた医療のあり方をさぐろう!」
・精神障害者と保安処分について議論

※レポート
@大阪青い芝の会「生活調査」を通した地域医療の差別実態報告
A東京の堀さんから入院体験の差別実態を告発
B富山の河上さんから出産体験を通して差別実態報告

・遺伝相談、羊水チェックをめぐる議論
・営利主義の医療をくつがえす大きな運動の必要性
・医療小委員会の実現のメドは立たず

 第六分科会 赤堀闘争
テーマ:「せまりくる赤堀さんへの抗告棄却――獄中攻撃を許さず、差別と排外の保安処分をうち砕く三者共闘の更なる強化をかちとろう!」
@赤堀さんとの連帯
※レポート
・仙台赤堀さんと共に闘う会
・全国「精神病」者集団
・徳島赤堀さんと共に闘う会
・奈良赤堀集会実行委員会

・赤堀さんの獄中弾圧の強化にどう向かっていくのか
・全国の刑務所で「精神障害者」に強制医療を行う動向に注目が必要
・裁判状況については、検察側が1982年7月28日に有ヶ谷、石沢証人の2人の事実調べについて撤回を申し立て。
・5月裁判長が小松から鬼塚に代わったことを契機に、赤堀さんへの獄中死ー死刑攻撃がさらに強められている情勢に対して、三者共闘に軸にして闘いを強めることを確認。

A反保安処分の闘い
山形
愛媛
石川
仙台
千葉
群馬
東京
福岡
山口
関西

からそれぞれ報告あり。「精神障害者」の置かれている差別状況が提起される。連帯のあり方について議論

B差別裁判との闘い
※レポート
・岡山のMさん
・岐阜の厚見中放火事件
・東京 聴覚障害者の人の人権を守る会(裁判での手話通訳拒否問題について)
・千葉(野田事件
・障害者の裁判を受ける権利をめぐって議論(弁護士、手話通訳、強制自白)
・参加者全員で赤堀さんに寄せ書きを書く


10・24大阪城公園=反核・軍縮大阪行動 私たち障害者も参加します
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(14)


'82反核・軍縮・平和のための大阪行動 障害者行動実行委員会

呼びかけ人
      井上憲一(障害者の生活保障を要求する連絡会議 関西オルグ セルフ社)
      河野秀忠そよ風のように街に出よう
      西岡務(全国障害者解放運動連絡会議事務局長)
      牧口一二(おおさか行動する障害者応援センター)

参加団体
     全国障害者解放連絡会議
     障害者の生活保障を要求する連絡会議
     視覚障碍者労働問題協議会
     奈良「障害者」解放研究会
     尚司君の未来をきりひらき共に生活を考える会
     社会福祉法人「解放の家」(仮称)設立準備会大柳生牧場を支援する会
     全障連京都実行委員会
     京都反公害薬害連絡会議
     国際障害年を機に障害者の自立と完全参加を求める大阪連絡会議、同奈良県民連絡会議
     障害者問題を考える兵庫県連絡会議


今秋、赤堀反保安処分闘争を全力でとりくもう!・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(16-17)
※今秋、赤堀闘争は決定的に厳しい状況

@いっそう露骨な差別裁判
7・28以降
・有ヶ谷、石沢の証人調べ請求の撤回
・3鑑定を圧殺する意見補充書を高裁に提出
・「抗告審段階で提出された証拠は証拠にならない」となりふり構わぬ反撃に出ている。

「そして、3鑑定が証拠として取り扱われることを通じて、より差別に貫かれたデッチ上げが暴露されることに恐怖し、抗告棄却―死刑執行攻撃に打って出ていることは明白です。そればかりか、今回の意見補充書には「事後審」説を持ち出し、現在の再審制度そのものを否定してまでも差別裁判を貫こうとする並々ならぬ決意をもって棄却に打って出る攻撃です」(16)

A獄死攻撃をはかる宮刑
・宮城刑務所が「精神障害者処遇研究会」を設置
⇒「精神障害者」への強制医療とチーム処遇による管理体制の強化

B強まる保安処分攻撃
・新宿バス炎上事件
・深川事件
・日航機墜落事件
・東大教授殺人事件
・佐賀事件

などの事件に関する差別キャンペーン

赤堀反保安処分闘争を全力で

闘争スケジュール
10・3島田現地調査−赤堀中闘委主催
AM11:00 快林寺 集合

10・16 拘禁二法シンポジウム−百人委員会主催
11・14 赤堀闘争全国総決起集会(明治大学)
11・18 刑法―保安処分全国集会−百人委主催


厚生省の新たな「地域管理体制」 ホームヘルパー制度の改悪に反対する介護保障要求運動の拡大にむけて闘いをつくろう
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(18-19)


・1982年9月13日 全障連 生活小委員会 厚生省交渉 テーマは10月1日から実施される家庭奉仕員派遣制度の改変にともなう介護保障のあり方。

ホームヘルパー制度改悪反対 有料化は差別の拡大だ!

更生課 「これまでホームヘルパーの派遣は、非課税世帯に限られていたものを、全世帯に対象を拡大し、それに伴って課税世帯に一定の負担をしてもらう、事業の拡大を考えている」

※家計中心者が税金を納めている場合には、料金が発生する。
※介護人派遣事業がなくなるおそれがある。
※自治体が行っていた週四時間を超えて介護人派遣をしている取り組みなどが壊されるおそれ。
※新しいホームヘルパー制度は一週6日、一日6時間となっているが、最高1週間にのべ18時間。

全障連の主張
@ホームヘルパー制度をあくまでも本人への施策とせよ
A申請者は障害者本人とすべき
B受益者負担は所得による差別を生み出すからやめるべき
C家計中心者の所得による負担の制度化で親は申請しなくなるおそれがある
D介護料を負担する家としな家でサービスに格差が起きる恐れがある
Eホームヘルパーの非正規化、非常勤化⇒サービス水準低下が起こる
F介護人派遣制度として各自治体で行われていた介護保障を壊すな

⇒通達はまだ出していないとのことであったが、9月8日付で通達を出していることが発覚

生活保護・他人介護料特別基準のしめつけを許さない
・今年になって他人介護料特別基準について統一申請書をつくり指定医の診断書、介護者リスト、「介護契約書」をそえることを強要。申請基準を強化し、締め付けるおそれ。
⇒@医師の指定をやめさせる
 Aしめつけを許さない
 Bあくまで必要な全面介護保障の一環として基本姿勢を変えさせる

※次回交渉は10月30日



*作成:廣野 俊輔
UP: 20120819 REV:
全障連  ◇『全障連』(全国機関誌)目次  ◇障害者(運動)史のための年表
TOP HOME (http://www.arsvi.com)