『寄せ場』6号 特集:文学表現の寄せ場
日本寄せ場学会 編 199304 現代書館,224p.
[Korean]
last update: 20200115
■日本寄せ場学会 編 199304 『寄せ場』6号 特集:文学表現の寄せ場,現代書館,224p. ISBN-10:4768477569 ISBN-13:978-4768477564 \2200
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[kinokuniya] ※ e03 p06 h03
■内容
編集後記(221ページ)
この第六号から、編集スタッフが一新され、西日本支部に本拠をおく編集委員が中心となって年報を作成することになった。とはいっても、出版社、印刷所との連絡、最終工程での詰めなど、重要な実務のほとんどは、従来どおり、S氏をはじめ東日本の会員の奮闘によって支えられている。
一読していただいて明らかなとおり、本号の諸論稿は、寄せ場の日常とじかに接する地点からやや距離をおいたかに見えるテーマとかかわるものが、比較的多数を占めている。これはもちろん、編集委員会が意図した結果ではない。けれども、かねて懸案だった小冊子シリーズが、ようやくこの春あたりから出発できる見通しとなったこととあわせて考えるなら、必ずしもマイナスとはいえないだろう。春の総会、秋のシンポジウム、各支部での例会などでなされる研究報告は、これまでは年報『寄せ場』を構成する中心的な柱のひとつとなってきたのだが、それらは今後、個人研究や共同研究の成果とともに、「寄せ場叢書」ともいうべき小冊子のシリーズとして、逐次刊行されるはずである。
日本寄せ場学会も結成以来すでに六年を経た。内外の批判や要望にどう応えるか、というつねに新しい責任にかんしては、とりわけ本号の丹羽論文がきびしい批判=自己批判を提起している。この提起を契機として真摯な内部討論がなされるのでなければ、寄せ場の現実とかかわるものとしての存在が問われることになるだろう。各支部の例会はもちろん、さまざまなかたちでの論議を、編集スタッフからも呼びかけたい。
■目次
フォトグラフ 笹島・春夏秋冬
石炭荷役と火野葦平――「文学表現の寄せ場」序章
池田浩士
忘却の共同体と戦場の記憶――「日本人」になるということ
富山一郎
有用な身体への配慮を巡って――一九三〇年代新生活運動を中心に
雑賀恵子
寄せ場研究は寄せ場に何をなすのか?
丹羽弘一
労働者世界への途
池野高理
松代大本営からの視座――詩・解題
矢水由紀彦
【年報編集委員会報告】
煉獄の人々――釜ヶ崎・顔づけ――暴行に対する抗議事件第一報告
寿町冤罪事件――弁護士からの報告
男性解放運動の現状と射程
てるおかとおる
追悼・宮内康
布野修司
【ヨセバ・クリティーク】
二度あること、三度あること――佐藤洋二郎『河口へ』を書評するについて
下平尾直
日常の奪還と共有への試行――長倉洋海『フォト・ジャーナリストの眼』
榊原達哉
〈寄せ場〉発ニュースレター紹介
〔学会日報〕/〔編集後記〕/〔Summary〕
■引用
■書評・紹介
■言及
*作成:樋口 也寸志