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『そぞろ通信』2005

山口平明


◆2004/01/16 そぞろ通信 1月号
◆2004/02/19 そぞろ通信 2月号
◆2004/04/10 そぞろ通信 3月号




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★そぞろ通信#40★1月号*2005_1_16
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発行☆山口平明(大阪・天音堂G)
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■もくじ■

[1]archives◇ 十八歳、天音の四季をたどる《9》_/~山口平明
[2]家事細見帖 正月の食事の巻_岡本尚子
[3]編輯後記_/~haymay

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■1■《archives》十八歳、天音の四季をたどる《9》[一九九九年十
二月] 山口平明

以下の文章は、一九九九年(天音十八歳)後半から一年にわたり、松下
竜一さん主宰発行のミニコミ「草の根通信」に毎月連載で書いていたも
のです、単行本未収録。
なお松下竜一さんは、去年二〇〇四年六月十七日に逝去されました。
六十七歳。また、娘の天音は二〇〇〇年十月十六日に、十九歳四か月で
死亡しました。「草の根通信」を購読していなかった皆さんに読んでい
ただきたく「そぞろ通信」に再録しました。

◆━━━━━━一歳からずっと体重に変化なし━━━━━━◆

【十二月四日】高校時代のクラスメートTFさんと梅田で会う。神戸
に住む彼女は大阪に用事があってきたついでに、私のサイン本を数冊買
ってやろうと電話をくれた。この人は妻君の本を周辺の人たちにたくさ
ん売ってくれた、私たちにとってありがたいありがたいお客さまなので
ある。口惜しいけれど私の本はヒロミ本ほど売れてはいない。

 主婦の彼女は、ヘルパーの講習を受けて、自宅近くの特別養護老人ホ
ームで週三日勤務している。老親の介護をしてきた経験を社会で役立て
たいと思っているやさしい女性である。天音にといってクリスマスの飾
り物(リースというのか)を贈られる。

 TFさんとは高校のときも卒業後もまったくつきあいはなかった。一
九九五年一月の大震災のあと、東京に住む同級生たちが関西で被災した
友人たちに問い合わせのアンケートをだし、その回答を一冊の文集にま
とめてみんなに配った。この文集に私のささやかな地震体験記(「あま
ね通信」に書いたもの)が載り、それを読んだ彼女が連絡してきてから
交友は始まった。

 彼女と私は、さしむかいでたこ焼き(明石焼き)を食べて割り勘で会
計をすませて店を出ると、ちょうど勤め帰りの人々が街路にあふれてい
る。二人ともお互いにゆっくりとおしゃべりできる時間はない。買って
くれた本の重い袋を片手に下げて、阪急電車の改札口へ向かう彼女を見
送る。

【十二月六日】天音の体重が落ちてきている。入浴後に計ったら七・
五キロしかない。八キロあると顔もふっくらしてみえるが、五百グラム
でも下がると、たちまち頬はこけて骨の上に皮膚が被っているだけのよ
うになる。

 毎日の哺乳瓶での食事量はほとんど変わらない。親にも判らないよう
なストレスが影響しているのだろう。一歳から変化のない体重。体調が
安定して八キロをこえても、いままで九キロになったことは一度もない。

 七キロをきると危ない。高熱がでたときに予備力がなく、病気を重く
させてしまう。七キロ台の数百グラムの上下に生命の行く末がかかって
いる。

 昨日の「朝日新聞」の「わが家が立場を問われたら」の囲み記事で、
国旗・国家法の制定にともなう国民の動きへの懸念と不安を扱っている。
十月に国体が開かれた熊本県では、開会式前日に熊本城二の丸公園で
「天皇陛下ご即位十周年をお祝いする県民の集い」がもたれ、六千人も
の参加者が日の丸を手にしていたという。

 勤務時間内だが上司から社員十人が「当番」で行くようにいわれたと
か、四つの私立高校の生徒二千人が動員された、とある。

 熊本県知事の祝辞。《皇室三千年の歴史は国民の誇りであります。戦
後、歴史の否定から暗黒の時代が長く続きました。しかしその時代も国
旗・国家法の制定でようやく明けようとしています》。つづいて県内市
町村長を代表してあの水俣市長が挨拶。《天皇陛下におかれましては、
園遊会で水俣病のような、ほんの日本の地方の小さな出来事にお心をは
せていただき、深い感激を覚えました》。

 熊本大学の学生の奉祝の言葉。《外国の障害者にもお心を配られるよ
うなおやさしい元首を頂いているのは、世界広しといえど、日本だけで
はないでしょうか》。最後は五千人の提灯行列でしめるという一大行事
だ。

 田中伸尚さんのコメント。《熊本のような奉祝の集いが粛々と行われ
る下地は、全国各地にあまねくある。問題は行事が存在することではな
い。水俣病を『地方の小さな出来事』と表現しても、会場のだれも驚か
ないような想像力の欠如が、国民を覆っている。この方が大事だ。そう
した素地の上に不況などの要因が重なって、九〇年代型の国家主義が出
てきている》。

 じゃあどうすりゃいいのか。私も好きな文芸評論家の斎藤美奈子さん
は、《いま、何千、何万という人が一つのものに心を寄せることの不気
味さを感じる》といい、戦前の国防婦人会や愛国婦人会を調べると、現
代の消費者運動やボランティア運動とノリが似ていることに驚くという。
えっ、そうか、ノリというとらえ方は戦前はなかっただろうが、付和雷
同あるいは軽佻浮薄といいかえればよく分かってくる。強制じゃないが、
そうせざるをえない事なかれ翼賛とでもいえるような空気と雰囲気。

《個性化が進んだと言われるけれど、その一方でみんな、マス(集団)
でくくられることに慣れちゃってる。これから全体主義的な流れに歯止
めをかけるとしたら、それぞれの問題の是非で判断するのではなく、み
んながイエスというものにノーと言っていくようなあり方でしかないの
かもしれない》との斎藤さんの言葉を、愚かな私はよく解ってないのか
もしれないが、臍曲がりで天の邪鬼なぶん「みんながイエスのときに自
分はノー」といって少数者になるのは大好きである。ええぞ、ええぞ斎
藤、よおゆうてくれた。(「朝日新聞」一九九九年十二月五日朝刊、
「日本は変わったのか/第3部「わが家が立場を問われたら 提灯行列」
の記事によった。)

【十二月十三日】仕事机の照明器具が故障する。スイッチが具合悪い。
ネジ回しで分解して調べてみるがだめだ。ハンダづけしてある部品ごと
交換しなくてはいけないようだ。

 抱っこ抱っこの天音のいるわが家では、さっと事は運ばない。夫婦の
どちらかが、外出するとなると、その手当てが大変である。かつてビデ
オデッキの故障では修理の人に家へ来てもらった。照明器具は持参しな
くてはいけないだろう。いずれ暇をみてもっていくことにして、近くの
店で安物のアームスタンド式の照明器具を買ってくる。ようやくこれで
ひと安心。

 妻君が外出するのと私のそれとではまったく段取りがちがうし、天音
への影響も全然ちがう。であるにしても家にいて仕事をする私の気持ち
としてはそれなりに気をつかっている。

【十二月二十二日】昨夜、ある会合で空きっ腹に焼酎を飲んだせいか、
かなり酔ってしまう。若くて体力のあるMKさんが自転車の荷台にのせ
て家まで送ってくれる。もちろん妻君は怒髪天を衝く勢いなり。

 母子の寝静まるのをまって仕事部屋にひきこもり明け方まで、「あま
ね通信」83号の編集後記を書く。三時間ほど仮眠をとって、起きてきた
妻君に夜中に書いたばかりの原稿のプリントを渡すと、天音に食事をさ
せてからすぐに版下への貼りこみにとりかかってくれる。私はその間に
版下校正にとりかかる。

 揃った版下を印刷会社へ自転車で届ける。昨日今日と自転車ばっかり
やなあ。二人乗りの後部座席(荷台)に耐えたお尻の痛みとヒロミさん
に叱られた心の傷みがリンクされて、そこはかとなく年末ちゅうかミレ
ニアムちゅうか、「あまね通信」を二人で力を合わせてやれたなあ、と
いう喜びと満足の思いがわいてくるんやった。

【十二月二十七日】またまた自転車で「あまね通信」83号完成品を受
け取りに印刷屋さんへ。ヘルパーさんにも手伝ってもらい、食卓を囲ん
で発送作業に集中。郵便番号は住所シールに記載してあるが、年末はミ
スが起きやすいため、封筒の上端にも書き込む。天音はなぜか静かにし
てくれる。雰囲気を感じてくれてるのかも。

 夕食後も作業を続行。夜十時すぎ、私が眠そうにしていたせいか、珍
しく妻君が投函に行ってくれる。天音は「静かちゃん」、こんな日は飲
みがわるい。

【十二月三十一日】天音との暮らしはじつに気ぜわしく心がせいて、
一年なんてあっという間に過ぎてしまう。二〇〇〇年問題が世上うるさ
いけれど、わが家はなんの買い置きも準備もせずじまい。暖房も風呂の
湯も電気に頼っているが、停電のときはそのときと、腹をくくるでもな
く居直るわけでもなく、友人知人や人さまに助けてもらえばいいと勝手
に思っている。 (初出「草の根通信」二〇〇〇年3月号)

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■2■[家事細見帖]正月の食事の巻_/~岡本尚子

【正月は 立ち喰ひと 腹くくりたる】

 去年の年末も、取材と原稿三本かかえてしまった。しまったしまった
…。どうしょう…よし!「お母さんゲンコーあるから」と子どもたちに
おせち料理のレシピを渡した。「げえ、今年も?」とげんなり顔の子を
背に「うまくいったぞ!」。出来なんてどうでも良い。喰えればいいの
だ。

 どっこい年が明けて、子どもたちは喰らうだけと化し、箸を持つだけ
となった。料理をつめるのも、お雑煮作るのも、入れるのも、皿を出す
のもみんな私の仕事。

 また、子どもらはよく食べる。一品置いて、次を盛ってふり向けば、
何もない。その間、酒を燗したり、おかわりを入れたり…。

 そして、元旦から客登場。おせちをつめ、箸を出し、酒を出し、お茶
を出し、コーヒーを出し、お菓子を出し、ぜんざいも作り、出し…。帰
れば、次の客が…。また、おせちをつめ直し、箸を出し、酒を出し…。

 それが帰れば、家族の晩ごはん。おせちの他に、いため物、汁物…あ
っという間になくなる。お重もカラッポ…。

 それを3ヵ日続けましたワ。ああシンド。正月は来てほしくないゾ!
誰が正月を作ったのじゃ。

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■3■編輯後記 henshukoki

☆今年初めての「そぞろ通信」をお届けします。このところ企画展のた
めの調べ物と勉強に明け暮れている。受け身で生きてきた小生は、先を
見通して計画をたてるというのは苦手中の苦手だ。

☆変則でも非常識でも自分のやりやすい手法で美術と文芸を結びつけな
がら、スローライフ、スローワークを旨としつつ独自の行き方ですすめ
ていきたい。ところで、スローというとエエカッコだが、のんびり暮し、
ノロノロ仕事といい変えるとショボくなるね。どうせ還暦になってから
始めた画廊事業だもの、洋々たる将来は微塵もない。

☆とはいえ作家のほうからすると急に企画を提案されても困るだろう。
そのへんお互いの調整がなかなか難しい。ずっと先々まで見通して計画
しても、こっちがそれより手前で死んでしまうことも充分にありうる。
(七年前、いっぺん死にかけた。)

☆ぼくのライフワークは、娘・天音と共に棲み暮らした二十年にあった
と思っている。その喪失による無気力の空隙ををふさぐものとして、あ
の子の追悼になることをしたいと画廊を始めた。有体にいえば、なにか
に没頭していれば無力感を抑えられるてなもんである。

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■蛇の足■

◇天音堂ギャラリーにかかわることは、インターネットの「さるさる日
記」に書いています。これは自分のホームページがなくても、フリー
(無料)でレンタルしてくれるものです。アップロードも実に気軽にでき
るので、ぼくみたいな永遠ビギナーでもつづけてやれている。消息がわ
りに読んでくださればありがたい。購読はもちろん無料です。
タイトルは、【「天音堂ギャラリー」堂守そぞろ日誌】。
グーグルやグーなどの検索サイトでこの言葉を入力してもヒットします。
ここから次のアドレスをクリックしてもサッと日誌へ飛びます。
http://www3.diary.ne.jp/user/348493/
◇ケータイにも対応しています。
http://www3.diary.ne.jp/i_log.cgi?user=348493&log=now

◇急に決まった企画あるいはオフ会とか飲み会の告知、緊急の助っ人の
お願いなどを、この日誌に書いていきます。世路支駆。

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◎本誌は【1行32字】で改行、閲覧には【等幅フォント】が推奨です
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月刊【そぞろ通信】1月号_#40□2005_1_16発行配信
創刊2001-10-16□「あまね通信」改題通巻125号

編輯発行人□山口平明(天音堂ギャラリー)
 連絡先□ amanetant81@hotmail.com

※転載は全文をコピペ/引用や複製は典拠を注記/平明に一報されたし
※著作権は執筆者に属しますので、転載引用の時にはご配慮ください
※転送したいとき先様のアドレスを知らせてもらえば直接配信します
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*「そぞろ通信」まあ寒いぞ睦月号ココマデ。近況お便りください。
【※懇請※】返信機能は使わんとメールはここから【↓】頼みます。
○お便りの宛先アドレス(250MB) 》》→ amanetant81@hotmail.com


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★「そぞろ通信」の山口平明です。
まだやってます、「そぞろ通信」41号、お受け取りください。
編輯後記だけでも読んでください。お元気で。050219BCC配信

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★そぞろ通信#41★1月号*2005_2_19
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発行☆山口平明(大阪・天音堂G)
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■もくじ■

[1]archives◇ 十八歳、天音の四季をたどる《10》_/~山口平明
[2]画人手帖その1 「タカハシノブオ」の巻_/~サカモトユタカ
[3]編輯後記_/~haymay

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■1■《archives》十八歳、天音の四季をたどる《10》[二〇〇〇年一
月] 山口平明

以下の文章は、一九九九年(天音十八歳)後半から一年にわたり、松下
竜一さん主宰発行のミニコミ「草の根通信」に毎月連載で書いていたも
のです、単行本には未収録。
娘の天音は二〇〇〇年十月十六日に、十九歳四か月で死亡。「草の根
通信」を購読していなかった皆さんに、天音の最晩年の共棲ぶりを読ん
でいただきたく「そぞろ通信」に再録しました。
なお、松下竜一さんは、昨年二〇〇四年六月十七日に逝去、六十七歳。

◆━━━━━━平々凡々たる日をかさねて━━━━━━◆

【一月一日】妻君のヒロミは午前中、散歩をかねて難波神社まで歩い
てきたそうだ。残り二名は昼まで眠っていた。
 
年賀状の返事をそれぞれにしたためる。私たちのミニコミ「あまね通
信」の読者でも年賀状をくれる人がいる。この人たちには返事なしとし
てある。ふだんの手紙のやりとりはなくとも、一年に一度くらい年賀葉
書で近況を知らせあうのもいいものだが、きまりきった挨拶だけの賀状
には「なんだかなあ」と思ってしまう。

 Eメールの年賀もきている。「あまね通信」の奥付にアドレスを記し
ておいたからだろう。

【一月二日】JR難波駅(旧湊町)のビル内の丸善書店へ。「スイッ
チ」誌で岡崎京子特集を見かけ立ち読み。正月気分でいると、本や雑誌
を買いたくなる。我慢、我慢といいきかせ、リハビリもかねて立ち読み
に徹する。

 年末に年賀状代わりに出した「あまね通信」83号に、今年一年分の購
読料をいただくように振替払込票をいれておいたのだが、さっそく読者
から払込みがありその振替票の写しが貯金事務センターから送られてく
る。正月で日曜日だというのに、年末に払い込まれた分がきちんと処理
されて入金通知がきたわけである。郵便貯金業務の几帳面さに感心して
しまう。

 妻君と私は、かわるがわる天音を抱いてテレビをみてばかりいる。

【一月三日】このところ生活リズムが変動し、朝から眠るようになっ
てしまった。暗闇でじっと横になっているのはつらいので、起き出して
机にむかって読書したり書きものをしたりしている。倒れてちょうど二
年半がたつ。

 躰のいうままにまかせてできるだけ自然にして暮らすようにしている。
でもねえ、と自分のなかの生真面目な私がそんなことでいいのか、と問
うてくる。経済はどうする。書く仕事はやらないのか。もう今年九月に
は五十七歳だぞとそいつは責めはじめる。

【一月四日】天音が哺乳瓶で食事をとるときに、顎の下にあてるタオ
ルを洗濯。三日に一度洗っている。

 干し上がったのを手でもんで肌ざわりをやわらかくする。いっぺんに
何枚もできないから二、三枚もんでは箱にいれ時間をおいてはまたとり
かかる。柔軟剤をずっと使ってきたが、かえって防水されてしまうと気
づいて入れるのをやめて以来のもみもみ作業だ。

 なぜだか人恋しくて、漫談をかわすような集まりはやれないものかと
ふと夢想する。研究とか勉強とかじゃなくって、個人の経験にのみしぼ
ってしゃべり、それぞれがその話に思いあたることを自分の言葉で話す
ようなほんわかとした集いである。

【一月五日】妻君は午前中にプールへ初泳ぎ。毎週かよっている銅版
画教室は休み。夕方に堺市の実家へ妻君一人で両親に顔を見せに行く。
私は、ヘルパーさんに天音を抱っこしてもらい骨休めをする。

でも洗濯はかかせない。天音は毎日パジャマから普段着に着替える。
尿やうんこがおしめの脇からよくもれてしまう。よだれでシャツは常に
ぬれる。汚れ物のほとんどは天音のものだ。

 妻君がもどってきてあらましの報告を聞いた後、夜中に干し物をする。
ベランダだけでは足らなくて、室内の温水器の横の隙間に針金ハンガー
に干し物をかけていく。

【一月六日】今年初めての通院。午前中で終わる。帰りにSSさんを
自宅に訪ねる。

 彼は煙草屋兼駄菓子屋を営む。お母さんが脳血栓で躰が不自由だから、
店番をしながら一緒に暮らしている。旨いのどごしの酒をふるまっても
らう。今年初の日本酒だ。

 手土産にもらった駄菓子はすべて袋に入っていて、賞味期限が記され
ている。小さな梅干しが四個の「ウメトラ兄弟すぱっちゅ」30円、「チ
ョコバット」20円など。帰宅した私は「ベビースター焼そば」をカリカ
リしつつ発泡酒を飲みましたぜ。

【一月七日】天音が機嫌悪い。躰を反らし捩じり、眉間に皺をきざん
でうなるように泣く。妻君が浣腸をいれてうんこをさせるけれど駄目。
母親のほうも低気圧になってくる。私はなんの役にもたたない。

【一月八日】天音の機嫌なおる。どんな加減なのか、よく判らない。
 山田太一脚本の「そして友だち」というテレビドラマを見る。深田恭
子いいなあ、とにやけてたら、「山田太一は一流やわ。私ら二人ともも
の書くのはやめよう。次に生まれるときは肉体労働でやっていけるよう
にしよう」と妻君がのたまう。

【一月九日】ワインをお土産に東京からYTさん来宅。ヒロミさんの
本を出版してくれたYさんは、こうして「天音に逢いたい」と年に二度
くらいきて泊まっていく。

【一月十日】天音、ケイレン発作が多い。飲みもよくない。

【一月十一日】ヒロミ本の注文くる。在庫がないので、すぐYTさん
に電話して送ってもらうように手配。

【一月十二日】昨夜は早く寝つけた。一回小便に起きたが、つづけて
八時間も眠れた。こんなのは久しぶりだ。

【一月十三日】また朝から眠り昼に起きる。元の木阿弥。睡眠時間は
短い。でも頭痛はないからありがたい。
 天音に飲ませていた妻君は、私の顔をみると食事を用意してくれる。

【一月十四日】便が固くて便秘症状。あまり経験がないので、天音の
苦しさがいまごろ分かる。摘便で解決。

【一月十五日】古本屋で買った三木卓著『生還の記』(河出文庫)を
読む。私は脳血管のバイパス手術を受けたけれど、この詩人は心筋梗塞
で心臓血管のバイパス手術を受けた。血管撮影や不整脈や導尿カテーテ
ルと聞きなれた言葉がでてくる。しかも同じ薬(パナルジン)を飲んで
いる。

【一月十六日】雨で散歩かなわず屋内階段を上層階まで二往復。

【一月十七日】ヒロミさん、病院へ天音の薬を処方してもらいに自転
車で行く。外出のさいに用事をいっぺんにすませようとしてあちこち走
りまわって疲れたみたいだ。

 東京の恵子さん来宅。福祉マンションをつくる会で関西へ講演に来た
帰りに寄ってくれた。

【一月十八日】私の体重五四キロ足らず。発病前より十二キロ痩せた。

 妻君の機嫌悪い。昨日の疲労からくるものか。「父のほうがよかった
わ。母はなんでこんなにしんどいのよ。天音に関するなんでもかんでも
私がしないといけない。もっと私の躰が弱かったらよかったのに。そう
したらどうにかなってたんじゃない」と夜中に訴えてくる。私、黙るし
かない。なにか話すと険悪な雰囲気になる。

【一月十九日】ヘルパーさんに抱かれている天音の顔がけわしい。母
親が出かけているからだろう。

【一月二十日】天満橋近くの画廊へ陶芸家の友人と「丸木スマ展」を
見に行く。描きたいから描く、楽しいから描く。何歳から始めたってい
いのだ。ちょっぴり力が湧いてくる。

【一月二十一日】ヒロミさん、心斎橋の百貨店で天音のパジャマを買
ってくる。サイズは赤ちゃん用の95というやつ。いま着せているのはど
れも古い。ずっと大きくならないから、古いのでも間に合う。黄色くな
ったのを着せていると、いくらパジャマだからといってもかわいそうに
なって買おうときめたのだった。

【一月二十二日】昨晩といっても朝からだが、天音はよく眠れたよう
だ。こんな日は母も機嫌がいい。

【一月二十三日】妻君プールへ。週に一回通いだして一年になる。

【一月二十四日】母親との入浴後、天音に新しいパジャマを着せる。
身長九五センチ、体重七・五キロ、躰は一歳ぐらいの赤ちゃん並み。大
きくて重たかったら介護はもっと大変だったはず。障害により成長しな
かったのが、ていねいで行き届いた世話を可能にしたともいえよう。
(初出二〇〇〇年「草の根通信」四月号)

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■2■画人手帖その1 「タカハシノブオ」の巻

【タカハシノブオさんの思い出】-----サカモト ユタカ

僕が最初にタカハシさんに出会ったのは一九八〇年五月、神戸の新開
地の本通りを北へ向って歩いていた時、骨格のがっちりした六十代半ば
過ぎの感じの男の人が、地面にすわり込んで一心にクレパスで路地裏か
らさし込んでくる光と周辺の建物を、黄色を基調に数色の色を重ね、親
指が曲る程にぬり込んでいた。

4号程の画用紙に、三〇分程でいきおいよく描かれた透明感のする熱
っぽい絵に僕は引かれ、描き終った男の人に、おっちゃんいい絵やね、
僕好きや、と声をかけた。

おっちゃんの顔は酒で赤く眼光は鋭かったが嬉しそうな顔して、ほん
だらあげるわ持っていき、とおしげもなく作品をくださった。そして、
兄ちゃんわしの家この近くやよかったら寄っていかんか、と言ってくれ
た。

6畳一間の部屋はうす暗く座る所が無い程に荒ゴミから拾ってきた様
々な物、絵を描く為のダンボール群、本が山積みされ自転車が2台と、
とにかくぐちゃぐちゃのおもしろい空間だった。そして描かれた作品が
部屋中にいっぱいだった。

そのときのタカハシさんは、自身のことは何も語ろうとしなかった。
それがタカハシさんとの出会いだった。[2004年11月6日記]


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■3■編輯後記 henshukoki

☆「そぞろ通信」の配信名簿を何号か前に整理し、電子チラシ送信先の
約半分にしました。購読解除したい場合は遠慮なく、件名に「そぞろ配
信停止」と記し、本文は書かない空メールをお送りください。
☆逆に電子チラシは来ているのに「そぞろ通信」は来てないから、送っ
てほしい旨のメール(嬉しい)もくださいね。「そぞろ通信」は、アーカ
イブ(文書保管庫)のつもりで発行配信しております。
☆メールマガジン(略してメルマガ)の分野では、無料で配信することも
含めて【購読】というのだそう。発行者の費用負担はゼロみたいなもの
です。
☆もちろん手間と労役は半病人のGさんにはかなりなものですが、好き
で楽しんでやっている分には続くでしょう。受信側では人によって有難
迷惑かもしれませんがね。
☆今回から新企画【画人手帖】をはじめます。第一回は、天音堂ギャラ
リーによく来られる坂本豊(サカモトユタカ)さん。とりあげた画人は、
神戸港で沖仲仕をしながら町なかで絵を描いていたタカハシノブオ(1
914〜1994)です。
☆天音堂でのタカハシノブオ展実現へむけて、坂本さんの助勢をうけな
がら計画をすすめているところです。「画人手帖」は電子チラシにも掲
載します。重複ご容赦ください。

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■蛇の足■

◇天音堂ギャラリーにかかわることは、インターネットの「さるさる日
記」に書いています。これは自分のホームページがなくても、フリー
(無料)でレンタルしてくれるものです。アップロードも実に気軽にでき
るので、ぼくみたいな永遠ビギナーでもつづけてやれている。消息がわ
りに読んでくださればありがたい。購読はもちろん無料です。
タイトルは、【「天音堂ギャラリー」堂守そぞろ日誌】。
グーグルやグーなどの検索サイトでこの言葉を入力してもヒットします。
ここから次のアドレスをクリックしてもサッと日誌へ飛びます。
http://www3.diary.ne.jp/user/348493/
◇ケータイにも対応しています。
http://www3.diary.ne.jp/i_log.cgi?user=348493&log=now

◇急に決まった企画あるいはオフ会とか飲み会の告知、緊急の助っ人の
お願いなどを、この日誌に書いていきます。よろしければ、【更新お知
らせ】に登録してください。

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◎本誌は【1行32字】で改行、閲覧には【等幅フォント】が推奨です
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月刊【そぞろ通信】月号_#41□2005_2_19発行配信
創刊2001-10-16□「あまね通信」改題通巻126号

編輯発行人□山口平明(天音堂ギャラリー)
 連絡先□ amanetant81@hotmail.com

※転載は全文をコピペ/引用や複製は典拠を注記/平明に一報されたし
※著作権は執筆者に属しますので、転載引用の時にはご配慮ください
※転送したいとき相手のアドレスを知らせてもらえば直接配信します
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*「そぞろ通信」梅に雨ふる如月号ココマデ。近況お便りください。
【※是非※】返信機能は使わんとメールはここから【↓】頼ンます。
○お便りの宛先アドレス(250MB) 》》→ amanetant81@hotmail.com


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★そぞろ通信#42★3月号*2005_4_10
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発行☆山口平明(大阪・天音堂G)
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■もくじ■

[1]archives◇ 十八歳、天音の四季をたどる《11》_/~山口平明
[2]編輯後記_/~haymay

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■1■《archives》十八歳、天音の四季をたどる《11》[二〇〇〇年二
月] 山口平明

以下の文章は、一九九九年(天音十八歳)後半から一年にわたり、松下
竜一さん主宰発行のミニコミ「草の根通信」に毎月連載で書いていたも
のです、単行本には未収録。
娘の天音は二〇〇〇年十月十六日に、十九歳四か月で死去。「草の根
通信」を購読していなかった皆さんに、天音との最晩年の共棲ぶりを読
んでいただきたく「そぞろ通信」に再録しています。
なお、松下竜一さんは、昨年二〇〇四年六月十七日に逝去、六十七歳。

◆━━━━━━ああ不機嫌おそるべし━━━━━━◆

【二月二日】三月発行予定の「あまね通信」を郵送するための角6と
いう大きさの封筒を買いに散歩もかねて出かける。安売りをうたう文具
店なので、一包百枚で定価八百円が四百八十円になっている。当節はな
んでも価格破壊とやらで、定価よりも三割も四割も安い。貧乏人にはあ
りがたいけれども、商売の人たちはたいへんだろう。

 角6という規格の封筒は、A5判のわが通信を入れるのにちょうどい
い大きさだ。A5判というのは、「世界」とか「文芸春秋」の大きさで
ある。また郵便料金では定形(重さと大きさ)の範囲内であれば25グラ
ムまで八十円ないし50グラムまでなら九十円で送れる。この場合、封筒
は長3という大きさになる。

 しかし、表紙に大きく絵を入れてあるため冊子自体を折りたくない。
中の頁にもたくさん絵を入れてある。長3だと真ん中から縦に折らない
と入らないので、折らずに送るために大きな角6封筒を使っている。こ
の場合、定形外になるから百二十円かかる。絵はかならず天音の姿を描
いてあるため、どうしても折り目をつけたくない。郵便局には一部あた
り三十円を余分に払う形になるがしかたないところ。

 郵便料金の百二十円と印刷費用の一部単価がほぼ同じというのは、な
んだかわりきれない。ミニコミも紙に印刷して郵送する形態から、電話
のファクシミリ送信やインターネットによるメールマガジンやホームペ
ージなどの形態にしたほうがよいのかも、と思ったりもする。この手法
だと安くて早い、おまけにすべて自分の手でできる。でも紙に印刷した
ミニコミがすたれるとも思えないのだが。

【二月六日】妻君のヒロミの機嫌がすこぶる悪い。昨日、来客あり。
この人は妻君が小学校の教師をしていたときの同僚で、二人の子どもが
いて下の子は天音と同じ時期に生まれている。彼女はまだ教師をつづけ
ており、その息子を東京の大学へ送りだしている。娘は大学院へ進学し
たという。

 二人の大学生の学費だけで年間二百万円かかる。夫の稼ぎは福祉系の
仕事なので少なく、彼女がもう少しがんばらないといけない。

 ヒロミさんは思う。私だって天音が普通に生まれていたら、彼女と同
じように教師をつづけていただろうし、娘への仕送りでたいへんなのよ、
と嬉しげに話していたにちがいない。たいへんだといっても働き甲斐が
あるもんねえ、育て甲斐もねえ。

 ひるがえってわが子は赤ちゃんのままでいっこうに育たなくて、いま
だにその世話で仕事もできず、ただただ時は過ぎて老いていく、ああ私
はなんという人生か。

 今日は日曜日だというのに寝つきがわるくて目覚めなかったらしく、
妻君はプールへ行けなかった。これもまた昨日の来客の話とともに彼女
の機嫌をますます悪くさせている原因だ。

 夕方近く「気分転換」と称して妻君は図書館へ出かけた。帰ってきて
「図書館でも一日中のんびりしておりたいのになあ」と、取り返しがつ
かないけど、いつまでも心の底にわだかまる毒素をひっぱりだし仕方な
さの渦に身を投げ入れて「不幸」を嘆いている。僕がなんか話しかける
とつっけんどんに答えてくる。

 温泉にでも行きたいよ、というから「行こう」と応じると、「向こう
でも家でやってることと同じこと(天音の世話、たとえば浣腸でのうん
こ)をせんといかんから、行きませんッ」と必殺のアッパーが飛んでく
る。僕も恢復してきたから天音の世話はやるから三人で行こうよ、と挫
けずに意見を具申すると、それなら家でしてちょうだいッ、で粉砕。不
機嫌おそるべし。

【二月十五日】月に一回、先生に来てもらい整体を施してもらう日で
ある。随分いいですよとの診断。カルテも記録もしない人なので、彼の
指先の記憶といおうか躰の気を読んでの診断なのだろう。睡眠時間の短
い夜型の生活で不摂生をしているから、なんだか儲けたような気分にな
る。

 夜だと眠気もおきず本だっていくらでも読めるが、昼間はいけません。
すぐ眠くなってしまう。夜型が僕の本来の生理に相違ない。

 書くのもそう。昼に書くとなんだか気が散りだらけてはかどらない。
文そのものもまとまりがない感じがする。いくら脳梗塞で倒れても永年
にわたって染みついた夜型リズムは変わらないみたいなのである。

【二月十八日】早く目覚めたので小用に起きたときそのまま床をはな
れる。お湯を沸かそうとするが、ガスがつかない。起きだしてきた妻君
にいうと、マッチでつけてくれる。

 発火がうまくいってない。レンジそのものがかなり古いから修理がき
くかどうか、という彼女の言葉を聞き、器具の裏側をのぞく。乾電池が
切れてるのかもしれないと勘が働く。駄目でもともとだからと近所の店
で電池を買ってきて交換すると、前のようにうまく点火するようになる。

 私たち二人の体力の衰えと長い夫婦生活からくる倦怠感に符節を合わ
せるかのように、所帯道具までどれもこれも古びたり故障を起こしてく
れる。新しく買い換えるとしても不意の出費はひかえたいところ。うま
く点火するようになったガスの炎を見ながら、僕はいささかお手柄気分
である。

【二月二十三日】夕刊に《市民運動の情報誌「告知板」》発行人の庄
幸司郎さんが十八日に亡くなった、とでている。一九三一年生まれの六
十八歳。

 僕のちょうどひと回り上になるからあと十二年。六十八歳どころかそ
れまでに脳梗塞の再発で死んでしまわないともかぎらない。

 そうなると天音はどうなるのか。妻君はかつて私より後に死んでねと
いっていた。今はちがう。あなたが死んでも私たちが生きていけるよう
にしていってよ、とおっしゃる。

 もしや両親とも死んでしまったのちにも天音は生きつづけて、どこか
のだれかに抱っこされて、哺乳瓶で食事をしているのかな。死んだらそ
れまで、死ねば死にっきりと思ってはいても、将来を考えると、いくら
愚かで取り越し苦労の嫌いな僕でもいささかはかなくなり心細くなって
くる。

【二月二十九日】僕が永年加わってきた「思想の科学」大阪グループ
の仲間MMさんが、会社の帰りだといって不意にやってくる。

 妻君は夕食の支度で台所にこもっており、僕は天音を抱いてやろうか
と思っていた矢先である。玄関脇の僕の仕事部屋に招じ入れ応対をする
うちに、話がこみいってきてお茶がやがて酒になる。ビールから焼酎に
なってやっと彼もなごみうちとける。酒の効用というやつだ。

 Mさんは僕より一歳上で、ずっと広告代理店に勤めている。過去に結
婚したこともあったらしいが独身暮らしが長い。本好きである。

 サークルで月に一度の例会とそのあとの二次会で話すぐらいの淡いつ
きあいである。でも十年よりもっと前に、得意先が近所にあるとかいっ
て、よく訪ねてきた時期があった。彼も僕もコピーライターで文学好き
なので、よく雑談をかわしたものである。

 もともとサークルは同じような考えや、似たような感じ方をもった人
間の集まりだから、たまたまの出会いからたとえ淡いつきあいであろう
とも、そこへ行けば気持ちがなごみ、まるでなんでも許しあえる家族の
ような居心地のよさが味わえる。血縁でない「家族まがい」とでもいお
うか。

 都会で暮らす砂粒のような僕たちだって、ときに人恋しくなり、お互
いがこわばらず邪心なしに、他愛なく話せるような居場所をほしいと思
う。僕たちのサークルは「思想の科学」という雑誌の読者の集まりとし
て出発したはずだが、肝心の雑誌が廃刊になってもずっとつづいている
のは、社会からの逃避空間になっているからだと僕は思っている。好み
の言葉ではないが、癒しの場とでもいおうか。
(初出「草の根通信」二〇〇〇年五月号)

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■2■編輯後記 henshukoki

▼娘・天音の月命日である十六日に月刊で発行してきた「そぞろ通信」
ですが、今回はパソコンの入れ換え作業で大忙しとなって、おまけに画
廊運営に時間をとられ発行配信できなかった。ご容赦ください。

▼今回の3月号(42号)は遅れ遅れですが、4月10日の日付で発行し、次
号4月号(43号)を4月16日に発行してなんとか追いつきたい。

▼今号から、パソコンの新旧交替にともない配信名簿も編集しなおした
ため、ごくごく少数の読者に送るようにしました。不特定読者のために
は、立岩真也さんのサイトで読んでいただくつもり。またそのように誘
導していきます。
http://www.arsvi.com/0w1/ymgcamn.htm

▼「そぞろ通信」を購読解除したい場合は遠慮なく、件名に「そぞろ配
信停止」と記し、本文は書かない空メールをお送りください。「そぞろ
通信」は、山口平明の文章のアーカイブ(文書保管庫)に特化させる。

▼したがって岡本尚子さんの「家事細見帖」は、連載を終了いたします。
ご愛読ありがとうございました。岡本さん、ご苦労さまでした、おおき
にありがとう。
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■蛇の足■

◇天音堂ギャラリーにかかわることは、インターネットの「さるさる日
記」に書いています。これは自分のホームページがなくても、フリー
(無料)でレンタルしてくれるものです。アップロードも実に気軽にでき
るので、ぼくみたいな永遠ビギナーでもつづけてやれている。消息がわ
りに読んでくださればありがたい。購読はもちろん無料です。
◇タイトルは、【「天音堂ギャラリー」堂守そぞろ日誌】。グーグルな
どの検索サイトで《山口平明》と入力してもヒットします。
◇ここから次のアドレスをクリックしてもサッと日誌へ飛びます。
http://www3.diary.ne.jp/user/348493/
◇ケータイにも対応しています。
http://www3.diary.ne.jp/i_log.cgi?user=348493&log=now
◇急に決まった企画あるいはオフ会とか飲み会の告知、緊急の助っ人の
お願いなどを、この日誌に書いていきます。よろしければ、【更新お知
らせ】に登録してください。方法が判らないかたは連絡ください。

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◎本誌は【1行32字】で改行、閲覧には【等幅フォント】が推奨です
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月刊【そぞろ通信】3月号_#42□2005_4_10発行配信
創刊2001-10-16□「あまね通信」改題通巻127号

編輯発行人□山口平明(天音堂ギャラリー)
 連絡先□ amanetant81@hotmail.com

※転載は全文をコピペ/引用や複製は典拠を注記/平明に一報されたし
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UP:20050119 http://www.arsvi.com/m/sozoro05.htm REV:0221 0413
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