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『障害の地平』No.78

視覚障害者労働問題協議会 19940218 SSK通巻第376号;身体障害者定期刊行物協会,24p.

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視覚障害者労働問題協議会 19940218 『障害の地平』第78号,SSK通巻第376号;身体障害者定期刊行物協会,24p. ds. v01

■全文

表紙
 SSK増刊通巻―障害者開放運動の理論的・実践的飛躍のために―
 子宮から墓場までノーマライゼーション!
 
 ―視労協―
 障害の地平 No.78
 手づくり、まちづくり、視労協づくり

 視覚障害者労働問題協議会

 一九七一年六月十七日第三種郵便物許可(毎月六回 五の日・0の日発行)
 一九九四年二月十八日発行SSK増刊通巻三七六号

目次
 視労協的気分
 私の差別論ノートから 宮 昭夫……1
 障害者基本法成立 視労協事務局……4
 視覚障害者の仲間づくり 江見 英一……7
 今どきの若いモン
 新入会員プロフィール紹介……9
 「視覚障害者誘導システム」は本当に安全なのか? 宮林 幸子……14
 「赤い星」町づくり・交通アクセスの取り組み 野々村 好三……16
 「福祉のまちづくり条例」推進都民の会 学習会 みんなの意見……20
 12日間の入院  森 登美江……23
 BOOKレット紹介
 編集後記

p1
 視労協的気分
 ―私の差別論ノートから― 宮 昭夫
 去年は「公的扶助研究会」の差別川柳事件や、筒井康隆の断筆宣言など、笑いと差別・文学と差別といった問題について考えさせられることが多かった。日頃、視労協は雇用や教育など制度に由来する差別、機会の平等を脅かすような差別をなくすための具体的な活動を中心に取り組んでいる。
 だから芸術作品や人間の意識の深いところに根ざした差別の問題については少なくとも会としては突っ込んだ議論をあまりしていない。従ってこれから私が書くことはきわめて独断的で個人的な意見に過ぎないことを先もって断っておく。
 とはいえ仮にも「視労協的気分」と題して巻頭の文章に、とかく問題発言をし勝ちな私がこともあろうに差別問題について書くというのは、はなはだ危険なことのように思うのだがすぐに書けそうなテーマも他に見つからないので運を天に任せ、批判を読者に任せ処分は事務局と代表に任せて、先ずは書きはじめることにする。

 最初から危なっかしい発言になりそうだが私は文学者というものは権力の弾圧にも、自分の弱さにも、そしてもう一つ言うなら障害者の糾弾にも勇気をもって真っ正面から立ち向かってもらいたいと思う。
 少しぐらい糾弾されたからといってビビったり断筆宣言したりして欲しくない。

p2
 その代わり私たち障害者の側でも自分たちの糾弾権を権力の言論弾圧と区別するような意識的な努力が是非必要だと思う。発行禁止や本の回収だけを目ざすことが私達の目的ではないこと、作家と私たちとの間に真摯な論争を巻き起こすことこそが真の意味の私たちの糾弾なのではないか。
 健常者の作家が障害者を描写したり、障害者について書いたりする場合―それは基本的には私たち障害者が他の障害者について書く場合でも同じことだが―おそらく大なり小なり差別的な部分が存在するに違いない。作家自身にとっても一般の読者にとっても、ほんの「些細」なことに思えることであっても又作品の本質的な評価にとっては、一見無縁なことのように見えようとも、差別的意識や差別語に対して鋭敏な感覚を持たざるを得ない私達障害者にとっては見逃すことの出来ない部分というものがある。たとえ唐突のように思っても私たちはそれを糾弾する。する権利がある。しかしだからといって私たちは、そつのない官僚の答弁みたいな遠慮と配慮と無関心の滲み出た毒にも薬にもならない表現を望んでいるわけではない。文学は法律でも道徳でもない筈だ。少なくとも私はそう思う。少し乱暴な言い方をすれば糾弾しながらも同時に一方で拍手も送りたくなるような障害者に関わる文学を期待している。
 おそらく笑いというのは限りなく差別に近いものであるに違いない。少なくとも風刺に関しては。私は笑いとは何かしらアンバランスなものに触れたときの人間の反応なのではないかと思っている。例えば言っていることとやっていることのアンバランス、望んでいることと結果とのアンバランス、身体の各部分の動きの「アンバランス」、つまりは感情

p3
や道徳や肉体運動の「アンバランス」を見たときの反応なのだろう。多分、生まれて間もない赤ん坊の微笑み以外の大抵の笑いには差別性が含まれている。そして障害者が笑いのテーブルに乗せられるのはもっとも料理しやすい素材だからであるということも事実である。では一切の笑いは差別と頽廃の象徴としてこの世界から追放すべきなのだろうか。
 多分知識も又差別的である。知識の始まりはおそらくあるものと他のものを区別するところから始まったのだろう。食べられる物と食べられない物、固いものと柔らかなもの、危険なものと無害なもの、役に立つものと立たないもの、といった具合に。価値評価を含まない純粋な区別(差別じゃない区別)というものは多分実験室の中か宗教的悟りの極致の中にしか存在しないだろう。
 そして恋愛も又最高に差別的なものである。ただ何故か我々は恋愛における選択(差別)には寛容なのであるが。曰く「運命的な愛」とか「ロマンスの神様のいたずら」だとか。
 笑いも知識も恋愛もこのようにきわめた差別的なものであると同時に私たち人間にとってかけがえのない何ものかに通じている。

 人間的差別に対する私の態度を説明するのに私はよくこう言う譬えをもちだす。一匹の蚊が私を刺そうとしてしている時、私は迷わずそれを叩き潰そうとするだろう。決して古代インドのジャイナ教の聖者のように深い心でそれを許したり、運命と諦めたりはしない。しかしだからと言ってボーフラが生まれそうな一切のドブや沼々を埋め立てたり、大量の殺虫剤を流し込んだり、蚊を絶滅させるようなやり方には反対だと。

p4
 「障害者基本法」成立

 視労協事務局

 昨年11月26日、心身障害者対策基本法が23年ぶりに改正され、名称も「障害者基本法」となりました。そして、12月3日には官報に掲載、公布されました。
 視労協はこの課題について、他の障害者団体と共に法改正へ向けての要望を各政党、会派に対し行ってきました。突然の衆議院解散、総選挙となり、私達のとりくみも2段階となりました。法改正全般にわたって要望を出してきましたが、最終場面では次の4点に絞って、再度各政党へ要望書を提出しました。
 1. 法律の目的について、障害者の権利を実現することを目標とすること。
 2. 障害の定義については国連の定義にそい、精神的、身体的にいかなる原因によるかを問わず、機能・形態における差異または疾病により、社会生活あるいは日常生活に相当の不利、困難、あるいは不自由な状態に置かれているものを対象とすること。特に、「てんかん、難病、自閉症」などの障害を持つものを対象に含むこと。
 3. 障害者の人権を実現するために差別禁止規定を設けるとともに、「障害者人権擁護委員会」(仮称)の設置について論議すること。
 4. 関係する個別法の改正を早急に行うよう努めること。

 この間のとりくみは、もちろん十分なものであったとは言えませんが「法律改正」をめぐって、多くの団体と共に学習、討論を重ね「共同要望書」を作り上げてきたことは、政策決定段階への当事者参加を進めるための契機になったと思います。
 資料として法律の概要及び付帯決議をのせておきますので参考にして下さい。

p5
 障害者基本法の概要(官報より)

 ◇心身障害者対策基本法の一部を改正する法律(法律第九四号)(厚生省)
 1 法律の題名を「障害者基本法」と改めることとした。
 2 この法律は、障害者の自立と社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動への参加を促進することを目的とすることとした。(第一条関係)
 3 法律の対象となる者の名称を「障害者」に改めるとともに、身体障害、精神薄弱又は精神障害が法律の対象であることを明定することとした。(第二条関係)
 4 基本的理念
 (1) すべての障害者は、個人の尊厳にふさわしい処遇を保障される権利を有するものとすることとした。(第三条第一項関係)
 (2) すべての障害者は、社会を構成する一員として社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に参加する機会を与えられるものとすることとした。(第三条第二項関係)
 5 障害者の日
 国民の間に広く障害者の福祉についての関心と理解を深めるとともに、障害者が社会、経済、文化その他あらゆる分野の活動に積極的に参加する意欲を高めるため、十二月九日を障害者の日とすることとした。(第六条の二関係)
 6 障害者基本計画等
 (1) 政府は、障害者のための施策に関する基本的な計画を策定しなければならないこととした。(第七条の二第一項関係)
 (2) 都道府県及び市町村は、当該都道府県及び当該市町村における障害者のための施策に関する基本的な計画を策定するよう努めなければならないこととした。(第七条の二第二項及び第三項関係)
 (3) その他(1)及び(2)に規定する計画に関し所要の規定を設けることとした。(第七条の二第四二項〜第八項関係)
 7 年次報告
 政府は毎年、国会に、障害者のために講じた施策の概況に関する報告書を提出しなければならないこととした。(第九条関係)

p6
 心身障害者対策基本法の一部を改正する法律案に対する付帯決議

 1、障害者の「完全参加と平等」の実現に向け、政府の「障害者対策に関する新長期計画」に基づき、障害者のための施策の一層の充実を図ること。

 2、てんかん及び自閉症を有する者並びに難病に起因する身体又は精神上の障害を有する者であって長期にわたり生活上の支障があるものは、この法律の障害者の範囲に含まれるものであり、これらの者に対する施策をきめ細かく推進するよう努めること。

 3、精神障害が法律の対象であることを明定したことにかんがみ、精神障害者のための施策がその他の施策と均衡を欠くことのないよう、特に社会復帰及び福祉面の施策の推進に努めること。

 4、事業者の責務を新たに定めることにかんがみ、事業者がその責務を果たしやすいよう、必要な施策を推進すること。

 5、中央障害者施策推進協議会に障害者及び障害者の福祉に関する事業に従事する者のうちからも委員及び専門委員を任命することと定めることにかんがみ、地方障害者施策推進協議会においても、同様の趣旨が生かされるよう適切に指導すること。

p7
 視覚障害者の仲間づくり
 江見 英一

 今、多くの障害者団体が問われていることのひとつが、世代交替である。長年障害者運動をリードしてきた40代強の人達から、若い世代に今までの運動の歴史、進め方、そして成果を、これからの若者にどういう形で託していくのか、もっと言えば、若い世代とどう接触を持つことができるかである。
 わが視労協もこのような課題に直面している。世代を同じくする人達があまりいないので、私などはこの先、視労協運動を一人でやっていかなければならない時代、もっと言えば、視覚障害者運動が消滅していくのではないだろうかと、ふと考えることがある。最近、視労協の会員に幾人かの若い世代の仲間が入会してくれた。これは私にとって大変心強い。それは私が先が見えてこないというジレンマにおちいっていたからだ。しかし今回、幾人かの世代を同じくする人達が入会してくれたので、そのジレンマもやや和らいだように思える。だが重要なのはこれら新規に会員になってくれた人達と、どう交流をもっていくかである。今、視労協は「障害者総合情報ネットワーク」、「東京都福祉のまちづくり条例推進都民の会」などに参加して、他の障害者団体との交流は活発である。これはこれで必要なことである。が、しかし、一番重要なことは、視覚障害者の団体であるということを認識し、視覚障害者独自の課題にもとりくんでいかなければならないという事だ。。視覚障害者にとって魅力のある団体にしなければならない。そういう意味で考えると昨年交通アクセス全国大行動でとりくんだ視労協独自のやり方は、大変面白かった。
 今回、幾人かの新しい会員をむかえた事をきっかけに、視覚障害者の相互交流にも力を入れていくべきである。視覚障害者が、それぞれの地域でとりくんでいる個々の問題について、お互いに情報交換や交流を図っていくべきなのだ。
 そういう相互交流の中核(橋渡し役)を視労協が担っていかなければならない。視覚障害者問題を長年とりくんできた団体として、次の世代にしっかりとしたものを伝えていく必要、義務のようなものがあるのではないだろう

p8
か。視労協がこれまでつくってきた運動の組み立て方や、勝ち取ってきた成果を新しい人達に伝え、若い人達を中心に据えた視覚障害者運動を、もうそろそろつくりあげていくべきだろう。そのことこそ、視覚障害者運動、ひいては障害者運動の明日につながるはずだ。視覚障害者運動、世代を越えて一緒にがんばろう。
 (校正者注:挿絵省略)

p9
「今どきの若いモン」
 ―新入会員のプロフィール紹介―

 昨年10数名の若い人達が視労協に入会しました。そこで今回はその中の12名の方々のプロフィールを紹介します。さてどのような人達なのでしょうか。私達は大いに歓迎すると共に、今後の活動の主体となって活躍してくれることを期待しています。(事務局)

 □次の項目に答えていただきました。
 @なまえ A学校、職場など B希望の職業 C視覚障害者の課題 D視労協への提言 E好きなミュージシャン F趣味、特技など

 ★ @角本 浩(すみもと ひろし) A日本ルーテル神学大学 B探偵 C情報化社会への対応 D特にありません E今井 美樹 Fビリヤード、釣り
 ★ @佐々木 康  A日本ルーテル神学大学 2年  B公務員 C視覚障害者への社会的不利をなくすよう努力する。Dもっと若い視覚障害者および晴眼者への参加を求め、次世代へつなげていく。 E特になし F読書(心理関係)、サッカー
 ★ @澤田 篤志  A同志社大学  B公務員 C住みよい街づくりのために自発的な活動を通して、自分の生活の向上に努力せねばならない。 D視労協が関西のグループと情報の交換などをして、団体として情報量の充実をはかったりしてほしい。視覚障害者の職業で新しく開拓するための幅広い訴えかけを多様な方面に行ってほしい。中途失明者でも先天盲の人でもいいから、経済的に成功している視覚障害者と話をする機会をつくってほしい。 Eゴンチチ Fスポーツ観戦(野球、サッカー、ラグビー)、音楽をきく。
 ★ @山下 正仁  A京都府立視力障害者福祉センター、はり師、きゅう師訓練生  B私の地元の職安に就職先を紹介していただいてい

p10
るので、この3月にセンターを出て、とりあえず地元の治療院に働く予定です C特になし D私は視労協の会員に入っているが、国家試験受験と、それが終わったらセンターを卒業して、地元に帰って就職するので、視労協に参加する機会がなかなかないのですが。 E特に好きな歌手はいないが、昔のフォークソング、ニューミュージックが好きです。  F自由気ままな生活を送ること。
 ★ @田村 昌宏  A予備校生 B民間企業(事務) C新たな職種開拓が必要だと思う。 Dまだ入ったばかりなので、活動内容があまり把握できていないので、これから考えていきたい。 Eやしき たかじん、中島 みゆき、浜田 省吾 Fカラオケ(さそり座のおんな…)
 ★ @以久井 正己  A京都ライトハウス鳥居寮生活訓練施設入所中 Bあんま、マッサージ、指圧業(特にヘルスキーパーや病院など) C交通アクセスの問題ひとつとっても、実際に街なか探索をしてみないと、疑問点がなかなかわからないものだと思います。点字ブロックの設置の仕方も、違法駐車がどれだけあるかとかもそうですし、駅のエレベーターやエスカレーターの設置にしても、健常者側の判断で良かれと思ってやられている事が多く、これが視覚障害者にとっては(まあ、視覚障害者だけに限らず)、不便になることが多いと思います。京都駅の改築も私が寮に隔離されているせいで、知らん間に行ってみると改築がされていて、今までとはちがった場所に切符売り場があるなど、迷いがちな点も多いです。やはり視覚障害者がもっと外へ出て、実際に街なかを歩き、その中で疑問点や不便な所に気がつき、それをもっと歩きやすいように、また住みやすい街づくりに改善するよう、行政や民間へ訴える事が大事だと思います。実際はむずかしいと思われがちです。他にも沢山あると思いますが、一番今思っているのはこの事です。 D三療の職業にしても、病院マッサージ師の解雇などが全障連などで言われていますが、病院に勤めるマッサージ師や、これから勤めようと思うマッサージ師も安心して病院に勤める事ができるよう、視労協通信にもその事がのせられていましたが、他の機関との交渉などに是非力を入れて欲しいと思います。また、それ以外の職業についても追及していく必要もあると思います。鳥居寮にいる私の同級

p11
生もそれを追及し続け、がんばっています。職安の窓口に行っても、情報源がなく、求人をみた方が情報があるという同級生の意見も聞いています。職安へ情報を集める事も是非、大切な事だと思います。 E特にこれといったものはありませんが、1980年代の日本のアイドルタレントなど。 F音楽鑑賞、観光、オーディオ集めなど。
 ★ @和久田 篤信 A京都府立盲学校専攻科理療科3年 B三療師 C今の社会の不平等さについて危機感をもって、意識を持たなければならないと思う。今度、京都でもまちづくり条例の準備会が発足されるという事が、京都新聞に書かれてありました。当事者の声があまり反映されていないように聞きました。京都ではそういう事がないように、視覚障害者が意識を持ち、立ち上がらなくてはならないと思います。 D視覚障害者の情報ネットワークの中心となり、意識改革をしていくべきだと思う。まわりの人達に、自分たちが今困っている事をもっとアピールをしていければと思っています。 E岡村 孝子、浜田 省吾  Fカラオケ、アマチュア無線
 ★ @北岡 剛  A社会福祉法人 京都府立視力障害者福祉センター Bオーディオやビジュアルに関する事や福祉のまちづくりに関する事、音楽や楽器に関する仕事をしたい。  Cぼくは2月26日に国家試験を受けるが、この試験は点字のみ使用している人達には難しかったり、点字では意味がわからなかったりするので、全盲の人達には不利で、目のよく見える人達には有利になって、目の悪い人達は悪い立場に立たされてしまっていると思う。 D日頃、生活をしていて不便だと思うこと、例えば、全国で点字ブロック・道路・信号・歩道・横断歩道などが統一されていないので、これらを統一させていくような運動をもっと積極的にしてほしい。 E水木 一郎、堀江 美都子 Fぼくは手塚治虫のマンガのビデオを集めるのが趣味です。今現在は、「ジャングル大帝」を初回から最終回まで全52、「リボンの騎士」を初回から最終回まで全52など、一部の手塚アニメ作品は手に入ったが、今後昭和38年から平成3年までに放送された、1,000本近くある作品をすべてビデオで集める予定になっている。今でもテレビで再放送しているかどうかは、新聞・雑誌で毎日番組をチェックしてさがし、みつかれば録画し保存することにする予定である。

p12
 ★ @野々村 好三  A大手門学院大学  B公務員、教員、学校カウンセラー、マスコミ関係(まだしっかりと決めていない)。 C一人一人が日常生活の中で問題意識を持ち、行動に移していくこと、情報入手のための手段を増やす事。 
D――1.全国規模での視覚障害者のネットワーク作り。 
 2.新しい時代の担い手である若者を沢山入会させる事。
 3.会員の声なき声を引き出し、中央の、あるいは全国レベルでの行動に取り入れる事。
 Eビリー・ジョエル、浜田省吾  F読書、ギターを弾くこと。
 ★ @山川 秀樹  Aアド企画という点字、すみ字印刷、データ入力などの仕事をする、「障害者主体」の事業所に勤務。実際は全障連関西ブロックの専従。一人何役、どこを切っても金太郎飴のようなこの業界、何ともシンドク、しかし実にオモロイ。 Bいわゆる既成の「専門性論」に基づく、「社会福祉」ではなく、「福祉労働運動」の再構築、あるいは「反差別、共生の立場に立った福祉」の構築がテーマ。「福祉労働現場」に参入したいという「思い」も強い。  C教育、労働、生活、情報コミュニケーション、まちづくりなど、各課題ごとの要求の練り上げと、自立と解放の立場からの制度政策提起。 D盲学校で、授産訓練施設で、温泉場やサウナを含めた労働の場での、その他あらゆる場での視障者(盲ろう者、盲、知的、内部障害などの重複障害者を含む)がおかれてきた隔離と被差別、管理と抑圧の実態はどう変り、あるいは変っていないのか、きちんとした実態調査が必要である。もし実態が改善されていないとすれば、一人一人の「思い」や要求、怒りをどうやって掘り起こすか。告発、糾弾は政策提起と共に、決して軽視されてはならない。政府、支配層までが、スローガンとしては「地域社会で共に」と言い出す一方、大政翼賛的とも言える政治状況が進行しつつある中で、どのような政治性を持って、戦争政策に変る政策を対置させるのか。等々、共に議論していきたい。  E山下 達郎、チャー、エリック・クラプトン、ボズ・スキャックス、etc   F最近やっていないし決して得意じゃないけど、ギターを弾くこと、マラソンをしていい汗をかくこと、人と出会い、語らう事が好き。

p13
 ★ @宮路 美幸  AYMCA予備校  B精神科医  C――  D――  Eドリカム  Fお菓子作りなど
 ★ @宇奈手 毅(うなて たけし)   A京都精華大学 学生 Bなし C自分のことを確認し自信をつけるべき。様々な人とコミュニケーションを行い、何を感じるか知るべき。D社会が個人という存在の集合であることを忘れず、地道に一個人との交流を忘れずにいて欲しい。勿論、活動内容、団体の意図を広報せねばならない。単に運動を進めていくのではなく、運動論も行っていかないといけない。是非矛盾の少ない団体にしていきたいものだ。 EM・モンク、A・ベルク等 F読書、作文。特技はない。最近、辻潤の本を読んでいる。最後に一言。まだ、私は視労協が如何なるものか良く知らないので、3月の大会等で色々知っていきたい。私には、私のできることしかできないが、協力してゆきたい。
 (校正者注:挿絵省略)

p14
 「視覚障害者誘導システム」は本当に安全なのか?

 高槻市 宮林幸子

 視労協の皆さんには、藤沢といった方がおわかりいただけるかと思いますが、昨年6月に結婚しました。これからも、どうぞ宜しくお願いいたします。
 さて、奥山さんから原稿依頼を受け一度すっぽかしてしまったので今度こそ書こうと思っていたのに、前号で宮さんが私の思っていたことを全部書いてしまわれたので、困ってしまいました。でも、とにかく遅ればせながら「視覚障害者誘導システム」について説明します。
 システム構成は、1 磁気標識体(ブロック・タイル・プレート等)、2 専用白杖「ネスティ」(磁気センサー、バイブレーター等から成る。)、3 音声案内装置、と成っています。視覚障害者がこのネスティを持って歩き、杖の先が磁気ブロックに触れると杖が震動し、それを辿って行くと各拠点から音声による案内があるため安全に歩行出来るというもの、とのことです。
 もう一つに「音声標識ガイドシステム」という物も在り、これは専用の杖を必要とせず、小型送信機のボタンを押すと各所で音声案内がなされるというものです。最近ではこちらの方が多く用いられているようです。
 設置場所としては、駅やバスターミナル、公共施設の入り口や建物の中などで、両システム併せて全国で81箇所となっています。

p15
 このシステムの利点は、誘導チャイムのように常に音がなっているというのではなく、必要な時だけ音声案内されるので周囲の人に騒音による迷惑がかからないということだそうですが、この点については大いに疑問の予知があります。というのは、送信機の電波の届く範囲が20メートルもあるので、その範囲内にいくつもの受信装置が在ると一度に音声装置がしゃべりだし大変うるさいことになります。私の働いている市立障害者福祉センターでもそんなことがしょっちゅうあって、あちこちで音がするので迷っている人をよく見掛けます。それに我がセンターで「ネスティ」を持って歩いている人は一人も居ません。専ら見学者のためのデモンストレーションの道具と科しています。
 音声ガイドの方は工夫しだいで利用出来ると思いますが、磁気誘導の方は高い工事費がかかるわりに視覚障害者には使用しにくいものです。つまり、日頃使い慣れている白杖を持ち換えなければならなかったり、一人歩きにあまり慣れていない人にとっては、あの震動は不快に感じることでしょう。使う人が居なければ何のやくにも立ちません。私は、各地から視察に来られる人達にも必ずこれらのことを伝えるようにしています。
 点字ブロックや白杖は必ずしも安全とはいえないまでも、私達視覚障害者にとって最も身近な誘導システムといえるのではないでしょうか。

p16
 「赤い星」町づくり・交通アクセスの取り組み
 (野々村好三)

 私たち「赤い星」は、「町づくり・交通アクセスへの取り組み」を昨年の活動の中心に据え、一年間取り組んでまいりました。というのも、視覚障害者にとって、この問題は身近であり、かつ重要であるからです。社会参加について考えてみても、安全な移動の自由がなければ、かなり制約されるわけです。点字ブロックもあり、音響信号機もあって、京都市も一見整備されているかのように思えますが、行政主導であったせいか、それとも「その場しのぎ」的整備だったせいか、安全な歩行の自由・外出の気軽さという観点から考えてみると、まだまだ不十分だと言わざるを得ません。
 昨年の八月には「第3回赤い星レク」を京都で開催し、十月には「交通アクセス全国大行動」に京都で参加しました。
 「赤い星レク」は、1991年から毎年私たちが開催しているもので、今回は二十数名の参加を得て、成功のうちに終えることができました。しかし、視覚障害者よりも健常者がやや多く、視覚障害者自身の町づくり・交通アクセス問題を考えると言うよりは、啓発的なものだったと言えるかも知れません。午前中には、「町中探索」と題し、歩道や駅の点字ブロックと触地図の状況を点検し、その問題点を探りました。午後の討論会では「町中探索」の感想を参加者の皆さんに述べていただき、障害者の町づくり・交通問題について考えました。点字ブロックの敷き方・並べ方を統一することが必要だという指摘や、視覚障害者は問題意識が低いといった指摘もなされました。
 今回、この「第3回赤い星レク」に際して、先立って作成した資料を掲載させていただきます。
 ところで、『障害の地平』77号にも書いてありました通り、京都府は今年中に「福祉の町づくり条令」を制定する方針を打ち出しました。私たちは視覚障害者の立場から条令について検討し、居住権・移動権・利用権を明確に盛り込むよう要望していこうと思っています。「町づくり条令」となると、視覚障害者、特に弱視者の視点が忘れられがちになるので、その辺りにも十分注意を払っていこうと思っています。

 資料
 1.点字ブロック設置について
 私たちは、8月13日に京都市建設局道路維持課に話を聞きにいった。
 昭和48年11月14日に建設省から「横断歩道に点字ブロックをつけよ」という通知があり、京都市でも点字ブロックの整備に取り組むようになった。昭和60年9月に建設省から「点字ブロック整備指針」が出され、現在はそれにしたがって点字ブロックの整備をしている。その結果、線ブロック(誘導ブロック)と点ブロック(警告ブロック)を併用することとなった。この指針を出すにあたって、学識経験者・障害者等によって構成される研究会が設けられた。
 バス停の点字ブロックは主要な駅から付けていくが、全てのバス停につける計画はない。

p17
 歩道が安心して歩けるように私たちは次のようなことを提案した。「工事現場で誘導ブロックを敷いてほしい」、「横断歩道の両横にはみだし防止の印を付けてほしい」の二つである。
 道路維持課から「各団体によって言い分が異なれば、混乱を来すので統一的な意見をまとめ、上層部まで挙げてほしい」という要望があった。
 市当局は京都府視覚障害者との結びつきが強いようだ。
 (担当者道路維持課藤本係長以下三名)

 2.音響信号について京都府警に聞く
 Q. 京都府の信号機のうち、音響信号機の割合はどのくらいか。
 A. 京都府の信号機は全てで2280ヶ所あり、そのうち音響信号機は228ヶ所ある。ただし、一つの交差点を一ヶ所と見なしたものである。
 Q. 今年の計画はどうなっているのか。
 A. 十ヶ所に音響装置を付ける予定である。毎年せいぜいこんなものである。予算の都合もあり、要望の高いところ・必要性のあるところから付けていく。個人、団体、行政の要望に答える。全信号に音響装置を付けるつもりはないし、何割付けていくというメドもない。
 Q. 日本の信号機の音響装置には擬音のものと、メロディーのものがあるが、その使い分けはどうなっているのか。
 A. 擬音であるか、メロディーであるかは各都道府県によって統一されている。ただし、なぜその都道府県が擬音ないしメロディーになったかという経緯は知らない。
 Q. 野々村 A. 本部信号機係の矢野氏

 3. 京阪電車の福祉設備について
 大阪府の「福祉の町づくり条令」と運輸省の「エレベーター整備指針」を尊重し、エレベーターの設置に力を入れていく。しかしまだしっかりとした計画は立っていない。以前はエスカレーターの設置に力を入れていたが、ここ二、三年「エレベーターを」という声が高まってきたので、エスカレーターの設置よりもエレベーターの設置に力を入れるように方針を転換した。
 エレベーターは、主要駅から設置を進める。具体的には急行が止まり且つ他の線と連絡のある駅である。エレベーター、エスカレーター設置駅について表1で表す。
 また京都地下線各駅では、「身障者対策モデル駅」として、主(主な)出入り口及びコンコースの触地図式点字案内板に盲人誘導例を設置している。

 表1(校正者注:「表1」とあるが、表の記載なし)
「エレベーター、エスカレーター設置駅一覧表」
 エレベーターとエスカレーターの両方が設置されている駅〜〜京橋、守口市、枚方市、丹波橋、三条、四条、五条、七条、丸太町、出町柳、浜大津
 エスカレーターのみの設置駅〜〜西三荘、古川橋、大和田、堂島、香里園、樟葉、中書島、宮之阪、河内森、北浜
 車椅子対応のエスカレーター〜〜淀屋橋、北浜、天満橋、宮之阪

p18
  4. 阪急電気鉄道エレベーター、エスカレーター設置について
 阪急では昭和37年河原町駅にエスカレーターを、昭和54年に園田駅にエレベーターを、初めて設置した。
 運輸省の「エレベーター整備指針」によれば地上・改札とホームの高さが5メートル以上のところにエレベーターを付けよ、とのことなのでそのことと乗降人員のことなどを考慮に入れて、エレベーター設置駅の優先順位を付けている。
 平成元年に試験的に三宮駅に車椅子対応のエスカレーターを二機付けたが、現状から考えればエレベーターのほうがいいので、その後は付けていない。エレベーターの設置に力を入れている。
 エスカレーター、エレベーター設置駅及び新設・増設駅について表2・表3に示す。

 表2(校正者注:「表2」とあるが、表の記載なし)
 平成4年度3月31日現在
 芦屋川 エスカレーター1
 池田 エスカレーター5、エレベーター2
 茨木市 エスカレーター8、エレベーター4
 梅田 エスカレーター41、エレベーター2
 王子公園 エレベーター1
 大宮 エレベーター1
 桂 エスカレーター8、エレベーター3
 上新庄 エスカレーター1
 烏丸 エスカレーター2
 川西能勢口 エスカレーター6、エレベーター1
 河原町 エスカレーター2
 北千里 エスカレーター2、エレベーター2
 逆瀬川 エスカレーター4、エレベーター1
 三宮 エスカレーター10
 下新庄 エスカレーター2
 十三 エスカレーター5、エレベーター4
 正雀 エスカレーター2
 園田 エスカレーター4、エレベーター2
 高槻市 エスカレーター6、エレベーター3
 宝塚 エスカレーター5、エレベーター2
 塚口 エスカレーター2
 天六 エスカレーター3
 豊中 エスカレーター1
 長岡天神 エスカレーター1
 中山 エスカレーター3
 西宮北口 エスカレーター17、エレベーター5
 南茨木 エスカレーター4
 山本 エスカレーター4

 表3(校正者注:「表3」とあるが、表の記載なし)
 平成5年度予定

p19
 エスカレーターの新設〜〜宝塚南口1、水無瀬1
 エスカレーターの増設〜〜塚口2、上新庄2、宝塚2、高槻市4
 エレベーターの新設〜〜小林1、宝塚南口2、上新庄2、南千里1
 エレベーターの増設〜〜芦屋川1、宝塚1

 (校正者注:挿絵省略)

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 「福祉のまちづくり条例」推進都民の会 学習会
 みんなの意見

 1993年11月6日
 新宿区立障害者福祉センター

 1.東京は人が多すぎる(?)。一極集中を解消する事がまず必要ではないか。
 2.「住む権利」をどうクリアーするかが課題。
 3.視覚・聴覚障害などに対応した情報伝達、ソフト面での整備が必要。建築基準法なごがベースとなっている現状の中で、これらの課題をどう入れこんでいくのか。
 4.大阪の市営交通、地下鉄にはほとんどエレベーターがついていた。点でしかなく、点から線へ、線から面へつなぐための具体的方策が必要。建物ひとつひとつも大事だがそれらをつなぐ交通機関が重要。
 5.車を運転する立場から一番関心があるのは駐車場の問題。遠距離の旅行をする時には、場合によっては電車賃より駐車料金の方が高い事もある。
 6.駅の改札で車椅子ごとおみこしのようにかつぎ上げられるのは恐怖。階段も同様。
 7.既成の建物が改善されるようなものでなければだめ。
 8.交番や派出所にトイレ設置を義務付けたらどうか。
 9.都の条例の前提として、各区市町村レベルでの、身近な場面での検討が必要。
 10.新宿など人が住める環境ではなく、人口が減って高齢者、障害者が残されている。新宿では行政が援助してまちづくり協議会を作っている。当事者の立場で発言する事が重要。議論した中味を担保するものとしての条例が必要。
 11.ファミリーレストランが最近2階になってきている。規模だけでは解決できない。
 12.住宅も50戸以上といった規定があるが、どのようなものであれ(大小に関わらず)、入り口まではアクセスできるようなものが必要。これ以上、これ以下という発想とは別の考え方が必要。
 13.八王子では北口にエスカレーターが付く。階段の横に付く形のものにな

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りそう。階段昇降機などの位置付けがない。狭いという理由でこういうものが多く作られる可能性がある。この辺にどう言及できるか。
 14.道路の整備基準があるはずなのに非常に歩きにくい。駐車場の出入口で斜めになっていて、車道へ流れる危険性がある。できた後のチェック機能が大事。
 15.「働く権利」との関わりで、職場、事業所の基準が必要。トイレなど具体的な問題も含めて。
 16.「風俗」営業についても対象とするべき。エレベーターなど設置しても車椅子専用はまずい。誰もが特別な視線にさらされるのではなく、自然に使えるようなものであってほしい。精神的な障壁もこえられるようなもの。
 17.建築安全条例では学校が除かれている。統合教育を進めるため、さらに障害者の親が自由に出入りできるためにも整備が必要。学校開放も増えている。
 18.福祉関係施設ではエレベーター、点字ブロック、音声案内もあるが、その他の建物では点字ブロックやエレベーターの音声案内がない。細かなチェック必要。
 19.選挙の時、投票所にボランティアを設置したところもあった。
 20.荒川は都電が走っているが、段差が高くて車椅子は乗れない。その改善を求めている。
 21.なぜまちづくり条例なのか、条例でなければいけないのかと言われたことがある。規制ができるからではなく制定に参加できる事に大きな意味があるのだと。
 22.大きな視点でのまちづくり、道路行政や建物についての考えなど一切を含めて考えていく必要がある。
 23.廊下の幅も車椅子がすれちがい、ターンできるスペースが必要。
 24.点字ブロックが設置されてきているが、自転車や自動車が止まっている事も多い。設置されたものがどう使われているかチェックする必要がある。場合によっては罰則も必要。
 25.緊急時、例えば火事の時など、エレベーターが止まってしまう。いろいろな避難の方法を用意しておく必要がある。
 26.どこでも車椅子使用者が使えるトイレを街中につくること。
 27.赤ちょうちんで飲んで小便をしたくなると店の外に出て暗い駐車場にか

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くれてしなければならない。
 28.けんかをしてなぐられて怪我をした時、裁判所に行っても階段があって入れない。こういうことをなくしたい。
 29.まちづくりは基本的人権を担保するものだと思う。居住権としての住宅、特に集合住宅のアクセシブル化をしなければならない。交通移動権としての道路と交通機関、教育権としての学校、社会教育機関、労働権、サービスを受ける権利、買い物をする自由、そういったいろいろな社会参加が権利として実現していくまちづくりとしたい。
 30.歩道が傾斜していて車椅子で通りにくい所が多くあり改善したい。
 31.国立駅のスロープの所に自転車が置いてあり、出られない事が多い。
 32.手で押す自動ドアがある。「自動ドア」にならない。
 33.電動車椅子への対応が特に不十分。(特に駅)。
 34.都外の施設に追われている知的障害者などの存在を忘れてはいけない。
 35.ノーマライゼーションがきちんと入れられないか。「専用」「特別」でなく。例えば劇場など。誰もが、どこでも使えるという発想が必要。「モデル地区」「モデル事業」ではだめ。
 36.障害者、高齢者が住めない(住まない)街になってきている。そういう所で「福祉のまちづくり」を行っても使う人がいないという事態もあり得る。
 37.住宅政策、福祉サービスも「まちづくり」の中で考えられなければならない。人間としてあたり前に生きていけるための「まち」のあり方を検討する必要がある。
 38.チェック機能の中に相談や苦情処理といった分野も合わせ持つべきだ。
 39.人々の意識が「まちづくり」の中で変わっていくのか、変わっていくようなものをつくりたい。
 40.「まちづくり」の中で障害者と健常者の関係が今どうなっているのか、今後どうしていかなければならないのか、その辺も大きなテーマではないか。

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 12日間の入院生活
 森登美江

 昨年の秋、私は白内障の手術のため入院しました。辛い職場から解放され様々な現実を離れて、リフレッシュするには最も良い機会だったと思っています。
 何時もマッサージ師として病室を訪れ患者と接している私にとって、この12日間の入院生活は短い時間であったとはいえ、これからの仕事の上でとても良い経験となりました。狭い空間が限り無く退屈である事、どうしても昼間寝てしまうため夜がどうにも眠れない事、1日の内のほんの一瞬の診察、検温といった変化や面会など外から来る人間との接触がどれ程待ち遠しいか、そして3度の食事がおいしく暖かい事がどんなに心を暖めてくれるものか…そんな事を日々様々考えながら同室のおばあちゃんたちと毎日同じ会話をぐるぐる繰り返し、それがまたなかなか味わい深くもあり優しい時間を過ごせるのでした。
 私が知り得た限りでは数名の看護婦が3交替勤務、看護助手3名程が早番遅番のローテーションをこなしていました。完全看護体制で同僚の間の難しい人間関係をちらほら覗かせながらも、患者にはみんな比較的優しい対応だったと思います。
 その日は眼科の入院患者の入浴割当日でした。一人のてきぱきした看護婦が一人でも多く、出来れば許可の出ている患者は漏れなく入れるようにと大奮闘しました。ふと聞こえて来た看護助手の言葉は『あの人何時もああなのよね。少しは私達の身にもなって欲しい』でした。いっしょうけんめい自分自らも動いて、それでも患者の身になってより多くの事をしようとする人は同僚からけむたがられてしまう、何処にでもよくある現実ですが寂しい気がしました。
 私の職場はご飯もそれから時々付く吸い物も冷たく、副食もかちかちになった焼き魚が1日に確実に1度は出されその他は漬け物とか野菜が少々。お粥の場合にはそれらが細かくなっているだけの物。それを知っている私には入院先での食事にとても興味がありました。入院1日目から退院の日まで日

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記の中に書き留めて置いた程ですから。ご飯も吸い物もふたを取ると湯気がたち副食も3・4品。独り暮らしの私には申し分の無い物でした。食生活の違いとはいえそれを『味が無くて食べられたものでは無い』とか『とても不味くて食べられない』とこぼす人がいたのも事実ですが。私の部屋ではみんな『おいしいね』と食べていました。老人性白内障二人と角膜移植後の緑内障に悩む中年一人と私の4人。術後1時間もすれば起きてトイレも食事も許され、基本的にはデイルームという談話室を兼ねた食堂へいって食事をります。私はデイルームに電話をかけに行ったりしていたので食事もそこまで行っても良かったのですが部屋の人がそれぞれの事情で運んでもらっていたためそれに便乗する事にしたのです。(ちなみに入院二日目の献立を書いて見ます。朝食はご飯、みそ汁、里芋・人参・ひきにくの煮物、大根おろし、焼き海苔、牛乳。昼食はご飯、鱈の煮漬けレタス付き、なます、ブロッコリー、茄・胡瓜の漬け物。夕食はご飯、卵焼肉・キャベツ・トマト、いり豆腐、グレープフルーツ。)
 設備としては廊下の壁にてすりが設けられている事と車椅子で使用出来るトイレや洗面所そして、コインランドリー。事情の異なる私の職場をいちいち引合に出すのは適当で無いかも知れませんが、私の職場は108床の規模で全自動洗濯機2台と乾燥機1台。協会から派遣されている家政婦たちが日々熾烈な争奪戦を展開しているのを思い出さずにはいられませんでした。この病院の全体の規模やシステムは全く分からないのですから、嫌いな職場とあれこれ比較して何もかも良く思ってしまうのは軽薄かも知れませんがとても快適に過ごした12日間であった事は確かです。

裏表紙の裏
BOOKレット紹介

「23年ぶりに改正された障害者基本法」B4判 75頁 600円(送料1部 390円)
○主な内容 (1)基本法の内容 (2)評価と問題点 (3)障害者自身が作った改正対案 (4)改正に向けての取り組み (5)様々な立場の意見 (6)様々な動き
○問い合わせ・申し込みは
「障害者総合情報ネットワーク」へ
 〒112 文京区関口1‐16‐1‐701
 TEL/FAX 03‐5228‐3484

 ―編集後記―

 視労協大会も間近に迫ってきました。準備の方は順調?に進んでいます。あとは多くの人達の参加を期待するのみです。今年は従来にも増して、視覚障害者の課題を掘り下げて議論したいと思っています。そして、活動層の拡大、地域・世代を越えての情報交換、運動の交流を図っていきたいと思います。様々な形での視労協への参加、支援、協力を引き続きお願いします。(奥)

裏表紙(奥付)
 1994年2月18日 定価200円
 編集人  視覚障害者労働問題協議会
 〒239 横須賀市長沢115 グリーンハイツ2‐7‐405 奥山 幸博気付
 発行人  身体障害者団体定期刊行物協会
 世田谷区砧6〜26〜21

 視覚障害者労働問題協議会



障害の地平 No78付録
(p1)
 障害の地平 No78付録
 1971年6月17日第3郵便局許可(毎月6回/5・0の日発行)
 1994年2月18日発行SSK増刊通巻376号

 第10回視労協交流大会に参加しよう!
 
 テーマ:手づくり、まちづくり、視労協づくり

 今年も「視覚障害者の課題」にこだわって、交流大会を行います。地域、職場における視覚障害者の現在とこれからを議論します。自立と差別からの解放をめざす多くの方々の参加をお待ちしています。

 日時:1994年3月5日(土)、6日(日)
 場所:5日…東京都障害者総合スポーツセンター
 北区十条台1〜2〜2 TEL 03-3907-5631
 6日…北区立十条台区民センター(十条台区民館)
 北区中十条1〜2〜18 TEL 03−3905−7118
 (障害者福祉センター併設)
 ※地図参照

 ◎連絡先
 〒239横須賀市長沢115グリーンハイツ2-7-405
 奥山幸博気付
 視覚障害者労働問題協議会
 TEL(どちらも昼間のみ)
 奥山0468-22-6711
 宮03-3780-0585(月・水・土)

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 ―日程ー
 ◎3月5日(土)
 〇15時〜17時 プレ・トーク
 「DO YOU KNOW盲界?」〜視覚障害者運動に新しい風を〜
 〇18時〜 夕食・交流会(会費2,000円を予定)

 ◎3月6日(日)
 〇9時30分〜10時30分 視労協総会
 〇10時30分〜11時30分 特別講演 講師 堀利和参議院議員「障害者基本法の成立と今後の障害者施策の動向」
 〇11時30分〜12時30分 昼食・休憩
 〇12時30分〜13時30分 連帯のあいさつ
 〇13時30分〜16時 分科会
 「生活」』(交填アクセス、へ丁瓢.点字)
 「教育」(盲学校、統合教育、学生生活)
 「労働」(民間、公務員、教員)
 「三襟」一(ヘルスキーパー、開秦、国家試験)
 〇16時〜16時30分 分科会報告、大会宣言、閉会

 宿泊 東京都障害者総合スポーツセンター(無料)

 参加費 無料。食事、交流会は実費(6日の昼食は弁当を用意)
 
 待ち合わせ
 3月5日(土)  14蒔30分 JR埼京線十条駅南口改札外
 3月6日(日) 午前9時と12時30分 いずれもJR京浜東北線王子駅 北口(東十条寄り)改札外

 視覚障害者労働問題協議会(視労協)

(p3)
 交通のご案内
(校正者注:地図省略)
 高速5号池袋線「東池袋ランプ」を出て、明治通りを王子万向に進み、滝野川二丁目の信号@を左折、滝野田病院前Aを左折し、滝野川四丁目交差点Bを直進し200mの右側です。
〈電車〉
 ・JR埼京線十条駅南口下車徒歩15分 点字ブロックが敷設されています。
 ・都営三田線、新板橋駅下車徒歩20分
〈バス〉
 ・JR王子駅と池袋駅より送迎バスを運行してます。
 ・王子駅・板橋駅区間(帝京大病院経由)北養護学校前下車徒歩5分(国際興業バス)

 当センターのほかに東京都多摩障害者スポーツセンターがあります。ご利用下さい。
 〒186東京都国立市富士見台2-1-1
 TEL.0425(73)3811
 FAX.0425(74)8579

(p4)
 施設までの案内図
(校正者注:地図省略)

 周辺図
(校正者注:地図省略)

 ◎交通機関(国際興業バス)利用の場合
 王子駅から(赤羽駅西口行)南橋下車
 十条駅から(王子駅行) 南橋下車
 赤羽駅西口から(王子駅行)南橋下車
 
 ◎徒歩の場合
 京浜東北線
 王子駅から約10分
 埼京線 十条駅から約10分

■引用



■書評・紹介



■言及



*作成:仲尾 謙二
UP: 20210528 REV:
視覚障害  ◇『障害の地平』  ◇全文掲載  ◇雑誌  ◇BOOK  ◇障害学  ◇身体×世界:関連書籍 
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