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『障害の地平』No.77

視覚障害者労働問題協議会 編 19931118 SSK通巻第339号;身体障害者定期刊行物協会,28p.

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視覚障害者労働問題協議会 編 19931118 『障害の地平』第77号,SSK通巻第339号;身体障害者定期刊行物協会,28p. ds. v01

■全文

表紙
 SSK通巻増刊―障害者開放運動の理論的・実践的飛躍のために―
 子宮から墓場までノーマライゼーション!

 ―視労協―
 障害の地平 No.77
 視労協、アクセス・ナウ!
 視覚障害者労働問題協議会

 一九七一年六月十七日第三種郵便物許可(毎月六回 五の日・0の日発行)
 一九九三年十一月十八日発行SSK通巻増刊三三九号

目次
 視労協的気分
 「何かが見えて、何かが足りない」 的野 碩郎……1
 誌上インタビュー「益田 毅さんに聞く」(第3回)……4
 視覚障害者にとって「福祉のまちづくりとは?」……8
 視労協、駅点検報告    ……10
 交通アクセス行動交渉報告 ……20
 住宅問題一応解決     白男川 久雄……22
 「障害の地平」への御意見、感想を……23
 〈資料1〉 重度障害者の雇用促進を中心とする障害者対策の積極的推進……24
 〈資料2〉 障害者総合情報ネットワークヘの協力のお願い……26
 会費・定期購読費納入のお願い
 編集後記

p1
 視労協的気分
 「何かが見えて何かが足りない」
 的野 碩郎

 ぼくの率直な感想として言えば、「何かが見えてきているのだが、何かが足りない」ではないだろうか。今までの集会とも違って、結構具体的なテーマや体験が語られ、いわゆる抽象的で理論だけが見える集会と違ってきている。そこには少しの生活の匂いもしてきている。間近な課題が取り上げられてきた。一定の情報も、教科書的、役所的ものから、その個人に会った情報提供が始まった。さらには、理論が先行していた運動の中に具体的実践が、変って表舞台に立ち始めた。
 障害者総合情報ネットワークの誕生、まちづくり条例の連絡会議、弁護士の障害者問題のネットワーク、そして、従来からの交通アクセスや雇用問題の実行委員会と、具体的課題を抱える集合体が動き出している。DPIもさらに幅を広げてきた。少しづつ、少しづつ動いているものを感じる。
 では視労協運動はどうであろうか。真に視覚障害者の立場に立てているだろうか。視労協らしさは、どんな所に見い出したのだろうか。
 まちづくりにしろ、交通アクセスにしろ、三療問題にしろ、教職の障害保障制度作りにしろ、やっと始まったところである。視労協連動の歴史の中のひずみから、徐々にではあるが、何かが変ろうとしている。しかし、それが視労協そのものを、飛躍させるための力なのかは見えてこない。
 ぼくの年代、つまり40代を迎えている人達は、それなりの思いがある。ある人は、三療という枠から抜け出したいと思っているし、あるいは、独り立ちしたいと思ってもいる。40数年という歴史は、ほんの少しの自信を持たせてくれるらしい。豊かな生活(?)が、社会全体を覆う中でのもがきであるのだろうか。今、ぼくのまわりには、変ろうとする人達がたくさんいる。
 視労協で、10の駅点検をしてみた。やればやるほどおもしろさが出てくる。

p2
 当事者を外して、計画・実行したことがよくわかる。駅舎そのものの問題もあるが、やはり、どの駅にも駅員が少ない。点検の途中に声をかけてくれたのは、むしろ乗客なのだ。これから繰返し点検をしながら、交渉へと進めるしかなさそうだ。今まで車椅子を中心とした障害者の交通アクセスが、クローズアップしていたせいか、視覚や聴覚障害者は、当事者として、問題拾い出しにはやや遅れていたが、やっと視労協もその気になった。ただ、他の「盲界」でも取り組んでいるわけで、これから先、どのような視労協らしさに期待できるのだろうか。
 三療はさらに輪をかけて大変である。まず、いくつかの問題がずらっと並ぶ。初めての免許取得のための国家試験の結果、視覚障害者の合格率は低くさらに不合格の人をどうフォローするかという問題も出てきた。病院マッサージ師の解雇も相次いでいる。カイロプラクティックのひどさも、カイロ大学作りと合わせて再浮上してきた。そして何よりも、ここのところ健常者の三療開業者が、はるかに視覚障害者を越えて、その唯一とも言える三療業をおびやかしているということ。しかも、これらへの対応は福祉団体や業団体など、「盲界」では、おのれの利益を有利に導くための発想を、相変らず推進している。この三療問題は、ほとんどタッチしてこなかった視労協にとっては、きびしいものがある。それに、健常者と切り拓いたはずのマッサージユニオンも、不況や治療費の値上げなどの影響で、現場の努力も空しく先細り。どうやって、視労協として、三療を視覚障害者の手に戻せばいいと言うのだ。かろうじてマッサージユニオンだけが、最後のもがきとして患者の掘り起こしや、ビラの集中的配りや、組合員への再度の出資願いや、金集めと奮闘している。もちろん、全く知らん顔をしているわけはない。学習会や内部討論は、地道ではあるが続いている。それでも、それでも、どうずればいいかが見えてこない。
 教員問題もそうだ。障害保障制度作りに一歩踏み出したのだが、現実の中でダブルハンディで働き続ける事や、持ち時間軽減や、異動といった問題は鈍い動きだ。
 他にもいくつかの課題はあるが、こうしてみてくると、障害者運動全体で感じている、「何かが見えてきているが、何かが足りない」が、この視労協にあてはまってくる。
 10数年も前に比べれば、人も金も集まらなくなった。同じ人がどの集会でも顔を出す。でも、それがいい、悪いと言うのではなく、その人達がまちが

p3
いなく変ってきている。変らざるをえないのかも知れないが……。
 もうひとつ、どの団体もそろって、世代交代という問題も出てきている。どこまで続くかわからない細川政権を、どうとらえるか。まきこむかという共通課題もある。
 話は横道になるのかもしれない。いや、ひょっとしたら、これがメインなのかもしれない。ぼく自身、今何をしたいのだろうか。どこかで爆発したいものが、沸々とあって、それをおさえたり、自ら認めたくなかったりする思いが片方にあって、「もう年だから」とか、「こんなもんじゃないか」があったり、「コツコツやっていこうよ」があったりと、「何かが見えてきている」つもりでいても、ひとつも具体的に先に進まない。流れる事だけは結構上手になったり、鳴りをひそめたり、現われたりのかくれみのを使った芝居も上手になったり、そんなこんなを、さらに、さらに、上手にあやつれたり。それでも、それでも、じーっと止まっていたくない気持が渦巻いて、線路のない蒸気機関車みたいに、力はあり余って脱線転覆。
 仲間の一人がよくぼくに言う。「まだがんばるんですか?」と。ぼくは力なく「うーん」。
 私事だが、去年の10月から、ぼくの勤め先の経営者が変わり、それに伴なって上司陣の総入替や、経営方針(言ってみれば、管理主体の医療ビジネス)が変った。ぼくの部署も、病院の端っこの暗い、狭い所から一気に、メインの場所で広さも持て余す所へと移ったり、患者がいようといまいと、一日中部屋への廊下側の出入口は、開っ放しにされ、さらに隣の診察室との境も開っ放しとなって、プライバシーもプライドもすっかり踏みにじられてしまった。四六時中、管理職が出入りし、ひどい時には、郵便物の開封までされ、電話は勤務中ということで取りつがれず、入院患者は全員にちかく指示が出て。この話題は別の機会とするが、と、いうような職場環境に落とし込まれている今、ぼくも視労協運動も、障害者運動も、どこか似ている立場にあるのではと、ふと思った。いろいろあるけど、まだ、がんばるしかないと、とりあえず言っておく。

p4
 誌上インタビュー
 ―益田 毅さんに聞く―(第3回)
 聞き手 奥山 幸博

 インタビューも3回目になりました。今回は「益田流アクセス」についてお聞きしました。

 (益)=益田  (奥)=奥山

 (奥)昔に比べて、視覚障害者は街中を歩きやすくなったと思いますか。
 (益)車が増えたということが大きな意味を持っています。国障年以降、声をかけてくれる人が増えました5戦後の一時期、健常者にゆとりがなかったせいか、障害者に対する接し方が、私達にとっては辛いような事もありました。最近は地下鉄などで「御案内しましょうか」と声をかける人が多くなりました。
 (奥)外を歩くことはどうでしょう。昔は点字ブロックなどなかったと思いますが。
 (益)昔は歩道の方がかえって歩きにくかったですね。終戦直後などは車もほとんど通らなかったので、車道を歩いた事もありました。大きな通りでは・歩道もそれなりに広いのですが・裏通りの歩道は狭いし、電柱もあったりして危険ですね。大きな道路から一つ中に入った少し大きめの裏道を歩くのがいい方法だと思います。これも時代によりますが、現在のように家が沢山建っているといいのですが、何もなくて原っぱになっていると困ります。
 (奥)駅を使ったり、電車に乗ることで感じていることはありますか。
 (益)よく利用しているのは、JRでは田端、地下鉄では千代田線の千駄木です。三田線では千石を使います。千石は使いやすい駅だと思います。三田駅では3番線に着いたり、4番線に着いたりします。そうすると、降り口の位置が変ってしまうので、必ず3番線に着くのか、4番線に着くのかを言ってもらいたいと思います。まだまだ言わない車掌もい

p5
ますので。僕の場合は脇のお客さんに「終点までいらっしゃいますか」と聞きます。そして何番線に着いたのか見てもらいます。勘違いして、転落して怪我をした人もいるようです。
 (奥)駅での券売機や改札、ホームヘの案内などはどうですか。
 (益)僕の場合は、大体晴眼者に買ってもらいます。20年ほど前、視覚障害者の集まりの時にこんな事を言った人がいました。「点字表示などができることによって、多くのものを失うことに気付かないか。見方によっては一歩前進かもしれないが、それまでの駅員との関係なども失われてしまうことになる。他の乗客も、自分達の手が省けるというように理解してしまうかもしれない。」
 (奥)自分でキップを買うことはほとんどないわけですか。
 (益)そうですね。周囲の人か、あるいは駅員に頼みます。
 (奥)改札は、有人、自動のどちらを通りますか。
 (益)都盲協で説明会があり、その際「皆さんは有人改札を通って下さい」という話がありました。最初は有人を使っていましたが、最近は自動にも少し慣れてきたので、そちらを使う事もあります。
 (奥)ホームで柱や自動販売機にぶつかったり、線路に落ちた経験はありますか。
 (益)柱などは逆に目安になります。降りる駅の階段の場所をあらかじめ駅に電話で確かめておいて、適当な車両に乗るようにしています。乗る時は、例えば一番後ろに乗って車内を移動するわけです。これは人に教えてもらった事ですが、「我々はホームを歩くよりも、車内を移動した方が安全である」と。晴眼者は車内を歩いているのを見かけると、出入口を捜しているのかと思ってしまうようです。「出口はこちらです」とか「席が空いていますよ」などと声がかかりますね。そうするとこちらの事情を説明するようにしています。
 (奥)話は戻りますが、線路に落ちた経験はないのですか。
 (益)あります。最初は盲学校の遠足の帰りです。上野でした。半盲の人と一緒に歩いていたのですが、彼が先に出ちゃったんです。僕を捜しに戻ったらしいんですが、僕もいつまでももたもたしていたらいけないと思って、動いたんです。そうしたら落ちてしまいました。同級生の父兄が助けてくれました。2番目は田端駅で、10年ほど前です。駅員2人で上げてくれました。

p6
 (奥)それはどういう状況だったんですか。
 (益)まだ一番端ではないと思って歩いていたら落ちてしまいました。
 (奥)バスの停留所の位置はどのように確かめますか。
 (益)最近は「あんどん型」が増えたので安全ですね。まわりの人に聞きます。椅子のおいてある所も多くなったのでわかりやすくなりました。
 (奥)バスで不便を感じることはありますか。
 (益)不便というよりも、最近は運転手の態度が良くなりましたね。昔は横柄な人がいると会社に電話をして「今こういうバスに乗ったんだが対応が悪かった」とクレームをつけました。バスを降りてからの事ですが工事などでバス停の位置が時々変る事があるんですが、これは困りますね。近くの客に駅まで案内してもらうこともあります。
 (奥)タクシーについてはどうですか。
 (益)大勢並んでいる時は、前の人に頼むと、「どうぞお先に」と言われてしまうので、後の人に頼むことにしています。後にいない場合には前の人に頼みますが、後に来たらその人に頼んで、「後の人に頼みましたから」と前の人に伝えます。
 (奥)路上で止める時は。
 (益)大体人に頼みます。
 (奥)では益田さんの基本パターンは、まわりの人に頼んでしまうということですね。
 (益)そうですね。
 (奥)タクシーに乗ってトラブルになったような事はありますか。
 (益)ずっと昔に一度ありましたね。こちらが少し文句を言ったら、「だから私達も乗せるのが嫌なんですよ」と言ってました。しかし、トラブルみたいなことはほとんどありませんね。  (奥)飛行機に乗ったことは。
 (益)一回あります。刑法改悪に関する集会が九州大学で行われた時です。新幹線で行くつもりでしたが、間に会わなくて精神科のお医者さんと一緒に行きました。
 (奥)何か交通機関のことなどで気になることは。
 (益)乗換えですね。夢にみたこともありますよ。かなり気になっていたんですね。秋葉原で総武線に乗り換えたりする場合、近くの客に誘導を頼みます。地下鉄は比較的そういうサービスをよくしてくれます。

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JRも大部変りました。駅員は減ったかもしれませんが、サービスは良くなったように感じます
 (奥)歩道の自動販売機などはじゃまになりませんか。
 (益)商店の看板が出ていることがありますが、あれは困りますね。
 (奥)音の出る信号も増えましたが。
 (益)特に便利とは感じません。人に頼みますから。荻昌弘さんという評論家の弟という人に誘導してもらったことがあります。声がよく似ていました。
 (奥)ガイドヘルパーについて何かありますか。
 (益)比較的利用しています。以前は1日4時間という制限がありましたが、最近はなくなりました。何人いても足りないという気がします。主婦の方が多いので夜間はむづかしいようです。
 (奥)制度面で改善すべき所はありますか。
 (益)講習を受けなければならないことになっていますが、緩やかでもいいと思っています。
 (奥)どうもありがとうございました。一応3回目ということでインタビューは区切りにしたいと思いますが、機関誌などについて御意見があればおねがいします。
 (益)こういう形で取り上げてもらって感謝しています。できれば自分で文章を書いてみようかという気になりました。
 (奥)是非書いて下さい。それでは終わります。

p8
 視覚障害者にとって「福祉のまちづくりとは?」
 視覚障害者労働問題協議会(文責 宮)

 はじめに
 「すべての人があらゆる社会の領域で自由に行動し、社会参加できるようなまちづくり」(大阪府福祉のまちづくり条例)
 「建物に入れない事、交通機関を使えない事、教育・雇用への参加を否定されている事、これらを私達は差別と呼ぶのです。」(A・ラツカ)

 視覚障害者にとって住みよいまちとは?
 (1)自分が今どこにいるのかがわかりやすいまち。
 (2)行きたい方向や場所へ行く方法がわかりやすいまち。
 (3)落ちたりぶつかったりする危険の少ないまち。
 (一言で言えば情報と安全が確保されているまち)

 視覚障害者の問題の特徴
 (1)いわゆる「ハード」よりはソフトにあたる部分が重要であること。(視覚は物理的ちからは持たないが、極めて優れた情報器官であるから)
 (2)施設・設備がなくても何とか出来ない事はないが、設備があっても完壁とはならない。(例えば点字ブロックがなければ絶対に歩けないわけではないが、あっても安全が「保障」されるわけではない。)

 具体的な要望と課題
 (1)音声による情報提供の充実―言葉と音声による情報は視覚障害者にとって最も古く、最も手軽で、直接的で、効果的なものである。音響式信号機の一層の拡大。公共施設等の入口の誘導チャイム。バス、電車等の車内・車外の放送、エレベーターや現金自動預払機、各種自販機の音声ガイド。
 (2)点字ブロックの意味を明確化する事と、その限界を認識する事。―点字ブロックにははっきりした意味を持たせなければならないが、同時にあまりに多くの種類や意味を持たせる事は、足の裏の(靴底の)感覚を媒介にする限り非実用的である。段差を知らせるブロックは弱視にもわかりやすい色や材質にする事。

p9
 (3)利用者の身になって点字表示をつける。―券売機や自販機などへの点字表示を一定程度義務付けると共に、駅の階段、曲がり角等にも点字表示を付ける。
 (4)各地域や商店街等、身近な場所の点字マップを充実させる。―誰にとっても、これから行く場所に対する予備知識がある事は心強い。特に視覚障害者にとってはそれは測り知れない安心感をもたらす。各地域で点訳サークルや市民グループによって作られている、そうした身近な地域のマップ作りに助成し、それを視覚障害者が購入しやすくする。
 (5)各種道路工事の際の安全確保のための十分な基準を作る。―昨年、秋田で下水道工事中の道路で視覚障害者が転落し重傷を負っている。建設局、交通局、水道局に対し下請けも含めた安全基準作りを要求する。
 (6)ホームに地下鉄南北線のような開閉式安全柵を設置する事。(点字ブロックは絶対ではない。事実、ここ2、3年かえって事故が増えているかも。)
 (7)いつでも、どこでもガイドヘルパーが使えるようにする。―情報、誘導、安全、すべての条件からみて「人間」は優秀なガイドシステムである。但し、一人で移動する「危険な自由」も捨てがたいし、まして、「ガイドつき」で歩くことが陰に陽に押しつけられるような事は許されない。
 (8)とかく忘れがちな、弱視のための情報や安全を確保する対策に力を入れる。
 (9)まちづくりの基本として障害者が「住む権利」を確立する。―移動の自由はもちろん大切だが、そもそも一人の市民としてまちに住む権利が確立されていなければ、「福祉のまちづくり」はあり得ない。障害者の住める公営住宅を充実させると共に、民間アパート等の借上げや不動産業者への指導を通じて、障害者が住みたい地域に自由に住める住環境を整備する。ある意味で福祉のまちづくりの第一歩。
 (10)エレベーター、ATM等のタッチセンサー式の機械を視覚障害者にも使えるものにする事。

p10
 視労協、駅点検報告

 ※営団地下鉄南北線『箱形ホーム』も見て来ましたよう!!

 今年も、交通アクセス全国大行動が10月11・12日の両日行なわれ、各地でさまざまな形の取り組みがなされました。
 私達視労協は行動に参加するにあたって、視覚障害者の立場で駅点検を実施しました。東京のJR山の手線内29駅のうち、10駅を選び、(1)券売機および階段・てすりの点字案内表示、(2)点字ブロックの敷設状況と危険箇所のチェック、(3)構内および車内アナウンスの3点に注目しながら歩いて見ました。勤務時間外や休日を利用して行ないましたが、たくさんの利用者のすきまをみつけて券売機に触れたりホームでは、頻繁に出入りする電車の合間を縫って、柱や人をよけたり人にぶつかったりしながら、端から端まで歩くのですからなかなか大変なものがありました。さらに、行動日当日営団地下鉄南北線の『箱形ホーム』を点検するという独自の行動を組みました。以下、それらの点検報告をします。

 1 JR山の手線
 ※点検を行なった駅 東京、神田、秋葉原、上野、池袋、高田馬場、新宿、渋谷、品川、田町。

 1.東京駅
 (1)点字案内表示
 (ア)券売機:八重洲北口、丸ノ内北口同じく地下北口いずれもJR線内近距離運賃ボタン、呼び出し、取り消しボタンにあり。その他、切符枚数、子供切り換えボタン、新幹線自由券、他の路線乗換え、回数券、カード専用なし。自動精算機には、一切なし。
 (イ)階段・てすり:場所によって在る所と無い所あり。なお、現在全面工事中の9番線には、その旨の表示その他の案内全くなし。

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 (2)点字ブロックの敷設状況と危険箇所のチェック。
 (ア)通路には誘導ブロックなし。各階段おどり場なし。ホームあり。
 (イ)1・2番線[中央線]:有楽町側は工事中の為、仮のブロックが敷設されておりやや細め。さらに、場所によって上からテープどめされており、弱視にはとびとびに見え足先でも不安定。
 (ウ)3・4番線[京浜東北線、山の手線]:3番線のブロックのすぐ接した位置に2・3本柱あり。南口への階段脇に接して柱があり、登ってすぐ回り込むと衝突する。同じく、有楽町側は工事中の為のフェンスがブロック上にあり、直進すると衝突する。
 (エ)5・6番線[京浜東北線、山の手線]:中央階段のエスカレーターに乗る際ブロックは無いが、ホームに登って進むと1m程前に、エスカレーターのはばに併せて横に敷設されている(必要かどうか?)。工事中の為のフェンスがブロック上にあり他のホーム同様危険。
 (オ)7・8番線[東海道線]:ブロックと柱との間が狭い。神田側ホームから通路への階段の下1/3程から徐々に横はばが広くなっており不安感がある。
 (カ)9・10番線[東海道線]:10番線の先端はブロックが切れている。
 (キ)八重洲南口への通路で6・7段の階段を登ると、ブロックが5・60cm離れて敷設。又、登った所に大きな柱在り。
 (ク)丸ノ内北口、有人改札を出て自動改札を右手にして並行に進むと壁に突き当たる。
 (ケ)地下ホームではホームまでの三つの動く歩道、三つのエスカレーター乗り継ぎの間誘導ブロックなし。1・2番線[京葉線、武蔵野線方面]はブロックとホームの淵までの距離が60cm程と狭い。さらに、丸い大きな柱がブロックに接近しているため衝突の恐れが有るうえ、それをよけて歩くと電車との接触も考えられる。ホーム先端ではストップのしるしが無いため壁に衝突する危険性あり。3・4番線も同様で柱が接近しており、先端もブロックからいきなり壁になる。さらに、反対側の端には両側とも柵が無いため転落の恐れもある。

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 (コ)神田側階段下のブロックは階段にぴったり接して細くきづかない可能性があり、色も階段と同形色のため弱視には非常に見にくくなっている。
 2.神田駅
 (1)点字案内表示
 (ア)券売機:JR線内近距離運賃ボタンと、呼び出し、取り消しボタン(無い所もあるが)に、表示あり。その他のものにはなし。自動精算機には無し。運賃一覧表が券売機と券売機の間1箇所に張り出されている。(偶然発見)
 (イ)階段・てすり:5・6番線なし。3・4番線東京側あり。(片側)
 (2)点字ブロックの敷設状況と危険箇所のチェック。
 (ア)通路は改札近くにのみ誘導ブロックあり。各階段のおどり場にはなし。ホームあり。
 (イ)1・2番線[京浜東北線、山の手線]:ホームが他の二つのホームよりやや短いため他のホームに気をとられていると危険かもしれない。
 (ウ)3・4番線[京浜東北線、山の手線]秋葉原側先端のブロックの終る位置は柱が在ってホームも非常に狭くなっており危険である。又、ホームを斜めに走る細い溝(みずはけのものか?)がブロックと交差していて紛らわしい。
 (エ)5・6番線[中央線]:東京側のブロックが終ってさらに先端まで距離が在るにもかかわらず両側に柵が全くない。ブロックとホームの淵との距離が6・70cmしかない。3・4番線と同様溝とブロックが交差している箇所がある。
 (オ)北・南口:改札へむかって降り階段に大きな柱がはみだしている。改札をはさんでブロックが並行に敷設されているが、有人改札の反対側の改札内は男子トイレになっている。(女子トイレは階段側。点字表示なし)
 (カ)北・東口:(オ)と同様に改札に並行のブロックは改札内では蕎屋、外では壁に突き当たっている。
 3.秋葉原駅
 (1)点字案内表示。
 (ア)券売機:JR線内近距離運賃ボタン、呼び出し、取消ボタンあり。

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その他なし。運賃一覧表あり。自動精算機にはなし。
 (イ)階段・てすり:全くなし。
 (2)点字ブロックの敷設状況と危険箇所のチェック。
 (ア)通路は誘導ブロックなし。(但し、電機街口改札近くにはあり。)階段おどり場なし。ホームあり。
 (イ)1・2番線[京浜東北線、山の手線]:ホームが非常に狭くブロックとホームの淵との距離も短く柱がブロックに接近しており歩きにくい。
 (ウ)3・4番線[京浜東北線、山の手線]:御徒町側先端は停車位置をややこえた所で建物に突き当たり、ブロックがさらにその脇を走っている。そこから逆戻りして神田側に歩くと一つ目の登り階段に行く間に柱が3本も接近している。1・2番線同様ホームが狭く階段脇を通るのも恐怖である。
 (エ)5番線、6番線ともそれぞれ相対形ホームで1・2番線、3・番線の2本の並行したホームの上に直角に走っている。1・2、3・4から5番線、6番線に行くにはそれぞれ色分けしているようである。
 (オ)6番線[総武線]昭和通り口への誘導ブロック無し。エスカレーターでホームに登り中央を進むと鉄板が誘導ブロックと思い違いしそうな状態で続く。
 4.上野駅
 (1)点字案内表示。
 (ア)券売機:JR線内近距離運賃ボタンあり。(但し、ボタンの上側に表示されている形が多いが中には下のものもみとめられ不統一。)呼び出し、取り消しボタンあり。(但し、下側がほとんどだが中央口にはボタンの横にはがれかけて付いているものや下に在ってもボタンからかなり離れているものがある。)その他なし。運賃一覧表一応あり。
 (イ)階段・てすり:全てにあり。(但し、どちら側がなん番線か不明瞭。どの方面の改札口かの案内はされている。)
 (2)点字ブロックの敷設状況と危険箇所のチェック。
 (ア)各通路誘導ブロックあり。各階段おどり場なし。ホームあり。
 (イ)1・2番線[京浜東北線、山の手線]:ブロックに接している柱がなん本もある。公園口・浅草ロホームからの登り階段脇に大きな柱がある。

p14
ホーム先端はブロックが続いているが両側柵なし。
 (ウ)3・4番線[京浜東北線、山の手線]:ブロックに接近して柱あり。それぞれの端に柵なし。停車位置をこえてブロックが敷設されており、そのまま進むと転落や衝突の危険あり。
 (エ)1・2番線から3・4番線にかけての中央不忍口にむかう通路上に、天井がかなり低い所が在り確実に頭がぶつかる。
 (オ)1・2番線と3・4番線の間で中央口から不忍口へ抜けるホームと並行した通路があり3・4段下りるのだが上下どちらもブロックなし。
 (カ)浅草口公園口へ登るとかなり広いフロアーになっていて誘導ブロックはあるが方向を定めにくい。又、新幹線乗り場とJR改札の誘導チャイムが同じ音であるため非常に不便である。  5.池袋駅
 (1)点字案内表示。
 (ア)券売機:JR線内近距離運賃ボタンあり。(但し、西口、北口はボタンの上側。中央口は上下の2種類。南口は下というように不統一。)呼び出し、取り消しボタンあり。回数券の券売機に呼び出し、取り消しボタンあり。自動精算機にはなし。運賃一覧表一応あり。
 (イ)階段・てすり:在る所と無い所在り。(在っても、『階段下りて改札出口』というようにどの出口なのかわからないとか番線の確認ができないなど不明瞭。)
 (2)点字ブロックの敷設状況と危険箇所のチェック。
 (ア)通路の誘導ブロックあり。各階段おどり場になし。ホームあり。
 (イ)3・4番線[埼京線]:誘導ブロックがホームの淵のブロックと20cm程の距離をおいて並行に敷設されている箇所が一部分あるので注意。ホーム中央一部分に誘導ブロックあり。(意味不明。)
 (ウ)5・6番線[山の手線]:柱とブロックが接近している。
 (エ)3・4番線から中央口へ続く階段のてすりが4・5段のこして切れている。(そのてすりは表示なし。)
 (オ)西口に券売機までの誘導ブロックあり。
 (カ)北口の改札内通路の床面のカラータイルと同形色で弱視には間違い

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易く不安感が在る。
 6.高田馬場駅
 (1)点字案内表示
 (ア)券売機:JR線内近距離運賃ボタン(上)、呼び出し、取り消しボタン(下)あり。他の路線乗換え券売機に呼び出し、取り消しあり。その他なし。運賃一覧表と時刻表あり。(戸山口)
 (イ)階段・てすり:全てあり。(但し、西武連絡口への階段では2・3段登った位置にずれている。)
 (2)点字ブロックの敷設状況と危険箇所のチェック
 (ア)通路は誘導ブロックあり。階段おどり場なし。ホームあり。
 (イ)ブロックに柱が接近している。
 (ウ)ホーム先端柵あり。
 (エ)西武連絡階段上誘導ブロックなし。
 (オ)戸山口側ホーム先端降りかいだんにむかうブロックとその両側の柵の間を歩いて行くと、一部迷路になっていてうっかりすると行き止まりになってしまう。
 7.新宿駅
 (1)点字案内表示
 (ア)券売機:JR線内近距離運賃ボタンあり(上)。呼び出し、取り消しボタンあり(下)。一部カード専用に運賃、呼び出し、取り消しボタンあり。その他なし。回数券呼び出し、取り消しあり。自動精算機呼び出し、取り消しあり(これは10駅のうち渋谷と新宿のみ)。
 (イ)階段・てすり:片側だけの階段もあるがほとんどあり、指示も分かりやすい。
 (2)点字ブロックの敷設状況と危険箇所のチェック
 (ア)通路は誘導ブロックあり。各階段おどり場なし。ホームあり。
 (イ)13・14番線[総武線、山の手線]:南口階段を降りて14番線側ホームの代々木側先端、ブロックの終りが不明瞭なうえ柵がない。又、階段おどり場てすり近くに柱。13番線側のブロックを新大久保方面に歩くと登り階段脇柱。さらに、先端にむかって進むと途中でブロックが切れてしま

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ってその前線路ぎわには柵なし。但し、14番線側のみ柵あり。
 (ウ)11・12番線[総武線、山の手線]12番線新大久保側先端中央にホームと並行にブロックあり(意味不明)。柵なし。12番線側柵あり。
 (エ)9・10番線[中央線]:大久保側先端、ブロックがきれてその前やや間があいて柵あり。なお、7・8中央通路南側階段の案内表示が2・3段降りた位置にある。
 (オ)5・6番線[甲府方面特急]:南口登り階段上に突然柵。
 (カ)3・4番線[成田方面]:3番線側を南口方面に歩くと、ホーム淵の滑り止めとブロックがまぎらわしい。
 (キ)1・2番線[埼京線]:柱が近い。ホーム端のブロックを歩いていると階段が見付けにくい。埼京線新南口階段下ブロックなし。代々木側一番端の停車位置のややてまえで突然ブロックが終っていて、最も端のドアからの乗り降りが危ない。
 8.渋谷駅
 (2)点字案内表示
 (ア)券売機:JR線内近距離運賃ボタンあり。カード専用に呼び出し、取り消しあり。左から2、3だいめの券売機は、はがれたまま放置。その他なし。
(以上玉川口)自動精算機呼び出し、取り消しあり(10駅の内渋谷と新宿の2駅のみ)。
 (イ)階段・てすり:あり(但し、番線とどの方面かが不明瞭)。
 (2)点字ブロックの敷設状況と危険箇所のチェック
 (ア)通路は誘導ブロックなし。各階段おどり場なし。ホームあり。
 9.品川駅
 (1)点字案内表示
 (ア)券売機:JR線内近距離運賃ボタンあり(上)。呼び出し、取り消しあり。(但し、はがれて放置されているものあり)。その他なし。
 (イ)階段・てすり:全てあり(但し、番線のみ。通路の指示は、あり)。なお、使用していないホーム多数在るもよう。
 (2)点字ブロックの敷設状況と危険箇所のチェック

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 (ア)通路は誘導ブロックなし。各階段おどり場なし。ホームあり。
 (イ)柱をよけて回りこむ形の敷設箇所あり。 
 10.田町駅
 (1)点字案内表示
 (ア)券売機:JR線内近距離運賃ボタンあり(下)。呼び出し、取り消しあり。その他なし。
 (イ)階段・てすり:全くなし。
 (2)点字ブロックの敷設状況と危険箇所のチェック
 (ア)通路は誘導ブロックなし・階段おどり場なし。ホームあり。
 (イ)1・2番線[京浜東北線、山の手線]:品川側は2番線から1番線方向に傾斜しておりさらに、ホームが狭くなっていて、両側のブロックの聞は1m20cm程。ブロックが終ってさらに先端まで距離が在るが、両側に柵が無くてホームの終りにかろうじて柵あり。
 (ウ)3・4番線[京浜東北線、山の手線]:品川側の登り階段裏がむきだしの為けがの恐れあり。その近くに喫煙コーナー。
 11.その他
(1)構内アナウンスは幾種類もの電車が発着する駅では番線と、どの方面の電車なのかを比較的案内している。[東京、高田馬場、新宿、品川]京浜東北と山の手だけの駅ではほとんど『1番線に電車がまいります』のように、どの方面なのかが分からない。又、車内アナウンスは小さくて聞取りにくいばあいや日中など全く案内の無いばあいも在る。
(2)誘導チャイムは、人の動きで消されぎみだったりするが一応目安になる。[上野、池袋、高田馬場、新宿
(3)ホームの淵の音声案内『足下に御注意ください』と電車の入っている間繰り返すもの。どの程度役だっているか検討の必要あり。[新宿、渋谷]
(4)エスカレーター周辺の誘導の在り方(登りか下りかの案内。乗る位置の確認方法など)。
(5)トイレは壁にてすりを付けて点字表示が在ると良い。左右の統一。
(6)喫煙コーナーにブロックを。

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 2.営団地下鉄南北線
 1.駒込駅
 (1)点字案内表示
 (ア)券売機:運賃ボタンにあり。運賃一覧表あり(現在6駅)。
 (イ)階段・てすり:地下に降りる階段・てすりに南北線で有る事と階段番号明記。改札内てすりにも明確に表示されている。
 (2)点字ブロックの敷設状況と危険箇所のチェック
 (ア)通路は誘導ブロックあり。階段おどり場なし。ホームあり。
 (イ)ホームは階段以外全てフェンスに囲まれており転落の危険はない。
 (ウ)ホーム淵のブロックは電車とフェンスの2重ドアの位置に敷設。
 (エ)なれないせいかやや圧迫感あり。
 2.その他
 (1)車内アナウンスはテープによるもの。
 (2)各車両にボックス席一つ。4両編成の3両目(駒込から王子方向のばあい。逆は2両目)車椅子席あり。まどは上が開くように成っている。車内全体がゆったりしている。

 以上の点検結果から現在の駅は事故が何時起きても不思議では無い危険な状態に有る事が明らかです。点字ブロックを利用して移動したばあいの柱や壁との衝突、又、階段脇を歩けば大きな柱をよけて電車との接触が考えられます。狭いホームではラッシュ時に押し出されて線路に転落した事故も過去に有りました。衝突、接触、転落…全て私達障害者だけの問題では無く利用者全員に拘わって来るものです。
 又、視覚だけでなく聴覚にも障害の有るなかまたちにとってはさらに深刻な状況に違い有りません。同じ視覚障害といってもそれぞれ得意不得意も有り同じ危険と言っても様々です。そういう中から共通部分を見いだしたり違いを確認したりする為に多くのなかまや健常者にも呼び掛けて、駅や町をテーマに学習会を組むのも必要ではないでしょうか。
 南北線ホームの点検報告の所でも触れたように、より安全なものを求めて

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追究して行く必要が有るのだと思います。電車が駅に着いてドアが開いたのにフェンス側が開かないとしたら閉じ込められてどうすればよいでしょうか。勿論それは手動で開けられるでしょう。でも実際にそうなったら怖い気がします。なにかの状況で線路上を歩いても、駅も壁になっていてホームに上がる事が出来ない…などなど考えれば際限は有りませんが、あらゆる角度から検討しておく必要は有ると思います。確かに現状では最も安全な方法かも知れないのですから。
 今回は改札外通路など充分点検出来なかった所もたくさん有りましたが、多くの危険な箇所を見付けました。又、点字表示やアナウンス、誘導チャイムなど私達が快適に利用出来る為の手段をより充実させる必要が有る事も確認しました。引き続き点検や分析を重ね具体的な対策を申し入れて行かなければなりません。
 私達視覚障害者は、移動に関して比較的自由で有り又、収入の面でも(多くの問題を含んでいるにしても)3療[按摩・マッサージ・指圧、鍼、灸]という職業が有ります。24時間介護を必要とする状況にも有りません。ですから、他の障害者のように深刻な訴えをするにいたっていないばあいが多いようです。しかし、私達も生きて行く為には解決しなければならない問題はたくさん有ります。多くの障害者と共にそして、健常者と共に生きるには独自の課題をしっかり見詰めて前進することではないでしょうか。
今回の駅点検活動は、そういう姿勢を持つ為の独自の取り組みであったと考えています。
 以上、報告を終ります。
 (報告、森)

 ※東京京王線・府中駅では高架に伴う大工事の際エレベーターが設置され階段・てすりも点字案内表示が設けられました。さらに、トイレにはそれぞれの入り口に中の説明図と水の流れる音を組込んだ案内板が登場しました。
 みなさんが、利用されている駅で設備や対応など気が付いた点、気になることなど有りましたらぜひお知らせください。

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 交通アクセス行動交渉報告
 ―営団、JR東日本―

 10月11日、DPI日本会議の呼び掛けで、「誰もが使える交通機関を求める全国行動」が行われました。全国22ヶ所で、2500人の仲間が参加して多様なとりくみが展開されました。
 東京においても、新宿駅を中心にマラソントーク、ビラまき、署名活動、電車、バスヘの乗り込み行動などが300名の参加者によって展開されました。
 視労協からは10名程が参加し、地下鉄南北線のホームドアなどの点検を行いました。翌12日には、東京都交通局、関東バス協会、営団、JR東日本とそれぞれ交渉が行われましたが、営団とJR東日本との交渉について、視覚障害者に関わる部分に絞って報告します。交渉全体としては、エレベーター設置をめぐるやりとりが多く、視覚障害者の課題が十分議論されたとは言えない状況です。今後は点検活動の一層の強化とともに、独自の交渉設定も必要です。
 〔帝都高速度交通営団〕
 ◎要望項目
 1.視覚障害者・聴覚障害者が安全に利用できるよう、音声誘導や文字誘導、点字表示の整備を行うこと。
 2.ホームについて、視覚障害者向けの誘導ブロックや音声案内、点字表示を徹底すること。
 3.券売機は点字表示すること。
 ◎回答の概要
 1.できる所から順次進めている。
 2.誘導ブロックは全駅で設置している。点字表示についてもできる所から順次行っている。
 3.券売機については、全駅、全券売機で点字表示している。
 ・南北線のような安全柵を既設線に設置することは物理的に不可能、一番良いシステムとは考えているH7年度には溜池まで、H9年度には目黒までが開業する予定。その間の駅についてはホームドア式を設置する。

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 ・階段の手摺等にも、全駅ではないが点字表示をしている。今後増やしていきたい。
 ・文字表示については、銀座線の新車で実施している。丸の内線の新車も同様。今後新車導入の際につけていきたい。
 ・新線の予定は11号線北上ルート。水天宮前から錦糸町を通って押上まで。今年度着工、H12年度開業予定。
 〔東日本旅客鉄道株式会社〕
 ◎要望項目
 1.視覚障害者向けの誘導ブロックや音声案内、点字表示を徹底すること。
 2.券売機は点字表示すること。
 3.聴覚障害者への情報伝達を行うこと。
 ◎回答の概要
 1.誘導ブロックは、首都圏においては終っている。今後、コンコースの整備について順次進めていきたい。
 2.券売機には全部点字表示している。点字の運賃表、手摺への表示については、東京の近郊区間の駅には概ね設置している。
 3.電光掲示板を採用している。今後遅延情報なども、新たに設備をすることによってとり入れたい。駅にコインファクスを置いて、利用してもらいたいと思う。
 ◎視労協から口頭で要望したこと。
 ・券売機には多くの種類(取り消し、枚数、回数券専用など)があり、これらへも点字表示を。
 ・運賃表もどこにあるのかがわかるようにすること。
 ・階段の手摺については、踊り場にも点字表示を。
 ・アナウンスについては「何番線に○○行の電車が入る」を明確に。車内では十分な音量による放送を。
 ・転落防止の柵などの点検を行い、早急に対処すること。
  (報告 奥山)

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 住宅問題 一応解決
 視労協会員  白男川 久雄

 私たち夫婦は現在住んでいる所に1991年12月に引っ越して来ましたが、約1年半の間、大家に「賃貸契約は無効だから、退去しろ」と言われ続けてきました。私たちはこれを障害者に対する差別だととらえ、闘ってきましたが、この8月、不動産屋が一旦大家から物件を借り受け、それをわれわれに転貸借するということで、一応決着することになりました。ここにご報告いたします。
 大家ならびに不動産屋とわれわれの言い分の詳しい内容は、以前『障害の地平』に載せましたので、そちらを参照してください。
 簡単に書きますと、向こう側の言い分は「奥さんは目の見える人だと思って契約したら、実際は見えない人だった。これは錯誤に基づく契約だから無効だ」というのです。錯誤というのは、たとえば、家を建てるつもりで土地を買ったが、実際は建てられない土地だったというような場合のことです。奥さんが目が見えなかったから錯誤だなどと、全くナンセンスなことを言って、契約を拒否してきたわけです。
 これに対してわれわれは、東京ユニオンの千葉さんに相談に乗ってもらい、またわれわれの代理人にもなってもらい、これは民法上の錯誤だ、なんだということでなく、差別問題だということで、闘うことになりました。その間、視労協の皆さんにも、相手側の代理人である弁護士と差別について徹底的にレクチャーしていただきました。
 テープに採ったわけでは無いので、証拠は残っておりませんが、この弁護士は千葉さんとの電話の中で「だって、障害者は気持ち悪いでしょう」と言ったそうです。このことに関して、話し合いのときに、障害者かどうか、なにを基準に分けるのかと問い質しますと、「白い杖を持っているか、いないかでしょうね」という答えが返って来ました。人権の擁護者であるはずの弁護士がこういう感覚しか持っていないということは、本当に残念なことです。権利ではなく、利権のことしかきっと頭にないのでしょう。
 さて、大家は、あくまで障害者とは契約を結びたくないらしく、転貸借ということになりましたが、差別は解決していないわけです。しかし、そう簡単に差別がなくなるものでもありません。一応住めることになりましたので、

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住み続けることで、徐々に差別をなくしていけるのではないかということで、この転貸借に応じることといたしました。ご支援いただきました皆さん、本当にありがとうございました。それから、代理人の千葉さん、本当に助かりました。ありがとうございました。この紙面を借りて、お礼申し上げます。
 最近『点字毎日』で、「土地の値が下がるから、団地を出ていってくれ」と不動産屋に言われたという視覚障害者の記事を読みましたが、おそらくわれわれの場合もこれと同じような理由から、契約を拒否されたのだと思います。われわれの場合は、賃貸借契約とともに家賃の自動引き落としの契約も結んでおりましたので、あくまで契約どおりに行こうという方針を立てました。つまり、向こう側としては家賃を引き落とすと契約を認めたことになるので、引き落とせなかったわけです。結果として、バブル崩壊で苦しむ不動産屋に対抗できたわけですが、差別をなくす闘いは、これからだと思います。「差別をなくすには、まず実践」ということを、改めて実感した次第です。

 「障害の地平」への御意見、感想を

 視労協の運動、機関誌について是非意見をお寄せ下さい。また各地の様々な視覚障害者に関する情報をお待ちしています。

 ○視労協の事務局は
 〒239 横須賀市長沢115 グリーンハイツ 2‐7‐405 奥山気付  視覚障害者労働問題協議会
 〈連絡先〉(昼間のみ)
  奥山 0460‐22‐6711
  宮(マッサージユニオン)03-3780-0585(月、水、土)

p24
 資料 1
 重度障害者の雇用促進を中心とする障害者対策の積極的推進
 〔平成6年度重点施策(案)〕

 1 身体障害者雇用率制度の厳正な運用等
 (1)雇入れ及び雇用継続のための指導、相談援助の充実
 (障害者雇用指導コーナーの拡充、集団管理選考方式による雇用促進会の拡充)
 (2)精神障害者担当職業相談員の拡充等によるきめ細かな職業相談の実施

 2 重度障害者雇用対策の充実
 (1)重度障害者の雇用を促進するための総合的な事業の推進
 イ「障害者雇用支援センター(仮称)」に対する援助
 ・市町村レベルにおいて福祉部門と雇用部門の連携を図りながら、就職・職業定着に至るまでの相談・援助を一貫して行う専門施設としての「障害者雇用支援センター(仮称)」の設置について必要な助成を行う。
 ロ 通勤対策、住宅・福祉施設の整備、人的支援の拡充等障害者の職業生活の支援の充実
 ハ 地域障害者雇用推進総合モデル事業の拡充
 (2)重度視覚障害者に対する職業適応指導の実施
 ・重度視覚障害者の職域拡大及び雇用の促進を図るため、文書処理に必要なアクセス機器やソフトを適切に選択して、操作方法を習得させるための職業適応指導を、中央広域障害者職業センター(国立職業リハビリテーションセンター)において新たに実施する。

p25
 (3)重度障害者雇用促進プロジェクト事業の充実
 ・専門家の特別のプロジェクトによる重度障害者の雇用促進事業について、精神薄弱者に対する事業の実施県を拡大するとともに、聴覚障害者についての事業を新たに実施する。
 (4)第3セクター方式による重度障害者雇用企業の設置促進

 3 職業リハビリテーションの充実
 (1)職業準備訓練、職域開発援助事業の拡大実施
 イ 職業準備訓練の全国的実施
 ロ 小規模作業所との連携等による職域開発援助事業の充実
 (2)重度障害者の職域拡大のための就労支援機器の開発
 (3)障害の多様化等に対応する職業探索システムの開発

 4 精神薄弱者・精神障害者の雇用の促進
 (1)精神薄弱者の職業的自立援助事業の実施
 ・精神薄弱者の職業的自立を促進するため、保護者等の雇用に関する理解の促進を図る「精神薄弱者職業的自立援助事業」を新たに実施する。
 (2)重度精神薄弱者雇用促進プロジェクト事業の拡大実施(再掲)
 (3)精神障害者に対する職業レディネス指導事業の実施
 ・精神障害者に対する職業準備訓練への円滑な移行を図るための「職業レディネス指導事業」を、障害者職業総合センターにおいて新たに実施する。
 (4)精神障害者担当の職業相談員の拡充(再掲)

p26
 BEGIN
 1993年 月 日(校正者注:月日、空白)

〈資料2〉
 障害者総合情報ネットワーク準備会
 代表世話人  二日市 安

 障害者総合情報ネットワークヘのご協力のお願い

「国連・障害者の10年」も昨年で終わり,今年から「アジア・太平洋障害者の10年」などで新たな一歩が踏み出されることになりました。
 しかし,本年1月の中央心身対策協議会の「意見具申」にも述べられているとおり,完全参加と平等のための施策はまだ緒についたばかりです。
 とりわけ,障害者が地域社会で健常者と共に自立した生活を送り,一般の職場で共に働き,地域の学校で共に学び,安全かつ自由に移動でき,さまざまの情報を等しく利用するには,今なお多くの障壁が存在しています。
 そして,現在の障害者に関する政策の多くは,官僚主導であり,私たちとは遠く離れた場所でいつのまにか進められていて,私たちに知らされるのは,ほぼ完成した段階においてというのがほとんどです。
 私たちはこのような現状から抜け出すことを目的として,別紙設立趣意書に記しましたように,「障害者総合情報ネットワーク」(略称BEGIN)を創立いたしました。このネットワークを通じて,誰もが生の行政情報その他の資料を入手し,それを分析できるようにしようと計画しております。そのようにしてこそ初めて広く深い検討や研究そして批判と提言がおこなえるようになるのだと思います。
 このネットワークはまだ動き始めたばかりで,運営面でも,研究の面でもまだまだ不十分です。これまで様々な面でご協力をいただいてきた皆さんにさらにお願いするのは誠に恐縮ですが,私どもの趣旨をおくみとりの上,このネットワークにお力をお貸しいただき,「政策立案過程への障害者自身の参加」という目的に向かって共に進んでいただければありがたいと存じます。
 なにとぞ暖かいご配慮を賜りますようお願いいたします。

 〒112 東京都文京区関口1‐16‐1 東海文京マンション701
 電話・FAX 03‐5228‐3484
 (最寄り駅:地下鉄有楽町線江戸川橋駅)

p27
 BEGIN
 障害者総合情報ネットワーク会員募集要項
 障害者総合情報ネットワークは,会員を募り,その会費によって情報提供を行い,運営を行っていこうと考えています。会員には,以下のようにA会員とB会員および賛助会員とあります。ほかに季刊の情報・研究誌の購読のみの購読会員もありますが,個人の方はできるだけA会員かB会員としてご加入いただくようお願いいたします。団体の方々には賛助会員もあります。
 なお,定期発行物の版型,内容等まだ確定できていない面もあることをあらかじめご了解ください。

 障害者総合情報ネットワークの会員とは

 障害者総合情報ネットワークは,単なる情報サービス機関ではありません。もちろん行政情報を中心とした,さまざまな情報の入手と流通は,私たちの活動の大きな柱です。しかし,その行政情報の入手一つとってもたとえば地方自治体の情報の入手には,各地に入手について協力いただく方が不可欠です。また入手した情報の検討と研究は,私たちの活動のもう一つの柱です。ここにも,多くの,とりわけ障害当事者の方々の意見が反映されなくてはなりません。この研究の成果を持ち寄って,全国的な研究集会をもったり,各地でミニ研究集会を開催したいと考えています。こうした情報収集と研究,そして共同の集会について皆さまに会員となって参加していただきたいのです。
 障害者総合情報ネットワークは,皆さんからの「発信」に開かれています。配布資料も,事務局で入手した資料のみが対象ではありません。皆さんからも積極的にリクエストを出してください。また,どうぞお持ちの資料をお寄せください。ネットワークを通じて広く流通させ,共有化を図っていきませんか。「あなた」にとって有用な情報は,みんなにとってもきっと有用です。
 このように,障害者総合情報ネットワークの会員は「受け手」や「利用者」にとどまらず「発信者」であり「研究者」でもあるのだ,と考えています。
 具体的な運営については,世話人会や事務局会議で討議し遂行していきます。その内容については,『月刊ビギン』にその都度掲載していきます。ご意見やご質問がありましたら,どうぞお寄せください。
 皆さんの積極的ご参加をお待ちいたします。

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 A会員(会費:年間3万円)
 @〜Dまでのサービスが提供されます

 @月刊ビギンをお送りします
 A4判で8頁前後。内容としては,その月に入手した資料の紹介や月間の動きなどを掲載していきます。これによって,会員の方々の資料入手の参考となる情報を提供していこうと考えております。

 A季刊で発行する情報・研究誌をお送りします
 体裁・頁数等は未定ですが,A5版120頁前後のものを想定しています。障害者総合情報ネットワークとして収集した資料のうち,特に重要と思われるものを採録したり,その時々の課題についての研究論文や調査報告等を掲載していく予定です。

 Bご希望の資料(行政文書など)をご依頼に応じて取り寄せ提供いたします
 当障害者総合情報ネットワークの中心的業務です。お読みになりたい資料をお知らせください。当方で探し出し,入手し,提供いたします。手数料や郵送料は,年間500枚,郵送料3,000円分までは無料です。これを超えてご利用になったときは,コピー代を1枚あたり30円と,郵送料の実費をいただきます。

 C随時必要に応じて発行する速報紙をお送りします
 体裁や頁数としては,A4またはB5判で1枚程度を随時に発行いたします。例えば,法改正がされる,というようなときに国会周辺の動きや,運動側の動きなどをタイムリーにお伝えします。必要に応じて,資料文書も付録のかたちで添付してお送りいたします。

 Dネットワークの活動への優先参加
 研究集会・シンポジウム等への参加費の割引きなど,当ネットワークの活動への優先参加。

 B会員 会費:年額1万円
 提供されるサービス

 A会員に提供するサービスのうち,@Aを提供いたします。BCについては,ご希塾の方にコピー代1枚あたり30円と,郵送料の実費を頂戴して,提供いたします。

 賛助会員(団体募集のみ)会費:1口年額1万円
 提供されるサービス
 B会員に提供する内容に準じますが,季刊誌はご加入いただいた口数の範囲でご相談に応じて提供いたし,月刊誌は1部のみお送りいたします。

 購読会員 会費:年額6,000円
 提供されるサービス
 季刊の情報・研究誌をお送りします。
 資料の提供については,コピー代として1枚あたり40円と郵送料の実費をいただきます。

裏表紙の裏
 会費、定期購読費納入のお願い

 視労協もようやく点字プリンター、パソコンを購入しました。今後、点字印刷物の充実を図っていきたいと考えています。しかし、皆様御存知の通り、これらの機器はかなりの高額で、もともと余裕のない財政状況を一層きびしいものにしています。皆様の御協力と御理解を心よりお願い致します。

 ○会費  年間 4800円
 ○定期購読費  年4回発行  880円(送料込み)
 ○郵便振替口座  東京8‐92981
 加入者名  視覚障害者労働問題協議会
 ☆年末カンパもよろしく!!

 ―編集後記―

 今回の機関誌は、「アクセス特集号」となりました。読者の皆さんの感想や各地の状況をお知らせ下さい。
 11月7日に、「三療問題学習会」を行いました。視覚障害者にとっての「三療」は、まさに危機的状況にある事を再認識する内容でした。運動課題として何から始めていいのか、暗中模索というのが視労協の現状です。しかし、視覚障害者にとって「三療」は避けて通る事のできない重要課題でもあります。粘り強い議論を重ねたいと思います。そして実践への手掛かりを見つける努力をしなければと思います。(奥)

裏表紙(奥付)
 1993年11月14日 定価200円
 編集人  視覚障害者労働問題協議会
 〒239 横須賀市長沢115グリーンハイツ2‐7‐405 奥山 幸博気付
 発行人  身体障害者団体定期刊行物協会
 世田谷区砧6〜26〜21
 視覚障害者労働問題協議会



■引用



■書評・紹介



■言及





*作成:仲尾 謙二
UP: 20210528 REV:
障害学 視覚障害  ◇身体×世界:関連書籍  ◇『障害の地平』  ◇雑誌  ◇BOOK  ◇全文掲載
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