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『精神医療』5(2) 特集:児童精神医療を考える その1

精神医療編集委員会 編 19761112 岩崎学術出版社,84p.

last update: 20110603

■精神医療編集委員会 編 19761112 『精神医療』5(2) 特集:児童精神医療を考える その1,岩崎学術出版社,84p. ※(第2次・通巻20)
 ※19761112 『精神医療』2-5-2(20)

■目次

序(河合洋) 1

 □特集/児童精神医療を考える その1
「登校拒否」を「負い目」にしないために教師は何をするのか(永田実・宮崎慶子) 2-18
脳波検査と投薬の諸問題――医師たちに考えて欲しいこと(篠原睦治) 19-30

赤堀裁判と精神鑑定書(鈴木伸治) 31-44
新谷訴訟をふりかえって(桑原治雄・小西真行・杉野健二) 45-59
強制入院反対論ノート吉田おさみ) 60-66
「白昼夢」の体験的構造――患者と「精神科医」「心理学者」の間から(岩樹清一) 67-68
東京の精神医療に関する「当面の」我々の見解――地精審答申にそって(東京都地域精神医療業務研究会) 69-83

編集後記(著者署名なし) 84

■引用


吉田おさみ 19761112 「強制入院反対論ノート」,『精神医療』第2次5-2(20):60-66

 「自傷他害のおそれにしても、広く解すると、そのおそれのまったくない人はいないでしょう。精神障害の有無の判断、入院が必要か否かの判断についても同じことがいえます。いいかえれば、誤診の可能性がきわめて大きいのです。措置入院の際の鑑定医の診断が、くい違う場合が多いのは、このことを証明しています。
 診断に際して客観的基準がないことは、単に誤診を招くだけでなく、故意の不法入院が行なわれるおそれがきわめて多くなります。むろん、いかなる制度もそれが不法に利用されることはあり得るのですが、強制入院の場合、むしろ不法な利用があたりまえのこととして通用しています。つまり、本人に入院に際しての拒否権が認められないことは、精神科医、行政官庁、家族に絶大な権力をもたせることになります。措置入院の場合は精神科医と家族との結託によって簡単に入院させられます。特に病歴者の場合、精神科医が入院の必要ありといえばたいていの家族は同意しますし、逆に家族が厄介払いのために入院させるケースもきわめて多くみられます。病歴者が精神科医、あるいは家族と対立関係に陥った場合、病気とは無関係に入院させられる危険が現行制度では防げません。」(吉田[19761112:64])

 「保安処分とたたかうことは必要でしょう。しかし精神科医は現在、みずから”強制入院”という保安処分にかかわっているのではないでしょうか。措置入院の本質は明らかに保安処分です。同意入院を保安処分と規定するのは言葉の意味の不当な拡大でしょうが、これとても、やられる本人にとっては保安処分と同じことです。すべての権力を権力たらしめているものとしての国家権力とのたたかいは大事でしょうが、まず治療者権力こそが否定されなければなりません。保安処分反対運動は、したがって、強制入院制度反対に連続すべきです。」(吉田[19761112:66])

■書評・紹介・言及


◆立岩 真也 2013/12/10 『造反有理――精神医療現代史へ』,青土社,433p. ISBN-10: 4791767446 ISBN-13: 978-4791767441 2800+ [amazon][kinokuniya] ※ m.


UP: 20110603 REV:20130928
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