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NHK番組改変問題

2005 2006
NHK


◆永田 浩三 20100725 『NHK、鉄の沈黙はだれのために――番組改変事件10年目の告白』,柏書房,286p. ISBN-10: 4760138412 ISBN-13: 978-4760138418 2000+ [amazon][kinokuniya] ※ nhk01wv.


◆20010130 つるたさんより
◆20010130 つるたさんより
◆200104〜05 署名よびかけ
◆NHKへの「わたしたちの見解と要望」署名運動事務局からのお知らせ(2001.7.10)
 ◆資料1.NHKからの「回答」
 ◆資料2.事務局からの再回答要求
 ◆資料3 NHK提訴シンポジウム
      日本のメディアは何を恐れているのか?
      ーNHK「女性国際戦犯法廷」番組改ざんの責任を問うー
◆20010913 社会情報研究所文化研究プログラム 第3回ワークショップ
 「徹底検証:ETV2001改竄問題とメディアの現在」
 ……
◆2005   別ファイル
◆2006   別ファイル

 
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◆20010130 つるたさんより

関係者から以下の番組の案内を受けました!末尾の「右翼の攻撃うんぬん」は確
認する必要があるとはお送り下さった**さんの解説ですが..。

*****お知らせ&お願い!!!!!*****************
今日から NHK教育で夜10時〜放映のETV2001で、
「シリーズ 戦争をどう裁くか」をやります。

1夜目 1/29 人道に対する罪
2夜目 1/30 日本軍による戦時性暴力
3夜目 1/31 いまも続く戦時性暴力
4夜目 2/01 和解への道

3夜目の「いまも続く戦時性暴力」では、今紛争下で何が起こっているのか、
また過去と現代の性暴力のつながりを、そして被害を抑えるための予防策を、
高橋哲哉さんと米山リサさんの対談をはさみながら描きました。
グアテマラの内戦下で性暴力を受け、この12月に来日したヨランダ・アギラル
さんをはじめとして、東チモール、ブルンジ、ソマリアなどの被害者からの
「声」に光をあてます。(ドキュメンタリージャパン制作担当)
水曜日1/31日放映です。ぜひ、見てください。

今回のシリーズに関して、NHKは右翼から予想以上に猛烈で過激な攻撃を
受けており、番組はその大騒動のなか放映されます。
(2夜目が天皇責任を追及する内容が含まれているため)
NHKの局員のなかには、かなりの勇気と決断を持って臨んでいる人が
少数ですが、います。(個人的に攻撃され、自宅襲撃の可能性もある)
放映後、もし、番組が良いと思えばぜひ、局にエールの
電話やFAXを送ってあげてください。お願いします。
電話:03-3465-1111(NHK代表)

==転載ここまで==


 
>TOP

◆20010130 つるたさんより


==以下、ピープルズプランMLからの一部転載==

とても嫌なことになってい
るってことをお知らせします。

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

 以下のメール転送させていただきます。

NHKの「ETV2001 戦争をどう裁くか」の番
組制作ディレクターの女性の方が書かれたも
です。

 本日と明日の昨年12月開かれた「女性国際
戦犯法廷」にからむETV2001の放映が右翼の
激しい妨害によって危ぶまれています。また、右
翼の介入で内容の変更の圧力がかけられてい
ます。

 以下の文を読んでから夜の放映を見ていただ
き、その内容次第で、NHK宛てに、批判または
激励をウェブサイトその他に送ってくださるようお
願いいたします。

 取り急ぎ、用件のみにて失礼させていただきます。

> > ===ETV2001 「シリーズ 戦争をどう裁くか」に関して========
> > ETV2001 (シリーズ 戦争をどう裁くか)は、
> > 今日、明日の回は、放映が中止されるかもしれない、という状態が
> > 数週間ずっと続いており、2回目(今日)の担当ディレクターと編集者は、すで

> > 番組を降りました。(右翼に対するNHKの過度な反応と過剰な編集への介入が原
因)

> >
> > 今日、明日の回はぜひ、見てください。
> > そして率直に「骨抜きだ」「甘っちょろい」と感じたら、
> > そのようにNHKに意見してください。(もちろんエールも含めてですが)
> > お願いします。電話をかけてくださった方のなかには、ウェブサイトに
> > 意見を書き込んでくれ、と言われた方がいますので、ウェブアドレスも
> > 下記に記しますので、アクセスして意見を書き込んでみてください。
> > (電話の場合、「視聴者ふれあいセンター」につないで欲しいと伝えてくださ
い)
> >
> > NHK電話:03-3465-1111
> > (「視聴者ふれあいセンター」につないで欲しいと伝えてください)
> > NHK Fax:03-3467-1988「視聴者ふれあいセンター ETV2001」
> > NHKウェブ:http://www.nhk.or.jp/etv2000/
> > (ETV2000のウェブで、意見を書き込むコーナーあり)
> >


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

[ 続報分 ]

> 今日は私がボイコットしたためにプロデューサーが修正したものを
> 局に納品したらしいのですが、その後、その完成品に「局」がさらに
> 今から手を入れるというのです。
> こんなこと聞いたことありません。
> そして、手を加える「局」の人間は誰なのか、制作者である私には全く
> おしえてもらえないのです。
> おとといの夜の時点から、「局上層部」という目にみえない存在から
> 命令が次々と下され、反抗しようとしても有無をいわせない状態。
> まさに戦争に加担していく市民達、責任者達の姿を目の当たりにしているようで
す。
> 恐ろしい社会です。
>
> ではまた。

 
>TOP

◆200104〜05 署名よびかけ

(転載歓迎)


【NHKに対する「わたしたちの見解と要望」への共同署名の呼びかけ】
--NHK教育テレビ「問われる戦時性暴力」の番組改ざん問題について--

 みなさん

 去る2001年1月30日に放映されたNHK教育テレビの番組ETV200
1「シリーズ 戦争をどう裁くか」第二回「問われる戦時性暴力」では、昨年1
2月に東京で行われた「日本軍性奴隷制を裁く女性国際戦犯法廷」(以下、「法
廷」)が取り上げられました。しかしその制作過程において、NHK幹部による
強力な現場介入がなされ、放映直前になって番組内容に重大な改変が行われた事
実が明らかになっています。また、右翼団体がNHKに押しかけて番組改変を求
めたのみならず、自民党の政治家がNHK幹部に圧力をかけたという疑惑まで報
道されています。
 NHK側は、今回の番組改変のプロセスについて「編集権」を盾として、その
内容を明らかにしようとはしていません。しかし、下記に「主な報道」としてあ
げた記事などにより、それが通常の編集作業の枠を越えた改変であったことが分
かってきています。こうした報道により明らかにされた事実は、NHK上層部に
よる「異例の試写」を契機として放映直前の二日の間に驚くほど意図的で大幅な
改変が行われたということ、そして、それが企画段階から制作に協力した出演者
や取材協力者の了解に反する形で行われたということです。
 結果として、放映された番組は例えば次のような問題点をはらむものとなりま
した。

・)「法廷」の主催団体であるVAWW-NETジャパンへの言及がなく、その代わり、
 「法廷」に否定的な見解をもつ歴史学者・秦郁彦氏に対して放映2日前に急遽
 行われたインタビューが長時間にわたって挿入されており、その一方的なコメ
 ントに対して「法廷」関係者や賛同者側が反論する余地がなかったこと。
・)「戦争を裁く」という主題であるにもかかわらず、日本国家と昭和天皇の責
 任を認定する判断をはじめとした「法廷」の核心的な映像や出演者のコメント
 が系統的に削除され、そのことで「(「法廷」の)意義や被害者の証言を評価
 した論評はすべて削除され、支離滅裂で誤解を生む内容になった」(出演者・
 米山リサ氏の発言、『朝日新聞』3.2)こと。

 これらの事実は、公正な報道の原点を無視して番組の改変がなされ、まず「法
廷」の関係者や出演者の権利を著しく侵害するものであったことを示しています。
実際、番組放映後ただちに、VAWW-NETジャパンは「視聴者に誤解と偏見をもたら
す」として抗議の声をあげてNHKに対して説明を要求する公開質問状を提出
(2月6日)、番組に出演した高橋哲哉・米山リサ・内海愛子・鵜飼哲の各氏も連
名でNHK会長宛に説明を求める申入れ書を提出しました(2月16日)。また、
アメリカ在住の米山リサ氏は、海外の研究者に呼びかけて360名の連名による
抗議文を同じく会長宛に提出しました(3月15日)。
 しかし、今や、直接的な関係者にとどまらず、連帯の輪を広げて、広範な人々
と共にNHKに対して真相を問いただすべき段階にきたと考えます。今回の番組
改ざんは、出演者及び関係者の権利の侵害であるばかりでなく、公共放送にあっ
てはならない一方的な世論操作であり、視聴者の知る権利の侵害にほかならない
と考えるからです。さらに、このNHKの暴挙を許容してしまうことは、「法廷」
の場で証言したサバイバーたちの訴えを、再び沈黙という歴史の闇の中に葬りさっ
てしまうことになりかねません。
 そこで、私たちはNHKに対し、「NHK教育テレビ ETV2001「シリー
ズ 戦争をどう裁くか」 第二回「問われる戦時性暴力」(2001年1月30
日放映)に関するわたしたちの見解と要望」(以下、「見解と要望」)を提出す
ることにいたしました。多くのみなさんに、その趣旨をお知らせし、共同署名者
となっていただきたく訴える次第です。

 2001年4月20日

 *署名の締切りは5月24日とします。

 **詳細は以下のwebページを御参照ください。
   http://www.jca.apc.org/~itagaki/nhk/index.html

共同署名呼びかけ人(5月3日現在、50音順)

浅田彰(京都大学教員) 安孫子誠人(『マスコミ市民』編集長) 天野恵一
(反天皇制運動連絡会) 池内靖子(立命館大学教員) 池田浩士(京都大学教
員) 板垣雄三(東京大学名誉教授) 板垣竜太(反ひのきみネット管理人/朝
鮮史研究) 伊藤公雄(大阪大学教員) 伊藤比呂美(詩人) 今村嗣夫(弁護
士) 岩切信(日本ジャーナリスト会議代表委員) 岩崎稔(東京外国語大学教
員) 宇野田尚哉(神戸大学教員) 大越愛子(近畿大学教員) 大澤真幸(社
会学者) 太田好信(九州大学教員) 大庭絵理(神奈川大学教員) 大橋由香
子(フリーライター/編集者) 岡真理(大阪女子大学教員) 小倉利丸(富山
大学教員/JCA-NET理事) 長志珠絵(神戸市外国語大学教員) 香川檀(“女
性とアート”プロジェクト/城西国際大学講師) 川本隆史(東北大学教員) 
北原恵(甲南大学教員) 金富子(関東学院大学講師/ジェンダー史研究) 工
藤光一(東京外国語大学教員) 小玉重夫(お茶の水女子大学教員) 駒込武
(反ひのきみネット管理人/京都大学教員) 小森陽一(東京大学教員) 酒井
直樹(コーネル大学教員) 坂元ひろ子(一橋大学教員) 坂本義和(東京大学
名誉教授) 佐藤秀夫(日本大学文理学部教育学科教員) 佐分利豊(千葉短期
大学教員) 志水紀代子(「女性・戦争・人権」学会員) 鈴木香織(書店員)
 空野佳弘(弁護士) 宋連玉(大学教員・ジェンダー史研究) 高橋茅香子
(エッセイスト、翻訳家) 竹内一晴(フリーライター) 竹内常一(國學院大
学教員) 田崎英明(主夫/政治哲学) 田中美津(鍼灸師) 千野香織(学習
院大学教員) 千葉眞(国際基督教大学教員) 鄭暎恵(社会学者) 津島佑子
(小説家) 冨山一郎(大阪大学教員) 中野敏男(東京外国語大学教員) 中
野理恵(会社経営・映画ディストリビューター) 波平恒男(琉球大学教員) 
成田龍一(歴史研究者) 橋本進(日本ジャーナリスト会議代表委員) 長谷川
まゆ帆(東京大学教員) 花崎皋平(哲学) 西川祐子(ジェンダー研究と近・
現代文学研究) 林博史(関東学院大学教員) 平井玄(音楽文化論) ひろた
まさき(歴史研究者) ノーマ・フィールド(シカゴ大学教員) T.フジタニ
(カリフォルニア大学サンディエゴ校教員) 星乃治彦(熊本県立大学教員) 
松田素二(京都大学教員) 港大尋(ブルースミュージシャン) 宮崎絢子(日
本ジャーナリスト会議代表委員) 武藤一羊(ピープルズ・プラン研究所共同代
表) 村井吉敬(アジア太平洋資料センター共同代表) 持田季未子(大妻女子
大学教員)  森村敏己(一橋大学社会学研究科) 矢口祐人(東京大学教員)
 山上千恵子(映像作家) 山口二郎(北海道大学教員) 横川芳江(地球の木)
 吉澤夏子(社会学者) 吉原真里(ハワイ大学教員) 吉見俊哉(東京大学教
員) 米谷匡史(東京外国語大学教員) 李孝徳(静岡文化芸術大学教員) 若
桑みどり(美術史家)

〔呼びかけ人は随時更新しています〕


【NHKに対する要望】

 私たちは、以下のことを要望します。

(1) NHKは、視聴者の「知る権利」に関わる今回の事態を決して曖昧にして
しまうのではなく、一日も早く番組改変の真相を究明し、責任の所在を明らかに
し、詳細な経緯の説明をもって視聴者の疑念に正面から答え、そのことについて
の態度を明らかにすること。

(2) NHKは、今回のことで損なわれた「女性国際戦犯法廷」の名誉を回復し、
また、取材に応じた法廷関係者や制作に協力した出演者の損なわれた権利を回復
するために、必要な謝罪を行い、必要な回復の措置を実行すること。とともに、
公共放送として、報道や番組制作に関係することになった人々、協力した人々の
権利をどのように守ってゆこうとするのか、その一般的な指針を示すこと。

(3) NHKは、ETV2001「シリーズ 戦争をどう裁くか」を、直前の大
改変によって損なわれてしまった第二回の内容を大改変前の原状に復した上で、
四回全体としてあらためて放送し直すこと。

(4) NHKは、いかなる暴力的な圧力にも決して屈せず、公正な放送を貫く旨
をあらためて表明し、それを疑わせるような宣伝や名誉の毀損に対して、断固と
して抗議すること。

(5) 以上のことについて、それを具体化する方途を検討し、それが間違いなく
履行されることを確認するために、私ちとの話し合いの機会をもつこと。

 以上の諸点につき、書面にて回答されるよう求めます。

 *上記はNHK海老沢勝二会長に宛てる「見解と要望」の要望部分です。事実
関係や見解についての詳細はWebページを参照してください。
   http://www.jca.apc.org/~itagaki/nhk/index.html


【署名の方法】

 署名は以下のWebページからお願いします。

  http://www.jca.apc.org/~itagaki/nhk/index.html#hoho

 うまくWebページ上から署名できない場合は、署名事務局のメールアドレス
( etv@ml-c8.infoseek.co.jp )に宛てて、「NHK署名賛同」という題目で、本
文に以下の必要事項(一言は任意です)を記載した上で、電子メールで送信して
ください。

 名前:
 所属:
 住所:
 電子メール:
 一言:

 また、郵送・FAXでも受け付けています。所定の様式を上記アドレスからダウ
ンロードして送付してください。ダウンロードできない場合は、「NHK教育テ
レビ ETV2001「シリーズ 戦争をどう裁くか」 第二回「問われる戦時
性暴力」(2001年1月30日放映)に関するわたしたちの見解と要望に賛同
します」と明記した上で、氏名、所属、住所を記して署名事務局宛(下記)に送
付してください。いずれにしても、5月24日必着です。電子署名と重複しない
よう注意してください。


【参照すべき主な報道】

・『朝日新聞』3月2日付
・『週刊金曜日』第353号、第357号
・『世界』5月号(第686号)
・『インパクション』124号
・『週刊新潮』2月22日号

 *以下のページに資料集も設けていますので、参照してください。
  http://www.jca.apc.org/~itagaki/nhk/archive.htm


【署名事務局連絡先】

 電子メール: etv@ml-c8.infoseek.co.jp
 郵送先:〒156−0056 八幡山駅前郵便局留め 鈴木香織行き
 FAX番号:020−4666−7325(署名の場合、送付状不要)
 事務局の構成
  (署名管理)中野、駒込;(WEB管理)板垣、李;(会計・郵便)鈴木

========================================================

 
>TOP

◆NHKへの「わたしたちの見解と要望」署名運動事務局からのお知らせ(2001.7.10)

<<<≪≪NHKの「回答」への抗議をお願いします≫≫>>>

〔このメールは「NHK教育テレビETV2001「シリーズ 戦
争をどう裁くか」第二回「問われる戦時性暴力」(2001年1月
30日放映)に関するわたしたちの見解と要望」に賛同する署名を
寄せていただいた方のうち、メールアドレスのわかる方全員にBCC
(お互いにメールアドレスがわからない方式)で送信しています〕


 みなさん、

 6月9日に署名簿をNHKに提出したことについては、既にお知
らせしましたが、6月30日にNHKから「回答」がありました。
メールの最後に【資料1】として添付したほか、以下のページも参
照してください。

最新情報
http://www.jca.apc.org/~itagaki/nhk/whatsnew.htm

 一読して明らかなように、この「回答」の内容は、わたしたちの
「見解と要望」に対する回答になっていません。2つの要望項目へ
の回答が無く、残り3つの要望に対しても回答とよべるような具体
的な内容がありませんでした。
 そこで、7月9日、署名事務局から再回答と面談を要求する文書
を再提出しました【資料2】。
 しかし、NHKから明確な回答を引き出すためには、みなさんの
協力が必要です。署名者の抗議を直接NHKに送ってください。E
メール、電話、FAX、ハガキなどで「署名者からの回答要求」を
NHKに送りましょう。署名事務局の要求文書が到着してから再回
答期限まで(だいたい7月10日から20日の間)に集中的にお送
りくださると効果的です。宛名はNHK番組制作局長出田幸彦氏、
宛先は以下の通りです。

渋谷区神南2-2-1
電話:03-3465-1111(「視聴者ふれあいセンター」につないで欲し
いと伝えてください)
Fax:03-3467-1988 「視聴者ふれあいセンター ETV2001」
ETV2001 ウェブ・ページ: http://www.nhk.or.jp/etv21c/
            (意見を書き込むコーナーあり)

 なお文書で抗議された方は、抗議内容を事務局宛にも送っていた
だければ幸いです。
 また今後の運動の展開の仕方などについて、アイデア・質問等ご
ざいましたら、事務局までお願いします。

 最後に7月24日にVAWW-NET Japanによって企画されている「NH
K提訴シンポジウム」の案内も転載させていただきます【資料3】。

 回答にならない「回答」に、怒りを新たにされた方も多いと思い
ます。事態を曖昧なまま残さぬよう、責任者との面談を実現させま
しょう。みなさんのご協力をお願いします。


署名事務局一同
(板垣竜太、岩崎稔、北原恵、河野真太郎、駒込武、鈴木香織、中
野敏男、吉田俊実、李孝徳)


FAX 020-4666-7325
メール etv@ml-c8.infoseek.co.jp

******************************

【資料1.NHKからの「回答」】

署 名 者 御 一 同  殿

 平素より、NHKの放送番組につきましては、格別のご理解、ご
協力を賜り、厚く御礼申し上げます。
 さる六月九日、NHK教育テレビETV2001「シリーズ戦争
をどう裁くか」第2回「問われる戦時性暴力」(平成十三年一月三
十日放送)に関する、NHK会長宛ての「わたしたちの見解と要
望」を受領、拝読させていただきました。
 およそ三千人に及ぶ方々からの、番組に対するご意見・ご署名を、
公共放送として厳粛に受け止めました。
 当該番組を所管する番組制作局の責任者である小職より、ご意見
に対するNHKとしての考え方をご説明申し上げます。
 はじめに、公共放送機関としてのNHKの基本的な立場について、
申し上げます。
 あらためて申すまでもなく、NHKの使命と責任は、全ての国民
の基盤に立つ公共放送機関として、豊かで、質の高い放送を行うこ
とにより、公共の福祉の増進と文化の向上に最善を尽くすことにあ
ります。そのためには、何人からも干渉されず、不偏不党の立場を
守って、放送による言論と表現の自由を自ら確保しなければなりま
せん。
 この前提に立ち、NHKは、常に自らの責任と判断において番組
を企画し、編集し、放送するという基本姿勢を貫いてまいりました。
 さて、今回ご指摘をいただきました番組は、ETV2001「戦
争をどう裁くか」の四回シリーズの第2回として放送したものです。
  第1回「人道に対する罪」
  第2回「問われる戦時性暴力」
  第3回「いまも続く戦時性暴力」
  第4回「和解は可能か」
 二十世紀に繰り返されてきた戦争や紛争の中で起きた、様々な人
権侵害や犯罪行為を「人道に対する罪」という国際法の枠組みの中
で検証し、未来に向けた和解を実現しようという取り組みが、世界
各地で始まっています。
 今回のシリーズは、世界各地の和解への取り組みを紹介し、様々
な見解の対立を踏まえた上で、それを乗り越え、共生を実現するた
めの手ががりを探ろうという意図で企画いたしました。
 シリーズの第2回は、「人道に対する罪」をめぐる世界の動きや
第二次世界大戦中のいわゆる「慰安婦」問題の歴史的経緯とともに、
昨年十二月に開催された「女性国際戦犯法廷」の問いかけるものを
紹介し、その上で、日本とアジア諸国が、どのようなプロセスで和
解を目指すべきなのかを考えようとしたものです。
 今回の番組についてのこうした企画意図および編集方針は、NH
Kが自らの責任と判断において、昨年十一月に決定したものです。
この編集方針は、先般の放送にいたるまでの間、一貫して変わって
おりません。
 番組の制作は、部内で定めた番組編集上の基本的指針である「国
内番組基準」にのっとって行いました。「国内番組基準」には、た
とえば、「意見が対立している公共の問題については、できるだけ
多くの角度から論点を明らかにし、公正に取り扱う」という指針が
示されています。今回も、この指針にのっとり、番組制作を実施し
たことは申し上げるまでもありません。
 制作に当たりましては、公正で最善の内容をめざし、様々な議論
を重ね、放送の直前まで構成内容の検討と編集作業を継続いたしま
した。番組は、最終的にNHKとして責任をもって放送したもので
す。
 繰り返し申し上げますが、NHKは、公共放送機関として、公平
かつ公正の立場に立って、何人からも干渉されず、常に自らの責任
と判断において企画し、編集するということを基本としております。
したがって、当然のことながら、今回の番組制作過程において、特
定の団体等の圧力によって、編集方針や放送内容を変更したという
ようなことは断じてありません。
 今回の番組に対しましては、視聴者の皆様から、番組のねらいを
よく理解できたとのご意見も多数いただきました。番組をとおして、
「戦時性暴力」「人道に対する罪」という世界のうねりとなってい
る今日的課題について、多角的に紹介し、視聴者の判断材料を提供
できたのではないかと考えております。
 番組の出演者の方々や取材に協力してくださった方々との関係に
ついてでございますが、公共放送機関として、これらの方々との信
頼関係が番組制作にあたっての大前提であり、常に誠実に、また率
直に接することが大切であると認識しております。
 今回、取材・制作の過程で、出演者の方々や取材に協力してくだ
さった方々に対し、NHKとしての番組の編集方針や構成内容が十
分に伝わらなかったとすれば、この点はまことに申し訳なく、これ
らの方々には、心より遺憾の意をお伝えしてまいりました。
 今後とも、番組制作にあたっては、出演者の方々や取材に協力し
てくださる方々との意思疎通、信頼関係の維持に、格別の努力を払
うよう、組織内にあらためて徹底する所存でございます。
 以上、「私たちの見解と要望」に対し、NHKとしての考え方を
ご説明申し上げました。
 NHKはこれまで、戦争と平和という人類共通の課題をテーマに
した、数多くの番組を放送してまいりました。地球上で繰り返され
てきた戦争や紛争がどのように引き起こされ、どんな結果をもたら
したかについて事実を多角的に検証し、視聴者に考える機会を提供
する番組を、今後とも制作・放送していく所存です。
 なにとぞご理解を賜りますよう、お願い申し上げます。

                 NHK番組制作局長   
                      出田幸彦

  平成十三年 六月二十九日
___________________________________________________________

【資料2.事務局からの再回答要求】
                       2001年7月9日
NHK番組制作局
局長 出田幸彦様
   関係者各位

 去る6月9日に提出した、NHK教育テレビETV2001「シ
リーズ戦争をどう裁くか」第2回「問われる戦時性暴力」(2001年
1月31日放送)に関するわたしたちの見解と要望(以下、「見解
と要望」)についての返答(以下、「お返事」)を受け取りました。
 本来ならばまずお返答をいただいたことに感謝しなくてはならな
いのですが、今回受け取りましたお返事は、わたしたちが「見解と
要望」のなかで問いかけた数々の疑問や要望への回答とはなってい
ないと判断せざるをえません。5つの要求項目のうち2項目につい
ては全く回答が無く、他の3項目についても言及はされているもの
の「回答」とみなすには不充分だからです(具体的には下記参照)。
 そこで、もう一度「見解と要望」を検討し、真摯に回答していた
だくことを要求します。とりわけ、「見解と要望」で回答を求めた
ことのうち、お返事にはなかった以下の点に留意してお答えくださ
い。

(一) まず単純に回答が無かったことが二つあります。
 第一に、要望の(3)にあった、シリーズ4回を再放送する予定
があるのかどうかについての回答がありません。はっきりとしたご
返答を願います。
 第二に、要望(5)で求め、また署名を提出する時に何度も念を
押したように、吉岡民夫教養部長(直前の改変に直接関わったこと
がメディアを通じて知られています)ほか、制作に直接携わった方
々と面談したい、という要望についての回答がありません。さまざ
まな疑念を晴らすためにも、せひとも面談の機会を設けてください。

(二) 以下は、お返事で言及はされていたが、回答とみなすこと
はできない事項についてです。
 「見解と要望」で書いたように、番組は女性国際戦犯法廷(以下、
「法廷」)を扱うものであったにもかかわらず、「法廷」が誰によ
って主催され、実際に何をどのように裁いたのかという、具体的な
内容が明確に伝えられていません。
 他の国内メディアではそれほど取り上げられなかったため、この
「法廷」の内容自体(場合によっては、「法廷」が開催された事実
すら)がほとんど知られていません。そのような状況で作られた特
集番組において、「法廷」の主催者にすら言及せず、「法廷」にお
ける内容も意見も十分に提示すること無くして、「意見が対立して
いる公共の問題については、できるだけ多くの角度から論点を明ら
かにし、公正に取り扱う」ことは不可能です。
 貴局は、「放送倫理の確立に向けて」(1999年4月19日、放送現
場の倫理に関する委員会)において、「公平さは、見かけ上の単純
な中立性によってのみ得られるものではなく、公平さを求める厳格
な姿勢によって確保される」と宣言しています。放映直前に収録・
挿入された秦郁彦氏による「法廷」に対する批判的なコメントには、
「法廷」に関する複数の重大な事実誤認が含まれていることは放映
直後にVAWW-NET Japanが公開質問状を通じて指摘しています。また、
出演者の米山リサ氏は自らの発言が切り貼りされて本来の発言の主
旨が歪められたと述べています。
 「公平さを求める厳格な姿勢」からは、とうていこのような番組
作りは許されないはずです。そこでは「見かけ上の単純な中立性」
すら維持されていないからです。シリーズ4回で紹介された世界各
地の事例のなかで、過去に日本が犯したことに関する第二夜のみ、
この点において突出していました。
 このような直前の内容の改変が「意図的かつ系統的なもの」であ
るとするならば、明らかにそこには視聴者・市民の「知る権利」の
侵害があったというのが、「見解と要望」で述べたことです。だか
らこそ要望(1)で「一日も早く番組改変の真相を究明し、責任の
所在を明らかにし、詳細な経緯の説明をもって視聴者の疑念に正面
から答え、そのことについての態度を明らかにすること」を求めた
のです。しかし、お返事にはそのことへの具体的な回答がありませ
んでした。NHKが今回の番組で追求した「公平さ」とはいかなる
意味なのか、番組の内容に即して説明するとともに、番組改変の詳
細な経緯を具体的に明らかにしてください。

(三) お返事では、「今回の番組についてのこうした企画意図お
よび編集方針は、NHKが自らの責任と判断において、昨年十一月
に決定したものです。この編集方針は、先般の放送にいたるまでの
間、一貫して変わっておりません」とあります。
 しかし、「法廷」を扱う番組企画を提案する段階から関わってこ
られた高橋哲哉氏、全面的に取材に協力されたVAWW-NET Japanの運
営員をはじめとする、制作に直接関わった方々は、依頼に応じた際
に了解していた番組内容が、放送された番組とは全く異なっている、
と証言されています。つまり、貴局のご説明と、制作に直接関わっ
た方々が様々な段階で番組に大きな改変があったことを指摘されて
いる事実とが食い違っているのです。
 この点に関連して、先ほど言及した「放送倫理の確立に向けて」
において、貴局は「取材相手には、取材の意図・内容や取材結果の
取り扱いを正確に伝える。取材の許諾を得るために、番組のテーマ
や取材趣旨をゆがめて伝えたり、あいまいにしてはならない」「制
作過程で、あらかじめ取材相手に伝えていた目的や内容に変更が生
じた場合は、改めて、取材相手に説明しなければならない」と宣言
されています。
 たとえ貴局が、編集方針は「一貫して変わっておりません」と判
断し、それが「十分に伝わらなかった」に過ぎないと思っているに
しても、出演者・取材協力者が番組の「目的や内容に変更が生じ
た」と判断している以上、明確な説明をする義務があります。既に
VAWW-NET Japanは法的措置に訴えることを決めたと伝えられていま
す。お返事を見る限り、もともとそういう企画だったと「遺憾の
意」を伝えるだけでは何の説明にもなっていないという現状への自
覚が欠けているといわざるを得ません。
 また視聴者・市民の立場からしても、このお返事では、なぜこの
ような認識の食い違いが生じてしまっているのかが不明確で、よく
わかりません。要望(1)ともつながりますが、制作に関わった方
々の意図にことごとく反してまでも、放映直前に手を入れなければ
ならなかったとしたら、それは一体誰のどのような判断にもとづき
どのような経緯でなされたのかが明らかにされなければなりません。
それは視聴者・市民に対する最低限の説明責任であると考えます。

(四) 要望(4)と関連して、右翼系のメディアは、NHKへの
介入が功を奏したと表明しています。この点についても、貴局のご
説明と右翼の主張とは食い違っています。原則論を繰り返すだけの
お返事では、右翼や政治家の直接的な影響、あるいは間接的な「自
粛」が無かったどうかということの疑惑は晴れません。この疑惑も
結局は改変のプロセスが明らかにされないことからくるもので、右
翼の攻撃の実態とそれへの対処、政治家の介入の有無、会長をはじ
めとする上層部による現場への介入のプロセスなどが明らかにされ
ない限り、回答とはみなせません。
 貴局は、右翼系の新聞やホームページで自分たちの行為によって
番組が改変されたと述べていることについて公式に抗議されたので
しょうか。抗議されていないとしたら、それはなぜなのでしょうか。
明確な説明を要求します。
 以上の点からも明らかなように、今回のお返事は、わたしたちの
「要望と質問」に対する責任ある回答とはみなすことができません。
さまざまな疑念を晴らしていただくためにも、少なくとも責任者と
面談することを要求したのですが、そのことへの回答すら無いのは
誠実な対応とはみなせません。
 2878名にものぼる署名者に対して、真摯な態度で回答してい
ただけることを要求します。
 これを受け取って1週間以内に再回答してください。万一、1週
間以内の再回答は無理であるということであれば、いつまでになら
ば回答できるのかということを1週間以内にご連絡ください。

  署名事務局一同
___________________________________________________________

【資料3】

NHK提訴シンポジウム
日本のメディアは何を恐れているのか?
ーNHK「女性国際戦犯法廷」番組改ざんの責任を問うー

7月24日(火)午後6時半(開場6時)
在日本韓国YMCAホール (水道橋駅/神保町駅)
参加費1000円

 NHKの「女性国際戦犯法廷」番組改ざんに対して抗議を続けてき
たVAWW-NETジャパンは、NHK側が説明責任を果たさないため、7月
24日東京地裁に提訴することになりました。表現の自由が右翼・
国家主義勢力によって侵され、「女性国際戦犯法廷」についてきち
んと報道されず視聴者に誤解を与えることになった事態をこのまま
見過ごせないからです。提訴に向けて、表現と人権の問題に経験の
ある飯田正剛弁護士ら5人の弁護団がその準備をしています。この
シンポジウムではNHKの番組改ざん問題だけでなく、日本のメディ
アの状況についても専門家に発言をお願いします。
 表現の自由、編集権、知る権利など、さまざまな問題点から、公
共放送NHKの責任を問い、メディアのあり方を考えます。是非ご参
加ください。

《プログラム》
・NHK裁判について
 なぜ提訴するのか・・・・・・原告・松井やより(VAWW-NET ジャパン代表)
 何を訴えるのか・申し立てるのか・・・・・・・・・・・・・・・弁護団
 編集権とは何か・・・・・・・・・・・竹内一晴(フリージャーナリスト)

・メディアの状況について:メディアの危機にどう対応するか
 専門家として・・・・・・・・桂敬一(日本ジャーナリスト会議代表委員)
 市民として・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・中山千夏(作家)
 「女性国際戦犯法廷」はどう報道されたか・・・「法廷」メディア・チーム
メッセージ  出演者として・・・・米山リサ(カリフォルニア大学準教授)
質疑・討論とアピール

主催 「戦争と女性への暴力」日本ネットワーク(VAWW-NETジャパン)
TEL/FAX:03-5337-4088
E-mail: vaww-net-japan@jca.apc.org
___________________________________________________________

*なお、今後の連絡等を希望されない方は、署名事務局宛に「連絡
不要」というタイトルでメールをお送りください。

 
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◆社会情報研究所文化研究プログラム 第3回ワークショップ

ISICS Cultural Studies Program 2001 Work Shop 3
「徹底検証:ETV2001改竄問題とメディアの現在」
(文化研究プログラム+メキキ・ネット 共催) 
          のご案内

 社会情報研究所文化研究プログラムでは、去る5月14日に開きました第
1回ワークショップ「FOR A TRANSFORMATIVE WORK: On the current
condition of the developing network of cultural studies in
Asia」、6月11日に開きました第2回ワークショップ「著者との対話:
Assembled in Japan: Electrical Goods and Making of the Japanese
Consumer」に続き、下記のように来る9月13日(木)午後5時より、第3
回のワークショップをメキキ・ネット(メキキ・ネットについては下記を参
照)との共催で開きます。
 今回は、前回とは趣向を異にして、今日のメディアと公共放送の構造的危
機を、戦時性暴力 の表象化と隠蔽の問題を、NHKのETV2001の問題を具体的
に取り上げながらメディアの研究者と現場のジャーナリスト、映像制作に携
わる人々をつなぐような仕方で考えていきたいと思います。
 重い問題ですが、現代のメディアと記憶と表象の政治、メディア・リテラ
シー、カルチュラル・スタディーズの実践に関わる問題が集約的に出てきて
いるテーマです。ぜひとも、現代のメディアの制作現場にこれから真面目に
かかわろうとしている社情研研究生、映像ジャーナリズムやドキュメンタ
リー、メディア・リテラシーなどのテーマに関心のある大学院生、女性国際
戦犯法廷をはじめとする戦争責任と記憶の表象化の問題に関心を持っている
大学院生やより多くの方々に、ふるってご参加いただきたいと思います。

               東京大学社会情報研究所
               文化研究プログラム 吉見俊哉

             記

テーマ 「徹底検証:ETV2001改竄問題とメディアの現在」

と き  9月13日(木)17:00〜20:00頃

ところ  東京大学社会情報研究所 6階会議室
     (満員の場合は、2階教室に移動するかもしれません。)

問題提起者    坂上香さん(元ドキュメンタリー・ジャパン)

コメンテーター  野中章弘さん
         (アジア・プレス・インターナショナル代表)
         河かおるさん
         (学習院大学、メキキ・ネット)

司 会  吉見俊哉(社会情報研究所)+ 岩崎稔(東京外国語大学)

問い合わせ 東京大学社会情報研究所 吉見研究室
      03-5841-5920 yoshimi@isics.u-tokyo.ac.jp


企画趣旨
 2001年1月30日にNHK教育テレビで放映されたETV2001の番組「問わ
れる戦時性暴力」は、日本軍による性暴力を人道に対する罪として裁いた
2000年12月の女性国際戦犯法廷をつぶさに伝える形で完成された当初の映像
内容が、放映直前に大幅に改変されて放送された。すでに新聞・雑誌等の報
道で明らかなように、この露骨な「改ざん」の背後には、右翼からの執拗な
攻撃と外部政治家からの圧力、そしてNHK上層部から番組制作現場への強
硬な介入があったといわれている。実際、現在では、番組の出演者であった
高橋哲哉の「何が直前に消されたか」(『世界』2001年5月号)や米山リサ
の「メディアの公共性と表象の暴力」(『世界』2001年7月号)を通じ、ま
た他の関係者の証言や映像の分析(北原恵「沈黙させられたのは誰か」『イ
ンパクション』2001年4月号)などによって、番組のどの部分が、どのよう
な現場への介入によって改変されていったのかがかなり明らかになってきて
いる。
 このように状況が明らかになってくると、この問題が今日の公共放送が
抱えるきわめて重大な諸問題を集約的に映し出していることがはっきりして
きた。番組の編集権や放送局とプロダクションとの権力関係、公共放送と政
治家との癒着、右翼からの様々な攻撃、局内民主主義の不在、公共放送であ
るにもかかわらず視聴者の知る権利が生かされない仕組みなどから、戦争犯
罪や昭和天皇の戦争責任についての語りの隠蔽、ジェンダーの表象、映像の
トリックとメディア・リテラシーなど、この問題を通して浮かび上がってく
る今日のメディアをめぐる問題はきわめて深刻で、大きい。しかも、このよ
うな問題が、これまでNHKのなかでも確実に最も良質な番組作りをしてき
た枠である教育テレビのETVにおいて起きたというところが、今日の状況
の深刻さを象徴的に物語っている。
 このワークショップでは、当時、ドキュメンタリー・ジャパンのディレク
ターの1人としてこのシリーズの作成にかかわった坂上香さんをお招きし、
もともとの番組がどのような問題意識や経緯を経て企画、制作されていった
ものだったのか、それがどのようにして改変されていってしまったのかを、
現時点でお話ししていただける限りで話していただき、これに映像ジャーナ
リズムの現場からアジア・プレス・インターナショナル代表の野中章弘さ
ん、この間の署名運動等の側からメキキネットの河かおるさんにコメントを
していただくことで、今回の問題に典型的に顕れているような日本の公共放
送とメディアの危機的状況にいかに介入していくことができるのか、またそ
のために、大学の研究者と運動家、そしてメディアの現場のジャーナリスト
がどのように連携していけるのかを真剣に考えていきたい。
                             以上


REV:.....20030130(ミス修正) 20040114
NHK
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