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原昌平・2004

原 昌平



◆2004/02/14 「手術 安全に受けるには 医師への質問、積極的に 麻酔専門医の確認不可欠」
 大阪読売朝刊・健康&医療面

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Date: Thu, 26 Feb 2004 03:33:47 +0900
Subject: [mhr:2337] 記事・手術の安全な受け方

医療と人権メーリングリスト mhr からの配信です。
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原です。
先だって、健康&医療のページ(大阪本社版)に、
「手術の安全な受け方」という記事を載せました。
ご参考までに紹介しておきます。
(重複受信の方はすみません。以下、非営利活動転載可)

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■手術 安全に受けるには 医師への質問、積極的に
 麻酔専門医の確認不可欠
 2004/02/14 大阪読売朝刊・健康&医療面

 手術時の事故が後を絶たない。医学が進んでも、人体にメスを入れるのは、や
はり危険を伴う行為だ。緊急ならともかく、予定して行う手術は慎重に考え、よ
く準備して受けたい。どうすれば無事に手術を乗り切れるのか。段階ごとに方策
を考えてみた。              (上出 拓也、原 昌平)

 ■十分な情報を得る
 まずは手術自体が必要か、やるならどういう手術法がよいか、医師の説明を詳
しく聞こう。どんな治療でも複数の選択肢がある。がんなら放射線や化学療法の
方が手術よりよい場合があるし、何もしない方がよいこともある。それぞれの一
般的な治療成績と利点、欠点を聞き、手術を勧める理由を確かめよう。自分でも、
病気や治療法の知識・情報をできるだけ集めたい。
 説明内容は書面でもらい、自分でもメモをとる。医療関係の身内や友人に同席
してもらうのもよい。わからない点は遠慮せずに質問しよう。
 大和成和病院(神奈川県)の心臓外科医、南淵(なぶち)明宏さんは「目を見
て話さない、質問に嫌な顔をする、厚生労働省・学会・大学などの権威をすぐ持
ち出す、といった医者はダメ。責任感と熱意を持った医者なら、どんな質問にも
誠実に答えるはずだ」と言う。

 ■複数の意見を
 ポイントは各種のリスクをきちんと説明してくれるか。「大丈夫」「心配ない」
とばかり繰り返す医師は危ない。また患者側が「すべてお任せします」という態
度だと、緊張感が足りず、むしろ丁寧に扱われない可能性がある。
 別の専門医の意見も必ず聞こう。「セカンド・オピニオンを推進させる会」代
表の中村康生さんは「主治医に不信感を持たれると思い、言い出せない人が多い
が、不適切な医療を避けるために当然の権利。検査データや画像フィルムも借り
出せばよい。拒むような医師は『自信がない』と思った方がいい」と言う。

 ■症例数が目安
 病院と執刀医の選択は、その手術をどれだけ手がけているかが一つの目安にな
る。基本的には数が多いほど技量が上がり、たまにしか手術しないと腕が落ちる
からだ。
 国は二〇〇二年度から主な手術別に年間実施件数の基準を定め、それに満たな
い病院の手術は診療点数を30%減額しており、この点は病院で確認できる(四
月から加算方式に変更予定)。独自の手術件数アンケートに基づく病院のランキ
ング本も出ている。
 「昔と違い、自信のある病院は手術数や治療成績を公表し、得意分野をアピー
ルしており、インターネットでかなり役立つ情報が得られる」と南淵さん。「自
分が心臓手術を受けるなら、年間百件以上、最低でも五十件以上こなしている医
師を選ぶ」と言う。
 医師個人の執刀経験はまだ本人に聞くしかないが、すんなり答えない医師には、
身をゆだねるのをやめよう。
 大学病院がよい、教授がよいというブランド志向も間違いだ。医学部での出世
は手術の腕ではなく、研究論文で決まっている。腕の良い医師はむしろ一般の総
合病院や専門病院にいることが多い。

 ■患者を守る仕事
 主治医、執刀医以外に手術で重要な役割を果たすのが麻酔科医だ。麻酔をかけ
るだけでなく、呼吸や循環など全身状態を管理し、手術の進行全般を見渡して、
トラブル防止のために的確な判断を行う。
 「一口に言うと、患者さんの安全を守るのが仕事です」。大阪府立急性期・総
合医療センターの麻酔科部長、森隆比古さんはそう話す。
 森さんは毎週、手術予定の患者二十五―三十人を診察する。手順を説明しなが
ら、体の状態の情報を集め、麻酔計画を立てる。「情報量が多いほど、想定する
〈体のモデル〉の精度が増し、安全性が高まる」。他の病気や服用した薬なども
隠さず伝えよう。
 しかし、麻酔科医は全国的に不足し、外部の非常勤医に頼る病院も多い。専門
の医師がいるか、必ずチェックしよう。日本麻酔科学会の認定施設(現在八百六
十六)には学会認定の専門医が常勤し、設備も整っている。
 麻酔による死亡事故は約十万人に一人だが、全身麻酔ではまれに「悪性高熱症」
という危険な状態に陥ることもある。「ダントロレン」という特効薬の常備を確
認したい。
 ■自衛の手だて
 手術前はなるべく早い時期から禁煙。たんが増え、血液や酸素のめぐりも悪く
なる。
 絶対に防ぎたいのは患者や手術部位の取り違えだ。名前付きのリストバンドな
どを装着し、手術部位に印をしてもらう。手術室に入れば、フルネームと年齢、
血液型、手術部位を自分から伝えよう。
 術中、術後は体を動かさないので、“エコノミークラス症候群”と同様に、足
の静脈などで血が固まって肺の血管に詰まる「静脈血栓塞栓(そくせん)症」の
恐れがある。この予防策や起きた時の備えを事前に尋ね、弾性ストッキングを着
用したり、術後も早めに歩いたりして防ぐ。また、内視鏡手術やカテーテルの誤
挿入による体内の出血は気づきにくいので、術後に少しでも異変を感じたら、す
ぐ伝えたい。

◇写真=麻酔科の診察室で手術前の患者と面談する森隆比古さん(大阪市住吉区
の大阪府立急性期・総合医療センターで)

 ………………………………
 《手術を受ける際のポイント》
〈1〉セカンド・オピニオンを聞かずに手術をしてはいけない
〈2〉執刀医に、年間の手術実績と、自分の受ける手術法の過去の経験を尋ねる
〈3〉麻酔の専門医がいる病院を選ぶ
〈4〉成功と失敗の判定基準を尋ねる
〈5〉最先端の治療法は危険度も高い
〈6〉75歳以上の高齢者は、手術を受けないことを選ぶ勇気も持つ
〈7〉医師の説明をもとに「手術理解書」を自分で書いてみる
〈8〉執刀医が研修医とわかったら、必ず交代してもらう
〈9〉手術部位にフェルトペンで×印を付けてもらう
〈10〉カミソリによる毛ぞりは感染症にかかる率が高まるので、やめてもらう
〈11〉家族の見学や手術のビデオ撮影を頼む

※「これで安心! 病院選びの『掟』111」
 (伊藤隼也著、講談社、1500円)から

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 《主な情報サイト・市民団体》
◇麻酔指導医(専門医)のいる病院検索
http://masui.masuika.net
◇日本麻酔科学会(認定施設と専門医のリストも)
http://www.anesth.or.jp
◇麻酔科医・森隆比古のページ
http://www.ne.jp/asahi/mori/takahiko/
◇麻酔をうける人と麻酔科医のためのページ
http://www.neuroanesth.com
◇日本医療機能評価機構(一定の水準にあると認定した病院の評価内容)
http://www.jcqhc.or.jp/
◇患者のための医療ネット(PMネット)
http://www.pm-net.jp
電子メール相談可能(pm-if-i@egroups.co.jp)
◇ささえあい医療人権センターCOML
06・6314・1652(平日9−17時、土曜午前)
http://www.coml.gr.jp/
◇医療事故市民オンブズマン・メディオ
03・5358・2300(月水金13−17時)
http://homepage3.nifty.com/medio/
◆本
◇「いい医者、いい病院の見分け方」
(南淵明宏著、二見書房03・3219・2311、1600円)
◇「手術室の中へ」
(弓削孟文著、集英社新書03・3230・6393、660円)


UP:20040404
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