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2021年12月号 特集:大森荘蔵
2021年11月号 特集:ルッキズムを考える
2021年10月号 特集:進化論の現在
2021年9月号 特集:〈恋愛〉の現在
2021年8月号 特集:自由意志
2021年7月号 特集:和算の世界
2021年6月号 特集:いまなぜポストモダンか
2021年5月号 特集:「陰謀論」の時代
2021年4月号 特集:教育の分岐点
2021年3月号 特集:東日本大震災10年ーー3・11が問いかけるもの
2021年2月号 特集:精神医療の最前線 ーーコロナ時代の心のゆくえ
2021年1月号 特集:現代思想の総展望2021
■『現代思想』49-1(2021-1) 2021/01/01
激動の時代を迎えて、思想はどこへ向かうのか
コロナ以前・以後と言われるように、このパンデミックは世界史の節目になるだろう。はたして思想史についても同じことが当てはまるだろうか。2020年代が幕を開けるということは、今世紀もまもなく最初の四分の一が過ぎようとしているということだ。思想の世界もまた一大転機を迎えつつあるのか。そのような問題意識のもと、本特集は現代思想の今を展望する。
特集*現代思想の総展望2021――実在・技術・惑星
討議T
- 人間は生きた土である――分解と混合の哲学 / 藤原辰史+山内志朗
自然は語る
- 他性の沈黙の声を聴く――植物哲学序説 / 黒田昭信
- ヴァルネラブルな存在たちを描く――現れること、曝されること / 濱野ちひろ
- 神なる天体――中世における自然哲学 / アダム・タカハシ
- グラント「以後」のシェリング自然哲学――グラントからウッダードへ / 中島新
存在・認識・感性
- 概念の羅針盤――現代実在論の認識的方向と存在論的方向 / T・ガルシア(伊藤潤一郎訳)
- ノンヒューマン的転回と「モノ」たちの政治――ジェーン・ベネット「諸システムとモノたち」について / 川村覚文
- 美的なものはなぜ美的に良いのか――美的価値をめぐる快楽主義とその敵 / 森功次
技術と身体
- 新しい信用のために――過剰・約束・妥協 / B・スティグレール(石田英敬訳・解題)
- 遠隔と接触――リモート時代におけるレヴィナスの「顔」 / 渡名喜庸哲
- 加工された自己イメージの「自分らしさ」 / 久保友香
- 交響する技術的身体――木村素衞における異文化交流圏の構想 / 門前斐紀
ジオフィロソフィーの諸相
- 東アジア哲学とは何か、そして何であるべきか / 朝倉友海
- J-PHIL とは何か――日本哲学の新しい潮流についての政治的−詩的論考 /山口尚
- グローバリズムの外部より、地球の外部を想像するほうがたやすい――「e-flux」とロシア宇宙主義 / 乗松亨平
- 変わる「タイのかたち」――民主化運動と国民統合への問い / 福冨渉
- 哲学プラクティスを通した開発途上国との国際協力 / 望月太郎
討議U
- 哲学とは何か、そして現実性とは / 入不二基義+上野 修+近藤和敬
〈現代思想〉の源流
- スピノザ『ヘブライ語文法要諦』フランス語版への序文 / F・アルキエ(合田正人訳・解題)
連載 科学者の散歩道
- 第七三回 学術会議の新しい居場所とは――「占領下異物」からの脱却 / 佐藤文隆
連載 「戦後知」の超克
- 第五回 越境する西川長夫 下――『国境の越え方』をめぐって / 成田龍一
連載 ポスト・ヒューマニティーズへの百年
- 第一ニ回 絶対無の二つのモード――ガブリエル・続 / 浅沼光樹
連載 タイミングの社会学
- 第三回 不確実な減量 下――待機するボクサー / 石岡丈昇
研究手帖
■『現代思想』49-2(2021-2) 2021/02/01
「一億総ひきこもり社会」から考える
人と対面し〈つながり〉を保つことが困難となったコロナ時代は、私たちにはいかなるメンタルヘルスの危機もたらしたのか。本特集においては臨床の現場に寄り添いながら、その実態を明らかにしていく。そしてまた、この時代における精神科医療・臨床心理の理論の最前線にも迫っていく。
特集*精神医療の最前線ーーコロナ時代の心のゆくえ
討議
- セルフケア時代の精神医療と臨床心理 / 斎藤環+東畑開人
コロナ時代の臨床現場から
- コロナ禍の精神科外来と「日常」 / 松本卓也
- 絶望のデータ化――デジタル精神医学の時代 / 北中淳子
歴史から捉える
- 停止で紡ぎ出される夢が停止を惹き起こすために――中井久夫小論 / 小泉義之
- 消えない抗不安薬――精神医療と鎮静の文化 / 櫛原克哉
グローバルな医療の現在
- ロックダウンと「ひきこもり」――新型コロナウィルスをめぐって / 古橋忠晃
- 精神医学は大統領を診断するべきか?――ゴールドウォーター・ルールをめぐる論争 / 黒木俊秀
〈場〉とつながりをめぐって
- 発明品としてのコミュニケーション――依存症から考える / 中村英代
- 居場所とリズムのゆるみ / 村上靖彦
- コロナ禍と家族 / 貴戸理恵
- 家族というゾンビ――E・デュルケーム『自殺論』を再訪する / 山田陽子
傷とトラウマ
- 新型コロナ禍とトラウマについての時評――感染的─ 隣人的な倫理にむけて / 上尾真道
- 誰が医療者を癒すのか――コロナ禍で浮き彫りになった医療者のsufferingに着目して / 鷹田佳典
- ファルマコン(薬=毒)――ジェンダー化された狂気の系譜とレジリエンスの政治 / 菊池美名子
対抗的な知の前線に向かって
- 誰がエビデンスを作るのか――当事者の経験知を専門知と対等に扱う / 杉浦寛奈
- 自立生活、その後の不自由――障害者自立生活運動の現在地から / 渡邉琢
- 精神医療の官僚制と民主制・序説 / 熊倉陽介
連載 科学者の散歩道
- 第七四回 アカデミーの役割と旧学術会議――「すばる」と「カミオカンデ」 / 佐藤文隆
連載 「戦後知」の超克
- 第六回 思想家・鶴見俊輔の「期待」と「回想」上――その戦後思想的/現代思想的位相 / 成田龍一
連載 ポスト・ヒューマニティーズへの百年
- 第一三回 永遠回帰への脱根拠化――ドゥルーズ / 浅沼光樹
連載 タイミングの社会学
- 第四回 立ち退きの時計 上――スクオッターの強制撤去をめぐって / 石岡丈昇
研究手帖
■『現代思想』49-3(2021-3) 2021/03/01
311に、いま・ここから応答する
東日本大震災と福島第一原発事故が突き付けた問題とは何か。この10年の現場の創意工夫を拾い上げながら、その現在地を追う。また、震災が開いた問いをさまざまな社会的イシューとも接続させながら、私たちが暮らす社会のこれからの在り方について、思考を重ねていく。
特集*東日本大震災10年
討議
- 宮地尚子+山内明美 環状島の水位を下げる――震災とトラウマケアの10年
生業と「ふるさと」から考える
- 馬奈木厳太郎 責任を問うということ、主権者たること
- 菅野義樹 飯舘村と栗山町をつなぐ地元学
海と共存するために
- 後藤清広 海の環境を引き継いでいく――牡蠣養殖漁家の一〇年
- 川島秀一 升に盛られた命を生きて――漁業の災害観から考える
- 濱田武士 東日本大震災から漁業権を考える――水産特区の教訓
〈復興〉が開く問い
- 廣重剛史「そこに在ること」の意味――防潮堤建設と住民たちの生活世界
- 廣瀬俊介 風土形成の思想と実践――東日本大震災の経験からランドスケープデザイナーのあり方を問う
- 清野聡子 技術者たちは何に絡めとられていたのか――巨大防潮堤について考える
- 宮ア雅人 被災自治体の税収と経済
核と原発の現在
- 片山知史 被災地の海と漁村と原子力発電
- 茅野恒秀 〈核〉を失った原子力のゆくえ
- 酒井隆史 「放射脳」を擁護する
震災と表現
- 加藤登紀子 声をのせて、分断に抗う歌
- いがらしみきお 遠ざかる雲
避難と暮らし
- 市村高志 原発事故からの一〇年を避難当事者の視点で振り返る
- 早尾貴紀 絶望のディアスポラ――危機の時代の人文知
子どもたちとともに
- 佐藤敏郎 「もしも」は「いつも」の中に――震災一〇年に思う
- 渡部純 失われた宝を名づけること
ケアをめぐる〈政治〉
- 山内明美 東日本大震災からの一〇年目 そして関東大震災から九八年目に
- 田浪亜央江 IDFの東北ミッションとイスラエルの「世界標準化」
言葉を聴き取り、書き記す
- 小野和子 歩きつづける友よ
- 永野三智 「ひとり」の語りが変える社会――水俣や福島を考える
連載 科学者の散歩道
- 第七五回 佐藤文隆 トランプ政治が抉り出した科学の現在 「パッケージ」から「バラ売り」へ
連載 「戦後知」の超克
- 第七回 成田龍一 鶴見俊輔の「期待」と「回想」 中・1 『戦時期日本の精神史』をめぐって
連載 ポスト・ヒューマニティーズへの百年
連載 タイミングの社会学
- 第五回 石岡丈昇 立ち退きの時計 下 スクオッターの強制撤去
研究手帖
■『現代思想』49-4(2021-4) 2021/04/01
学校現場の最前線から教育問題の根本に迫る
コロナ禍において教育現場はいかなる変容を求められているのか。教育改革の歴史に照らし合わせながら、教育行政や入試改革をめぐる問題、教員労働の変化、35人学級をめぐる議論など、現場の最前線を追っていく。
特集*教育の分岐点――共通テスト・一斉休校・35人学級…
討議
- 入試改革から見えてくる高大接続問題 / 大内裕和+中村高康
英語教育改革の現在地を問う
- 「英語嫌い」にさせない教育のために / 鳥飼玖美子
- 加速する学びから身を引くこと――コロナ禍における高校英語教育の現場から / 雁木聡
国語入試改革と新学習指導要領から考える
- 共通テスト「国語」の分析と批評 / 紅野謙介
- 「論理」と「実用」――国語教育の危機 / 伊藤氏貴
歴史教育の可能性を問い直す
- 「歴史総合」という船出、そのもつ可能性と困難と / 成田龍一
教育行政をめぐって
- 本格的な少人数学級実現への課題――小学校の三五人学級実現の成果を踏まえて / 中嶋哲彦
- 教員採用と「地域」をめぐるポリティクス――地方分権改革と広域人事制度のゆくえ / 前田麦穂
教職員の労働から社会を問う
- 改めて「教員の働き方改革」を問い直す――一年単位の変形労働時間制導入の議論を通じて / 嶋ア量
- 教職の魅力は高まるか――日本社会の未来像 / 佐久間亜紀
- コロナ禍における教職員の過酷な勤務環境 / 藤川伸治
コロナ禍の学校現場を見つめて
- コロナ禍の学校から「GIGAスクール構想」を考える / 赤田圭亮
- 「先生、ぼく、教科書を忘れたので、隣の子と一緒に見てもいいですか?」「いいわよ、でも二メートル離れて、マスクして、教科書にシュッシュ(消毒)してからね」 / 岡崎勝
- 新型コロナウイルス感染拡大と非正規移民の子どもの社会的排除 / 稲葉奈々子
- 部活クラスター――コロナ禍でも止まらない学校スポーツの暴走 / 中澤篤史
- 教育の「内」と「外」をつなぐ――貧困問題に取り組む教育実践 / 杉田真衣
- 教育テレビ不要論にみる大衆の幻想と排除の論理 / 木下浩一
- 「ライフプラン教育」と日本における「性と生殖をめぐる教育」 / 斉藤正美
連載 科学者の散歩道
- 第七六回 「プランクのマッハ批判」を哲学者西田に伝えた桑木ケ雄 / 佐藤文隆
連載 「戦後知」の超克
- 第八回 鶴見俊輔の「期待」と「回想」中・2――『戦時期日本の精神史』をめぐって / 成田龍一
連載 ポスト・ヒューマニティーズへの百年
- 第一五回 超越論的なものを自然化する――グラント / 浅沼光樹
連載 タイミングの社会学
- 第六回 共同生活 上――身体を変える/生活を変える / 石岡丈昇
研究手帖
■『現代思想』49-6(2021-5) 2021/05/01
世界を覆う危険なイマジネーション
アメリカ大統領選をめぐる騒動で注目を集めた「Qアノン」を筆頭に、陰謀論のインパクトが全世界的にかつてなく高まりつつあるなか、いま私たちに可能な、そして必要な向き合い方とはいかなるものか。本特集では現代社会のさまざまな領域に潜む陰謀論的思考のありようを炙り出すとともに、その歴史を改めて紐解くことを通じて、私たちの信と知をゆるがす深淵へと肉薄したい。
特集*「陰謀論」の時代
大国に渦巻くもの
- 現代アメリカ社会における〈陰謀〉のイマジネーション / 井上弘貴+渡辺靖
- Qアノン、代替現実、ゲーミフィケーション / 木澤佐登志
- ジョン・バーチ協会と「共産主義の第五列」 /井上弘貴
深淵を覗く
- 陰謀論へのイントロダクション / 辻隆太朗
- 陰謀論と円盤をめぐる、二、三の事柄 / 吉永進一
- 日本の「ユダヤ陰謀論」の源流を探る――四王天延孝を中心に / 臼杵陽
- 革命理論としての陰謀論――陰謀論的スピリチュアリティにおける太田竜の問題系 / 栗田英彦
- 「石化する快楽」としての「陰謀論」――林郁夫『オウムと私』を手がかりに /橋迫瑞穂
- 長崎とフリーメイソンと原爆――陰謀論と史実のはざまから / 中尾麻伊香
猜疑のポリティクス
- 歴史修正主義の中の陰謀論――その流通の背景をめぐって / 倉橋耕平
- 陰謀論者の「不安」 / 石戸諭
- 右も左も「陰謀論」だらけ?――左派における陰謀論受容のメカニズム / 秦正樹
- 党は「媒介者」なのか? / 羽根次郎
マジョリティは何を恐れるのか
- 男性復権運動のサラ・コナーたち――英語圏の陰謀論的反フェミニズム言説と女性 / 海妻径子
- ポストトゥルース、トランス排除と『マトリックス』の反革命――もしくは、ひとつしかない人生を選択することについて / 河野真太郎
物語とその影
- 文字が構築する壮大な筋書き/陰謀 / 仁木稔
- 〈作業〉は永遠に存在する――公安小説論序説 / 熊木淳
虚実の乱闘空間
- フェイクニュースと情報生態系の進化 / 笹原和俊
- 科学否定論とフェイクの不安――リスク社会の科学とメディア / 松村一志
言葉を見つめ直す
- 陰謀論はコミュニケーションに何をもたらすのか / 三木那由他
- 陰謀論の合理性を分節化する / 朱喜哲
連載 科学者の散歩道
- 第七七回 「統一科学」の八〇年後ーーマッハの初心とは? / 佐藤文隆
連載 「戦後知」の超克
- 第九回 鶴見俊輔の「期待」と「回想」 中・3ーー『戦後日本の大衆文化史』 / 成田龍一
連載 ポスト・ヒューマニティーズへの百年
- 第一六回 種を超えて思考するーーグラント・続 / 浅沼光樹
連載 タイミングの社会学
- 第七回 共同生活 中ーー身体を変える/生活を変える / 石岡丈昇
研究手帖
■『現代思想』49-7(2021-6) 2021/06/01
現代思想といえばポストモダンだった時代があった
かつての最先端の思想が時とともに通俗化し、アカデミズムの外で詭弁の道具として悪用されるようになった。意図しなかった帰結を前にポストモダンとは何だったのかがあらためて問われている。
単なる批判に終始するのではなく、私たちはポストモダンに未知の可能性を見出しうるのだろうか。
特集*いまなぜポストモダンか
討議
- フラット化する時代に思考する――ポストモダン思想再考 / 大橋完太郎+千葉雅也+宮ア裕助
アルファにしてオメガ、リオタール
- ポストモダンの幼年期――あるいは瞬間を救うこと / 星野太
- リオタール『ポスト・モダンの条件』再読 / 檜垣立哉
- 崇高な環境の大きな物語 / 小泉義之
- わたしたちの後のリオタール / Y ・ホイ(訳・解題=小泉空)
ポストモダン以降のポストモダン
- ガブリエルとポストモダン――ボゴジアン『知への恐れ』評に寄せて / 浅沼光樹
- 擬死的アディクション――現代実在論と東浩紀の(非)ポストモダニズムの関係について / 仲山ひふみ
- ポストモダン右翼は哲学の夢をみるか?――アレクサンドル・ドゥーギンの理論と実践 / 乗松亨平
遊泳する時代の証言者
- ポストモダニズム再訪――フレドリック・ジェイムソンへのインタビュー /F・ジェイムソン(聞き手=N・ボーンバッハ+D・R・ヤング+G・ユエ / 訳・解題=中村徳仁)
- フレドリック・ジェイムソンの種子――『ポストモダニズム』を読むための覚書 / 白江幸司
〈日本のポストモダン〉再訪
- 八〇年代ポスト・モダニズム再読――バブルと批評 / 佐藤泉
- 柄谷行人とポスト・モダン――終わらせることと終わらせないこと / 山田広昭
- 「日本のポストモダニティ」およびその比喩形象(フィギュール)としての『AKIRA』 / 石岡良治
- ポストモダン建築とは何だったのか――ポストモダニズム以前、ポストモダニズム以後 / 門脇耕三
誰が〈ポストモダン〉の思想家か
- 普遍とうまくつきあうために――フランス現代哲学から見た「ポストモダン」 / 宇佐美達朗
- 黙示なき破局の寓話――核時代の脱構築 / 郷原佳以
- ポストモダンという毒/薬あるいはサプリメントの略歴――今日、ジャック・デリダを支点として / 小川歩人
- メデューサはどこに消えたのか――「エクリチュール・フェミニン」と「ポストモダン」 / 横田祐美子
歴史と政治の鏡
- 歴史学とポストモダン / 長谷川貴彦
- 信じて、疑え――ポストモダニズムと非基礎づけ主義 / 小田川大典
ポストモダンの縁暈
- 表象の自己贖罪――アドルノ美学とポストモダニズムの接点 / 竹峰義和
- レヴィナスの〈ポストモダン〉的読解とその隘路 / 渡名喜庸哲
- 「ポストモダン」哲学からポストコロニアル理論へ――歴史の余白についての問い /須納瀬淳
連載 科学者の散歩道
- 第七八回 学校教育に「未来」を――物理教科とICT技術 / 佐藤文隆
連載 「戦後知」の超克
- 第一〇回 鶴見俊輔の「期待」と「回想」下 / 成田龍一
連載 タイミングの社会学
- 第八回 共同生活 下――身体を変える/生活を変える / 石岡丈昇
研究手帖
■『現代思想』49-8(2021-7) 2021/07/01
江戸の算学から折り紙、詰将棋まで……日本の数学文化を一望する!
近世に花開いた日本独自の数学――それは専門家のみならず様々なひとびとが日常の営みに用い、趣味として楽しんだひとつの「文化」であった。本特集では関孝和らすぐれた和算家たちの業績はもちろん、その前提をなした中国の数学や、算額奉納の慣習、また折り紙や詰将棋といった遊戯のなかの数学まで、多様な観点から日本の数学文化を検討したい。
特集*和算の世界ーー『塵劫記』から折り紙、詰将棋まで…日本の数学文化?
討議
- 江戸の数学から見えてくるもの / 上野健爾+小川束
近世日本の数学者たち
- 日本数学史研究の可能性 / 小川束
- 『大成算経』の謎 /森本光生
- 江戸時代の文化を彩った和算家 / 小林龍彦
- 幕末から明治における和算家・洋学者たちの活動――能算者たちの文明開化 / 鈴木真治
江戸に花咲く数学文化
- 江戸時代に数学が盛んになった四つの理由 / 田中優子
- 算額について――江戸時代後期の庶民文化の高さ / 深川英俊
- 算術者のつくり方 / 山本貴光
暦をめぐる冒険
- 江戸期の天文学・暦学――和算的側面を重点に / 中村士
- 渋川春海における暦法と神道 / 林淳
教わり、学び、営む「算」
- 日本の珠算史・数学教育史のなかの『塵劫記』 / 上垣渉
- 珠算・算盤の日本における歴史 / 太田敏幸
遊戯のマテマティカ
- 和算のパズルから学ぶ思考力教育 / 東田大志
- 詰将棋と数学が出会うとき / 齋藤夏雄
- 折り紙の幾何 / 三谷純
西の数学、東の数学
- 前近代中国の数理科学 / 渡辺純成
- ライプニッツは二進法にいかなる有用性を見たのか?――二進法の起源と価値をめぐって / 池田真治
科学と日本的なるものの問題
- 医学論の日本主義的展開――戦時期日本の生理学、臨床医学、漢方医学 / 愼蒼健
資料
連載 「戦後知」の超克
- 第一一回 柄谷行人における「日本」の問いかた 上――その「起源」と「構造」 / 成田龍一
連載 ポスト・ヒューマニティーズへの百年
- 第一七回 ニヒリズムの再考と日常的像の破壊――ブラシエ(1) / 浅沼光樹
研究手帖
■『現代思想』49-9(2021-8) 2021/08/01
自由な決定”は希望か、それとも幻想か?
「人間は自由に意志決定しうるか」というのは古くからある問いである。しかし近年の脳神経科学をはじめとする自然科学の発展により議論は多様化し、「自由意志は存在しない」という意見も無視できないものになりつつある。本特集では新たな時代を迎えた自由意志をめぐる問題系、その再編と進化の途上を一望する。
特集*自由意志ーー脳と心をめぐるアポリア??
討議
- 幻想を超えて世界のありかたを語るために / 青山拓央+岡ノ谷一夫
自由意志を哲学する
- 自由意志の有無について考える前に考えるべきこと / 古田徹也
- 「決定論」のヒストリー / 木島泰三
- 媒介された自由――媒介論的現象学の観点から / 田口茂
ハードプロブレムの正体
- この私に自由意志があると信じる(信じたい)理由 / 須藤靖
- 自由意志問題の建設的な取り組み方 / 谷村省吾
- 圏論的人工知能と圏論的認知科学――自由意志エージェントのための圏論的AIロボティクス / 丸山善宏
自由意志はフィクション(となりうる)か
- SFにおける自由意志――「私」をめぐる問いから他者論そして時間論へ / 牧眞司
ミクロレベルの探究
- 意識はなぜ・どのように立ち上がるのか / M・ソームズ(岸本寛史+佐渡忠洋訳)
- 意識と自由意志――量子論ゆらぎによる長期利得最大化と意識・無意識の表裏一体性の観点から / 渡辺正峰
- 量子物理と自由意志定理 / 筒井泉
自由という深淵
- 未遂の道徳――カントの道徳哲学と人間の自由の問題 / 脇坂真弥
錯綜する自由と責任
- 自由の価値の多面性――新しい自由論アプローチの素描 / 高崎将平
- 神経科学の法理論的含意と人類総無責任論――ヒューム=ストローソン的両立可能論からの検討 / 森村進
- 関係的自律とインフォームド・コンセント――自由で「自分らしい」意思決定のためには何が必要か / 玉手慎太郎
- どうしてそんなに自由意志が大事なのか――自由意志と意識、責任の関係を再考する / 小山虎
- 動物機械論へのアンチテーゼ / 山口尚
思想史を逍遥する
- 自己原因と無原因の間――エピクロスからアフロディシアスのアレクサンドロスまで / 近藤智彦
- 自由と悲劇、あるいはさまざまなオイディプスたち / 益敏郎
- 露伴は宇宙を観る――「気象」と「数理」について / 尾形弘紀
連載 「戦後知」の超克
- 第一二回 柄谷行人における日本」の問いかた 中・1――その「起源」と「構造」 / 成田龍一
連載 ポスト・ヒューマニティーズへの百年
- 第一八回 メイヤスーと知的直観――ブラシエ(2) / 浅沼光樹
連載 タイミングの社会学
- 第九回 レジリエンス 上――〈貧困・時間・疲れ〉の連なりへ / 石岡丈昇
研究手帖
- ズューフィッヒの愉悦――ビールと民衆運動 / 東風谷太
■『現代思想』49-10(2021-9) 2021/09/01
「恋愛」はいま、どうなっているのかーー恋愛研究の最前線
ライフコースの多様化を背景に、必ずしも結婚を中心としない視座から恋愛を捉える重要性が増しつつある。しかし同時にこの「恋愛」という概念自体もまた、根本的な問い直しを迫られているのではないだろうか。本特集ではポリアモリーやアセクシュアル/アロマンティックを含め、異性愛中心的な「恋愛」の規範が排除してきたさまざまなありように目を向けつつ、その「現在」を多角的に検討したい。
特集*〈恋愛〉の現在ーー変わりゆく親密さのかたち???
討議
- これからの恋愛の社会学のために / 高橋幸+永田夏来
エッセイ
- もう誰かと恋愛することはないと思うけれど――恋愛以外≠フことで考えてみる「恋愛とは何か」問題 / 清田隆之
- 恋を語る言葉 / 石井ゆかり
何が語られてこなかったのか
- 恋愛からの疎外、恋愛への疎外――同性愛者の問題経験にみるもう一つの生きづらさ / 島袋海理
- 恋愛的/性的惹かれをめぐる語りにくさの多層性――「男」「女」を自認しない人々の語りを中心に / 武内今日子
- ポリアモリーという性愛と文化――愛をいかに自由に実践するか / 深海菊絵
- クワロマンティック宣言――「恋愛的魅力」は意味をなさない! / 中村香住
- アセクシュアル/アロマンティックな多重見当識=複数的指向――仲谷鳰『やがて君になる』における「する」と「見る」の破れ目から / 松浦優
〈ありふれた物語〉のゆくえ
- 一九八〇年代、『non-no』の恋愛文化――現在を対象化するために / 木村絵里子
- ロマンティックラブ・イデオロギーというゾンビ / 谷本奈穂
- 「愛─性─結婚」の現在地――子どもによって繋ぎ止められる日本のカップル / 大森美佐
- 「逃げ恥」に観るポストフェミニズムーー結婚/コンフルエント・ラブ/パートナーシップという幻想 / 菊地夏野
そこでは何が起こっているのか
- ゴースティング試論――CMC空間の恋愛をめぐる一考察 / 中森弘樹
- メンヘラ少女たちのオートセオリーのために / 菊池美名子
- 不安定な自己を叙述する――異性愛関係に引き寄せられる男性のライフヒストリー分析 / 西井開
- 「家父長制ボイコット」としての非恋愛――韓国社会の変化と若者の恋愛 / 柳采延
描き出され、読み解かれるもの
- 二一世紀のラブソングーー現代日本ポップソングの恋愛表象についての一考察 / 中條千晴
- 映像メディアにおける同性愛表象の現在 / 河野真理江
- 恋愛を「みせる」こと――恋愛リアリティショーにおけるカップル主義のゆくえ / 田島悠来
- ラブコメの倫理と資本主義の精神 / 日高利泰
未完の〈恋愛論〉
- ジェンダー平等な恋愛に向けて――大澤真幸の言う「恋愛」はなぜ「不可能」なのかの考察から / 高橋幸
連載 科学者の散歩道
- 第七九回 科学者の生きがいとは――湯川秀樹没後四〇年 / 佐藤文隆
連載 「戦後知」の超克
- 第一三回 柄谷行人における「日本」の問いかた 中・2――その「起源」と「構造」 / 成田龍一
連載 ポスト・ヒューマニティーズへの百年
- 第一九回 バディウとニヒリズムの問題――ブラシエ(3)/ 浅沼光樹
連載 タイミングの社会学
- 第一〇回 レジリエンス 中――〈貧困・時間・疲れ〉の連なりへ / 石岡丈昇
研究手帖
- ローマ帝国に生きるギリシア都市を追って / 増永理考
■『現代思想』49-12(2021-10) 2021/10/01
ポスト・ヒューマン時代の進化論を考える
いまなぜ進化論が問題となるのか。進化論をめぐる議論の歴史を確認しつつ、ひとびとの生物学的な生と、社会的な生をいかに統合して考えるかを問う。それと同時に、ポスト・ヒューマン/人新世時代において、ひとつの種としての人間のあり方を思考する。
特集*進化論の現在ーーポスト・ヒューマン時代の人類の地球の未来
進化論とは何か
- 進化生物学の現在 / 長谷川眞理子
- 体系学の舞台は変転し続ける――系統推定の理論化をめぐって / 三中信宏
理論の応用と発展
- 考古学と進化論――物質性とニッチ構築 / 中尾央
- 「表情研究」の現在と課題――行動生態学的視点に基づく考察 / 中嶋智史
- 自然における意識の位置づけを問い直す――比較心理学とベルクソン / 米田翼
歴史からとらえる
- 二一世紀のハーバート・スペンサー――スペンサー思想史研究の主要論点 / 藤田祐
- 進化論の被造物――歴史の中のポスト・ヒューマン / 伊東剛史
- 社会的動物/家畜的人間――ミツバチの利他性をめぐって / 橋本一径
日常にとなりあう進化論
- 〈自然な科学〉としての進化論 / 吉川浩満
- 「肥満の流行」とメタファーとしての「進化」――食べることを救い出すために / 碇陽子
- 人はなぜ虫をきらうのか――害虫を進化させる国家というシステム / 足達太郎
種としての人類を考える
- 進化論と日本人種論 / 徳田匡
- デヴィッド・グレーバーの人類学と進化論 / 片岡大右
- バイオソーシャル・ビカミングス抄――ティム・インゴルドは進化をどう捉え、どう越えたか / 奥野克巳
地球から惑星へ
- パンデミックの時代なのだろうか?――COVID-19 におけるグローバルなものと惑星的なもの / D・チャクラバルティ/篠原雅武訳
生物学的生をめぐる政治
- 性・優生学・人類の未来――W・D・ハミルトンの進化思想を読む / 加藤秀一
- クリスパー(CRISPR)哲学とラマルクの危険な思想 / 美馬達哉
臨床の生態学的転回
- 神経生態社会性にむけて――逆境のなかのメンタルヘルス / N・ローズ+R・バーク+N・マニング/
■『現代思想』49-13(2021-11) 2021/11/01
「見た目」をめぐる倫理を問う
近年「ルッキズム(外見に基づく差別や偏見)」という言葉が急速な広がりを見せている。本特集では「見た目」をジャッジする暴力の問題を、レイシズムなど様々な差別とのかかわりとともに、また美をめぐる私たちの欲望の両義性や、視覚中心的な社会のあり方などについても問い直しながら、広く深く検討することを試みたい。
特集*ルッキズムを考える
討議
- 外見に基づく差別とは何か――「ルッキズム」概念の再検討 / 西倉実季+堀田義太郎
交差し複合するルッキズム
- 「障害があるように見えない」がもつ暴力性――ルッキズムと障害者差別が連動するとき / 飯野由里子
- ルッキズムとレイシズムの交点――「ハーフ」表象をめぐる抑圧と対処 / ケイン樹里安
- 移住家事労働者から考える、「らしさ」の境界線 / 小ヶ谷千穂
- キャスター・セメンヤと大坂なおみとルッキズム――黒人女性アスリートのジェンダーとセクシュアリティ / 山本敦久
- 「どんな見た目でもいいじゃない、LGBTの人たちみたいに」 / 森山至貴
- 可視化か不可視化か――トランスジェンダーのパスの経験におけるジレンマ / 山田秀頌
まなざしの坩堝のなかで
- ままならない交差点――ジェンダークィアのボクが生きてきたこの身体について / 古怒田望人/いりや
- 都市の骨を拾え / 高島鈴
メディアの〈目〉を問い直す
- 脱毛広告観察――脱毛・美容広告から読み解くジェンダー、人種、身体規範 / 小林美香
- 娯楽と恥辱とルッキズム / 田中東子
- 男性身体とルッキズム / 北村匡平
- ルッキズムの解毒剤――ブサイク女子マンガについて / トミヤマユキコ
- 「ことば」からルッキズムを揺さぶる――もっと多様な容姿の基準を! / 中村桃子
日常を覆う「見た目」の政治
- 雇用の入口、「番兵」としてのルッキズム / 栗田隆子
- 感情知と感情資本――アンガーマネジメントの社会学 / 山田陽子
- 差別と侮辱――ルッキズムとメタ倫理学 / 奥野満里子
インタビュー
- 目で見るものが全てではない――視覚中心の社会をほぐすために / 広瀬浩二郎
美──この両義的なるもの
- 女性の外見的魅力をめぐるフェミニズムのポリティクス / 高橋幸
- 自分を美しく見せることの意味――ルッキズム、おしゃれ、容姿の美 / 筒井晴香
- エンハンスメントとしての美の実践 / 飯塚理恵
異他なる身体のエステティクス
- 受肉した肌をみる痛み――現代日本におけるイレズミと身体の感性学的受容論 / 大貫菜穂
- ラブドールの「見た目」に関するいくつかの覚書 / 関根麻里恵
ルッキズムの奥底へ
- 現れる他者との向き合い方――現象学の立場から / 鈴木崇志
連載 「戦後知」の超克
- 第一五回 柄谷行人における「日本」の問いかた 中・4――その「起源」と「構造」 / 成田龍一
連載 タイミングの社会学
- 第一二回 レジリエンス 下・2――〈貧困・時間・疲れ〉の連なりへ / 石岡丈昇
研究手帖
■『現代思想』49-15(2021-12) 2021/12/01
大森哲学とは何か、そして何でありうるのか?
戦後日本を代表する哲学者の一人である大森荘蔵。彼の生誕から100年、その業績を回顧しながら同時に大森の思索の開かれた可能性について考える機会を迎えた。大森が知ることのなかった21世紀の新しい時代状況の中で、大森との対話はどこへ向かうのだろうか。
特集*大森荘蔵――生誕一〇〇年
討議
- 未来の大森哲学――日本的なるものを超えて / 森岡正博+山口尚
ことだまを継ぐ
- 大森荘蔵先生がいらっしゃらなければ / 中村桂子
- 移動祝祭日――斜交いからの大森荘蔵論 / 野家啓一
- 物と記号 / 飯田隆
- 大森荘蔵の衝撃 / 丹治信春
- 大森哲学と後期ウィトゲンシュタイン / 野矢茂樹
- 〈頑固〉の哲学 / 小林康夫
額に汗して考える
- 日本(語)で哲学をするということ――大森荘蔵と細野晴臣 / 青山拓央
- 懐疑論・検証主義・独我論から独現論へ / 入不二基義
- 大森荘蔵の何が画期的でしかし私はその何に不満を感じたか / 永井均
過去は物語り
- 大森荘蔵と西田幾多郎――現在と身体をめぐって / 檜垣立哉
- 言葉で世界を造形する――大森荘蔵の芸術哲学素描 / 安藤礼二
- 昭和三二年の分析哲学――座談会「分析哲学をめぐって」を読む / 植村玄輝
時間・意識・社会
- 線形時間なしにいかにして過去を語るか――大森荘蔵とベルクソン / 平井靖史
- 「過去」はいかなる意味で存在するのか?――大森荘蔵とポール・リクールの交叉 / 山野弘樹
- 大森荘蔵の時間概念とマンガ / P・ボネールス(森岡正博訳)
- 大森哲学と社会秩序 / 桜井洋
- 大森哲学と○○論という問い / 戸田剛文
資料
連載 科学者の散歩道
- 第八一回 「科学」を科学的に――武谷三男とロマン・ローラン / 佐藤文隆
連載 「戦後知」の超克
- 第一六回 柄谷行人における「日本」の問いかた 下・1――その「起源」と「構造」 / 成田龍一
連載 ポスト・ヒューマニティーズへの百年
- 第二一回 二つの死――ブラシエ(5) / 浅沼光樹
連載 タイミングの社会学
- 第一三回 解釈労働 上――文化資本論を読みかえる / 石岡丈昇
研究手帖
*作成:今井 浩登
UP: 20201226 REV: 20210128, 0302, 0327, 0421, 0521, 0629, 0722, 0820, 1006, 1019, 1124
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『現代思想』
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雑誌
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