last update: 20201127
2020年12月号 特集:マックス・ウェーバー
2020年11月号 特集:ワクチンを考える――免疫をめぐる思想と実践
2020年10月号 特集:コロナ時代の大学
2020年9月号 特集:統計学/データサイエンス
2020年8月号 特集:コロナと暮らし
2020年7月号 特集:圏論の世界
2020年6月号 特集:汎心論――21世紀の心の哲学
2020年5月号 緊急特集:感染/パンデミック
2020年4月号 特集:迷走する教育
2020年3月号 特集:気候変動
2020年2月号 特集:量子コンピュータ
2020年1月号 特集:現代思想の総展望2020
■『現代思想』48-1(2020-1) 2020/01/01
2020年 現代思想のさらなる展開へ
震災、経済危機、ナショナリズムの台頭、環境問題など激動の2010年代を経て、私たちは今どこにいてこれからどこへ行こうとしているのか――国内外におけるさまざまな分野の思想的格闘を総括しつつ、来たる2020年代のゆくえを見通す。
特集*現代思想の総展望2020
インタビュー
- 「レンマ学」とは何か――惑星的時代のもう一つの知性 / 中沢新一
芸術・情動・文化
- エバとアダムの完全化――性的(不)平等をめぐるスピノザの見解 / H・シャープ/山口 尚訳
- ラリュエル的ホラーの言語 / 仲山ひふみ
- 関係と無関係、あるいは美と崇高――ホワイトヘッドとハーマンの形而上学 / 飯盛元章
- 音楽はどのような情動を喚起するのか? / 源河亨
インタビュー
- 東西のはざまで――世界の哲学者はいま何を考えているのか / ユク・ホイ
言語・身体・意識
- 広がる翻訳の思想への試論――翻訳の身体性 / 上原麻有子
- 人間の生の《ありえなさ》――シモーヌ・ヴェイユの「不幸」の概念を手掛りにして / 脇坂真弥
- 共同行為と複数自己意識 / S・レードル/山名 諒訳
形而上学のその先へ
- 私たちが形而上学を行うとき、私たちは何を行うことができるのか? / A・L・トマソン/松井隆明訳
- ポストトゥルース試論 2020 ver. 1.0――「真実以後」を思考する(ための)哲学 / 大橋完太郎
討議
自然・存在・物質
- 人新世、気候変動、思想の終わり / 小林卓也
- アニミズムを再起動する――インゴルド、ウィラースレフ、宮沢賢治と、人間と非人間の「間」 / 奥野克巳
- 描線の生態系――漫画『風の谷のナウシカ』における森=腐海の発生 / 山内朋樹
新連載 ポスト・ヒューマニティーズへの百年
- 第一回 シェリングと現代実在論――メイヤスーの相関主義批判に寄せて / 浅沼光樹
短期集中連載 『弱くある自由へ』第二版に
連載 デミウルゴス
連載 科学者の散歩道
- 第六五回 科学マスコミ情報の日本での変貌――科学のイメージと人材 / 佐藤文隆
研究手帖
- 「肥満差別」という差別のあり方について / 碇陽子
■『現代思想』48-2(2020-2) 2020/02/01
量子力学がもたらす情報社会の新時代
Googleの研究チームによる「量子超越性の実証」が報じられて以来、改めて注目を集めつつある量子コンピュータ。それは私たちの世界をどのように変えうるのだろうか。本特集ではその歴史や理論的な基礎から最新の成果まで、量子情報科学の現在形を一望するとともに、政治経済や哲学、文学など多様な観点から量子時代の行く末を考える。
特集*量子コンピュータ――情報科学技術の新しいパラダイム
討議
量子コンピュータ入門
- 量子コンピュータ開発の現在と応用可能性について / 根本香絵
- 量子コンピュータの原理と優位性 / 竹内勇貴
- 量子計算を哲学してみる / 細谷曉夫
- 或る理論計算機科学の研究者から見た量子コンピュータ研究の歴史 / 西村治道
歴史のなかの量子コンピュータ
- hのない量子力学――機器がつくる世界 / 佐藤文隆
拡張する量子の科学
- 情報の観点からみた量子力学 / 北島雄一郎
- 圏・量子情報・ビッグデータの哲学――情報物理学と量子認知科学から圏論的形而上学と量子AIネイティブまで / 丸山善宏
- 量子と生命 / 田中成典
- 「わたし」に向かって一般化される量子コンピューティング / 郡司ペギオ幸夫
量子がひらくパンセ
- 量子力学と現代の思潮 / 全 卓樹
- 無時間、無空間からの出発 / 内井惣七
- 量子力学・情報科学・社会システム論――量子情報科学の思想的地平 / 大黒岳彦
AI・暗号・ネットワーク
- 未来技術の倫理 / 河島茂生
- デジタル署名、ブロックチェーンと量子アルゴリズム――新たなるサイファーパンクの夜明け / 斉藤賢爾
- チャイバースペース(Chyberspace)の出現について――中国の「サイバー主権」論の背景にあるもの / 羽根次郎
〈情報〉はどこからきて、どこへゆくのか
- 情報概念の形成――一九二〇年代における物理学と工学の接近 / 河西棟馬
- ホームオートメーション再考――一九八〇年代の日本が描いた二一世紀の情報化社会 / 鈴木真奈
クォンタムな想像力
- 偶然性・平行世界・この私――量子力学と文学をめぐる諸問題 / 加藤夢三
第一〇回 連載 デミウルゴス
第二回 連載 ポストヒューマニティーズへの百年
研究手帖
■『現代思想』48-5(2020-3) 2020/03/01
「環境問題」をめぐる議論の歴史を未来につなぐ
スウェーデンの環境活動家、グレタ・トゥーンベリさんによる告発が多くの注目を集めている。地球温暖化への対策を求めるデモ「未来のための金曜日」も世界各地で開催され、気候変動問題に政治・経済的に取り組む機運が本格的に高まってきた。本特集では、気候変動の問題をめぐる歴史や思想、現場での取り組みを辿りつつ、この社会のあり方を私たちの足元から問い直す。
特集*気候変動
「未来のための金曜日」
- 気候変動についてみんなが語ることができる社会に向けて / 井上寛人+黒部睦+谷口実優(FridaysForFuture Tokyo)
温暖化対策をめぐる政治
- 地球温暖化は社会的災害 / 宮本憲一
- 気候変動問題打開のための模索――解決を阻むものの可視化を目指して / 喜多川進
- 「自主的取り組み」パラダイムからの脱却を――対策停滞の要因か、停滞の中の牽引役かという議論を越えて / 佐藤圭一
〈気象〉をめぐって
- 「平成」の日本気象行政――防災気象情報をめぐる「指導」と「連携」 / 若林悠
- 気候変動をめぐる人類小史 / 田家康
気候変動の歴史から問う
- 戦争と環境破壊 / 池内了
- 明日なき《世界》――つぎつぎとなりゆく犠牲 / 山内明美
- 大洪水の後に――「狩野川台風」の再来をめぐって / 猪瀬浩平
気候変動と食をめぐって
- 「規則正しいレイプ」と地球の危機 / 藤原辰史
- 気候変動とアフリカ――脱国家の世界史からみた農業と生物多様性のゆくえ / 足達太郎
暮らしと住処
- 生環境構築史宣言――Habitat Building History Manifesto / 松田法子+青井哲人+中谷礼仁
- 人間世界と事物の世界の「あいだ」――人新世における新しい共存様式について / 篠原雅武
〈環境〉をめぐる表現から
- 気候変動をめぐる「遅い暴力」と現代文学の射程 / 芳賀浩一
- 環境美学における気候変動の問題 / 青田麻未
ノン・ヒューマン/ポスト・ヒューマンの経験
- 気候正義の政治 そこにはノン・ヒューマンも含まれるのか / 土佐弘之
- 「動物」にとって気候変動はいかに経験されるのか――カナダ北方の森からの視座 / 山口未花子
思想としての気候変動
- 気候危機と環境革命――気候ケインズ主義、加速主義、エコ社会主義 / 斎藤幸平
- 思想史のなかの気候変動――化石経済をめぐるジェヴォンズとラスキンの省察 / 桑田学
- 採取――現代思想と気候正義の蝶番 / 箱田徹
第一一回 連載 デミウルゴス
第六六回 連載 科学者の散歩道
- 学問名の現在――学問名から制度・組織名へ / 佐藤文隆
第三回 連載 ポストヒューマニティーズへの百年
- 現有(ダーザイン)と形而上学史――ハイデガー / 浅沼光樹
研究手帖
■『現代思想』48-6(2020-4) 2020/04/01
大学入試改革から教員の労働まで――「教育問題」とは何か
現在、英語民間試験と「大学入学共通テスト」の記述式の導入の延期を受け、あらためて入試改革とは何かが問われている。また、教員の労働も給特法改正法と、変形労働時間制導入を受け、現場に変化が訪れつつある。本特集では、改革に翻弄される当事者の方の声に耳を傾けつつ、誰のための教育なのかという問いをたて、さまざまな専門家と議論する。
特集*迷走する教育――大学入学共通テスト・新学習指導要領・変形労働時間制
討議
- 逃走の教育から闘争の教育へ――大学入学共通テストと新学習指導要領から問う言葉をめぐる教育 / 大内裕和+紅野謙介
大学入学共通テストとはなにか
- 大学入学共通テストの現在 / 荒井克弘
- 大学入試改革を「私的に」ふり返る / 南風原朝和
国語教育と「読む」ということ
- 「読む」力と「国語」入試の明日――新学習指導要領と大学入学共通テスト / 木村小夜
- 文学の貧困――「文学国語」を脱構築する / 五味渕典嗣
英語教育の問題点
- 英語入試改革の挫折から迷走を抜け出す道を探る / 羽藤由美
- 「すばらしい英語学習」の落とし穴――大学入試大混乱と「四技能の迷走」が教えてくれること / 阿部公彦
改革にさらされる理系科目
- 共通テストは如何に在るべきか / 吉田弘幸
- 高校数学のカリキュラムの過去・現在・未来 / 大澤裕一
給特法から問う
- 改正給特法総論――「異質」な一年単位変形労働時間制導入の問題 / 橋哲
- 給特法改正は長時間労働解消につながるのか / 藤川伸治
- 教員の労働は本当に「特殊」なのか?――給特法改正前史四九年を振り返る / 赤田圭亮
現場から見えてきたもの
- 先生、学校はどこへ行くんでしょうか? スティーブン・キングに聞いてください!――思考疲労、教育幻想、教育愛の限界世界 / 岡崎勝
- 新型コロナウイルス感染症のリスク――全国一斉休校の功罪を考える / 内田良
教育の〈多様性〉をめぐって
- 高等教育で学ぶ移民第二世代の若者たち――大学での経験は何をもたらすのか / 三浦綾希子
- 〈ヤンチャな子ら〉の「男らしさ」を捉えるために――ポストハマータウン研究における男性性の位置 / 知念渉
第一二回 連載 デミウルゴス
第六七回 連載 科学者の散歩道
- 近代科学発祥とメカニクス――家畜化される自然 / 佐藤文隆
第四回 連載 ポストヒューマニティーズへの百年
研究手帖
■『現代思想』48-7(2020-5) 2020/05/01
新型コロナウイルスから考える感染症と思想の交差点
新型コロナウイルスをめぐる報道が目下加熱しているが、感染症との闘いとその共存は、人類史のなかで一大テーマとなってきた。 本特集では感染症とその対策をめぐる現場の最前線から、パンデミックをめぐる人類史、そして患者の隔離政策やワクチン接種などをめぐる統治、感染をめぐる表現などを追い、検討する。
緊急特集*感染/パンデミック――新型コロナウイルスから考える
議論
- G・アガンベン/J‐L・ナンシー/R・エスポジト/S・ベンヴェヌート / 高桑和巳・伊藤潤一郎訳
パンデミックの/と思想
- 監視と処罰ですか? いいですねー、お願いしまーす! / S・ジジェク/松本潤一郎訳
- コモン/ウイルス / 水嶋一憲
- 恵まれたる者、呪われたる者 / 小泉義之
医療の現在地
- 感染までのディスタンス / 美馬達哉
- 感染症の疫学とアウトブレイク対応 / 津田敏秀
- 国際共同臨床試験の倫理 / 栗原千絵子+齊尾武郎
- へき地や離島での感染症対策と保健活動 / 青木さぎ里
生政治のゆくえ
- 戦争・権力・感染 / 木澤佐登志
- フーコーにおける感染症と安全 / 西迫大祐
- COVID-19 時代のリスク / 粥川準二
対策をめぐって
- 予防接種をめぐる決断と責任 / 手塚洋輔
- 感染予防とイベント自粛の倫理学 / 玉手慎太郎
- 「科学」的「占い」に抗う大衆動員の予防について / 羽根次郎
- 広範囲の都市化を通じたウイルスの伝播 / 平田周
感染を描く世界史
- 感染症と文明、その中国的文脈について / 飯島渉
- 一三─一四世紀アフロ・ユーラシアにおけるペストの道 / 諫早庸一
- コロナから発される問い / 塚原東吾
日本の感染症史
- 二一世紀の疫因論 / 香西豊子
- ハンセン病「隔離」とは何か / 廣川和花
- 清潔の指標 / 川端美季
感染をとらえる〈ことば〉
- コレラ・放射能・流言 / 越野剛
- 新型コロナ騒動から日本エイズ文学を考える / C・ローウィー
感染をめぐる人類学
- 鼻口のみを覆うもの / 住田朋久
- エイズ・パンデミックと生き方の変容 / 新ヶ江章友
- 「人間以上」の世界の病原体 / 奥野克巳
暮らしの危機から考える
- パンデミックで人びとを破滅させてはならない / X・プラシャド+M・ベルトルディ/粟飯原文子訳
- グローバリゼーションと「危機」の経済的位相 / 中山智香子
- 終わりなき点検と調整 / 田中祐理子
病とともにある「日常」
- なぜ病んだ人たちが謝らないといけないの / チョハン・ジニ/影本剛訳
- 病者のユートピア / 有薗真代
- パンデミックに浸蝕される「日常」 / 山田陽子
- たったひとりにさせない/ならないために / 山家悠平
第一三回 連載 デミウルゴス
第五回 連載 ポストヒューマニティーズへの百年
研究手帖
■『現代思想』48-8(2020-6) 2020/06/01
万物に心は宿るのか――現代哲学の最新問題を追う
現在、「汎心論」つまり「生命のあるなしに関係なく、万物は心あるいは心に似た性質をもつ」という思想が復興しつつある。しかしそれは科学的世界像に背を向けるのではなく、いっそう合理的・科学的な自然主義の立場を求めるところに成立する、まさに21世紀の心の哲学なのだ。本特集では、国内外の代表的論者の主張とそれをめぐる論争を軸にすえながら、現代汎心論の本格的紹介を試みる。
特集*汎心論――21世紀の心の哲学
インタビュー
- いま心を哲学する / 永井均 (聞き手=飯盛元章)
現代汎心論の震源地
- 組合せ問題(抄)――汎心論のとり組むべき課題 / D・J・チャーマーズ(訳・解題=山口 尚)
- 実在論的な一元論――なぜ物理主義は汎心論を含意するのか / G・ストローソン(訳・解題=大厩諒)
- あらゆる事物は考える――汎心論と自然の形而上学 / I・H・グラント(訳・解題=中島 新)
討議
哲学史を訪ねて
- 「汎心論」とウィリアム・ジェイムズ / 冲永宜司
- ベルクソンの汎質論 / 平井靖史
- ハーマン、ホワイトヘッドと汎心論――汎心論を再起動し、相関的循環をシャットダウンする / 飯盛元章
- 現象学的観念論と汎心論――フッサールの逡巡 / 植村玄輝
自然科学から/への問いかけ
- 二元論の向こう側を探る自然学のプログラム / 染谷昌義
- 石のチューリングテスト――思考する物質として生きること / 齋藤帆奈
汎心論と汎神論のあわい
- 付喪神と〈字霊〉――日本中世におけるアニミズムの偽装 / 尾形弘紀
第六八回 連載 科学者の散歩道
- 解放されたのは 好奇心なのか?――フランシス・ベーコンの科学 / 佐藤文隆
第六回 連載 ポストヒューマニティーズへの百年
研究手帖
■『現代思想』48-9(2020-7) 2020/07/01
“矢印”が描きだす、豊穣なる現代数学の最前線
現代数学における最重要分野の一つともいえる圏論。その高度な抽象性と一般性は、物理学や計算機科学、生物学、言語学、美学などあらゆる領域で豊かな威力を発揮しつつある。本特集では圏論の基本からさまざまな応用の実際、さらには哲学的な射程についても紹介・検討することで、今ひときわ注目をあつめる数学的思考法の真髄に迫りたい。
特集*圏論の世界――現代数学の最前線
Discussion
- 圏論がひらく豊穣なる思考のインタラクション / 加藤文元+西郷甲矢人
Keynote/Introduction
- 圏論の哲学――圏論的構造主義から圏論的統一科学まで / 丸山善宏
- 圏はどういうものであったか / 小原まり子
Mathematics/Logic
- 圏論とトポロジー / 玉木大
- 数論幾何と圏論 / 伊藤哲史
- 圏論的論理学への道案内――論理学と数学をつなぐトポス / 荒武永史
- 圏論と集合論 / 渕野昌
Computing/Language
- コンピュータ科学と圏論についての回想と考察 / 三好博之
- 代数的言語理論の圏論的公理化とガロア理論との統一 / 浦本武雄
- ソフトウェアの数理モデルと圏論 / 檜山正幸
Sciences/Art
- 科学の書き言葉としての圏論 / 谷村省吾
- 普遍性とそのゆらぎ――ネットワークの圏論的諸展開 / 春名太一
- 圏論の展開?脱圏論への転回 / 郡司ペギオ幸夫
- 圏の図式からみた芸術の理論――穴・コホモロジー・アブダクション / 久保田晃弘
Philosophy
- 圏論による現象学の深化――射の一元論・モナドロジー・自己 / 田口茂+西郷甲矢人
- 数学の構造概念はフランスの構造主義にいかなる理解をもたらすか――ブルバキ、カヴァイエス、ロトマン、そして圏論を手引きにして / 中村大介
- アラン・バディウの哲学と数学の関係についての批判的考察――「概念の哲学」のポスト・カヴァイエス的展開の諸相という観点から / 近藤和敬
第六九回 連載 科学者の散歩道
- 新たな居場所を求めて――人格教育と科学 / 佐藤文隆
研究手帖
■『現代思想』48-10(2020-8) 2020/08/01
パンデミックを生活の場から思考する
新型コロナウイルスとCOVID-19、そしてその対策は、私たちの日常にいかなる変容をもたらしているのか。本特集では現場での実態を記述しながら、パンデミックを生きるための思考を紡いでいく。
特集*コロナと暮らし――対策の現場から
労働現場から捉える
- 緊急事態宣言下での大都市清掃とパンデミック後のあり方 / 藤井誠一郎
- 商い/賑わい/エッセンシャルワーカー――日本小売業にとってのコロナ・ショック / 満薗勇
- ポストコロナの食と農を思考すること――資本主義的食料システムに対峙する / 松平尚也
システムを攪乱する
- 日本の資本主義と「アフター・コロナ」――生存権と賃労働規律から読み解く / 今野晴貴
- コロナ禍の子ども食堂――食卓をめぐるソシアビリテの変容 / 成元哲
- 「コロナ危機」とコンピュータ機械化資本主義的生産様式の前史の終わりについて / ティル・クナウト
家族と「密」
- 「密」への要求に抗して / 中森弘樹
- 『不登校新聞』のコロナ関係記事に見る「休校による不利益」の不可視性 / 貴戸理恵
ジェンダーと〈移動〉
- 二つの論理、二重の越境――COVID-19 流行下におけるトランスジェンダーと医療 / 山田秀頌
- 移動から考える「ホーム」――画一的な「ステイ・ホーム」言説を乗り越えるために / 小ヶ谷千穂
- 占領と感染症――沖縄現代史における二つの病い / 若林千代
討議
コロナと〈生政治〉
- イタリアにおける医療崩壊と精神保健――コロナ危機が明らかにしたもの / 松嶋健
- ペストとコロナのあいだ――生政治学的省察 / 宇野邦一
往復書簡
- 忘却することの痕跡――コロナ時代を記述する人類学 / 猪瀬浩平+久保明教
ウイルスと〈触れること〉
- 世界の表面の人間の痕跡 / J・バトラー/清水知子(訳・解題)
- 除菌と除霊とキャッシュレス――貨幣と霊の経済人類学 / 深田淳太郎
感染症と建築
- 感染症とともに変わる住まいのかたち――気候を統治する / 西川純司
- 都市に再接続するための気晴らしの居場所 / 能作文徳
コロナ時代のエコロジーを問い直す
- 〈帝国〉からの二〇年 / M・ハート+A・ネグリ/塩田潤(訳・解題)
- 普遍的呼吸権 / A・ムベンベ/箱田徹(訳・解題)
第七〇回 連載 科学者の散歩道
- 多様な価値観と科学の真理――“決められない”科学と反知性主義 / 佐藤文隆
第七回 連載 ポストヒューマニティーズへの百年
研究手帖
- ポケットティッシュから見たジェンダーと金融史 / 小島庸平
■『現代思想』48-12(2020-9) 2020/09/01
私たちをとりまく「統計」の思想とは何か
ビッグデータやAI技術の進展を背景に、2010年代以降とりわけ存在感を増しつつある統計学/データサイエンス。しかしその背後には一体どのような「思想」が横たわっているのか。本特集では統計的なるものの歴史と現状をコロナ以後の地点から改めて一望し、それらが私たちの生存といかにかかわるのか、哲学的視座も交え多角的に検討したい。
特集*統計学/データサイエンス
討議
統計学をとらえる
- 二〇二〇年代の統計リテラシーを考える / 神林博史
- 「統計不信問題」から日本の統計史を考える / 佐藤正広
- 統計学思想試論――自覚的ユーザーのために / 松王政浩
ベイズの時代
- 今承認される「世界性の統計学」――ベイズ統計学の黙示 / 松原望
〈データ〉が息づく場所
- データの多様な相貌――エコシステムの中のデータサイエンス / 福島真人
- 数をめぐるダイナミクス――犯罪解決の数値化とその背景 / 鈴木舞
- データサイエンスとして観たアクチュアリー学史――生命表作成の歴史を巡って / 鈴木真治
- 「エビデンス」の奇妙な増殖――〈証拠〉の歴史から見たEBMと社会 / 松村一志
- 「エビデンスに基づく教育」の可能性と限界 / 寺沢拓敬
身体と「測ること」
- ウィズコロナ時代の統計学 / 竹村彰通
- 感染者数とは何か――COVID-19の実行と患者たちの生成 / 浜田明範
- 疫病と酸っぱい葡萄――感染経路追跡にまつわる権力手段について / 羅芝賢
- 生き生きとしたデータ――戦後地域医療と健康 / 北中淳子
横断と越境の歴史
- 統計学と数学との関係 / 赤平昌文
- 心理学と統計――歴史的な検討を通じて未来を展望する / サトウタツヤ
- マクスウェルの統計的知識と自由意志 / 稲葉肇
- Rが自由ソフトウェアであること / 喜多千草
数値が見せる社会
- コトバの知と数量の知――一〇〇年のウロボロス / 佐藤俊樹
- 家族社会学における量的研究と質的研究――質的調査の標準化に向けて / 永田夏来
- 差別の「エビデンス」は示しうるか / 永吉希久子
データサイエンスの哲学
- データを用いて語るときに、私たちがしていること――分析プラグマティズムの観点から / 朱喜哲
- 人工知能と言語化不可能なもの / 百木漠
第一回 新連載 「戦後知」の超克
第七一回 連載 科学者の散歩道
- 機械に奪われる――機械内でのメカニクスの拡大と残余としての心 / 佐藤文隆
第八回 連載 ポストヒューマニティーズへの百年
研究手帖
■『現代思想』48-14(2020-10) 2020/10/01
あらためて問われる、「大学」とは何か
キャンパス封鎖やリモート授業などにより大学の「場」は突如としてリアルからヴァーチャルへ移行した。またそれ以前からも産学連携やクラウドファンディングによるプロジェクトなど、研究/教育の場面は広がりをみせている。本特集ではコロナ下で引き起こされた大変動を契機に、大学の今とこれからを考える。
特集*コロナ時代の大学――リモート授業・9月入学制議論・授業料問題
討議
- 知が越境し、交流し続けるために――大学から始める学び方改革・遊び方改革・働き方改革/ 佐藤郁哉+吉見俊哉
学ぶことをめぐるエコノミー
- 「コロナ災害」下の学生たち――バイト難民・貧困化・学費減免運動 / 大内裕和
- 「学費」が可視化した大学の構造的課題 / 白川優治
- 大学経営の今とこれから / 両角亜希子
コロナ禍を越えて
端末の向こうの大学
- コロナ禍における大学でのオンライン授業の実情と課題 村上正行 ポスト・コロナ時代の大学教員とFD――コロナが加速させたその変容/ 佐藤浩章
- 大学講義のオンライン化の権利問題 / 児玉晴男
「大学」とは何か
- 大学の「身体」は変容する――COVID-19流行以降の状況から / 大橋完太郎
- 産学連携の形而上学――大学の在り方を添えて / 宮野公樹
学びをつなぐ
- 「コロナ禍」の下での大学入試――高大接続改革の方針転換から見えてきた課題と展望 / 倉元直樹
- 学び直しの愉しみ――社会人は大学院でどう学んでいるか / 岩崎久志
ひろがるキャンパスの中で
- 大学キャンパスと都市――キャンパスのようにまちをつくり、まちのようにキャンパスをつかう / 上野武
- 地方大学の学術資料を用いた展示公開モデルを探る / 五十嵐太郎
- 学生相談室という場――ニッチから多様性という価値の実現に向けて / 高石恭子
- ひとりの寮生とコロナの日々――社会システムの脆弱性を補う京都大学吉田寮の自己組織化力 / 福島直樹
知の息づくところ
- 独立することと孤立すること――共同研究をつなぐ場所と人 / 酒井大輔
- 現代の「他者」となるために――上七軒文庫の活動によせて / 師茂樹
- パンデミック下で考える、分割と均衡のオルタナティヴ / 池田剛介
第七二回 連載 科学者の散歩道
- 専門主義の野蛮性――ヨーロッパ学問からの逸脱 / 佐藤文隆
第二回 連載「戦後知」の超克
第九回 連載 ポストヒューマニティーズへの百年
研究手帖
■『現代思想』48-16(2020-11) 2020/11/01
コロナ時代のワクチンとの付き合い方を思考する
現在世界的に新型コロナウイルス感染症に対するワクチン開発が急務で進められており、日本でも「DNAワクチン」が臨床試験の段階に入っている。実際、ワクチンは、病気にかかるのを予防する役割を担う一方、重篤な副作用をもたらす場合もあり、われわれにとって両義的な存在でありつづけてきた。いかにワクチンという存在と向き合い、その付き合い方を思考することができるのか、さまざまな専門家とともに議論する。
特集*ワクチンを考える――免疫をめぐる思想と実践
開発をめぐる最前線
- COVID-19ワクチンの実用化は慎重に / 山内一也
- 国際共同臨床試験の倫理――新型コロナの政治学・ワクチン編 / 栗原千絵子+齊尾武郎
予防接種行政をめぐって
- HPVワクチン「積極的勧奨の一時差し控え」の継続という戦略 / 大北全俊
- ジェンダー分析的視座から見るHPVワクチンのもう一つの問題――HPVワクチンの定期接種の対象は「少女たち」だけでよいのか? / 渡部麻衣子
リスクと倫理
- COVID-19 時代のリスク・再論――事実、共通性、そして信頼をめぐって / 粥川準二
- 優劣でなく平等に基づく順序づけのために――ワクチン接種の優先順位をめぐる倫理的課題 / 吉田修馬
- 実験室社会をどう生きるか――リスク社会におけるワクチン / 林真理
- 「一〇〇分の一」の倫理 / 香西豊子
ワクチンをめぐる人類学
- 医薬化する希望――不在のワクチンが見えづらくするものについて / 浜田明範
- ワクチンと不正義 / 西真如
- 服薬/ワクチンを拒否する人たちについて理解するために / 牛山美穂
現場から捉える
- 大きな数字を見つめながら小さな物語を聴くこと / 熊倉陽介
- 先生、痛い予防接種はやめてください!――ワクチンと学校、そして「程度の問題」 / 岡崎勝
- ポリオワクチンをめぐる争いが問いかけるもの / 西沢いづみ
反ワクチンとは何か
- 社会的な構成物としてのウイルス――反ワクチン・ポピュリズム・信頼 / 吉田徹
- 「ワクチンを語る」という欲望 / 橋迫瑞穂
- 方法としての反ワクチン / 美馬達哉
インタビュー
- COVID-19 時代の〈免疫〉生政治 / R・エスポジト/T・クリスティアンズ+S・D・コーワー(聞き手)/松本潤一郎訳
免疫をめぐる思想
- ワクチン開発に学ぶ時間の重要性 / 中村桂子
- グローバル・パンデミックにおける信と知――デリダの自己免疫論とコロナ・ピューリタニズム / 宮ア裕助
- 毒を喰らう技術――ワクチンに対する個の当事者性 / 伊藤潤一郎
第一回 新連載 タイミングの社会学
第三回 連載「戦後知」の超克
第一〇回 連載 ポストヒューマニティーズへの百年
研究手帖
■『現代思想』48-17(2020-17) 2020/12/01
没後一〇〇年――ウェーバー思想の真価に迫る!
『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』などの著作で知られ、いまなお多大な影響を与え続けている思想家マックス・ウェーバー。法・政治・経済・社会など広範な領域に残された足跡を辿り直し、また世界的にもとりわけ盛んにウェーバー受容がなされてきた日本の思想史にもフォーカスを当てることで、そのアクチュアリティを多面的に再考したい。
特集*マックス・ウェーバーーー没後と実践一〇〇年
近代・宗教・資本主義
- 脱魔術化を再考する / 三島憲一
- 資本主義の精神とは何か――ウェーバー『プロ倫』の読み方 / 橋本努
- 「鋼鉄の檻」からの神学−政治的解放?――宗教としての資本主義をめぐるヴェーバーとベンヤミン / 大竹弘二
- マックス・ヴェーバーと実験心理学の交差――M・ヴェーバー「工業労働の精神物理学について」をめぐる一考察 / 高岡佑介
- 世界に魔法をかける――ウェーバーとデュルケームの宗教社会学 / 佐々木雄大
- 誰にとって「非合理的」なのか――大塚久雄におけるヴェーバー生誕一〇〇年シンポと戦中・戦後 / 恒木健太郎
現代政治への問い
- 官僚たちのマックス・ウェーバー――ベルーフからブルシット・ジョブへ / 野口雅弘
- 代表論から読むマックス・ウェーバー / 早川誠
- 政治理論、政治哲学とマックス・ウェーバー / 乙部延剛
- 中国現代思想の中のウェーバー / 鈴木将久
討議
- フーコーvsウェーバー――近代と格闘した二人の思想家 / 重田園江+野口雅弘
哲学/思想史の地平から
- 批判と啓蒙――ウェーバーとフーコーにおける学問・政治・主体 / 王寺賢太
- 政治と生との結びつきをめぐるマックス・ヴェーバーの政治思想――フーコーとアガンベンを参照軸に / 水谷仁
- ヴェーバーとハイデガー――近代批判の世代間相違 / 轟孝夫
- ハンナ・アレントはウェーバーをどう読んだか――「プロテスタンティズム」論文をめぐって / 牧野雅彦
- 〈音楽の合理化〉の弁証法――ヴェーバーとアドルノの音楽論をめぐって / 竹峰義和
いかにして社会を捉えるか
- 目的・支配・システムーーマックス・ウェーバーの基本概念と前提 / N・ルーマン/大黒岳彦訳・解題
- ウェーバー社会理論の深層構造と社会の〈自己記述(アウトロギー)〉 / 大黒岳彦
- 理解社会学を語らずして、どうしてヴェーバーが語れるのか? / 中野敏男
学び問うことの途上で
- マックス・ヴェーバーと学術研究の主体性 / 池田浩士
- 「学問」と「ニヒリズム」と、その「奈落」――ウェーバーの学問論をめぐるブタイ / 藤本夕衣
- 預言者マックス・ヴェーバーへの憧憬−―ガラパゴス化した日本学界とその世界的位置 / 今野元
〈主体〉をひらく
- マックス・ヴェーバーとマリアンネ・ヴェーバー――性・性愛・結婚に関する議論をめぐる一試論 / 内藤葉子
- ネオリベラリズムにおける「近代的主体」と「ケアの主体」 / 高橋幸
第四回 連載「戦後知」の超克
- 「越境」する西川長夫 中――「フランス革命二〇〇年」のなかで / 成田龍一
第一一回 連載 ポストヒューマニティーズへの百年
第二回 連載 タイミングの社会学
- 不確実な減量 上――待機するボクサー / 石岡丈昇
研究手帖
*作成:今井 浩登
UP: 20191224 REV: 20200127, 0227, 0327, 0428, 0528, 0626, 0728, 0827, 0929, 1027, 1127
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