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『グローバル・エイズ・アップデイト』第45号

http://blog.melma.com/00123266/

アフリカ日本協議会


■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

グローバル・エイズ・アップデイト
GLOBAL AIDS UPDATE
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第45号 2006年(平成18年)6月8日
Vol.2 -No.22 Date: June 8, 2006

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はじめに:発行趣旨
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○HIV/AIDS問題は、現代世界に於ける保健医療上の最大の問題の一つです。
○しかし、日本では、こうしたグローバル・エイズ問題の深刻さや最新の情報が伝わっておらず、この問題へのコミットメントが薄いのが現状です。
○このメールマガジンは、グローバルなHIV/AIDS問題の最新動向を日本語で伝えるメディアが必要だという認識から生まれました。
○HIV/AIDSに関わる主要なウェブサイトの記事を日本語で要約し、隔週で発行いたします。

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■「第45号」目次
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地域情報
●アフリカ
1.ケニア:看護師の国外流出が続く
2.ケニア: 地域クリニックにおける結核治療
3.タンザニア: 男性用コンドームの新ブランド Dume

●アジア太平洋地域
1.アジア太平洋HIV陽性者ネットワーク: 2006-2010年戦略計画で、戦略を明文化
2.マレーシア:自由貿易協定交渉をめぐり陽性者団体が首相へ公開質問状
3.インド: HIV陽性者グループ、ブランド薬企業によるエイズ治療薬特許権に反対表明

●東欧・旧ソ連圏
1.キルギスタン:HIV/AIDSを主題とする映画が人気を博す

Vol.2 -No.22 ★

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★ケニア:看護師の国外流出が続く
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【2月28日ナイロビ(ロイター)】 ナイロビにある東アフリカ最大の病院、ケニヤッタ国立病院の薄暗い一室で、看護師のフローレンスは、この20年間を振り返って、語り始めた。 「かつては、非常にいい環境の中で仕事ができました。けれども今は給料も職場環境も劣悪で、私はいつも娘たちに看護師なんて決していい仕事ではないと話しています。」看護師の月給は平均で275 米ドルにも満たず、借金や配偶者の給与なしに暮らしは成り立たない。仕事を掛け持ちしたり、自分で商売をしながら生計を立てる人もいる。そのため、ケニアの看護師の多くは、イギリス、米国、オーストラリア、ニュージーランドに職を求めている。

ケニアでは過去5年間に、3,390人の優秀な看護師たちが、HIV/AIDS、マラリア、結核というアフリカの最大の病魔を背に、海外に流出していった。これは氷山の一角に過ぎない。WHOによれば、毎年2万人の看護師や医師がアフリカ大陸から流出し、自国の10倍の収入を得られるヨーロッパや米国の民間セクターで働いている。イギリス政府は、途上国から看護師を奪い取ることのないよう、規制を強めているが、その規制をかいくぐって、アフリカ出身の看護師たちは流入してくる。斡旋業者にだまされ、ほとんどの稼ぎを紹介料として不法に徴収されるケースもある。

1990年代、ケニアでは10人に1人がHIVに感染し、医療システムへの負担がますます大きくなったが、看護師の国外流出は止まらなかった。51歳のイトティアさんもその一人で、現在はイギリス中部オックスフォードシャーの養護施設で働きながら、将来は母国ケニアで母子保健のクリニックを開設するため、貯金を続ける毎日だ。イトティアさんは、渡英する際、基礎技術習得のための登録料という名目で、斡旋業者に約2,200ドルを支払った。それでもケニアを去ったのは、定年退職を迫られていたからだという。「イギリスでは物価も高く、働き続けなければ生活は成り立たない。それでもケニアで働いている限りは、自分のクリニックを持ちたいという夢など決して叶わない」。イトティアさんはそう話す。

「頭脳流出」はアフリカにとって二重の打撃となっている。政府が教育に予算を費やし優秀な人材を育成しても、見返りがない。また人材がアフリカから流出する一方で、その需要は増えている。世界保健機構(WHO)によれば、2008年までにイギリスで医師2万5千人、看護師25万人が必要とされており、米国では100万人の看護師の需要があるという。国連人口基金によれば、昨年の移民の傾向はまるで、途上国が先進国の保健システムを支援する形になっている。

豊かな国が優秀な人材を抱える一方で、前出のケニヤッタ国立病院などでは、薄暗い粗雑な病院で、機材も不足する中、看護師一人が80人もの患者を抱えている。労働組合は、問題は資金不足と不適切なマネジメントにあると指摘している。人口3200万人のケニアの2006-2007年の保健医療予算は約350億ケニアシリング(4億8400万米ドル)である。これを人口あたりの金額に換算すると、1人あたり15米ドルということになる。これは大統領府のための予算さえ下回る額である。鳥インフルエンザがケニアで流行し、多くの医師や看護師が必要となった場合の対応も懸念されている。

原題:Underpaid Kenyan nurses lured away
日付:Feb 28, 2006
出典:Reuters Alert
URL:http://www.alertnet.org/thenews/newsdesk/L23514917.htm

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★ケニア: 地域クリニックにおける結核治療
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ケニアでは、結核治療が政府の主導により、地域の権限で行われている。各地で多くの看護師らが、その任務に当たっている。しかし、医療現場では限られた予算や人材、医薬品不足の問題が山積みで、結核の感染が、深刻なケニアでは看護師自らの行動力・率先力がプログラム成功の鍵となる。

看護師のマグダリン・アピヨ氏 Magdaline Apiyo が勤務するクリニックは建物が古く、建物の四隅を利用して食物を保存している。また、外来患者用の待合室もない。しかし、この病院は、毎週600人もの結核患者を受け入れており、患者は診察まで相当の時間を待たされる。さらに、病院があるイーストレイEastleigh はナイロビ市内の一地区であるが、この地区は、エリトリアやエチオピア、スーダンなど東アフリカ諸国からの人々であふれており、言葉の壁も存在している。

ところが、現在のプログラムの地域分散化により、アピヨ氏らは患者だけでなく、ケアをする人々も含めた保健教育に力を入れ始めることができた。その結果、ケアをする人々も結核予防や患者の栄養バランスに関する知識を身につけ、患者はDOTS (Directly Observed Treatment. Short-Course:直接監視下短期化学療法)の重要性を学んだ。

ケニアでは、結核は1980年代に制圧可能な感染症と目されたが、HIVの出現により、HIVの日和見感染症の中で最も深刻な病気となっている。国家結核・エイズコーディネーター National TB-HIV Coordinator のシティエネイ博士 Sitieneiは、エイズ死者の3分の1は結核が原因だと述べ、結核とHIVはヘルスケアシステムに難題を突きつけていることから「邪悪な結婚 Unholy marriage」と呼んでいる。

300万人が住むナイロビ市周辺には結核治療関連施設病棟が1つしかなかったが、現在は地域分散化の効果で135に増えた。隣国ウガンダでは、「ストップ結核パートナーシップ」(Stop TB Partnership)を始めとする400にのぼるパートナーのおかげで、無料で結核治療が受けられる。

原題:Unsung heroes: Fighting TB in Kenya's community clinics
日付:February 5, 2006
出典:from Africa
URL: http://fromafrica.blogspot.com/2006_02_05_fromafrica_archive.html

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★タンザニア: 男性用コンドームの新ブランド Dume
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タンザニアの首都、ダルエスサラームで、タンザニア・マーケティング・コミュニケーションズ・プロジェクトTanzania Marketing and Communications project (T-MARC)が、男性用コンドームの新ブランド「デューム」(Dume:スワヒリ語で強さと責任の意味)を立ち上げた。

米国政府の「米国大統領エイズ救済緊急計画」(PEPFAR)による支援の一環で、デュームは同国民にコンドームを3個100シリング(約10円)での提供を可能にし、各地のバーやガソリンスタンド、コンビニエンスストアなどで入手できるようにし、HIV感染拡大予防において、特にケアを必要とする層に焦点を当てている。

駐タンザニア米国大使マイケル・レッツァー氏 Michael Retzer は、「ある特定ブランド商品を効果的に広報すれば、その商品の売り上げだけを伸ばすだけでなく、その商品業界全体の売り上げも伸ばすことが出来る。今回のプロジェクトは、タンザニアにおけるコンドーム需要を伸ばすことになる。」と述べた。

タンザニアの成人人口の約7%がHIV陽性者で、特に首都や南部地域の交易街道沿いで、感染者数が増加している。保健・社会福祉大臣デヴィッド・ムワクサ David Mwakyusa によると、「デューム」は製品として質が高いので、多くの人がコンドームを使ってもよいと考えるようになる。コンドームを当たり前に使う意識を持ってもらうことが狙いである。デュームはシェリス製薬Shelys Pharmaceuticals から販売される。同社営業マーケティング部長 ユメシュ・リバンカ氏 Umesh Rivankarは、多くの人がセックスの前にHIV予防を考えて欲しいと語った。

原題:Tanzania: New "Dume" Condom Brand to Be Launched in Mererani
日付:April 1, 2006
出典:Arusha Times
URL: http://www.arushatimes.co.tz/local_news_3.htm

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★ アジア太平洋HIV陽性者ネットワーク:
〜2006-2010年戦略計画で、戦略を明文化〜
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2006年2月6日、アジア太平洋地域HIV陽性者ネットワーク Asia-Pacific Network of People Living with HIV/AIDS APN+ の年次総会が開かれ、25ヶ国43名が参加した。総会では、現在までの事業を省み、最新情報を共有、女性の積極的なネットワーキングや情報伝達の改善などが課題として話し合われ、その他主要決議事項について審議された。同時に人事改選により運営委員会などに各国の代表らが2年の任期で就任した。

また、アジア・太平洋地域における12年間の活動を踏まえ、APN+運営委員会はアジア・太平洋地域において明確な長期戦略立案の必要性を認識。とりわけ、2006-2010年戦略計画は、2005年8月から8ヶ月かけて策定され、関係者からAPN+の戦略に関して、意見を広く求め、ワークショップを開いてAPN+の今後の方針など検討、APN+の役割を確認した。

この2006-2010年戦略計画は、APN+の長期的な戦略方針を明言化した最初の文書であり、関係者らを含め、この長期戦略の理解を深め、アジア太平洋地域でのHIV陽性者の生活の質の向上への取り組みに向けての指針を表している。また、能力向上や自己尊厳を高めるワークショップも開催され、参加者らは様々な視点から情報伝達をする能力や政策提言策定などを全体で共有した。

原題:Resource: APN+ update
日付:08 Mar 2006
出典:sea-aids listserv
URL: http://archives.healthdev.net/sea-aids/msg01807.html

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★ マレーシア:FTA交渉をめぐり陽性者団体が首相へ公開質問状
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(編集部注)以下は、マレーシアでHIV/AIDS問題に取り組む市民団体が、同国のアブドゥッラー・バダウィ首相に宛てて発した公開質問状の抜粋である。発信元は、治療リテラシー向上、治療の普及、アドボカシー、ネットワーキングなどに取り組むHIV陽性者の団体「マレーシア人HIV陽性者治療アクセスとアドボカシー・グループ」Positive Malaysian Treatment Access & Advocacy Group (MTAAG+) と、HIV陽性者を対象としたドロップ・イン・センターや地域活動、ピア・カウンセリングに取り組む草の根組織、ピンク・トライアングル協会 「ポジティブ・リビング」プロジェクト Positive Living, PT Foundation である。

「マレーシア国アブドゥッラー・アフマッド・バダウィ首相への公開質問状」

マレーシア王国政府は、米国との間で自由貿易協定(FTA)の交渉を開始した。我が国のHIV/AIDSとともに生きる人々の代表として、我々は、もし米国とFTAが結ばれれば、エイズ治療薬がますます手の届かないものになるではないかと危惧している。

一部の巨大な医薬品会社が有する特許のために、抗レトロウイルス薬はきわめて高価なものとなり、世界中で非難を呼んだ。価格の安いジェネリック薬との市場競争により、特許薬の価格は患者一人当たり年間11000ドルから150ドルへ下がったが、治療を必要としている貧しい患者にとってはこれでも高すぎる。エイズとともに生きる人々にとっては、もしジェネリック薬がなければ、命を救うためのエイズ治療薬を手にすることができず、それはすなわち死を意味する。マレーシアでは、2005年6月時点で63,438人がHIVに感染しており、うち10,044人がエイズを発症している。1986年から2005年6月までの間に、7,673人が亡くなっている。保健省は4,000人に抗レトロウイルス薬治療を行うという目標を掲げたが、緊急の治療を必要とするエイズ患者は10,000人いる。

政府が2003年にインドからのジェネリック薬輸入を特別に認可した時には、我々はたいへん元気づけられた。これにより、政府系病院や診療所での月当たりの治療費は315ドルから58ドルへと81%も削減された。しかしジェネリック薬輸入の認可期間は終了してしまった。今後も抗レトロウイルス薬を入手可能な価格で継続的に入手していけるよう、政府が措置をとることを、我々は希望しまた信じている。

FTAの提案内容について我々はまだ詳しく知らないが、米国とタイとの間のFTA交渉の際に米国が主張したような規定が、マレーシアに対しても要求され、その結果薬の価格が上がることを我々は危惧している。例えば、米国が交わすFTAでは通常、より多くの薬に対し特許を求め、しかも特許期間は20年以上とされる。その間、特許権を保持する企業は、無競争の状態で好きな価格を設定できることになる。

我々は、バダウィ首相とマレーシア政府に対し、人々の健康を常に最優先すること、安価な薬の入手を阻害するような要素をFTAに決して盛り込まないことを、強く求める。また、政府がHIV/AIDSと共に生きる人々と協議の場を持ち、マレーシア国民がFTAの交渉内容について知り、FTAが人々の健康と治療薬へのアクセスに対しどのような影響を与えるかについて知る機会を持てるよう求める。そして、FTA交渉に国民の意見を反映し透明性を確保するというマレーシア政府の約束を、バダウィ首相が守ることを要求する。

HIV/AIDSと共に生きる我々にとって、治療へのアクセスは生きるか死ぬかの問題である。米国やその他の国とのFTAが、マレーシア国民の健康を脅かすものとならないよう、強く訴える。

原題:OPEN LETTER TO PRIME MINISTER DATUK SERI ABDULLAH AHMAD BADAWI − Appeal for Malaysians to have access to affordable medicines
日付:March 6, 2006
出典:fidh website
URL:http://www.medicalnewstoday.com/medicalnews.php?newsid=39137

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★インド: HIV陽性患者グループ、抗レトロウイルス薬
「コンビビル」のインドでの特許申請に反対表明
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インド・コルカタで、2006年3月30日、 「インドHIV陽性者ネットワーク Indian Network of People Living with HIV/AIDS」(INP+) と「マニプール陽性者ネットワーク Manipur Network of Positive People」(MNP+)はコルカタ(カルカッタ)特許庁に対し、グラクソ・スミス・クライン社がインドで行った抗レトロウイルス薬、「コンビビル」Combivir の特許出願に反対する声明を提出した。理由は、この特許権取得が、インド国民の技術面、健康面に大きな影響を及ぼす懸念があるということである。

INP+代表 K.K.アブラハム氏 K.K. Abrahamは、「コンビビルは既存の2種類の薬 ジドブジン・ラミブジンzidovudine/lamivudine を組み合わせただけである。医薬品ブランド企業がインドでこのような薬の特許を申請に反対する。このような薬に特許を与えれば、エイズ治療を必要とする多くの人々に治療薬のコスト負担がますます増加し、多くの陽性者を抱える途上国に医療費負担がのしかかる。」と語る。

コンビビルは広く使用されている多剤混合薬で、国際NGOである「国境なき医師団」 (MSF) によるプロジェクトでも、コンビビルのジェネリック薬がよく使用されている。

コンビビルの開発元であるグラクソ・スミス・クライン社が特許を取得すれば、インドの製薬市場でコンビビルを同社が独占的に販売することが可能になり、他のメーカーは、同じ効果のある、より低価格な薬の製造が出来なくなる。しかし、途上国の人々の命を少しでも永らえるためには、低価格な代替薬や他の抗レトロウイルス薬(ARV)が必要だ。

昨年、インド特許法が改正され、WTO TRIPS協定(貿易と知的所有権に関する協定)に準拠したものになった。3月初旬、インド政府は、改正後初の特許認可をロシュ社 Roche のC型肝炎治療薬に与え、他の重要な治療薬に対しても前例となることを懸念している。

知的所有権が専門のタヒール・アミン弁護士 Tahir Amin によると、コンビビル薬だけではなく、ARV薬や精神安定剤、結核などの感染症に有効な治療薬なども、ブランド薬企業が特許申請をしているものがある。しかし、インド新特許法では、特許申請されたものが認可される前に、それに対する異議を唱えることも可能だ。インドの癌患者グループとジェネリック製薬会社は、白血病治療薬「グリベック」(ノバルティスファーマ社)の特許申請に異議申し立てをし、それが認められている。コンビビル薬の特許申請に反対する人々は、それと同様の根拠により、申請を拒否するよう要求している。

原題:INDIAN GROUPS FILE FIRST OPPOSITION AGAINST PATENT APPLICATION FOR AIDS DRUG Patents in India Endanger Global Availability of Affordable Medicines
日付:March 30, 2006
出典:kabissa website
URL: http://lists.kabissa.org/pipermail/pha-exchange/msg02622.html


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★キルギスタン:HIV/AIDSを主題とする映画が人気を博す
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中央アジアのキルギスタン共和国では、HIV/AIDSと共に生きる人々を取り上げた映画が人気を呼んでいる。その背景には都市部でのHIV感染の急増がある。

話題の映画「愛の挑戦」(Love as a Trial)は、キルギス社会の現実をありのままに映し出し、HIV/AIDSに対する根強い偏見とスティグマの払拭に一役かっている。映画は、首都ビシケクを始め、地元テレビで放映された北部や南部でも人気を博した。視聴者の一人で、19歳の大学生も「メロドラマと違ってとても興味深いし、HIV陽性者も普通の人なのだから、敬遠しないで前向きに応援していきたい」と感想を話している。製作者は、この映画をロシア語からキルギス語に翻訳し、国営テレビでの放映を計画している。

人気の理由は、この映画の伝える力強いメッセージにある。主人公アディルは、元麻薬使用者だが、流行のIT関連の仕事につき、カミラというガールフレンドもいた。しかし、彼がHIV陽性だと知ると、友人や家族は次々に離れていき、アディルは生きることに興味を失い、苦悩の日々を送る。そんな中、同じくエイズ陽性者の友人エゴールに励まされて、彼から勇気をもらい、現実に直面できるようになる。「僕は生きたいんだ」というエゴールのメッセージがアディルを奮い立たせたのである。

キルギス共和国エイズセンターによると、2006年2月1日現在、同国のHIV感染は830件である。しかし、報告されていないケースを合わせると件数は10倍にのぼると言われている。主な感染源は静脈注射による薬物使用であるが、性交渉による感染率も増えている。2001年には、薬物感染90%に対して、性感染が10%であったが、2006年には、20%に急増している。

映画は、国連エイズ計画(UNAIDS)や国連開発計画(UNDP)、国連人口基金(UNFPA)の資金援助、またドイツの開発援助NGOである「インヴェント」 Inwent の技術支援により製作された。UNFPAの担当者によると、この映画は旧ソ連諸国で初めて製作されたエイズを題材にした映画であり、タジキスタンやカザフスタンの人々も関心を寄せている。

原題:Kyrgyzstan:HIV/AIDS film gains popularity
日付:Feb 27, 2006
出典:Reuters Alert
URL:http://www.alertnet.org/thenews/newsdesk/IRIN/d7d1a4d2ef9feb3e54cc88cec5d78d02.htm

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■□編集後記
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皆さま、第45号を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。前回、あるご購読者の方から、W杯出場チームの訂正を受けました。アフリカは、出場枠4に対して、西からコートディヴォワール、ガーナ、トーゴの横並び3カ国とアンゴラでした。ここにお詫びをして訂正をいたします。それにしても遠くドイツのこととはいえ、待ち遠しいですね。日本代表の活躍にも期待です。
さて、次号は国連HIV/AIDS対策レビュー総会」総括特集号です。これまでも「グローバル・エイズ・アップデイト」ではUNGASSについての記事を掲載してまいりました。次号でその総括や日本側からの参加者からのレビューをご報告したいと思っております。どうぞお楽しみにしてくださいね。

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