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『グローバル・エイズ・アップデイト』第26号

http://blog.melma.com/00123266/

アフリカ日本協議会


■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

グローバル・エイズ・アップデイト
GLOBAL AIDS UPDATE
----------------------------------
26号(第2巻第3号) 2005年9月29日
No.26 (Vol.2-No.3) Date: September 29, 2005

■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

◆発 行:アフリカ日本協議会
◆連絡先:
・東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル2F
・電 話:03-3834-6902
・FAX:03-3834-6903
・電子メール:info@ajf.gr.jp
◆バックナンバー:以下のブログを参照!
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◆本メールマガジンから転送・引用を行う場合は
 事前に発行者にご連絡をお願いいたします。

*********************
------------------
はじめに:発行趣旨
------------------

○HIV/AIDS問題は、現代世界に於ける保健医療上の最大の問題の一つです。
○しかし、日本では、こうしたグローバル・エイズ問題の深刻さや最新の情報
が伝わっておらず、この問題へのコミットメントが薄いのが現状です。
○このメールマガジンは、グローバルなHIV/AIDS問題の最新動向を日本語で伝
えるメディアが必要だという認識から生まれました。
○HIV/AIDSに関わる主要なウェブサイトの記事を日本語で要約し、隔週で発行
いたします。

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■「第26号」目次
----------------------
●地域情報
アジア太平洋地域
1.オーストラリア: 先住民のHIV・性感染症感染率増加
2.ミャンマー(ビルマ): 世界基金へ支援再開の検討を要請

アフリカ
1.12月に開催のアフリカ・HIV/AIDS会議(ナイジェリア)では
 若者とHIV/AIDSがテーマの一つに

●ドナー機関
米国:米国:NGOが米国国際開発庁(USAID)を提訴
 〜禁欲・反コンドーム政策を問題視〜

●特集:「どうなる?ウガンダのHIV/AIDS政策」
編集部による解説:どこへ行く、ウガンダのエイズ対策
ウガンダ:ムセヴェニ大統領、世界基金の拠出金流用について調査開始と表明
ウガンダ:反腐敗NGOが保健大臣の辞任を要求
国連アフリカHIV/AIDS特使:米国の禁欲重視エイズ政策を批判
ウガンダ: 米国NGO がウガンダでのコンドーム不足を告発

-------------------------------------------- Vol.2-No.3★----

----------------------------------------------
★ オーストラリア: 先住民のHIV・性感染症感染率増加
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 オーストラリアの西オーストラリア州疾病管理局のマイケル・ライト氏 Mic
hael Wright らは、オーストラリア西部に住む先住民のHIV感染率が、非先住
民族である白 人などよりも格段に高いという調査結果を同国の医学雑誌「メ
ディカル・ジャーナル ・オブ・オーストラリア」 Medical Journal of Austr
alia 8月1日号に発表した。論文ではオーストラリア先住民の、特に女性に
対するHIV感染リスクが非先住民よりも格段に高くなっていることが示されて
いる。論文によると、HIV感染リスクの差は男性では2倍であるのに対し、女
性は18倍に上った。また、論文では、先住民の性 感染症の高い感染割合にも
言及されている。論文によると、先住民は非先住民に較べて梅毒で242倍、淋
病で67倍、クラミジアで16倍高い感染割合を示している。この調査に使用され
たデータは、オーストラリア西部の農村地域の実情を反映しており、著者らは
それに伴うデータ解釈の難しさを指摘しているが、いずれにせよ注目すべき調
査結果となっている。
先住民の死因は、主に予防可能な疾病によるものであり、糖尿病で非先住民に
比べ8倍、呼吸障害で4倍、死亡率が高くなっている。また、先住民において
は、10人に1人の乳児が生後1年未満で死亡しており、死亡した全先住民族7
%を占める(非先住民族は1%未満)。
 オーストラリアの平均余命は、世界で最も長い部類に属するが、オーストラ
リア先住民族の健康状態は先進国で最低であり、平均余命は非先住民族と較べ
て約20歳も短い。アメリカやニュージーランドでは、先住民と非先住民の平均
余命の差が5〜7歳であることや、それらの国では政府の強力なイニシアチブ
のもと、先住民の健康状態の急速な改善を示していることから、オーストラリ
ア先住民に対する公衆衛生対策は十分ではなく、むしろ健康状態は悪化してい
るといえる。

原題:Striking HIV infection rate among Indigenous Australians
日付:Jul 31, 2005
出典:Yahoo! HEALTH GROUPS
URL: http://health.groups.yahoo.com/group/AIDS_ASIA/message/332
※この論文は以下のウェブサイトで閲覧することができます。
http://www.mja.com.au/public/issues/183_03_010805/wri10151_fm.html

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★ ミャンマー(ビルマ): 世界基金へ支援再開の検討を要請
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 世界エイズ・結核・マラリア対策基金(以下、世界基金)は昨年、ミャン
マー(ビルマ)に対し、向こう5年間にわたって9,800万ドルの資金提供を誓約
していたが、本年8月中旬、同国の軍事政権が保健医療物資の供給や医療サー
ビスの提供を阻害していることを理由として、資金提供の停止を発表した。
 ミャンマーから世界基金に資金拠出を申請している「国別調整メカニズム」
(CCM: Country Coordinating Mechanism:ミャンマー保健相が議長を担当)
は、今回の資金援助停止について遺憾の意を表明し、一時的な政治の不安定な
状況だけで、一度なされた誓約が破棄されたことは正当化させるべきではない
と、資金援助停止の理由に反論を行った。また、この資金提供停止処分は国連
ミレニアム開発目標の内容とも矛盾するとして、国際社会へ支持表明を呼びか
けた。一方で、国連機関、ならびに援助機関は、ミャンマーにおけるHIV/AIDS
活動を継続することに合意し、世界基金による資金提供停止に余って生じる資
金不足にどのように対応するかについて協議した。イギリス国際開発省ミャン
マー担当 クレア・モラン氏 Claire Moran は「ビルマにおいて、今回の資金
拠出停止の決定がなされたことは非常に残念なことであるが、この決定は、同
国への支援を完全に停止するという意味ではなく、現在新たなスキームによる
支援を模索している段階である。」と述べた。

原題:Myanmar Urges Global Fund To Reconsider Withdrawal of $98M Gran
t; Donors Discuss How To Bridge Funding Gap
日付:Aug 23, 2005
出典:Kaiser Daily NEWS
URL:http://www.kaisernetwork.org/daily_reports/rep_index.cfm?hint=1&DR_ID=32163


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★12月に開催のアフリカ・HIV/AIDS会議(ナイジェリア)では
 若者とHIV/AIDSがテーマの一つに
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 12月にナイジェリアの首都アブジャで開催されるアフリカ地域エイズ・性感
染症国際会議 the International Conference on AIDS and STIs in Africa
(ICASA2005)の議長で同国の著名な人権活動家であるフェミ・ショインカ氏 Fe
mi Soyinka は、「アフリカの将来は、若者の将来像なしに語ることはできな
い。若者に働きかけるHIV/AIDSの拡大の調整や予防を開始すべき。」と語った。
 フェミ・ショインカ氏はノーベル文学賞を受賞した作家ウォレ・ショインカ
氏の弟である。
 一方、国連事務総長でガーナ人のコフィ・アナン氏は、世界ユースデー(毎
年8月12日)のメッセージで、ミレニアム開発目標の達成のためには若者の参
画が必要であると述べた。
 このように、アフリカと世界を代表するアフリカ人のリーダーたちは、若者
に対して、「アフリカの若者は、自ら当事者として、現在のHIV/AIDS流行拡大
への取り組みに参画する必要がある。」と積極的なメッセージを送っている。
 現在、世界で2億人の若者が貧困状態にあり、1億3,000万人が文字を書く
ことができない。また、8,800万人が失業しており1,000万人がHIV陽性者・エ
イズ患者である。アフリカで最も人口の多いナイジェリアのHIV感染率は、199
3年の1.9%ら2003年の5.4%に上昇した。推定380万人のナイジェリア人がHIVに
感染しており、230万人の人々はエイズにより死亡した。その多くは、重要な
労働力を担う15歳から49歳の年齢にある。
 ICASA2005の青少年プログラムでは、HIV対策への青少年の参画を強調する。
また、西アフリカ諸国共同体 ECOWAS: Economic Community of West African
States、アフリカ開発のための新パートナーシップ NEPAD: The New Partners
hip for Africa's Development、アフリカ連合 African Union (AU)などに
よるHIV/AIDSに関する国際宣言の施行における若者のリーダーシップの責任の
強化に焦点を当てる。また、家族の中の若者の役割についても強調する。
詳細に関する問い合わせは、以下まで。
・Margaret Adaba Communications Manager ICASA 2005
・Email: madaba.communications@icasa2005.org.ng

原題:AFRICAN LEADERS URGED TO SHOW MORE COMMITMENT IN THE FIGHT AGAIN
ST HIV/AIDS
日付:July 12th, 2005
出典:icasa2005 ウェブサイト
URL: http://www.icasa2005.org.ng/english/news/preleases8.htm

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★ 米国:NGOが米国国際開発庁(USAID)を提訴
 〜禁欲・反コンドーム政策を問題視〜
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 5年間で150億ドルを拠出する米国大統領エイズ救済緊急計画 President's
Emergency Plan for AIDS Relief (PREFAR)は、コンドーム使用への否定的
な態度 や禁欲といった保守的な戦略に基づいて実施されており、世界のHIV/A
IDS対策の流れの中で大きな問題を巻き起こしている。
 米国国際開発庁(USAID)は、NGOのPEPFARへの資金拠出の条件として、「売
買春に反対する誓約書」への署名を強制しているが、途上国でソーシャル・
マーケティング によるコンドーム供給などを行っているNGO「DKTインターナ
ショナル」 DKT International はこの措置について、HIV/AIDSへの活動を困
難にさせるだけでなく、米国憲法で明記されている「表現の自由」を侵害して
いるとして、同庁を提訴した。
 PEPFARでは、売買春や性的な趣旨に基づく人身売買の実施や、これらの合法
化を求める活動に対しては資金拠出を行わないこととしている。さらに、これ
らに反対する立場を文書で表明していない団体についても、資金援助を行わな
いことになっている。DKTインターナショナルは、2番目の条件を満たすこと
ができなかったため、ベトナムでの6万ドル相当のプロジェクトが実行できな
くなってしまった。
 同団体の代表を務めるフィル・ハーベイ氏 Phil Harvey は、セックスワー
カーはHIVに感染する可能性が高く、社会的な脆弱性を有しているが、米国政
府の政策は、こうした人々を対象とした活動およびこうした活動を実施する団
体を非難し、否定することによって、HIV/AIDSへの取り組みを阻害している、
と主張している。また、同氏は「政府による『売買春』の定義は曖昧であ
る。」と指摘する。氏によると、例えば米国政府の売買春による定義では、食
料や衣服などの物資と引き替えに性行為を要求されること(Transactional se
x)が売買春に含まれるのかどうか不明確である。
 性に関する問題が、アメリカの海外支援方針を歪めたのはこれが初めてでは
ない。
 80年代にメキシコ市で開催された国連人口会議に際して当時の共和党政権は、
家族計画の手段として中絶を促進、もしくは中絶について議題として扱うNGO
には資金提供をしないとする、いわゆる「地球規模箝口令」 Global Gag Rule
(「メキシコ・シティ・ポリシー」 Mexico City Policy とも称される)とい
う政策を定めた。この政策はクリントン時代に撤回されたが、ブッシュ現政権
になって再び導入されることになった。このルールは、先述の「表現の自由」
に抵触するため、米国内NGOには適用されないというのが建前である。しかし、
昨年、米国法務省が、このルールを違憲とする書面通知をした後も、このルー
ルが国外のみならず国内NGOにも適用されているのが現状である。これは、米
国憲法修正条項第一条に明記されている、表現の自由に反するとして、多くの
専門家も、その違憲性を認めている。
 「健康とジェンダーの平等のためのセンター」 Center for Health and Gen
der Equity (CHANGE)」の代表 ジョディ・ヤコブセン氏 Jodi Jacobsen は、
もしも「DKTインターナショナル」がこの裁判で敗訴した場合、政府の保守派
らが、他団体にも同じことを適用し始めることを危惧している。DKT代表の
ハーベイ氏は、「裁判所が1ヶ月程度で仮処分命令を出すことを見込んでおり、
いずれ状況は明らかになるだろう。そうなれば8ヶ月以上かかると予想される
裁判が終わるまでは、USAIDは更なる行動を起こすことはできない。」と語る。
 ハーベイ氏は表現の自由等の問題で、既に政府と法廷闘争を繰り広げており、
いくつかの勝利を挙げている。この件については、最高裁まで争う決意を固め
ており、公衆衛生や性的権利の分野で働いている人々は彼の勝利を願っている。

原題:EDITORIAL: AIDS, aid and prostitution; A challenge to America's
anti-AIDS policy
日付:August 20, 2005
出典:The Economist (UK)
URL:
http://www.religiousconsultation.org/News_Tracker/AIDS_aid_prostitution_challenge_to_America.htm
※参考
・DKT International http://www.dktinternational.org/default.htm
・「地球規模箝口令」については、例えば以下を参照(日本語)。
 http://dakis.fasid.or.jp/report/information/healthrepro.html

========================
●特集: 「どうなる?ウガンダのHIV/AIDS政策」
========================

【編集部による解説】★どこへ行く、ウガンダのエイズ対策

 アフリカのHIV/AIDS対策成功国として名をはせた東アフリカのウガンダ共和
国が、今、揺れています。8月24日、「世界エイズ・結核・マラリア対策基
金」は、ウガンダにおける世界基金の拠出によるプログラムにおいて重大な資
金濫用が行われた疑惑があるとして、資金拠出の停止を表明。これと同時期に、
ウガンダにおいて深刻なコンドーム不足が生じているとして、ウガンダのHIV
陽性者のアクティヴィストと米国のHIV/AIDS活動家たちが連携して記者会見や
デモを行いました。さらに、国連事務総長のアフリカHIV/AIDS特別代表である
スティーブン・ルイス氏は、ウガンダを例に挙げて米国の禁欲・保守主義的な
HIV/AIDS支援アプローチを強く批判しました。ウガンダはいったい、どうなっ
てしまったのでしょうか。
 5年にわたるゲリラ戦の末、1986年に旧勢力を一掃して政権を掌握したヨウ
ェリ・ムセヴェニ大統領および与党「国民抵抗運動」 National Resistance M
ovement は、荒廃したウガンダを急速に再建し、ウガンダは再び「アフリカの
真珠」として復活したかに見えました。HIV/AIDSについては、とくにビクトリ
ア湖西岸地域で、ウガンダ=タンザニア戦争などに端を発して70年代末から80
年代初頭に急速に生じた感染爆発により、80年代後半に人々が一斉にエイズを
発症し、人々が次々と死んでいく、村が次々と廃村となっていくといった事態
に見舞われました。これに対して、ムセヴェニは政権掌握後すぐにWHOと連携
してHIV/AIDS対策に乗り出しました。87年にはHIV陽性者の医療従事者らで作
る最初のHIVケア・サポートNGO「エイズ支援機構」(TASO)が設立され、ケ
ア・サポートに力が入れられました。さらに、著名な歌手、聖職者、軍
人らがHIV感染をカミングアウトしたことにより、HIV陽性者への差別・スティ
グマが軽減され、人々が共同してエイズと闘う体制ができあがりました。
 コンドームの普及な|「鞍瑕r?年間で201万米ドルであり、そのうち45.4万
米ドルが今日までにすでに支払われている。資金拠出がなされたプログラムは
5つあるが、このうち2つがHIV/AIDS関連、2つがマラリア、1つが結核関連
である。ウガンダでは、この5つのプログラムが全て前述のプロジェクト・マ
ネージメント部門によって管理されているが、今回の監査により、全てのプロ
グラムについて、一時的な支援停止が決定されている。
 しかし世界基金は、今後についても、生命維持のための医療やコンドームの
調達・ 配布などの予防活動は継続していくとしている。

原題:UGANDA: Government to probe use of anti-AIDS grants
日付: August,26 2005
出典:IRIN Pluw News
URL:
http://www.plusnews.org/AIDSreport.asp?ReportID=5173&SelectRegion=East_Africa&SelectCountry=UGANDA

----------------------------------------------
★ ウガンダ: 反汚職のNGOが保健大臣の辞任を要求
----------------------------------------------

 政治・行政の腐敗に反対するウガンダの市民団体の連合体である「ウガンダ
反腐敗連合」 The Anti- Corruption Coalition Uganda (ACCU)は、同国政
府に対して、保健大臣と事務次官の辞任を要求した。ACCUはその理由として、
「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」 (以下、世界基金)からの拠出金
によるプログラムの実施を統括している保健省プロジェクト・マネージメント
$J$+$J$+6qBNE*$JNO$r;}$AF@$J$$
でいます。アフリカの数少ない成功モデルであり、また、80年代末〜90年代に
はほぼ自力でエイズを克服してきたウガンダは、今後どうなっていくのでしょ
うか。
 ここでは、最近のウガンダの状況について、いくつかのニュースを集めてみ
ました。今後も当メールマガジンでは、ウガンダの動向に焦点を当てて行くつ
もりです。

----------------------------------------------
★ ウガンダ:ムセヴェニ大統領、世界基金の
 拠出金流用について調査開始と表明
----------------------------------------------

 2005年8月24日、世界エイズ・結核・マラリア対策基金(以下、世界基金)
は、「基金の濫用がなされている」として、ウガンダに対する全ての資金拠出
を停止した。これについてウガンダのヨウェリ・ムセヴェニ大統領 Yoweri Mu
seveni は、世界基金からの拠出金の使い方に関する調査を開始することを明
らかにした。
 世界基金側は、ウガンダ財務省が基金を効果的に運用できるような新しいし
くみを確立するまで、支援を停止するとしている。この決定は、世界基金の資
金によってウガンダで進行している5つのプロジェクトのうちの一つを監査し
ている監査法人であるプライスウォーターハウス・クーパーズ Pricewaterhou
seCoopers が、同国保健相のプロジェクト・マネージメント部門による深刻な
資金の濫用について暴露したことに基づいている。
 世界基金からの援助総|「鞍瑕r?年間で201万米ドルであり、そのうち45.4万
米ドルが今日までにすでに支払われている。資金拠出がなされたプログラムは
5つあるが、このうち2つがHIV/AIDS関連、2つがマラリア、1つが結核関連
である。ウガンダでは、この5つのプログラムが全て前述のプロジェクト・マ
ネージメント部門によって管理されているが、今回の監査により、全てのプロ
グラムについて、一時的な支援停止が決定されている。
 しかし世界基金は、今後についても、生命維持のための医療やコンドームの
調達・ 配布などの予防活動は継続していくとしている。

原題:UGANDA: Government to probe use of anti-AIDS grants
日付: August,26 2005
出典:IRIN Pluw News
URL:
http://www.plusnews.org/AIDSreport.asp?ReportID=5173&SelectRegion=East_Africa&SelectCountry=UGANDA

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★ ウガンダ: 反汚職のNGOが保健大臣の辞任を要求
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 政治・行政の腐敗に反対するウガンダの市民団体の連合体である「ウガンダ
反腐敗連合」 The Anti- Corruption Coalition Uganda (ACCU)は、同国政
府に対して、保健大臣と事務次官の辞任を要求した。ACCUはその理由として、
「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」 (以下、世界基金)からの拠出金
によるプログラムの実施を統括している保健省プロジェクト・マネージメント
部門 Project Management Unit(PMU) の資金活用に不正があったため、と説
明している。
 この件に関し、同国保健大臣ジム・ムウェズィ Jim Muhwezi は、「保健省
はあくまでも実施機関。責任を取るべきは、直接援助資金を受けた財務省だ」
と反論している。しかし、世界基金は先週、「事業運営上の深刻な過ち」とし
て、2800億ウガンダ・シリング(約1.4億ドル)のHIV-AIDS対策事業費の供与
を差し止めた。ムウェズィ保健相は、この措置を受け、原因の究明に努めると
表明する一方で、保健省の立場を擁護した。
 保健省プロジェクト・マネージメント部門については、その人事選考過程に
も疑惑が生じている。PMUの統括官に任命されたティベリャス・ムヘブワ博士
Tiberius Muhebwa よりも、落選したムトゥムバ博士 Dr. Mutumba 氏の方が支
持率が高かったというのである。
 ムウェズィ保健相は、今回の件でムトゥムバ氏を採用しなかったのは、同氏
が3,400万ドル規模の保健省の別プロジェクトを統括していたためであり、こ
のことはすでに調査でも確認されたという。しかし、保健相を告発したACCUの
ジェフリー・ルワカバレ氏 Geoffrey Rwakabale は、問題は事業開始直後、PM
U統括官選定の不正を市民社会に指摘されていたにも関わらず、政府が何の対
応も取らなかったことにあると述べている。
 財務省は9月20日にも現在のPMUを廃止し、暫定チームを設置する予定。
チーム名も近く発表される。

原題:Sack Muhwezi, activists tell govt
日付:August 29, 2005
出典:Monitor Online
URL:http://www.monitor.co.ug/news/news08292.php

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★国連アフリカHIV/AIDS特使:米国の禁欲重視エイズ政策を批判
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 国連事務総長HIV/AIDS特別代表であるスティーブン・ルイス氏 Steven Lewi
s は8月29日、「禁欲のみを重視する米国のエイズ政策はコンドームの役割を
軽視し、アフリカにおけるエイズとの闘いの妨げになっている。」と米国の政
策を批判した。
 ブッシュ政権は過去5年間、コンドームの使用を奨励せず、禁欲を重視した
エイズ予防事業を展開してきた。ルイス氏によると、米国が実施する「大統領
エイズ救済緊急計画」 (PEPFAR)は、キリスト教原理主義の影響を強く受け
ている。実際、PEPFARによるプロジェクトの重点対象国であるウガンダでは、
コンドームの不足が深刻化する事態が生じている。
 ウガンダや米国のHIV/AIDS活動家たちは、「深刻なコンドーム不足のため、
ウガンダではビニール袋での代用を余儀なくされる男性も出てきており、この
ままではHIV感染者の増大も避けられない」と訴えている。コンドームがHIV感
染予防の効果的な策であることは、多くの保健専門家が報告しているとおりで
ある。
 ウガンダは1990年代初頭以降、HIV感染率が当時の30%から6%にまで減少
し、アフリカでは非常に稀な成功国として賞賛されてきた。しかし、ヨウェ
リ・ムセベニ大統領 Yoweri Museveni は、米国政府やPEPFARによる圧力によ
って、これまで同国が実施してきたコンドーム政策を脇に追いやり、批判を浴
びた。
 政府は2004年にコンドームの無料配布を再度計画したが、コンドームの値が
(関税によって)3倍に上昇していたため、実現しなかった。一方で、政府関
係者はコンドームの不足説を「ウガンダのイメージダウンを狙う勢力が流した
噂にすぎない」とあくまでも否定する。現在国内には6,500万個の在庫があり、
すでに8,000万個を追加注文済みとのこと。こうした政府の姿勢について、活
動家たちは「米国政府に同調している」と見ている。
 米国の禁欲重視の影響は、地元の宗教や伝統が根強いウガンダでは最も深刻
だが、その他の近隣諸国へもすでに波及しているという。国連のルイス氏は
「このような独裁的な政策がアフリカ諸国に大きなダメージを与えている…こ
の事実を米国政府やPEPFARに認識してほしい」と訴える。

原題:US abstinence drive hurts AIDS fight - UN official
日付:Mon Aug 29, 2005
出典:Reuters website
URL:
http://today.reuters.com/news/newsArticle.aspx?type=healthNews&storyID=2005-08-29T170818Z_01_BAU961689_RTRIDST_0_HEALTH-AIDS-AFRICA-DC.XML

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★ ウガンダ: 米国NGO がウガンダでのコンドーム不足を告発
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 米国メリーランド州に本拠を置くNGO「健康とジェンダーの平等のためのセ
ンター」 the Center for Health and Gender Equity(CHANGE)によると、ウ
ガンダでは10ヶ月に渡って深刻なコンドームの供給不足に陥っており、これま
で成功例とされてきたウガンダのエイズ予防政策は、危機に瀕する恐れが出て
いる。
 ウガンダのコンドーム不足は、ウガンダ政府と、主要ドナーであるブッシュ
政権による、コンドーム供給に関する失策と、禁欲重視に偏った政策の結果で
あるとCHANGE代表のジョディ・ジャコブソン Jodi Jacobson は批判している。
 2004年10月、ウガンダ政府はそれまで無料で配布していたコンドーム「エン
ガブ」 を低品質だとして配布停止にしたため、大量のコンドームが倉庫に眠
ったままとなる事態になった。さらに輸入コンドームの税率が引き上げられた
ことにより、コンドー ムの価格は最大500%上昇した。期を同じくして、ブッ
シュ政権の大統領エイズ救済 緊急計画(PEPFAR)から資金を得た団体によっ
て、反コンドーム・キャンペーンがさ かんに行われた。ウガンダでは15歳か
ら24歳の年齢層のうち66%が性的にアクティブ だが、米国からの圧力により、
この年代層は包括的なエイズ対策のターゲットからはずされ、禁欲促進プログ
ラムの対象とのみされている。これによりウガンダでは、感染から身を守る手
段も情報も得ることが難しくなった。
 PEPFARによってエイズ対策の資金を得ているナイジェリア、ザンビア、ケニ
ア、ナ ミビア、タンザニアなどでも、コンドームよりも禁欲を強調する原理
主義的な宗教団体へ資金が渡る動きがある、とCHANGEは警告している。
 なお米国はPEPFARの枠で、ウガンダのエイズ予防と治療対策プログラムに対
し2005年に1億3,700万ドルを提供しており、2006年には1億7,000万ドルを供
与する予定である。

原題:CONDOM CRISIS DEEPENS IN UGANDA, SHORTAGES SPREAD TO OTHER COUNT
RIES US POLICIES UNDERMINE HIV PREVENTION PROGRAMS
日付:Aug 26, 2005
出典:Center for Health and Gender Equity (CHANGE) websiite
URL:http://www.genderhealth.org/uganda.php


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■□編集後記
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連休明けの今週、読者の皆様はいかがお過ごしでしたでしょうか。名古屋の万
博も大 盛況だったようですね。編集員Wは、その名古屋の近く、浜松でウミ
ガメの放流会に 参加してまいりました。浜松は、地元NPOが海岸の清掃や
ウミガメの産卵調査をは じめとする環境保護に取り組んでいるので、絶滅の
危機に瀕しているウミガメが今も 産卵しに来る貴重な海岸なのです。

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UP:20051007
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