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『グローバル・エイズ・アップデイト』第14号

アフリカ日本協議会




グローバル・エイズ・アップデイト
    GLOBAL AIDS UPDATE
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 第14号 平成17年(2005年)4月14日
  Vol.1-No.14 Date:April 14,2005

■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■

◆発 行:アフリカ日本協議会
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 事前に発行者にご連絡をお願いいたします。

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はじめに:発行趣旨
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○HIV/AIDS問題は、現代世界に於ける保健医療上の最大の問題の一つです。
○しかし、日本では、こうしたグローバル・エイズ問題の深刻さや最新の情報
が伝わっておらず、この問題へのコミットメントが薄いのが現状です。
○このメールマガジンは、グローバルなHIV/AIDS問題の最新動向を日本語で伝
えるメディアが必要だという認識から生まれました。
○HIV/AIDSに関わる主要なウェブサイトの記事を日本語で要約し、隔週で発行
いたします。

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■「第14号」目次
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●地域情報
アフリカ:
1.コートジボワール:児童文学作家、エイズに挑戦
2.アンゴラ:エイズ対策急務、国連特使が視察

アジア・太平洋:
1.カンボジア:既婚女性のHIV感染率上昇
2.中国:全人代議員、
     薬物中毒エイズ患者に特別更生施設設立要求
3.香港:HIV感染者17%増加
4.オーストラリア:
   HIV/AIDSパートナーシップ・イニシアチブ構築
   〜アジア・太平洋諸国地域のリーダーとして〜

●会議情報
アフリカ:NGOによる資金獲得戦略会議

●「インド特許法改正問題」続報
アフリカ:インドの特許法改正における負の影響

-------------------------------------------- Vol.1-No.14★--

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●地域情報
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★コートジボワール:児童文学作家、エイズに挑戦
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 コートジボワールの著名な児童文学作家ファトゥ・ケイタ氏 Fatou Keita が
新作「A Tree for Lollie(ロリーの樹)」を発表した。児童書には珍しく、
エイズを発症した少女が主人公の物語である。ロリーは、自分がかかった病気
を学校の友人たちに知られて、のけ者にされてしまう。しかし、教師や医師が
HIV/AIDSについて正しい知識を教えると、児童たちは理解していく、というあ
らすじ。本の中でロリーは最後に亡くなるが、ただ悲しいだけに終わらせず、
真剣に死とも向き合った内容になっている。
 作者によれば、ユニセフからの出版資金援助の申し出もあったそうだが、断
ったという。性行為と避妊具の使用に関する記述を要求されたためだ。あくま
でも6歳から11歳までの子供を対象とした物語にしたかったとケイタ氏は語る。
 他の西アフリカのフランス語圏諸国と比較すれば、コートジボワールの児童
図書の市場規模は大きく、成人向け図書よりも需要がある。ケイタ氏の著作の
ほとんどは、初版5,000〜10,000部で、そのうちの数作はすでに売り切れてい
る。本作品は、先月マリの首都、バマコにて開催された文学祭でも、好評を博
した。ケイタ氏は「親が幼い子どもにHIV/AIDSについて話す機会になれば」と
期待している。
 コートジボワールのHIV感染率は、西アフリカ地域でも極めて高い。国連統
計によると1,600万の人口のうち感染者は7%で、政府統計ではそれよりも高
い9.5%。医療関係者は実際の感染者数はもっと多いのではないかと懸念して
いる。

原題:COTE D IVOIRE: Children's book tackles AIDS, death and rejection
for under-11s
日付:2005年3月8日
出典:IRIN Plus News
URL:http://www.plusnews.org/AIDSreport.asp?ReportID=4566&SelectRegion=West_Africa&SelectCountry=COTE_D_IVOIRE


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★アンゴラ:エイズ対策急務、国連特使が視察
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 国連事務総長エイズ特使アフリカ地域担当 Kofi Annan's special envoy fo
r HIV/AIDS in Africa スティーブン・ ルイス氏 Stephen Lewis は、1週間
アンゴラを視察し、最終日の2月28日、「アンゴラ政府はHIV/AIDSの予防・治
療に最大限の努力を払うべき」と話した。
 アンゴラは、27年間続いた内戦のために、皮肉にもHIV感染率・エイズ発症
率は地域で最も低く、2004年の最新データによると、2.8%(隣国のボツワナは
37%、ザンビア17%、ナミビアは21%)であった。しかし、同国は今後HIV/AIDS
問題に関して、流行拡大の深淵へと転がり落ちるか、低い感染率を保てるかの
瀬戸際にある、とルイス氏は述べた。400万人の難民の多くが帰国し、紛争後
の国内を移動すると、HIV感染率は増大すると考えられる。すでに近隣諸国と
の国境沿いなどでは、すでに感染率の上昇が見られている。
 また、人が国内を移動している間には、正確なデータが得られない。実際の
HIV/AIDS有病割合は、伝えられているデータよりも遥かに高いだろうとみられ
ている。例えば、ナミビアに接する南部クネネ州 Cunene の有病割合は約9%
だが、実際に産婦人科を訪れている女性の12〜15%、最近数ヶ月間に検査やカ
ウンセリングセンターに来た女性の18%がHIV感染者だった。また、昨年8月か
ら12月の間に、州都オンジバ Ondjiva の国営病院へ入院した患者の24%は、
エイズに関連した病気だったともいう。
 こうしたことから、ルイス氏は、HIV/AIDSの現状が見過ごされれば、内戦よ
りさらに恐ろしい結果がもたらされるのではないかと懸念している。最近、世
界エイズ・結核・マラリア対策基金がアンゴラに約9,000万米ドルの資金拠出
することを発表した。この資金は対HIV/AIDS国家戦略計画(1億6,000万ド
ル)の一部に充当される。ルイス氏は特に、帰国難民、トラックドライバー、
性産業従事者、軍人やストリートチルドレンのようなHIV/AIDSの流行拡大に脆
弱と思われるグループへの予防政策・情報提供にあてられるだろうと期待する。
 ユニセフの調査では、アンゴラの15歳から19歳の若者10人のうち9人は、病
気に関する十分な知識がなく、3分の2以上は、コンドームの使用で性感染症
を防げると知らない。ルイス氏は、アンゴラの効果的な予防対策の対象は15歳
から 24歳の年齢層であり、彼らにドラマ、ドラム、歌、ダンスなど文化・芸
術の分野を通じて性に関するメッセージを有効的かつ直接的に、伝えられるは
ずだと希望を見せている。また、1980年代末期、有病割合を30%から6%の大
幅な低下に成功したウガンダや、HIV/AIDS問題を効果的にコントロールしてき
たセネガルの成功例をアンゴラが見習えば、東のウガンダ、西のセネガル、南
のアンゴラによる希望の三角地帯(3つの成功モデル)を作り上げられるだろ
うとも話している。

原題:ANGOLA: Govt must act now on AIDS, warns UN envoy
日付:28 February 2005
出典:IRIN Plus News
URL:http://www.aegis.com/news/irin/2005/IR050293.html


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★カンボジア:既婚女性のHIV感染率上昇
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 カンボジアは、以前から東南アジア地域で最もHIV感染率の高い国であった
が、感染の傾向は、近年大きく変化してきている。最大の変化は、既婚女性の
HIV新規感染者が増加していることである。6年前は全体の約10%であった。
しかし、現在はこれがほぼ半分にまで増加している。
 カンボジアでは、セックスワーカーなどハイリスク・グループに対する教育
やコンドーム使用などのキャンペーンが有効に機能し、これらのグループでは、
感染率が減少している。しかし、これまでのキャンペーンは逆に「夫に対して
『貞操』 faithful であれば、HIVに感染することはない」という誤解を生む
こととなった。UNAIDSカンボジア事務所のコーディネーター、ギータ・セティ
Geeta Sethi 氏は、「それだけでは不十分だ」と話す。既に既婚女性や若い
独身者を対象としたHIV/AIDSへの意識向上のキャンペーンも開始されている。

原題:Number of New HIV Cases Increasing Among Married Women in Cambod
ia, 'The World' Reports
日付:Mar 01, 2005
出典:Kaiser Daily News
URL:http://www.kaisernetwork.org/daily_reports/rep_hiv_recent_rep.cfm?dr_cat=1&show=yes&dr_DateTime=01-Mar-05#28381


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★ 中国:全人代議員、
 HIVに感染した薬物使用者への特別更生施設設立要求
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 3月9日、中国の国権最高機関である全国人民代表大会 National People's
Congress: NPC 議員が、HIVに感染した、またはエイズを発症した薬物使用者
のリハビリテーションのための特別な施設の設立を要求した。
 中国南西部の雲南省選出の全国人民代表大会議員のリー・チン氏 Li Jinは、
「薬物中毒とエイズは、社会における双子の問題であり、相互に扱っていくべ
きです。刑務所、労働再教育センター、拘置所などの中に、HIVに感染し、ま
たはエイズを発症した薬物使用者を収容する特別な施設の建設が必要です。」
と述べ、その要件に関する早期の法律制定、また司法の説明を要求した。
 その背景として、現在中国では、大部分のHIV感染者・エイズ患者は薬物使
用者の更生施設や刑務所、拘置所から締め出されていることがあげられる。
 議員は、男性とセックスをする男性(MSM)やセックスワーカーなど「ハイ
リスク・グループ」について、警察がこれらの人々を逮捕した時にHIV/AIDS検
査を行うべきであると、警察と保健省の緊密な協力の必要性も強調しつつ提案
した。
 2003年末、中国東部浙江省の省都杭州の警察は、26人で構成される強盗団を
検挙したが、この強盗団構成員の半分はHIVに感染していたか、もしくはエイ
ズを発症していた。地元マスコミは、中国の法律が重症患者の長期拘留を禁じ
ていることから、強盗たちが自分の病気を、長期拘留から逃れるために使おう
と考えていたと報道している。
 中国政府によれば、中国で最初のHIV感染例は1985年に報告されており、現
在、およそ84万人のHIV感染者・エイズ患者がいるという。

原題:Lawmaker calls for special rehabilitation centers for drug addic
ts with AIDS
日付:9 March 2005
出典:People's Daily Online (「人民網」英語版ウェブサイト)
URL:http://english.people.com.cn/200503/09/eng20050309_176217.html

(編集部注)
近年、薬物使用者におけるHIV/AIDS対策は「ハーム・リダクション」(健康被
害軽減)という考え方が主流となっています。薬物使用者の健康被害軽減のた
めの方策、例えば清潔な注射器の供給、薬物代替療法の実施、断薬プロセスへ
のアクセスの保障などを充実させ、薬物使用者への逮捕・拘禁や重罰といった
「法執行」アプローチに優先して実施する、もしくは法執行アプローチにこれ
らのプログラムを組み込んでいく、という考え方です。権威主義的な政府のも
とで「重罰主義」に偏りがちだったアジア諸国においても、近年は「ハーム・
リダクション」の考え方を取り入れたプログラムが徐々に実施されてきていま
す。
 上に紹介した中国「全人代」の議論は、「ハーム・リダクション」導入への
萌芽とみることもできる一方で、収容施設におけるHIV感染者の隔離といった
逆行的な議論とみることもでき、この内容をどのようにとらえるべきか、非常
に難しいところです。ここ数年、中国でも遅まきながらHIV/AIDS対策が急速に
進展しています。今後も注目が必要です。


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★香港:HIV感染者17%増加
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 香港保健省 Department of Health は2月22日、2004年のHIV感染が268件報
告されたことを明らかにした。同省によると、この数字は過去最多で、去年の
229件と比べて17%増加。同局顧問S.S.リー氏 S. S. Lee によると、性的接触
による感染が依然として高い割合を占めており、新規感染例のうち64%(172
症例)がこれにあたる。このうち107症例は異性愛者間、65症例が男性同士の
同性愛者間の感染。報告された症例のうち28%は感染経路が特定できていない。
 また、薬物使用による注射針感染は、2004年21症例で、2003年の11症例から
ほぼ倍増している。これは2004年1月に、薬物代替療法クリニック methadone
clinics (注)を対象にした HIV検査が全面的に導入されたからであろう。
受診者全体の9割に相当する、8,905名の麻薬中毒患者に検査を行い、18症例
が報告された。前年度の2003年にも試験的に318名に検査をしたが、感染例は
見つかっていなかった。
 母子感染に関しては、2001年9月に出産前HIV検査が導入されて以来、激減
している。導入以降に報告された症例はわずかに6例であり、その後新しい報
告例はない。
 香港のHIV感染者・エイズ患者数は3,000名以上と推測されている。

編集部注)薬物使用者に対して、メタドンによる薬物代替療法を行うクリニッ


原題:HIV cases up 17% in HK
日付:2005年2月23日
出典:English Eastday website
URL:http://english.eastday.com/eastday/englishedition/nation/userobject1ai884671.html

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★ オーストラリア:
   HIV/AIDSパートナーシップ・イニシアチブ構築
   〜アジア・太平洋諸国地域のリーダーとして〜
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 オーストラリア外相、アレクサンダー・ダウナー氏 Alexander Downer は、
国会議事堂にて3月8日に行われた、オーストラリア国際開発庁(AusAID) H
IV/AIDSディスカッション・フォーラムHIV/AIDS Discussion Forum の中で、
オーストラリア国際開発庁HIV/AIDSパートナーショップ・イニシアチブ the A
usAID HIV/AIDS Partnership Initiative(AHAPI)と称した新たな資金獲得枠
組みを構築した。
 このイニシアチブは、アジア太平洋地域におけるHIV/AIDSに関連する組織の
能力向上を目的としている。さらにオーストラリアのHIV/AIDS関連団体との
パートナーシップを構築していくことも期待されている。オーストラリアでは
地域レベルでのHIV/AIDS活動への実績があり、今回のような取り組みを通じて、
同じアジア・太平洋地域諸国の組織にノウハウなどを提供していく。
 3年間に渡って300万ドルの予算が組まれているが、今月8日に申請書の提
出が締め切られ、支援が決まった団体には、1団体につき最大20万ドルが拠出
される。またオーストラリアは、HIV/AIDSの流行拡大を深刻に受け止めており、
HIV/AIDSにおける国際的な支援金を2010年までに、3億5,000万ドルから、6
億ドルに増やす決定を下している。
 アジア・太平洋地域諸国のHIV感染者・エイズ患者数は推定820万人で、検査
を受けていない人を含めるとさらに多いと言われている。このままでは、アジ
ア・太平洋地域は、HIVの発信源 epicenter となりうる可能性もあることから、
このようなイニシアチブが生み出された。オーストラリア政府は、アジア・太
平洋地域諸国において、HIV/AIDS問題の域内リーダーと自負をしている。オー
ストラリアの持つ国際HIV/AIDS戦略は、域内諸国とともに、この問題を解決し
ていこうという力強い方向性が示されている。

原題:AusAID HIV/AIDS Partnership Initiative
日付:8 March 2005
出典:オーストラリア国際開発庁ウェブサイト、
   国連開発計画ベトナム事務所リストサーブより
URL:http://www.ausaid.gov.au/media/release.cfm?BC=Media&Id=3325_3217_5646_9554_3971
http://www.undp.org.vn/mlist/health/032005/post50.htm

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●会議情報
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★アフリカ:NGOによる資金獲得戦略会議
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 南アのNGO「治療行動キャンペーン」Treatment Action Campaign TAC は、
4月1日〜2日の2日間、南アのケープタウンにおいて、HIV/AIDS関連資金に
関するアフリカ市民団体の会議を開催した。会議は、HIV/AIDSに対する資金を
増やし、運営を安定させるため、アフリカの市民団体がどのように協力してい
くべきかを目的としている。アフリカ各国の市民団体で、HIV感染者・エイズ
患者の団体、治療アドボカシー団体、保健医療分野の資金調達に関わる団体や
ケア・サポート・治療に取り組む団体が参加をした。
 アフリカでのHIV/AIDS治療とヘルスケア拡大の障害の一つが、資金の問題だ
った。2002年の世界エイズ・結核・マラリア対策基金の設立をはじめ、ミレニ
アム開発目標達成のために先進国GNPの0.7%を開発援助に拠出する合意がされ
るなど、努力はなされている。
 だが、WHOやUNAIDSによると、2005年までに300万人のHIV/AIDS感染者に治療
へのアクセスを提供するという、ミレニアム開発目標を達成するには、なお20
億円が不足している。最も多くの感染者を抱えるアフリカにとって、資金不足
は大きな問題である。そこで今回の会議では、なぜこのような資金不足が生じ
ているのかを明らかにすると同時に、今後のHIV/AIDS対策資金について、その
額を増やし、より全体の統制がとれたものとし、また先の見通しがつくものに
するためにはどのようなアドボカシー戦略をとるべきかについて、議論をした。

(編集部注)今回、AJF事務局で受信しているメーリングリストからこの記事
を選択し、皆さんに配信をしています。しかし、これは会議開催前に受信した
ものであり、どのような議論が実際に展開されたかについては、キャッチアッ
プできていないのが実状です。今後詳細な内容がわかりましたら、皆さんにお
伝えしていければと思っています。

原題:Call for Africa-wide Civil Society Consultation on International
Funding for Efforts Against HIV/AIDS

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●「インド特許法改正」続報
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★アフリカ:インドの特許法改正における負の影響
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 インド立法府が抗レトロウイルス薬(ARV)を含む安価なジェネリック薬の
禁止を含む特許法の改正した。アフリカ各国は激しい抗議している。
 インドはジェネリックの最大製造国であり、その2/3を途上国へ輸出してい
る。アフリカの国家エイズ治療プログラムへインドで製造された治療薬を供給
する重要な役割を担ってきた。またインドは、服薬が簡単なために、継続して
治療を進めることができる3剤混合薬を製造できる唯一の国であった。
 ケニア、タンザニア、ウガンダでは、先日インド総領事館に抗議のデモがあ
った。(編集部注1)西アフリカのエイズ活動家の間で、請願書が請求に回さ
れ、批判が相次いでいる。国連事務総長エイズ特使アジア太平洋地域諸国担当
ナフィス・サディック Dr. Nafis Sadik と同アフリカ地域担当 スティーブ
ン・ルイス Stephen Lewis も合同でインド政府に書簡を送り、ジェネリック
薬のアクセス存続を要求した。書簡には「エイズ患者は生と死の狭間にいる。
インドの国会は何百万の人々に命を与えられる」と記されていた。
 国際NGO「国境なき医師団」の調査によると、途上国でARV治療薬を投与され
ている70万人のうち半数がインド製の治療薬に依存している。つまり、改正法
案が通ると、インド製治療薬の製造と供給を著しく制限、あるいは禁止につな
がる。(編集部注2)
 WTOの加盟国として、TRIPS 協定「知的所有権の貿易関連の側面に関する協
定 Trade Related Aspects of Intellectual Property Rights」に基づいて、
インドは特許法を改正した。1995年以前に開発されたARV治療薬には影響がな
いため、新特許法の影響は直ちに現れないと推測される。
 しかし、南アフリカも、インドの製薬会社シプラ Cipla 製のジェネリック
薬を国家エイズ治療プログラムに供給し続ける予定になっており、将来人々が
新薬を望んだときには、価格競争がないため、これ以上安価な治療薬を入手す
ることが難しい。新薬は2000ドル程度かかり、途上国の人々は、購入すること
ができずに、治療を持続できないと予測されている。しかしながら、今後、ブ
ラジル、タイ、南アフリカ、中国などがジェネリック薬の生産と輸出を増加す
れば、影響はさほど大きくはないとみられている。

編集部注1)国境なき医師団がインド大統領に宛てた手紙は、前回発行されま
したグローバル・エイズ・アップデート第13号に掲載されています、「国境な
き医師団(MSF)がインド大統領に宛てた手紙」をご参照下さい。
編集部注2)アフリカ3ヶ国の、インド総領事館へのデモについては、次号で
記事を掲載する予定です。

原題:AFRICA: New Indian patent law could threaten ARV access
日付: 2005/03/27
出典:IRIN PLUS
URL: http://www.irinnews.org/pnprint.asp?ReportID=4618


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■□編集後記
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 皆さん、今回も最後までグローバル・エイズ・アップデートを読んでいただ
きまして、ありがとうございました。この2週間で桜の季節から新緑の季節へ
とシフトしてしまいましたね。隔週で発信しているわけですから、グローバ
ル・エイズ・アップデートは、二十四節気と一緒に出されているような感じで
すね。
 さて今回は、私たちに身近なアジア・太平洋地域の記事を4本お送りいたし
ました。今後は皆さまから、このような記事を読んでみたいだとか、ご希望な
どがありましたら、是非AJF編集部までメールやFAXでご感想をお送りしていた
だければと思っております。
 それでは、次回のグローバル・エイズ・アップデートをお楽しみに!!(編集
員 T)
 
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UP:20050415
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