Date: Fri, 27 Aug 2004 19:04:48 +0900
From: ajf
Subject: [viva_hiv_aids] グローバル・エイズ・アップデイト 創刊準備4号
■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■
グローバル・エイズ・アップデイト
GLOBAL AIDS UPDATE
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創刊準備4号 2004年8月27日
Vol.0-No.4 August 27, 2004
■GLOBAL■<□<■AIDS■>□>■UPDATE■
◆発 行:アフリカ日本協議会
◆連絡先:
・東京都台東区東上野1-20-6丸幸ビル2F
・電 話:03-3834-6902
・FAX:03-3834-6903
・電子メール:ajf@mtb.biglobe.ne.jp
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はじめに:発行趣旨
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○HIV/AIDS問題は、現代世界に於ける保健医療上の最大の問題の一つです。
○しかし、日本では、こうしたグローバル・エイズ問題の深刻さや最新の情報が伝わっておらず、この問題へのコミットメントが薄いのが現状です。
○このメールマガジンは、グローバルなHIV/AIDS問題の最新動向を日本語で伝えるメディアが必要だという認識から生まれました。
○HIV/AIDSに関わる主要なウェブサイトの記事を日本語で要約し、ほぼ隔週刊で発行いたします。
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■「創刊準備4号」目次
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○国際機関・ドナー国の政策に関するニュース(2つ)
・世界銀行、アフリカのエイズに10億ドル拠出
・英国、世界のエイズ対策に30億ドル拠出
○グローバル・HIV/AIDSアドボカシーに関するニュース(3つ)
・アフリカにおけるゲイ・MSM
・日本、活動家たちから非難される
・PLWHA活動家らがアナン国連事務総長と会談
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○国際機関・ドナー国の政策に関するニュース
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★世銀がアフリカのAIDS問題への取り組みに
10億ドルを供与
世界銀行は、サハラ以南アフリカのAIDS予防、治療、感染拡大防止のため,「アフリカのための多国籍エイズプログラム」(MAP:Multi-Country AIDS Programme for Africa)を通じて、10億米ドルの助成金を供与した。これは、第15回国際エイズ会議の期間中に、世界銀行アフリカ・エイズキャンペーン主任のケイス・ハンセン氏 Keith Hansenにより明らかにされた。
世界銀行によるこの資金は、アフリカ各国に設置されている世界銀行の各国代表事務所で受け取ることができる。この資金は、AIDSに取り組むコミュニティ団体の活動を促進することが目的であり、資金の用途を自由に決定できる。資金供与を受けるにあたってそれらの団体がしなければならないのは、資金の運用能力があることと、資金の使用目的が、国家の権威とオーナーシップにより形成された国のエイズ戦略を反映していることを世界銀行に示すことである。。資金は、世界銀行に加盟しているアフリカ各国の政府によりアクセスされるが、5億ドルは市民社会により使われる。既に、コミュニティを基礎にエイズに取り組む25の団体が基金にアクセスしている。
ハンセン氏は、多くのアフリカ諸国が資金活用にとって弊害となる債務問題を抱えていることを認めている。世界銀行では、若干の債務免除を行い、重債務貧困国 Highly Indebted poor countries(HIPCs)イニシアティブを進めている。これは債務により困窮している国に援助金を渡したり、返済期間を延長したり、低金利の借款を融資するものである。ハンセン氏は、「世界銀行は民間の組織であり、融資を仕事としている。それゆえ、世銀は自ら債務を帳消しすることはできない。債務の取り消しが可能なのはG8やその他の先進国だ」と述べた。
News Title: World Bank releases $1 billion for AIDS in Africa
News Dated: July 17, 2004
Source: Health and Development Network
Key Correspondents Team
URL: http://archives.healthdev.net/af-aids/msg01447.html
★英国政府、世界のエイズ対策に
新しく300億円の支出を約束
英国政府は、世界のエイズ対策に活用するための資金として、3年間で1.5億ポンド(約300億円)を支出することを表明した。この援助は、世界エイズ・結核・マラリ ア対策基金(GFATM)にも資金提供される。
この計画は、トニー・ブレア首相 Tony Blairと国際開発省長官ヒラリー・ベン Hilary Benn によって発表された。
計画の概要発表において、ブレア氏は「エイズにより最も影響を受けた人々に資金が供給されるだろう。この戦略は女性、若者および孤児の持っているニーズに、特に焦点を当てている。これらの人々は、途上国で最もエイズに対し弱い立場におかれている。エイズ問題を無視することはできない。これは、個人レベルから世界的規模にまたがる悲劇であり、最悪の被害を受けた地域では、平均寿命が1950年以前のレベルに戻っているという恐ろしい事態になっている。つまり現在はエイズによって、何百万の人々が悲しみに苛まされるだけでなく、労働年齢人口が大きな打撃を受けることで、経済の脆弱性が露呈している。エイズ問題への取り組みなしでは、世界規模の貧困に立ち向かうことは不可能である。」と語った。
ヒラリー・ベンは、「毎年、300万人以上がエイズで亡くなっている。国際社会は、この問題に取り組む中で、ある程度の進歩は見せたが、決して十分ではない。」と述べた。
国連合同エイズ計画UNAIDS The Joint United Nations Programme on HIV/AIDS のピーター・ピオット事務局長 Peter Piot は英国の支援を歓迎し「英国は、地球規模のエイズ問題に最大限の貢献を行った国として、高い評価を受けるだろう。」と述べた。
News Title: UK outlines 1.5bn AIDS Strategy
News Dated: July 19, 2004
Source: BBC
URL: http://news.bbc.co.uk/1/hi/health/3908055.stm
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○グローバル・HIV/AIDSアドボカシーに関するニュース
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★アフリカにおけるゲイ・MSM:「沈黙の大陸」の目覚めは近い?
〜バンコク・エイズ会議の人権セッションから〜
バンコクで開催された第15回エイズ会議の人権セッションで、ロナルド・ルワバーイ氏 Ronald Lwabaayi (ウガンダのゲイ活動家、現在バンクーバーに在住)がアフリカのセクシュアル・マイノリティ、暴力、そしてエイズについての調査を発表した。
アフリカでのこのような調査は非常に数が少なく、どの調査でもMSMらがコミュニティや家族から暴力を受けたり、排除されたりしていると結論に達し、そこで終っている。問題は思った以上に深刻であり、セネガルでの調査ではインタビューに応じた13%の男性が、警察官によってレイプをされたことがあると申告した。「同性とも異性とも性行為をするという現象も広く報告され、多くのMSMは、女性と性関係を持ち、既婚者でもある」とルワバーイ氏は述べた。結果的に彼らの周辺ではHIV感染拡大の潜在性は非常に高いものになる。ルワバーイ氏は「こんな状態にもかかわらず、ほとんどのアフリカ諸国では、未だセクシュアル・マイノリティに対する予防、ケア、治療のプログラムが行われていない」と主張する。
一方、欧米諸国では、MSMのHIV感染率を下げ、スティグマを無くしていこうという動きがあり、MSMのHIV感染は深刻な問題として考慮されている。欧米での研究を途上国のゲイ・コミュニティでの行動学や疫学的研究へとシフトさせていくことも今後検討されるだろう。
現在、南と北のゲイ活動家が、コンタクトを取り始める動きが出てきている。またアフリカでは数多くのゲイの団体が誕生し、実績を積んでいる。彼らのコミュニティを基盤とした活動が、アフリカ大陸のHIV/AIDSに対する動きの波を、確実に変えていくために重要であると見込まれている。アフリカを始めとする開発途上国では、ゲイに対する理解が十分にあるとはとうてい言えない状況であるが、今後HIV予防プログラムを展開していくためにも、さらなる研究が必要になってくるだろう。ゲイは社会の一員であり、途上国の社会はゲイの存在を受け入れるために、この問題について討議を深める必要がある。。
News Title: The Silent Continent
News Dated: July 17, 2004
Source: HDN Key Correspondent Team
URL: http://www.actupny.org/reports/Bangkok/condoms.html
★日本、世界基金への拠出が少ないと活動家たちから非難
【7月15日 バンコク】7月15日、バンコクで開催されていた国際エイズ会議で活動家たちは、AIDSに対する世界的な取り組みを支援するため、日本のさらなる援助を要求する直接行動を行った。活動家たちは、日本が世界第2の経済大国であるにも関わらず、本来負担すべき金額のわずか10分の1しか貢献していないと非難した。活動家たちは、日本が世界エイズ・結核・マラリア対策基金(GFATM)に対して年間1億3000万ドルしか支払っていないと非難した。
GFATMの副理事長であるエレン・ロザール氏 Helen Rossertは、AFP通信のインタビューに対して、「日本の負担は十分とは言えない」と日本の努力不足を指摘した。
世界でHIV/AIDS対策に必要な金額は年間100億ドルである。この金額を主要なドナー国が分担して支出すべきだとする誓約が、2001年に行われている。活動家たちは、世界のGDPの12%を占める日本の負担額は年間12億ドルになると主張している。パリに本拠をおく圧力団体「アクトアップ・パリ」 ACTUP Paris のハリル・エルーアルディギ Khalil Elouardighi は、「日本は本来の責任の10分の1しか果たしていない。まったく恥ずべきことだ」と述べた。アクトアップによれば、世界経済を主導する米国は、5年にわたり合計150億ドルの寄付を公約、しかし2003年に実際に行った援助は9億ドルで、本来支出すべき32億ドルの割当額を下回っている。
国際エイズ会議では、多くの活動家らが、主要先進国の資金提供不足に抗議して、日本の小泉純一郎首相を含む主要先進国のリーダーのポスターに、赤いペンキを投げつけた。日本のNGOであるアフリカ日本協議会の幹事である稲場雅紀氏は「日本政府は、国際的な圧力が存在するということを知るべきだ」と述べた。
日本では、政府が把握しているHIV感染者の人口は8,500人であり、国内での感染拡大は今のところ回避されている。
News Title: Japan trailing donor world in AIDS fight: activists
News dated: July 15, 2004
Source: AFP
URL: http://www.aegis.com/news/afp/2004/AF0407E3.html
★地球規模での政策決定や資金調達の仕組みへの
市民社会のアクセスを
コフィー・アナン国連事務総長、エイズ活動家たちと会談
7月12日、国連事務総長コフィー・アナン氏 Kofi Annan は11人のエイズ活動家を招待し、エイズについての国連や国際社会の対応について意見を交換した。会合に参加した活動家は、ニミット・ティエヌド氏 Nimit Tienudom (エイズアクセス協会・タイ)、スチュアート・フラベル氏 Stu Flavell (世界PLWHAネットワーク)、リチャード・ブレジンスキ氏 Richard Burzynski (国際エイズサービス組織評議会)、アレックス・コンティーニョ氏 Alex Coutinho (エイズ支援機構・ウガンダ)、ザッキー・アハマット氏 Zackie Achmat (治療行動キャンペーン・南アフリカ)などである。
彼らはHIV/AIDS問題の理解を高め、それを維持するために事務総長や国連が直ちに取り組むべき4つのカギとなる問題があると指摘した。それは以下の通りである。
(1)国際機関・国家政府・資金提供機関 Funding Bodies ・民間セクターの説明責任
(2)国家レベル、国際レベルでのHIV/AIDS予防・治療・ケアプログラムを展開するための市民団体との積極的な関与
(3)HIV/AIDS問題に取り組むための効率的な内部システム形成
(4)世界的なHIV/AIDS予防・治療・ケアのための人的、経済的な資源提供
国連事務総長と活動家との会議の主な結果は次の通りである。
(1)事務総長は、引き続きTRIPS協定(貿易関連知的財産権協定)とドーハ宣言に関連して、各国政府がジェネリック薬の生産と供給を可能とするような柔軟性の確保を強くサポートすると表明した。
(2)事務総長は、HIV/AIDS問題に取り組んでいくために、国連と市民社会の協働に関する独立した年間報告書を作成していくことを積極的に検討すると表明した。
(3)事務総長は、市民社会に対して、国連の制度がHIV/AIDSに関連する政策作りや実行を、期待通りに行っているかどうかを監視・評価する基準を作成することを要請した。
事務総長はHIV/AIDSへの対策のための資金拠出についてG8首脳と継続的に連絡を取ることを約束し、政府首脳らに「世界エイズ・結核・マラリア対策基金」(GFATM:the Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis and Malaria) への援助を求める文書を送ることに同意した。
(4)市民社会の代表者たちはGFATMの予算を他の開発プログラムに使わないという事務総長の要求を支持した。その金額はアメリカ合衆国から10億ドル、ヨーロッパ連合加盟国から10億ドル、その他のドナー(政府・個人・財団)から10億ドルである。
(5)事務総長は、GFATMの各国の資金受け皿である「国家調整メカニズム」Country Coordinating Mechanisms について、市民の参画が十分でないという市民社会の懸念を共有し、NGOが提出する効果的なプロポーザル(提案書)に対して、資金を拠出するための「窓」または「迅速審査メカニズム」を設置すべきとGFATMの理事会に提案した。
(6)事務総長は「健康被害軽減」 harm reductionに基づく戦略を支持することを表明した。
(7)事務総長は市民社会部門が国際機関(UNAIDSやWHOを含む)、重要な援助団体、企業部門などを支える重要な役割を果たし、また国家政府が質が高く、安価で購入しやすく、入手しやすいヘルスケアシステムや治療法に投資することを確実にし、人権の監視・保護に重大な役割を受け持っていることに同意した。
News Title: Access for all includes civil society access to global governing and funding bodies
News Dated:July 13, 2004
Source: International Treatment Preparedness Summit
URL: http://www.equinetafrica.org/newsletter/index.php?id=2086
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