ILO「保障の最低基準に関する条約」(第百二号)
last update: 20161025
(昭和五一・二・二四 条四)
保障の最低基準に関する条約(第百二号)(昭和五一・二・二四 条四)
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保障の最低基準に関する条約(第百二号)(昭和五一・二・二四 条四)
発効 昭和五二・二・二(昭和五一外告四四)
注 日本国政府は、第二条(b)の規定により、第三部から第六部までの義務を受
諾した。(昭和五一外告四四)
国際労働機関の総会は、
理事会によりジュネーブに招集されて、千九百五十二年六月四日にその第三十五回
会期として会合し、
その会期の議事日程の第五議題に含まれる社会保障の最低基準に関する提案の採択
を決定し、
その提案が国際条約の形式をとるべきであると決定して、
次の条約(引用に際しては、千五百九十二年の社会保障(最低基準)条約と称する
ことができる。)を千九百五十二年六月二十八日に採択する。
第一部 一般規定
第一条
1 この条約において、
(a) 「所定の」とは、国内の法令により又はこれに基づいて定められていること
をいう。
(b) 「居住」とは、加盟国の領域内に通常居住することをいい、「居住者」と
は、加盟国の領域内に通常居住する者をいう。
(c) 「妻」とは、夫によって扶養されている妻をいう。
(d) 「■婦」とは、夫の死亡の当時夫によって扶養されていた女子をいう。
(e) 「子」とは、国内の法令で定めるところにより、義務教育終了年齢又は十五
歳に達しない子をいう。
(f) 「資格期間」とは、国内の法令で定めるところにより、拠出期間、雇用期間
若しくは居住期間又はこれらの組合せをいう。
2 第十条、第三十四条及び第四十九条において、「給付」とは、医療の直接給付又
は関係者が負担した費用の償還による間接給付をいう。
第二条
この条約の適用を受ける加盟国は、
(a) 次の規定を履行する。
(1) 第一部の規定
(2) 第二部から第十部までのうち少なくとも三の部(第四部から第六部まで、
第九部及び第十部のうち少なくとも一の部を含むことを要する。)の規定
(3) 第十一部から第十三部までの関係規定
(4) 第十四部の規定
(b) その批准に際し、第二部から第十部までのうちこの条約の義務を受諾する部
を指定する。
第三条
1 経済及び医療施設が十分に発達していない加盟国は、権限のある機関が必要と認
める場合には、当該機関が必要と認める間、その批准に際して付する宣言により、第
九条(d)、第十二条2、第15条(d)、第十八条2、第二十一条(c)、第二十七条(d)、
第三十三条(b)、第三十四条3、第四十一条(d)、第四十八条(c)、第五十五条(d)及び
第六十一条(d)に定める暫定的な例外規定を援用することができる。
2 1の規定に基づく宣言を行った各加盟国は、国際労働機関憲章第二十二条の規定
に従って提出するこの条約の適用に関する年次報告において、自国が援用しているそ
れぞれの例外規定について次のいずれかのことを述べる。
(a) 当該例外規定を援用する理由が引き続き存在していること。
(b) 当該例外規定を一定の日以後は援用しないこと。
第四条
1 この条約を批准した各加盟国は、その後において、国際労働事務局長に対し、第
二部から第十部までのうちその批准に際して指定しなかった一又は二以上の部につい
てこの条約の義務を受諾することを通告することができる。
2 一にいう義務の受諾は、批准の不可分の一部とみなされ、かつ、通告の日から批
准と同一の効力を有する。
第五条
加盟国は、第二部から第十部までのうちその批准によって義務を受諾することとな
る部の規定を履行するに当たり被用者又は居住者の特定の百分率以上を構成する所定
の種類の者を保護することが必要とされる場合には、その部の規定の履行を約束する
ことに先立ち、所定の種類の者が当該特定の百分率に達していることを確認する。
第六条
加盟国は、第二部、第三部、第四部、第五部、第八部(医療に関する規定に限る。
)、第九部、又は第十部の規定を履行するに当たり、保護対象者について国内の法令
により強制的なものとされていない保険であって次の(a)から(c)までの要件に合致す
るものによって行われる保護を考慮に入れることができる。
(a) 公の機関が監督し、又は使用者及び労働者が所定の基準に従って共同で管理
すること。
(b) 男子熟練労働者の勤労所得を超えない勤労所得を有する者のかなりの部分を
対象とすること。
(c) 適当な場合には他の形式の保護との組合せにより、この条約の関係規定に適
合すること。
第二部 医療
第七条
この部の規定の適用を受ける各加盟国は、この部の次の諸条の規定に従い、保護対
象者に対し、予防又は治療の性質を有する医療を必要とする状態に係る給付が与えら
れることを確保する。
第八条
給付事由は、すべての負傷又は疾病(原因のいかんを問わない。)並びに妊娠、分
べん及びこれらの結果とする。
第九条
保護対象者は、次のいずれかの者とする。
(a) すべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者並びに
その妻及びその子。
(b) すべての居住者の二十パーセント以上を構成する所定の種類の経済活動従事
者並びにその妻及び子
(c) すべての居住者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の居住者。
(d) 第3条の規定に基づく宣言が行われている場合には、二十人以上の者を使用
する工業的事業所におけるすべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種
類の被用者並びにその妻子及び子。
第一〇条
1 給付には、少なくとも次のものを含む。
(a) 負傷又は疾病については、
(1) 一般医による診療(往診を含む。)
(2) 病院における入院患者及び通院患者に対する専門医による診療並びに病院
外で行うことができる専門医による診療
(3) 医師その他資格のある者の処方による欠くことのできない薬剤
(4) 必要がある場合の病院への収容
(b) 妊娠、分べん及びこれらの結果については、
(1) 医師又は資格のある助産婦による分べんの介助及び産前産後の手当
(2) 必要がある場合の病院への収容
2 受給者が負傷又は疾病について受ける医療の費用は、受給者叉は受給者の扶養者
にその一部を負担させることができる。この費用負担に関する規則は、関係者が過重
な負担を被らないように作成しなければならない。
3 この条の規定に基づく給付は、保護対象者の健康、労働能力及び自己の用を足す
能力を維持し、回復し又は改善することを目的として支給しなければならない。
4 給付を管理する団体又は官庁は、適当と認められる手段により、公の機関又は公
の機関の認める団体によって保護対象者の利用に供された一般的な保健に関する施設
を保護対象者が利用することを奨励する。
第一一条
前条の給付は、給付事由が生じた場合には、少なくとも、保護対象者であって乱用
を防止するために必要と認められる資格期間を満たしているもの又はその扶養者がこ
れを満たしているものに対して確保しなければならない。
第一二条
1 第十条の給付は、給付事由が存続する間、支給する。ただし、負傷又は疾病につ
いては、給付の支給期間は、同一の負傷又は疾病につき二十六週間に制限することが
できる。もっとも、給付は、傷病給付が支給されている間は、停止してはならないも
のとし、また、長期の療養が必要であると認められる所定の疾病については、その制
限された期間を延長するための措置を講じなければならない。
2 第三条の規定に基づく宣言が行われている場合には、給付の支給期間は、同一の
負傷又は疾病につき十三週間に制限することができる。
第三部 傷病給付
第一三条
この部の規定の適用を受ける各加盟国は、この部の次の諸条の規定に従い、保護対
象者に対し、傷病給付が与えられることを確保する。
第一四条
給付事由は、負傷又は疾病に起因し、かつ、勤労所得の停止を伴う労働不能であっ
て、国内の法令で定めるものとする。
第一五条
保護対象者は、次のいずれかの者とする。
(a) すべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者。
(b) すべての居住者の二十パーセント以上を構成する所定の種類の経済活動従事
者
(c) 給付事由の存する間における資産の価額が第六十七条の要件に適合するよう
に国内の法令で定める限度額を超えないすべての居住者。
(d) 第三条の規定に基づく宣言が行われている場合には、二十人以上の者を使用
する工業的事業所におけるすべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種
類の被用者。
第一六条
1 所定の種類の被用者又は所定の種類の経済活動従事者を保護対象者とする場合に
は、給付は、第六十五条又は第六十六条の要件に適合するように算定される定期金と
する。
2 給付事由の存する間における資産の価額が所定の限度額を超えないすべての居住
者を保護対象者にする場合には、給付は、第六十七条の要件に適合するように算定さ
れる定期金とする。
第一七条
前条の給付は、給付事由が生じた場合には、少なくとも、濫用を防止するために必
要と認められる資格期間を満たしている保護対象者に対して確保しなければならな
い。
第一八条
1 第十六条の給付は、給付事由が存続する間、支給する。ただし、給付の支給期間
は、同一の負傷又は疾病につき二十六週間に制限することができるものとし、また、
給付は、勤労所得の停止の最初の三日間については支給することを要しない。
2 第三条の規定に基づく宣言が行われている場合には、給付の支給期間は、次のい
ずれかの期間に制限することができる。
(a) 一年間における傷病給付の支給日数の延べ数がその一年間における保護対象
者の平均人数の十倍以上の数となるような期間
(b) 同一の負傷又は疾病につき十三週間。この場合において、給付は、勤労所得
の停止の最初の三日間については支給することを要しない。
第四部 失業給付
第一九条
この部の規定の適用を受ける各加盟国は、この部の次の諸条の規定に従い、保護対
象者に対し、失業給付が与えられることを確保する。
第二〇条
給付事由は、労働能力を有し、かつ、就労することができる状態にある保護対象者
が被る適当な職業に就くことができないことによる勤労所得の停止であって、国内の
法令で定めるものとする。
第二一条
保護対象者は、次のいずれかの者とする。
(a) すべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者
(b) 給付事由の存する間における資産の価額が第六十七条の要件に適合するよう
に国内の法令で定める限度額を超えないすべての居住者
(c) 第3条の規定に基づく宣言が行われている場合には、二十人以上の者を使用
する工業的事業所におけるすべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種
類の被用者。
第二二条
1 所定の種類の被用者を保護対象者とする場合には、給付は、第六十五条又は第六
十六条の要件に適合するように算定される定期金とする。
2 給付事由の存する間における資産の価額が所定の限度額を超えないすべての居住
者を保護対象者にする場合には、給付は、第六十七条の要件に適合するように算定さ
れる定期金とする。
第二三条
前条の給付は、給付事由が生じた場合には、少なくとも、濫用を防止するために必要
と認められる資格期間を満たしている保護対象者に対して確保しなければならない。
第二四条
1 第二十二条の給付は、給付事由が存続する間、支給する。ただし、給付の支給期
間は、次のいずれかの期間に制限することができる。
(a) 所定の種類の被用者を保護対象者とする場合には、十二箇月の期間内において
十三週間
(b) 給付事由の存する間における資産の価額が所定の限度額を超えないすべての居
住者を保護対象者とする場合には、十二箇月の期間内において二六週間
2 給付の支給期間が拠出期間の長さ又は所定の期間内に既に受けた給付によって異
なることを国内の法令で定めている場合において、給付の平均支給期間が十二箇月の
期間内において少なくとも十三週間であるときは、1(a)の規定は、満たされたもの
とみなす。
3 給付は、同一の勤労所得の停止につき最初の七日の待期期間については支給する
ことを要しない。この場合において、所定の期間を超えない一時的就業の前後におけ
る失業日数は、同一の勤労所得の停止に係るものとして計算する。
4 季節的労働者については、給付の支給期間及び待期期間をその就業の条件に適合
させることができる。
第五部 老齢給付
第二五条
この部の規定の適用を受ける各加盟国は、この部の次の諸条の規定に従い、保護対
象者に対し、老齢給付が与えられることを確保する。
第二六条
1 給付事由は、所定の年齢を超えて生存していることとする。
2 所定の年齢は、六五歳を超えない年齢又は権限のある機関が当該国の高年齢者の
労働能力に十分な考慮を払って定める六十五歳より高い年齢とする。
3 給付を受ける権利を有すべき者が所定の有償の活動に従事している場合に当該給
付を停止すること、並びに拠出制による給付については受給者の勤労所得が所定の額
を超える場合及び無拠出制による給付については受給者の勤労所得若しくは勤労所得
以外の資産の価額又はこれらを合算した額が所定の額を超える場合に当該給付を減額
することを、国内の法令で定めることができる。
第二七条
保護対象者は、次のいずれかの者とする。
(a) すべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者
(b) すべての居住者の二十パーセント以上を構成する所定の種類の経済活動従事者
(c) 給付事由の存する間における資産の価額が第六十七条の要件に適合するように
国内の法令で定める限度額を超えないすべての居住者
(d) 第3条の規定に基づく宣言が行われている場合には、二十人以上の者を使用す
る工業的事業所におけるすべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類
の被用者 第二八条
給付は、次の定期金とする。
(a) 所定の種類の被用者又は所定の種類の経済活動従事者を保護対象者とする場合
には、第六十五条又は第六十六条の要件に適合するように算定される定期金
(b) 給付事由の存する間における資産の価額が所定の限度額を超えないすべての居
住者を保護対象者とする場合には、第六十七条の要件に適合するように算定される定
期金
第二九条
1 前条の給付は、給付事由が生じた場合には、少なくとも次のいずれかの者に対し
て確保しなければならない。
(a) 給付事由が生ずる前に、拠出若しくは雇用について三十年又は居住について二
十年の資格期間を所定の規則に従って満たしている保護対象者
(b) 原則としてすべての経済活動従事者を保護対象者とする場合には、拠出につい
て所定の資格期間を満たしている保護対象者であって、労働年齢にあった間に所定の
年平均納付回数の拠出金の納付が行われたもの
2 1の給付が拠出又は雇用にについて最小限の期間の満了を条件とする場合には、
少なくとも次のいづれかの者に対し、減額された給付を確保しなければならない。
(a) 給付事由が生ずる前に、拠出又は雇用について十五年の資格期間を所定の規則
に従って満たしている保護対象者
(b) 原則としてすべての経済活動従事者を保護対象者とする場合には、拠出につい
て所定の資格期間を満たしている保護対象者であって、労働年齢にあった間に1(b)
にいう所定の年平均納付回数の二分の一の回数の拠出金の納付が行われたもの
3 第十一部の付表にに掲げる関係標準受給者に係る百分率を当該百分率から百分の
十の率を減じた百分率とした上で同部の要件に適合するように算定された給付が、少
なくとも、拠出若しくは雇用について十年又は居住について五年の期間を所定の規則
に従って満たしている保護対象者に対して確保される場合には、1の要件は、満たさ
れたものとみなす。
4 給付のために必要とされる資格期間が拠出又は雇用について十年を超え三十年に
満たない場合には、給付は、第十一部の付表に掲げる百分率を比例的に減算して得た
百分率により算定された給付とすることができる。この場合において、当該資格期間
が十五年を超えるときは、減額された給付を2の規定に適合するように支給しなけれ
ばならない。
5 1、3又は4の給付が拠出又は雇用について最小限の期間の満了を条件とする場
合には、この部の適用についての関係規定の効力発生の時に年齢が高いという理由の
みにより、2の規定に従って国内の法令で定める条件を満たすことができない保護対
象者に対し、減額された給付を所定の条件に従って支給しなければならない。ただ
し、そのような者に対し、1、3又は4の規定に適合する給付が通常の年齢より高い
年齢で確保されている場合は、この限りではない。
第三〇条
前二条の給付は、給付事由が存する間、支給する。
第六部 業務災害給付
第三一条
この部の規定を受ける各加盟国は、この部の諸条の規定に従い、保護対象者に対
し、業務災害給付が与えられることを確保する。
第三二条
給付事由は、業務に起因する事故又は所定の職業病による次のものとする。
(a) 負傷又は疾病
(b) 負傷又は疾病に起因し、かつ、勤労所得の停止を伴う労働不能であって、国内
の法令で定めるもの
(c) 所得能力の全部喪失若しくは所定の程度を超える所得能力の一部喪失で永久的
なものとなるおそれがあるもの又はこれらに相当する身体機能の喪失
(d) 扶養者の死亡の結果として●婦又は子が被る扶養の喪失。ただし、●婦の給付
を受ける権利については、国内の法令に従いその者が自活することができない状態に
あるとされることを条件とすることができる。
第三三条
保護対象者は、次のいずれかの者とする。
(a) すべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者並びに、
扶養者の死亡に係る給付については、当該所定の種類の被用者の妻及び子
(b) 第三条の規定に基づく宣言が行われている場合には、二十人以上の者を使用す
る工業的事業所におけるすべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類
の被用者並びに、扶養者の死亡に係る給付については、当該所定の種類の被用者の妻
及び子
第三四条
1 負傷又は疾病については、給付は、2及び3に規定する医療とする。
2 医療は、次のものから成る。
(a) 入院患者及び通院患者に対する一般医及び専門医による診療(往診を含む。)
(b) 歯科診療
(c) 家庭又は病院その他の医療施設による看護
(d) 病院、回復期療養所、サナトリウムその他の医療施設への収容
(e) 歯科用治療材料、薬剤その他の内科用又は外科用の治療材料(補装具及びその
修理を含む。)及び眼鏡
(f) 医業に類するものとして法律上認められる職業に従事する者が医師又は歯科医
師の監督の下に行う診療
3 第三条の規定に基づく宣言が行われている場合には、医療には、少なくとも次の
ものを含む。
(a) 一般医による診療(往診を含む。)
(b) 病院における入院患者及び通院患者に対する専門医による診療並びに病院外で
行うことができる専門医による診療
(c) 医師その他資格のある者の処方による欠くことのできない薬剤
(d) 必要がある場合の病院への収容
4 1から3までの規定に基づく医療は、保護対象者の健康、労働能力及び自己の用
を足す能力を維持し、回復し又は改善することを目的として支給しなければならな
い。
第三五条
1 医療を管理する団体又は官庁は、心身障碍者を適当な業務に再び就かせることを
目的として、一般的な職業リハビリテーション事業と適宜協力する。
2 1の団体又は官庁に対しては、国内の法令により、心身障碍者の職業リハビリ
テーションのための処置をとることを認めることができる。
第三六条
1 労働不能、永久的なものとなるおそれのある所得能力の全部喪失若しくはこれに
相当する身体機能の喪失又は扶養者の死亡については、給付は、第六十五条又は第六
十六条の要件に適合するように算定される定期金とする。
2 永久的なものとなるおそれのある所得能力の一部喪失又はこれに相当する身体機
能の喪失については、給付は、支給する場合には、所得能力の全部喪失又はこれに相
当する身体機能の喪失に係る定期金に対して適当な比率の定期金とする。
3 次のいずれかの場合には、定期金は、一時金として、支給することができる。
(a) 不能又は喪失の程度が軽微である場合
(b) 一時金が適切に使用されると権限のある機関が認める場合
第三七条
第三四条及び前条の給付は、給付事由が生じた場合には、少なくとも、事故の発生
の当時又は職業病にかかった当時自国の領域内で雇用されていた保護対象者に対し、
また、扶養者の死亡に係る定期金については、当該保護対象者の●婦及び子に対して
確保しなければならない。
第三八条
第三十四条及び第三十六条の給付は、給付事由が存続する間、支給する。ただし、
労働不能に係る給付は、同一の勤労所得の停止につき最初の三日間については支給す
ることを要しない。
第七部 家族給付
第三九条
この部の規定の適用を受ける各加盟国は、この部の次の諸条の規定に従い、保護対
象者に対し、家族給付が与えられることを確保する。
第四〇条
給付事由は、国内の法令で定めるところにより、子を扶養する責務とする。
第四一条
保護対象者は、次のいずれかの者とする。
(a) すべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者
(b) すべての居住者の二十パーセント以上を構成する所定の種類の経済活動従事者
(c) 給付事由の存する間における資産の価額が所定の限度額を超えないすべての居
住者
(d) 第三条の規定に基づく宣言が行われている場合には、二十人以上の者を使用す
る工業的事業所におけるすべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類
の被用者
第四二条
給付は、次のいずれかのものとする。
(a) 所定の資格期間を満たしているすべての保護対象者に支給される定期金
(b) 子に対し又は子に関して与えられる食物、衣類、住居、休暇又は家事手伝い
(c) (a)及び(b)の組合せ
第四三条
前条の給付は、少なくとも、拠出若しくは雇用について三箇月又は居住について一
年の資格期間のいずれかであって国内の法令で定めるものを所定の期間内に満たして
いる保護対象者に対して確保されなくてはならない。
第四四条
第四十二条の規定に従い保護対象者に対して支給される給付の価額の合計額は、次
のいずれかの額に相当するものでなければならない。
(a) 第六十六条に定める規則に従って決定する普通成年男子労働者の賃金の三パー
セントにすべての保護対象者の子の総数を乗じて得た額
(b) (a)の賃金の一.五パーセントにすべての居住者の一.五パーセントにすべての
居住者の子の総数を乗じて得た額
第四五条
給付は、定期金である場合には、給付事由が存続する間、支給する。
第八部 母性給付
第四六条
この部の規定の適用を受ける各加盟国は、この部の次の諸条の規定に従い、保護対
象者に対し、母性給付が与えられることを確保する。
第四七条
給付事由は、妊娠、分べん及びこれらの結果並びに国内の法令で定めるそれらに起
因する勤労所得の停止とする。
第四八条
保護対象者は、次のいずれかの者とする。
(a) すべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者のうちの
すべての女子及び、母性医療給付については、これらの女子のほか、当該所定の種類
に属する男子の妻
(b) すべての居住者の二十パーセント以上を構成する所定の種類の経済活動従事者
のうちのすべての女子及び、母性医療給付については、これらの女子のほか、当該所
定の種類に属する男子の妻
(c) 第三条の規定に基づく宣言が行われている場合には、二十人以上の者を使用す
る工業的事業所におけるすべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類
の被用者のうちのすべての女子及び、母子医療給付については、これらの女子のほ
か、当該所定の種類に属する男子の妻
第四九条
1 妊娠、分べん及びこれらの結果については、母性医療給付は、2及び3に規定す
る医療とする。
2 医療には、少なくとも次のものを含む。
(a) 医師又は資格のある助産婦による分べんの介助及び産前産後の手当
(b) 必要がある場合の病院への収容
3 2の医療は、保護対象者の健康、労働能力及び自己の用を足す能力を維持し、回
復し叉は改善することを目的として支給しなければならない。
4 母性医療給付を管理する団体又は官庁は、適当と認められる手段により、公の機
関叉は公の機関の認める団体によって保護対象者の利用に供された一般的な保護に関
する施設を保護対象者が利用することを奨励する。
第五〇条
妊娠、分べん及びこれらの結果に起因する勤労所得の停止については、給付は、第
六十五条又は第六十六条の要因に適合するように算定される定期金とする。定期金の
額は、その平均額が第六十五条又は第六十六条の要因に適合することを条件として、
給付事由が存する期間を通じて一定の額であることを要しない。
第五一条
前二条の給付は、給付事由が生じた場合には、少なくとも、第四八条に規定する所
定の種類に属する女子であって、濫用を防止するために必要と認められる資格期間を
満たしているものに対して確保しなければならない。第四十九条の給付は、また、第
四十八条に規定する所定の種類に属する男子がそのような資格期間を満たしていると
きは、その妻に対しても確保しなければならない。
第五二条
第四十九条及び第五十条の給付は,給付事由が存続する間、支給する。ただし、定
期金の支給期間は、国内の法令により十二週間を超える休業期間が要求され叉は認め
られている場合を除くほか、十二週間に制限することができる。国内の法令により十
二週間を超える休業期間が要求され叉は認められている場合には、定期金の支給期間
は、この休業期間に満たない期間に制限することができない。
第九部 廃疾給付
第五三条
この部の規定を受ける各加盟国は、この部の次の諸条の規定に従い、保護対象者に
対し、廃疾給付が与えられることを確保する。
第五四条
給付事由は、有償の活動に従事することができない状態(所定の程度のもの)であ
って、永久的なものとなるおそれがあるもの及び傷病給付の受給の終了後も存続する
ものとする。
第五五条
保護対象者は、次のいずれかの者とする。
(a) すべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者
(b) すべての居住者の二十パーセント以上を構成する所定の種類の経済活動従事者
(c) 給付事由の存する間における資産の価額が第六十七条の要件に適合するように
国内の法令で定める限度額を超えないすべての居住者
(d) 第三条の規定に基づく宣言が行われている場合には、二十人以上の者を使用す
る工業的事業所におけるすべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類
の被用者 第五六条
給付は次の定期金とする。
(a) 所定の種類の被用者又は所定の種類の経済活動従事者を保護対象者とする場合
には、第六十五条又は第六十六条の要件に適合するように算定される定期金
(b) 給付事由の存する間における資産の価額が所定の限度額を超えないすべての居
住者を保護対象者とする場合には、第六十七条の要件に適合するように算定される定
期金
第五七条
1 前条の給付は、給付事由が生じた場合には、少なくとも次のいずれかの者に対し
て確保しなければならない。
(a) 給付事由が生じる前に、拠出若しくは雇用について十五年又は居住について十
年の資格期間を所定の規則に従って満たしている保護対象者
(b) 原則としてすべての経済活動従事者を保護対象者とする場合には、拠出につい
て三年の資格期間を満たしている保護対象者であって、労働年齢にあった間に所定の
年平均納付回数の拠出金の納付が行われたもの
2 1の給付が拠出又は雇用について最小限の期間の満了を条件とする場合には、少
なくとも次のいずれかの者に対し、減額された給付を確保しなければならない。
(a) 給付事由が生ずる前に、拠出又は雇用について五年の資格期間を所定の規則に
従って満たしている保護対象者
(b) 原則としてすべての経済活動従事者を保護対象者とする場合には、拠出につい
て三年の資格期間を満たしている保護対象者であって、労働年齢にあった間に1(b)
にいう所定の年平均納付回数の二分の一の回数の拠出金の納付が行われたもの
3 第十一部の付表に掲げる関係標準受給者に係る百分率を当該百分率から百分の十
の率を減じた百分率とした上で同部の要件に適合するように算定された給付が、少な
くとも、拠出、雇用又は居住について五年の期間を所定の規則に従って満たしている
保護対象者に対して確保される場合には、1の要件は、満たされたものとみなす。
4 給付のために必要とされる資格期間が拠出又は雇用について五年を超え十五年に
満たない場合には、給付は、第十一部の付表に掲げる百分率を比例的に減算して得た
百分率により算定された給付とすることができる。この場合には、減額された給付を
2の規定に適合するように支給しなければならない。
第五八条
前2条の給付は、給付事由が存する間又は老齢給付が支給されることとなるまでの
間、支給する。
第十部 遺族給付
第五九条
この部の規定の適用を受ける各加盟国は、この部の次の諸条の規定に従い、保護対
象者に対し、遺族給付が与えられることを確保する。
第六〇条
1 給付事由は、扶養者の死亡の結果として●婦又は子が被る扶養の喪失とする。た
だし、●婦の給付を受ける権利については、国内の法令に従いその者が自活すること
ができない状態にあるとされることを条件とすることができる。
2 給付を受ける権利を有すべき者が所定の有償の活動に従事している場合に当該給
付を停止すること、並びに拠出制による給付については受給者の勤労所得が所定の額
を超える場合及び無拠出制による給付については受給者の勤労所得若しくは勤労所得
以外の資産の価額叉はこれらを合算した額が所定の額を超える場合に当該給付を減額
することを、国内の法令で定めることができる。
第六一条
保護対象者は、次のいずれかの者とする。
(a) すべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類の被用者のうち扶
養者であるものの妻及び子
(b) すべての居住者の二十パーセント以上を構成する所定の種類の経済活動従事者
のうち扶養者であるものの妻及び子
(c) 扶養者を失っており、かつ、給付事由の存する間における資産の価額が第六十
七条の要件に適合するように国内の法令で定める限度額を超えないすべての●婦及び
(子居住者であるものに限る。)
(d) 第三条の規定に基づく宣言が行われている場合には、二十人以上の者を使用す
る工業的事業所におけるすべての被用者の五十パーセント以上を構成する所定の種類
の被用者のうち扶養者であるものの妻及び子
第六二条
給付は、次の定期金とする。
(a) 所定の種類の被用者又は所定の種類の経済活動従事者を保護対象者とする場合
には、第六十五条又は第六十六条の要件に適合するように算定される定期金
(b) 給付事由の存する間における資産の価額が所定の限度額を超えないすべての居
住者を保護対象者とする場合には、第六十七条の要件に適合するように算定される定
期金
第六三条
1 前条の給付は、給付事由が生じた場合には、少なくとも次のいずれかの者に対し
て確保しなければならない。
(a) 扶養者が拠出若しくは雇用について十五年又は居住について十年の資格期間を
所定の規則に従って満たしている保護対象者
(b) 原則としてすべての経済活動従事者の妻及び子を保護対象者とする場合には、
保護対象者であって、その扶養者が拠出について三年の資格期間を満たしており、か
つ、当該扶養者について、労働年齢にあった間に所定の年平均納付回数の拠出金の納
付が行われたもの
2 1の給付が拠出又は雇用について最小限の期間の満了を条件とする場合には、少
なくとも次のいずれかの者に対し、減額された給付を確保しなければならない。
(a) 扶養者が拠出又は雇用について五年の資格期間を所定の規則に従って満たして
いる保護対象者
(b) 原則としてすべての経済活動従事者の妻及び子を保護対象者とする場合には、
保護対象者であって、その扶養者が拠出について三年の資格期間を満たしており、か
つ、当該扶養者について、労働年齢にあった間に1(b)にいう所定の年平均納付回数
の二分の一の回数の拠出金の納付が行われたもの
3 第十一部の付表に掲げる関係標準受給者に係る百分率を当該百分率から百分の十
の率を減じた百分率とした上で同部の要件に適合するように算定された給付が、少な
くとも、扶養者が拠出、雇用又は居住について五年の期間を所定の規則に従って満た
している保護対象者に対して確保される場合には、1の要件は、満たされたものとみ
なす。
4 給付のために必要とされる資格期間が拠出又は雇用について五年を超え十五年に
満たない場合には、給付は、第十一部の付表に掲げる百分率を比例的に減算して得た
百分率により算定された給付とすることができる。この場合には、減額された給付を
2の規定に適合するように支給しなければならない。
5 子を有しない●婦で自活することができない状態にあるとされるものが遺族給付
を受ける権利を取得するためには、婚姻が最小限の期間存続していたことを要件とす
ることができる。
第六四条
前2条の給付は、給付事由が存続する間、支給する。
第十一部 定期金の算定基準
第六五条
1 この条の規定の適用を受ける定期金については、給付の額と給付事由の存する期
間中に支給される家族手当の額との合計額が、当該給付事由に関し、この部の付表に
掲げる標準受給者にあっては、受給者又は受給者の扶養者の従前の労働所得の額と標
準受給者と同一の家族的責任を有する保護対象者に支給される家族手当の額との合計
額に同付表の百分率を乗じて得た額に少なくとも達するようにする。
2 受給者または受給者の扶養者の従前の勤労所得は、所定の規則によって計算す
る。保護対象者又は保護対象者の扶養者がその勤労所得にしたがって階層に分類され
ているときは、その者の従前の勤労所得は、その者が属していた階層の標準勤労所得
によって計算することができる。
3 給付の額又は給付の計算に当たって考慮される勤労所得については、最高限度を
国内の法令で定めることができる。ただし、この最高限度は、受給者又は受給者の扶
養者の従前の勤労所得が男子熟練労働者の賃金に等しく又はこれより低い場合につい
て1の規定が満たされるように定める。
4 受給者又は受給者の扶養者の従前の勤労所得、男子熟練労働者の賃金、給付及び
家族手当は、同一の時点を基礎として計算する。
5 標準受給者以外の受給者に対する給付は、標準受給者に対する給付と合理的な関
係になければならない。
6 この条件の適用上、男子熟練労働者は、次のいずれかの者とする。
(a) 電気機械製造業以外の機械製造業の取付工又は旋盤工
(b) 7の規定に基づいて選定される典型的な熟練労働者
(c) すべてに保護対象者のうちの七十五パーセントの者の勤労所得と比較してこれ
に等しいか又はこれを超えることとなる勤労所得を有する者。この場合において、勤
労所得は、国内の法令で定めるところにより一年又はこれより短い期間を基準とす
る。
(d) すべての保護対象者の勤労所得の平均の百二十五パーセントに等しい勤労所得
を有する者
7 6(b)の規定の適用上、典型的な熟練労働者は、当該給付事由に係る男子保護対
象者(経済活動に従事するもの)又は保護対象者の扶養者の最大多数を有する経済活
動の大分類中でこれらの男子保護対象者又は扶養者の最大多数を有する中分類におい
て雇用されている者のうちから選定する。このため、千九百四十八年八月二十七日に
国際連合経済社会理事会の第7回会期で採択された全経済活動の国際標準産業分類
(付属書に掲げるもの)又は改正される場合にはその改正後の分類を使用する。
8 給付の額が地域によって異なる場合には、男子熟練労働者を6及び7の規定に従
って地域ごとに決定することができる。
9 男子熟練労働者の賃金は、労働協約によって定められ、国内の法令の適用がある
ときはこれにより若しくはこれに基づいて定められ、又は慣習によって定められる通
常の労働時間の賃金(生計費手当があるときはこれを含む。)を基準として決定す
る。これらの賃金が地域によって異なり、かつ、8の規定が適用されない場合には、
中位の賃金を採用する。
10 老齢、業務災害(労働不能の場合を除く。)、廃疾及び扶養者の死亡に係る定期
金の額は、生計費のかなりの変動の結果として一般勤労所得水準にかなりの変動が生
じた場合には、再検討される。
第六六条
1 この条の規定の適用をを受ける定期金については、給付の額と給付事由の存する
期間中に支給される家族手当の額との合計額が、当該給付事由に関し、この部の付表
に掲げる標準受給者にあっては、普通成年男子労働者の賃金の額と標準受給者と同一
の家族的責任を有する保護対象者に支給される家族手当の額との合計額に同付表の百
分率を乗じて得た額に少なくとも達するようにする。
2 普通成年男子労働者の賃金並びに給付及び家族手当は、同一の時点を基礎として
計算する。
3 標準受給者以外の受給者に対する給付は、標準受給者に対する給付と合理的な関
係になければならない。
4 この条の規定の適用上、普通成年男子労働者は、次のいずれかの者とする。
(a) 電気機械製造業以外の機械製造業の典型的な不熟練労働者
(b) 5の規定に基づいて選定される典型的な不熟練労働者
5 4(b)の規定の適用上、典型的な不熟練労働者は、当該給付事由に係る男子保護
対象者(経済活動に従事するもの)又は保護対象者の扶養者の最大多数を有する経済
活動の大分類中でこれらの男子保護対象者又は扶養者の最大多数を有する中分類にお
いて雇用されている者のうちから選定する。このため、千九百四十八年八月二十七日
に国際連合経済社会理事会の第七回会期で採択された全経済活動の国際標準産業分類
(付属書に掲げるもの)又は改正される場合にはその改正後の分類を使用する。
6 給付の額が地域によって異なる場合には、普通成年男子労働者を4及び5の規定
に従って地域ごとに決定することができる。
7 普通成年男子労働者の賃金は、労働協約によって定められ、国内の法令の適用が
あるときはこれにより若しくはこれに基づいて定められ、又は慣習によって定められ
る通常の労働時間の賃金(生計費手当があるときはこれを含む。)を基準として決定
する。これらの賃金が地域によって異なり、かつ、6の規定が適用されない場合に
は、中位の賃金を採用する。
8 老齢、業務災害(労働不能の場合を除く。)廃疾及び扶養者の死亡に係る定期金
の額は、生計費のかなりの変動の結果として一般勤労所得水準にかなりの変動が生じ
た場合には、再検討される。
第六七条
この条の規定の適用を受ける定期金については、
(a) 給付の額は、所定の給付区分又は権限のある公の機関が所定の規則に従って定
める給付区分によって決定する。
(b) (a)の額は、受給者及びその家族の当該給付以外の資産の価額が所定のかなりの
額又は権限のある公の機関が所定の規則に従って定めるかなりの額を超える場合に限
り、その限度において減額することができる。
(c) 給付と給付以外の資産の価額との合計額から(b)のかなりの額を控除した額は、
受給者及びその家族が健康かつ相応な生活を維持するために十分であり、かつ、前条
の要件に適合するように算定された対応する給付の額を下回らない額でなければなら
ない。
(d) 当該部の規定に基づいて支払われた給付の総額が、前条の規定及び次に掲げる
規定を適用した場合に得られる給付の総額を三十パーセント以上超えるときは、(c)
に規定する要件は、満たされたものとみなす。
(1) 第三部については、第十五条(b)の規定
(2) 第五部については、第二十七条(b)の規定
(1) 第九部については、第五十五条(b)の規定
(1) 第十部については、第六十一条(b)の規定
第十一部の付表
┌─┬─────┬────────────────┬───┐
│部│給付事由 │ 標 準 受 給 者 │百分率│
├─┼─────┼────────────────┼───┤
│三│傷 病 │妻及び二子を有する男子 │ 四五│
│四│失 業 │妻及び二子を有する男子 │ 四五│
│五│老 齢 │年金受給資格年齢の妻を有する男子│ 四〇│
│六│業務災害 │ │ │
│ │ 労働不能│妻及び二子を有する男子 │ 五〇│
│ │ 廃 疾│妻及び二子を有する男子 │ 五〇│
│ │ 遺 族│二子を有する●婦 │ 四〇│
│八│母 性 │女子 │ 四五│
│九│廃 疾 │妻及び二子を有する男子 │ 四〇│
│十│ 遺 族│二子を有する●婦 │ 四〇│
└─┴─────┴────────────────┴───┘
第十二部 外国人居住者に対する均等待遇
第六八条
1 外国人居住者は、自国民居住者と同一の権利を有する。ただし、専ら又は主とし
て公の資金を財源とする給付又は給付の部分及び過渡的な制度については、外国人及
び自国の領域外で生まれた自国民に関する特別な規則を国内の法令で定めることがで
きる。
2 被用者を保護対象者とする拠出制の社会保障制度においては、当該部の義務を受
諾した他の加盟国の国民である保護対象者は、その部に関して自国民と同一の権利を
有する。ただし、この2の規定の適用については、相互主義を規定する二国間又は多
数国間の協定の存在を条件とすることができる。
第十三部
第六九条
第二部から第十部までのいずれかの部の規定に従い保護対象者に支給すべき給付
は、次の期間中又は次の場合には、所定の範囲内において停止することができる。
(a) その者が当該加盟国の領域内にいない期間
(b) その者が公の費用又は社会保障の団体若しくは事業の費用で生活を維持してい
る期間。ただし、この生活の維持のための費用の額を超える給付の部分は、受給者の
被扶養者に支給する。
(c) その者が他の社会保障給付(家族給付を除き、かつ、現金によるものに限る
。)を受けている期間及びその者が同一の事由について第三者から補償を受けている
期間。ただし、停止される給付の部分は、当該他の社会保障給付又は第3者による保
証の額を超えないものとする。
(d) その者が虚偽の請求をした場合
(e) 給付事由がその者の犯罪行為によって生じた場合
(f) 給付事由がその者の意図的な不当行為によって生じた場合
(g) 適当な場合において、その者が、その利用に供された医療若しくはリハビリ
テーションに関する施設の利用を怠り、又は給付事由の発生若しくは継続の確認若し
くは受給者の行うべき行為に関する所定の規則に従わない場合
(h) 失業給付については、その者がその利用に供された職業安定に関する施設を利
用しなかった場合
(i) 失業給付については、その者が労働争議による作業の停止の直接の結果として
失業し、又は正当な理由なしに自発的に退職した場合。
第七〇条
1 すべての請求人は、給付が拒否された場合又は給付の質若しくは量に関する不服
がある場合に申立てを行う権利を有する。
2 この条約の適用上、立法機関に対して責任を追う官庁によって医療が管理されて
いる場合には、医療の拒否又は受けた医療の質に関する不服については、適当な機関
に対して審査を請求する権利を持って、1に定める申立てを行う権利に代えることが
できる。
3 社会保障に関する問題の処理のために設置され、かつ、保護対象者の代表者が参
加する特別の裁定機関によって請求が解決される場合には、申し立てを行う権利は、
与えることを要しない。
第七一条
1 この条約に基づく給付に要する費用及び当該給付の管理に要する費用は、資産の
少ない者が過重な負担を被らないように、かつ、加盟国及び各種類の保護対象者の経
済状態を考慮して、保険拠出金若しくは税又はこれらの双方によって集団的に負担さ
れなければならない。
2 保護対象者である被用者が負担する保険拠出金の総額は、被用者並びにその妻及
び子の保護にあてられる財源の総額の五十パーセントを超えないものとする。この条
件が満たされているかどうかを確認するに当たっては、加盟国が行うこの条約に基づ
く給付は、家族給付及び特別の部門により行われる場合における業務災害給付を除く
ほか、そのすべてを全体として考慮することができる。
3 加盟国は、この条約に基づく給付の適正な支給について一般的な責任を負い、か
つ、この目的のために必要なすべての措置をとるものとし、また、財政的均衡に関し
て必要な保険数理上の研究及び計算が、定期的に、かつ、いかなる場合にも給付の変
更、保険拠出金の額の変更叉は当該給付事由を対象とする給付にあてられる税の変更
に先立って、行われることを適宜確保する。
第七二条
1 公の機関の規制を受ける団体又は立法機関に対して責任を負う官庁によって管理
が行われていない場合には、保護対象者の代表者は、所定の条件にしたがって、運営
に参加し又は顧問の資格でこれに参与する。使用者及び公の機関の代表者の参加につ
いても、国内の法令において定めることができる。
2 加盟国は、この条約の適用に関与する団体及び事業の適切な管理について一般的
責任を負う。
第十四部 雑則
第七三条
この条約は、次のものについては適用しない。
(a) 当該部が当該加盟国について効力を生じる前に生じた事由
(b) 当該部が当該加盟国について効力を生じた後に生ずる事由に係る給付であっ
て、給付を受ける権利がこの効力を生じた日前の機関に由来するもの。
第七四条
この条約は、現存するいずれに条約をも改正するものとみなしてはならない。
第七五条
この条約において取り扱われている事項に関して将来総会が採択する条約にその旨
の規定がある場合には、当該条約に明記するこの条約の規定は、当該条約を批准した
加盟国について当該条約が効力を生ずる日から、その加盟国について適用されなくな
る。
第七六条
1 この条約を批准する各加盟国は、国際労働機関憲章第二十二条の規定に従って提
出するこの条約の適用に関する年次報告中に次のものを含める。
(a) この条約の規定を実施する法令に関する十分な情報
(b) 次に掲げる規定に定める統計的条件を満たしていることについての証拠。証拠
を表示するに当たっては、国際労働機関の理事会が表示の統一化に関して行った示唆
に実行可能な限り従うものとする。
(1) 保護対象者の数に関し、第九条(a)、(b)、(c)若しくは(d)、第十五条(a)、(
b)若しくは(d)第二十一条(a)若しくは(c)、第二十七条(a)、(b)若しくは(d)、第三十
三条(a)若しくは(b)、第四十一条(a)、(b)若しくは(d)、第四十八条(a)、(b)若しく
は(c)、第五十五条(a)、(b)若しくは(d)又は第六十一条(a)、(b)若しくは(d)の規定
(2) 給付の額に関し、第四十四条、第六十五条、第六十六条又は第六十七条の規
定
(3) 傷病給付の支給期間に関し、第十八条2(a)の規定
(4) 失業給付の支給期間に関し、第二十四条2の規定
(5) 保護対象者である被用者の保険拠出金が財源中に占める割合に関し、第七十
一条2の規定
2 この条約を批准する各加盟国は、第二部から第十部までのうちその批准に際し又
は第四条の規定に基づきその後に行う通告において指定しなかった部に関する自国の
法律及び慣行の現況を、理事会が要請する適当な間隔をおいて、国際労働事務局長に
報告する。
第七七条
1 この条約は、海員又は海上漁船員については適用しない。海員及び海上漁船員の
保護のための規定は、国際労働機関の総会によって採択された千九百四十六年の社会
保障(船員)条約及び千九百四十六年の船員年金条約中に設けられている。
2 加盟国は、第二部から第十部までのうちその批准によって義務を受諾した部の規
定に基づいて保護対象者とされる被用者又は居住者に係る百分率を計算するに当た
り、海員及び海上漁船員を被用者、経済活動従事者又は居住者の数から除外すること
ができる。
第十五部 最終規定
第七八条
この条約の正式の批准は、登録のため国際労働事務局長に通知する。
第七九条
1 この条約は、国際労働機関の加盟国でその批准が事務局長に登録されたもののみ
を拘束する。
2 この条約は、二の加盟国の批准が事務局長に登録された日の後十二箇月で効力を
生ずる。
3 その後は、この条約は、いずれの加盟国についても、その批准が登録された日の
後十二箇月で効力を生ずる。
第八十条
1 国際労働憲章第三十五条2の規定に従って国際労働事務局長に通知する宣言に
は、次の事項を示さなければならない。
(a) 当該加盟国が、この条約又はこの条約のいずれかの部の規定を変更を加えずに
適用することを約束する地域
(b) 当該加盟国が、この条約又はこの条約のいずれかの部の規定を変更を加えて適
用することを約束する地域及びその変更の細目
(c) この条約を適用できない地域及びその適用する事ができない理由
(d) 当該加盟国が更に事情を検討する間決定を留保する地域
2 1(a)及び(b)に掲げる約束は、批准の不可分の一部とみなされ、かつ、批准と同
一の効力を有する。
3 いずれの加盟国も、1(b)、(c)又は(d)の規定に基づきその最初の宣言において
行った留保の全部又は一部をその後の宣言によっていつでも取り消すことができる。
4 いずれの加盟国も、第八十二条の規定に従ってこの条約を廃棄することができる
期間中はいつでも、前の宣言の条項を他の点について変更し、かつ、指定する地域に
関する現況を述べる宣言を、事務局長に通知することができる。
第八一条
1 国際労働機関憲章第三十五条4又は5の規定に従って国際労働事務局長に通知す
る宣言は、その宣言によって受諾するこの条約又はこの条約のいずれかの部の規定を
当該地域内で変更を加えずに適用するか又は変更を加えて適用するかを示さなければ
ならない。その宣言は、この条約又はこの条約のいずれかの部の規定を変更を加えて
適用することを示している場合には、その変更の細目を示さなければならない。
2 関係のある一若しくは二以上の加盟国又は国際機関は、前の宣言において示した
変更を援用する権利の全部又は一部をその後の宣言によっていつでも放棄することが
できる。3 関係のある一若しくは二以上の加盟国又は国際機関は、次条の規定に従
ってこの条約を廃棄することが出来る期間中はいつでも、前の宣言の条項を他の点に
ついて変更し、かつ、この条約の適用に関する現況を述べる宣言を、事務局長に通知
することができる。
第八二条
1 この条約を批准した加盟国は、この条約が最初に効力を生じた日から十年を経過
した後は、登録のため国際労働事務局長に送付する文書によってこの条約叉は第二部
から第十部までのうち一若しくは二以上の部を廃棄することができる。その廃棄は、
登録された日の後一年間は効力を生じない。
2 この条約を批准した加盟国で、一に定める十年の期間が満了した後一年以内にこ
の条に規定する廃棄の権利を行使しないものは、更に十年間拘束を受けるものとし、
その後は、十年の期間が満了するごとに、この条に定める条件にしたがってこの条約
叉は第二部から第十部までのうち一若しくは二以上の部を廃棄することができる。
第八三条
1 国際労働事務局長は、国際労働機関の加盟国から通知を受けたすべての批准、宣
言及び廃棄の登録をすべての加盟国に通告する。
2 事務局長は、通知を受けた二番目の批准の登録を国際労働機関の加盟国に通告す
る際に、この条約が効力を生ずる日につき加盟国の注意を喚起する。
第八四条
国際労働事務局長は、国際連合憲章第百二条の規定による登録のため、前諸条の規
定に従って登録されたすべての批准、宣言及び廃棄の完全な明細を国際連合事務総長
に通知する。
第八五条
国際労働機関の理事会は、必要と認めるときは、この条約の運用に関する報告を総
会に提出するものとし、また、この条約の全部叉は一部の改正に関する問題を総会の
議事日程に加えることの可否を検討する。
第八六条
1 総会がこの条約の全部叉は一部を改正する条約を新たに採択する場合には、その
改正条約に別段の規定がない限り、
(a) 加盟国によるその改正条約の批准は、その改正条約の効力発生を条件として、
第八十二条の規定にかかわらず、当然にこの条約の即時の廃棄を伴う。
(b) 加盟国による批准のためのこの条約の開放は、その改正条約が効力を生ずる日
に終了する。
2 この条約は、これを批准した加盟国で1の改正条約を批准していないものについ
ては、いかなる場合にも、その現在の形式及び内容で引き続き効力を有する。
第八七条
この条約の英文及びフランス文は、ひとしく正文とする。
附属書(略)
以上は、国際労働機関の総会が、ジュネーブで開催されて千九百五十二年六月二十
八日に閉会を宣言されたその第三十五回会期において、正当に採択した条約の真正な
本文である。
以上の証拠として、我々は、千九百五十二年七月4日に署名した。
(署名略)
附属及び関係法令 + + +
健康保険法 (対象一一・ 四・二二法 七〇)
(大正一五・ 七・ 一施 行)
厚生年金保険法 (昭和二九・ 五・一九法 一一五)
(昭和二九・ 五・一九施 行)
(昭和二九・ 五・ 一適 用)
雇用保険法 (昭和四九・一二・二八法 一一六)
(昭和五〇・ 四・ 一施 行)
国民年金法 (昭和三四・ 四・一六法 一四一)
(昭和三四・一一・ 一施 行)
労働者災害補償保険法 (昭和二二・ 四・ 七法 五〇)
(昭和二二・ 九・ 一施 行)
船員法 (昭和二二・ 九・ 一法 一〇〇)
(昭和二二・ 九・ 一施 行)
国家公務員災害補償法 (昭和二六・ 六・ 二法 一九一)
(昭和二六・ 七・ 一施 行)
地方公務員災害補償法 (昭和四二・ 八・ 一法 一二一)
(昭和四二・一二・ 一施 行)
国家公務員等共済組合法 (昭和三三・ 五・ 一法 一二八)
(昭和三三・ 七・ 一施 行)
地方公務員等共済組合法 (昭和三七・ 九・ 八法 一五二)
(昭和三七・一二・ 一施 行)
商船における裁定基準に関する条約 (昭和五八・ 六・一一条 四)
(昭和五九・ 五・三一発 効)
REV: 20161025