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エーバルト・クロー「オーフス制度について」(デンマーク)



◆Krog, Evald 1993=19940510 大熊由紀子監修・片岡豊訳,『クローさんの愉快な苦労話――デンマーク式自立生活はこうして誕生した』,ぶどう社,150p. ISBN-10: 4892401137 ISBN-13: 978-4892401138 1600 [amazon][kinokuniya] ※ md. n02h.

■オーフス制度の仕掛け人、エーバルト・クロー氏来日

 以下,「障害者自立生活・介護制度相談センター」の提供

 1994年4月号より

 デンマークで始まり、スウェーデン・フィンランド・オランダ・米国の一部に広
がった『オーフス制度』の仕掛け人、エーバルト・クロー氏(筋ジス協会会長)が
94年5月来日する。デンマークでは、筋ジス会を先頭とした当事者グループが、
70年代後半に、オーフスで市と交渉し、制度を作り出して来た。その後、各地で
当事者によって同じような制度が作られ、87年にはデンマーク国会は、多くの市
でやられていることへの現状追認の形での法改正を行わざるを得なかった。これに
よって、制度が全国で適用されることになった。ヨーロッパで広く行われているこ
の制度は、発祥地の名前を取って『オーフス制度』と呼ばれるようになった。

デンマーク・オーフスの制度いろいろ

 オーフス方式のヘルパー(パーソナルヘルパー。国際的にはパーソナルアシスタ
ントとも呼ぶ)は、障害者が広告を出して面接して選ぶ。雇用管理は障害者が行い、
勤務簿を市に報告、それにあった給料が市からヘルパーの口座に払われる。金銭管
理に慣れていない障害者にも対応できるよう、長年の試行錯誤の上、こうなった。

 オーフス市の人口は27万人。デンマーク第2の都市。

 現在は24時間態勢でヘルパーを雇えるが、1976年に生活支援法ができ、筋
ジス会の会長のクロー氏が同法56条を根拠に、ヘルパー費用支給の交渉を始めた
ときには、週60時間が上限だった。
 76年には週60時間だった制度が、翌年には週80時間になり、オーフス市は
先駆的な施策を行うと、あちこちから高く評価されるようになった。
 77年から81年にかけてクロー氏を初めとする自立障害者グループは、市や一
部議員と共同で自立生活支援の改善と制度化を進めて行った。56条の代わりに
48条を使い介助時間分の全額を支給できると解釈させた。ヘルパーの採用、解雇、
給料の支払い方法もトラブルの元になる要素を取り除いて行った。
 こうしてオーフス制度の原型が形成されて行った。77年頃には24時間要ヘル
パーの障害者にとって必要時間の半分しか補助されなかったので、半分の給料で働
く人を見つけねばならなかったが、80年代後半には全額出るようになり、容易に
ヘルパーを確保できるようになった。

 オーフス方式のヘルパーは、市のヘルパーと全く同様、疾病日当、有給休暇、夜
間休日手当、出産有給休暇などがある。


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