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米国における障害児教育




Meijer, Cor J. W. ; Pijl, Sip Jan ; Hegarty, Seamus 1994
New Perspectives in Special Education : A Six-Country Study of Integration
Routledge 
=19971020 渡邊益男監訳,
『特別なニード教育への転換──統合教育の先進6カ国比較研究』
川島書店,200p. 2400

より一部引用

「この法律(「全障害児教育法」…引用者記)の導入以来,なんらかの形で特別な
教育を受けている生徒の数は,人口が減少している中で着実に増加してきている。
6歳から17歳の人口中のパーセンテージは,1977年には 6.7%だったものが,1989
年には 9.5%に増加した(Department of Education, 1990)。
 ……
 こうした増加の重要な部分は,学習障害,情緒障害,重複障害としてサービスを
受ける生徒数の増加によるものであると思われる。例えば,ここ10年で,学習障害
児(LD)の数は2倍以上(80万人から 190万人)に増加した。精神遅滞,言語障
害としてサービスを受ける生徒の数は1977年以(p.78)来減少してきたことが注目さ
れるべきである(ただし後者はここ数年で増加しつつある)。この他の障害状態に
ついては,障害をもつ生徒全体の 3.6%を占めるにすぎず,その数はかなり安定し
ている。
 増加のもう一つ別の要因は,3歳から5歳の子どもに見ることができる。とくに,
この年代層にサービスを広げるための実質的な誘因となった1986年障害児教育法改
正のあと,増加の歩みは劇的に速まっている。(p.79)」

「障害児に対する措置選択は次のとおりである。

1 通常学級:生徒は,その教育の大部分を通常学級で受け,学校時間の21%未満
  を,通常学級の内あるいは外で特別な教育を受ける。
2 リソースルーム:生徒は学校時間の21〜60%の時間,特別な教育を受け,一日
  の残りの時間は通常学級の授業に参加する。
3 分離学級:生徒は学校時間の60%より多くの時間,特別な教育を受け,パート
  タイムで通常学級の授業を受ける。
4 分離学校施設:生徒は学校時間の半分より多くの時間,分離学校(あるいは寄
  宿施設)で特別な教育を受ける。

これらの措置選択の中で,特別なサービスはさまざまな形態をとることができる。
すなわち,巡回サービス(言語療法士のようなサポート職員による小集団における
個別教育),クラス内サービス(チューター,補助員,通訳による通常学級におけ
る付加的サービス),あるいは,教師へのサービス(児童の教師が付加的なサポー
トを受ける)などである。
 特別なニーズをもつ生徒のかなり多くの者が,通常学校の建物の中でサービスを
受けているが,その内訳は,通常学級(29%),リソース・ルーム(40%),分離
学級(24%)である(これらのパーセンテージは6歳から21歳までについての数値
である)(Department of Education, 1990)特別なニーズをもつ子どもたちのう
ち,分離学校で教育を受けているのはわずか5%だけである。

 表5.1 合衆国:障害条件別・教育環境別6歳から21歳の青少年のパーセンテージ
     :1987−8年度

障害条件   通常学級 リソース・ルーム 分離学級 分離学校 寄宿制施設 家庭/病院

学習障害     17.6 59.2 21.7 1.4 0.1 0.1
言語障害 74.8 19.7 3.8 1.5 0.1 0.1
精神遅滞 5.7 24.0 57.6 11.4 1.0 0.3
情緒障害 12.6 32.9 34.6 14.3 3.5 2.2
難聴・聾 24.4 20.9 35.2 10.8 8.6 0.2
重複障害 6.4 13.3 45.9 27.2 4.0 3.1
肢体障害 27.8 18.0 31.8 13.2 1.0 8.3
他の健康障害 30.6 20.8 18.7 9.5 0.8 19.6
視覚障害 37.7 25.6 20.8 5.4 10.0 0.6
盲聾二重障害 8.9 7.2 35.1 21.0 24.2 3.7

障害条件合計 28.9 40.0 24.7 4.9 0.8 0.7

 資料:Department of Education, 1990
 注:50州とコロンビア特別区,プエルトリコからのデータを含む数値.
   3−5歳の子どもの教育措置は障害の条件別には報告されていない.
 (p.82)

 特別なニーズをもつ生徒のさまざまなグループに対して行われている措置選択は,
表 5.1に示されている。(p.83)」

 これは第5章「アメリカ合衆国」の一部です(著者はシップ・ヤン・ペイル=
Pijl, Sip Jan)

 この本の章立ては以下のようになっています。

序章
第1章 枠組み,方法および手順
第2章 イタリア
第3章 デンマーク
第4章 スウェーデン
第5章 アメリカ合衆国
第6章 イギリス
第7章 オランダ
第8章 結論の分析
第9章 インテグレーションと教育
第10章 インテグレーションの途再考──過去から何を学ぶことができるか

cf.
明治学院大学の山口薫さんが、よく引き合いに出す数字に
以下があります。(長瀬修氏より)

             日本%   米国%
盲聾養護学校       0.37    0.4
特殊学級         0.51    2.3
通級(リソースルーム)  0.106    4.0
通常学級での特殊教育    -     2.5
_________________________________________
             0.986    9.2

(「SNEジャーナル」第1号、151頁)

REV: 20161025
アメリカ合衆国  ◇障害者と教育
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