スーダン共和国 〜2007年6月
アフリカ/アフリカ Africa 2019
作成:斉藤龍一郎*
*(特活)アフリカ日本協議会理事、生存学研究所運営委員
○最新のニュース、企画案内 → スーダン共和国
○外務省 各国・地域情勢 スーダン共和国
◆1992/10/24 日本経済新聞 スーダンへの援助見直しを大使に伝達 外務省局長
◆2005/04/14 JANJAN 女性団体、女性が3割比率を要求する
◆2005/04/14 JANJAN スーダン支援国会合:各国、女性支援重視の支援を求められる
◆2005/08/15 JANJAN カリスマ指導者の死亡が暴動と憶測の引き金に
◆2005/09/21 JANJAN かろうじて人々の記憶にとどまるダルフール危機
◆2006/01/17 JANJAN 人権団体、スーダン問題解決に国連の特別大使設置を要求
◆2006/02/09 JANJAN ダルフール問題で米政府に安保理決議を迫る
◆2006/03/01 JANJAN ダルフール紛争が国境を越えチャドへ
◆2006/04/02 JANJAN スーダン:問題解決からは未だ程遠い国内事情
◆2006/04/13 JANJAN スーダン政権への制裁を強化する米議会
◆2006/05/02 JANJAN スーダン:人々を悩ます道路修復と地雷処理
◆2006/06/11 JANJAN ダルフール状況、悪化の一途
◆2006/06/20 JANJAN スーダン難民とホロコーストの記憶
◆2006/08/18 JANJAN スーダン:ダルフール和平合意が暴動を激化
◆2006/10/13 JVCスーダン報告会「車両整備が出発点−手に職つけた帰還難民たちが、復興を担う」
◆2006/11/07 asahi.com スーダン 依然として続く緊急事態 国境なき医師団@スーダン
◆2006/11/17 国境なき医師団 西ダルフール州:攻撃激化により一般市民への援助が閉ざされる
◆2006/11/17 国境なき医師団 「人びとの苦悩という点で、事態は危機的」 -MSFインターナショナル会長へのインタビュー-
◆2006/11/17 国境なき医師団 ダルフールで実際に圧力を感じているのは誰か
◆2006/11/27 国境なき医師団 ダルフールの罠に捕らわれて
◆2007/01/04 JANJAN 2006−2007年の課題:ダルフール危機、依然深刻
◆2007/01/20 スーダン:暴力拡大で避難を余儀なくされる支援ワーカー
◆2007/01/23 中国情報局NEWS 胡錦涛国家主席、スーダンなどアフリカ8カ国訪問へ
◆2007/01/31 世界の医療団 スーダンのダルフールでの支援活動を無期限に停止
◆2007/02/06 asahi.com スーダン・ダルフール地方 現地報告
◆2007/02/06 国境なき医師団 西ダルフール州:暴力により新たに避難した人びとは孤立し、援助を受けられずにいる
◆2007/02/08 中国情報局NEWS 中国鉄路工程:スーダンで鉄道工事を受注
◆2007/02/20 JANJAN ウガンダ:和平交渉、スーダン中立性巡り難航
◆2007/03/07 JANJAN 政治:スーダン、国連の調査団を拒否
◆2007/03/12 asahi.com 「政府が犯罪行為」 ダルフール問題で国連人権理調査団
◆2007/03/12 asahi.com スーダン大統領、国連支援団の受け入れ保留
◆2007/03/12 yomiuri.co.jp 映画評「約束の旅路」 (フランス)
◆2007/03/13 中国情報局NEWS スーダン大統領:中国石油の作業員に「野菜おいしい」
◆2007/03/14 asahi.com スーダン法相、調査団報告書を否定 ダルフール問題
◆2007/03/14 asahi.com 英国、スーダンに新たな制裁決議案検討
◆2007/03/14 yomiuri.co.jp 「核廃絶賛同」20か国から返事…高校生1万人署名実行委
◆2007/03/19 外務省 スーダン、パレスチナ、モザンビークに対するFAO(国連食糧農業機関)を通じた貧困農民支援について
◆2007/03/31 asahi.com ダルフールの人権状況改善に、作業グループ設置へ 国連
◆2007/04/01 nikkeibp.co.jp 国連人権理閉幕、ダルフール問題で決議は「骨抜き」
◆2007/04/01 NIKKEI NET 国連人権理閉幕、ダルフール問題で決議は「骨抜き」
◆2007/04/02 asahi.com ダルフール難民への援助 現地報告 チャド@国境なき医師団
◆2007/04/02 時事ドットコム スーダンと軍事協力強化=中国
◆2007/04/03 時事ドットコム ダルフール問題でAUと協議へ=国連総長
◆2007/04/09 時事ドットコム スーダンがAU部隊への国連の増派を了承=ダルフールの平和維持で
◆2007/04/10 yomiuri.co.jp ダルフールからの越境民兵、チャドで住民200人以上殺害
◆2007/04/11 Sankeiweb 現地の衛星画像を提供 ダルフール危機に監視の目を
◆2007/04/11 ITmedia News ダルフール紛争の現状がGoogle Earthのレイヤーに
◆2007/04/11 時事ドットコム チャド、スーダン両軍が国境で衝突=双方に多数の死傷者
◆2007/04/16 cnn.co.jp スーダン、ダルフールへの国連部隊展開に同意か
◆2007/04/17 東京新聞 スーダンが国連PKO了承 3段階派遣計画の2段階目
◆2007/04/17 東京新聞 PKO要員の派遣急ぐ ダルフール情勢で潘氏
◆2007/04/17 yomiuri.co.jp ダルフールに国連PKO3000人、スーダン受け入れ表明
◆2007/04/17 asahi.com 支援活動の「屋台骨」 JEN@スーダン
◆2007/04/17 asahi.com スーダン、国連の戦闘ヘリ派遣を受け入れへ
◆2007/04/17 くまにちコム スーダンが国連PKO了承 3段階派遣計画の2段階目
◆2007/04/17 くまにちコム PKO要員の派遣急ぐ ダルフール情勢で潘氏
◆2007/04/17 毎日新聞 スーダン:国連のPKO受け入れへ ダルフール紛争で
◆2007/04/17 毎日新聞 スーダン:ダルフール紛争への国連部隊受け入れを表明
◆2007/04/18 毎日新聞 スーダン:ダルフール紛争、治安回復には程遠く
◆2007/04/19 国境なき医師団 ダルフール地方におけるMSFの活動 −4月4日現在−
◆2007/04/19 東京新聞 国連機偽装し住民空爆 スーダン、国際法違反か
◆2007/04/19 毎日新聞 米大統領:スーダン・ダルフール紛争で制裁強化を警告
◆2007/04/19 NIKKEI NET 米大統領、スーダンに制裁強化を警告
◆2007/04/20 国境なき医師団 スーダン・北ダルフール州:孤立した地域社会に援助を届ける試み
◆2007/04/20 毎日新聞 スーダン:ダルフール紛争 ブッシュ米大統領、制裁強化を警告
◆2007/04/21 緑のサヘル 第36回報告会 スーダン難民と住民と共に〜二重の緊張状態にあるチャドで @横浜
◆2007/04/23 国境なき医師団 スーダン・ダルフール地方:「正しい問い、誤った答え」−プログラム副管理者へのインタビュー
◆2007/05/01 JANJAN 中国、ダルフールへの国際部隊派遣を自らの功績に
◆2007/05/10 yomiuri.co.jp ダルフール紛争、和平の動き停滞…集落やNGOに襲撃続く
◆2007/05/10 NIKKEI NET 中国、「アフリカ事務特別代表」新設・スーダンの紛争に対応
◆2007/05/11 時事ドットコム 米、中国のアフリカ特別代表任命を歓迎=ダルフール紛争終結へ行動促す
◆2007/05/11 www.people.ne.jp 中国、ダルフールに工兵分隊275人を派遣
◆2007/05/11 朝鮮日報 ダルフール紛争:中国、アフリカ事務特別代表を設置
◆2007/05/11 IBTimes 中国政府、アフリカ事務特別代表の新設で批判回避
◆2007/05/20 NIKKEI NET 仏外相、ダルフールを優先課題に
◆2007/05/23 時事ドットコム 制裁の脅しは平和をもたらさない=ダルフール紛争で中国が警告
◆2007/05/25 cnn.co.jp サルコジ新大統領が年内に訪中、胡主席の招待受諾
◆2007/05/28 時事ドットコム ダルフール問題などで中国と直接協議へ=欧州諸国、ASEM外相会合で
◆2007/05/29 時事ドットコム 対スーダン制裁を強化=安保理決議案の採択も目指す−米大統領
◆2007/05/29 Sankeiweb 米大統領、スーダンへの制裁強化
◆2007/05/30 AFP BB News 米政府の新たな対スーダン制裁、安保理制裁決議の採択も模索
◆2007/05/30 毎日新聞 米大統領:スーダン制裁強化を発表 紛争抑止を目的に
◆2007/05/30 毎日新聞 中国:米国の対スーダン制裁強化に反対
◆2007/05/30 毎日新聞 G8外相会合:スーダンの人権抑圧問題を協議へ
◆2007/05/30 北海道新聞 米、スーダン制裁強化 安保理制裁も協議へ
◆2007/05/30 cnn.co.jp 対スーダン制裁強化、米大統領が発表
◆2007/05/30 asahi.com 米大統領、スーダンへの新たな制裁に言及
◆2007/05/30 asahi.com 米、スーダンに追加制裁 安保理決議採択目指す
◆2007/05/30 NIKKEI NET 米大統領、スーダン制裁を強化
◆2007/05/31 asahi.com スーダンに安保理が訪問団 部隊展開など協議へ
◆2007/06/01 毎日新聞 スーダン:ダルフール紛争 制裁か対話か 米英と欧州、独サミットで議論へ
◆2007/06/01 毎日新聞 G8:スーダンのダルフール紛争、主要議題の一つに
◆2007/06/02 asahi.com 「ダルフールと北京五輪は、別問題」と国連事務総長
◆2007/06/05 NIKKEI NET 米大統領「ロシア、改革脱線」・中国も批判
◆2007/06/06 米上院議員、ダルフール介入を要求
◆2007/06/07 Sankeiweb ダルフール虐殺黙認 「中国に抗議」米下院決議
◆2007/06/08 時事ドットコム スーダンに国連・AU合同部隊の速やかな受け入れを要求=米国
◆2007/06/12 ナショナル ジオグラフィック 南スーダンで野生動物の巨大な群れを発見 数十年にわたる内戦を生き抜く
◆2007/06/13 時事ドットコム 国連・AU合同部隊受け入れ=ダルフール紛争でスーダン政府
◆2007/06/13 cnn.co.jp スーダン、ダルフールPKO部隊受け入れ
◆2007/06/14 毎日新聞 スーダン:ダルフールへの平和維持部隊受け入れで合意
◆2007/06/14 毎日新聞 スーダン:ダルフール紛争 平和維持部隊の受け入れで合意−−スーダンとAU
◆2007/06/14 Sankeiweb 米女優、“聖火リレー”で中国に抗議
◆2007/06/15 国境なき医師団 MSF、スーダン政府より「2007年ボランティアNGO賞」を受賞 −MSFはスーダン政府のダルフール危機における責任について強調−
◆2007/06/15 asahi.com ダルフールへのPKO「数カ月で派遣」 国連事務次長
◆2007/06/17 AFP BB News 国連事務総長「ダルフール紛争は気候変動が原因」
◆2007/06/17 時事ドットコム 合同部隊の速やかなダルフール展開を協議=国連安保理とAU
◆2007/06/18 asahi.com ダルフールへの合同部隊無条件受け入れで正式合意
◆2007/06/18 時事ドットコム 合同部隊のダルフール展開、スーダン大統領が受け入れ確認=安保理代表団
◆2007/06/19 毎日新聞 不安定な国:スーダンに次ぎイラク2位 米外交誌
◆2007/06/21 NIKKEI NET 米中が高官対話、ダルフール情勢など協議
◆2007/06/26 NIKKEI NET 日本、ダルフール紛争解決に18億円の支援実施を表明
◆2007/06/26 asahi.com 国連総長、ダルフール問題で中国の建設的役割を称賛
◆2007/06/27 中日新聞 温暖化で気候難民 2050年に10億人予測も
◆2007/06/27 Sankeiweb 【湯浅博の世界読解】対中非難決議の方こそ注目を
◆2007/06/27 外務省 スーダン・ダルフール情勢に係る拡大コンタクト・グループ会合(概要と評価)
◆2007/06/28 NIKKEI NET 社説2 スーダンの悲劇放置するな
○ni Japan 2007年6月号 特集/ダルフールを見捨てるな
ニュー・インターナショナリスト・ジャパン編・発行 定価600円 必要な方はこちらへ
内容
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イントロダクション スーダンレッド
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ダルフールの戦争と平和
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ダルフール その事実と経過
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レイプという武器
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アフリカの苦悩と団結
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石油開発とつくられた紛争
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コンタクトポイント
【News Sites】
○allafrica.com http://allafrica.com/sudan/
○BBC Country profile: Sudan
○Jeune Afrique Soudan
○ダルフール・ニュース http://darfur-news.seesaa.net/
○アフリカNOW 78号
特集:アフリカ障害者の10年〜アフリカの障害者の取り組みは今
2007年10月20日発行 一部500円(送料実費) 必要な方はAJF事務局こちらへ
内容
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座談会:視覚障害者が高等教育で学ぶ〜スーダンと日本の経験を語る
モハマド・オマル・アブディン、青木慎太朗、星加良司、福地健太郎
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視覚障害者の情報保障の技術と課題 斉藤龍一郎
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後紛争国ルワンダにおける障害者の現状 曽田夏記
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アフリカ障害者の10年 African decade of persons with disabilities 中西由紀子
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日本から「アフリカ障害者の10年」を支援する 宮本泰輔
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アフリカの現場から〜ルワンダ On the spot in Africa / Rwanda 加藤悦子
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『見る・つくる・知る おしゃれなアフリカ』シリーズを完成して 白鳥くるみ
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書評:”Witness to AIDS” Book Review: “Witness to AIDS” 米良彰子
【参考図書】
民族紛争を生きる人びと―現代アフリカの国家とマイノリティ
栗本英世著 世界思想社 ¥2,345 四六版 1996年4月 [amazon]
近代スーダンにおける体制変動と民族形成
栗田禎子著 世界思想社 ¥19,950 809p A5版 2001年3月 [amazon]
スーダンへの援助見直しを大使に伝達 外務省局長
日本経済新聞
1992.10.24
外務省の小原中近東アフリカ局長は23日、オマル駐日スーダン大使と会い、同国に対する援助を見直す方針を伝えた。日本政府がかねて懸念を表明していた同国の人権問題について事態の改善が進まないためで、当面、援助は緊急人道的なものに限定する。
小原局長は、一、スーダン政府が拘禁した国際援助機関職員の処遇状況や処刑手続きの公開、二、市民が不当拘留されていつジュバでの現地査察受け入れーーの二点を要請した。日本政府はスーダンに対し、無償資金援助を91年度まで累計680億円実施している。
女性団体、女性が3割比率を要求する(04/11)
4月10日ノルウェー政府、国連女性開発基金、ノルウェー国際研究所の主催で開催されたスーダン支援会議で、スーダンの女性団体は和平合意後の新しい政体において女性が占めるポストの割合を少なくとも30%確保するよう要求した。具体的には、憲法草案作成・審議過程、暫定機関及び今回の包括的和平合意の下で設立される全ての委員会においてその枠組みを適用するよう求めている。この要求は、4月11日からスーダンで開催されている支援国会合において審議されることとなっている。
スーダン支援国会合:各国、女性支援重視の支援を求められる(04/11)
今年1月のスーダン政府とスーダン人民開放運動/軍(SPLM/A)の和平合意を受けてノルウェーのオスロでスーダン支援国会合が2日間に亘って開催された。(日本からは逢沢一郎外務副大臣が参加:IPSJ)スーダンは21年に及んだ戦乱で国土が荒廃したが、特に戦闘の舞台となった南部、とりわけ女性達は危機的状況に置かれている。本支援会合にスーダンから参加した女性代表達は、各国が、女性のニーズに配慮した支援を重視することを希望している。
人権団体、スーダン問題解決に国連の特別大使設置を要求 (01/12)
米国の人権団体「ヒューマン・ライツ・ファースト(HRF)」が、スーダンのダルフールで3年にわたって展開している武力紛争を解決するために、国連の特別大使を新たに設置し全ての当事者を巻き込んだ和平交渉を行なうよう要求した。国連のアナン事務総長は、ナイジェリアのアブジャでアフリカ連合(AU)が中心になって進めていた和平交渉の期限を昨年の12月31日と定めていたが、何の成果も無かった。
HRFは、先の提案は国連・米国内で好意的に受け止められており、安全保障理事会で検討されることになるだろうと語った。2005年HRF人権擁護賞の受賞者であり、スーダン発展機構(SUDO)の代表であるイブラヒム・アダム・ムダウィ氏は、アブジャでの交渉の欠陥は全ての当事者が参加していない点にあると指摘しており、新たな和平交渉ではまずこの点が問題となろう。
ダルフール紛争は2003年初頭に反乱軍が政府の兵営を攻撃したことから始まった。これに対してスーダン政府は、自国軍およびそれの支援する「ジャンジャウィード」と呼ばれるアラブ系民兵を通じて、非アラブ系住民へ激しい攻撃を加えた。
通信社APが入手した情報によると、国連のあるパネルがダルフール問題について報告書を作成した。その中では、スーダン政府・反乱軍・アラブ系民兵のいずれもが、拷問・殺人・強姦などさまざまな人権侵害を行なっているとして非難されている。さらに、これに特に責任のあると考えられる個人名も挙げられており、安保理がこれら個人に対して何らかの制裁を加えることもあり得る。人権団体「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」の報告書でも、スーダン政府の高官に対して安保理が制裁を加え、国際刑事裁判所で捜査すべきだとされている(国際刑事裁判所は現在、スーダンのダルフール、コンゴ民主共和国およびウガンダの事態について捜査を行なっている:IPSJ)。
また、国連安保理が武力行使を含めた介入行動を実施すべきだとの声もある。スーダン軍・ジャンジャウィードによる人権侵害の証言を集めて報告書を作成した「人権を目指す医師の会」は、こうした人権侵害はジェノサイド防止条約に違反しており、民間人を保護するための武力行使の権限を与えられた多国籍軍をすぐさま派遣すべきだ、と主張している。
さらに民間団体「アフリカ・アクション」も、多国籍軍派遣を認める国連決議案を出すようブッシュ政権に要求している。とくにジョン・ボルトン米国連大使が安保理の議長を務める2月が焦点になると見られる。
胡錦涛国家主席、スーダンなどアフリカ8カ国訪問へ
2007/01/23(火) 21:38:03更新
中国外交部の劉建超報道局長は23日、胡錦涛国家主席が1月30日から2月10日かけてアフリカ8カ国を訪問すると発表した。訪問先はカメルーン、リベリア、スーダン、ザンビア、ナミビア、南アフリカ、モザンビーク、セーシェル。写真左は2006年11月に中国を訪問したスーダンのバシール大統領。(編集担当:菅原大輔)
スーダン・ダルフール地方 現地報告
国境なき医師団@スーダン
2007年02月06日
2005年8月から2006年2月まで、スーダン・ダルフール地方で国境なき医師団(MSF)の医療チームの一員として援助活動に携わった桐山真紀子看護師による報告です。
桐山真紀子看護師
<海外での医療援助活動、そしてMSFへ>
以前、赤十字病院の救命救急センターに勤務していたことから、自然と救援活動に参加する先輩や同僚が集まり、このような活動を常に身近に感じていました。6年前に初めて救援活動に参加したのを機に、この分野で専門的に仕事をしていくことを決意しました。
MSFへの参加は、その活動実績に加え、実際に参加した同僚達の評価が非常に高かったことから決めました。派遣前には、感染症をはじめとする熱帯医学やプロジェクトマネジメント(国・地域などに応じた状況分析、活動計画立案・実施、コスト計算、評価方法)などを学びました。活動を通して、日本での経験に加え、新たな視点を持って仕事に臨むことができ、学んだ理論を実践に結びつける貴重な経験を積むことができました。
<スーダンでの活動について>
私が派遣されたダルフール地方のニエルティティは、国内避難民を含めて約2万5000人が暮らす小さな町です。MSFはこの町で唯一の病院を管理・運営するほか、避難民キャンプでの援助を行っています。キャンプでは民兵組織などによる避難民への威嚇や暴力が頻発しており、こうした人権侵害の事実を国際社会に訴えることもMSFの大切な役割でした。また、政府側、反政府側、遊牧民の村々を移動診療チームがまわり、この地域の人びとに分け隔てなく医療を届けることに努めました。
私の仕事は看護師や助産師の人事管理・教育と医薬品・物品管理でした。一人でも多くの患者さんの命を救うためには、限りある人材と資源を最大限に活用し、優先順位を的確に判断することが重要であり、同時に苦労した点でもあります。
現地の状況では防ぎようのない死もありました。蜂に刺されたことによるアレルギーショックや早産、交通手段がないことによる治療の遅れなど、処置さえ早ければ、また日本のように医療水準が高ければ、助かって当たり前の命を救うことができなかったのは本当に辛かったです。
<活動を通じて感じた「MSFらしさ」とは>
医薬品・物品管理の面では、寄付金によって供給される資源を無駄にしないという意識が隅々まで行き渡っていました。
医薬品や物品の出し入れがあるたびに厳しくチェックを入れ、頻繁に在庫管理を行ないます。また、受診した患者数、診断名とその分布などを分析し、治療計画に沿った診断・治療と処方が行なわれているか、それに対する医薬品や物品の消費が適切かなどを定期的にチェックします。忍耐と労力の要る作業でしたが、MSFの活動姿勢を理解するとともに非常にやりがいを感じました。
<支援者の方々へのメッセージ>
世界のいろいろな国々を訪れるたびにいつも感じることですが、これほどまでに違った生き方や境遇があるのかと驚くばかりです。家族、教育、生活環境にも恵まれ裕福であっても幸せをあまり感じない人々がいる傍ら、その日その日を生きていられることに感謝して一生懸命働いている人々がいます。
私は看護師ですから、一人でも多くの方が心身ともに健康で暮らしていけるように援助できれば幸いです。その意味でも、命の尊さを感じながら、今回スーダンで活動する機会を得られたことに感謝しています。
援助活動に参加しているのは、現場に派遣されているスタッフだけではありません。活動に関わるすべての方々、そして活動を支持してくださっている皆さまが参加者なのだと思います。
【メモ】
― その5 国境なき医師団の証言活動(2) ―
名前は聞いたことがあるけれど、実際にはどんな場所でどんな活動をしているのか?このコーナーでは、原則から最新の動向まで、国境なき医師団(MSF)の全てを順を追って分かりやすく説明していきます。
第5回は、前回に引き続きMSFの証言活動をご紹介します。
2006年、10の最も報じられなかった人道的危機
MSFは毎年、年間を通じて世界から最も注目を浴びず、報道されることの少なかった人道的危機のワースト10、「10の最も報じられなかった人道的危機」を発表しています。2006年のリストに上げられた10の国や状況は、アメリカの3大テレビネットワークが2006年に放送した夜のニュースの合計時間14,512分のうち、わずか7.2分しか占めませんでした。この10のリストの目的は、メディアの関心の外側で出口の見えない危機にとらわれ続ける人びとの窮状を世論に訴えることにあります。
1.中央アフリカ共和国: 武力衝突からの逃走
2005年11月以来、中央アフリカ共和国の北西部では政府軍とさまざまな反政府勢力との間で戦闘が発生しています。一般市民も攻撃の対象になっており、約10万人の住民が襲撃や略奪を逃れるために避難を余儀なくされています。MSFは2006年を通じて北西部での医療援助を拡大し、毎月200件以上の外科手術を行い、移動診療チームは森林に逃げ込んだ人びとに対して週平均1800件の診察を行いました。
2.結核: 人的犠牲の増加
結核による全世界の死亡者は毎年200万人にのぼり、およそ900万人が新たに発症しているといわれています。犠牲者数が年々増加している反面、従来の治療法と診断法は対応の遅れを浮き彫りにしています。今日治療に用いられる治療薬は1950年代から60年代に開発されたもので、一般的な診断に使われる喀痰顕微鏡検査と呼ばれる検査法も120年以上も前に開発されたままです。さらに、通常の治療薬に耐性を持つ多剤耐性結核や、致死性の高い超薬剤耐性結核の症例が報告されており、結核への緊急な取り組みが必要とされています。
3.チェチェン共和国: 悲惨な紛争の影響
12年間にわたるチェチェン紛争は一般市民に身体的・精神的な傷跡を残しており、その悲惨な状況は世界に知られないままになっています。暴力、拉致、虐待は依然として続いており、帰還した避難民の多くは帰る家を失っています。MSFは医療が皆無に等しい臨時宿泊センターや貧窮にあえぐ農村地帯において、最も弱い立場に置かれている人びとに医療と心理社会的ケアを提供しています。
4.スリランカ: 援助が限定される中、攻撃にさらされる一般市民
2006年8月、スリランカの一般市民は東部・北東部で再発した政府軍と反政府勢力との間の大規模な戦闘の矢面に立たされました。また政府とメディアによる援助団体への非難や制限が強まる中、8月初旬には援助団体のスタッフ17名が殺害される事件が発生しました。援助を提供することすら困難であるため、MSFは10月に撤退を余儀なくされました。12月末に北東部で外科医療を提供できるようになりましたが、依然として安全の欠如は続いており、東部では複数の地域が外部の援助から完全に隔絶されたままになっています。
5.栄養失調: 治療のための有効な戦略は実施されず
毎年、救えたはずの子どもたち数百万人が栄養失調に命を奪われています。また、現在6000万人を超える子どもが急激な体重の減少と衰弱を特徴とする急性栄養失調の兆候を示しています。MSFは過去2年間、アフリカ中央部に位置する貧困国ニジェールにおいて栄養治療食を用いた通院治療を行い、15万人以上の子どもの治癒に成功しました。他国でも国営の医療サービスを介してこのような治療の導入と実施が可能であるはずですが、現状では実現していません。
6.コンゴ民主共和国: 極度の貧困と暴力に耐え忍ぶ人びと
2006年、コンゴ民主共和国では数十年ぶりに民主的な選挙が行われ、しばしの間メディアの関心を集めました。しかしながら数百万もの人びとが耐え忍んでいる極度の貧困と暴力は注目を集めないままです。現在も東部では豊富な鉱山資源をめぐって暴力の嵐が吹き荒れており、数万人が避難を余儀なくされ、さらに性的暴力、飢餓、病気の犠牲となっています。国内の医療インフラは戦闘により崩壊しており、MSFは診療所や避難民キャンプでの医療援助に加えて国内の至る所で発生している髄膜炎、マラリア、コレラ、はしかの流行にたびたび対応しています。
7.ソマリア: 戦争と災害に見舞われ、苦境に陥る人びと
ソマリアは15年前から内戦状態にあり、国民が直面している日々の悲惨な状況は忘れ去られたままになっています。健康指標は世界最低水準にあり、平均寿命は47歳にとどまっています。MSFは各地で栄養失調や結核、カラアザール(内臓リーシュマニア症)等の治療を提供し、医療ケアの大きな空白を多少なりとも埋めようと手を尽くしています。しかしながら暴力が蔓延しているため活動を展開している援助団体は少なく、さらなる支援が切実に必要とされています。
8.コロンビア: 恐怖の中に生きる
40年以上にわたって内戦が続くコロンビアでは、虐殺、処刑、脅迫などは避けて通ることのできない日常の現実になっています。これまでに300万人以上が避難を余儀なくされ、さらに避難先でも貧困と劣悪な生活状況に耐え忍びながら生活しています。MSFは首都ボゴタを含む複数の地域で診療所と移動診療を通じて医療を提供していますが、内戦によってもたらされる膨大なニーズのうち、ほんの一部しか満たせていません。
9.ハイチ: 一触即発の状況にある首都における暴力の蔓延
ハイチの首都ポルトープランスでは国家警察、複数の武装勢力、国連ハイチ安定化ミッションとの間の衝突により誘拐や性的暴力などが多発しています。MSFが運営する4カ所の医療施設では2004年12月以来、7000人以上が暴力に関連する負傷の治療を受けており、うち1000人近くの女性と子どもを含む3000人が銃で撃たれています。MSFは医療から事実上隔絶された状態にあるスラム街の住民20万人を対象に医療を提供すると同時に、性的暴力の被害者に心理・医療ケアを提供しています。
10.インド: 中部における衝突
インド中部チャッティースガル州では武力衝突が25年以上も続いており、5万人以上の市民が避難を強いられています。MSFは同州南部の避難民キャンプと遠隔地の農村で医療を提供しています。しかしながら、チャッティースガル州以外の複数の地域でも長年にわたって武力衝突が発生しており、未だに多くの人びとが医療を全く受けられずに恐怖と暴力の中で生活を続けています。
次回は、MSFの栄養治療プログラムについて詳しくお伝えします。どうぞお楽しみに。
【インフォメーション】
命を救うために毎日できることは何だろう。
「1日50円キャンペーン」は、1日あたり50円または任意の金額を、1カ月ごとに口座から振り替えていただく継続的なご寄付の方法です。安定した資金が確保できるため、緊急事態へのより迅速な対応が可能となり、またより長期的な視野にたったプログラムづくりを可能にする支援方法です。ぜひご参加下さい。
海外派遣スタッフ 参加者募集中
MSFでは、活動に参加できる海外派遣スタッフを常時募集しています。医師、看護師、助産師、臨床検査技師、臨床心理士、薬剤師のほか、非医療系ではロジスティシャン(建築、水・衛生管理、電気、通信、機械、車両、物資輸送などの専門家)、アドミニストレーター(財務・人事管理責任者)を募集しています。
●毎月、派遣希望者を対象に海外派遣説明会を開催しています。次回は2月16日(金)18:30〜20:30。
お問い合わせはリクルート担当へ。TEL:03−5337−1499/メール:recruit@tokyo.msf.org
中国鉄路工程:スーダンで鉄道工事を受注
2007/02/08(木) 19:07:03更新
中国鉄路工程総公司は紅海に面するポートスーダンから首都ハルツームまでの鉄道路線増強プロジェクトを受注、4日に契約の調印式が開かれた。国有資産監督管理委員会(国資委)の公式サイトが伝えた。
鉄道は全長792キロメートルで、工期は5年。サプライヤーズ・クレジット融資保証(SCF)によって建設する。建設費は11.54億米ドル。
4日午後に開かれた調印式には中国鉄路工程の李長進総経理、中国駐スーダン大使館の張棟大使、スーダン側から財務相や駐中国大使などが出席した。李総経理は「出来るだけ早く作業スタッフを組織して、前倒して完成させたい。今後のスーダンの5000キロメートルの鉄道の建設や補修の基礎としたい」と述べた。(編集担当:菅原大輔)
「政府が犯罪行為」 ダルフール問題で国連人権理調査団
2007年03月12日23時16分
スーダン西部ダルフール地方の人権状況を調査していた国連人権理事会の調査団は12日、スーダン政府軍がアラブ系民兵と連携して同地方の黒人系一般市民を組織的に攻撃し、国際人権法、人道法に反した「犯罪に参画している」と強く非難する初の報告書を発表した。ダルフール紛争による死者は「少なくとも20万人」とした。
人権理は昨年12月に調査団派遣の決議を全会一致で採択。対人地雷禁止運動でノーベル平和賞を受賞した米国のジョディ・ウィリアムズさんを団長とする調査団は2月中旬にスーダン訪問の予定だったが、スーダン政府が入国を拒否した。調査団は隣国チャド東部のスーダン国境地帯で難民などから聞き取り調査をして報告書をまとめた。報告書は12日始まった人権理(第4会期)に提出され、議論される。
報告書は多数の被害者や目撃者の証言から、政府軍と民兵組織ジャンジャウィードによる一般住民への大規模な攻撃が続き、避難民キャンプを含むダルフール地方全域で女性に対する強姦(ごうかん)が横行しているが、スーダン当局はほとんど対応をしていないと指摘。
「戦争犯罪、人道への犯罪がダルフール地方に蔓延(まんえん)している。スーダン政府は同地方の住民を大規模な国際犯罪から守ることに明らかに失敗しているだけでなく、政府自身がその犯罪を画策し、参画している」と結論づけている。
スーダン大統領、国連支援団の受け入れ保留
2007年03月10日22時07分
人道危機の続くスーダン西部ダルフールへの国連支援団について、スーダンのバシル大統領が受け入れを保留する回答を潘基文(パン・ギムン)事務総長に送っていたことが9日分かった。この支援団は、国連とアフリカ連合(AU)の合同部隊派遣に向けた「3段階プロセス」の第2段階で、昨年末に国連とスーダンとの間で合意したものだった。
3段階プロセスは、現行のAU部隊約7000人を支援するため、第1段階で186人、第2段階で軍・警察など約4000人を派遣。最終段階はAUと合同で約2万4000人の展開を検討している。
だが、実際には受け入れが進まず、2月末時点で現地入りできたのは第1段階の81人だけ。第2段階については、潘氏が1月24日付書簡で計画を説明、バシル氏の回答を待っていた。
バシル氏は潘氏の書簡について「過去の合意と多くの矛盾点が見られる」と主張。特に潘氏の「国連が指揮に全面的にかかわることが不可欠だ」との説明に「国連はAUの指揮の下で支援を行うものと理解している」と反発した。
また、合同部隊についても「第2段階が決着した時点で話し合いたい」と態度を保留した。
スーダン大統領:中国石油の作業員に「野菜おいしい」
2007/03/13(火) 16:19:16更新
スーダンのバシール大統領は3日、中国石油天然気集団(CNPC)が開発を行っている第6ブロックを訪れ、中国人作業員と歓談した。13日付で中油網が伝えた。
バシール大統領は3日午後5時過ぎに第6ブロックに到着。開発の状況について報告を受けたあと、翌4日未明から中国人作業員と会食した。作業員側は宿営地の周囲で育てているナス、レタス、トマトなど新鮮な野菜とアラビア風の食事でもてなした。バシール大統領は料理を賞賛し、「スーダン人民にも野菜栽培の技術を伝授して欲しい」と述べた。
中国人作業員はこのほかにもホウレンソウ、サヤインゲン、ヘチマなどを育てており、これまでにスーダン農業省の関係者を接待したことがあるという。写真左は2006年11月に胡錦涛国家主席と会談したバシール大統領。(編集担当:菅原大輔)
スーダン法相、調査団報告書を否定 ダルフール問題
2007年03月14日10時28分
スーダンのマルディ法相は13日、国連人権理事会で演説し、同国西部ダルフール地方の紛争についてスーダン政府の関与を強く非難した人権理の調査団報告書を「調査団は客観的に調査を遂行できる状態になく、報告書に正当性を与えれば人権理にとって危険な前例となる」と批判、報告書の受け入れに反対した。
法相は、スーダン政府が調査団の入国を拒否したことについて「メンバーの一人はダルフールの状況を『虐殺』と表現するなど、先入観を持っていた」と説明。また、団長が「査証を1時間以内に出せ」とひどい態度で迫った、と批判した。団長はノーベル平和賞受賞者の米国人女性、ジョディ・ウィリアムズさん。ウィリアムズさんらは事実無根だとしている。
同法相はそのうえで「当該国の外にいては調査は無理。人権理が報告書を検討することに強く反対する」とした。
調査団はスーダン入りを断念し、隣国チャドのダルフール難民などから聞き取り調査を実施。12日、スーダン政府がアラブ系民兵組織と連携して黒人系一般住民を攻撃しているとする報告書を提出した。
英国、スーダンに新たな制裁決議案検討
2007年03月14日09時53分
スーダンのバシル大統領が、同国西部ダルフールへの約4000人の国連支援団受け入れに難色を示していることに対し、英国のジョーンズパリー国連大使は13日、「スーダン政府の協力が得られない場合には圧力が必要だ」として、新たな制裁決議案の検討に入る考えを示した。来週にも決議案をまとめたいとしている。
支援団は、国連とアフリカ連合(AU)の合同部隊派遣に向けてスーダン政府との間で基本合意した「3段階プロセス」の第2段階。国連の潘基文(パン・ギムン)事務総長は1月、バシル氏に書簡で内容を通告したが、バシル氏は今月、指揮系統や軍人の数、航空機の使用などに注文をつけ、受け入れを保留している。
ダルフール問題をめぐっては、すでにいくつかの制裁決議が採択されている。英国は武器禁輸の範囲をダルフール地方からスーダン全体に拡大するとともに、渡航禁止や資産凍結の対象となる政府当局者を追加するなど、バシル政権に対する直接の圧力を強めたい考えだ。
「核廃絶賛同」20か国から返事…高校生1万人署名実行委
エストニアなど20か国から届いた返事を持つメンバーら
核兵器廃絶を求める手紙を世界194か国・地域の指導者に送った「高校生1万人署名活動実行委員会」のもとに、エストニアなど20か国から返事が届いた。目標としていた20か国に達したことを受け、メンバーらが13日記者会見し、「国という大きな存在から私たちのような小さな存在に反応があり感激した」と話した。
手紙は、メンバーら約30人が日本語の文章を英訳したり、送付先を調べたりして、1月から発送。「核兵器の廃絶を実現するように国際社会の取り組みを期待します」などと求めた。
返事があったのはニュージーランド、イギリス、ブラジル、スーダンなどで、半数は政府要人から。中でもエストニアは、大統領本人が「我々は、思いはいつもあなたたちと共にあります。世界中に拡散していく核兵器に反対します。あきらめないでください」などとしたためている。これに対して、米国、北朝鮮からはまだ返事がないという。
同実行委は引き続き返事を待つ一方で、返事があった国には、指導者とメンバーの面会や、高校生同士の交流などを提案する手紙を出す予定という。
オランダを担当した長崎女子高2年扇慶子さん(17)は「返事を翻訳する中で、私たちの活動に興味を持ってくれたことが分かりドキドキした。『心から賛同します』という一言がうれしかった」と笑顔を見せた。
国連人権理閉幕、ダルフール問題で決議は「骨抜き」
国連人権理事会は30日、内紛が続くスーダン西部のダルフール地方の人権問題解決をめざす決議を全会一致で採択して閉幕した。スーダン政府の責任を追及する欧州連合(EU)とスーダン政府を支持するアフリカ諸国が対立。両者は決裂を恐れて妥協を模索し、決議案からスーダン政府の関与に言及した部分を削除するなど骨抜きの決議となった。
人権理は昨年6月、国連改革の一環として国連人権委員会を改組して生まれたが、改革が裏目に出て組織が弱体化する懸念が強まっている。(07:00)
2007/04/02-22:32 スーダンと軍事協力強化=中国
【北京2日時事】中国の曹剛川国防相は2日、北京を訪れているスーダンのガイリ軍参謀総長と会談し、軍事交流・協力を強化していくことで一致した。新華社電によると、曹国防相は「スーダンとの伝統的な友好関係を大切にし、さまざまな分野で協力を促進したい」と指摘。ガイリ参謀総長は中国の支援に謝意を表した。
2007/04/03-05:48 ダルフール問題でAUと協議へ=国連総長
【ニューヨーク2日時事】国連の潘基文事務総長は2日、紛争の続くスーダン西部ダルフール地方への国連とアフリカ連合(AU)合同部隊の展開に向け、AUのコナレ委員長と16、17両日にニューヨークで協議すると記者団に語った。国連はこれに先立ち、専門家チームを来週AU本部のあるアディスアベバに派遣する。
米大統領、スーダンに制裁強化を警告
【ワシントン=加藤秀央】米英両国がスーダン西部のダルフール地方の紛争を巡り、スーダンへの新たな制裁に動き始めた。ブッシュ米大統領は18日、スーダンのバシル大統領がダルフール地方への国連平和維持部隊受け入れを拒否していると非難し、独自の経済制裁強化を警告。国連安全保障理事会の議長国、英国のブレア首相は新たな制裁論議に入る方針を表明、米英両国は新たな制裁決議案を国連安保理に提出する方向だ。
ブッシュ大統領はワシントンのホロコースト(ナチスによるユダヤ人大量虐殺)記念博物館で演説し「ダルフールの現状は大量虐殺そのもの」と強調。「バシル大統領が約束を果たさなければ、我々が行動を起こす」とこれまでで最も強く警告を発した。
米国の制裁は、スーダン政府系企業29社と米企業との取引を全面禁止する経済制裁が柱。米国務省は、制裁発動までの猶予期間は「数週間」だと説明した。(13:01)
中国、「アフリカ事務特別代表」新設・スーダンの紛争に対応
【北京=佐藤賢】中国政府はアフリカとの関係を強化するため「アフリカ事務特別代表」のポストを新設し、外務省アフリカ局長を務めた劉貴今氏(61)を任命した。外務省の姜瑜副報道局長が10日の記者会見で発表した。大量虐殺が起きているスーダン西部ダルフール紛争への中国の対応を巡り欧米から批判が出ているため、当面はダルフール問題への対応に重点を置く。(20:06)
2007/05/11-08:03 米、中国のアフリカ特別代表任命を歓迎=ダルフール紛争終結へ行動促す
【ワシントン10日】米国は10日、中国がスーダンのダルフール紛争の終結に向けてベテラン外交官をアフリカ事務特別代表に任命したことを歓迎しながらも、中国に対し、紛争地域への平和維持部隊の派遣を認めるようスーダンに要求するため、さらに行動するよう促した。(写真はスーダン西部ダルフール地方の避難民キャンプで食事をする子供たち、2007年2月撮影)
米国務省のマコーマック報道官は、中国がアフリカ担当の特別代表を任命したことについて、「新代表にまずダルフール紛争の終結に重点的に取り組ませるという決定は、中国がこの問題をいかに真剣に受け止めているかを示すもう一つの兆候だ」と指摘した。同報道官はさらに、このイニシアチブを生かして、国連が決議した平和維持部隊のダルフール派遣に抵抗しているスーダン政府を説き伏せるよう中国に求めた。
中国は国連安保理の常任理事国としてまたスーダンへの最大の投資国として、バシル大統領に対してダルフール紛争を終わらせるための影響力を行使していないと批判されている。ライス米国務長官は10日の議会での証言で、「スーダンでのもっと強力な中国の役割を期待している。われわれとしては中国に対し、スーダンに国連部隊を受け入れさせるため、いっそう積極的になるよう促している」と述べた。
中国外務省は10日、中国政府が外務省アフリカ局長を務めた劉貴今氏(61)をアフリカ事務特別代表に任命したと発表していた。 〔AFP=時事〕
仏外相、ダルフールを優先課題に
【パリ=共同】フランスのクシュネル新外相は19日、欧州問題担当のジュイエ閣外相や非政府組織(NGO)の代表らを集めた会合で、深刻な人道危機が続いているスーダン西部ダルフール紛争解決を外交の優先課題の一つとする考えを表明した。フランス外務省が声明で明らかにした。
クシュネル氏は国際緊急医療援助団体「国境なき医師団(MSF)」の共同創設者。人道支援問題に積極的に取り組む姿勢を示し、就任翌日から独自色を鮮明にした。(07:01)
2007/05/23-07:36 制裁の脅しは平和をもたらさない=ダルフール紛争で中国が警告
【ハルツーム22日】中国の劉貴今アフリカ事務特別代表は22日、民族紛争が続くスーダン西部ダルフール地方を訪問し、スーダン政府に対する制裁の脅しは同地方に平和をもたらさないだろうと警告した。国営スーダン通信が伝えた。(写真は南ダルフールの避難民キャンプで、水たまりの周りに集まる子供たち、2005年撮影)
劉代表は、言葉による脅しは4年にわたる紛争で家を失った250万の人たちの苦悩を長引かせるだけだと述べるとともに、中国は引き続き、紛争の解決に向けて建設的かつ積極的な役割を果たすと強調した。同代表はこの日、ダルフール地方の主要都市エルファシェルとその付近の避難民キャンプを訪れた。
スーダン政府は、ダルフールでの少数民族の反政府活動の鎮圧に際して重大な人権侵害を犯していると非難されている。中国はスーダンの主要な貿易相手国として、紛争終結に向けて同政府に対して積極的な働きかけをしていないとして、米国など西側諸国から批判されている。国連の推計によると、2003年2月にダルフールで反政府活動が始まって以来、これまでに少なくとも20万人が死亡している。 〔AFP=時事〕
2007/05/29-08:24 ダルフール問題などで中国と直接協議へ=欧州諸国、ASEM外相会合で
【ハンブルク28日】28日、ハンブルクで始まったアジア欧州会議(ASEM)外相会合で、欧州側は中国に対し、コソボ、スーダンのダルフール紛争、ミャンマーなどの問題を直接ぶつけることにしている。外交筋が明らかにした。(写真は中国の楊外相)
ドイツ筋はAFP通信に対し、欧州連合(EU)の外相および当局者は中国代表団との間で、ダルフール問題を直接取り上げると語った。同会合ではまた、ミャンマーの民主化運動指導者アウン・サン・スー・チー氏の自宅軟禁を延長した同国に対する圧力や中国に軟禁延長を非難するよう求める要求が高まると予想されている。
ASEM外相会合に先立って、日本の麻生太郎外相は同日、ミャンマーのニャン・ウィン外相と会談し、スー・チー氏の自宅軟禁延長問題について話し合った。麻生外相によれば、ウィン外相は「軟禁延長は苦渋の決断だった」と釈明したという。またEUのソラナ共通外交・安全保障上級代表も同日、中国の楊外相と会談し、セルビア・コソボ自治州の将来の地位について協議した。中国は、コソボ自治州に独立を認める動きに反対する立場を取っている。
ダルフール紛争については、クシュネル仏外相が紛争解決に向けて、スーダン政府を支持している中国に対して率先して働き掛けるとみられている。クシュネル外相は今月外相に就任して以来、ダルフール問題を取り組むべき優先課題に挙げている。 〔AFP=時事〕
2007/05/29-22:11 対スーダン制裁を強化=安保理決議案の採択も目指す−米大統領
【ワシントン29日時事】ブッシュ米大統領は29日、スーダン西部ダルフールの紛争沈静化に非協力的な同国政府に対する金融制裁の強化を発表した。
新たな制裁措置では、スーダン国営企業30社と民間企業1社を米企業との取引から締め出す。また、スーダン政府高官ら3人の資産を凍結する。
ブッシュ大統領はまた、国連安保理での対スーダン追加制裁決議案の採択に向け、英国など関係国との協議に着手するよう、ライス国務長官に指示したことを明らかにした。新たな決議案では、スーダンへの武器禁輸強化やダルフール地方での同国軍機の飛行禁止を目指す。
米大統領、スーダン制裁を強化
【ワシントン=丸谷浩史】ブッシュ米大統領は29日、スーダン西部ダルフール地方の紛争解決に消極的なバシル政権を非難、スーダン政府の関連企業などに対し、米国金融機関との取引を禁じる制裁措置を科すと発表した。大統領は「約束の時間は過ぎた。バシル大統領は義務を果たしていない」と非難、国連と足並みをそろえ、ダルフール紛争解決に取り組む考えを示した。
同時に、ライス国務長官に、スーダンへの武器禁輸などを柱とする国連安全保障理事会の制裁決議案を英国などとともに作成するよう指示したことも明らかにした。
大統領は4月に、スーダンが国連平和維持活動(PKO)部隊を受け入れない場合、制裁を強化すると警告していた。(09:41)
米大統領「ロシア、改革脱線」・中国も批判
【プラハ=丸谷浩史】ブッシュ米大統領は5日、プラハ市内で「自由と民主主義」について演説した。米国と中国、ロシアの関係に言及し「我々の友情は複雑だ。中国の指導者は政治体制を開放することなく、経済だけを開放し続けることが可能だと信じている。それには同意できない。ロシアでは、市民の力を強めるはずだった改革が脱線しつつある」との懸念を表明した。
大統領は「中ロ両国とは共通の利益がある部分では協力しているが、強い意見の相違もある」と指摘したうえで「良好な関係の部分があるから、意見の相違についても話し合える」と、民主主義の拡大に向けて今後、中ロに注文をつけていくと表明した。
このほか「私は最悪の独裁国家である北朝鮮、ベラルーシ、ミャンマー、キューバ、スーダン、ジンバブエの反体制派、民主活動家と話し合ってきた。過激主義者との戦いで最も強力な武器は銃弾や爆弾でなく、普遍的な民主主義だ」などとも訴えた。 (02:06)
ダルフール虐殺黙認 「中国に抗議」米下院決議
【ワシントン=古森義久】米国議会下院は5日、本会議で、中国政府がスーダン政府の支援を受けた民兵組織によるダルフールでの大量虐殺を黙認していることは、北京オリンピックの精神に反するとして、抗議する決議案を全会一致で可決した。同下院本会議が賛成410票、反対ゼロ票で可決した同決議案は、「ダルフールでの大量虐殺をやめさせるように影響力を行使することを中国政府に求める」としている。
超党派61議員により、5月21日に共同提案された同決議案は、拘束力こそないが、最終的に共同提案者は130人に上り、5日に採決された。
同決議はダルフールでスーダン政府に支援された勢力が2003年以来、競合部族の大量虐殺を続け、その犠牲者はすでに数十万に達したとして、中国が(1)スーダン産石油の70%を購入する(2)スーダンとの軍事協力を強め、2005年には兵器類約7000万ドル以上を売った(3)スーダンに総額100億ドルを投資した−ことなどから、スーダン政府に対し独特の強いきずなを保つ立場であるのに、大量虐殺をやめさせようとしなかった、と抗議している。
同決議はそのうえで中国政府に対し(1)ダルフール大量虐殺を認識したうえで公式に非難する(2)スーダン政府への兵器の販売を全面停止する(3)スーダンとの経済協力や投資を停止する−ことなどを求める一方、とくに中国政府がこの種の大量虐殺を認め、支援することはオリンピックの精神にはそぐわない、として、中国がダルフールでの大量虐殺を阻止するための行動をとらない場合は北京五輪のボイコットも辞さないという姿勢を明らかにした。
同決議の審議の際には下院本会議で共同提案者のジョン・タナー議員(民主党)が「このままだと北京五輪はジェノサイド(大量虐殺)五輪となる」と述べ、中国政府がダルフールでの虐殺阻止への行動をとらない限り、北京五輪開催への反対を表明する姿勢を打ち出した。ボブ・グッドラテ議員(共和党)も「中国は五輪開催国としてこの種の蛮行を阻止する責任がある」と非難した。
(2007/06/07 03:17)
2007/06/08-07:56 スーダンに国連・AU合同部隊の速やかな受け入れを要求=米国
【ニューヨーク7日】米国は7日、スーダンに対し、国連とアフリカ連合(AU)の合同平和維持部隊の同国西部ダルフール地方への展開を速やかに受け入れるよう求め、さもなければ同地方上空を飛行禁止区域にすることなどを含む国連制裁に直面しようと警告した。ハリルザド米国連大使(写真)が記者団に語った。
同大使は「もしスーダンが合同平和維持部隊の展開に速やかに同意しなければ、われわれはダルフール上空の飛行禁止区域設定を含む国連制裁を推進する」と表明するとともに、「国連安保理のチームが近くハルツームを訪れ、ダルフール問題に終止符を打つ機会を提供する」と述べた。安保理チームは今月17日にハルツームを訪問し、バシル・スーダン大統領と会談してこの問題を取り上げる。
スーダンは、4年にわたるダルフール紛争を終わらせるため2万3000人の国連・AU合同部隊を受け入れるよう、国際社会から強い圧力を受けている。ダルフールには現在、AU部隊が展開しているものの、資金不足もあって平和維持の実効は上がっていない。 〔AFP=時事〕
南スーダンで野生動物の巨大な群れを発見
数十年にわたる内戦を生き抜く
2007年6月12日
数十年続いた内戦の影響ですっかり野生動物が減ったと考えられていた南スーダンで、120万頭にも達するシロミミコーブ、アンテロープ、トムソンガゼルといった草食獣が生息していることが飛行機を使った空からの調査でわかりました。アフリカの野生動物の生息地としては、世界遺産にもなっているタンザニアのセレンゲティ国立公園が有名ですが、今回25年ぶりに行われた調査で、ナイル川西方に位置する南スーダンにも野性動物の大きな群れがあることがはっきりしました。
調査はナショナル・ジオグラフィック協会付き探検家で、野生動物保護協会(WCS)の自然保護活動家でもあるJ・マイケル・フェイと、WCS南スーダン・プログラムのポール・エルカン局長、米マサチューセッツ大学のマリク・マージャンが指揮し、南スーダン自治政府の環境・野生動物保護・観光省との協力の下で実施したものです。資金面では米国際開発庁(USAID)などが調査を支援しています。
「野生動物の宝庫と言われるセレンゲティでも、これほど大規模な野生動物の群れの移動を見たことはありません。おそらくほ乳類の移動としては世界最大の規模でしょう」と、マイケル・フェイは言います。また、アフリカ最大の淡水の湿地帯であるサッドを中心に8000頭に上るアフリカゾウを確認したほか、これを上回る数のゾウによるとみられる移動の跡がボーマやジョングレイ地方で見つかりました。スーダン周辺の野生のゾウの実態については公式な記録が皆無であることから、この発見は大変に貴重なものです。
「これまでも南スーダンには多くの野生動物がいると話してきましたが、誰も信じてくれませんでした。今回の空中からの調査で、ゾウを含む野生動物が多く残っていることが証明され、とてもうれしく思っています。しかし、各所と協力して早急に管理・保護体制を確立する必要があります」と、南スーダン自治政府環境・野生動物保護・観光省次官のアルフレッド・アクウォック少将は話しています。
1980年から82年にかけて南スーダンで実施された前回の空からの調査では、ボーマ国立公園、サッドを含むジョングレイ地方、サザン国立公園、シャンベ地域を対象に行われました。1983年に内戦が勃発したスーダンでは、かつてモザンビークやアンゴラの内戦で野生動物に大きな影響が出たのと同じように、内戦によって野生動物の生息に大きな打撃を受けたと考えられていました。
南スーダンでは野生動物の実地調査はこれまでにも何度か行われています。2001年から2002年にかけて行われた調査では、ボーマ地方周辺にまとまった数のシロミミコーブの生息を確認しました。この調査は地上から行われたもので、空からの本格的な調査は行われませんでした。
2004年にWCSとナショナル ジオグラフィック協会が後援して行った調査は航空調査も含んだ大規模なものでしたが、政治的理由により完了できずに打ち切られました。
今回マイケル・フェイらは、2007年1月に調査を再開し、80年代に実施された調査と同じコースと高度をたどり、ボーマ国立公園、ジョングレイ地方、サザン国立公園などを空から調べました。
150時間かけて約15万平方キロを調査した結果、野生動物の数は減っていないという意外な結果が得られました。特にコーブは約80万頭と、80 年代に行われた調査当時からほとんど減っていないこともわかりました。このコーブの群れは当時、世界最大規模といわれたものです。
今回の調査当時、コーブが大規模な移動中だったことを考えると、実際の生息数は確認できた数を大きく上回り、おそらく100万頭を超えるだろうとみられます。
生息が確認されたのはコーブのほかに、25万頭のガゼル、16万頭のアフリカンアンテロープ、1万3000頭のリードバック、8900頭のスイギュウ、2800羽のダチョウなどです。このほかにもライオン、ヒョウ、イランド、ガゼル、アンテロープ、ハーテビースト、キリン、オリックス、ワニ、カバなども確認されています。また、サッド湿地帯では約4000頭のナイルリーチュエやかなり多くのカバ、スイギュウなども見つかっています。
一方、ナイル川西方に位置するサザン国立公園では状況は異なっていました。ここでは80年代以降、主要な種の生息数の90%が失われたと調査メンバーは見ています。「1981年には6万頭いたとみられるスイギュウはいなくなり、過去に1万頭はいたゾウも一つの群れだけになってしまいました」と、 WCSのエルカン局長は言います。当時の調査では、ジャイアントイランドの生息が確認されていますが、以前の生息域では絶滅したと見られていました。今回、生存が可能な規模のジャイアントイランドが見つかったことは大きなニュースです。
また、季節間の移動を行わないナイル川以東の野生動物種の多くは大きく減少しています。ボーマ地方では、80年代初頭には2万9000頭いたシマウマが今回の大規模な調査では一頭も見つかりませんでした。今年5月に実施された補足調査で、ようやくシロミミコーブとともに移動する3つのシマウマの群れが見つかっただけでした。
WCSはこの貴重な野生動物の楽園を守るため、南スーダン自治政府といくつかの重要な合意をしました。かつての反政府ゲリラ組織であるスーダン人民解放軍(SPLA)の退役兵を数千人規模で野生動物保護レンジャーとして雇用するのもこの合意の一部です。国立公園などの野生動物保護地区の管理システムを見直したり、野生動物保護に民間資本を導入したりするといった確約も得ました。
南スーダン自治政府のルカ・ビオン・デン大統領府担当大臣はコメントしています。「国は再び平和となったことで、人々の生活はかつての落ちつきを取り戻し、避難していた人達も自分の家へ戻り、野生動物の数も回復しています。資源開発や産業の振興など政府の仕事は山積みです。しかし野生動物が内戦の混乱を乗り切って増え続けているというのはうれしい限りです。この大事な自然財産を、環境・野生動物保護省が中心となり、WCSの協力をあおぎながら守り育てていくことは、わが国全体の発展にもつながることです」
2007/06/13-01:22 国連・AU合同部隊受け入れ=ダルフール紛争でスーダン政府
【ニューヨーク12日時事】スーダン政府は12日、同国西部ダルフール地方で平和維持活動(PKO)に当たる国連とアフリカ連合(AU)の合同部隊の受け入れに同意した。アディスアベバで11、12の両日行われていた高官級協議で、3者が合同部隊の展開や任務などについて合意した。
スーダン政府はこれまで合同部隊展開に難色を示していた。同部隊は2万人を超える大規模PKOとなる。
3者は協議後に声明を発表。声明は、国連とAUの説明を考慮した結果、「スーダン政府は合同部隊の提案を受け入れた」とし、部隊展開に向け、国連安保理やAUの平和安全保障委員会に合意を承認するよう求めた。また3者は、紛争当事者間の「包括的な即時停戦」の必要性で一致したという。
スーダン、ダルフールPKO部隊受け入れ
2007.06.13 Web posted at: 12:49 JST - CNN/AP/REUTERS
アディスアベバ──スーダン当局は12日、紛争が続く西部ダルフール地方に、アフリカ連合(AU)と国連の合同平和維持活動(PKO)部隊を受け入れることで合意した。AU関係者が明らかにした。
AUと国連、スーダン当局者は2日間にわたり、PKO部隊の受け入れ問題について当地で協議した。ダルフール地方では7000人規模のAU部隊がPKOに携わってきたものの、装備や資金の不足が足かせとなり、紛争に歯止めをかけることができなかった。
国連とスーダンは昨年11月、ダルフールに展開するAU部隊を強化する3段階計画で大筋合意。国連とAUの合同部隊展開は第3段階にあたるが、スーダンはこれまで「主権侵害」を理由に拒否していた。
フランス外交当局者が11日語ったところによると、バシル大統領は第3段階受け入れに全面同意したものの、全ての部隊をアフリカから派遣するよう強く求めているという。
米女優、“聖火リレー”で中国に抗議
ミア・ファローさん
【ワシントン=共同】国連児童基金(ユニセフ)親善大使を務める米女優ミア・ファローさんらは13日、中国がスーダンからの石油輸入を通じて同国西部ダルフール地方の住民虐殺に手を貸しているとして、抗議の意思を示すため、北京五輪開会のちょうど1年前に当たる8月8日から「もう一つの聖火リレー」を始めることを明らかにした。
リレーは、ダルフールから逃れた難民が多数生活するスーダンの隣国チャドを出発。過去に民族大虐殺を経験したルワンダ、アルメニア、ボスニア、ドイツ、カンボジアを回り香港へ到達する予定。チャドとルワンダのリレーにはファローさん自身が参加するという。
米国内でも9月に、各国元首が集まる国連総会が開かれるニューヨークをスタートし、12月にワシントンの中国大使館前でゴールする聖火リレーを計画している。
電話による記者会見で計画を発表したファローさんは「スーダンの石油確保よりも五輪成功の方が中国にとっては重要だ」と述べ、スーダン政府に対する影響力を行使して虐殺をやめさせるのが五輪開催国としての責任だと強調したが、五輪ボイコットは支持しないと述べた。
スーダン:ダルフールへの平和維持部隊受け入れで合意
【ヨハネスブルク白戸圭一】アフリカ連合(AU)は12日、スーダン政府が同国西部ダルフール地方の紛争への国連平和維持部隊の受け入れに同意したと発表した。既に同地方に展開しているAU部隊と新たに派遣する国連部隊を統合し、2万700〜2万2700人規模の部隊を創設する。
ダルフール地方には04年からAU平和維持部隊約7000人が展開しているが、政府系民兵などによる住民襲撃を抑止できていない。国連安保理は昨年8月、2万人規模の国連部隊派遣を決議したが、スーダン政府が拒否し続けていたため、AUによるスーダン政府の説得が続いていた。
AUによると、新たに創設される部隊はAUと国連の混成部隊で、兵士は1万7000〜1万9000人。これに約3700人の警察官が加わり、安保理が要求する「2万人規模」を満たす形になる。新たに派遣される国連部隊はアフリカ諸国を中心に構成されるとしており、欧米諸国に反発するスーダン政府の意向に配慮した模様だ。
しかし、スーダン政府はAUの発表後も「国連ではなくAUが部隊を指揮すべきだ」などと主張。部隊の受け入れ時期もはっきりしておらず、スーダン政府への圧力を強める米国を中心に合意の実効性について疑問の声が上がっている。
毎日新聞 2007年6月14日 10時32分
スーダン:ダルフール紛争 平和維持部隊の受け入れで合意−−スーダンとAU
【ヨハネスブルク白戸圭一】アフリカ連合(AU)は12日、スーダン政府が同国西部ダルフール地方の紛争への国連平和維持部隊の受け入れに同意したと発表した。既に同地方に展開しているAU部隊と新たに派遣する国連部隊を統合し、2万700〜2万2700人規模の部隊を創設する。
ダルフール地方には04年からAU平和維持部隊約7000人が展開しているが、政府系民兵などによる住民襲撃を抑止できていない。
毎日新聞 2007年6月14日 東京夕刊
ダルフールへのPKO「数カ月で派遣」 国連事務次長
2007年06月15日18時30分
ホームズ国連事務次長(人道問題担当)は14日、都内で朝日新聞記者と会見し、紛争が続くスーダン西部ダルフール地方への国連・アフリカ連合(AU)合同の平和維持部隊派遣について、「スーダン政府と合意に達したので、数カ月後に実施できる」との見通しを示した。スーダン政府の意向を受けて、2万人規模の部隊は主にアフリカ諸国の軍隊で構成するが、指揮権は国連が握るという。
国連安保理が昨年8月末に採択したPKO派遣に難色を示してきたスーダン政府は、今月12日に一転して受け入れを表明した。同政府の対応について、ホームズ氏は「指揮系統や部隊の構成などの細部について合理的な合意に至った。スーダン政府の発表を疑う理由はない」と述べた。
今年3月の事務次長就任直後にダルフールを訪れたホームズ氏は「今年だけで15万人が新たに住む場所を追われ、国内避難民は計220万人にのぼる。治安が悪いため、人道支援団体の活動にも大きな制限がある」と説明。そのうえで「PKO派遣だけでは治安は回復できない。和平合意など政治的解決がなにより重要だ」と強調した。
また、ダルフールに隣接するチャド、中央アフリカで反政府勢力の武力闘争が激化し、国内避難民が30万人以上にのぼっている問題について、「ダルフールの混乱の悪影響の面もあるのに、国際的に注目されていない」と指摘。自らが率いる国連人道問題調整事務所(OCHA)の中央緊急対応基金を両国の難民支援などに支出する考えを示した。
国連事務総長「ダルフール紛争は気候変動が原因」
* 2007年06月17日 13:15 発信地:ワシントンD.C./米国
【6月17日 AFP】国連(United Nations、UN)の潘基文(バン・キムン、Ban Ki-Moon)事務総長は16日付け米ワシントン・ポスト(Washington Post)紙への寄稿のなかで、ダルフール(Darfur)紛争での殺りくについて、世界的な気候変動が大きな原因となったとの考えを示し、同様の紛争が今後も起こる可能性を指摘した。
潘事務総長は記事の中で、「ダルフールの紛争は、気候変動をそのひとつの要因とする生態学的危機がきっかけとなって始まった」と述べた。インド洋の温度上昇が季節風に影響を与え、過去20年間で降水量が40%程度減少したとする国連の調査に触れ、「これはサハラ以南の乾燥化の原因の1つが人的要因による地球温暖化であることを示唆している」という。
「ダルフールでの紛争が乾季に発生したことは決して偶然ではない」と説く。
潘事務総長によると、ダルフールの土地がまだ豊かだったころ、農業に従事する現地の黒人らは、アラブ系の遊牧民を歓迎し、水を共有していたが、干ばつが深刻化すると農地の周りに柵をめぐらせて放牧を防ぐようになったという。「有史以来初めて、食べ物と水が全住民に回らなくなったことで、紛争が始まった」
国連の平和維持軍により紛争が停止し、200万人以上の避難民が村に戻って家を立て直すことができるようになることに期待を示す一方で、「肥えた土地が足りないという本質的問題はどうしたらよいだろう」と問題を提起した。
潘事務総長は、「根本的なダルフール問題の解決策は、持続する経済発展」だとの見方を示し、具体的には新技術を活用した遺伝子組み換え作物の栽培やかんがいを進める一方、医療、教育や衛生状態の向上に取り組むことが重要だと述べた。
このような問題を抱える国はスーダンだけではなく、ソマリア、コートジボワール、ブルキナファソなど「食糧と水の不安定な」アフリカ国家だと指摘している。
スーダン政府は前週、合計2万3000人規模の国連平和維持部隊とアフリカ連合(African Union、AU)部隊の受け入れに合意した。同国では過去4年間の紛争で20万人以上が死亡している。(c)AFP
2007/06/17-07:36 合同部隊の速やかなダルフール展開を協議=国連安保理とAU
【アディスアベバ16日】スーダン政府が国連とアフリカ連合(AU)の合同平和維持部隊の受け入れに同意したことを受けて、国連安全保障理事会チームとAU当局者は16日、エチオピアの首都アディスアベバで、民族紛争が続くスーダン西部ダルフール地方への合同部隊の速やかな展開について協議した。(写真はAU委員会のコナレ委員長=左=とAU平和安全保障委員会のジニット委員長)
協議終了後、南アフリカのクマロ国連大使は「スーダンの合同部隊受け入れは大きな突破口だ」とし、「この合意を履行すべき時であり、われわれとしてはできるだけ速やかな履行を望む」と語った。同大使はさらに、「国連当局者とバシル・スーダン大統領との会談が17日にハルツームで予定されており、この会談でスーダン政府が合同部隊の受け入れを実行する用意があるかを確認することになろう」と述べた。
またAU平和安全保障委員会のジニット委員長は「われわれは大きな突破口を開いた。次は実行だ。すべきことはたくさんある」と述べた。
スーダン政府はこれまで、ダルフールへの大規模な国連平和維持部隊の派遣を拒否してきたが、世界的な圧力の高まりや国連の制裁強化の動きに直面して、今週になって国連・AUの合同平和維持部隊の受け入れに同意した。国連によると、ダルフールでは4年にわたる紛争で、これまでに少なくとも20万人が死亡し、200万人以上が家からの退去を強いられている。 〔AFP=時事〕
ダルフールへの合同部隊無条件受け入れで正式合意
2007年06月18日09時37分
スーダンに滞在中の国連安全保障理事会の大使訪問団は17日、首都ハルツームでバシル大統領と会談した。大統領は、紛争が続く西部ダルフール地方に国連とアフリカ連合(AU)の合同平和維持部隊を無条件で受け入れることで正式に合意した。国連が発表した。
スーダン政府は昨年11月、合同部隊受け入れに基本合意したものの、バシル大統領が合同部隊の指揮命令系統などに難色を示し、調整が難航していた。大統領の合意表明で、今後実際の展開に向けた動きが加速すると見られる。
英国のジョーンズパリー国連大使は、安保理訪問団がアフリカ歴訪からニューヨークに戻る21日以降、合同部隊の展開を承認する安保理決議案づくりに取りかかり、国連平和維持活動(PKO)予算の適用を国連総会に勧告する方針を示した。
計画によると、合同部隊は約1万7000〜2万人規模の軍と、3700人以上の警察官で構成される。だが、アフリカ諸国を中心とする派遣要員の確保のめどはまだたっておらず、実際の展開は早くとも今冬になる見通しだ。
2007/06/18-07:25 合同部隊のダルフール展開、スーダン大統領が受け入れ確認=安保理代表団
【ハルツーム17日】スーダンを訪問している国連安全保障理事会の代表団は17日、国連とアフリカ連合(AU)の合同平和維持部隊の同国西部ダルフール地方への展開について同日、スーダン政府の無条件同意を取り付けたと発表した。同代表団が同日、バシル・スーダン大統領と会談した後、南アフリカのクマロ国連大使が記者会会見で明らかにした。(写真はスーダンの首都ハルツームでパレードするルワンダの国連平和維持部隊、2007年5月撮影)
クマロ大使は「バシル大統領は合同部隊の展開に異議を唱えなかった。スーダンは合同部隊をいかなる条件も付けずに受け入れた。受け入れはバシル大統領によって確認された」と語った。バシル大統領はこれまで、最大2万3000人から成る国連・AU合同部隊の受け入れに反対する立場をとってきた。しかし、国際的な圧力の高まりと国連制裁強化の動きなどから、スーダン政府は先週、合同部隊の受け入れに原則同意した。同政府は国連の平和維持活動については、ダルフールでパトロール任務に就いているAU部隊7000人の後方支援しか認めていなかった。
国連の潘基文事務総長はスーダンの原則同意について、画期的な進展と歓迎した。ただ米国は疑念を表明し、新たな制裁を科す意向を示していた。米国は4年にわたるダルフール紛争で、スーダン政府が反政府運動を展開している少数民族を虐殺していると非難している。 〔AFP=時事〕
不安定な国:スーダンに次ぎイラク2位 米外交誌
米外交誌「フォーリン・ポリシー」(電子版)が18日公表した世界の「不安定な国」リストで、内紛と人道危機を抱えるスーダンが最悪に、自爆テロなどによる治安悪化が続くイラクが2位にランキングされた。
同じく治安不安定なアフガニスタンも8位にランクされており、米軍侵攻で旧体制が崩壊したイラク、アフガン両国で、新たな「国づくり」が容易に進まない現状が浮き彫りになった。北朝鮮は13位だった。
ロイター通信によると、イラクは前年は4位だったが、この1年間で社会、経済、政治など各分野の指標で数値が悪化。特に「治安組織」や「外部からの侵入」の項目で各国中最悪になった。(共同)
毎日新聞 2007年6月19日 18時10分
米中が高官対話、ダルフール情勢など協議
【ワシントン=加藤秀央】米中両国政府は20日、第4回「定期高官対話」をワシントンで開いた。米国はネグロポンテ国務副長官、中国は戴秉国・外務次官が代表を務めた。米側はスーダンのダルフール情勢やイランの核開発問題で中国に圧力強化を働きかけたもようだ。
高官対話は昨年11月以来の開催で、今回は21日まで。マコーマック報道官は20日、中国の人権状況やダルフール情勢など政治・安全保障問題について意見交換すると述べた。21日の協議では北朝鮮の核開発や台湾問題も議題になるとみられる。
高官対話は両国間の外交政策について幅広く協議する枠組みとして、2005年に当時のゼーリック国務副長官が戴次官との間で開始した。その後、ポールソン米財務長官と呉儀・中国副首相を代表として経済面に特化した「米中戦略経済対話」が発足した。(11:19)
日本、ダルフール紛争解決に18億円の支援実施を表明
スーダン西部ダルフール地方での武力紛争の解決策を巡りパリで25日に開いた国際支援会議で、日本は周辺国を含め総額1450万ドル(約17億9000 万円)の支援実施を会議ホスト国のフランスに表明した。同会議ではスーダンでの平和維持活動(PKO)が早期に実現するようスーダンに圧力を強めていくことで合意。次回会合は9月にニューヨークで開く方向。(パリ支局)(11:36)
国連総長、ダルフール問題で中国の建設的役割を称賛
2007年06月26日
潘基文・国連事務総長はパリで25日、スーダン・ダルフール問題に関する閣僚級の国際会議に出席した。会議後の共同記者会見で潘事務総長は、外国人記者の質問に対し、ダルフール問題の解決に向けた中国側の努力に、国連事務総長として満足の意を表した。新華社のウェブサイト「新華網」が伝えた。
潘事務総長は「2月には胡錦濤国家主席がスーダンを訪問し、最近中国政府は、ダルフール問題特別代表も任命した。中国政府は一貫して、国連やアフリカ連合(AU)を始めとする国際社会との完全な協力に応じるよう、スーダン側の説得に努めている。中国政府はこの面でまさに『建設的役割』を発揮している」と述べた。
同会議では、ダルフールの政治プロセス、人道・安全状況、ダルフールの復興、ダルフール問題の地域への影響などが話し合われた。
温暖化で気候難民 2050年に10億人予測も
2007年6月27日 夕刊
◆海面上昇や干ばつ深刻…英独の団体警告
地球温暖化による海面上昇や干ばつの深刻化によって今世紀半ばまでには二億から十億人が現在の居住地を追われ、難民と化す可能性がある−。英国やドイツの研究機関がこんな予測結果を相次いでまとめた。多くは貧しい発展途上国の住民で、研究者は「大量の“気候難民”の発生が、今後の世界情勢を不安定にする」と警告した。
環境保護団体グリーンピースはドイツのハンブルク大学と共同で、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)による温暖化影響の予測を基に、海面上昇や干ばつによって人間の暮らしが困難になる地域を推定。
「今後の人口増加などを考えると、二〇四〇年までには気候変動によって二億人の気候難民が発生する」と予測した。
難民となる可能性が高いのは、気温上昇で氷が解けることの影響を受ける北米やグリーンランドの先住民、海面上昇で居住地が水没するバングラデシュなどアジアの人口密集地帯に住む人々。これに、島しょ部の住民や干ばつの影響を受けるサハラ砂漠以南のアフリカの農民などが加わる。
一方、英国の民間団体クリスチャン・エイドは、スイスの研究機関と共同で、温暖化などの気候変動の影響を受け、移住を余儀なくされる人は、五〇年までに十億人に達する可能性があるとの報告書をまとめた。
気候変動が多数の難民を生み地域紛争を激化させたと指摘されるのが、スーダン西部のダルフール地方。約二十万人が殺され、スーダン国内の避難民や隣国のチャドに逃れた難民の数は二百万人を超えるとされるが、大規模な干ばつで多数の農民が土地を離れたことが混乱のきっかけだったといわれる。
【湯浅博の世界読解】対中非難決議の方こそ注目を
米下院の対日非難決議といえば、1990年代初めに通商問題を中心にピークを迎えたものだ。日本人記者は連邦議会に日参して決議案の行方を追い、通商代表部(USTR)のコメントを取るのが日課だった。
あまりに数が多くて、ベタ記事にしかならないものが多かった。それがいまは、マイク・ホンダ議員が主導する慰安婦問題1本に振り回される。そのいかがわしさについては、多くの論者が語っているので、ここでは内容に触れない。
それより、現状を子細に眺めれば下院の対中非難決議や法案の方が圧倒的に多いことに、注目したい。中国が石油ほしさにアフリカ北東部のスーダンに武器を輸出、同国ダルフール地方での大量殺戮(さつりく)を見逃しているという非難の嵐なのだ。
慰安婦という戦時中の出来事を扱う対日非難決議と違って、今まさに進行中である。この人権問題が、来年開催の北京五輪と結びつけられるから、深刻さの度合いは日本の比ではない。
厳しい対中非難をそらすため、中国系団体が下院議員らを慰安婦問題に誘導しているのではないかとのうがった見方もしたくなる。
スーダンにからむ対中非難が出てきたのは4年前からである。日本に対する1本の非難決議に対して、あちらダルフール関連の決議案と法案は20本以上にもなる。米紙の扱いも、慰安婦問題は無視されることがあっても、ダルフールにからむ対中非難が掲載されない日はないほどだ。
ここ1年あまりの中国たたきは、有名女優が先頭に立っているために注目度が極めて高い。特に、女優のミア・ファローさんが3月下旬、ウォールストリート・ジャーナル紙に寄稿したスピルバーグ監督に対する警告文は激烈だった。
彼女は「ローズマリーの赤ちゃん」の主演女優として知られ、映画監督の方は北京五輪の芸術顧問に就任している。ファローさんはナチス支配下のベルリン五輪を引き合いに出し、虐殺されたユダヤ人の苦悩を知るべきだとして、北京五輪を「ジェノサイド・オリンピック」と非難した。
このため、同監督は胡錦濤主席に、「影響力の行使を」と書簡を送った。中国はただちにスーダン政府に特使を送り、国連平和維持軍の受け入れを進言した。
さらに、5月上旬には米下院議員108人が北京五輪のボイコットに触れながら、影響力のある中国が虐殺をやめさせるよう書簡を胡主席に送った。すると中国は、間髪を入れずに劉貴今氏をアフリカ問題大使に任命したうえ、道路復興などに従事する工兵275人の派遣を決定している。
ここで重要なのは、非難決議や書簡を受け取ったあとの、中国政府の素早い決定と実行である。
ワシントンの在米大使館を中心とした議会へのロビー活動はもちろんだ。在京外交筋によると、世界に展開する大使館に対して北京五輪のボイコットを防止すべく働きかけるよう訓令を出したという。失敗した場合には、何らかの“制裁”も示唆しているそうだ。
中国は「内政干渉はしない」という原則を自ら破るわけで、米国発の圧力に対していかに危機感を持っているかが分かる。
中国政府はダルフール問題が他の少数民族に対する人権問題に波及することを何よりも恐れていよう。チベット問題ではハリウッド俳優のリチャード・ギアさんらが、活発に独立運動を支援しているし、新彊ウイグル自治区でも米欧の支援活動が活発だ。
中国の対応はあくまで対中非難をかわすための見せかけにしかみえない。スーダンの石油輸出の7割を受け入れているままだし、武器輸出を停止したわけでもない。安倍政権は慰安婦決議1本に惑わされることなく、いまの民主主義、人権、法の支配に基づく「価値の外交」を貫けばよい。(東京特派員)
(2007/06/27 09:04)
社説2 スーダンの悲劇放置するな(6/28)
アフリカのスーダン西部、ダルフール地方の人道危機が放置されている。スーダン政府の支援を受けたアラブ系民兵組織が黒人系農民を中心にした反政府武装勢力と戦闘、これまでに20万人が死亡、200万人以上が家を追われた。
国際社会は制裁強化も視野に入れスーダン政府、反政府勢力の双方に和平受け入れ圧力を強めるべきだ。スーダン政府に影響力を持ちながら紛争解決に無頓着だった中国は、とりわけ真剣な努力を問われる。
パリで25日にフランス政府主催でダルフール紛争解決をめざし国際会議が開かれた。サルコジ仏大統領は「黙っていることは殺人行為と同じ」と強調した。その通りだ。
ダルフール紛争が始まったのは2003年2月。それから4年以上もこの悲劇に終止符が打たれないできた。紛争当事者がいずれも好戦的な姿勢を続けたうえ、国際社会の努力も不十分だったからだ。国連安全保障理事会はスーダン政府に一定の制裁も科しているが、主要国が一致結束してダルフール紛争に対応してきたとは言えない。中国がスーダン政府への圧力強化に反対し、足並みをそろえられなかったのが実情だ。
中国は日量約50万バレルの産油国スーダンへの最大の投資国であり、直近ではスーダン原油の6割を輸入し同国財政を支えている。中国は否定するが、政府側に禁輸対象の武器を供給しているとの指摘もある。
このため欧米で08年北京五輪ボイコットを求める声もあがるほど、中国への批判が高まっている。中国は今春、ダルフール問題担当の特使を任命し、胡錦濤国家主席もバシル大統領に和平を働きかけるなど、ようやく対応を始めた。和平実現に向けた中国の影響力行使が必要だ。
国連、アフリカ連合(AU)、スーダン政府の三者は今月、ダルフールの平和維持軍を増強することで合意した。だが、スーダン政府には、過去に国際的な合意を反故(ほご)にした経緯もある。国連、AUは増強部隊をできるだけ早く組織し、スーダンに受け入れを迫るべきだ。
日本政府は26日、難民を対象にした約400万ドルの人道援助を決定した。日本も引き続き紛争解決、人道援助に貢献すべきである。
UP:20040110 REV:20070502, 14, 29, 0618, 24, 20190806
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アフリカ
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世界